ギャラリー  ときの忘れもの

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スタッフSの海外ネットサーフィン No.107
「Vermeer's Secrets」
National Gallery of Art, Washington D.C.


 読者の皆様こんにちは。夜分には布団に包まれる程度に冷え込むものの、日中は未だにTシャツ短パンで出歩く人もチラホラ見かける今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。皆様がこの記事をご覧になる頃には、マイアミに向けてエコノミークラスに半日缶詰の刑に服しているでしょう、スタッフSこと新澤です。

 新型コロナの影響により、世界各地の美術館/博物館が長期営業停止の憂き目にあったことは周知の事実ですが、部署によっては必ずしも悪いことばかりではなかったようです。というのも、来場者が途絶えることで、美術館の顔ともいえる大作や名画に、長期に渡り様々な検査、調査を行うことが可能になったからです。

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 今回ご紹介するアメリカ・ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーも、長期休館を収蔵作品の研究に利用した団体の一つで、その成果が10月から来年1月まで開催されている「Vermeer's Secrets」です。「フェルメールの秘密」と題されたこの展覧会、その秘密とはズバリ、同館が所蔵するバロック期を代表する画家の1人であるヨハネス・フェルメールの作品4点の内の1点が、フェルメール以外の作家による贋作と公的に判断されたことです。

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 フェルメールによる作品ではないと判明したのは《フルートを持つ女》で、科学的な分析の結果、この作品に使用されている絵の具には粗く挽かれた顔料が含まれており、フェルメールの真作とされる35点の絵画の滑らかな仕上げとは相容れないとされ、他にもフェルメール特有の精緻さがないと判断されました。

vermeer2Girl With a Flute
c.1669/1675)
National Gallery of Art, Washington,
Widener Collection.
 ここまでであれば「これはむしろ秘密ではなく真実では?」と思われるかもしれませんが、顕微鏡レベルの組成に違いこそあれ、その作風はフェルメールを熟知している人間によるものと考えられています。では誰が描いたのか? フェルメールの工房の存在を示す資料は現存せず、生徒や助手の記録も同様。残された作品は僅か35点しかないため、長らくフェルメールに弟子や助手はいなかったと考えられてきました。可能性としては、フェルメールが雇ったフリーランスの画家か、あるいは家族の誰かが描いたと考えられていますが、真実は未だに不明です。
 フェルメールの作風に親しみ、かつその画風を再現できる「秘密の誰か」。冬の夜長に空想を遊ばせるには中々にロマンのある題材ではないでしょうか?

(しんざわ ゆう)

美術館による展覧会概要動画(英語字幕あり)

Vermeer's Secrets公式ページ(英語)
National Gallery of Art公式ページ(英語)

*画廊亭主敬白
ワシントンD.C.のナショナル・ギャラリーが自館所蔵の作品が真作でないと公表した勇気と誠実さに打たれます。
我が国でも怪しい例がいくつもあるのに、こういう話は聞きませんね。
画商としては、万一贋作を売ってしまったら身の破滅ですので、慎重の上にも慎重を期さないといけませんね。
久しぶりに小野隆生の初期作品をご紹介しましょう。これは堂々と「剽窃」と名乗っており、小野の満々たる自負が伺えます。
ono_vermeer小野隆生
《剽窃断片図(フェルメール)》
1976年
油彩、キャンバス
33.0×24.3cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

さて、新澤が書いた通り、スタッフ3人が本日から10日間(長い!)、アートバーゼルに出展するために、米国マイアミ・ビーチに出張しました。
老夫婦が留守番ですが、運悪く(ほんとはありがたいことなのですが)海外からのお客様が立て続けに来廊されます。米国育ちの勝見がいる日はいいのですが、在宅勤務の日は日本語しか話せない亭主はいったいどうしたらいいのか。手当たり次第、友人、知人、お客様にSOSを出しています(涙)。

【お知らせ】
誠に勝手ながら、11月29日(火)は17時閉廊とさせていただきます。
ご迷惑をお掛けしますが、ご理解とご協力の程宜しくお願い申し上げます。
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◆「第32回瑛九展アート・バーゼル・マイアミ・ビーチ Art Basel Miami Beach 2022
会期:2022年11月29日(火)〜12月3日(土)
AB18_Miami Beach_Pos_RGB_Color会場:
Miami Beach Convention Center
1901 Convention Center Drive, Miami Beach, FL 33139, USA
Google Map
公式サイト: https://www.artbasel.com/miami-beach
出展ギャラリーについてはコチラを参照。
魔方陣11280今年20周年を迎える「Art Basel Miami Beach 2022」は、世界の38の国と地域から283ギャラリーが参加する、過去最大規模のアートフェアです。日本からは3軒が出展、ときの忘れものは2019年に香港で開催された「Art Basel Hong Kong 2019」に続き、「第32回瑛九展」を開催します。
カタログを刊行しました。
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