スタッフSの海外ネットサーフィン

スタッフSの海外ネットサーフィン No.54「The Art of the Brick: DC Superheroes」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.54
「The Art of the Brick: DC Superheroes」


読者の皆様こんにちわ。日々の酷暑で食欲が減退気味にも関わらず、体重は据え置きなスタッフSこと新澤です。毎年この時期だけは、わが心の故郷、イギリスが恋しくなります。何せ日中最高気温が26℃! 一週間の平均気温はなんと約23℃。木陰に寝そべれば気分よく昼寝できそうな温度です。まぁイギリスは湿度はなくとも良く雨がふるので、下手に昼寝なんぞすると濡れ鼠になりかねませんが。

それはともかく、ここ最近はマジメ(?)な記事が多かったので、今回はイギリス・ロンドンより、自分の趣味に偏ったイベントをご紹介させていただきます。

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このThe Art of the Brick: DC Superheroesは世界各地を巡回しており、現在は9月4日まで、ロンドン・サウスバンクの特設会場にて展示されています。作品の制作者は、1949年に発売されて以来、今では世界に知られる知育玩具であるレゴブロックを芸術作品の技法としたことで一躍名を成したネイサン・サワヤ(Nathan Sawaya)。2004年までは弁護士をされており、31歳でレゴブロック専門のアーティストに転向したという異色の経歴の持ち主です。以前からレゴブロックでオリジナル、オマージュを問わず巨大な立体作品を作ることで有名な彼が、アメリカン・コミックスの大手、DCコミックスと提携して製作されたのが今回の作品群です。

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展示されているモデルは誰でも知っているスーパーマンやバットマン、その相手役であるジョーカーは勿論、日本ではややマイナーなヒーロー・フラッシュや最近実写映画化されたワンダーウーマン等。単純にキャラクターの等身大モデルを作るだけではなく、物語の1シーンやコミック表紙の立体化、見上げるほどの大きさのジョーカーの顔面像、実物大のバットモービル等々、2,000,000個を超える数のブロックが今回展示されている120点の作品に使用されているそうです。

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自分も親がこのような知育玩具は積極的に与えてくれたため、幼少時は部屋の床に大量のレゴをぶちまけては、ああでもないこうでもないと組み合わせに腐心して、宇宙船やらSFカーやらロボットやらを作っていました。その時に組み上げるブロックの色と形を揃える事に苦労した身としては、この展覧会の作品のように大きな部位が単色で揃えることができるということが、とても羨ましかったりします。きっとレゴにハマった人ならこの気持ちを理解してくれるハズ!

テーマがテーマですので高尚な午後の一時の過ごし方としてはお勧めできませんが、掌に収まる小さなブロックからこれだけものを作ることができる事を実感できるというのは、特にブロックトイに熱中された経験のある方にとって中々に有意義な時間の過ごし方だと思います。お子様がいらっしゃる方には、是非一緒に楽しんでいただきたいイベントです。

(しんざわ ゆう)

展覧会公式ページ(英語)

●今日のお勧め作品は南桂子です。
RIMG0506_600南桂子 Keiko MINAMI
鳥と果実
銅版  1961年
イメージサイズ:39.2×28.3cm
シートサイズ:56.3×38.0cm
Ed.150  鉛筆サインあり
*レゾネNo.106(2011年 NHKサービスセンター)
*レゾネによれば1961年にデュッセルドルフ美術館の依頼で制作された(ed.50)とあり、この作品は別バージョン(デュッセルドルフ美術館版とは色が若干異なる)

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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スタッフSの海外ネットサーフィン No.53「YAYOI KUSAMA: Life is the Heart of a Rainbow」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.53
「YAYOI KUSAMA: Life is the Heart of a Rainbow」


 読者の皆様こんにちわ。7日に始まった駒込のお披露目展も残すところあと3日。多くの建築関係者にご来廊いただき、「良い建物だね」とのお褒めの言葉も多くいただきました。また、元が住居建築で、一般家屋からも少々逸脱した構成をしているためにスタッフがお客様を案内することもしばしばあり、皆様コンクリート打ちっぱなしの壁面や大判タイルの床、大胆な吹き抜け構造に感心しきりでございます。
 …ウチは画廊でメインは美術品なのですが。

 閑 話 休 題

 世間ではなんやかやと言われておりますが、2014年に初めて出展して以来、シンガポールはときの忘れものがもっとも成功している場所となっております。今年1月のArt Stage Singaporeでは出展画廊数自体が大きく落ち込み、一時は来年の開催も危ぶまれましたが、無事開催の運びとなり、ときの忘れものも参加することとなりました。ちなみに応募締切から結果通達までの間は僅か3日! あまりにもスピーディすぎます。どことは言いませんが、応募締切から結果発表まで3カ月間をおいた挙げ句、発表を延期するような事務局もあるというのに…。何はともあれ、来年も無事出展できることとなりましたArt Stage Singaporeにかこつけまして、今回はNational Gallery Singaporeで現在開催中のイベント「YAYOI KUSAMA: Life is the Heart of a Rainbow」を紹介させていただきます。

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 ま た 草 間 彌 生 か 。

 4月の記事でも書いたじゃないかと思う方も多いと思われます。

 ま た 草 間 彌 生 で す 。

 今年に限っても2月に国立新美術館(東京)で「草間彌生 わが永遠の魂」、ハーシュホン美術館(ワシントン)で巡回展「Yayoi Kusama: Ininfinity Mirrors」、3月にはアートフェア「Armory Show」(ニューヨーク)でインスタレーションを出品し、6月9日から9月3日までは今回のNational Gallery Singaporeと、世の草間熱は衰える事を知りません。

 この展覧会は個展としてはオーソドックスに、草間彌生の70年にも渡る作家活動の軌跡を120以上の作品と共に紹介していきます。草間作品のモチーフとしては最も有名な《かぼちゃ》から、ハーシュホン美術館が目玉にしているルームインスタレーション《無限の鏡部屋》、そして草間が2009年から100点を目指して制作を開始し、8年目の現在500枚を超えている194×194cmの大型アクリル画作品《わが永遠の魂》シリーズより、その多くが今回初公開となる24点が出品され、多岐に渡るモチーフと技法の変遷をみる事が出来ます。

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公式ホームページに記載されている出品作品例

 今展覧会は大作やインスタレーションも多く展示されているため、4つのギャラリースペースを跨ぎ、全てを見るにはおよそ二時間かかると公式ページで告知されています。入場は有料で、シンガポール人と外国人で入場料は異なるという、他の国ではあまり聞かない、しかしシンガポールではありふれたシステムで、外国人は今展覧会のみのチケットがSGD 25.00(約¥2,000)か、全館パスがSGD 30.00(約¥2,500)。日曜から木曜日は10:00〜19:00、週末の金曜と土曜は10:00〜22:00と延長されています。盆休みにシンガポール旅行を考えておられる方は、National Gallery Singaporeの建物自体も一緒に楽しまれてきてはいかがでしょうか? 私たちの新事務所と同様に、建物自体も中々に楽しい構造となっております。

(しんざわ ゆう)

National Gallery Singapore 
美術館公式サイト(英文)
展覧会紹介ページ(英文)

●今日のお勧めも ま た 草 間 彌 生 で す 。
09草間彌生
《水玉》
1994年  エッチング
イメージサイズ:29.5×41.8cm
シートサイズ:45.5×63.0cm
Ed. 50  サインあり
※レゾネNo.195

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移転記念コレクション展
会期:2017年7月8日(土)〜7月29日(土) 11:00〜18:00 ※日・月・祝日休廊
※靴を脱いでお上がりいただきますので、予めご了承ください。
※駐車場はありませんので、近くのコインパーキングをご利用ください。
201707_komagome_2出品作家:関根伸夫、北郷悟、舟越直木、小林泰彦、常松大純、柳原義達、葉栗剛、湯村光、瑛九、松本竣介、瀧口修造、オノサト・トシノブ、植田正治、秋葉シスイ、光嶋裕介、野口琢郎、アンディ・ウォーホル、草間彌生、宮脇愛子、難波田龍起、尾形一郎・優、他

ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分、名勝六義園の正門からほど近く、東洋文庫から直ぐの場所です。

スタッフSの海外ネットサーフィン No.52「Wynwood Walls」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.52
「Wynwood Walls」


 読者の皆様こんにちわ。唐突な画廊の移転から2週間が過ぎ、ある程度は新事務所も落ち着いてきたものの、まだまだ片付ける物にも事にも事欠かないスタッフSこと新澤です。

 2016年は亭主の宣言で海外進出を目指して兎に角世界各地のフェアの出展を目指した結果、年がら年中てんやわんやでしたが、今年はある程度出展するフェアを絞り、より一つ一つのフェアに注力することになりました。
 その中の一つが12月開催のBASEL MIAMIと同時開催のART MIAMIです。2016年の出展画廊数は134とBASEL MIAMIに比べると一段落ちますが、事務局がCONTEXT ART MIAMI等傾向の異なるフェアを平行して開催しているため、それらも合わせればBASEL MIAMIと並ぶアートフェアです。とはいえ、参加申し込みこそしたものの、合否はまだ通知されていないために気を揉んでいる最中でもあります。次回の記事までに結果が分かるといいなぁ…

 ともあれ、今回ご紹介させていただくのは、そんな画廊の出展予定にかこつけたマイアミ美術館の中でも変わり種であろう「Wynwood Walls」です。

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 2009年に開設した「Wynwood Walls」は正確には美術「館」ではありません。元々は窓のない倉庫がひしめき合う治安の悪い区画を、不動産業者のトニー・ゴールドマン氏が、後のMOCAディレクターであるジェフリー・ダイチ氏と協力して一大アート施設に転じたエリアです。窓の少ない倉庫の壁面は、つまるところ巨大な平面なワケで、そんなものがいくつもあるのは巨大なカンバスが放置されているようなもので、じゃぁストリートアーティスト達に使ってもらおう!というアメリカらしい豪快かつ合理的な理由により実現しました。連載第7回の時に紹介したニュージーランドの「RISE展」も、世界各地のストリートアーティスト達がグラフィティ作品をクライストチャーチの街中に描きましたが、こちらは常設かつ入れ代わります。

 出展(?)アーティスト達の出自は様々で、中には日本人で現在NY ブルックリン在住のアーティスト、AIKOも名を連ねています。

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 買って帰って家の壁に飾るような作品ではありませんが、これも間違いなく現代美術の一分野。作品は倉庫の壁面だけではなく、開けた区画には立体作品やカフェもあり、ゆったりとストリートアートを楽しめるようになっています。個人的には、ART MIAMIの出展が叶えば是非訪れてみたい場所です。

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(しんざわ ゆう)

ウィンウッド・ウォールズ 
Wynwood Walls公式サイト(英文)
住所:2520 NW 2nd Avenue, Miami FL 33127
営業時間:月〜土 AM11:00〜PM 11:00 日 PM12:00〜PM6:00
毎月第2土曜日 AM11:00〜midnight Wynwood Artwalk開催

●今日のお勧め作品は、磯崎新です。
磯崎新 MOCA #1磯崎新
"MOCA #1"
1983年
シルクスクリーン
イメージサイズ:46.5×98.0cm
シートサイズ:73.0×103.5cm
Ed.75
サインあり

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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください
ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

ささやかですが、新しい空間のお披露目をいたします。
2017年7月7日(金)12時〜19時(ご都合の良い時間にお出かけください)
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JR及び南北線の駒込駅南口から約10分、名勝六義園の正門からほど近く、東洋文庫から直ぐの場所です。
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スタッフSの海外ネットサーフィン No.51「Imprimer le monde」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.51
「Imprimer le monde」

The Centre Pompidou, Paris


 読者の皆様こんにちわ、ゴールデンウイークも早々に過ぎ去り、大分寒さも和らいできたなぁ…等と思っていたらあっという間に日中気温29℃などという洒落にならん暑さになってしまい、自宅でエアコンを全力運転させて環境破壊に勤しんでおります、スタッフSこと新澤です。

 1977年に開館し、今年で40周年を迎えたパリの現代美術の最先端・ポンピドゥーセンター。
現在はMUTATIONS-CREATIONSという主題の下、幾つかの企画展を開催していますが、今回ご紹介させていただくのはその内の一つ、「Imprimer le monde」です。

imprimer-le-monde-web

 直訳すると「世界を印刷する」という意味のタイトルですが、この企画展では昨今技術の躍進が著しい3Dプリンターを用いた作品が展示されています。40の出展者の内訳は作家に限らず、3Dプリンターを解析や実験目的で使用するデザイナーや建築家等、多岐に渡ります。

 3Dプリンターと聞くと一般には最近、2010年代以降の技術と思われるかもしれませんが、その起源は1860年代にフランス人作家・彫刻家・写真家であるフランソワ・ウィレーム(Francois Willeme)の写真彫刻まで遡ることができます。とはいえ、現在知られるコンピューターを介してのモデルの出力が1980年代に実現されるまでは、コンピューター自体の誕生までに100年、そこから更に技術の発展に20年が必要とされましたが。

 今日、3Dプリンターは一般家庭が所有できるほどにサイズと価格が手軽となり、逆にハイエンドにおいては様々な素材を用いて精密な出力を可能とするだけではなく、通常であれば実現できない形状の出力も可能としました。

 今回の出品作品で自分が特に興味を惹かれた作品は以下の2点です。

imprimer-le-monde-centre-pompidou-outside1_960"Grotto II"
Benjamin Dillenburger、Michael Hansmeyer作

およそ7トンの砂岩を材料に制作された、縦横3mを超える立体作品です。
デジタルデータを基に制作されているからこそ分かることですが、作品を構成している面の数、実に13億以上! 制作はデザイン作業に2年が費やされたものの、パーツの出力は全自動で1ヶ月、組み立てに人力で2日。
c Photo by Fabrice Dall'Anese

stranger-7"Stranger Visions, Portraits and samples from New York, 2012"
Heather Dewey-Hagborg作

道端に落ちている髪の毛、ガムの固まり、たばこの吸い殻からDNAを抽出し、それを材料にコンピュータがDNA保持者の顔を算出、3Dで出力するという、生物学の実験との境界が非常に曖昧に感じるシリーズ。
stranger-8自分の痕跡から知らぬ間に自分の外観が複製されている、と書くとゾッとしませんが、作家と作家本人のDNAポートレートを見比べると、やはり髪の毛一本じゃ人間なんて分からんモンだなとも思います。

 他にもいかにも3Dプリンターで出力したのだろうなと察せられるものから、「えっ、これが!?」というものまで、様々な作品が展示されています。

 この展覧会は6月19日(月)まで、11:00から21:00の間、ポンピドゥーセンターのギャラリー4にて開催しております。
 先端技術が多種多様なクリエイターの手によって活かされる様子にご興味がある方は、是非以下より公式ページもご覧になってみてください。

(しんざわ ゆう)

ポンピドゥーセンター公式サイト(英語)
MUTATIONS-CREATIONS / IMPRIMER LE MONDE展ページ(英語)
デジタル・グロテスク(英語)
上で紹介した"Grotto II"を制作したグループの公式ページです。前作である"Grotto I"の画像や紹介動画も掲載されています。
Go Behind the Scenes to Watch How Heather Dewey-Hagborg Creates Portraits with Found DNA(英語)
ヘザー・デューイー・ハグボルがDNAポートレートを制作する過程を動画で見ることができます。

●今日のお勧め作品は、植田正治です。
ueda_06_sakyu-nude_3植田正治
《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 23.7×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.2cm
サインあり

ueda_08_sakyu-nude_5植田正治
《砂丘ヌード》
1950年(Printed later)
ゼラチンシルバープリント
Image size: 24.2×21.7cm
Sheet size: 30.3×25.3cm
サインあり

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◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。

スタッフSの海外ネットサーフィン No.50「草間彌生:Infinity Mirrors」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.50
「草間彌生:Infinity Mirrors」


 読者の皆様こんにちわ。昨年から続くアートフェアラッシュもようやく終わり、ようやくこれで一息…などとムシのいい話はあるはずもなく、来たる2017年後半のアートフェアの申込に迫られて今日も今日とて右往左往しております、スタッフSこと新澤です。

 昨今の美術界において老齢の巨匠は数多おられるものの、自分が「老いてなお盛ん」と聞いて思いつく作家といえば、堀尾貞治草間彌生のお二人です。特に草間先生は今年で御年88ながら現在も制作活動を続けており、国際的にもアートフェアでのインスタレーションや個展、ブランド企業との提携など、そのエネルギーは尽きることなく放たれ続けています。

 今回の記事では、そんな草間彌生の70年にも及ぶ美術活動を羅する特別巡回展「草間彌生: Infinity Mirrors」を、第一開催会場であるハーシュホーン美術館と彫刻庭園と合わせて紹介させていただきます。

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 アメリカ・ワシントンDCの中心部に建てられたこの美術館は、一般にはスミソニアン協会に所属している事から、博物館として扱われることが多いですが、約12000点の彫刻や絵画、写真などを含む美術品を所蔵しており、美術館という呼称も決して間違いではありません。
 特徴的な円形の建物は建築家ゴードン・バンシャフトによるデザインで、1969年に起工し、1974年に開館しています。ちなみに美術館の名前は、19世紀から20世紀の絵画、彫刻のコレクターであり、100万ドルもの寄付をスミソニアン協会に行ったアメリカ実業家、ジョーゼフ・ハーシュホーンから来ています。

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 今回の展覧会で特徴的なのは、タイトルに「草間彌生:Infinity Mirror『s』」とある通り、一つあるだけでも目玉になる空間インスタレーションが、なんと6つ展示されていることです。部屋によっては入場制限があり、一度に一人が30秒間、鏡に覆われた光と音が無限に続く空間に浸れるとのこと。自分は2013年の森ミュージアムで開催された「LOVE展」で草間の当時の新作インスタレーション《愛が呼んでいる》を見た経験があります。その時は自分以外にも大勢の人が部屋にいたのであまり独特な感じはなかったのですが、以下のような空間に一人でいたら、早々に意識が空間に拡散してしまうか、閉所恐怖症ならぬ広所恐怖症になりそうです。

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MIKE KEMP VIA GETTY IMAGES
 草間は現在20以上の「Infinity Mirror Room」を制作していますが、6点を一度に展示するのは今回の巡回展が世界初となります。また、目玉となるこれらの空間インスタレーション以外にも、60点を超える初期から近年までの作品を見ることができるようになっています。ハーシュホーンはスミソニアン系列の博物館なので入館料は基本無料ですが、入場管理のために発行されるチケットがないと入館できません。お出かけの方はご注意下さい。

 展覧会は5月14日までハーシュホーンで開催し、6月30日から9月10日までをシアトル美術館、10月から2018年1月までをロサンゼルスのザ・ブロード、2018年3月から5月をカナダ・トロントのオンタリオ美術館、最後に2018年の7月から10月にアメリカ・オハイオ州のクリーブランド美術館へ巡回します。

 タイムズ誌において現代で最も影響力のある一人にも選ばれた作家。ご都合が合えば是非お出かけして、その摩訶不思議な世界をご体験下さい。

(しんざわ ゆう)

ハーシュホーン美術館と彫刻庭園公式サイト(英語)
草間彌生: Infinity Mirrors展ページ(英語)
草間彌生公式サイト

●今日のお勧め作品は、草間彌生です。
37_kusama_polkadots草間彌生
《水玉》
1992年
エッチング
イメージサイズ:29.5×41.8cm
シートサイズ:45.5×63.0cm
Ed.50
サインあり
※レゾネ No.195(阿部出版 2005年新版)

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スタッフSの海外ネットサーフィン No.49「ニューヨーク美術館巡り」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.49
「ニューヨーク美術館巡り」


 読者の皆様こんにちわ。通例であれば今月頭に開催されたart on paperのレポートを掲載する所ではありますが、今回は既に光嶋裕介さんと野口琢郎さんというお二方によりフェアのレポートは万全。今更自分が何か書いたところで蛇足にしかなりそうにありません。ですが、こんなこともあろうかと(言うわけではまったくありませんでしたが)今回は社命によりフェア終了後に自分だけ滞在を延長し、美術館巡りを4日ほど堪能させていただきましたので、そのことについて書かせていただこうと思います、スタッフSこと新澤です。

 草間彌生堀尾貞治もインスタレーションを出展したアーモリーショーのサテライトフェアであるart on paper、出展画廊の数も100以下とあって来場者数もどこまで稼げるのか…と、開始前はやや不安でしたが、光嶋さんと野口さんが書かれている通り、自分が今まで参加した中規模フェアでは体験したことがない人の入りと売り上げを記録し、サンタフェの悪夢を払拭して終わることができました。来年も是非ともまた参加したいところですが、ニューヨークは最先端の街だけあって流行り廃りが異様に激しいらしく、今後の参加についても内容は十分に吟味する必要がありそうです。

 人生二度目の来訪となるニューヨーク、初めて来た時は自由の女神像とエンパイアステートビルを昇り、セントラルパークを散歩するだけで終わってしまいましたが、今回は4日の自由時間を使って満喫させていただきました。

■自由行動1日目

1週間お世話になったアパートからチェックアウトし、まず最初に向かったのは滞在先だったLower East SideにあるAnthology Film Archives。ときの忘れもので作品を取り扱い、またちょくちょく上映会を行っているジョナス・メカスが設立した映像芸術の殿堂です。自分は楽観的にここに来ればメカスさんに会えるか繋ぎを取ってもらえるだろうとお気楽に考えていたのですが、そもそもここ、午後は一般公開していませんでした。しかもメカスさんは私書箱こそここに置いていますが、訪れるのは一週間に一度あるかないかという程度、勿論閉館中に突然訪れたギャラリスト(どう見てもただの旅行者)のために連絡を取ってくれることもなく、結局日本から持ってきたお土産を職員さんに預けるだけで終わってしまいました。

Anthology Film ArchivesAnthology Film Archives外観

 自分の見通しの甘さで出鼻を挫かれましたが、気を取り直して移動を再開。最初は複数の路線が同じプラットホームに停車するせいでエラく複雑に思えたマンハッタンの地下鉄ですが、よくよく確認するとホテルまでは最寄駅から乗り換えなしで向かえることに気付き、気が楽になりました。
 今回自分が宿泊したのはPaper Factory Hotelという、読んで字のごとく元々は製紙工場だった建物をホテルに改装した所で、場所はマンハッタン島の東、ロングアイランドに位置しています。自分は価格とマンハッタン島までのアクセスでこのホテルを選びましたが、中々に洒落たデザインで部屋も広々としており、快適に過ごせました。部屋に冷蔵庫がないことと、シャワーヘッドが固定式だったことだけは減点材料でしたが。

pfhPaper Factory Hotelロビー

 ともあれ無事にチェックインも終わり、荷物も部屋に押し込めて身軽なった所で早速ニューヨーク探索に出発です。ホテルを出た時点の時刻は午後2時。流石に美術館を2ヵ所巡るには時間が足りないと、この日はフランク・ロイド・ライト設計のグッゲンハイム美術館に行きました。
 今日世界各地に展開し、自分の連載でもビルバオニューヨークを取り上げたことのあるグッゲンハイム美術館。今まで話題にしておいて何ですが、実物を訪れるのは今回が初めてです。世界の近代美術を牽引する美術館、その第一印象は「以外と小っさい」と身もふたもないないものでした。
 ちなみに以前の連載記事で使用した美術館の画像と、今回自分が撮影した画像を比べるとこのような感じ。

RIMG0092_2以前の記事で使用した画像
RIMG0092今回自分が撮影した画像

 撮影技術がいかに人の認識を騙すか、大変良く分かりますね。
 ともあれ木枯らしが吹きすさぶ中でいつまでも外にいるワケにもいかず、とっとと館内に入ると、外観のイメージとは正反対の広々とした空間が。

RIMG0096 グッゲンハイムの特徴である吹き抜け構造。
 ここで2013年に元永定正の《作品(水)》が展示されたのかと思うと、感慨深いです。
 ……自分はブログの記事で取り上げただけで何の関わりもないのですが。
RIMG00972017年2月10日から9月6日まで開催中のVisionaries: Creating a Modern Guggenheim

 チケットを購入して緩やかな登り坂を上ると、いきなり大量かつ大型のワシリー・カンディンスキーの油彩に迎えられ、ゴッホ、ピカソ、シャガール、ジョアン・ミロ、クロード・モネ、パウル・クレー、ジャクソン・ポロック等々、自分のような不勉強な人間でも知っている巨匠の作品が立て続けに展示されていました。勿論華々しい作品が多数ありましたが、中でも自分が気に入ったのは以下の作品(?)です。

RIMG0140 ゴッホが1888年半ばにジョン・ピーター・ラッセルに宛てた手紙。
 友人に向けて手紙を書こうと思う度、制作に気を取られてしまうと書きつつ、《種をまく人》や《少女の頭》のスケッチが描かれており、ゴッホの創作意欲の高さが窺えます。

RIMG0133 螺旋通路の一番上からの一枚。
 欧米人向けにデザインされているわりに手すりが低く、高所恐怖症の自分は下を覗き込んだ瞬間に腰砕けになってしまいました(シンガポールからまったく進歩がないですね)。この写真を撮った後は通路の外側の壁(作品展示側)に沿って下まで降りました。作品鑑賞中に前を横切ってしまった皆様、申し訳ございませんでした。

 この後は他の美術館を覗くには時間が足りず、かと言って早々にホテルに引っ込むのも勿体無い。ではどうするかとボケっとセントラルパークのベンチに座り込むこと十数分。タイムズスクエアまで徒歩で行けばニューヨーク探索できて時間も潰せると結論し、レキシントン通りを延々南下してみました。
RIMG0162
RIMG0160
RIMG0165 トランプ・タワー入り口。
 建てた本人はあれだけ好き勝手やってるのに、よくまだ襲撃されてないなと物騒な考えが過ったり。
RIMG0169 聖パトリック大聖堂。
 スカイスクレイパーの谷間(というほどのこの建物も背は低くないですが)にこのような中世的外観の建物があるのもニューヨークならではというイメージ。
RIMG0170 聖パトリック大聖堂の斜向かいにあるロックフェラーセンター。
 日本人の悲しい習性故か、ランドマークを見るとつい撮影してしまいます。
RIMG0176 先日訪れたばかりのタイムズスクエアに無事到着。

 この日の夕食はネットで評判のハンバーガーチェーン、SHAKE SHACKに行ってみました。
 結論: ネ ッ ト の 評 判 を 鵜 呑 み に し て は い け ま せ ん 
 大層な評判で行列も凄かったので味も期待したのですが、自分にしてみればかけた時間に見合うとは思えませんでした。ちなみにこのバーガーチェーン、日本にも進出しており、先日出展したアートフェア東京の会場である東京国際フォーラムと、画廊のある外苑前にも支店があります。その内こちらも行ってみようと計画中です(懲りてない)。

■自由行動2日目

 前日の夜にホテル近く(徒歩10分)の大型スーパーで購入したバニラファッジ味とシナモンロール味のシリアルバーという、健康に良いのか悪いのか判断に苦しむ逸品で朝食を済ませた後、まずはフェアで内間作品を購入いただいた方へ雨が降る中作品の納品へ向かいました。フェア期間中も自由行動中も、冷え込むことはあってもずっと晴れていたというのに、作品を届けなければならないこの日、この時だけ雨でした。納品が終わって外に出たら止んでました。God damn!
 気を取り直して現地在住の知人と落ち合い、韓国人街で焼肉三昧の昼食を堪能した後は、昨日のグッゲンハイムと並ぶニューヨークアートシーンの顔役、MoMAに向かいました。

RIMG0179西53番通りと西54番通りの間にあるMoMA。
この画像は53番通りから撮影。通りが狭くて全景は撮影できませんでした。
RIMG018054番通り側の入り口。
RIMG0182日本の建築家・谷口吉生の設計した新館が奥に見える彫刻庭園。
残念ながら展示替え中で庭園は立ち入り禁止でした。

RIMG0187この時に開催していた企画展は"Francis Picabia: Our Heads Are Round so Our Thoughts Can Change Direction"。
長くて9年、短くて3年。同一作家と思えない目まぐるしいスタイルの変化で有名な作家の初期から晩年までの作品を1フロア使って展示していました。
RIMG0188印象派の時代(1902年-1909年)

これが
RIMG0190機械の時代(1915年-1924年)

これや、
RIMG0199透明の時代(1927年-1932年)

これを経て、
RIMG0209(非具象の時代)(1945年-1951年)

最後にこう。
……人の意識の変遷って凄いなぁ。

常設展の方ではグッゲンハイム同様、知った名前がズラリと並び、なるほど世界に名立たるとはこういうことかと実感させられました。そんな中で、そこここに日本人作家の名前を見つけることができ妙に嬉しく感じました。

RIMG0295野口琢郎さんの師事していた写真家・東松照明
RIMG0297アーモリーショーでのインスタレーションの他、日本とアメリカでの個展開催と衰えを知らぬ草間彌生
RIMG0307自分が存在した日付を淡々と記録する河原温
RIMG0312来月22日から町田市立国際版画美術館で個展「HANGA JUNGLE」が開催される横尾忠則
RIMG0319赤瀬川原平らと芸術集団ハイレッド・センターを結成し、60年代以降の日本のコンセプチュアル・アートに大きな影響を与えた高松次郎

大量と呼んでもまだ足りない作品の数々。呑気に観て回っていたら時間が足りず、全てを見る前に退館時間となってしまいました。

 この日の晩は、ときの忘れもの同様にart on paperに出展されていたhpgrp galleryの戸塚さんにお誘いいただき、MoMAのすぐ近くに居を構える、こちらもart on paperに出展されていたRonin Galleryの棟方志功展のオープニングにご一緒させていただきました。戸塚さんに色々な人をご紹介いただいたのですが、最後に紹介していただいたのは何と元ジャパンソサエティの手塚さん。アメリカはこんなに広いのに、人の縁の何と身近なことか。

 ここ最近はジャンクフードが続き、野菜が足りない! と体が訴えている(ような気がしたので)この日の夕飯はスーパーのサラダバーでした。ただしパスタとマッシュポテトとドレッシング山盛りの。何やら自分自身に詐欺を働いている気がしないでもありませんが、美味しかったので問題はないはずです。

■自由行動3日目

 昨日の雨のち曇り空が嘘のような晴天の下、本日最初に向かったのは、アメリカ美術の専門・ホイットニー美術館です。

whitney ホイットニー美術館全景。

 2017年はホイットニービエンナーレの開催年なのですが、間が悪く開催は3月17日から。
 5階と6階がビエンナーレ設営のため閉鎖されているせいで入館料はやや安くなっていましたが、少しも得した気分になれませんでした……が、屋上からの展望に一気に気分が晴れました。我ながら単純極まりない。

RIMG0368 周辺にはスカイスクレイパーがないため、かなり先まで見通せました。
何よりこの空の青!

 展示よりも天気に気を良くしてもらい、アンディ・ウォーホルジャスパー・ジョーンズエドワード・スタイケン等の作品を見て回った後は、天気が良いからと調子に乗って徒歩でハドソン川沿いに前日お世話になったhpgrp galleryへ。事前連絡もなしに訪ねたせいで戸塚さんとは入れ違いになってしまいましたが、写真家エヴェレット・ケネディ・ブラウンが日本・相馬市の伝統行事を撮影した作品シリーズ「Japanese Samurai Fashion」を堪能させていただきました。

 この後は今回の延長滞在のメインイベントであるチェルシー画廊街巡りに繰り出しました。
 亭主からはここいらの画廊に名刺を渡して繋ぎを取ってくるように言われていたのですが……いざ実際に画廊を訪ねてみるとどれもスケールが違いました。最初に入ったガゴシアンギャラリーがサイズでは一番大きかったのですが、展示スペースは区民体育館に匹敵するどころか収められそうな空間が2つ用意されており、展示してある作品も最小で100号以上と、青山の狭小画廊とは文字通りスケールの桁が違っていました。

RIMG0407 ガゴシアンギャラリー外観。
 あまり大きくないようにも見えますが、丁度写っている通行人と比較してもらえば、実際のサイズが分かると思います。
RIMG0409 展示スペース。
 やはり人が写っていないと錯覚しそうなほど広々としており、贅沢な空間の使い方がされています。

RIMG0416 こちらは以前ビーコンの方を記事にしたDIA Foundationのチェルシー支部が開催していた菅木志雄展。
 6点中5点は60年代から70年代に制作された作品でしたが、この写真に写っている"Law of Halted Space"はこの企画のために2016年に制作された最新作です。

 これ以外にも複数の画廊を見て回りましたが、どこも元は倉庫街という特性を活かしてスケールの大きい展示を展開していました。しかしここまでデカい作品ばかりだと買い手が付くのだろうかなどと疑問に思いましたが、ある撮影禁止の画廊では最小でも短辺2mはある大型作品10点が完売となっており、金も土地もある所にはあるんだなーと思い知らされました。
 及び腰で名刺を配りつつギャラリーを巡って右左、ケースに残っていた名刺が無くなる頃には時間は18:00、アメリカの画廊の終業時刻なりました。

RIMG0446夕暮れ時のチェルシー画廊街。
ハイラインの上で休憩中に撮影しました。
この一見うらぶれたビル街が、実は超高額な美術品を扱う画廊通りというのは、分かっていても中々に妙な感じです。

この日の晩御飯は再びのジャンクフード。いかにもアメリカンなバーガーチェーンでセットメニューを注文したら、出てきたのはドリンクとバーガーの包みのみ。付け合わせのポテトは? と思いつつ包みを見ると妙に分厚い。まさかと包みを開いてみたら、そこにはパテと一緒にバンズに挟まったポテトフライが。 そ う き た か 。
まぁたまに自分でもやってることだしと思いなおして美味しくいただきました。

■自由行動4日目

 帰国日は朝から空港に向かわなければならないので、実質最終日。
 この日は終日メトロポリタン美術館を探検するつもりで朝から行動開始。
 そういえばイタリア料理的なピッツァは食べたけど、ジャンク的なピザはまだ食べていなかったなぁと、日本で言えば立ち食い蕎麦屋的な雰囲気のあるピザ屋に入店。ピザ2切れと付け合わせにフライドポテトを注文したら、どう見てもピザが付け合わせにしか見えない山盛りのポテトが出てきた。改めてメニューを確認してみると、ピザ一切れよりポテト一皿の方が高かった。何故毎回こうも自分はやらかしてしまうのか…結局残すのは勿体無いのでケチャップとマヨネーズとマスタードと塩胡椒を駆使して完食しました。おかげで最終日なのに夕飯はコンビニで購入したサンドイッチで足りました。ホント何やってるの自分。
 とにかく、お腹も膨らませたのでメトロポリタン美術館へ出発。

RIMG0451 メトロポリタン美術館外観。
 何故か記憶では正面エントランスがセントラルパークと向き合っていたのですが(実際にはエントランスの裏手がセントラルパークです)、さて何と混同していたのやら。

 15の夏にここを通り過ぎた時には、たしか大恐竜展とかやってたなぁ見たかったなぁと回顧しながら、チケットを購入してまずはエジプト美術から見学を開始。
 時間もあるし色々見て回ろうと気楽に構えていたのですが、世界最大級という規模を軽く考えていました。もう見ても見ても全然終わりがありません。最初から全部見ようとは思っていませんでしたが、結局エジプトとアジア系、アメリカ区画を見た時点でギブアップ、ヨーロッパ区画は流し見て近代美術区画を見て終わりました。

RIMG0460 エジプト区画とアメリカ区画の間にあるデンドゥール神殿。
 神殿の壁画とかならともかく、神殿そのものを常設展示するとか発想が色々とおかしいと感じるのは自分だけでしょうか?

RIMG0456 パピルスコーナーにあったヒエログリフの説明書き。
 今までヒエログリフはどうしてあんなイラスト然としているのに言語として成り立つのか不思議でしたが、なるほどここまで崩せばハングル語辺りとそう変わらないなと納得。
 でも最後の一文字は崩したにしても無理があると思う。

RIMG0462 続くアメリカ区画では美術品というより家具や各時代のアメリカの生活を紹介するように住宅の再現例が多数設営。
RIMG0466 その再現された室内の一つは何とフランク・ロイド・ライトの"Little house Living Room"。
 全然小さくないと思った自分は悪くないです。

RIMG0468 こちらもアメリカ区画の一部。
 この画像では見えにくいですが、延々と続くショーケースの中に椅子、テーブル、チェスト、時計、食器等が大量に展示されており、ここだけで1日どころか1週間は見ていられます。

RIMG0502 ヨーロッパ区画の一部の見取り図。ここだけでもそこらの美術館には到底及ばない作品の数々が収蔵されていますが、これでもほんの一区画です。

 最後の方は最早意地で現代美術区画を見て回り、ギリシャ、ローマ区画はスルーして今回のメトロポリタン美術館探検は終了としました。
 終わりが見えないことでここまで疲労させられるとは正直思っていませんでした。
 次に来る時は3日程の長期計画で攻略しようと思います。

 これにて当初見て回ることを計画していた場所は全て巡ったのですが、最後に一か所、フェアの最中に来場者の方に、野口琢郎作品に因んで勧めてもらったノイエギャラリーへ。

RIMG0543 街角の建物の一角を使ったこの美術館はドイツとオーストリア作家の作品を専門に扱っており、クリムトもその中に含まれているのがお勧めされた理由です。
 なるほど確かに《金の女》は野口さんの作品の引き合いで出される煌びやかな華がありました。残念ながら館内は撮影禁止だったので写真はありませんが、メトロポリタンでの疲れを癒す傍ら、ゆっくりとクリムトの作品を堪能しました。


 最後にご紹介するのはウォールストリートジャーナルに掲載されたart on paperの広告と、アーモリーショーに出展された草間彌生のインスタレーションの紹介記事です。
001


002


 最初にも書きましたが、art on paperの報告は前出の野口さんと光嶋さんの記事をご覧ください。

野口琢郎さんのレポート

光嶋裕介さんのレポート

 この記事を書いている時点でアートフェア東京も終了し、ときの忘れもののアートフェア出展ラッシュもようやく一段落しました。今後は10月のArt Taipei、12月のArt Miami、1月のシンガポールのフェアに出展を申し込む予定となっております。

(しんざわ ゆう)

◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。

スタッフSの「中谷礼仁×普後均」ギャラリートーク・レポート

スタッフSの「中谷礼仁×普後均」ギャラリートーク・レポート

 読者の皆様こんにちわ、皆様がこの記事をご覧になられている頃には地球の反対側で接客に勤しんでいるでありましょう、スタッフSこと新澤です。

 本日の記事では、先週まで開催しておりました「普後均写真展―肉体と鉄棒―」のイベントとして2月24日(金)に行われた、建築史家・中谷礼仁先生と写真家・普後均さんのギャラリートーク・レポートをお送りします。

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20170225_fugo_gt_01トーク前に内容を打ち合わせる中谷礼仁先生(左)と普後均さん(右)

20170225_fugo_gt_03恒例行事・亭主の前語り。
今回の出だしはいかにしてときの忘れものが普後さんと知り合ったのか。
作家にして写真家、当ブログの連載記事《迷走写真館》の筆者でもある大竹昭子さんに強力な推薦をいただいたのが始まりでした。大竹さんは、2013年04月01日の記事で普後さんの作品についての記事を書かれています。

 今回の展覧会を開催するにあたり、普後さんには去年の8月から毎月14日に当ブログでエッセイを連載させていただいており、先月の展覧会までに全7回の記事が公開されています。本日の記事で興味を持たれた方は、是非普後均のエッセイ「写真という海」もご覧ください。

 中谷先生と普後さんのお二人は、2016年にTOTO通信の連載記事「現代住宅併走 34」の取材のため、普後さんが中谷先生がご自分で設計された三ノ輪の自邸を訪れたの時に知り合ったそうで、その時の邸宅デザインや家の中に流れる空気から、取材の一回でお見限りとなることを普後さんが惜しみ、今回のギャラリートークが実現しました。

20170225_fugo_gt_08浅草・三ノ輪の自邸について、TOTO通信の記事を見せながら説明する中谷先生。
家のテーマは“葬送”で、臨終部屋と普後さんが呼んだ部屋や、そこから魂が天上に向かいやすいよう、天井の一角は鉄筋コンクリートスラブがガラスブロックになっていたりと、独自の様式がある。
中谷邸の間取りはこちらのTOTO通信のホームページで見ることができます。

 この後は普後さんが今回出品している作品は、撮影した物と場所の関係を壊して新しい意味を与えてきた今までの作品とは逆に、被写体同士の関係そのものを撮りたいという欲求から生まれたものであることや、「言葉が先に来た」という今回のシリーズの構想が、実は明確な形になる以前に普後さんの中ではずっとあったのではないかという中谷先生の指摘から、中谷先生ご自身も以前から核家族化による住宅の貧困化について考えていたところに、父親から蔵付の家を作るよう依頼されたことが刺激となり自邸のデザインが出たことなどが語られました。

 お二人の話題は様々な分野に及びましたが、中でも自分の興味を惹いたのは中谷先生のプレートテクトニクスに沿った旅で、先生が気付かれた建築と社会の発展性についてでした。具体例として挙げられたのは石材と用いたギリシャ建築と、レンガ(土)を用いたローマ建築で、石材を用いたギリシャ建築は壮麗だが大きく重く、しかしある一定以上のサイズの建物は作れず、逆にレンガ作りのローマ建築は悪い言い方をすれば貧乏だが、土さえあればどこでも扱いやすいサイズの建材が用意できる、つまり労働力があればどこでも都市を築ける。結果としてローマは各地の文化でレンガを作り、そのレンガでローマの都市を築き、結果ローマの版図はギリシャを上回り当時の世界を征服するに至ったという話で、中谷先生曰く「石は金持ちの限界だが、レンガは貧乏人の可能性」という言葉には大いに感じ入りました。この後は木造建築の場合、その発展には必要とされる工法から親密な社会形成が不可欠であることが語られ、各地で形成される社会による建築の違い等、今まで思ってもみなかった考え方や視点に驚かされっぱなしの1時間でした。

20170225_fugo_gt_12トーク後恒例の集合写真。
この後も飲み物片手の懇親会で多いに盛り上がりました。
参加された皆さん、ありがとうございました。


(しんざわ ゆう)

*画廊亭主敬白
サンタフェの悲劇から一年半、リベンジを期して臨んだニューヨークのアートフェアArt on Paperが始まりました。

【art on paper】本日、VIPによるプレオープニングだん。大盛況でした。4時間ずっと喋りっ放しで、作品を説明。建築家やアーティスト、編集者など、総じて好意的な反応ばかり。この感触を大切に、最終日まで駆け抜けたい!
そういえば、今日、会場でニューヨーク在住の日本人の方に「テレビ出てますよね?」と聞かれ、なんとNHKワールド《J-Architects》のファンの方でした!びっくり。(
光嶋裕介さんのtwitterより)

今まで主にアジア圏のアートフェアに色々と参加させて頂いた経験では、VIPプレビューはそれほど混雑しないイメージだったのですが、このart on peparはまだ新しいフェアなのでとにかくスタートを盛り上げる為に集客優先で、VIPチケットをかなり多く撒いたそうで、6時のオープンと同時にもの凄い勢いで来場され、あっという間に大混雑状態でした。
大規模なフェアに比べると会場がそれほど広くないのもありますがとても活気がありました。
自分の作品は3点展示していて、スペースの都合上縦積みの展示で少し位置が高めなのですが、そこに光によっては暗めに見えてしまう青い海空の作品を展示したので、ちょうどライトに反射して美しく輝き、これは遠くからでも目に着きやすいかなと思っていたら見事的中、さらに入り口からの人の流れが自分の作品が目に入る方向だったので、「歩きながら美しいブルーが目に入ったよ」というお客様が多くおられ、嬉しい言葉もたくさん頂けました。
明日から三日間は一般公開で、来場者は例年この初日プレビューが最多だそうですが、土日はまた多くなるそうなので、明日もがんばります。
(野口琢郎さんのfacebookより)

プレビューの結果がスタッフから連絡があったのは時差の関係で昨日のお昼ごろでした。
どうやら滑り出し好調のようです。ほっ!
現地のスタッフも大変ですが、留守番のこちらも胃がきりきりします。

◆ときの忘れものはArt on Paperに出展しています。
artonpaper_small_600


会期:2017年3月2日[木]〜3月5日[日]
VIPプレビュー:2017年3月2日(木)
一般公開:2017年3月3日(金)〜5日(日)11:00〜19:00
(5日は12:00から18:00まで)
会場:Pier 36 New York
299 South St, New York, NY 10002
ときの忘れものブースナンバー:G15
公式サイト:http://thepaperfair.com/ny
出品作家:瑛九磯崎新安藤忠雄内間安瑆野口琢郎光嶋裕介細江英公植田正治堀尾貞治ジョナス・メカス草間彌生マイケル・グレイヴス、他

スタッフSの海外ネットサーフィン No.48「デイヴィッド・ホックニー回顧展」

スタッフSの海外ネットサーフィン No.48
「デイヴィッド・ホックニー回顧展」

Tate Britain, London


読者の皆様こんにちわ。ここしばらくの連載ではアートフェアレポート3回と日本企業の受賞にかこつけたアートアワード紹介で、現在進行形のイベントご紹介は実に昨年の9月ぶりとなります、スタッフSこと新澤です。

tate_britain

若い方は(自分も含めて)「テート」と聞くとサウスバンクの火力発電所を改装したテート・モダンを想像されるでしょうが、今回の対象はその本館であるテート・ブリテンです。
元はナショナル・ギャラリーのイギリス美術専門の分館でしたが、世界の近代・現代美術を扱うようになり1955年にテート・ギャラリーとして独立。その後2000年に近代・現代美術の扱いを分館であるテート・モダンに委譲し、2001年に再びイギリス美術の専門美術館として再スタートしたのが、現在のテート・ブリテンになります。

tate_britain2

そんなテート・ブリテンで今月9日から5月29日まで開催中なのが、今回ご紹介する「デイヴィッド・ホックニー回顧展」です。

1900年代のイギリス美術を代表する作家の一人・デイヴィッド・ホックニー。生誕80周年を迎える今年、テート・ブリテン(イギリス)、ポンピドゥセンター(フランス)、そして、メトロポリタン美術館(アメリカ)を巡回する過去最大級の回顧展として、まずは誕生の地・イギリスでの開催です。

Tate Britain公式動画


60年の長きに渡りペインティング、ドローイング、版画、写真、そしてビデオ等、様々なスタイルと技法で活動を続けてきたホックニーの歩みが、一堂に介する貴重な機会です。
因みにときの忘れものの亭主の自慢話の一つに、大阪の花博のポスターをホックニーに依頼し、アメリカの某港町まで彼をおいかけて行って口説いたというのがあります。
今回ご紹介した動画に興味を惹かれる所があり、また丁度イギリス、フランス、アメリカにタイミングよく赴く機会があれば是非ともお出かけ下さい。

テート・ブリテン公式サイト(英語)
デイヴィッド・ホックニー回顧展ページ(英語)
デイヴィッド・ホックニー公式ウェブサイト (英語)

(しんざわ ゆう)

◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。

スタッフSの海外ネットサーフィン No.47「Art Stage Singapore 2017」レポート

スタッフSの海外ネットサーフィン No.47
「Art Stage Singapore 2017」レポート


ARTSS2017-Logo2

 読者の皆様こんにちわ、年明け早々に記録的寒波が日本を席巻する中、その期間を丸々亜熱帯気候のシンガポールで過ごしてまいりました、スタッフSこと新澤です。

 毎回フェアレポートを書く際に出発時の天候への不満を文頭にしている自分ですが、今回もその例に漏れず悪天候下での出発となりました。救いは去年のように雪ではなかったことですが、年が明けて以来快晴続きだったにも拘わらず、移動当日の、しかも移動時間だけピンポイント(空港に着いたら止んでました)に雨が降られるとか最早自慢できる運の悪さではないでしょうか。

 ともあれ、一旦交通機関に乗ってしまえば後はスムーズで、久方ぶりの成田空港で海外アートフェアでは毎回お世話になっているスタッフ兼作家の秋葉シスイさんと合流し、特にヤマもオチもなくシンガポールでの宿泊先に到着できました。前回のArt Stage Singapore 2016ではホテルが会場からも最寄駅からも遠いせいでフェア開始前と終了後に余計なストレスを溜める羽目になりましたが、今回はそれを教訓に、2014年のSingapore Art Fairの時に宿泊したチャイナタウンのホテルに宿泊。広さ的に言いたいことがないわけではありませんでしたが、値段がリーズナブルで近場に美味しい中華料理が多く、何より会場まで地下鉄1本で3駅というアクセスの良さに勝るものはありませんでした。

 二日目。早朝に現地入りされた箔画家の野口琢郎さんとホテルのフロントで合流し、会場であるマリーナベイサンズへ。昨年と比べた際のアクセスの良さに感動しながらブースに辿り着くと、毎度お馴染みブース内を埋め尽くす木箱、木箱、木箱と木箱。今回も大型木彫を展示する葉栗剛さんと、お弟子の長崎美希さんは翌日合流の為、この日は取り合えず大型作品は木箱から取り出して置いておくに留めて平面作品のみを展示しておき、夕方に現地入りされた葉栗さん、長崎さんと合流後、去年も度々通ったマリーナベイサンズ内の中華レストランチェーン・ディンタイフォンで夕食を食べて終わりとなりました。
シンガポール・設営中公開初日、朝ホテルで助っ人として参加していただいた柳正彦さんとも合流して会場へ向かい、ブースの最終仕上げに。葉栗さんの新大作である《男気》(KABUKI)の設営は、通りすがった顔見知りの配送会社スタッフの方々にも手伝っていただいたおかげであっさり完了。カッティングシールではなくアクリル板を使った画廊ロゴと作家名の看板も取り付けが完了したときの忘れものブース、今回は以下の様になりました:
(撮影:野口琢郎)

ArtSS17_01今回のブース配置はかなり奥まった部分でしたが、会場全体が見回りやすいレイアウトになっていたため、また飲食スペースがすぐ近くにあったために人の入りは少なくなっても途切れることはありませんでした。

ArtSS17_noguchi_01ブース全景。
今回はブースの中央に凹型のストレージスペースを設置し、その外側の壁に立体作品をまとめました。
(撮影:野口琢郎)

ArtSS17_04葉栗剛の新大作《男気》(KABUKI)
ライトの位置より前に出てしまったので逆光気味ですが、そのサイズとダイナミックなポーズで来場者の注目を集めていました。同じポーズを取って撮影している方々も多かったです。

葉栗・赤鬼と青鬼
前回多くのリクエストをいただいていた葉栗さんの小品「赤鬼」「青鬼」、予想通りの大人気でした。
(撮影:野口琢郎)

ArtSS17_06反対側に《男気》(KABUKI(小))(手前)と《かうらいや》(奥)

ArtSS17_07長崎美希の「ああちゃんシリーズ」
《フラフープああちゃん》《鉄棒ああちゃん》は今フェアが初出品。
ArtSS17_32長崎美希
《フラフープああちゃん》
ArtSS17_33長崎美希
《鉄棒ああちゃん》
ArtSS17_34長崎美希
《ぐびっ、ぐびっ》
ArtSS17_35長崎美希
《おおきくなぁれ》
ArtSS17_36長崎美希
《ぺろ、ぺろ》

ArtSS17_08野口琢郎
"Remember me"(左)
"Landscape#39"(右)

ArtSS17_09ル・コルビュジエ
〈ユニテ〉より#11b(上)
〈ユニテ〉より#4(下)

ArtSS17_10磯崎新
"MOCA #3"(左)
"MOCA #1"(右)

ArtSS17_12安藤忠雄
《光の教会》
《住吉の長屋》

クリスト
"Wrapped Vespa, Project, 1963-64"
"Wrapped Bottle and Cans, Project"


ArtSS17_19秋葉シスイ
《次の嵐を用意している》(24)(右)
《次の嵐を用意している》(14)(左上)
《次の嵐を用意している》(8)(左下)

ArtSS17_20浮田要三
《チラシ》

関根伸夫
《空相−皮膚4》

ArtSS17_22ハ・ミョンウン
"BRUSH TREE #1"(上)
"BRUSH TREE #3"(下)

 何処のアートフェアも元気がないといわれる昨今ですが、御多分に漏れず、今回のフェアも全体としてはあまり捗々しくなかったようです。出展画廊数自体が減少しており、裏手のストレージもやや閑散とした印象を受けました。人の入りもVIPプレビュー、一般公開初日共にそれなりにあったものの、人がいる時といない時の差が激しく、また終了時間前の大分前に来場者が来なくなっていたように感じました。
シンガポール・葉栗さんと柳さん
葉栗さん(左)と柳さん(右)
(撮影:野口琢郎)

ArtSS17_noguchi_03フェア会場入場口
(撮影:野口琢郎)
ArtSS17_noguchi_02ブース前通路
(撮影:野口琢郎)

 ですが、おかげさまでときの忘れものは昨年ほどではありませんでしたが、社長に笑顔で迎えてもらえたくらいの成果は達成することができました。三年連続、人気抜群の葉栗剛は出品した6点中4点と、日本にある2点が売約。スペースの都合で今回は凹型のストレージに隠れるように展示されていた定番の草間彌生は大判の物から次々と売約となりお持ち帰り。野口琢郎の大作は、昨年ART TAIPEIにいらっしゃった方が来場されて即決で購入。秋葉シスイの作品も会場と日本にある作品が売約となり、シンガポールでは初出品であるハ・ミョンウンの作品もフェア終了間際に売約となりました。反動と言いますか、去年は売れに売れた安藤忠雄は今年は1点のみの売約でしたが、相変わらず注目度は高く、ブース内に来場者を大勢引き込んでくれました。
シンガポール・交渉中
なにやら深刻な顔で交渉中
(撮影:野口琢郎)

ArtSS17_noguchi_04今回も大型作品が多数展示されていましたが、中でも度肝を抜かれた作品が、左の画像の奥に写っている草間の立体作品。
(撮影:野口琢郎)

 今や世界的に有名な草間彌生の《南瓜》。ときの忘れものが出品した版画+コラージュの《南瓜》も即日売約となる人気ぶりでしたが、他の画廊でも版画は勿論、タブローや手乗りサイズの立体等が出品されていました。そんな中でOPERA GALLERYが展示していた"Pumpkin, small"(ブロンズ、2014年)、うちのクライアントにリクエストされて価格を聞いてみたのですが、何と165万USドル! シンガポールドルではありません、USドルです。約2億円! 以前亭主がこのブログで「1千万の絵を買えない者は1千万の絵を売ってはいけない」と書いていましたが、今更ながらにそれを実感させられました。(OPERA GALLERYは世界10ヶ国に13の画廊を展開する大画廊です)

 人が来ないときは来ないのに、来るときは矢継ぎ早どころか同時に何組かのお客様がブースに来られる時もあったため、最後の二日はバタバタしていた記憶しかありません。ともあれ、売約となった平面作品はほぼ全てがお持ち帰りとなり、大作は海外への配送なので配送業者任せにすることができたお陰で、シンガポールでの滞在最終日は思うさま寝坊した後、ノンビリとオーチャード通りとナショナル・ギャラリーでブラブラと時間を過ごし、今回のフェア出張は終了となりました。
 助っ人として参加していただいた柳正彦さんにはほんとに助けられました。ありがとうございます。

ArtSS17_31滞在最終日にナショナル・ギャラリー前から見たマリーナベイサンズ。

 勿論の事、自分がやっている事である以上トラブルがないわけではありませんでしたが、以前のフェアで作品を購入していただいた方々にもご来場いただけたのみならず、葉栗剛の大作をご購入いただいたご夫妻にはご自宅(大豪邸でした)での夕食にまでご招待いただき、他にも天気は終日快晴(少なくとも自分が出歩いていた時は)、食事も美味い(毎日中華でしたが)、作品も売れたとあれば、文句の言いようもございません。
シンガポール・チャイナタウン
ホテル近くのチャイナタウン
(撮影:野口琢郎)

シンガポール・最後の晩餐
最後の晩餐、心置きなくいただきました
(撮影:野口琢郎)


 来年も是非参加したいところですが、昨今の不況はシンガポールにも影響しており、来年のArt Stage Singaporeの開催も危ぶまれているとか。シンガポールはフェアの数自体はそれなりにあるのですが、Art Stage規模のものはそうはありません。ときの忘れもの作品は特にシンガポール圏で好評をいただいているので、フェア事務局には今後とも頑張っていただきたいものです。

次なる2017年の海外フェアは初参加となるニューヨークの Art on Paper ですが、こちらは未だにアワアワ言いながら準備にてんやわんやになっております。松下君と一緒に20年以上前に1日だけ訪れた地に向かいます。さてどうなることやら…

(しんざわ ゆう)

本日の瑛九情報!
〜〜〜
画廊コレクションから瑛九の初期作品をご紹介します。
瑛九は若い頃の作品を自ら燃やしてしまった時期がありますが、これは幸運にもほぼ無傷で残されたスケッチ帖です。うち2点(頁)には自筆で Q.Ei/38 とサインがされています。
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表紙瑛九スケッチ帖
立正大学新聞臨時増刊「青年の読物特輯」
1938年
装幀原画他、全9ページ 
彩色2頁、鉛筆画4頁、鉛筆書目次他3頁
うち2点に自筆鉛筆サインと年記、5点にスタンプ印あり
各24.5x17.5cm

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〜〜〜
瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で開催されています(2016年11月22日〜2017年2月12日)。外野応援団のときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

スタッフSの海外ネットサーフィン No.46「CORPORATE ART AWARDS 2016」

 読者の皆様こんにちは。光陰矢の如しとはよく言ったもので、2016年もあっと言う間に残り1週間を切った中、来年早々のシンガポール出張の出発日に、どうか今年の1月のように雪が降らないようにと切に願ってやまないスタッフSこと新澤です。

 普段は現在開催中の海外アートイベントか、出展したフェアのレポートを掲載しているこの連載ですが、今回は、先月資生堂が3位を受賞した「CORPORATE ART AWARDS® 2016」について書かせていただきます。

20161226_caa_1

 そもそも「CORPORATE ART AWARDS® 2016」とはなんぞや? という方も多いと思われますが、これは芸術文化に積極的に関わる企業の活動を認め広く知らしめるために、今年初めて設けられた賞です。主催はイタリアに本拠を置き、クラウドソーシングで全世界2,000人のアーティストと彼らを必要とする企業・個人を仲介する「ppt Art」とこちらも2,000以上の国際・国内企業と繋がりのあるイタリア・ローマの名門大学、LUISSグイドカルリ大学の一部門である「LUISS BUSINESS SCHOOL」との共催で、イタリア文化財・文化活動・観光省も後援している、イタリア主体の賞となっています。
 公式ウェブサイトでは「芸術文化活動はCSR(Corporate Social Responsibility:企業社会貢献)の究極の表現である。芸術文化活動に積極的に関わる企業は、道徳、環境、社会にも積極的に関わり、収益面でも成功しているケースが多い」と記載されており、個人では実現できない規模の芸術活動を推奨しています。

 開催1回目の今年は22ヵ国から80の企業がエントリーし、各社が芸術文化活動に取り組むことになった経緯や、所蔵するコレクションには企業文化がどのように反映されているか、芸術文化活動をどのように経営に反映させているか、といった観点から選考が行われました。コカ・コーラやマスターカードという世界に名だたる企業が参加する中、「最も古くからギャラリーを運営し、幅広い芸術文化活動を行っている」という理由から資生堂が第3位に選出されました。
おめでとうございます!

 以下は受賞企業とその選考理由です。

「CORPORATE ART AWARDS® 2016」上位入賞企業

【順位】第1位 
【企業名】インテサ・サンパオロ銀行
【受賞理由】15世紀から現代までの美術作品を収集し、同行が所有するミラノ、ベネチア、ナポリにある宮殿で公開をしている。

【順位】第1位
【企業名】ドイツ銀行
【受賞理由】各リージョンのヘッドオフィスが主体的に、主に平面の作品・写真、絵画を収集。オフィス内で展示を行い、外部の美術館へ貸し出しをしている。

【順位】第2位
【企業名】アメリカン・エキスプレス
【受賞理由】イタリアの文化遺産の修復・発掘を支援している。

【順位】第3位
【企業名】資生堂
【受賞理由】最も古くからギャラリーを運営し、幅広い芸術文化活動を行っている。
(資生堂ギャラリーの歴史については<『資生堂ギャラリー七十五年史』の編纂を終えて>をお読みください。)

 インテサ・サンパオロ銀行(Intesa Sanpaolo)はイタリア・トリノに本拠を置くユーロ圏有数の銀行グループでイタリア最大規模の金融機関の一つ。ミラノのGallerie di Piazza Scalaは8,300m2の敷地内にある4つの伝統建築内に、同行及び協賛者が所有する、19世紀〜20世紀の美術品400点が無料で開放されています。

 ドイツ銀行はその名に恥じないドイツ最大のメガバンクで、1870年の開行から二年後に、初の海外支店を横浜に開いた過去があります。最も、こちらは経営難で1875年に閉鎖されてしまっていますが。現在規模の大小はあれど900の支店で美術品の展示を行っており、フランクフルトのヘッドオフィスではビルの各階につき1名の作家作品を展示するという"Art in the Towers"を、60階に渡って展開しています。

 1850年に荷馬車運送会社として開業し、現在ではいわずと知れたクレジットカード業界の巨人の一人であるアメリカン・エキスプレス、受賞理由は「イタリアの文化遺産の修復・発掘を支援している」とありますが、これは別にイタリアに限った話ではなく、援助している「ワールド・モニュメント・ウォッチ」プログラムは世界各地の文化資産の保護・振興に努めており、日本でも東日本大震災で損壊した宮城県雄勝の天雄寺本堂修復支援(2014年)や、名古屋城本丸御殿の障壁画の修復支援(2007年)を行っています。

 かくも錚々たる面々の中に日本企業が肩を並べているというのも嬉しいですが、エコノミックアニマルだのワーカホリックだの揶揄されていた日本人が美術の本場にてその文化貢献を評価されたとなると、感動も一入です。海外に日本美術界を注目してもらうため、資生堂には是非今後も頑張っていただきたいです。

 今年も一年、私の連載にお付き合いいただきありがとうございました。
 いつまで続くのは分かりませんが、来年もお読みいただければ幸いです。

 それでは皆様、良いお年を。

(しんざわ ゆう)

本日の瑛九情報!
〜〜〜
1988年(昭和63)の今日12月26日、瑛九の兄・杉田正臣さんが亡くなりました。享年89。
良き理解者として終生弟を支え、弟よりずっと長生きして「瑛九の会」発起人の一人としてその顕彰に尽力されました。私たちが初めて宮崎を訪ねた1975年頃はとてもお元気で、弟のことを語ってくれました。
正臣さんは、杉田直の長男として生まれ、父の眼科医院を継ぎ、父と同じく自由律の俳人でした。井蛙(せいあ)と号し、エスペラント語も学び、瑛九に大きな影響を与えました。
父とともに集めた俳諧関係の資料類は、1985年(昭和60)宮崎県立図書館に約1万2千点にのぼる杉田文庫として寄贈されました。
杉田正臣著_600
杉田正臣著
『父/暁天/瑛九抄』
2000年
鉱脈社刊行

父のこと、弟瑛九のことを深い愛情をもって書き残しています。

1979年小田急・瑛九展会場入り口
現代美術の父 瑛九展
会期:1979年6月8日〜20日
会場=新宿・小田急グランドギャラリー、
主催=瑛九展開催委員会、後援=文化庁・瑛九の会

1979年小田急・瑛九展会場
瑛九最晩年の点描の大作がずらり。このときはまだほとんどが個人蔵でした。

1979年小田急・瑛九展レセプション
レセプション会場にて。左から杉田正臣さん(瑛九の兄)、郡司君さん(瑛九の姉)、杉田都さん(瑛九夫人)、靉嘔先生。

小田急瑛九展フライヤー
同展フライヤー
〜〜〜
瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で始まりました(11月22日〜2017年2月12日)。ときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

●ときの忘れものは2016年12月28日(水)〜2017年1月16日(月)まで冬季休廊です。
いつもより長い冬休みですが、お正月早々、ART STAGE SINGAPORE 2017に出展するためです。
また銀座のギャラリーせいほうで開催される「石山修武・六角鬼丈 二人展ー遠い記憶の形ー」(2017年1月10日〜1月21日)に企画協力しています。
メールやネットでのお問合せ、ご注文には通常通り対応いたします(日・月・祝日を除く)。

◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
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ギャラリー&編集事務所「ときの忘れもの」は建築家をはじめ近現代の作家の写真、版画、油彩、ドローイング等を扱っています。またオリジナル版画のエディション、美術書・画集・図録等の編集も行なっています。
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