《野口琢郎展によせて》

「文句なく世界一」     石鍋博子


「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した愚者であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい。その愚者がもし異を唱えたとしても、それは愚者が自分の側のことしか知らないにすぎない」
ジョン・スチュアート・ミル

私の解釈が間違っているかもしれないが、日本の工芸作品が、現代アートとして世界的な評価を受けない理由は、上記の有名な一説で説明できるのではないだろうか。つまり、外国の人にはいわゆる日本の完成度の高い工芸作品はできないのだ。自分達にできないことは、初めからその分野は存在しない。つまり正当な評価は存在しない。残念ながら、現代アートのルールが西洋でつくられている現実では、これは仕方のないことである。野口さんの作品も、いわゆる現代アートを扱うギャラリーからは、コンセプトがないとのことで散々ケチをつけられたそうだが、私は敢えて言いたい。「彼の作品は世界一だ」と。この作品は彼以外には制作できない。技法的にも、美の完成度からしても。古都京都に生まれ育ち、老舗の箔屋の息子だからこそ可能な技。
単なる目先の美ではなく、恒久の美をめざし続ける彼の作品は、伝統工芸とか現代美術とかの狭い枠では評価できない高い次元の美を感じさせる。
「本当に美しいものは、人に生きる勇気を与える」彼の言葉が印象的だ。

石鍋博子(ワンピース倶楽部 代表)

noguchi_03_LS-19野口琢郎
「Landscape #19」
2011年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭)
40.0x40.0cm
サインあり

noguchi_01_LS-21野口琢郎
「Landscape #21」
2011年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭)
70.0x22.0cm
サインあり

noguchi_02_mukouhe野口琢郎
「向こうへ」
2010年
箔画(木パネルに漆、金・銀・プラチナ箔、石炭)
130.0x227.0cm
サインあり

noguchi_04_koganenokaze野口琢郎
「黄金の風」
2011年
箔画(木パネルに漆、金箔、石炭)
50.0x65.2cm
サインあり

Landscape#3野口琢郎
Landscape#3

*現代アートマーケット拡大のため、楽しみながら、最低一年に一作品(ワンピース)を購入することを決意したアートを愛する人達の集まりであるワンピース倶楽部代表の石鍋博子さんに、野口琢郎展に寄せてご寄稿いただきました。
石鍋さんは、7月11日(水)〜17 日(火)に銀座三越で開催された<コレクター石鍋博子のコレクション作家の作品による展覧会>というサブタイトルのついた「アートをおうちに持ち帰る。新しくて、楽しくて、温かい毎日が始まる」展を企画されています。その折、野口さんの作品も選ばれ展示されました。
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◆ときの忘れものは、2012年10月5日[金]―10月13日[土]野口琢郎展を開催します。
226_NOGUCHI
家業である京都西陣の箔屋に代々伝わる伝統的な引箔制作の技法を用いながら、漆と箔を駆使した新たな美術表現に取り組む野口琢郎
様々な風景の断片をコラージュするように制作する「Landscape」シリーズや、海と空、夜明けや星空などの風景を題材に、希望の光を感じられる「美しさ」を作品に表現しています。
本展では、新作を含む13点をご覧いただきます。

初日10月5日(金)17時より、作家を囲みオープニングを開催します。
ぜひお出かけください。