新着作品・イベント情報

「ジョエル・シャピロ展」開催中

ただいま ときの忘れものではジョエル・シャピロ展 を開催中です。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。

01

2月3日ブログに出品作品の詳しいデータを掲載しましたのでご覧ください。

亭主が自信満々で臨んだ初のシャピロ展ですが、後述するように、反応ゼロ、記録的な不入り展覧会になりそうです。
加えて昨日は、メールに不具合が生じ、事務所はパニック状態。

15日の12時半頃から、メールに不具合が生じました。
新しいドメイン取得の手続きに当方がミスをしてしまった結果で、15日〜17日までの3日間(72時間)はメールの発信、受信がともに不安定な状態が続きます。
特に15日12時30分〜14時45分までにメールを送られた方は恐縮ですが、再送してください。この2時間15分の間の送受信はすべて失われてしまいました(涙)。

泣きっ面に蜂です。
シャピロ展DM画像大

02


03


04
1988年に制作したマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画。


05


06


07
この微妙な形態と美しい色彩。
神経質ともいえるシャピロの制作姿勢をよく知る笹沼俊樹さんが3年ぶりにエッセイを執筆されました。
2月8日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜1」
2月9日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜2」をお読みください。
来廊された笹沼さんには「ワタヌキさん、なぜこんなに安くつけたの」と叱られました。

08


09


10


11


12


13


14


15


16

1941年生まれのジョエル・シャピロは単純な長方形で構成された巨大な彫刻が知られていますが、博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置されている彫刻作品を知る人も多いでしょう。

ドローイングや版画も魅力的です。
ときの忘れもののコンクリートの壁面にこれほど合うとは、展示する前には気づきませんでした。

1979-80年にかけて制作した初期リトグラフ、1988年の木版画、点数は少ないけれど見ごたえ十分、と亭主は自画自賛しているのですが、駒込移転以来、これほどの不入りの展覧会は初めてかも知れません。ニッパチとはよく言われますが、15日現在、売り上げゼロ !
もっとも常連さんに言わせれば「青山時代はもっと閑散としていた」ということなので、待てば海路の日和あり、お客様の選択眼に期待しましょう。
どうぞお運びください。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


追悼 ジョナス・メカス トークイベント「メカスさんを語る」
去る1月23日NYの自宅で、ジョナス・メカスさんが亡くなられました(96歳)。9日に予定していたトークイベントは雪で中止(延期)しましたが、あらためて下記日程で開催します。
2005年メカス展リトアニア大使館員日時:2月21日(木)18時
会場:ときの忘れもの2階図書室
講師:飯村昭子(フリージャーナリスト、『メカスの映画日記』『メカスの難民日記』の翻訳者)
木下哲夫(メカス日本日記の会、『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』の翻訳者)
植田実(住まいの図書館編集長、『メカスの映画日記』の装丁者)
要予約:既に満席で、キャンセル待ちの方も多数おり、受付は終了しました。
参加費:1,000円は皆さんのメッセージとともに香典として全額をNYのアンソロジー・フィルム・アーカイブスに送金します。
*写真は2005年10月青山・ときの忘れものの個展オープニングにて、メカスさんとリトアニア大使館参事官の親娘。

2月13日 「メカスさんの版画制作」
2月6日 井戸沼紀美「メカスさんに会った時のこと」
2月4日 植田実『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』
2月2日 初めてのカタログ
1月28日 木下哲夫さんとメカスさん


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第55回

野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」 第55回

新しいホームページができました

先日新しいホームページが完成致しました。
以前のホームページに近いシンプルさや見やすさは残しながら、画像の美しいとても良いホームページになったと思います。

ホームぺージトップ画面
ホームページトップ画面

URLはwww.takuro-noguchi.comから、noguchi-takuro.comに変わりました。
僕自身ホームページ制作に参加し、特にworksのページの作品画像をどう見せるか色々と考えました。
作品数も多く、作品の小さなサムネイル一点一点を全部クリックしてもらって拡大して見て頂くのは手間で、あまり観て頂けないかもしれないと思ったので。
それで思いついたのですが、作品画像一つ一つを改めて開かなくてもある程度の画質と大きさで表示されるようにしました。
さらに、大作は大きく、小作品は小さく、実際の作品のサイズ感の違いをある程度わかるように表示したので、
ページ全体の始めの読み込みには少し時間がかかりますが、ちょっと展示壁面を観ているような感じになって、自分でもとても気に入っています。
スマートフォンで見るとその工夫がわからないので、できればPCで観て頂けると嬉しいです。
また、今回のホームページは作品画像を高画質のまま保存頂けるので、お好きな作品画像を保存頂いて待受にして頂くなど個人的に楽しんで頂ければと思います。
これからまた、作品画像やブログなど更新していきますので、どうぞよろしくお願い致します。

works 画面
works 画面

works 画面 Landscape
works 画面 Landscape

のぐち たくろう

野口琢郎展カタログのご案内
野口琢郎展_表紙600野口琢郎展カタログ
2018年
ときの忘れもの発行
24ページ
テキスト:島敦彦(金沢21世紀美術館館長)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
本体価格800円(税込) 
※送料別途250円
(メールにてお申し込みください)

野口琢郎 Takuro NOGUCHI(1975-)
1975年京都府生まれ。1997年京都造形芸術大学洋画科卒業。2000年長崎市にて写真家・東松照明の助手に就く。2001年京都西陣の生家に戻り、家業である箔屋野口の五代目を継ぐため修行に入る。その後も精力的に創作活動を続け、2004年の初個展以来毎年個展を開催している。
ホームページhttp://noguchi-takuro.com/

◆野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。

●今日のお勧め作品は、野口琢郎です。
noguchi_34_light野口琢郎 Takuro NOGUCHI
《光へ》
2011年
箔画(木パネル、漆、土、金・銀箔、石炭、樹脂、透明アクリル絵具)
37.9×45.5cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


◆ときの忘れものはジョエル・シャピロ展 を開催しています。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。
2月3日ブログに出品作品の概要を掲載しました。
シャピロ展DM画像大
1941年生まれのジョエル・シャピロはアメリカを代表する彫刻家。
単純な長方形で構成された巨大な彫刻が特徴で、国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置収蔵されています。
本展では、1979-80年にかけて制作した初期リトグラフや、1988年にマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画をご覧いただきます。
シャピロのコレクターである笹沼俊樹さんが3年ぶりにエッセイを執筆されました。
2月8日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜1」
2月9日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜2」をお読みください。


追悼 ジョナス・メカス トークイベント「メカスさんを語る」
去る1月23日NYの自宅で、ジョナス・メカスさんが亡くなられました(96歳)。9日に予定していたトークイベントは雪で中止(延期)しましたが、あらためて下記日程で開催します。
201105撮影日時:2月21日(木)18時
会場:ときの忘れもの2階図書室
講師:飯村昭子(フリージャーナリスト、『メカスの映画日記』『メカスの難民日記』の翻訳者)
木下哲夫(メカス日本日記の会、『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』の翻訳者)
植田実(住まいの図書館編集長、『メカスの映画日記』の装丁者)
要予約:既に満席でしたが、若干余裕で出そうです。キャンセル待ちの方はメールにてお申し込みください。
参加費:1,000円は皆さんのメッセージとともに香典として全額をNYのアンソロジー・フィルム・アーカイブスに送金します。
2月21日16時からトークイベントに先立ち「リトアニアへの旅の追憶」を上映します(予約不要)。
*写真は2011年5月NYブルックリンにて、撮影:トゥルーリ・オカモチェクさん。

2月13日 「メカスさんの版画制作」
2月6日 井戸沼紀美「メカスさんに会った時のこと」
2月4日 植田実『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』
2月2日 初めてのカタログ
1月28日 木下哲夫さんとメカスさん


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

2月15日は三木富雄の命日〜愛用の灰皿

今から41年前の1978年2月15日、三木富雄が僅か41歳で京都で急死したときの美術界に広がった驚きを今でも鮮やかに覚えています。
明日、2月15日は三木富雄の命日です。

ときの忘れもののコレクションから少し変わったオブジェを2点ご紹介します。
三木富雄 (1)
三木富雄「耳の木型」
木型/55×80×h92mm
1970年代
赤い部分は木。
耳の部分はアルミか。

三木富雄 (2)

三木富雄 (3)
三木富雄「愛用の灰皿」
65×110×h30mm
1970年代
アルミ
耳をグリット状に箱に入れこんだ作品の一部。
三木はそれをそのまま灰皿に使っていました。

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

旧蔵者は、1970年代半ば、三木富雄の引越しを手伝ったときの御礼に直接いただいたとのこと。

三木 富雄(みき とみお)
1937(昭和12年)1月18日東京生まれ 〜1978(昭和53年)2月15日京都で没
東京公衆衛生技術学校(現 窪田理容美容専門学校)卒。その後中央美術学園通信教育部に入学。1958年20歳で読売アンデパンダン展に出品し、1963年の個展で最初の「耳」シリーズを発表。人間の耳をモチーフにアルミニウムや真鍮で鋳造された彫刻を多数制作した。
1966年勅使河原宏監督の映画「他人の顔」(安部公房原作)のセットを担当。ヴェネツィアやサンパウロのビエンナーレにも出品して活躍した。1970年万博の金曜広場にコンクリート製の特大な耳を設置。1971年ロックフェラー財団の奨学金で約一年ニューヨークに滞在、亡くなる2年前にも数ヵ月同地に滞在し、最後に《翼の生えた耳》を制作したが、鋳造されることなく破壊された。
1978年に41歳で急死。
1992年渋谷区立松濤美術館で『三木富雄 : 特別展』が開催された。

映画『他人の顔』
美術を磯崎新が、音楽を武満徹が担当した。
映画「他人の顔」より (1)

映画「他人の顔」より (2)

映画「他人の顔」より (3)

映画「他人の顔」より (4)


◆ときの忘れものはジョエル・シャピロ展 を開催しています。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。
2月3日ブログに出品作品の概要を掲載しました。
シャピロ展DM画像大
1941年生まれのジョエル・シャピロはアメリカを代表する彫刻家。
単純な長方形で構成された巨大な彫刻が特徴で、国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置収蔵されています。
本展では、1979-80年にかけて制作した初期リトグラフや、1988年にマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画をご覧いただきます。
シャピロのコレクターである笹沼俊樹さんが3年ぶりにエッセイを執筆されました。
2月8日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜1」
2月9日ブログ:「プロフェッショナルの世界を見た〜2」をお読みください。


追悼 ジョナス・メカス トークイベント「メカスさんを語る」
去る1月23日NYの自宅で、ジョナス・メカスさんが亡くなられました(96歳)。9日に予定していたトークイベントは雪で中止(延期)しましたが、あらためて下記日程で開催します。
2005年10月メカスさん日時:2月21日(木)18時
会場:ときの忘れもの2階図書室
講師:飯村昭子(フリージャーナリスト、『メカスの映画日記』『メカスの難民日記』の翻訳者)
木下哲夫(メカス日本日記の会、『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』の翻訳者)
植田実(住まいの図書館編集長、『メカスの映画日記』の装丁者)
要予約:既に満席ですが、キャンセル待ちの方はメールにてお申し込みください。
参加費:1,000円は皆さんのメッセージとともに香典として全額をNYのアンソロジー・フィルム・アーカイブスに送金します。
2月21日16時からトークイベントに先立ち「リトアニアへの旅の追憶」を上映します(予約不要)。
*写真は2005年10月青山・ときの忘れものにて。

2月13日 「メカスさんの版画制作」
2月6日 井戸沼紀美「メカスさんに会った時のこと」
2月4日 植田実『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』
2月2日 初めてのカタログ
1月28日 木下哲夫さんとメカスさん


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

お知らせ 本日のトークは中止(延期)します

本日2月9日17時からのトークイベント「メカスさんを語る」は雪のため、中止(延期)します。15時からの「リトアニアへの旅の追憶」は予定とおり上映します。
2月21日(木)18時から「メカスさんを語る」をあらためて開催します。
会場:ときの忘れもの二階図書室
講師:飯村昭子、木下哲夫、他
参加費:1,000円(皆さんのメッセージとともに香典として全額をNYのアンソロジー・フィルム・アーカイブスに送金します。 )

笹沼俊樹「プロフェッショナルの世界を見た」〜2

「プロフェッショナルの世界を見た」〜2

笹沼俊樹


前述のようなシャピロの作品制作に対する姿勢は、“版画”でも変わらない。
市場に出す版画作品は、制作した作品の中から、スタジオ内で吟味を重ねて選択する。さらに、選択された作品は、画面を木目細かくチェックし、「気に入らない部分」をつぶしてゆく。極めて繊細で、かつ、システマティックな作業を行う。従って、市場に出す種類は少なくなる。その現場が〔資料3〕。巨大なスタジオの2階の壁面のほんの一部の光景である。壁面に止められている5枚の版画、すべて試刷りのものである。2週間程このように展示し、それらを微細にチェックする。

資料3  〔資料3〕ジョエル・シャピロのニューヨークスタジオの2階の一部

1階での立体作品制作の合間に、又1階での作業終了のあとに、ここに来て、これらの作品と対峙する。「円の配置はこれでよいか?」「円の大きさは、他円とのバランスでどうか?」「色彩はこれで良いか?」多様な面から作品をつめてゆく。時折、試刷りの上に、異なったサイズや色彩で描いた「図形」の紙片がコラージュされている。調整があったのだ。このような過程が終了すると、最終の刷りに向う。

資料4  〔資料4〕シャピロの木版画の版木。
  (レズリー・ミラーの工房で撮影)


ジョエル・シャピロ木版画  〔資料5〕untitled 13
  1988
  木版画
  sheet: 47 x 99.2 cm
  Ed.32



〔資料4〕は版木である。〔25×15〕僂阿蕕い離屮蹈奪が多い。これらは、多種の木から作られている。例えば、マホガニー、桜、クルミ……。
シャピロがつぶやいていた。「木の種類が異なる版木は、絵具の吸収力の違いで、同じ色を塗っても、版画紙の上で同色は出ない。又、ある場合は、木目を利用するケースもあるので、作品の特性で版木を使い分けている」
例えば、〔資料5〕であると、青の部分は桜の版木〔木目がめだたず、かつ絵具の吸収力も弱い点を利用〕黒の部分〔2か所〕はマボガニー〔木の目が非常に美しい〕。この作品に関しては、3つの図形で成り立っているので3枚の版木を使用している〔1枚に1つの図形を彫り込む〕。最もデリケート〔シャピロの感性を感じさせる部分〕なのは、〔資料5〕のケースであると、3つの図形の接合点での図形の斜度。この部分こそ、〔資料3〕で、最も念入りに行う部分だ。従って、刷りの作業も緻密さが重要になってくる。
このような面を勘案して、刷り師は非常に神経こまやかな知的な若い女性〔レズリー・ミラー〕を選んだ。
彼女は良家の子女〔父親は世界でトップクラスの米国のシンクタンクのCEO〕で、育ちの良さか、素直で、まじめ、又ねばり強い人との印象をうけた。自から望んでこの世界に入ってきたようだ。
シャピロらしく、“刷り師”も作品の性格にあった人を選択している。シルクスクリーン、リトグラフ、リノカット、アクアチント、ポショアールなどの版画技法を利用するが、それぞれに刷り師は異なり、自分の作品にあったスペシャリストを選んでいる。
〔資料5〕は木版画の中で、秀逸な作品だ。ニューヨーク近代美術館でも、これを購入している。又、この作品に関しては、発売して、2、3日で完売してしまった。
シャピロにとって、版画の位置づけは、市場での人気が強いドローイングや立体作品へのアイディアを供給する一つの手段にもなっている。それ故か、特徴の異なるシルクスクリーン、リトグラフ、リノカット、アクアチント、ポショアールと多様な媒体を利用している。
例えば、〔資料5〕は色彩をかえて、ドローイング作品にもなっている。1988年3月、ポーラ・クーパー画廊で開かれた彼の個展注2に出品された。この個展は、ドローイングだけのもので、ニューヨーク・タイムスは1ページを使い絶賛の記事を書き、他の新聞にも大きく取りあげられ市場で話題になった。総点数23点の展示だったが、オープン初日で即日完売だった。版画においてもしかり、あらゆるものをテコにしながら、自分の作品に広がりを求めてゆく。いかにも、シャピロらしい動きだ。

▪  ▪

主観にのめり込むのも程々にして、時には「第三者的な眼で、冷静に、ジョエル・シャピロを見てみるのも必要じゃないか……」こんな事を考えていた時、「類は友を呼ぶ」という諺が頭をかすめた。非常に深みのある言葉だ。
「シャピロのコレクターはどのような人達なのか?」これを、つぶさに見てみると、シャピロの見えなかったものがあぶり出せるのではないか……。彼の作品を所有するコレクターは彼にとって、友人のようなもの。
早速、自分のデータ・ファイルの資料を調べると、出てきた。1980年代後半に、ポーラ・クーパー画廊でもらったシャピロのコレクター・リスト〔1980年代前半までのコレクターを列挙したもの。極秘のリスト〕である。
まだ、シャピロの位置づけがシッカリと根づいてない時期のコレクター・リストだ。当然、人気の沸騰現象も全く発生してない頃である。従って、リストには純粋に彼の作品を好むコレクターが大半を占めていた。世界の多様な地域のシャピロ・コレクターが60名リスト・アップされている。
特殊なコレクション・コンセプトを持ったイタリヤのコレクター、ジュゼッペ・パンザ・ディ・ビウモ伯爵〔博士〕、コレクション作品の全集まで出版されている、バリー・ローウェン〔米〕……。
変わり種は、辛口の有力評論家、ロベルタ・スミスが彼のコレクターとして加わっていたのには、驚いた。
文化人にも広がっていた。アメリカの舞台俳優として有名なアイヴィ・シャピロ。シンガーソングライターで、1950年代後半の大ヒット曲<ダイアナ>を歌ったポール・アンカ。現代美術作家では、エリザベス・マレー、アレックス・カッツ、ジャスパー・ジョーンズ……。
列挙されている人の中に、トリッキーなコレクターや流行りものを追うようなコレクターは全くいなかった。この中で、やや、門外漢のように思えるポール・アンカ。ポーラ・クーパーは、「シャピロの作品を初期から買っていて、10点以上コレクションしているわ……、すごく眼の良い人。知的で大人よ」とつぶやいていたのが印象的だった。
より具体的にコレクターを見るため、ジュゼッペ・パンザ・ディ・ビュモをとりあげると……。
彼はイタリヤのミラノ在住。特異なコレクション・コンセプトをもっている。北イタリヤのヴァレーゼの近郊に所有している18世紀に建てられた別荘と現代美術。即ち、歴史的建造物と現代美術作品によって造り出される環境空間への強い関心である。従って、“光とスペース”の可能性を追求するアーティストの作品に関心をよせた。これに合致した作品をコレクションし、その建物内に、それらを設置し、連関を探求している。
どのような作家をそのために選んだか……。ダン・フレイヴィン、ブルース・ナウマン、ドナルド・ジャッド、ソル・ルウィット、ジョエル・シャピロ、リチャード・セラ、リチャード・ノナス、ジョセフ・コスース。
選択をした作家達の共通点は、「強烈な理論を持って作品を制作している」点だ。
このような事象を見ていると、シャピロの隠れた特色がなんとなくあぶり出されてくる。
ビュモの眼は“鋭敏”だったようだ。彼が1956年から‘63年にかけて集めたアメリカの現代美術作家7人、ヨーロッパ2人の作品80点は重要な作品が多く、ロスアンジェルス現代美術館のパーマネント・コレクションの核になった。
リストを見ていて、もうひとつ気になったことがあった。世界で、「目筋が非常に良いと、当時言われていた超一流の画商」が何人も名を連ねていた。おそらく、「10年、20年先を読んだ、先物買い」ではないか……。
アニア・ノセイ、マイアニイ・ジョンソンまで名を連ねていた。シャピロの作品を見て、潜在力や将来性を汲み取ってこのような行動に出たのでは……。多様なことがあぶり出されるものだ。


注2 1988年3月3日〜31日の間、ポーラ・クーパー画廊で開かれたジョエル・シャピロ展。大きな4つの展示室を全部使って、ドローイングのみで23点を展示。
この個展で、東洋美術コレクションで世界的な評価をとるクリーブランド美術館(米)、オランダのアムステルダムにある超一流美術館ステデリック美術館、アメリカ美術の殿堂ホイットニー美術館、ニューヨーク近代美術館、オハイオ州にあるトレド美術館の5館が作品を購入した。
一個展で5館もの超一流美術館が作品を購入した例はあまり耳にしない。ニューヨーク近代美術館の購入した作品は(223.5×152.7)僂梁膾遒世辰拭

ささぬま としき

●今日のお勧め作品はジョエル・シャピロです。
ジョエル・シャピロ 13ジョエル・シャピロ
"Untitled 13"
1988
和紙に木版画/Woodblock printon Japanese paper
Image size: 24.0×68.0cm Sheet size: 37.0×99.0cm
Ed.32  Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れものは第308回企画◆ジョエル・シャピロ展 を開催しています。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。
2月3日ブログに出品作品の概要を掲載しました。
シャピロ展DM画像大
1941年生まれのジョエル・シャピロはアメリカを代表する彫刻家。
単純な長方形で構成された巨大な彫刻が特徴で、国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置収蔵されています。
彫刻と異なる繊細なドローイングとともに特徴の異なる版画(シルクスクリーン、リトグラフ、リノカット、アクアチント、ポショアールなど)も制作しています。
日本ではかつてギャルリームカイで紹介の展覧会がありましたが、近年は展観の機会があまりありません。本展では、1979-80年にかけて制作した初期リトグラフや、1988年にマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画をご覧いただきます。


●1月23日に亡くなったメカスさんを偲ぶジョナス・メカス上映会(DVD)は本日が最終日です。
本日2月9日17時からのトークイベント「メカスさんを語る」は雪のため、中止(延期)します。
15時からの「リトアニアへの旅の追憶」は予定とおり上映します。
2月21日(木)18時から「メカスさんを語る」をあらためて開催します。
会場:ときの忘れもの二階図書室
講師:飯村昭子、木下哲夫、他
参加費:1,000円(皆さんのメッセージとともに香典として全額をNYのアンソロジー・フィルム・アーカイブスに送金します。 )
ブログの追悼記事をお読みください。
2月6日 井戸沼紀美「メカスさんに会った時のこと」
2月4日 植田実『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』
2月2日 初めてのカタログ
1月28日 木下哲夫さんとメカスさん
1月25日 追悼 ジョナス・メカス上映会2月5日[火]―2月9日[土]
2005年10月メカス
会期:2019年2月5日[火]―2月9日[土]
代表作「リトアニアへの旅の追憶」は毎日上映するほか、「ショート・フィルム・ワークス」、「営倉」、「ロスト・ロスト・ロスト」、「ウォルデン」の4本を日替わりで上映します。
上映時間他、詳しくはホームページをご覧ください。

●上映会の会期中、メカスさんの著書を特別頒布します。
『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』表紙ジョナス・メカス ノート、対話、映画
著者:ジョナス・メカス
訳:木下哲夫、編:森國次郎
A5判 336ページ
せりか書房
価格:4,700円
1949年、肌寒いニューヨーク港に難民として降り立ったジョナス・メカス。入手したボレックスでニューヨークを、友人たちを、自らを撮り続けてきたメカスが語る、リトアニアへの想い、日記映画とニューヨークのアヴァンギャルド、フィルム・アーカイヴスの誕生…「ここに集められた文章は、どれも思い出であり、わたしの人生の一部である」。
主要作品のメカス自身による解説とコメンタリーを収録。

メカスどこにもないところからの手紙どこにもないところからの手紙
著者:ジョナス・メカス
訳:村田郁夫
19.5×12.8cm 199ページ
書肆山田
価格:2,500円


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

笹沼俊樹「プロフェッショナルの世界を見た」〜1

「プロフェッショナルの世界を見た」〜1

笹沼俊樹


いつものように、ニューヨークのホイットニー美術館で、「何か良い作品はないか……」と、一般展示をジックリと見ていた時、妙にひかれた作品と出会った。ジョエル・シャピロ〔JOEL Shapiro:1941〜〕が1978年に制作した“真っ赤”な変形六角形の立体の小品〔縦11.4×横14.6×厚さ8.3〕僉併駑腺院砲世辰拭

改資料1  (資料1)JOEL SHAPIRO
  UNTITLED, 1978
  CASEIN ON WOOD
  11.4×14.6×8.3


帰りに、ポーラ・クーパー画廊〔当時のシャピロの契約画廊〕に寄り同時代の類似作品を見たが、気に入ったものはなかった。
翌週の土曜日、シャピロのスタジオ訪問。幸い彼はスタジオにいた。
「ホイットニーで、赤い1978年の立体の小品見ましたよ。あれ、いい作品ですね。その足でポーラ・クーパーに行き、同時代のもの4点見ましたよ。好みのものではなかったのです。あの種の作品、所有なさってませんか……?」
すぐ反応した。「探してみるよ。1〜2点、コレクションとして持っているかも……」
1987年11月28日、彼に電話してみると、作品の所在をつきとめておいてくれた。急ぎ、彼のスタジオに向う。地階の倉庫で見せられたものは、プレインな形をした鮮やかなブル−〔シャピロ・ブルー〕の変形五角形の立体作品〔1979年制作:17.6×12.7×4.7僉諭併駑腺押法

資料2  (資料2)JOEL SHAPIRO
  UNTITLE
  1979年
  OIL ON WOOD
  17.6×12.7×4.7


見た途端、思わず出た言葉。「これはいい。好みの作品ですよ」
これを聞いたシャピロは、これと全く同形の真っ黒な作品を黙ってさし出した。「ズシリ」と重い。ブルーの木製の作品を原型にして、部材をかえ、鉄で抜いたものだ。
シャピロは納得のいった出来の良い作品はコピーをつくる事がよくある。「これだな」と即座に思った。2つの作品を交互に、凝視していると、シャピロがつぶやいた。「この時代注1の作品で、copyをつくった作品はこれだけ」と一言。少し間をおき、「2つの作品を見比べてみなさい」とつぶやく。
「形状、色彩、素材、それぞれの特性が絶妙なバランスを形成した時、この手の作品は生気を宿すのだ」ということに気づかされた。実物で教示したのだろう。確かに、この形状の作品は“黒”では、その魅力は出ない。又、“鉄”では、軽快なシャープ感が出ない。
アメリカ有数の名門、プリンストン大学で2年間教壇に立っただけあって、教示の仕方がうまい。
「それを譲りましょう。大切にしてください」何を思ったか……、「今、ポーラにある在庫の4点のどの作品より、質ははるかに上ですよ」とつけ加えた。

▪  ▪

コレクションに加える作品については、自分の注視度が異常に高まる。あつかましくも、この場で、シャピロに2つの要求をぶつけた。
作品の側面の木を貼り合わせた部分に多少の歪みが発生し、塗装部分に小さなクラック〔20伉のヒビ〕が出ている。又、塗装の一部に汚れた箇所があった。
「このクラック、補修していただけませんか……?、そして、汚れている部分が気になりますので、リペイントしていただけないでしょうか?」
この無理な要求のあとに、シャピロに発生した反応で、この作家の体質や作品制作の姿勢など、通常では見られない深い部分を垣間見ることになる。彼の虚をつくようなこの要求は意外な面に展開していった。
この要求に表情も変えず、彼は作品を手にとり、何を考えてか……、ヒズミの部分及び、その周辺を繁々と見つめ、「これを直せば、作品にダメージが出てしまう。しない方がよい」又、「リペイントはしない」とキッパリと断ってきた。
間違ったことを言っているのではないので、しばしの間、自分は無言のまま作品を凝視していると、シャピロは何を思ったか……、突飛なことを口にした。
「新たに、制作しなおすか……?」と独り言のようにつぶやいた。一呼吸おいて、妙なことをつけ加えた。
「それには、1978年でなく、1987年と年号を書き入れる」
これを聞いた時、「フッ」と思った。日本では、何十年も前の初期の作品と類似したイメージを今描き、平然と作品に初期の年号を入れる作家もいる。
シャピロは、厳密に自分の作品を管理していて、いいかげんな面が全くない人だと思った。この作品について、制作した8年前と、現在の感性の変化を十分に彼は自覚していたようだ。再制作すると、表層的には、同じ作品のように見えるが、本質的には、同じものではないと判断していたに違いない。
一方、口にした“再制作”について、なぜか……?、「やる」という言葉は出てこなかった。曖昧のまま立ち消えになった。
このあと、神経質な私の心を読んだのか……、「リペイントはしよう。時間はかかるよ」と短い一言が出た。“リペイント”はオリジナル性を損なう面が少ないと思ったのか……。
1987年12月5日、シャピロのスタジオに立ち寄った。
1階の作業机の上に、今回購入した‘79年の立体作品が置かれていた。それは青でなく、真白に塗られていた。眼に入って来た瞬間、「どうしたのか?」と思い、しばしの間凝視していると、彼が歩み寄って来て、
「今、塗り換えている最中。青の塗装をすべて剥離させ、下地にサンダーを掛け、その後白色の油彩を塗り、完全に乾燥させ、次に黄色の油彩を塗り、乾燥させた後、最後に青の油彩を塗るんだよ。だから、時間がかかるんだ」と丁寧に説明をした。「繊細な性格の人だ」と思った。
自分が考えていた“汚れた部分”だけの部分再塗装ではなく、作品全体を塗りなおしていたのだ。これにはビックリ。中途半端な男ではない。
そして、さらに、この作業を通して、シャピロ独得の色彩〔シャピロ・ブルー〕の特色ある“発色”を創出するため、見えない部分に工夫を重ねていることも分った。

▪  ▪

1988年3月25日。電話もせず、目的があるわけでもなく、フラリとシャピロのスタジオに立ち寄った。彼は外出していて留守だった。
1階の立体制作場で助手の加藤氏が作業をしていた。スタッフで唯一の日本人である。主に作品の木工を担当していた。
「久しぶりですね。エネルギッシュにやってますね」
「ええ、結構忙しくやってます。でも、ずいぶんお目にかかっておりませんでしたね。お元気で何よりです」
「彼に、何か新しい面出てますか……?」
「そろそろ、変化しそうですよ。注意しておかれたら良いですよ」
「具体的に、どんなこと?」
「現在の作品より、はるかに抽象化した立体をボチボチ試み始めていますよ。部材として、新しく、針金なども使い出しましたよ。今のものより、難解かも……」
良い情報を聞いたと思った。これからのシャピロの新しい動きが楽しみであると同時に、今迄のスタイルの作品〔世評やマスコミの評価は極めて高い〕が少なくなり、重要性がさらに増してくると思った。
今後、“これらの作品の価格動向”は十分、注目材料になってくる。
シャピロとの対話から得られる情報は“玄関口”で取れる情報だが、加藤氏から聞くものは、“台所”からの情報で、より深い、的を射る興味ある情報なのだ。画商からの情報とも異なり、極めて重要なものだ。
同国人との雑談は時の流れるのが速い。そろそろスタジオを出ようと思い始めた時、彼が意外なことを口走りだした。
「以前に買われたブルーの立体作品、シャピロに言われ、作品を採寸し、同質の木材で、リメイクをやったんですよ」
これには驚いた。聞いた時、一瞬、息を呑んだ。かなり前に、彼がなにげなくつぶやいた事で、立ち消えになったと思っていたことが、実行されていたのだ。彼の作品に対する執着のすごさを感じた。
「完成したリメイクの作品を渡すと、彼はオリジナルの作品〔リペイントしたもの〕とこれを壁面に掛け、一週間程、一人で、何回も比較して見てましたよ。そして、その後、シャピロは私に、『リメイクの作品は綺麗すぎる。オリジナル作品の“良さ”、そして “味”が消えてしまっている。やはり、彼には、リペイントしたオリジナル作品を与えることにするよ』と言ってましたよ」
私の驚いている表情を見てか、少し間をおいて、
「シャピロから、リメイクの作品を見せてもらいましたか?」
「いや、見せてくれませんでした。再制作した事さえ、全く、知らされてませんよ」
続けて、「あのリペイントは加藤さんがやってくれたの……?」
「いや、リペイントは助手にやらせず、時間をかけて彼自身でやってましたよ」
これも驚き!これほどに高名な作家〔世界の現代美術史の中で、1970年代の作家を代表する一人〕が、人の眼の届かないところで、妥協なく自分の作品に責任をもって出来うる限りのことをしている。
何人もの助手がいるのに……。おそらく、前述の“歪み部分”への何らかの対応もしたのだろう。
「これぞ、プロフェッショナル」と思った。と同時に、シャピロは信頼のできる人であることを、シッカリと、確認をした。“台所からの情報”には、切れ味を感じた。
シャピロとの1回、1回の出来事の中での体験は、後のコレクション行為に多大な影響を与え、又、商社マンとして、ビジネスに於ての思考にも影響を与えていった。趣味での体験も馬鹿にできないものがある。
なお、この作品は、2010年8月14日〜10月17日、2010年12月25日〜2011年2月13日、2017年11月4日〜2018年3月18日、これらの3回、東京国立近代美術館で展示された。


注1 この種の立体作品は2パターンがある。ひとつは、直線で構成された多面体を組み合わせて制作された立体作品。これは1978〜1979年の2年間に限って制作された。記述した2例はこのパターンに属する。もう一種は、曲線をとり入れた同様な立体作品。これの大部分は1980年に制作された。
合計3年間しか制作されていないので、この種の作品は極めて少ない。
コレクターや美術館から特に好まれるのは前者のパターン。現在市場には皆無の状況。
このタイプに関してポール・アンカが非常に良い作品(1978年制作)をコレクションしている。

ささぬま としき

*画廊亭主敬白
美術界の一角に旋風を巻き起こし、毀誉褒貶さまざまな反応を呼んだ笹沼俊樹さんの連載が中断したのは2016年1月8日「現代美術コレクターの独り言 第21回」でした。「又、会う日まで」と書かれていたので、まあ一年もしたら再開してくださるだろうと思っていたのですが、待てど暮らせど原稿は来ない、さすがに3年の空白はファンとしては辛い。そこで亭主は考えた。珍しく沈思黙考、熟慮の末に考え出したのは(陰謀ですな)、笹沼さんが書かざるを得ない状況に追い込む以外にない! ということでした。第1回からお読みの方は笹沼さんの好みはよくお分かりでしょう。竹橋の東京国立近代美術館にはレアな笹沼コレクションが寄託されています。という次第で駒込で「ジョエル・シャピロ展」を開くことになりました。笹沼さん、渾身のエッセイを今日と明日の二回にわけて掲載します。ぜひご愛読ください。

●今日のお勧め作品はジョエル・シャピロです。
ジョエル・シャピロ 8ジョエル・シャピロ
"Untitled (Green)"
1980
リトグラフ/Lithograph on Arches Cover printed in green from an aluminum plate
Image size: 28.3×48.5cm
Sheet size: 55.8×75.5cm
Ed.30  Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆ときの忘れものは本日より第308回企画◆ジョエル・シャピロ展 を開催します。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。
2月3日ブログに出品作品の概要を掲載しました。
シャピロ展DM画像大
1941年生まれのジョエル・シャピロはアメリカを代表する彫刻家。
単純な長方形で構成された巨大な彫刻が特徴で、国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置収蔵されています。
彫刻と異なる繊細なドローイングとともに特徴の異なる版画(シルクスクリーン、リトグラフ、リノカット、アクアチント、ポショアールなど)も制作しています。
日本ではかつてギャルリームカイで紹介の展覧会がありましたが、近年は展観の機会があまりありません。本展では、1979-80年にかけて制作した初期リトグラフや、1988年にマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画をご覧いただきます。


●1月23日に亡くなったメカスさんを偲ぶジョナス・メカス上映会(DVD)は今日と明日の二日間で終了です。
ブログの追悼記事をお読みください。
2月6日 井戸沼紀美「メカスさんに会った時のこと」
2月4日 植田実『メカスの映画日記 ニュー・アメリカン・シネマの起源1959―1971』
2月2日 初めてのカタログ
1月28日 木下哲夫さんとメカスさん
1月25日 追悼 ジョナス・メカス上映会2月5日[火]―2月9日[土]
2005年10月メカス
会期:2019年2月5日[火]―2月9日[土]
代表作「リトアニアへの旅の追憶」は毎日上映するほか、「ショート・フィルム・ワークス」、「営倉」、「ロスト・ロスト・ロスト」、「ウォルデン」の4本を日替わりで上映します。
上映時間他、詳しくはホームページをご覧ください。
明日2月9日夜のトーク「メカスさんを語る」(ゲスト:飯村昭子さん、木下哲夫さん)は既に満席となり受付を終了しました。

●上映会の会期中、メカスさんの著書を特別頒布します。
『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』表紙ジョナス・メカス ノート、対話、映画
著者:ジョナス・メカス
訳:木下哲夫、編:森國次郎
A5判 336ページ
せりか書房
価格:4,700円
1949年、肌寒いニューヨーク港に難民として降り立ったジョナス・メカス。入手したボレックスでニューヨークを、友人たちを、自らを撮り続けてきたメカスが語る、リトアニアへの想い、日記映画とニューヨークのアヴァンギャルド、フィルム・アーカイヴスの誕生…「ここに集められた文章は、どれも思い出であり、わたしの人生の一部である」。
主要作品のメカス自身による解説とコメンタリーを収録。

メカスどこにもないところからの手紙どこにもないところからの手紙
著者:ジョナス・メカス
訳:村田郁夫
19.5×12.8cm 199ページ
書肆山田
価格:2,500円


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

ジョエル・シャピロ展 2月8日(金)〜2月23日(土)

今週2月8日(金)から2月23日(土)までときの忘れものでは、「ジョエル・シャピロ展」を開催いたします。
誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきますので、ご注意ください。
ジョエル・シャピロはアメリカを代表する作家にもかかわらず、かつてギャルリームカイでの個展で紹介されたものの、近年は展示の機会があまりありませんでした。今回はそんな重要な作家の魅力を改めてお伝えする場になればと企画いたしました。

portraitジョエル・シャピロ(b.1941)
1941年にニューヨーク市に生まれる。1964年ニューヨーク大学を卒業、文学学士資格を得る。1969年同大学文学修士資格を得る。1969年以降、アメリカ及びヨーロッパ各地で盛んに個展やグループ展で作品を発表。1974年〜76年プリンストン大学客員講師勤務。1975年ナショナル エンドウメント基金を受ける。1977年スクール オブ ヴィジュアル アーツで教える。ニューヨーク在住。
単純な長方形で構成された彫刻は、国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)やDIC川村記念美術館などに設置収蔵されている。


CIMG7244
博多の西日本シティ銀行のジョエル・シャピロの彫刻。

今回の展覧会開催にあたり現代美術のコレクターである笹沼俊樹さんにシャピロ本人との交流を交えた大変貴重なエッセイを書いていただきました。
今週2019年2月8日(金)と翌2月9日(土)の連続二回で掲載いたします。
笹沼さんには笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」 を連載していただいていましたが、久しぶりのエッセイ復活です。ご期待ください。

以下、出品作品の画像とデータです。

ジョエル・シャピロ 11
"Untitled"
1979
リトグラフ/Lithograph on Rolled Arches Cover 320gm. printed in black from an aluminum plate
Image size: 98.0×75.5cm
Sheet size: 113.8×88.0cm
Ed.30
Signed

ジョエル・シャピロ 22
"Untitled"
1979
リトグラフ/Lithograph on Rolled Arches Cover 320gm. printed in black from an aluminum plate
Image size: 81.2×94.5cm
Sheet size: 93.5×109.8cm
Ed.40
Signed

ジョエル・シャピロ 33
"Untitled"
1979
リトグラフ/Lithograph on Rolled Arches Cover 320gm. printed in black from an aluminum plate
Image size: 35.5×48.5cm
Sheet size: 93.5×107.5cm
Ed.30  Signed

ジョエル・シャピロ 44
"Untitled"
1979
リトグラフ/Lithograph on Rolled Arches Cover 320gm. printed in black from an aluminum plate
Image size: 81.0×94.7cm
Sheet size: 95.0×107.5cm
Ed.30  Signed

ジョエル・シャピロ 55
"Untitled"
1979
リトグラフ/Lithograph on Arches Cover printed in black from an aluminum plate
Image size: 39.0×53.0cm
Sheet size: 91.5×75.2cm
Ed.40  Signed

ジョエル・シャピロ 66
"Untitled"
1980
リトグラフ/Two-color lithograph on Arches Cover printed in naples yellow and silverblack from two aluminum plates
Image size: 33.3×33.3cm
Sheet size: 57.0×76.3cm
Ed.36  Signed

ジョエル・シャピロ 77
"Untitled"
1980
リトグラフ/Lithograph on Arches Cover printed in blue / black from an aluminum plate
Image size: 32.8×52.5cm
Sheet size: 55.8×75.6cm
Ed.30  Signed

ジョエル・シャピロ 88
"Untitled (Green)"
1980
リトグラフ/Lithograph on Arches Cover printed in green from an aluminum plate
Image size: 28.3×48.5cm
Sheet size: 55.8×75.5cm
Ed.30  Signed

ジョエル・シャピロ 99
"Untitled (Black)"
1980
リトグラフ/Lithograph on Arches Cover printed in black from an aluminum plate
Image size: 32.2×32.1cm
Sheet size: 55.7×75.5cm
Ed.30  Signed

ジョエル・シャピロ 1010
"Untitled (Double Red)"
1980
リトグラフ/Two-color lithograph on Arches Cover printed in red and black from two aluminum plates
Image size: 41.0×86.0cm
Sheet size: 75.0×105.0cm
Ed.40  Signed

ジョエル・シャピロ 1111
"Untitled (Double Green)"
1980
リトグラフ/Two-color lithograph on Arches Cover printed in green and black from two aluminum plates
Image size: 35.0×100.0cm
Sheet size: 74.7×105.0cm
Ed.40  Signed

ジョエル・シャピロ 1212
"Untitled (Double Purple)"
1980
リトグラフ/Two-color lithograph on Arches Cover printed in purple and black from two aluminum plates
Image size: 35.0×102.5cm
Sheet size: 75.0×105.0cm
Ed.40  Signed

ジョエル・シャピロ 1313
"Untitled 13"
1988
和紙に木版画/Woodblock printon Japanese paper
Image size: 24.0×68.0cm
Sheet size: 37.0×99.0cm
Ed.32  Signed

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

●1月23日に亡くなったメカスさんを偲びジョナス・メカス上映会(DVD)を開催します。
2005年10月メカス
会期:2019年2月5日[火]―2月9日[土]
代表作「リトアニアへの旅の追憶」は毎日上映するほか、「ショート・フィルム・ワークス」、「営倉」、「ロスト・ロスト・ロスト」、「ウォルデン」の4本を日替わりで上映します。
上映時間他、詳しくはホームページをご覧ください。
2月9日夜のトーク「メカスさんを語る」(ゲスト:飯村昭子さん、木下哲夫さん)は既に満席となり受付を終了しました。


◆ときの忘れものは第308回企画◆ジョエル・シャピロ展 を開催します。
会期:2019年2月8日[金]―2月23日[土] 11:00-19:00 ※日・月・祝日休廊
※誠に勝手ながら2月19日(火)の営業時間は17時までとさせていただきます。
シャピロ展DM画像大
1941年生まれのジョエル・シャピロはアメリカを代表する彫刻家。
単純な長方形で構成された彫刻が国内では博多駅前の西日本シティ銀行(磯崎新設計)や川村記念美術館などに設置収蔵されています。日本ではかつてギャルリームカイで個展がありましたが、近年は展観の機会があまりありません。
本展では、1979-80年にかけて制作した初期リトグラフや、1988年にマホガニー、桜、クルミなどの多種の木を組合せて制作した木版画をご覧いただきます。


◆ときの忘れものは3月27日〜31日に開催されるアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

「松澤宥 概念芸術以前 2」「美学校の記憶」1月29日〜2月3日

「松澤宥 概念芸術以前 2」
(企画 長沼宏昌 協力 一般財団法人 松澤宥プサイの部屋)
「美学校の記憶 成田秀彦」1月29日〜2月3日

会期:2019年1月29日(火)〜2月3日(日) 12:00〜19:00(2/3は〜16:00)
場所:Roonee 247 fine arts(ルーニィ・247 ファインアーツ)Room2
   東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビル4階

プサイの部屋ー消滅 長沼宏昌」
20190116154424_0000120190116154424_00002

「美学校の記憶 成田秀彦」
20190116153249_0000320190116153249_00004


私どもの長年のお客様である成田秀彦さんと、今までは面識のなかった写真家の長沼宏昌さんから同時に松澤宥に関連する展覧会のご案内をいただきました。
展覧会は既に29日から始まっており、長沼宏昌さんからはエッセイを寄稿していただきました。

初心者である私はもちろん、「松澤宥」を知らない方にとってはやや難解な文章です。
そこで今回のこの展示を実際に見聞きしてきた私、新米スタッフIがまず前座として展覧会の構成と概略をお伝えします。
会場構成について。
会場が2つに分かれています。Room 1個展『プサイの部屋ー消滅』は映像インスタレーションとしての展示です。
・プサイの部屋の映像(12分)
・松澤宥と諏訪(松澤作品の原点となる諏訪信仰関連の映像など 22分)
・過去のプサイの部屋(スライドショー)
”長野下諏訪にあるプサイの部屋は松澤宥のアトリエとして使われていた部屋で、概念芸術の生まれた場所でもあります。 概念芸術の創始以降はオブジェの集積する場所として残されました。松澤宥の脳内宇宙でもあったプサイの部屋は耐震など諸処の事情により現在は消滅しています。 在りし日のその姿をインスタレーションとして展示します。”(FacebookのHiromasa Naganumaイベントページより)


DSC07775+DSC07778+


Room2『「美学校の記憶」成田秀彦』は写真がメインの展示です。
”1969年に出版社「現代思潮社」によって創立された美学校、
現代アートから音楽など様々な分野で活躍するアーティストを輩出しています。
美学校の写真工房で講師をしていた成田秀彦による写真記憶を展示
松澤宥/最終美術思考
赤瀬川原平/絵・文字
映画技作/鈴木清順・筧正典・木村威夫・大和屋竺・鈴木岬一など”(FacebookのHiromasa Naganumaイベントページより)

当時、最終美術思考工房にいたころの松澤宥さんの写真もあります。

DSC07759+DSC07760+DSC07761+DSC07762+DSC07763+DSC07764+DSC07765+DSC07767+


そして、Roomとは別の部屋の壁、recomend wall には「松澤宥 概念芸術以前2」 として松澤宥さんの作品が並んでいます。ドーナツのように真ん中を切り抜かれた作品もありました。
DSC07749+DSC07750+DSC07752+(写真は全て長沼宏昌さんより提供を受けました)

日本の概念芸術のパイオニア的存在の松澤宥は「モノ」によって意味が限定されない概念を表現しようと試みたようです。概念は形もなく実際に物質として存在しません。

例えばドーナツには穴が開いています。
その穴も含めてドーナツであると認識している人が多いのではないでしょうか。
しかし実際穴は単なる空洞であってドーナツではありません。
とはいえ穴がなければドーナツとは言い難い。

ないもの(ドーナツの穴)を示すために作品(ドーナツ本体)を制作して存在しないものを表現する、つまりこれが概念芸術であり、見えない部分としての作家の意図や、鑑賞者の感じた事、イマジネーションが重要になってきます。
松澤宥さんの作品は肝心な部分が切り取られていたりしました。
それは目にみえない、人間の感じることのできないものを表現しようと探して辿りついた表現方法、消去ということなのでしょう。

この例えやおおざっぱな解説は本展示の企画をされた長沼宏昌さんにお話を伺って(教えを乞うて)得たものです。
もっと深く知るためにも以下の長沼さんの文章を是非お読みください。そしてご興味を持たれた方は
公式ホームページ「一般財団法人 松澤宥プサイの部屋」の特に「パープルームギャラリー Parplume Gallery」もご覧ください。
長沼さん、どうもありがとうございました。



「松澤宥 概念芸術以前 2」
(企画:長沼宏昌 協力:一般財団法人 松澤宥プサイの部屋)


松澤宥 概念芸術以前の作品展示

長沼宏昌(文)


1964(S39) 6月1日「オブジェを消せ」という啓示を受けて、6月4日観念美術を創始。

現在、松澤さんの晩年のパフォーマンスを撮影させていただいた縁で松澤さんのアーカイブ作りをお手伝いさせていただいています。
その中で湧き上がった疑問点は、なぜ松澤さんが最初に概念芸術を始めるに至ったのか、ということです。最初に道を切り開くハードルの高さをなぜ超えられたのか?
松澤さんの過去の作品や学生時代からの膨大な資料を見たり、色々な人に説明しているうちに、自分なりの気づきがありました。

学生時代から始め概念芸術に至る沢山のコラージュ作品があります。
松澤作品のコラージュの特徴として一つ言えるのは、コラージュとして使う印刷物などの主要モチーフを、紙で隠したり、主要部分を切り抜き「空白」として使っていることがあげられます。
プサイの部屋にも空白のコラージュが多数あります。

そこからの気づきとして、それは概念を考える時の構成要素として、
概念   内包:同じ要素を持つもの
     外縁:違う要素を持つもの
という二つに分けて考えることができます。

ドーナツという概念で例えると、
ドーナツは小麦粉を油で揚げて砂糖をまぶした甘いお菓子で中心に穴が空いている。
それではカロリーが高い悪魔の囁きのような、餡ドーナツは、穴が空いてないじゃないか?
ミートドーナツはどうなんだ、甘くもないし、穴も開いていない?
最近はカロリー低めでさっぱりしたスイーツが好まれ、焼きドーナツというのも見かけます。
このようにドーナツの内包:同じ要素を持つもの、が出来上がります。

沖縄のサーターアンダギーや給食で出た揚げパン、カレーパンは通常ドーナツとは言わないけれど、外国から来た人に説明する時には、ドーナツという言葉の方が通じるのでは?

ドーナツのような形状で焼き上げたパン、
ベーグルはベーグルでありベーグル以外の何物でもない、というベーグル原理主義があります。
さらに数学者が出て来て「トーラス構造というドーナツの形は、ドーナツやベーグルに欠かせないコーヒーのカップと同じ構造を持つ」というわけのわからない人まで出て来たりします。

このように 外縁:違う要素を持つもの、によって決して食べられないドーナツの穴のようなドーナツという概念ができます。

概念や言葉を考える時には、同じ要素を持つもの、だけを集めたものが概念や言葉である、と考えがちですが、
外縁:違う要素を持つもの、 に囲まれた 内側部分:内包、という考え方もできます。

松澤作品は「外縁」を示すことで「概念」を示す作品なので、初めてオブジェ(物質)を消すことができました。
松澤作品は言葉という美術の外縁を使い「虚の美術」を表現できたと言えます。

そこに至る道筋は、早稲田大学で建築を学んで、数学教師でもあった、という経歴がなければ、
その飛躍はできなかったでしょう。

数学的には何もない状態を、空集合と言います。
何もない集合が一つあるというのがゼロ0です。
何もないものが一つあるということで1ができます。
もう一つあれば2になります、そのようにして自然数が定義できます。
そして整数、有理数、無理数、複素数、、、という概念に概念を積み上げてできたものが現代の数学で、現実世界のものを数えるという近代以前の数学とは全く違うものとなっています。

そして「無」と「空」は仏教でも重要な概念でもあります。
その中で「虚空間探知センター」のように「虚の世界」を表すにはどうしたら出来るのか?
ということを松澤さん自身は考えていたのでしょう。

i (√−1)というものは存在しないと考えられていたので、想像上の数 imaginary number 虚数と名付けられ、今は複素数という呼び方をされています。
最近、三角関数は(自分では)使ったことがないから役に立たない、などと乱暴なことをいう人も多いのですが、実際は毎日欠かさず使っている商用電源、パソコン、スマホなど三角関数以上の高等数学がなければ実現できませんし、三角関数を知らない人でも使えるようにはなりません。現在では、虚数的なものや高次元の世界は存在している、ただし人間の五覚で感じられない世界として、と考えられています。

実はアートの世界も同じようなことが言えるのではないでしょうか?
多くの作品は目の前にある物質で観たり触ったりでき、現実世界に物質として存在しています。
しかしその作品が表している内容、概念、コンセプトといわれるものは、そこにはありません。
「美しい花がある、花の美しさというものは無い」(美術評論家 小林秀雄)
「私はイマジネーションを信じている。見えないものは、見えるものより重要だ」(写真家ドゥェイン・マイケルズ)という言葉が示すように、たとえ物質で作られた作品であったとしても、作者や作品が指示しているものは、この世界にないものです。
オブジェを消すことは、目的なのか? 手段なのか? 言葉にした途端、オブジェを消すことが自己目的化します。
虚空間から人の心の洞窟の壁に映し出された影こそが、本当の作品なのでしょう。

ドーナツの穴の味を観想せよ、、、、、

(概念芸術以前 2 展示企画・ながぬま・ひろまさ

長沼宏昌 Hiromasa NAGANUMA
写真家、2000年頃より晩年まで、松澤宥のパフォーマンスの写真を撮影。

松澤宥 Yutaka MATSUZAWA
1922年 2月 2日、長野県諏訪郡下諏訪町生、早稲田大学理工学部建築科卒。
40年代より詩作し、現代詩同人を組織。詩作から美術に転じ。
1952年、美術文化協会会員となる。
1955年よりフルブライト交換教授として2年間滞米、
1964年6月1日「オブジェを消せ」という啓示を受けて、6月4日美術を言葉だけで表現する観念芸術を創始。以後内外の美術展などで「人類の消滅」を警告する展示、パフォーマンスを行う。
また1971年「ニルヴァーナ」展(京都市美術館)、「世界蜂起」など、展覧会、メールアートを企画した。また1971年より東京の美学校で「最終美術思考」工房を主宰。
1976年ベニスビエンナーレ、1977年サンパウロビエンナーレに招待される。
1990年代より「量子芸術論」をテーマに制作を続けたが2006年逝去。
生涯諏訪を拠点とした。

一般財団法人 松澤宥プサイ(ψ)の部屋
--------------------------------------------
●今日のお勧め作品は、六角鬼丈です。
03六角鬼丈 Kijo ROKKAKU
「奇想流転(奇合建築)」
2017  
シルクスクリーン
Image size: 41.5x69.0cm
Sheet size: 56.0x75.0cm
Ed.15 Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


ときの忘れものは新春の特集展示:生きものたち〜宮脇愛子、嶋田しづ、谷口靖、永井桃子を開催しています。
会期:2019年1月29日(火)〜2月2日(土) 11:00-19:00※日・月・祝日休廊
小さい魔方陣
画廊コレクションから、世代もキャリアも異なる4人の作家の生命力あふれる作品を展示いたします。ぜひご高覧ください。
出品作家:宮脇愛子嶋田しづ、谷口靖、永井桃子


「第27回瑛九展 」は1月26日に終了しましたが、3月末のアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

ジョナス・メカスさんが1月23日亡くなられました。
2005年10月メカス追悼の心をこめてジョナス・メカス上映会を開催します。
会期:2019年2月5日[火]―2月9日[土]
代表作「リトアニアへの旅の追憶」は毎日上映するほか、「ショート・フィルム・ワークス」、「営倉」、「ロスト・ロスト・ロスト」、「ウォルデン」の4本を日替わりで上映します。
上映時間他、詳しくはホームページをご覧ください。
2月9日17時よりのトーク「メカスさんを語る」(要予約、ゲスト:飯村昭子さん、木下哲夫さん)は既に満席となり受付を終了しました。


●東京神田神保町の文房堂ギャラリーで「版画のコア core2」展が開催されています(〜2月2日[土])、会期中無休)。ときの忘れものは日和崎尊夫を出品協力しています。

●ときの忘れもののブログは年中無休です。昨年ご寄稿いただいた方は全部で51人。年末12月30日のブログで全員をご紹介しました。

●2019年のときの忘れもののラインナップはまだ流動的ですが、昨2018年に開催した企画展、協力展覧会、建築ツアー、ギャラリーコンサートなどは年末12月31日のブログで回顧しました。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

「新春のコレクション展示:生きものたち〜宮脇愛子、嶋田しづ、谷口靖、永井桃子」1月29日(火)〜2月2日(土)

「新春の特集展示:生きものたち〜宮脇愛子、嶋田しづ、谷口靖、永井桃子」

会期:2019年1月29日(火)〜2月2日(土)
新魔方陣


2019年の企画第一弾は2015年5月以来の「第27回 瑛九展」でした。
開廊以来、毎年のようにシリーズ企画として「瑛九展」を開催してきましたが2年も空いてしまったのは初めてのことでした。
思わぬ展開から3月のアートバーゼル香港2019に生前、没後を通じて初めての瑛九の個展で出展することになり、昨秋日本各地を駆け巡り瑛九の代表作を集めました。その壮行展ともいうべき今回の「第27回 瑛九展」、おかげさまで皆さんに好評で、初めてのバーゼル香港へスタッフ一同意気が揚がっております。展示の余韻にひたるひまもなく、直ちに壁面から下ろし、船積みの準備に入ります。

さて、明後日29日から短い期間ですが、「新春の特集展示:生きものたち〜宮脇愛子、嶋田しづ、谷口靖、永井桃子」を開催します。
画廊コレクションから、世代もキャリアも異なる4人の作家の生命力あふれる作品を展示いたします。ぜひご高覧ください。

宮脇愛子 Miyawaki Aiko
宮脇愛子油彩 1959年宮脇愛子「Work」
1959年
油彩,大理石粉、ボード
24x33cm
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

宮脇愛子略歴:1929年東京生まれ。1952年日本女子大学文学部史学科卒業。阿部展也、斎藤義重に師事。1957-66年欧米各地に滞在し、制作活動を行なう。真鍮、石、ガラスを用いた立体作品のほか油彩や墨絵を制作。代表的な彫刻作品《うつろひ》は、モンジュイック・オリンピック広場(バルセロナ)、ラ・デファンス(パリ)、奈義町現代美術館など世界各地にコレクションされている。1998年神奈川県立近代美術館で回顧展、国内外で多数開催。晩年は車椅子での不自由な闘病生活にもかかわらず創作意欲は衰えず、油彩や ドローイングを制作し続けた。2014年8月20日84歳で永逝。


嶋田しづ Shimada Shidu
shimada03嶋田しづ《ラ・ヴィ・コティディエンヌb》
1995年
リトグラフ
Image size: 34.0×50.0cm
Frame size: 89.0×71.0cm
Ed.60
Signed
*1枚のシートに2作品あり
上)《輝く太陽のもとで》
下)《プロムナード》
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

嶋田しづ略歴:1923年樺太に生まれる。 1942年女子美術専門学校(現・女子美術大学)油彩科を卒業。早稲田大学では1945年まで文学部で東洋美術史を會津八一に師事する。 1958年から約20年間パリで制作を続け、自由な形態と豊かな色彩を用いた生命感あふれる作品を発表する。パリ滞在中に絵画・リトグラフ・エッチングの制作に励み、サロン・ド・メやサロン・ドートンヌ、コンパレイゾン、その他招待出品など、エコール・ド・パリや西欧画壇で活躍。1978年に帰国後は、湘南の海を眺望する神奈川県逗子市内にアトリエを構え、美術団体に属することなく個展を中心に作品を発表し現在も活躍を続けている。



谷口靖 Taniguchi Yasushi
谷口靖「雨過天青」谷口靖《雨過天青》
2018年
キャンバスにアクリル
60.8×50.3cm(F12号)
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

谷口靖略歴:1975年福岡県北九州市生まれ。1996年創形美術学校 版画科卒業。
個展 1996年 ギャラリー130 (八幡) 1999年、 2004年
    2008年 なびす画廊 (銀座) 2010年、2014年、2016年
    2011年 黒埼井筒屋(八幡) ~2018年まで毎年
グループ展 1995年 Electronic Cafe Tokyo『一夜展』(渋谷)、1996年 日本版画協会展(上野) 、2011年 国際インパクトアート・フェスティバル(京都)、2012年 Franchement Art (ニース) 、 2013年 国展 版画部門 入選(六本木)2014年、2015年、2014年 Spectrum Art Fair (マイアミ) 、2015年 Ward-Nasse Gallery (ニューヨーク)、なびす画廊 三人展『五月のおくりもの』、2017年 ジラソーレ(門司)『East Meets west』、2018年 ギャラリーあずま(銀座)『コレカラノヒトタチ』、Safety Harbor Museum (フロリダ)『East Meets West』、国展 絵画部門 入選(六本木)
●作家の言葉
地中海の島々やフロリダといった海辺の風景をイメージしつつ、柑橘類や葡萄などの果実や植物をモチーフに、私が心で感じた心象風景をアクリル絵の具を使って表現しています。背景などに使われたゴールドは光に応じて変化し、違った表情を楽しめます。旅の残像のような、ある種の豊かさを表現できればと思っています。


永井桃子 Nagai Momoko
nagai0505-004永井桃子
「光途 - 日の方向 3」
2005年
油彩・キャンバス
80.5×100.0cm(F40号)
Signed
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

永井桃子略歴:2000年女子美術大学大学院美術研究科美術専攻修了。
1992年東北電力「夢見る子供童話賞」絵本部門大賞受賞(絵本『ウサギの畑』出版/講談社)。1999、2000年シェル現代美術賞展、2001年トーキョーワンダーウォール展(ワンダーウォール賞)、2006年損保ジャパン美術財団選抜奨励展、2010年Korea International Art Fair 2010、Daegu Art Fair 2010(韓国 / ときの忘れものブース)、2017年「吾輩の猫展」(佐藤美術館)などに出品。
主な個展2000年スカイドアアートプレイス青山、2001,04,05,06年ときの忘れもの、2012,15年夢の庭画廊(上田市)など。 2014年より清里のカフェ、アン・グーテ・ア・ラ・カンパーニュに作品を常設展示。その他、絵本(私家版)『小瓶とカメ』、『どんぐり蝶』、『森のABC』などを制作。
●作家の言葉
油彩による絵画作品のほか、水彩や木版画の制作を行っています。作品制作の際に意識しているのは、感覚や、直接感情に訴えかけてくる絵の持つ存在感のようなものです。伝えたいことをモチーフなどによって説明する絵画ではなく、何か気になるというか、ひっかかるもの、解答は書かれていないけれども感じる、伝わる作品ができればと考えています。視覚に入ったときに作品に鑑賞者が無意識に語りかけてしまうような、存在感のある作品を描きたいと考えています。
異質なものを日常に持ち込むという側面もある絵。美術館では意識的に絵の持つ不思議な存在感と出会うことができますが、絵を自宅の壁に掛けるだけでも、部屋の空気は変わり、絵と生活することで、意識せずとも対話が繰り返されるのではないかと思います。動物を描いたものであれば目があうとか、表情を見て感情移入するなど分かりやすい形で関係性を持つかもしれません。絵を描きながら画家も作品と向き合いますが、作品は描かれながら作者自身にも常に語りかけています。作者にとってはこの過程が重要ですが、完成された後も手を離れるまでアトリエの壁に掛けられた作品との対話は続きます。
技法的な面では、何層も絵の具を重ね、時間をかけて完成させる油彩に対して、水彩や木版では線や面を生かした、より直感的な表現を行っています。特に版画では本という形式が重要なテーマで、ここ数年は木版画で挿絵を描き、私家版として数冊の絵本を作りました。絵画は置かれた空間を体験することを前提として描きますが、絵本はページごとに進んでいく小さな経験だと考えています。本には一つの完結した世界があり、その世界を作ることは絵の画面を構築してゆく作業とはまた別の喜びがあります。
絵本は場面によって変化する絵の連なりで、そこでは読者と物語の時間は曖昧に存在しますが、連続した絵という点で興味を持っているのがアニメーションで、こちらは作者が決めた時間の中で絵が進み、音楽と合わせることで視覚と聴覚の両方に働きかけられる表現手法の一つとして、今のところ公開はしていませんが様々な試作を行っています。
来年には美術館の広いスペースで個展をさせて頂くことになり、油彩の大きな作品なども出品予定ですので、ご覧いただけましたら幸いです。
〜〜〜〜〜〜
本日(27日)と明日(28日)は休廊です。

「第27回瑛九展 」は1月26日に終了しましたが、3月末のアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

ジョナス・メカスさんが1月23日亡くなられました。
2005年10月メカス追悼の心をこめてジョナス・メカス上映会を開催します。
会期:2019年2月5日[火]―2月9日[土]
代表作「リトアニアへの旅の追憶」は毎日上映するほか、「ショート・フィルム・ワークス」、「営倉」、「ロスト・ロスト・ロスト」、「ウォルデン」の4本を日替わりで上映します。
上映時間他、詳しくはホームページをご覧ください。
2月9日17時よりのトーク「メカスさんを語る」(要予約、ゲスト:飯村昭子さん、木下哲夫さん)は既に満席となり受付を終了しました。


●東京神田神保町の文房堂ギャラリーで「版画のコア core2」展が開催されています(〜2月2日[土])、会期中無休)。ときの忘れものは日和崎尊夫を出品協力しています。

●ときの忘れもののブログは年中無休です。昨年ご寄稿いただいた方は全部で51人。年末12月30日のブログで全員をご紹介しました。

●2019年のときの忘れもののラインナップはまだ流動的ですが、昨2018年に開催した企画展、協力展覧会、建築ツアー、ギャラリーコンサートなどは年末12月31日のブログで回顧しました。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

埼玉県立近代美術館「特別展示:瑛九の部屋」4月14日まで

埼玉県立近代美術館「特別展示:瑛九の部屋」
会期:2019年1月12日〜4月14日

昨日は埼玉県立近代美術館に行って来ましたよ🎵企画展は2度目なのでサーっと、目的のMOMASコレクションの瑛九の展示へ😃特に光量による変化を楽しめる瑛九の部屋に感激しました😊新しい見方の提案素晴らしいですねぇ❗今日のお気に入りの椅子は冷たいようで心地よいこれ🎶
(20190115/masatanさんのtwitterより)>


埼玉県立近代美術館がユーチューブに投稿した「瑛九”田園”」の動画第1作目。
その後も2作目、3作目と、続けて配信予定らしい。

MOMASコレクションは瑛九が秀逸。照明の明暗を自分で操作できるのもあった。暗→明にすると、網膜の細胞が1つずつ活性化していくような感覚で、新しい感覚かも。かなりオススメ。
(20190116/K.Kondoさんのtwitterより)>

新しく収蔵作品となったシニャックの絵も見てきました。
瑛九の特別展示の「田園」が光の照度を変えて鑑賞出来るようになっているのですが、これは驚きでした!

(20190114/s_tさんのtwitterより)>

埼玉近美、辰野登恵子もオススメなのですが、コレクション展の「瑛九の部屋」は何があっても見て欲しい展示です。こちらは4月14日までなので、次回企画展「インポッシブル・アーキテクチャー」(おもしろそう!)の時でも見られます
(20190114/おけいさんのtwitterより)>

MOMASコレクションもとてもよかった。「特別展示:瑛九の部屋」のキャプション、美術館の立場や考えが明確になってて最高だなと思ったらチラシの裏にも載ってた🙌
(20190113/saoriさんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館、辰野登恵子の他に常設展が見逃してはいけない。新収蔵のシスレー以上に瑛九の小特集が面白い。瑛九と関係の深い山田光春の作品・資料に加え瑛九自身の作品、とくに瑛九「田園」を暗室内に置き鑑賞者が照明を自分で光量調整する企画は実験的。発見がある。
(20190114/永瀬恭一さんのtwitterより)>

コレクション展には「瑛九の部屋」というのがあって、「田園」という絵に当てる照明の具合を鑑賞者が手元のスイッチで変えられるという面白い展示方法だった。印象の変化を感じられた。温度みたいに。暗室で作品と対峙する感じは三菱一号館美術館のルドン「グラン・ブーケ」を思い出した。
(20190116/出紅為郎さんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館、「MOMASコレクション第4期」。いつものモネ作品などのコーナーにシニャック作品が新収蔵品に。というニュースもありつつ、瑛九コーナーが圧巻。とくに「田園」。作品自体もこれ、すごくないですか!各自照明のコントロールが可能な部屋が設置され、これが素晴らしすぎる。暗い照明と明るい照明(シームレスに調整可能)で、まったく別の作品のように見える。どのような光のもとで作品を見るのか、ということはとても大事なファクターだと常々感じているのだけれど、ここまで印象が大きく異なるとは。作品の偉大さと合わせて、ぜひ体験を!4/14まで。
(20190114/笹崎・(T)・譲さんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館MOMASコレクション第4期を見てきました。瑛九の部屋が衝撃だった。完成された作品があんなに表情を変えるなんて知らなかった。薄暗い中では幻想的で神秘的で、照度を上げると作品が輝き出す、不思議な体験でした。
(20190118/四季さんのtwitterより)>

埼玉近美の常設では、瑛九の特集。山田光春との関わりを紹介するもの。あと、瑛九の作品の照明を自分で調整してその変化をみるコーナーもあり、これがまったく印象がかわって面白かった。となると、照明の固定ってどうしてるんだろう。新収蔵作のシニャックの風景画もみてきた。
(20190118/あつしさんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館MOMAコレクション第4期。
瑛九「田園」観てきました。
「ときの忘れもの」で、初めて瑛九を知り、早速!埼玉へ向かったのです。
「田園」に当てる照明を自分で調節して、変化する田園のイメージを膨らませる事が出来る。
暗室小部屋で、田園と私だけになれるのが特別な感覚だった。

(20190118/石井菜緒子さんのtwitterより)>

「辰野登恵子ON PAPERS」に来たのに瑛九に感動してしまって瑛九の図録を買ってしまった!辰野の図録は高い!
(20190119/ninicoさんのtwitterより)>

埼玉県立近代美術館へ。「辰野登恵子 オン・ペーパーズ」最終日前日滑り込み。特別展示の瑛九の部屋にあった「田園」という点描画が素晴らしかった。
(20190119/矢野ミチルさんのtwitterより)>

今日は埼玉県立近代美術館に久し振りにキター🙌相変わらず、美しい場所だな✨企画展、何の予備知識も無かったけど良かった😃思い掛けず、大好きな瑛九の特別展に巡り会えたのは最高に幸せだ🤗✨んでもって、猫写真展やら一般参加の展示も楽しかった😀充実してた😆余韻に浸りながら、カフェでまったり
(20190119/Satin Clothesさんのtwitterより)>

20190116153423_00001

注目を浴びていた埼玉近美の辰野登恵子展は昨日20日に終了しましたが、引き続き開催中の「MOMASコレクション第4期」の展示が凄いことになっています。
一番奥にどーんと展示されているのは2億9千万円で埼玉が購入したポール・シニャックの「アニエールの河岸」。
この作品については、わざわざこのブログでご説明する必要はないでしょう。
それよりもこれよりもtwitterで発信されたいくつかを再録しましたが、瑛九「田園」の特別展示は衝撃的です。
詳細は上掲のフライヤーをじっくり読んでいただきたいのですが、油彩120号の「田園」を所蔵者から借用し、そのためにわざわざ暗い特別室をつくり、観覧者が自分で照明のダイヤル式コントローラーを操作できるようになっています。
かつて1970年代に所蔵者の加藤南枝さんが試みた「田園のライトデッサン展」のコンセプトを引き継いだ展示です。
と言っても「田園のライトデッサン展」を知らない方はちんぷんかんぷんでしょう。
いずれきちんとご説明いたしますが、ともあれ、美術館としては画期的な展示方法をぜひ皆さん体験してください。
「田園」ばかりではなく、近年収集した瑛九と山田光春の作品・資料を中心とした選りすぐりの40点が展示されており、これは単なるコレクション展示というより、相当なレベルの「瑛九展」です。
必見の瑛九特別展示は4月14日までです。
休館日:月曜日(ただし、2月11日は開館)
観覧料:一般200円 、大高生100円

ときの忘れものは「第27回瑛九展 」を開催しています。
会期:2019年1月8日[火]―1月26日[土] 11:00-19:00※日・月・祝日休廊
307
ときの忘れものは3月末開催のアートバーゼル香港2019に「瑛九展」で初出展します。1930年代最初期から最晩年まで、油彩大作、フォトデッサンの代表作を香港に持って行く前に、ギャラリーで展示しています。
・瑛九の資料・カタログ等については1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
・現在、各地の美術館で瑛九作品が展示されています。
埼玉県立近代美術館:「特別展示:瑛九の部屋」で120号の大作「田園」を公開、他に40点以上の油彩、フォトデッサン、版画他を展示(4月14日まで)。
横浜美術館:「コレクション展『リズム、反響、ノイズ』」で「フォート・デッサン作品集 眠りの理由」(1936年)より6点を展示(3月24日まで)。
宮崎県立美術館<瑛九 −宮崎にて>で120号の大作「田園 B」などを展示(4月7日まで)。

●九州の博多阪急で1月16日(水)- 1月22日(火)【博多阪急×アートフェアアジア福岡 “Catch Good Signs! アートの兆し”】が開催されており、ときの忘れものも松本竣介ボブ・ウィロビーを出品しています。

●東京神田神保町の文房堂ギャラリーで「版画のコア core2」展が始まりました(1月21日〜2月2日[土])、会期中無休)。ときの忘れものは日和崎尊夫を出品協力しています。

●ときの忘れもののブログは年中無休ですが、それは多くの執筆者のおかげです。昨年ご寄稿いただいた方は全部で51人。年末12月30日のブログで全員をご紹介しました。

●2019年のときの忘れもののラインナップはまだ流動的ですが、昨2018年に開催した企画展、協力展覧会、建築ツアー、ギャラリーコンサートなどは年末12月31日のブログで回顧しました。

●ときの忘れものは〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤設計の新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18〜24頁>に特集されています。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12
QRコード
QRコード
記事検索
ときの忘れもの
blogランキング

ギャラリー&編集事務所「ときの忘れもの」は建築家をはじめ近現代の作家の写真、版画、油彩、ドローイング等を扱っています。またオリジナル版画のエディション、美術書・画集・図録等の編集も行なっています。
ときの忘れもの
ホームページはこちら
Archives
Categories
最新コメント
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: