瀧口修造の世界

新連載・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」第0回

新連載・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」

第0回 瀧口修造の本/瀧口修造とマルセル・デュシャン補遺3


口上
 「瀧口修造の本」という表題のもと、著書・訳書などについて連載するよう、綿貫不二夫氏から依頼され、毎月23日に登場することになりました。簡潔を旨としてまとめますので、お付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
今回は以前連載していた「瀧口修造とマルセル・デュシャン」の「補遺3」も兼ねて、昨年開催された「瀧口修造・岡崎和郎二人展」のカタログ《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》についてご紹介します。

1.《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》
 この「瀧口修造・岡崎和郎二人展」は、マルセル・デュシャン生誕130年を記念して、2017年1月7日(土)〜2月12日(日)に、京都の画廊ozasa kyotoの企画展として開催された展覧会でしたが、私のコレクション展「瀧口修造の光跡」の第5回でもありました(以前の連載「瀧口修造とマルセル・デュシャン」の「補遺」参照)。

図1図1
瀧口修造・岡崎和郎二人展 会場写真1(撮影:土渕信彦。以下同じ)


図2図2
同2


 展示点数40点と小規模ながら、デュシャン生誕130年(あるいは「泉」100年)に因むさまざまな企画の、露払いの役割は果たせたのではないかと自負しております。開催地が瀧口にとってアウェイ(?)である京都だった上、天候にもあまり恵まれませんでしたが、熱心な来廊者が後を絶たず、3回開催したイベントも大盛況でした。たいへんありがたく思っております。

図3図3
瀧口修造・岡崎和郎二人展 会場写真3


図4図4
同4


 そしてこのたび、同展のカタログ《to and from Kazuo Okazaki / to and from Shuzo Takiguchi》が刊行されました。ozasa kyotoを運営しているARTOFFICE OZASA Inc.が1年がかりで編集に当たり、刊行に漕ぎ着けたものです。同画廊の企画展ですので、カタログ制作に関してもお任せすることとし、私は展覧会開催前にいくつかの提言・助言をした以外、まったく関与しませんでした。これが奏功したのでしょう、たいへん美しいカタログが出来上りました。用紙の色違いにより白版とクリーム版の2種があり、甲乙つけがたい仕上がりと思います。

図5図5
岡崎和郎側表紙(左:白版、右:クリーム版)


図6図6
瀧口修造側表紙(同)


 全体は岡崎作品の部と瀧口作品の部の2部で構成され、頁番号(ノンブル)こそ岡崎側から打たれていますが、瀧口側・岡崎側のどちらも表表紙といえる、どちら側から開けてもそのまま見ていくことができる造本となっています。すなわち、岡崎側は縦組右開けで、表紙を開けると見返しに瀧口が岡崎に捧げた序詩「彼の微笑、それから」が現れ、瀧口側は横組み左開けで、表紙を開けると同じく序詩”His smile, and”が現れます。どちら側も作品図版頁、作家略歴、作品リストが続き、開催趣旨の頁および奥付頁が真中に配ざれています。なお、二人の共作「檢眼圖」の図版は開催趣旨の頁に掲載されています(図12参照)。

図7図7
「彼の微笑、それから」


図8図8
“His smile, and”


 瀧口・岡崎とも実作の要所要所に赤色が用いられていることに応じたものと思われますが、各頁とも刷りを墨と赤の2色に絞り(瀧口作品頁の地色であるクリーム色を含めると3色)、墨の濃淡を基調に、所々で赤色が配されています。どの頁も研ぎ澄まされた感覚により見事に洗練されています。

 表紙を貼り込みにし、しかし綴じの部分はあえて貼らず、表紙を開けると背の内側に隙間ができるようにするという、手の込んだ綴じ方が採用されています。その隙間から表紙裏に配された赤色が顔を覗かせ、まるで着物の裾からちらりと襦袢が見えるような、エロティシズムを感じさせます。頁を繰るたびに斬新さに目を瞠らされ、全体を通じて衝撃的な存在感があります。

図9図9
岡崎和郎図版頁1


図10図10
瀧口修造図版頁1


 以上のような全体の構成・設計およびデザインは、国立国際美術館や京都国立近代美術館のカタログも担当されている大御所の西岡勉氏によるもので、「素晴らしい!」という以外に言葉が見当たりません。

図11図11
開催趣旨頁(和文)


図12図12
同(英文)


 このデザインに大きく貢献しているのが山本糾氏撮影の写真と思われます。2010年9月〜11月に神奈川県立美術館で開催された「岡崎和郎展 補遺の庭」の際にも撮影を担当されており、岡崎作品の撮影者としてこれほど適任の方は考えられません。本展のためにozasa kyotoでの撮影に立ち会わせていただきましたが、カタログ写真の圧倒的な説得力を目の当たりにし、改めてお仕事の緻密さを認識させられた次第です。

図13図13
岡崎和郎図版の頁2


図14図14
同3


 瀧口の平面作品の図版は、土渕が提供したカラー・ポジフィルムに基づいています。オブジェではなく平面なので、岡崎側から頁を繰って行くと、さすがに2色では物足りない印象もありますが、クリーム色の地色が、実作のさまざまな色彩やニュアンスを想像させ、見事に補っています。なお、瀧口作品の図版頁は、白版でもクリーム版同様、地がクリーム色に彩色されています。

図15図15
瀧口修造図版頁2


図16図16
同3


 瀧口、岡崎ともに、近年ますます海外から熱い視線が注がれていますが、このカタログでは、開催趣旨や瀧口による序詩はもちろん、作品名、作家略歴、展示リスト、開催趣旨、奥付に至るまで、英文・和文の2ヶ国語で表記されており、海外からの注目にも応えられるでしょう。自らの所蔵品によって企画展が開催されただけでなく、このような美しいカタログまで制作していただけて、まさにコレクター冥利につきます。展覧会を開催し、カタログの制作者であるARTOFFICE OZASA Inc.の小笹義朋氏、並びに小笹氏を紹介してくださった畏友のマン・レイ・イスト石原輝雄氏に、心より感謝申し上げます。

2.奥付データなど
 白版・クリーム版とも菊判65頁(縦220×横150×厚さ10弌砲如奥付データは以下のとおりです。なお刊行部数並びに価格の表記はありませんが、白版・クリーム版各500部、1冊各3000円(税込み)と聞いています。

編集:ARTOFFICE OZASA Inc.
写真:山本 糾 No.1〜No.3, No.5, No.6, No.10, No.12〜No.18, No.20, No.21
写真提供:土渕信彦 No.22〜No.36, No.39, No.40’ ときの忘れもの No.38
翻訳:渡辺真也
デザイン:西岡 勉
印刷:株式会社スイッチ・ティフ+クラフティー・デザイン

発行日:2018年1月
発行:ARTOFFICE OZASA Inc.
〒602-8216 京都市上京区竪門前町414 西陣産業会館207(西陣織会館西館)
TEL:075-417-4041 E-mail:mail@artozasa.com URL:www.artozasa.com

つちぶち のぶひこ

土渕信彦 Nobuhiko TSUCHIBUCHI
1954年生まれ。高校時代に瀧口修造を知り、著作を読み始める。サラリーマン生活の傍ら、初出文献やデカルコマニーなどを収集。その後、早期退職し慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了(美学・美術史学)。瀧口修造研究会会報「橄欖」共同編集人。ときの忘れものの「瀧口修造展機銑検廚魎峠ぁまた自らのコレクションにより「瀧口修造の光跡」展を5回開催中。富山県立近代美術館、渋谷区立松濤美術館、世田谷美術館、市立小樽文学館・美術館などの瀧口展に協力、図録にも寄稿。主な論考に「彼岸のオブジェ―瀧口修造の絵画思考と対物質の精神の余白に」(「太陽」、1993年4月)、「『瀧口修造の詩的実験』の構造と解釈」(「洪水」、2010年7月〜2011年7月)、「瀧口修造―人と作品」(フランスのシュルレアリスム研究誌「メリュジーヌ」、2016年)など。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20180423_takiguchi2014_II_29瀧口修造
《II-29》
デカルコマニー
イメージサイズ:11.2×7.3cm
シートサイズ :19.4×13.2cm
※II-30と対


20180423_takiguchi2014_II_30瀧口修造
《II-30》
デカルコマニー
イメージサイズ:11.2×7.5cm
シートサイズ :19.3×13.2cm
※II-29と対


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●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 92ページ
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー 英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円


表紙『瀧口修造展 I』
2014年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 76ページ
テキスト:土渕信彦、瀧口修造(再録)
ハードカバー 英文併記
翻訳:ポリー・バートン
デザイン:北澤敏彦
図版:水彩、ドローイング、ロトデッサンなど44点
価格:2,000円(税別) ※送料別途250円

表紙『瀧口修造展 II』
2014年 ときの忘れもの 発行
21.5x15.2cm 67ページ
ハードカバー 英文併記
テキスト:大谷省吾、瀧口修造(再録)
翻訳:ポリー・バートン
デザイン:北澤敏彦
図版:デカルコマニー47点
価格:2,000円(税別) ※送料別途250円

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◆ときの忘れものは「ボブ・ウィロビー写真展〜オードリー&マリリン 」を開催しています。
会期:2018年4月10日[火]―4月28日[土]
11:00-19:00  ※日・月・祝日休廊

数々のスターが主演するハリウッド映画のメイキング・シーンを撮影してきた「スペシャル」フォトグラファー、ボブ・ウィロビーが1950-60年代に撮影したオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローのポートレートをご覧いただきます。詳しい出品リスト(25点)はホームページに掲載しました。
また10万冊を所蔵する雑誌図書館六月社の協力を得て、映画専門誌以外のオードリー・ヘプバーンとマリリン・モンローのゴシップ記事などを掲載した30年ほど前の雑誌60種類を図書室で公開しています。ぜひ手にとってご覧になってください。
201804_willoughby

●出品作品を順次ご紹介いたします
22_BWP143-Marilyn-and-Cukorボブ・ウィロビー
《Monroe, Marilyn, 1960
Marilyn Monroe and director George Cukor take a break on the set of "Let’s Make Love," 1960》(BWP143)

※「恋をしましょう」
1960(Printed in 2018)
Archival Digital Pigment Print
Image size: 31.4×45.7cm
Sheet size: 40.6×50.8cm
Ed.25
クリストファー・ウィロビーによるスタンプとサインあり

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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「TOKYO NETURE PHOTOGRAPHY」は毎月19日の更新です。
 ・柳正彦のエッセイ「アートと本、アートの本、アートな本、の話し」は毎月20日の更新です。
 ・土渕信彦のエッセイ「瀧口修造の本」は毎月23日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
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 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は随時更新します。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・西岡文彦のエッセイ「現代版画センターの景色」は全三回、1月24日、2月14日、3月14日に掲載しました。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は終了しました。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は終了しました。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は終了しました。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は終了しました。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新しい空間についてはWEBマガジン<コラージ12月号18〜24頁>に特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第12回(最終回)

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第12回(最終回)

 一年間の長丁場でしたが、この連載も今回で最後となりました。お付き合いくださった読者の皆様には感謝いたします。
瀧口修造は、孤高でありながら磁場のような存在として多くの人を引き付ける魅力を持ち、創造の根源を問い続けるかのような詩・造形作品や美術評論は今なお比類ない輝きを放っています。このエッセイに触れて一人でも多くの方が瀧口に関心を寄せていただければ幸いに存じます。
さて、今回は私にとって最も印象的な展覧会となった2013年の小樽で開催された「詩人と美術 瀧口修造のシュルレアリスム」展について紹介したい。

01「詩人と美術 瀧口修造のシュルレアリスム展」チラシ


02同上


 この展覧会は、小樽を皮切りに岩手の花巻、山形の天童、そして栃木の足利へと巡回された。私が小樽を選んだのは、瀧口にとって第二の故郷と言ってもよい土地だったからである。5月31日に松山発東京経由の飛行機で新千歳空港へ着き、札幌から電車で小樽へ向かった。同宿のホテルで土渕信彦さんと落ち合った時はすでに夕刻に近かったが、土渕さんの案内で瀧口とゆかりのある場所を足早に見て回った。まず向かったのは、「自筆年譜」にある1924〜25年にかけて三人姉弟で営んでいた花園女学校(現・花園小学校)前の文房具兼手芸材料店跡である。

03花園小学校


04文房具兼手芸材料店跡と推測される場所


 それから、同人誌「山繭」(1926年10月号)に発表された「冬」と題する私小説的散文の舞台と思しき小高い丘にある小樽公園、瀧口がよく通っていたという小樽図書館(現在の建物は1982年落成)、「三夢三話」(「草月」第80号1972年刊)に出てくるゴッホが描いたオーヴェルの役場を彷彿とさせるカトリック富岡教会などである。

05小樽公園の坂道


06小樽公園より市内を望む


07小樽図書館


08カトリック富岡教会


08-2「三夢三話」より(草月80号 1972年)


 翌6月1日の午前中に土渕さんと共に展覧会場の市立小樽文学館と市立小樽美術館(併設)を訪れ、文学館副館長の玉川薫さんと美術館副館長の旭司益さんにご挨拶してから観覧した。展示で注目したのは、やはり瀧口と小樽に関わる写真や史料だった。カタログにも瀧口の「自筆年譜」の草稿や原稿とその基となった手帳が紹介され、調査資料や注釈も加えた「自筆年譜」増補版とも言うべき内容が収録されていた。

09市立小樽文学館・美術館


10同上入口


11同展カタログ


 この日は午後5時から巖谷國士さんの講演が予定されており、昼前に会場に姿を見せておられたので、売店に並べられていた著書「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」(平凡社コロナ・ブックス)を購入しサインを戴いた。この本は、徳島で開催中の同名の展覧会のカタログを兼ね、沢山の図版と共にシュルレアリスムについてわかりやすく解説されている。

12巖谷國士さん


13巖谷國士著「〈遊ぶ〉シュルレアリスム」


 講演までにかなり時間があるので、土渕さんと一緒に小樽駅から電車で北海道屈指の海水浴場のある蘭島海岸へ行くことにした。ここは瀧口にとってとりわけ思い出深い場所だったからである。

14小樽駅


 「ひと夏を北海道の蘭島海岸で、むつかしいブルトンの「宣言書」や「磁場」を相手に、未熟な語学力でたたかった。白骨のような樹の根が打ち揚げられた砂浜で、僕はちょうど現実の漂流物の間に立ちすくんだような気がしていた。そうして一つの別な車輪が勢いよく廻り初めるのを意識した。」(「ある時代」1939年10月「蠟人形」掲載)と追想している。

15蘭島海岸


16同上


17蘭島海岸で拾った石と貝殻


 この時期については、土渕さんは1927年か28年のどちらかと推察されているが、(「橄欖第二号「瀧口修造と小樽―詩「カヒガラ」をめぐって」2012年刊)重要な体験であったことは間違いないだろう。
二人で砂浜を歩きながら瀧口のことを偲んだ。ついでに蘭島に近い余市町の縄文遺跡「フゴッペ洞窟」まで行ってから小樽市内に戻り、戦前からある喫茶店「光」に入ったり運河を観光したりした。

18喫茶店「光」


19日本銀行旧小樽支店


20小樽運河


 巖谷さんの講演は「瀧口修造・小樽・シュルレアリスム」と題し、A4サイズで8ページに及ぶ瀧口の文章を抜粋した資料も配布されていた。ウィリアム・ブレイクの影響や小樽で書かれたと推察される散文「冬」における長姉みさをへの思慕、シュルレアリスムの受容などについて話されたが、小樽の地も手伝ってか瀧口の存在が身近に感じられる濃密な時間となった。この講演会には長姉の夫であった島常次郎のご子息の常雄さんも来ておられた。先に述べた文房具兼手芸材料店は「島屋」と名乗り、戦後に移転(現・島常雄さん宅)したが1988年まで営業していたそうである。

21巖谷國士講演会資料


221958年頃の「島屋」(カタログより)


 初めて小樽を訪れ、短い滞在ではあったが僅かながらも瀧口の足跡を辿り、現地を見ることの大切さを学ぶことが出来た。そして、山々を背に海に面したこの北の街に親しみを覚えた。
最後に、近年開催された画廊における瀧口修造展をいくつか紹介しておきたい。瀧口の作品に直に接する機会を得るには画廊の果たす役割が重要だと思うが、東京では「ときの忘れもの」が2014年から2015年にかけて「瀧口修造展」を4回開催している。残念ながらいずれも見には行けなかったが、これほど積極的に取り上げている所は他に無く、合わせて立派な図録も刊行されている。

23ときの忘れもの「瀧口修造展」案内状


23-2同展図録


 これが起点となって大阪のTEZUKAYAMA GALLERY で展覧会が開かれ、6月7日に同会場で二つのイベント「瀧口修造の講演を聞く会」と国立国際美術館副館長(当時)の島敦彦さんと土渕さんによるトークショーが行われた。私は瀧口の音声を聞くのはこの時が初めてだったが、イメージしていたものとは違っていた。トークショーでは島さんが大阪の北画廊で催された瀧口の第二回個展(1961年)の芳名帳を持参し、そこに署名のある著名人たちを紹介されていた。この会場で綿貫御夫妻や富山の瀧口研究家萩野恭一さんに初めてお目にかかり、愛媛から来たというコレクターの安田逸美さんとも知り合うことができた。関西には少ない現代美術を扱う画廊で、代表の松尾良一さんはバイタリティーを感じさせる方だった。

24TEZUKAYAMA GALLERY「瀧口修造の展」案内状


25TEZUKAYAMA GALLERY


26瀧口修造の講演を聞く会


27島敦彦+土渕信彦トークショー


 2016年7月には名古屋の SHUMOKU GALLERY でも瀧口展が行われ、オープニングに参加した。名古屋ボストン美術館長(当時)の馬場駿吉さんと愛知県美術館長(当時)島敦彦さんによる対談があり、馬場さんのコレクションにまつわるお話が大変興味深かく、「アララットの船あるいは空の蜜へ小さな透視の日々」の手稿本を見せていただいた。画廊主の尾松篤彦さんは若く美的センスを感じさせる方で、瀧口についてもっと知りたいと語っていたのが印象的だった。

28SHUMOKU GALLERY「瀧口修造展」案内状


29馬場駿吉+島敦彦講演会(撮影・安田逸美)


30「アララットの船あるいは空の蜜」手稿本(撮影・安田逸美)


 2017年には京都のART OFFICE OZASA INC.でマルセル・デュシャン生誕130年を記念して「瀧口修造・岡崎和郎 二人展」が行われた。2月4日に土渕さんのギャラリートークに合わせて久しぶりに古都を訪れた。画廊は西陣織会館の奥まった二階にあり、やや狭いながらも静謐な空間が好ましく、画廊主の小笹義朋さんには先の名古屋の展覧会で一度お会いしていた。会場には石原輝雄さんとその友人でレコードコレクターの森田真さん、画家の林哲夫さん、写真家の夜野悠さんや「具体」の作家今井祝雄さんのお姿もあった。

31「瀧口修造・岡崎和郎二人展」案内状


32ART OFFICE OZASA.INC


33同上


34土渕信彦ギャラリートーク


 画廊間のネットワークを通して人と人との繋がりが生まれ、瀧口作品の魅力が広く伝わっていくことは望ましいことであり、今後の活動にも期待したいと思う。
結びに、この連載を強く薦めていただいた我が瀧口修造研究の先達にして畏友の土渕信彦さん、このような場を提供・発信していただいた綿貫令子、不二夫さんと担当の秋葉恵美さんに厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(了)
せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20180220_takiguchi2014_III_14瀧口修造
"III-14"
デカルコマニー、紙
イメージサイズ:18.5×13.9cm
シートサイズ :18.5×13.9cm

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◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
詳細な記録を収録した4分冊からなるカタログはお勧めです。ぜひご購入ください(2,200円)。
会期:2018年1月16日(火)〜3月25日(日)
埼玉チラシAY-O600現代版画センターは会員制による共同版元として1974年〜1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、280点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。

○<埼玉近美「版画の風景」観た。なんだかとても懐かしい気分になり、セゾン文化やもの派の時代の頃に戻った気がした。それはただの感傷だけでも無く、失われた美術や今、カオスラウンジなどが行ってることに繋がっている。
(20180213/Taxxakaさんのtwitterより)>

○<‏ 観てきたというより食べてきた感じ(伝わらない)
どっしりじっくり楽しかった!

(20180210/理沙さんのtwitterより)>

○<今日は、お目にかかれて幸いでした。
まずは盛況、お祝い申し上げます。
私は、ご夫妻の歴史はもとより、「現代版画センター」についてもほとんど存知あげないので、その意味でも興味津々で出向きました。
無知を恥じつつ申し上げますが、本当に素晴らしい活動を展開されていたのですね。
どれほどの情熱を持って打ちこまれていたか……展示からひしひし伝わってくるだけに、クローズされたときの無念さ、ご苦労、いかばかりかとお察しします。
ご夫婦おふたりで乗りこえていらしたのですね。
それだけに今回の展覧会へのご感慨もひとしおかと、私まで胸が熱くなります。
もちろん展示作品そのものにも目を奪われました。珠玉の作品ぞろい。当時の「版画センター」の充実ぶりがまざまざと想像できます。時間がゆるせば、資料もじっくり読みたいところでした。
渋谷在住の、版画をやっている友人にも勧めました。14日に伺うそうです。
楽しいご気分の張りが続くと思いますが、お疲れが出ませんよう、くれぐれもご自愛ください。

(20180211/MKさんからのメールより)>

西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色が始まりました(1月24日、2月14日、3月14日の全3回の予定です)。草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半〜トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでーー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。

光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について(1月28日ブログ)

荒井由泰さんのエッセイ「版画の景色―現代版画センターの軌跡展を見て(1月31日ブログ)

スタッフたちが見た「版画の景色」(2月4日ブログ)

毎日新聞2月7日夕刊の美術覧で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は永田晶子さん、見出しに<「志」追った運動体>とあります。

倉垣光孝さんと浪漫堂のポスター(2月8日ブログ)

嶋吉信さんのエッセイ〜「紙にインクがのっている」その先のこと(2月12日ブログ)

大谷省吾さんのエッセイ〜「版画の景色−現代版画センターの軌跡」はなぜ必見の展覧会なのか(2月16日ブログ)

○埼玉県立近代美術館の広報誌 ソカロ87号1983年のウォーホル全国展が紹介されています。

○同じく、同館の広報誌ソカロ88号には栗原敦さん(実践女子大学名誉教授)の特別寄稿「現代版画センター運動の傍らでー運動のはるかな精神について」が掲載されています。

現代版画センターエディションNo.183 一原有徳「SEN」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
183_一原有徳《<現代と声>より 、SEN》一原有徳
<現代と声>より《SEN》
1977年  銅版(作家自刷り)
Image size: 39.5×30.5cm
Sheet size: 65.1×50.2cm
Ed.100   サインあり

パンフレット_05
出品作家45名:靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください


●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円



●日経アーキテクチュアから『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』が刊行されました。
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。日経アーキテクチュア編集長のコラム<建築家・安藤忠雄氏の言葉の力:第3回>で、出江寛先生、石山修武先生の次に紹介されていますので、お読みください。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
20170707_abe06新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。18〜24頁にときの忘れものが特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第11回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第11回

 2005年1月に横浜美術館で開催されていた「マルセル・デュシャンと20世紀美術」展を土渕信彦さんに誘っていただき一緒に観覧した。1981年の高輪美術館以来の日本での大規模なデュシャン展だったが、デュシャンに影響を受けた作家の作品も陳列され、改めてデュシャンが20世紀美術にもたらした衝撃の大きさを物語っているようだった。

01「マルセル・デュシャンと20世紀美術」展カタログ

 
 2月には世田谷美術館で「瀧口修造 夢の漂流物」展(富山へも巡回)が開催された。このカタログの執筆と参考資料の編集に関わった土渕さんの計らいで私宛にも招待状(瀧口が好んで付けたラベルの意匠の)が届いたが度々上京することはかなわず、瀧口の書斎に遺されていた沢山のオブジェや作品などが一点ずつカラー写真に収められた分厚い図録を見て我慢するしかなかった。

02「瀧口修造夢の漂流物」展チラシ


03同上


04同上・案内状と招待状


05同上カタログ


 その年の12月には慶応義塾大学アート・センターにおいて「瀧口修造1958−旅する眼差し」展も開催された。瀧口のご遺族から寄贈された資料(瀧口修造アーカイヴ)を基に瀧口の生涯の転機となった欧州旅行に焦点をあてた企画である。小冊子のカタログも出たが旅の記録をコンパクトに纏めた貴重な資料となっている。その研究成果の一環として後に「To and From Shuzo Takiguchi」と題する論集や欧州旅行の写真資料等を箱に収めた特装限定本も刊行された。

06瀧口修造1958−旅する眼差し」展案内状(左)とカタログ(右)


07To and From Shuzo Takiguchi


08「瀧口修造1958ー旅する眼差し」特装本刊行案内


 2009年に瀧口歿後30年を記念して土渕さん企画・構成による「瀧口修造の光跡吉というもの」展が日本橋茅場町にある森岡書店で開催されることになり、最終日の7月11日のギャラリートークに合わせて上京した。

09「瀧口修造の光跡吉というもの」展案内状


 「美というもの」は瀧口が1962年に母校の県立富山高校で行った講演の題名で、瀧口の講演自体が珍しく、録音も残されており、それを土渕さんが全て文字に起こし資料や写真を添えてカタログに収録された。

10同上カタログ


 会場は川沿いの古いビルの三階にあって、まるで昭和初期の映画にでも出てきそうな佇まいで、本が置かれた部屋に並べられた作品を見て書斎のようだと思った。

11白いビルの三階に森岡書店


12森岡書店


 この日、造形作家の岡崎和郎さんと空閑俊憲さんが一緒に来ておられたのに驚いた。実はこの時まで二人は同一人物だと勝手に思い込んでいたのである。瀧口綾子夫人による「自筆年譜・補遺」の1976年の箇所に「岡崎和郎作品集『空閑俊憲』制作に序文。」とあるのを作品集の題名と勘違いしていたのだが、編集・発行人が空閑俊憲さんだった。岡崎さんは1960年代から一貫して「御物補遺」をテーマにオブジェの制作を続けている稀有な作家で「デュシャン語録」や「檢眼圖」の制作にも協力している。

13「岡崎和郎の作品1962−1976」


 なお、土渕さんの「瀧口修造の光跡」と題されたコレクション展はこの後毎年行われ4回続いた。

14「瀧口修造の光跡供.妊奪汽鵑垢觴蝓彭鍵篤眈


15「瀧口修造の光跡掘”瓦隆磴諒語」展案内状


16「瀧口修造の光跡検ー蠅先、先が手」展案内状


 2011年11月から千葉市美術館で「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展が開催され、巖谷國士さんの講演と関連企画「瀧口修造の光跡敬瓦隆磴諒語」展に合わせて12月11日に見に行った。

17「瀧口修造とマルセル・デュシャン」展チラシ


18同上


19千葉市美術館


20「瀧口修造の光跡 百の眼の物語」展会場にて(撮影・石原輝雄)


 石原輝雄さんに再会し、稲垣足穂のコレクターである古多仁昂志さんを紹介された。前日に神田の田村書店に立ち寄ったが、古多仁さんも行ったらしく店主の奥平さんから私の名前を聞いたと話された。
瀧口と足穂が戦前に会っていたことは瀧口の「自筆年譜」(1928年)に記されているが、「詩と詩論」誌上の接点はあるものの交流していた形跡は見当たらない。だが、後年における足穂のデュシャンやオブジェについての言及を見るとこの二人には通じるところがあったと思われ、古多仁さんが見に来ていたのも頷けた。その後、古多仁さんからコレクション展や個展の案内状などを戴いたが、尋常ならざるタルホニストであることを知った。

21「稲垣足穂作品集」別巻付録より(潮出版社1975年刊)


22「コタニ・プレイズ・タルホ」より(喜多ギャラリー2011年刊)


 瀧口を研究されている詩人の林浩平さんも来ておられたが、林さんはかつてNHK松山局のディレクターをしていたことがあり、その関係で愛媛出身の彫刻家森堯茂さんと親交があった。1994年に松山三越での森堯茂彫刻展で林さんと初めてお会いした時に私が瀧口に関心を持っていることを話して以来、久万美術館や瀧口関連の展覧会などでお目にかかるようになった。森さんは戦後における抽象彫刻の草分け的存在で、自由美術家協会に所属していた頃に瀧口から「緊密な構成力を示している」と評されたこともあった。

23瀧口の展評(読売新聞1956年)


 森さんは「私にとりましても大きな意味のある人で時をへると共により鮮明に人間像が甦ってくるような気がします。」と私信に書いてこられた。1997年に愛媛県立美術館で作家活動50年記念展が開かれ、立派な作品集も刊行されている。

24森堯茂彫刻展案内状(愛媛県立美術館


25森堯茂作品集刊行案内


 2007年にも久万美術館で回顧展があり、林さんのプロデュースにより詩人の吉増剛造さんを招いて映像詩の朗読が行われた。林さんから吉増さんに紹介され、予め持参していた詩集「頭脳の塔」にサインをして貰った。なお、昨年森堯茂さんは95歳で亡くなられた。

26吉増剛造詩集「頭脳の塔」サイン

 
 千葉市美術館にはフランス文学者で放送大学名誉教授の柏倉康夫さんも見えられ、石原さんや土渕さんと親しく話しておられたが私は初対面だった。柏倉さんはマラルメの研究者として知られ、美術への造詣も深く銅版画家の浜口陽三と親交があった方である。
展覧会場を出るとすでに日は暮れて寒かったが、柏倉さんと同行の女性たちと一緒に土渕、石原、私の三人も電車で移動し、幕張メッセの近くのレストランで夕食を共にしながら歓談した。

27柏倉康夫さんを囲んでの記念写真


せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20180120_takiguchi2014_II_18瀧口修造
"II-18"
デカルコマニー
イメージサイズ:15.7×9.0cm
シートサイズ :19.3×13.1cm
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◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が始まりました。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
会期:2018年1月16日(火)〜3月25日(日)
埼玉チラシ菅井600現代版画センターは会員制による共同版元として1974年〜85年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、約300点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。同館の広報誌もお読みください。

○<「版画の景色 現代版画センターの軌跡」at 埼玉県立近代美術館。
個人的には、菅井汲さんの作品が多く観られたのと、メカスのショートフィルムが観られた事が嬉しかった!それと、今まで存じ上げなかった柳澤紀子さんの作品を観られた事も。
後期の展示も楽しみです!(о´∀`о)

ParticlesOfTwilightさんのtwitterより)>

○<北浦和にある埼玉県美にて《版画の風景〜現代版画センターの軌跡》だん。いやはや、兎にも角にも、凄い展覧会でした! 今、お世話になっている「ときの忘れもの」の画廊主である綿貫さんが、僕の産まれる前からこんな凄いことをしていたなんて…
光嶋裕介さんのtwitterより)>

現代版画センターエディションNo.9 オノサト・トシノブ「Ce1」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
009_オノサト・トシノブ《Ce 1》オノサト・トシノブ
《Ce 1》1974年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
Image size: 21.8×27.1cm
Sheet size: 28.1×33.2cm
Ed.200 サインあり
*レゾネ98番ではタイトルが「G.H.C.5」となっている(『ONOSATO オノサト・トシノブ版画目録 1958-1989』ART SPACE 1989年刊)

パンフレット_05


◆国立近現代建築資料館で2月4日[日]まで「紙の上の建築 日本の建築ドローイング1970s-1990s」展が開催中。磯崎新、安藤忠雄らの作品が出品されています。展覧会については戸田穣さんのエッセイをお読みください。
磯崎新「還元クリニック」磯崎新
「CLINIC」
1983年
シルクスクリーン(刷り:石田了一)
イメージサイズ:55.0x55.0cm
シートサイズ:90.0x63.0cm
Ed.75  サインあり
*現代版画センターエディション

ギャラリートーク「建築版画の世界」のご案内
植田実(住まいの図書館出版局編集長)× 石田了一(石田版画工房)× 綿貫不二夫(ときの忘れものディレクター)
司会:日埜直彦
日時:1月27日(土曜日)14時から
場所:文化庁国立近現代建築資料館
住所:〒113-8553 東京都文京区湯島4-6-15
入場方法:旧岩崎邸庭園からの入館となりますので、入園料400円(一般)が必要となります。

◆ときの忘れものは「Arata ISOZAKI × Shiro KURAMATA: In the ruins」を開催しています。
会期=2018年1月9日[火]―1月27日[木] ※日・月・祝日休廊
磯崎新のポスト・モダン(モダニズム)ムーブメント最盛期の代表作「つくばセンタービル」(1983年)に焦点を当て、磯崎の版画作品〈TSUKUBA〉や旧・筑波第一ホテルで使用されていた倉俣史朗デザインの家具をご覧いただきます。他にも倉俣史朗のアクリルオブジェ、磯崎デザインの椅子なども出品します。
版画掌誌第2号
版画掌誌第2号
オリジナル版画入り美術誌
2000年/ときの忘れもの 発行
特集1/磯崎新
特集2/山名文夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版:限定35部:120,000円(税別 版画6点入り)
B版:限定100部:35,000円(税別 版画2点入り)


●日経アーキテクチュアから『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』が刊行されました。
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。日経アーキテクチュア編集長のコラム<建築家・安藤忠雄氏の言葉の力:第3回>で、出江寛先生、石山修武先生の次に紹介されていますので、お読みください。

◆清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。18〜24頁にときの忘れものが特集されています。
06駒込玄関ときの忘れものの小さな庭に彫刻家の島根紹さんの作品を2018年1月末まで屋外展示しています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜19時。日・月・祝日は休廊
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第10回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第10回

 瀧口修造へのアプローチの機運が高まっていたのか、国立国際美術館での「瀧口修造とその周辺」展に続いて1999年には世田谷文学館で「瀧口修造と武満徹」展が開催された。私は残念ながら見に行くことはできなかったが、その渇を癒してもらったのは土渕信彦さんから送っていただいた沢山の展示風景の写真だった。

01「瀧口修造と武満徹」展チラシ


02同上


03展示風景


カタログもテーマごとに分類された資料が大変充実しており、初見のものも数多く収録され、瀧口と武満の関係は師弟というよりも、むしろ父子のような絆で結ばれていたことを知った。瀧口は「焼け跡の向こうから、その人はやって来たように思われた。音の乏しいときに、音を求めてあるく少年。そのシルエットのような最初の存在から、間もなく私は生れる作曲家という人の存在をはじめて身近に知った。私にとっては遅すぎたようだけれど。しかし時はただしく刻んでいた」(武満徹著「音、沈黙と測りあえるほどに」序文・新潮社刊1971年)と書き、世界的な作曲家となった武満は「瀧口修造の存在なくして、作曲家としての私はなかったろう。」と語るほどに瀧口の影響は大きかった。

04同上カタログ


05武満徹の音楽(日本ビクター1966年)表紙・瀧口修造


2001年には富山県立近代美術館で開館20周年記念企画として「瀧口修造の造形的実験」展が開催された。

06「瀧口修造の造形的実験」展チラシ(富山)


07同上


その後、渋谷区立松濤美術館に巡回し、瀧口の後半生の主要な活動となった「言葉によらない表現」の世界が取り上げられ、「瀧口修造が終生手放さず、夫人が守り続けた、もうひとつの瀧口修造コレクション」(カタログ解説より)が初めて公開された。私は東京で見たが、これほど多様な造形作品を前にして圧倒されてしまった。余技などと言える訳もなく、しかも画家の作品とも違う何か、敢えて言うならそこに無償の表現行為の美しい痕跡の数々を眼にしていたのである。

08「瀧口修造の造形的実験」展チラシ(東京)


09同上


10同上カタログより


11同上


カタログは、編集と解説にあたった富山県立近代美術館の杉野秀樹、渋谷区立松濤美術館の光田由里、それに年譜・展覧会歴・参考文献を作成した土渕信彦の三人による労作であり、純白の装丁も「もう一つの詩的実験」であることを示唆している。(なお、富山ではこれに連携して「瀧口修造―夢の漂流物―」展と「瀧口修造の眼―戦後の作家たち」展が開催された。)

12カタログ表紙


ここで紹介しておきたいのは、銀行員を早期退職されてから慶応義塾大学大学院に入り美学・美術史学を専攻していた土渕さんが、修士論文として「瀧口修造の造形におけるシュルレアリスムの展開―オートマティスムから神話へ―」(2001年)を書いていたことである。その抜き刷りを読ませてもらったが、早くから瀧口の造形作品の重要性に着目していた土渕さんは、このなかで既存の瀧口論を比較検討し、近年のシュルレアリスム研究や構造主義との関連などを踏まえた上で「瀧口の造形の分野における実験的な試みを瀧口の多面的な仕事の中核と位置付け」(本稿より)その変遷を綿密にたどり、瀧口によるオートマティスムの実践が言葉から造形へ、さらには「オブジェの店」へと発展し、それがブルトンによる「新しい神話」の概念と呼応していると論じ、シュルレアリストとしての瀧口修造像を提示している。瀧口研究において重要な論考であると思うので、公表されていないだけにその概要だけでも知ってほしいと思った次第である。

13土渕さんの修士論文


2003年には瀧口修造生誕100年を記念した催しや企画が行われ、横須賀市のカスヤの森現代美術館では「コラボレーションの磁場―デュシャン、マン・レイをめぐって―」(共同企画:土渕信彦)と題して瀧口が関わった詩画集やマルチプルなどの展示があり、多摩美術大学上野毛キャンパス図書館では「瀧口修造の蔵書」展もあった。また、富山県立近代美術館から「写真家・大辻清司 フレームの中の瀧口修造、斎藤義重」という珍しい写真を収めた小冊子が刊行されている。「現代詩手帖」誌も生誕百年記念の特集を組んでいたが、従来の瀧口特集を踏襲したような内容で物足りない印象は拭えなかった。

14「コラボレーションの磁場」展チラシ


15同上カタログ


16「瀧口修造の蔵書」展案内状


17「写真家・大辻清司」小冊子


18「現代詩手帖」2003年11月号


そして、名古屋市美術館では土渕コレクションによる「瀧口修造:オートマティスムの彼岸」展が開催され、11月30日の巖谷國士さんの講演に合わせて名古屋へ向かった。美術館の控室で俳人にして美術評論家の馬場駿吉さん、当館学芸員の山田諭さんに初めてお会いし、そこには石原輝雄さんや光田由里さんも同席されていた。質量ともに屈指の個人コレクションで、単に集められたものではなく技法に沿って系統的に選ばれた瀧口の造形作品67点と自筆原稿3点による見応えのある展示だった。

19「瀧口修造:オートマティスムの彼岸」展チラシ


20同上


巖谷さんにお目にかかり講演を聴くのもこれが最初だった。瀧口は職業として書くことの困難に直面し、そこから脱出するためにデカルコマニーの制作に没頭し、生涯書くこと描くことの根源を問い続けた人であると話された。周知のとおり巖谷さんは、わが国におけるシュルレアリスム及びアンドレ・ブルトン研究の第一人者として晩年の瀧口が厚い信頼を寄せていた一人であり、最後のリバティ・パスポートと歿後に「シュルレアリスムと絵画」の改訳を託された方でもある。「瀧口修造に捧ぐ」と献辞のある著書「シュルレアリスムと芸術」(1976年河出書房新社刊)の最後に「瀧口修造論への序」が収録されているが、これほど見事に瀧口とシュルレアリスムの関連を解き明かした文章を他に知らない。その末尾に〈未完〉と記されたのは、どのような意図が込められていたのだろうか?その後、折に触れて発表された瀧口に関する文章は「封印された星」(2004年平凡社刊)に纏められたが、この中で「さしあたり『瀧口修造のために』と題するべき書物」だと書かれている。講演が終わったその晩に巖谷さんとご一緒に名古屋名物の味噌煮込みうどんを食べに行ったことも懐かしい思い出となった。

21巖谷國士著「シュルレアリスムと芸術」「封印された星」


22名古屋市・山本屋本店前にて


せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20171220_iii-19瀧口修造
《III-19》
"III-19"
デカルコマニー
※『瀧口修造の造形的実験』(2001年)No.205と対
Image size: 14.0x10.5cm
Sheet size: 25.1x17.5cm


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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

◆埼玉県立近代美術館で2018年1月16日〜3月25日「版画の景色 現代版画センターの軌跡」が開催されます。
パンフレット_02


◆ときの忘れものは「WARHOL―underground america」を開催しています。
会期=2017年12月12日[火]―12月28日[木] ※日・月・祝日休廊
201712_WARHOL

1960年代を風靡したアングラという言葉は、「アンダーグラウンドシネマ」という映画の動向を指す言葉として使われ始めました。ハリウッドの商業映画とはまったく異なる映像美を目指したジョナス・メカスアンディ・ウォーホルの映画をいちはやく日本に紹介したのが映画評論家の金坂健二でした。金坂は自身映像作家でもあり、また多くの写真作品も残しました。没後、忘れられつつある金坂ですが、彼の撮影したウォーホルのポートレートを展示するともに、著書や写真集で金坂の疾走した60〜70年代を回顧します。
会期中毎日15時、16時、17時の三回メカス映画「this side of paradise」を上映します
1960年代末から70年代始め、暗殺された大統領の未亡人ジャッキー・ケネディがモントークのウォーホルの別荘を借り、メカスに子供たちの家庭教師に頼む。週末にはウォーホルやピーター・ビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。60〜70年代のアメリカを象徴する映像作品です。(予約不要、料金500円はメカスさんのNYフィルム・アーカイブスに送金します)。

◆ときの忘れものには小さな庭があります。彫刻家の島根紹さんの作品を2018年1月末まで屋外展示していますので、どうぞご覧ください。

●書籍のご案内
版画掌誌5号表紙600
版画掌誌第5号
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別) 
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)


TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。

国立新美術館の「安藤忠雄展―挑戦―」は、大盛況のうちに終了しました。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。


●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
12


◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・九曜明のエッセイ「植田実と本」[再録]は毎月23日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第9回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第9回

 瀧口修造が亡くなって三年後の1982年7月から9月にかけて郷里の富山で「第1回現代芸術祭 ― 瀧口修造と戦後美術」展(富山県立近代美術館)が開催された。瀧口と交流のあった作家の作品を通して戦後のアバンギャルド芸術において指導的立場にあった瀧口の存在が改めてクローズアップされる展示だった。

1 「瀧口修造と戦後美術」展チラシ「瀧口修造と戦後美術」展チラシ


2 同上出品リスト同上出品リスト


3 同上カタログ同上カタログ


 このとき瀧口の書斎にあった作家たちから贈られた作品やオブジェなどが初めて公開された。だが、かつて「私の部屋にあるものは蒐集品ではない。その連想が私独自のもので結ばれている記念品」(「白紙の周辺」より)であったはずの「物」たちは主を失い、どこか所在なげに私の目には映った。一方で、デカルコマニーの連作「私の心臓は時を刻む」(1962年南画廊個展発表)には、まさにその「発生の現場」に私自身も立ち会っているような感動を覚えた。

4 瀧口修造の書斎(美術手帖1981年8月号より)瀧口修造の書斎(美術手帖1981年8月号より)


5 瀧口修造個展カタログ(1962年南画廊)瀧口修造個展カタログ(1962年南画廊)


 その後十六年間、美術館で瀧口修造をテーマとした展覧会は開催されることがなかったが、1991年から刊行が始まった著作集「コレクション瀧口修造」(みすず書房)が1998年7月に全13巻・別巻1をもって完結するのに合わせるかのように大阪の国立国際美術館で「瀧口修造とその周辺」展が開催されることになった。

6 コレクション瀧口修造全13巻・別巻1(みすず書房)コレクション瀧口修造全13巻・別巻1(みすず書房)


 同展の企画に協力していた土渕信彦さんから、このカタログの瀧口修造展覧会歴に私が松山で行った「滝口修造と画家たち展」(1989年)を載せるので、担当学芸員の島敦彦さんへその時の資料を送ってほしいとの連絡を受けた。ささやかな小展示が公の展覧会カタログに紹介されることになろうとは思いも寄らなかった。やがて招待状と素晴らしいポスターが届きオープンの日に合わせて見に行くことになったが、その会場で新たな出会いが待っていたのである。

7 「瀧口修造とその周辺」展ポスター(国立国際美術館)「瀧口修造とその周辺」展ポスター(国立国際美術館)


 本展は先の富山における展覧会の趣旨を受け継ぎながらも、海外の作家を含めてグローバルな瀧口の活動を紹介するものとなり、カタログもコンパクトに纏められ島さんの解説と資料が大変参考になった。

8 同上パンフレット(表)同上パンフレット(表)


9 同上(裏)同上(裏)


10 展示風景展示風景


11 同上カタログ同上カタログ


 この会場で土渕さんからマン・レイ・コレクターの石原輝雄さん、多摩美術大学図書館の恩蔵昇さん、富山県立近代美術館学芸員の八木宏昌さん、瀧口ファンの竹内一人さんたちを紹介された。そして、同館のシンボルとなっているミロの巨大な陶板画「無垢の笑い」の前で記念写真を撮った。後日、撮影者の石原さんから写真と共に手紙をいただいたが、親しみと共感を抱く内容で、これが機縁となって瀧口に関連した展覧会などでお会いするようになり交友が深まっていった。

12 ミロ陶板画前にて記念写真(撮影・石原輝雄)ミロ陶板画前にて記念写真(撮影・石原輝雄)


13 石原さんからの手紙石原さんからの手紙


 石原さんについては「カメラ毎日別冊・マン・レイ」(1984年刊)や「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」(佐谷画廊1989年)の執筆者の一人として名前は知っていたが、土渕さんから送っていただいた「石原輝雄コレクション 我が愛しのマン・レイ展」(名古屋市美術館1996年)のカタログを拝見して、筋金入りのコレクターにして研究者であることを了解した。
14 カメラ毎日別冊カメラ毎日別冊


15 「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」カタログ「第9回オマージュ瀧口修造―マン・レイ展」カタログ


16石原輝雄コレクション展カタログ(名古屋市美術館)


 マンレイスト(Man Ray Ist)を名乗り、銀紙書房と名付けた全てが石原さんの手に成る個人出版によってその収集と研究の成果を次々と発表され、いずれも少部数だが手作り本としての魅力にあふれている。2005年に刊行された「マン・レイの謎、その時間と場所」は、日本での大規模な巡回展の様子を伝えるとともに石原さんによるマン・レイ作品の謎を巡る旅のドキュメントである。一見市販本と見紛う体裁だが中身は石原さんならではの仕掛けが施され、限定50部というのがいかにも惜しまれる。石原コレクションで特筆すべきは数千点に及ぶというエフェメラ(カタログ、ポスター、案内状など)であろう。過去から現在に至る世界各地で開催された展覧会資料等の追跡の様子が石原さんのブログ「マン・レイと余白に」で逐次報告されている。

17 石原輝雄著「マン・レイの謎、その時間と場所」(銀紙書房)石原輝雄著「マン・レイの謎、その時間と場所」(銀紙書房)


18 同書より同書より


 恩蔵昇さんは「第13回オマージュ瀧口修造―アンドレ・ブルトンと瀧口修造展」(佐谷画廊1993年)カタログの執筆者として初めてその名前を知ったが、「瀧口修造の書斎」と題されたその文章に魅かれるものを感じた。写真で見る瀧口の書斎にある作品やオブジェ、本などに目を凝らしていたかつての自分を重ね合わせて読んでいた。

19「第13回オマージュ瀧口修造展アンドレ・ブルトンと瀧口修造」カタログ


 瀧口の蔵書のほとんどが綾子夫人から多摩美術大学図書館に寄贈され「瀧口文庫」として書庫に収められることになり、その整理を担当していたのが恩蔵さんだった。1996年に「瀧口文庫」コレクションの中からポスターだけを選んだ展示が行われるとの情報が土渕さんからあり、そのカタログを注文するために恩蔵さん宛に手紙を出したが、その返事には是非「文庫」を見に来ていただきたいと書かれてあった。恩蔵さんによれば「資料の内容は、和書約3,500冊、洋書2,500冊、雑誌3,000冊さらにポスター約200点およびグルッポTの作品資料など約一万点におよぶ。」という膨大な量である。1999年の6月に多摩美術大学上野毛図書館に資料展示室が開設されたとの手紙と資料を送っていただいたので、その夏に恩蔵さんを訪ねて「瀧口文庫」を見せてもらったが、その数の多さからほとんど眺めるだけで終わってしまった。

20 「瀧口修造文庫ポスターコレクション」展チラシ「瀧口修造文庫ポスターコレクション」展チラシ


21 同上カタログ同上カタログ


22 同上カタログより同上カタログより


 八木宏昌さんは私たちよりも若い世代で学芸員の仕事を通して瀧口をどのように捉えているか興味を感じていた。大阪で初めてお会いした後に富山県立近代美術館から刊行されたばかりの「私の心臓は時を刻む」の作品図録を送っていただいた。瀧口のデカルコマニー連作百点が全てカラーで、しかも一点一点の作品データまで収録されている。瀧口修造初の造形作品集として私にとっても待ち望んでいたものだった。

23 瀧口修造「私の心臓は時を刻む」(富山県立近代美術館)瀧口修造「私の心臓は時を刻む」(富山県立近代美術館)


24 同書より同書より


 八木さんからの手紙には「今という時は、瀧口さんを語るうえで客観的な見方のできる時代だと思います。(中略)現代的な仕事をしながら瀧口さんを追い求めることに疑問を覚えられるかもしれません。しかし、私にとっては、今なお開かれた瀧口さんの目というものが、私の現代美術を見る目に大きく影響しているのです。」と書かれてあった。
せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20171120_瀧口修造瀧口修造
《-06》
水彩、墨、紙
Image size: 31.7x16.8cm
Sheet size: 31.7x16.8cm
Signed


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

本日11月20日(月)17時から銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展のオープニングが開催されます。皆さまお誘いあわせの上、是非お越しください。私達もスタッフ全員参加します。
201711MIYAWAKI「宮脇愛子展 last works(2013〜14)」
会期=2017年11月20日[月]〜12月2日[土]
※日・祝日休廊

会場=ギャラリーせいほう 
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。


◆「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」の予約申し込みを連日、多くの方からいただき、スタッフはその対応にてんてこ舞いです。ミロ、シャガール、向井良吉、吉仲太造などに申し込みが集中しており、抽選になります。このままだと一点もお買いになれない方が続出し、せっかくのメキシコ地震被災地支援のお気持ちが無になりかねません
どうぞ皆さん、複数の作品を申し込んでください。
201711mexico
会期:2017年11月28日(火)〜12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載し、予約受付を開始しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
※お申込みの返信は、翌営業日となります。(日・月・祝日は休廊です。)


◆ときの忘れものは「細江英公写真展」を開催しています。
会期=2017年10月31日[火]―11月25日[土]
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細江先生は秋の叙勲で旭日重光章を受章されました。
●会期中、細江英公サイン入り写真集を特別頒布しています。

●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円

*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。

六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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◆ときの忘れもののブログは下記の皆さんのエッセイを連載しています。
 ・大竹昭子のエッセイ「迷走写真館 一枚の写真に目を凝らす」は毎月1日の更新です。
 ・frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。
 ・小国貴司のエッセイ「かけだし本屋・駒込日記」は毎月5日の更新です。
 ・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
 ・杉山幸一郎のエッセイ「幸せにみちたくうかんを求めて」は毎月10日の更新です。
 ・関根伸夫のエッセイ「〈発想〉について[再録]」は毎月12日の更新です。
 ・野口琢郎のエッセイ「京都西陣から」は毎月15日の更新です。
 ・倉方俊輔のエッセイ「『悪』のコルビュジエ」は毎月17日の更新です。
 ・小林紀晴のエッセイ「山の記憶」は毎月19日の更新です。
 ・清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。
 ・小林美香のエッセイ「写真集と絵本のブックレビュー」は毎月25日の更新です。
 ・スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。
 ・森本悟郎のエッセイ「その後」は毎月28日の更新です。
 ・笹沼俊樹のエッセイ「現代美術コレクターの独り言」はしばらく休載します。
 ・大野幸のエッセイ<ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサート>は随時更新します。
 ・植田実のエッセイ「美術展のおこぼれ」は、更新は随時行います。
  同じく植田実のエッセイ「生きているTATEMONO 松本竣介を読む」と合わせお読みください。
  「本との関係」などのエッセイのバックナンバーはコチラです。
 ・中村茉貴のエッセイ「美術館に瑛九を観に行く」は随時更新します。
 ・飯沢耕太郎のエッセイ「日本の写真家たち」英文版とともに随時更新します。
 ・深野一朗のエッセイは随時更新します。
 ・「久保エディション」(現代版画のパトロン久保貞次郎)は随時更新します。
 ・藤本貴子のエッセイ「建築圏外通信」は終了しました。
 ・森下隆のエッセイ「鎌鼬美術館——秋田県羽後町田代に開館」は終了しました。
 ・芳賀言太郎のエッセイ「El Camino(エル・カミーノ) 僕が歩いた1600km」は終了しました。
 ・夜野悠のエッセイ「書斎の漂流物」は終了しました。
 ・普後均のエッセイ「写真という海」は終了しました。
 ・八束はじめ・彦坂裕のエッセイ「建築家のドローイング」(再録)は終了しました。
 ・光嶋裕介のエッセイ「和紙に挑む」は終了しました。
 ・石原輝雄のエッセイ「マン・レイへの写真日記」は終了しました(時々番外編あり)。
 ・荒井由泰のエッセイ「いとしの国ブータン紀行」は終了しました。
 ・森下泰輔のエッセイ「戦後・現代美術事件簿」は終了しました。
 ・「殿敷侃の遺したもの」はゆかりの方々のエッセイや資料を随時紹介します。
 ・「オノサト・トシノブの世界」は円を描き続けた作家の生涯と作品を関係資料や評論によって紹介します。
 ・「瀧口修造の世界」は造形作家としての瀧口の軌跡と作品をテキストや資料によって紹介します。
土渕信彦のエッセイ「瀧口修造とマルセル・デュシャン」、「瀧口修造の箱舟」と合わせてお読みください。
 ・「関根伸夫ともの派」はロスアンゼルスで制作を続ける関根伸夫と「もの派」について作品や資料によって紹介します。
 ・「現代版画センターの記録」は随時更新します。
今までのバックナンバーの一部はホームページに転載しています。

敬愛に裏付けされた情熱が、人の心を豊かにする

瀧口修造の造形的仕事を青山時代から継続して紹介してきた、東京・本駒込のギャラリー・ときの忘れものが、2014年と2015年の展覧会を記録した図録『瀧口修造展III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』を刊行した(9月1日付)。
デュシャンに関係した瀧口の仕事と、瀧口と交流した芸術家たちの作品が図録で共演し興味深い。テキストも適切で、晩年にかけての瀧口の仕事が整理され、俯瞰し見せていただけた感覚。実際の展示に立ち会えなかったので、ジャスパー・ジヨーンズの『夏の批評家』(セメント、ガラス、他)や荒川修作の<棺桶シリーズ>のミクストメデイアなどを図録で楽しませていただいた(感謝)。デカルコマニーの兄弟や姉妹や夫婦たちが、見開きのページで紹介されると、紙を剥がしている瀧口の「手」を連想してしまった、上手い仕掛けである。こうした「図録」に接すると、公立の美術館に苦言を呈したくなってしまう、いつも、敬愛に裏付けされた情熱が、人の心を豊かにする。--- 批評ではなく情熱を、学者ではなく在野を、無名をつらぬき、好きな事だけを続ければ、花開き、実を結ぶ。コレクターとして美術品の世界が個人的である事を願う。尚、「図録」は一冊2,500円(税別)で10月末までに申込された方には、税、送料サービスとの有り難い提案。英文併記なので、瀧口の仕事がますます世界に拡がると期待している。

石原輝雄さんのブログより)

マン・レイになってしまったひと、京都の石原輝雄さんが暖かな心のこもった書評を書いてくださいました。ありがとうございます。

かなり強い台風が西日本を襲いました。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

このブログを書いているときに気がついたのですが、おかげさまで数日前に日々の訪問者数が累計で100万人を超えました
息子たちがHPを開設してくれたのが1998年でした。その後、ブログという素人にも書き込める便利なものができ、更新せよという息子たちの命令に従い、ひたすら記事を書き、さらに多数の執筆者の皆さんの躍動感あふれる投稿によって、とうとう100万を超えました。
毎日更新が始まったのは2005年6月13日「ギャラリー新人日記」からです。この日入社したばかりの尾立麗子に「今日から毎日日記をつけブログに掲載するように」と社命をくだしたのですが、さすが薩摩の女傑だけあって無遅刻、無欠勤、休日を除いて一年間日記を書き続けました。
最初の読者は鹿児島のお母さんでした。「あの子が・・・・」と泣きながら毎日読んだと後に聞かされました。
あらためて読んで下さる皆様に心より御礼申し上げます。
これからも私たちが敬愛する作家たちの紹介と、お客様に楽しんでいただける内容の充実に努めたいと思っています。

造形作家としての瀧口修造を展示と図録によって紹介していきたいと「瀧口修造展-」を開催したのは2014年1月でした。
監修を瀧口研究の第一人者・土渕信彦さんにお願いし、ご遺族の全面的な協力を得て、『瀧口修造展 I』、『瀧口修造展 II』と図録を刊行し、ようやく今回『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』にこぎつけました。二回の展覧会の記録を収めたのでページ数もぐっと増えました。

2017年10月末までにお申し込みいただいた方には特別価格:2,500円(税、送料サービス)でおわけします。メールにてお申し込みください。請求書を同封して代金後払いで発送します。
E-mail. info@tokinowasuremono.com

TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ  21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー  英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
通常価格:2,500円(税別)、送料250円

目次(抄):
・Personally Speaking 瀧口修造(再録)
・マルセル・デュシャン語録について 瀧口修造(再録)
・檢眼圖 だれの証拠品、だれが目撃者? 瀧口修造(再録)
・私製草子のための口上 瀧口修造(再録)
・「オブジェの店」を開く構想に関するノート 土渕信彦
・マルセル・デュシャンとマルチプル 工藤香澄

刊行を記念して◎10月27日(金)18時〜中尾拓哉さんによるギャラリートーク<マルセル・デュシャン、語録とチェス>を開催します。
*要予約
:参加費1,000円(受付終了)
生誕130年、レディメイド登場100年! 現代美術の父マルセル・デュシャンの制作論における秘密を、チェスを手がかりに精緻に読み解いた力作『マルセル・デュシャンとチェス』の著者中尾拓哉さんを講師に迎えます。

中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。単著に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。

◆ときの忘れものでは「今週の特集展示:瀧口修造とマルセル・デュシャン」を開催しています
会期:2017年10月24日[火]〜10月28日[土] 11:00〜18:00
201710_TAKIGUCHIときの忘れもので2014年と2015年に開催した「瀧口修造展」の合同図録『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』が完成しました。 その刊行を記念して、中尾拓哉さんを講師に迎えてギャラリートークを開催するとともに、瀧口修造のロトデッサンや水彩作品と『デュシャン語録』など、約10点をご覧いただきます。


中村美奈子さんが瀧口修造にオマージュした文鎮を制作しました。
中村美奈子 文鎮こげ茶、赤、緑、オレンジの4色あります。
一個:大5,500円 小5,000円(税別)
二個組:10,000円(税別)
三個組:14,000円(税別)
紙ケース付、送料は一律500円(何個でも)。
瀧口ファンならずとも手元に置きたくなるような色彩豊かな佳品です。特別頒布中ですのでどうぞご注文ください。


●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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オマージュ瀧口修造〜中村美奈子さんによる文鎮を特別頒布します。

昨2016年11月に開催した「ルリユール 書物への偏愛―テクストを変換するもの―」で大好評で完売したのが、中村美奈子さん制作の文鎮でした。
ずっしりとした鉄の塊に山羊革、金箔とパラジウム箔で箔押しした文鎮は美しくまるで小さな宝石箱のようでした。

中村さんはU.C.A.D(パリ工芸製本専門学校)で製本・箔押しを学んだ後、ヴェジネ市立製本学校にて箔押しを専門的に習得し帰国。 2006年より天金と箔押しを受注制作していますが、注文に応えて文鎮の制作もされています。

今回「今週の特集展示:瀧口修造とマルセル・デュシャン」に合わせて、瀧口修造へのオマージュとして、ときの忘れもののために文鎮を制作してくださいました。
サイズ大)32×32×32mm
サイズ小)28×28×28mm

一個:大5,500円 小5,000円(税別)
二個組:10,000円(税別)
三個組:14,000円(税別)
紙ケース付、送料は一律500円をいただきます(何個でも)。
お申し込みは電話、メールにてどうぞ。

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こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

●本日のお勧めは、瀧口修造です。
瀧口修造 V-09瀧口修造
"V-09"

水彩、インク、色鉛筆、紙
Image size: 27.5×22.7cm
Sheet size: 31.5×26.8cm
サインあり

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

■『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』を刊行しました。
瀧口修造展 I』、『瀧口修造展 II』よりページ数も増えました。
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ  21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー  英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
通常価格:2,500円(税別)、送料250円

刊行を記念して◎10月27日(金)18時〜中尾拓哉さんによるギャラリートーク<マルセル・デュシャン、語録とチェス>を開催します。
*要予約:参加費1,000円(受付終了)
生誕130年、レディメイド登場100年! 現代美術の父マルセル・デュシャンの制作論における秘密を、チェスを手がかりに精緻に読み解いた力作『マルセル・デュシャンとチェス』の著者中尾拓哉さんを講師に迎えます。

中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。単著に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。

ときの忘れものは短い会期ですが「今週の特集展示:瀧口修造とマルセル・デュシャン」を開催します
会期:2017年10月24日[火]〜10月28日[土] 11:00〜18:00
201710_TAKIGUCHIときの忘れもので2014年と2015年に開催した「瀧口修造展」の合同図録『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』が完成しました。 その刊行を記念して、中尾拓哉さんを講師に迎えてギャラリートークを開催するとともに、瀧口修造のロトデッサンや水彩作品と『デュシャン語録』など、約10点をご覧いただきます。

●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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特集展示=瀧口修造とマルセル・デュシャン〜10月24日〜28日

「安藤忠雄展 ドローイングと版画」は昨日10月21日、盛況のうちに終了しました。
1984年の初期版画から、今年描いた新作ドローイングまで15点ほどの展示でしたが、たくさんの方にお出でいただきました。
01
《中之島プロジェクト II[アーバンエッグ2]》(右)と《SCENE I /WALL》(左)
02
《水の教会》(左)、《風の教会》(右)

来場者の平均年齢が30歳を切ったのは何年ぶりでしょうか。
最年少が新米パパに抱かれたゼロ歳のご近所の赤ちゃん、最年長は大阪から来られた三島喜美代先生85歳(昭和7年生まれ)。私たちとは40年以上のお付き合いです。
三島喜美代
三島先生を囲んで、右はMEMの石田克哉さん

最終日近くとなるとどこで聞いたのか若い学生さんがぞろぞろ、皆さん珍しそうにあっちこっちうろうろ、長期滞在は亭主の望むところであります。
作品をお買い上げいただいたお客様(今回はイギリス、シンガポール、アイルランドなど海外の方が多かった)には心より御礼申し上げます。
息子さんや、恋人の誕生日祝いに送るという方が二人もいたのには驚きました。
プレゼントに使われるくらい、「アンドー」はよく知られているのでしょう。
おかげさまで光、風、水の教会三部作は完売いたしました。

駒込の展示は終わりましたが、六本木の国立新美術館での「安藤忠雄展―挑戦―」はまだまだ続きます。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
六本木の安藤先生の大個展は日本における「建築展」の歴史をかえる大きなイベントになりつつあります。建築関係ではない一般の人たちがこれほどたくさん入場料を払い、何時間も見て飽きさせない展示にした安藤先生の才能には脱帽します。
振り返ってみれば、安藤先生は「展示の天才」でもあります。
2003年6月21日〜8月31日に東京都現代美術館で開催された「田中一光 回顧展」の展示デザインを担当した安藤先生はあの大会場の壁面を24,000個の透明のペットボトルで埋め尽くした。きらきら光るペットボトルの壁に田中一光さんのポスター群が浮き上がる、誰も思いつかないような画期的な会場構成で、見事な「建築作品」でした。今回の六本木もドローイングを主体とした素晴らしい展示です。
ブームを呼んでいる今回の安藤展、長年「建築家の版画とドローイング」を扱ってきた私たちには追い風です。磯崎新先生の版画をエディションし始めたのが1977年の「現代と声」企画から、継いで安藤先生の版画をエディションしたのが1984年でした。当時の建築界や美術界の反応は「余技」だの「道楽」だの、まともに取り上げてくれなかった。面と向って「どうせゼネコンに売りつけるんでしょ」と言われたことすらあります。
援助を乞うた親しい友人には「他人の家の図面みたいな版画を誰が買うんですか」と諫言されました。
風は最初は海外からでした。
バブル崩壊、リーマンショックで国内の市場は冷え切り、やむなく海外のアートフェアに私達は活路を見出しました。どこでも飛んで行ってくれる若いスタッフたちに恵まれたこともあり、韓国、台湾、スイス、シンガポール、インドネシア、アメリカ、どこに行っても「アンドーとクサマ」を知らない人はいなかった(草間彌生先生のエディションを開始したのは1982年です)。この二人さえ持っていけばブース代を賄うことができました。
倉庫に積んであった在庫のも、最近ではから平原になりつつあります。
画廊の展示は終わりましたが、安藤作品はいつでもご覧になれますので、どうぞ六本木の展覧会で「私も欲しい!」と思ったら迷わず駒込にお運びください。
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さて、今日と明日は休廊ですが、明後日10月24日からは短い会期ですが、「特集展示:瀧口修造とマルセル・デュシャン」を開催します。
会期=2017年10月24日[火]―10月28日[土]
2017年はデュシャン生誕130年の記念すべき年であり、また現代美術史最大の事件となった既製の便器にR・MUTTとサインしただけの〈泉〉を発表してから(ただし実物は現存せず)、ちょうど100年にあたります。ときの忘れものもささやかですが、デュシャン顕彰の試みとして小展示と中尾拓哉さんのギャラリートークを開催します。
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『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』刊行記念
ギャラリートーク<マルセル・デュシャン、語録とチェス>
日時:2017年10月27日(金)18時より
講師:中尾拓哉
*要予約(既に定員に達したので締切りました)

中尾拓哉さんからのメッセージ
 この度、『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』の刊行を記念し、自著『マルセル・デュシャンとチェス』を軸にした、お話をさせていただきます。
デュシャンがマン・レイとチェスをしている映画『幕間』のシーンに始まり、「デュシャンはこの世界を相手にチェスをしてきたのだろうか、あるいはそうかも知れない」と終わっていく、瀧口修造による『マルセル・デュシャン語録』。その中に散りばめられた言葉とともに、デュシャンがチェスにたいして語った言葉を読みながら、彼がいわゆる「制作」をせずに没頭したとされ、「芸術の放棄」の代名詞となった「チェス」の謎を紐解き、多くの人々を魅了したこの人物の営為に迫ります。


中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。単著に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。
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●書籍のご案内
TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料250円

10月末までにお申し込みいただいた場合は特別価格:2,500円(税、送料サービス)でおわけします。メールにてお申し込みください。請求書を同封して代金後払いで発送します。

目次(抄):
・Personally Speaking 瀧口修造(再録)
・マルセル・デュシャン語録について 瀧口修造(再録)
・檢眼圖 だれの証拠品、だれが目撃者? 瀧口修造(再録)
・私製草子のための口上 瀧口修造(再録)
・「オブジェの店」を開く構想に関するノート 土渕信彦
・マルセル・デュシャンとマルチプル 工藤香澄
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20170930中尾 拓哉 (著)
『マルセル・デュシャンとチェス』

2017年
平凡社 発行
396ページ
21.6x15.8cm
価格:4,800円(税別)*送料250円
*著者サイン入り
ときの忘れもので扱っています。

気鋭の美術評論家がチェスとデュシャンの失われた関係を解き明かし、制作論の精緻な読み解きから造形の根源へと至る、スリリングにしてこの上なく大胆な意欲作。生誕130年、レディメイド登場100年!
「チェスとデュシャンは無関係だという根拠なき風説がこの国を覆っていた。やっと霧が晴れたような思いだ。ボードゲームは脳内の抽象性を拡張する」──いとうせいこう氏推薦(本書帯より転載)
目次(抄):
・序章 二つのモノグラフの間に
・第一章 絵画からチェスへの移行
・第二章 名指されない選択の余地
・第三章 四次元の目には映るもの
・第四章 対立し和解する永久運動
・第五章 遺された一手をめぐって
・第六章 創作行為、白と黒と灰と
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●本日のお勧め作品は、瀧口修造『マルセル・デュシャン語録』です。
20161217_takiguchi2015_selected_words瀧口修造
『マルセル・デュシャン語録』
1968年
本、版画とマルティプル
外箱サイズ:36.7×29.8×5.0cm
本サイズ:33.1×26.0cm
サインあり
A版(限定部数50部)
発行:東京ローズ・セラヴィ
刊行日:1968年7月28日
販売:南画廊

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

『マルセル・デュシャン語録』については土渕信彦さんのエッセイをお読みください。
11.『マルセル・デュシャン語録』(その1)20150713

12.『マルセル・デュシャン語録』(その2)20150813

13.『マルセル・デュシャン語録』(その3)20150913

●六本木の国立新美術館で「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]〜12月18日[月]
オープニングのレポートはコチラをご覧ください。

●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第8回

清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」第8回

 前回紹介した戦前におけるシュルレアリスムのグループ「繪畫」のメンバーのなかで最もダリの影響を受けた絵を描き、瀧口修造と晩年まで交流があったのは浜田浜雄である。戦中から戦後間もない時期にかけて頻繁に往来し、蔵書家でもあった浜田が戦火で一切の蔵書を失った瀧口の依頼を受けて美術関係書を貸したり、瀧口も浜田を気遣い創作への励ましや仕事の紹介をしていたことが浜田の日記や往復書簡によって知られている。(「生誕100年浜田浜雄展〜造形の遊戯場〜」米沢市上杉博物館・2015年刊より)

01浜田浜雄「タイム・キーパー」1938年作(生誕100年浜田浜雄展・米沢市上杉博物館)カタログより


02同展カタログ


 また、「みすず233」の瀧口修造追悼号に浜田は「あのころ」と題して寄稿し、1940年頃の交流の一端が綴られているが、「和製ブルトン氏」と称するほど畏敬し瀧口の存在なくしてシュルレアリスムの影響は考えられなかったのだろう。

03みすず233号(みすず書房1979.9-10)


04同上書より


 浜田は1951年に瀧口の勧めによりタケミヤ画廊で個展を行っているが、以後は画家としての影は潜め、大辻清司らと「グラフィック集団」を結成するなどグラフィックデザイナーとして活躍した。

05タケミヤ画廊個展案内状とポートレート(生誕100年浜田浜雄展カタログより)


06グラフィック集団について(同展カタログより)


 私は三輪田先生に連絡していただき1990年2月末、上京の折に渋谷区神宮前のマンションに一人で住んでおられた浜田さんを訪ねた。その時の経緯は瀧口修造研究会会報「橄欖」第一号にも書いたが、肝心の瀧口についての話を伺うことができなかった。その原因は私にあり、初対面とはいえ浜田さんについて無知に等しかったためである。

07「橄欖」第1号


 浜田さんは75歳になっており、独り暮らしが長かったせいか隠棲しているような印象を受けた。静かな口調で身辺のことを話されたり、ブルーノ・ムナーリの珍しい仕掛け本を見せていただいたりしたが、浜田さんのなかにイロニーの精神が潜んでいることを感じていた。後に三輪田先生が「彼は寡黙な人のようにも見えたが、澄んだ眼に薄笑いを秘めたような魅力があった。」(2006年米沢市上杉博物館「企画展浜田浜雄」カタログより)と述べていたのでデュシャンのイメージと重なるようなところがあったのかもしれない。グラフィックデザインやオブジェに見られるユーモアや風刺的な表現に加えて「たばこの灰で30センチぐらいの高さのオブジェを2か月位かかって作り上げたり、蝋燭で鳥や馬を作り羽根やたてがみが夏の熱さでグシャ!と突然壊れる」のを独りで楽しんでいたというのもダダの精神に通じるものだろう。(「浜田先生の思い出」薬師神親彦「E+D+P 癸苅機彭豕エディトリアルセンター1996年刊より)

08企画展浜田浜雄カタログ2006年


09グラフィックデザインの作品(生誕100年展カタログより)


10オブジェの作品(同上)


11「E+D+P 癸苅機1996年


12同上


 かつては同じ原宿にあった広い庭付きの家にアトリエを構え、夥しいオブジェに囲まれて眞記子夫人と優雅に暮らしていた。その頃の様子は「季刊銀花」(文化出版局1970年第4号・冬)に紹介されているが、浜田浜雄の頭文字の「二つのH」をフランス語に訳するとデブラーシスと読むところから自らをバロン・ダルゴス・デブラーシスと名乗り、高踏的な遊戯に興じていたりもした。1971年6月に夫人を亡くされてからこのマンションに移っていたのである。(瀧口は夫人の死去に際して浜田へ追悼詩を送っている。)

13「季刊銀花4号・冬」(文化出版局1970年)より


14追悼詩「コレクション瀧口修造」第5巻(みすず書房刊)より


 訪問から暫くして瀟洒な和紙の便箋に毛筆でしたためられたお手紙をいただいたが、その封筒の裏に「二つのH」を型取った封蝋が押されていたのも浜田さんならではのエスプリの名残りだったのだろう。

15封筒裏の封蝋


 その後「太陽」の特集号「瀧口修造のミクロコスモス」(1993年4月平凡社刊)が出たとき、浜田さんにこの雑誌をお送りしたのだが、しばらく経って返送されて来た。実は浜田さんが写した瀧口の写真も掲載されており、ご本人はすでに持っておられたのである。にもかかわらず丁重な礼状をいただいたが、そこには病院を転々とし身体の不如意に悩まされていることなども記されていた。

16「太陽」1993年4月平凡社刊より


17浜田さんの手紙(1994年10月31日付消印)


 三輪田先生から浜田さんの訃報を受けたのは、それからわずか1か月半後のことだった。その臨終に立ち会ったのが弟子にあたる薬師神親彦さんである。薬師神さんは宇和島市出身のグラフィックデザイナーで、東京のデザイン事務所の代表を務めている。1961年に受験で上京し、三輪田先生の紹介で浜田のアトリエを訪ねてから交流が始まり、桑沢デザイン研究所在学中から薫陶を受け、晩年まで最も身近に接して厚い信頼を受けていた方である。浜田の歿後に遺された膨大な資料や蔵書の整理にあたられた薬師神さんから浜田が保存していた瀧口に関連する資料のコピーを頂戴する幸運に恵まれた。私が瀧口に関心を持っていることを三輪田先生から知らされていたのである。驚くことにその中に瀧口が戦時下に書いたと思われる未発表詩2編が含まれていた。これについては「橄欖」第三号に詳しく紹介しているが、「倭し美し」「城」と題され、明らかにあの実験的な詩群とは異なり時局への配慮を窺わせる内容である。おそらく他の詩人たちとのアンソロジーとして編まれ、ゲラ刷りの段階で何らかの事情により発表されなかったものと思われる。

18瀧口修造「倭し美し」


19瀧口修造「城」


20「橄欖」第3号


 1996年2月に渋谷区立松濤美術館で初の回顧展として「特別陳列 浜田浜雄―シュールレアリスムの世界―」展が開催されたが、ご遺族と薬師神さんの全面的な協力により実現したものである。

21「特別陳列浜田浜雄シュールレアリスムの世界」展パンフレット


22同展カタログ


 その3か月後に宇和島市の薬師神さんのご自宅でその作品の一部が公開されることになり、松濤美術館学芸員の瀬尾典昭さんや土渕信彦さんも宇和島に来られた。思うに、この宇和島で浜田浜雄作品展が開かれたのは薬師神さんのご尽力もさることながら、浜田・三輪田の二人の絆がもたらした出来事であり、土渕さんや私がその場に立ち会うことができたのも瀧口の導きであるような気がした。

23浜田浜雄作品展(宇和島市・薬師神邸)


24同上


25同展にて(左より三輪田俊助、土渕信彦、清家克久、薬師神親彦)


26同上記事(愛媛新聞)


せいけ かつひさ

■清家克久 Katsuhisa SEIKE
1950年 愛媛県に生まれる。

◆清家克久のエッセイ「瀧口修造を求めて」は毎月20日の更新です。

●今日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20171020_takiguchi2014_II_03瀧口修造
《II-3》
デカルコマニー、水彩、紙
イメージサイズ: 14.2×5.1cm
シートサイズ : 14.2×5.1cm


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

■『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』を刊行しました。
瀧口修造展 I』、『瀧口修造展 II』よりページ数も増えました。
2017年10月末までにお申し込みいただいた方には特別価格:2,500円(税、送料サービス)でおわけします。メールにてお申し込みください。請求書を同封して代金後払いで発送します。
E-mail. info@tokinowasuremono.com

TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ  21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー  英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
通常価格:2,500円(税別)、送料250円

『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』刊行

先ずは嬉しいニュースを。
<今週末10月7日(土)から、「MOMASコレクション第3期」が開幕します。今回は、「セレクション:ピサロとか岸田劉生とか」「描かれたこどもの世界」「明治・大正の日本画−江森天寿を中心に」「近代浦和・文化の景色」の4つのテーマで収蔵品を展示します。
そしてもう1つ、新たに収蔵品に加わった瑛九(えいきゅう)の作品「手」を初披露します。
浦和の地で精力的な活動を行った画家・瑛九は、幻想的な表現を含む多くの実験的な作品を制作し、後半は点描による抽象絵画を多く発表しました。「手」は、1957年(昭和32年)に制作され、吹付技法を用いて瑛九独特の夢幻的な色彩と空間が魅力的に描かれています。吹付技法による瑛九の絵画作品は作例が少なく、最晩年の、微細な点描の油彩画への展開を示す貴重な作品です。制作には、写真作品(フォト・デッサン:瑛九独自の写真作品)と同様の型紙が使われており、瑛九におけるフォト・デッサンと油彩画の有機的な関連が明快に示された、極めて重要な作品です。
ぜひご覧ください!!  瑛九《手》1957年

http://www.pref.spec.ed.jp/momas/?page_id=355
埼玉県立近代美術館のfacebookより)>

qei_154瑛九「手」
1957年
板に油彩吹き付け
46.4×38.3cm (F8号)
埼玉県立近代美術館所蔵
※山田光春『私家版・瑛九油絵作品写真集』(1977年刊)No.286
※宮崎県立美術館他『生誕100年記念 瑛九展』図録所収・油彩画カタログレゾネ(2011年刊)No.346


瑛九の「手」は1981年3月渋谷の松濤にオープンした現代版画センターの直営店「ギャラリー方寸」開廊記念展の出品作で、福井県勝山のNさんの旧蔵作品でした。

12月24日まで「2017 MOMASコレクション 第3期」として埼玉県立近代美術館一階に展示されていますので、ぜひご覧になってください。
10月21日からは、同館開館35周年記念展「ディエゴ・リベラの時代 メキシコの夢とともに」が開催されます。20世紀のメキシコを代表するディエゴ・リベラ(1886-1957)はメキシコ革命後の1920年代、リベラはその思想を民衆に伝えるために公共空間に壁画を描く「メキシコ壁画運動」の代表者となり、世界的な注目を集めました。
招待券ご希望の方は、メールにてお申し込みください。
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ときの忘れもので2014年と2015年に開催した「瀧口修造展」の合同図録『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』がようやく完成しました。
作品をお買い上げいただいた皆さん、ご執筆いただいた土渕信彦さん、工藤香澄さんには長いことお待たせしてしまいました。お詫びします。
瀧口修造展 I』、『瀧口修造展 II』よりページ数も増えました。

2017年10月末までにお申し込みいただいた方には特別価格:2,500円(税、送料サービス)でおわけします。メールにてお申し込みください。請求書を同封して代金後払いで発送します。
E-mail. info@tokinowasuremono.com

TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』
2017年
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
ハードカバー
英文併記
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)、送料250円

「瀧口修造展 III 瀧口修造とマルセル・デュシャン」
会期=2014年11月5日[水]―11月22日[土]
会場:ときの忘れもの(南青山)

「瀧口修造展 IV」
会期=2015年10月17日[土]―10月31日[土]
会場:ときの忘れもの(南青山)

目次(抄):
・Personally Speaking 瀧口修造(再録)
・マルセル・デュシャン語録について 瀧口修造(再録)
・檢眼圖 だれの証拠品、だれが目撃者? 瀧口修造(再録)
・私製草子のための口上 瀧口修造(再録)
・「オブジェの店」を開く構想に関するノート 土渕信彦
・マルセル・デュシャンとマルチプル 工藤香澄

刊行を記念して◎10月27日(金)18時〜中尾拓哉さんによるギャラリートーク<マルセル・デュシャン、語録とチェス>を開催します。
*要予約
:参加費1,000円

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●中尾拓哉 著『マルセル・デュシャンとチェス』のご紹介
現代美術の父マルセル・デュシャンの制作論における秘密を、チェスを手がかりに精緻に読み解く、気鋭の美術評論家による力作。
20170930中尾拓哉 著
『マルセル・デュシャンとチェス』

2017年
平凡社 発行
396ページ
21.6x15.8cm
価格:4,800円(税別)※送料別途250円
*著者サイン入り
ときの忘れもので扱っています。


気鋭の美術評論家がチェスとデュシャンの失われた関係を解き明かし、制作論の精緻な読み解きから造形の根源へと至る、スリリングにしてこの上なく大胆な意欲作。生誕130年、レディメイド登場100年!
「チェスとデュシャンは無関係だという根拠なき風説がこの国を覆っていた。やっと霧が晴れたような思いだ。ボードゲームは脳内の抽象性を拡張する」──いとうせいこう氏推薦(本書帯より転載)

目次(抄):
・序章 二つのモノグラフの間に
・第一章 絵画からチェスへの移行
・第二章 名指されない選択の余地
・第三章 四次元の目には映るもの
・第四章 対立し和解する永久運動
・第五章 遺された一手をめぐって
・第六章 創作行為、白と黒と灰と

中尾拓哉(なかお・たくや)
美術評論家。1981年生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(芸術)。2014年に論考「造形、その消失において――マルセル・デュシャンのチェスをたよりに」で『美術手帖』通巻1000号記念第15回芸術評論募集佳作入選。単著に『マルセル・デュシャンとチェス』(平凡社、2017年)。
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ギャラリー&編集事務所「ときの忘れもの」は建築家をはじめ近現代の作家の写真、版画、油彩、ドローイング等を扱っています。またオリジナル版画のエディション、美術書・画集・図録等の編集も行なっています。
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