虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行

トゥルーリ


僕はRocca(ロッカ)というカードゲームを友達と作っている。カードだけれど立体に見えるこのゲームを持って、僕たちはいろんな町を旅している。

札幌、沖縄、長野、宮城、静岡、山形、京都、ミラノ、パリ、ニュルンベルグ、ベルリン、そしてニューヨーク。

ジョナス・メカスにはじめて会ったのは、2001年のニューヨークだった。
2009年、息子のセバスチャンに東京の「ときの忘れもの」で会い、2010年、ブルックリンの自宅を訪ねた。Roccaを見てもらったり、Roccaの音楽を聴いてもらったりした。ジョナスは自分のライブや食事に誘ってくれて、友達に「彼は東京からきた。そして彼は詩人だ」と僕のことを紹介した。

僕は詩を書いたことはないけれど、自分たちの作るゲームが、ジョナスの詩が僕にくれたような暖かな時間を少しでも届けられるものであってほしい、と願っている。別れ際、ジョナスは「続けよう!(CONTINUE)」と言った。

2011年、RoccaはニューヨークADCのシルバー・プライズを受賞し、デザイナーの柿木原政広と僕は、受賞式のためニューヨークへ行った。ジョナスとセバスチャンは受賞を喜んでくれた。自宅を訪ねた時、ジョナスが撮影した映像が彼の「diary (http://jonasmekasfilms.com/diary/?p=1297)」にアップロードされている。

今年はRoccaをミラノサローネに出品し、僕がRoccaを作るきっかけをくれたアレックス・ランドルフの生誕90年パーティーのためニュルンベルグに行き、京都や、沖縄や、山形や、札幌に行き、友人たちと再会し、新しい友人ができたりした。小さなカードゲームを手にして、僕たちはいろんな場所に行く度に小さな映画を作り、音楽を演奏している。例えばこんなふうに。






今年、2012年の10月。小雨が降る夜にブルックリンにふたりを訪ねた。昨年はセバスチャンが仕事でニューヨークを離れていたため、彼とは約2年ぶりの再会。パリのポンピドゥーでの回顧展、そしてロンドンのSerpentine Galleryでの展覧会の準備でパリから若い友人も手伝いに来ていた (http://jonasmekasfilms.com/diary/?p=1545)。

セバスチャンは、たっぷり時間をかけて、カタルーニャのスープを作ってくれた。トマトと海老とニンニクとジャガイモと。すばらしくおいしかった。ワインを飲んで、リトアニアのミネラルウォーターをいただき、おみやげに東京から買っていった栗の菓子を食べた。ジョナスは、黒い菓子箱を大事そうにさすりながら「This is very special Japanese black」と言った。

とても自然に、ジョナスは仕事を始めた。切り取られたフィルムのイメージを、虫眼鏡で見ていく。イメージを見ながら、彼が行き来している時間のことを思った。それは、とても特別な時間だった。

ありがとう、ジョナス。ありがとう、セバスチャン。きっと続けるよ。

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トゥルーリ・オカモチェク(ゲーム・デザイナー)
府中市立美術館「OVER THE RAINBOW」展 (http://www.city.fuchu.tokyo.jp/art/kikakuten/kikakuitiran/overtherainbow/index.html)に参加。
http://rocca-game.jp/2012/12/post-49.php
2013年2月14日まで。

*画廊亭主敬白
先日開催した『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』出版記念展のギャラリートーク(吉増剛造×木下哲夫)に参加されたトゥルーリ・オカモチェクさんは大のメカスファン。息子のセバスチャン来日の折には亭主から突然通訳を申し付けられ、それがきっかけでメカス父子と親交しています。
そんなトゥルーリさんから「府中市美の展覧会にボクも出品しています」と言われて慌てて同美術館のサイトをのぞくと、なるほど面白ろそうな展覧会が開かれている。
トゥルーリさんたちがつくった(発明した)カードは目の錯覚を利用した実に不思議な造型を現出させるものなのですが、それが美術館で展示されている、いや展示というより「芸術」と「日常」の接点を探る試みの一つとして実際に会場でカード遊びができるらしい。子供達は喜んでいるでしょうね。
一風変わった展覧会、ぜひご覧になってください。
虹の彼方 こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行
会期 11月23日から平成25年2月24日(日曜日)
前期 11月23日から平成25年1月14日(月曜日・祝日)
後期 平成25年1月16日(水曜日)から2月24日(日曜日)
府中市美術館

ジョナス・メカス ノート、対話、映画の特別頒布を行なっています。
『ジョナス・メカス―ノート、対話、映画』表紙
ジョナス・メカス ノート、対話、映画
著者:ジョナス・メカス
訳:木下哲夫、編:森國次郎
A5判 336ページ
せりか書房 
4,935円(税込み)(送料250円)

ときの忘れものでご購入の先着50名様にはメカスさんからのメッセージカードをおつけします。
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