ルリユール 書物への偏愛

frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第32回

本を巡る旅 − その4

印刷機と活字に占領された脳を、マインツから電車で2時間ほど離れたフェルクリンゲンへのピクニックで丸一日休めた後、ストライキに翻弄されながらライプツィヒに向かいます。大市ではフランクフルトのライバルとして名を知られていたライプツィヒは、印刷業もフランクフルトより一足早く1476年には興っており、ペーター・シェーファーやコーベルガーなどの印刷業者や書籍商が商いをしています。ヴェネツィア、パリ、リヨンが群を抜いていたインキュナブラの時代の、しんがりに芽吹いた地といえましょうか。一つ目の目的地である印刷博物館は、マインツのグーテンベルグ博物館とうって変わり親子が一組いただけで、ほぼ貸切り状態の贅沢さでした。活字鋳造機、活字、新旧の印刷機どれもがいつでも使えるような状態で広いフロアに間近に見られるよう展示されており、各所では実演して貰うことが出来、自由に試し刷り出来るように準備されているものもあります。

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印刷博物館中庭

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モノタイプ鋳造機/活字収蔵室/フィルム箔押し機

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熱心に鋳造機の話を聞いていた父親の隣にいたお嬢さんが、日本語で私達にかいつまんで説明してくれました。

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マインツでは叶わなかった手引き印刷機体験

二つ目の目的地、国立図書館のエントランス展示もまた貸切りでした。
ファクシミリ版も混ざっていますが、写本から20世紀初頭までの本が1フロアに展示されており、マインツとクリングスポールのおさらいです。

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国立図書館 ライプツィヒ

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版と印刷されたページ/数少ない表紙の展示

5日間で4つの(当初の予定では5つ)博物館を欲張ったわけですが、
その地で数にのまれることも、それぞれが一冊に向き合って製本する時間のどこかに呼応する、よきことではないかと思います。
意図されて、あるいはただ開きやすさから選ばれたかもしれない見開きの頁から頁へ、数世紀の時間の中に目を身体ごと漂わせていると、予習した僅かばかりの事柄などはあっさりと消え去り、そのうち読めもしない頁に得体のしれない確信が湧いてきます。様々な手と時代を経て違う時を過ごしてきた本が、平然と熱を持ってそこに在る事に気がつき、またそれが変わらないであろうことは、3年経った今思い返してもどこか楽しい気分にさせます。
(文:羽田野麻吏
羽田野(大)のコピー


●作品紹介〜羽田野麻吏制作
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羽田野麻吏 作品7
『LES JOUES EN FEU』
RAYMOND RADIGUET

口絵:Picasso
BERNARD GRASSET PARIS 1925年 1100部のうち263番

・総仔牛革装 綴じ付け製本
・仔牛革と蜥蜴革によるデコール
・仔牛革・蜥蜴革/スウェードの見返し
・タイトル箔押し 中村美奈子
・夫婦函
・2016年
・188×123×14mm
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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●今日のお勧め作品は島州一です。
DSCF7405"working on safety"
1975年
シルクスクリーン
イメージサイズ:43.3×32.2cm
シートサイズ :56.8×38.2cm
Ed.100
サインあり

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◆frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。

frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第31回

ドリュール作業工程

[その2]
前回ご紹介した専用接着液「fixor」を跡の溝に細筆で塗ります。そして半日〜1日ほど乾かします(諸説あり)。乾いたら金箔をつけていきます。
モチーフの大きさよりも少し大きく切った金箔を本にのせていくのですが、ただではのらないので、自分の鼻のあたりかこめかみのあたりの脂を指でちょろっと拝借して革を撫でます。するとその100%天然オイルが糊の代わりになり、うまい具合に金箔がピタッとのります。
乾燥肌で自前の脂が取れないわ、という方でも大丈夫。その場合はアーモンドオイルやハンドクリームなどでも代用可です。
しかし、思いのほかそれらは粘度が強いので、革に残ってしまうこともありますし、いちいち適量を考えながら取るのもホネの折れる話ですので、やはりメイド・イン・じぶんの天然オイルが一番よいでしょう。<「本格的に熱した」道具を箔の上から押していきます。
この時、「ねちょ」っと音がすると、道具が熱すぎるか、fixorの濃度が濃すぎるかの原因が考えられますので、道具を少し冷まします。
逆に箔が全然つかない場合は、道具の温度が低すぎるか、fixorが十分についていないことがありますので、2回目のfixorを塗り直し、道具の温度を上げます。その後、十分な輝きが出るまで箔を重ねていきます。
なお、fixorは何度もつけるとゴムのようになってしまうので、2回ぐらいにとどめておきます。

画像dorure

fixorの濃度や道具を熱する温度、力の加減など、なかなか言葉では説明しがたいもので、イメージもわきにくいと思いますが、箔押しの作業工程はこのような流れになっています。
色々と書きましたが、なんだかんだで終始常に気をつけなくてはいけないこと第1位は、道具を持った手がぶれないこと、そして、ココロもぶれないこと、に尽きるのでした。
(文:中村美奈子
中村(大)のコピー


●作品紹介〜中村美奈子制作
dorure1


dorure2


dorure3
中村美奈子 作品6
革装文鎮
・山羊革(外側)
・鉄塊(内側)
・金箔・パラジウム箔
・真鍮ワイヤー
・2016年制作
・47×47×47cm
日常でもデスク周りで使える文鎮にテクスト(ウィリアム・ブレイク)を箔押ししました。
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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●今日のお勧め作品は、駒井哲郎です。
駒井哲郎《芽生え》駒井哲郎
《芽生え》
1955年
アクアチント・エングレーヴィング
イメージサイズ:15.5×28.0cm
Signed


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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

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frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第30回

ドリュール作業工程

[その1]
裏方の作業風景は、出来上がりの作品に反比例して、決して華やかなものではありません。しかし、少しでもルリユールとドリュールを身近に感じてもらうためには、紹介する必要があると思いますので、大まかにご説明いたします。

まず最初に、本のサイズぴったりに切った下書き用の薄い紙に押すもの(モチーフやタイトル)をスタンプなどで写して配置を決めます。そしてその紙を本にあてがい、その上から「少し熱した」道具を適所に押します。

画像fleurons花型


画像maquetteマケット拡大図


本に跡がついたな、と思ったら、紙を外し、またさらに熱した道具を跡の上にぶれないように押します。
そして、細い筆に水をつけ、跡のところを湿らせます。「ぬるからず」の温度に熱した道具をその上からさらに押して、革のシボを潰し均等に地ならしをします。ここまでの工程を「空押し」をいいます。

そして、第2段階として金箔をつけていくわけですが、箔だけでは革に定着しないので、接着するものが必要になります。ここで少し接着液について触れたいと思います。
ルリユールは常に「接着」の連続です。ボール紙や見返し、革を貼り付けるのはご存知の通りですが、バッキングした背の凸凹をならすために何度か紙を貼ったり、革を折り返した際に生じる段差を均等に平らにするためにも、紙を貼り厚みを合わせます(コンブラージュ)。
金箔も専用の「のり」を使って定着させます。今現在、私も含めてほとんどの人は市販されている「fixor」という、漆・アンモニア・水の混合液を使っています。

画像fixorfixor


fixorは、1931年に製造され始めたそうですが、それ以前は接着剤として卵白と酢を混ぜた液が使われていました。ちなみに天金にもこの卵白液が使用されています。この卵白液は、金箔がドリュール装飾にも使われるようになった時期からの接着液ですので、長い歴史があります。
テクストによってはいくつか異なるレシピがあるのも興味深いところです。卵白に酢を混ぜているのは保存の目的もあるようですが、そこへさらにグリセリンとレモン汁も加えているレシピもあります。
夏場は夜の涼しいうちに作るように、とか、冬に比べて酢の分量を多めにするように、などの指示もあったりして、フレッシュさを保つことに気を配っています。この「卵白液」は100%天然材料でできていますので、鮮度が重要になりますが、fixorは賞味期限を気にすることなく用いることができるので、そちらが主に使われているようです。

次回から作業工程に入っていきます。
(文:中村美奈子
中村(大)のコピー


●作品紹介〜中村美奈子制作
nakamura5
中村美奈子 作品5
装飾付革装小物入れ

・山羊革(外側)
・スエード(内側)
・金箔
・2013年制作
・130×75cm
ジュエリーなども入れられるように、上蓋をつけて、内側にスエードをはりました。
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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本

●今日のお勧め作品は森義利です。
森義利_600森義利
「紫の君」
1975年  合羽摺り
54.5×40.0cm
Ed.50 サインあり

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frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第29回

小さな本

 ルリユールとの最初の出会いは、栃折久美子著「手製本を楽しむ」だった。家人が持っていたこの本の存在を永らく知らずにいたのだが、ある日の会話がきっかけになって、本と栃折さんの存在を知り、奥付の著者紹介欄に書かれていた「栃折久美子ルリユール工房」へ通うようになるまでに、長い時間はかからなかった。そして、約3年後にベルギーへ留学することになる。

図1栃折久美子著「手製本を楽しむ」大月書店刊
1984年発行


 フランス語で「一目惚れ」のことをcoup de foudre(クー・ド・フードゥル)という。foudreとは稲妻のことで、直訳すると「稲妻→雷の一撃」ということになる。闇夜に光る稲妻を想像してほしい。一目惚れという瞬間的な感情の高まりを、なんとよく表している言葉ではないかと感心する。ルリユール工房へ通い始めてからの、ごく短時間でのルリユールへの心情的な傾倒を考えると、私にとってのルリユールは、まさにcoup de foudreであった。

 閑話休題。
 この「手製本を楽しむ」を今、自分自身の作業に役立てることはほとんどなく、生徒さんに「こんなこともできる」と説明する時などに見せることがあるだけだが、かつて、この本で覚えたものとして、辞書の再製本がある。栃折さんは、辞書の項目の中で「紙より弱いヤンピ」と説明している。ヤンピとは羊革のことで、山羊革より耐久性がない。辞書の革装は、概ね羊革である。私の場合、十代の頃から使っていた和仏辞典を山羊革で製本し直したことがあり、その経験が修復でも多いに役立っている。図書館・美術館等の修復ではまずない種類として、個人から、聖書や同種の、いわゆるソフトカバーの本の再製本を頼まれることがある。それ自体は、いつでも、どこでも手に入る本であるが、お金では買えない、それぞれの依頼主だけが持つ価値があり、それゆえに傷んだ本をなおそうという強い意志が働く。今はネットで検索ができるので、難しいことではないかもしれないが、広い世界の中での出会いは、依頼主からみても私の立場からみても、やはりご縁というべきかもしれない。

図2図3
再製本した初代の和仏辞典
和仏辞典自体は翻訳の仕事でも出番が少なく、現在使っているのは二代目。隣は傷み始めた仏和辞典の一冊。

 北海道在住の精神科医の方から、聖書の再製本をご依頼いただいたことがある。18歳の時から30年間使い続けてきた聖書ということだった。かつて他の本を頼んだことがある大阪の製本会社に、この聖書の修復を頼んだところ、残念な仕上がりで戻ってきて、やり直してくれる人を探していたという。修復した辞書の写真を添付ファイルにして、メールでやりとりを行い依頼を受けることになったが、その際に「あなたに巡り会うために、大阪の製本会社への依頼という回り道があった」といった趣旨のことを、その方が書いてこられた。つまり、「良いことに巡り会うには試練(悪いこと)が必要だった。試練を経て良いことに巡り会えた、と(キリスト教の)信者は考えるのです」というお話だった。私は信徒ではないが、若い頃から西欧に興味があり、それならばキリスト教の知識は不可欠と考えているから、聖書や関連の書物は多少とも読んでいたが、知識の枠はなかなか越えられないもので、自分の心に寄り添うまでには到らない。この依頼者のようなお話を聞くと、宗教が良い方向に向いているのであれば、人生を穏やかに過ごしたり、心のなぐさめとなる手立てなのだと思える。
 こんなふうに、それぞれの人生と思いが、依頼された本の中に閉じ込められている。修復は仕事であり、図書館・美術館からのような、規模が大きい依頼も生業としては重要であるが、個人の依頼の小さな本には、どのようなお話が聞けるのか(出会いがあるのか)という二義的な、しかし大きな楽しみがついてくるのである。
(文:平まどか
平(大)のコピー


●作品紹介〜平まどか制作
詩集返戻10-1


詩集返戻10-2


詩集返戻10-3


詩集返戻10-4
「詩集 返禮」
富岡多惠子著
1957年 山河出版社刊

・パッセカルトン・カーフ総革装
・パーチメント・カーフ・山羊革嵌め込み
・手染め見返し
・タイトル箔押し:中村美奈子
・制作年 2016年
・184x153x15mm

*学生時代に自費出版した詩集という。翌1958年にH氏賞を受賞。自費出版ゆえか、表紙も本文もそっけない。乾いた語り口が好きだったが、実は小説や評論の方をよく読んだ。

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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●本日のお勧め作品は、パウル・クレーです。
DSCF3756_600パウル・クレー Paul Klee
"Three Heads"

1919年
リトグラフ
イメージサイズ:12.1×14.8cm
シートサイズ:19.7×23.4cm
版上サイン

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frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第28回

白い和紙の話

 「こんなに白い紙ばっかりの店で、三か月ももつのかいな」。開店の日に店をおとずれた文化庁の先生に、こう言われたという。これは、1994年に文化出版局から発行された「季刊銀花」No.98夏の号に掲載された、紙舗直(しほ・なお)の店主、坂本直昭氏の記事「紙屋十年 和紙巡礼」の中のエピソードである。私が初めて「紙舗直」という店を知ったのも、この記事によってだった。前回のブログで自分で作る装飾紙を話題にしたが、紙舗直の修復用和紙には、修復や製本自体でも勿論お世話になっており、今回は数ある和紙店の中でも特色あるこのお店を、ご紹介したいと思う。
 記事が書かれた時点で開店からすでに十年、現在では三十年以上営業を続けているということで、今や立派な老舗と言えるかもしれないが、それ以上の歴史がある他の和紙店と大きく違うことがある。

図1修復用の白い和紙と色ものの和紙の棚
(画像提供:紙舗直)


図2


 文頭に記した「白い紙」のエピソードにあるように、紙舗直の特徴は白い和紙の比重が大きいということにあるかもしれない。だが、実際は色ものの和紙も扱っているし、坂本氏が自ら作っている手染め紙も扱っている。それでは他の和紙店との違いはなにかと言えば、修復用の白い和紙を買い手がいつでも安定して使える状態で販売するシステムを確立したことにある。具体的に言えば、従来の和紙店では、それぞれの和紙を生産地・原料・用途などに応じた呼び名(たとえば、近江雁皮紙、吉野紙、石州半紙など)で売っているのに対し、紙舗直ではまず、原料と番号の組み合わせをデータのもととした。そして価格表では寸法や価格、 (紙の場合に必要な) 厚さだけでなく、原料(楮、雁皮、三椏)・煮熟(しゃじゅく・不純物をできるだけ取り除くために、アルカリ性溶液を入れて煮ること)に使う溶液の種類・乾燥方法、さらに中性値についてのデータを記載している。また、サイジング(にじみ止め)についても、項目を設けて説明している。

図3海外向け価格表


 この記事を書くにあたり、改めて銀花の記事を読み直した。その中で、高知県の四万十川沿いの村に芝さんという方をたずねるくだりがある。そこで漉かれていた十川泉貨紙を仕入れるにあたり「店の紙の基点となるべく、商品番号は楮の一番とした。」とあった。価格表を見ると、番号は通しになっておらず、欠番もある。また番号と紙の厚みは一致しない(小さい番号ほど紙が薄い、ということではない)。これは今販売できる和紙の仕入れ先を表しているということである。記事と価格表から見えたものは、坂本さんが和紙の生産地を訪ね歩き、作り手と対話を重ねてきた歴史であり、和紙に対する愛情である。その一方で、修復用和紙に必要なデータを(恐らく)主な買い手である修復関係者に提示したという、和紙の新しい売り方とその姿勢がある。
 坂本さんは店に常駐されてはおらず、国内の何カ所かにある作業場で紙を染めているらしい。お店には週一回くらい顔を出すと、スタッフの方がおっしゃっていた。修復用の白い和紙の話を中心に書いたが、この手染め紙もまた素晴らしいもので、小ぶりのものから壁掛けになるくらいの大きさのものまで扱っている。

図4手染め紙
(画像提供:紙舗直)


 修復には縁がなくても、機会があっったら是非、一度おたずねください。坂本さんが全幅の信頼を置いているであろう、長年お店を切り盛りするスタッフの方々が暖かく迎えてくれる筈です。

図5スタッフルームへの出入り口
(画像提供:紙舗直)


(文:平まどか
平(大)のコピー


●作品紹介〜平まどか制作
写真ノート-1


写真ノート-2


写真ノート-3


写真ノート-4
「写真ノート」
大辻清司著
1989年 美術出版社刊

・ブラデル製本
・山羊半革装 手染め紙装飾
・手染め見返し
・タイトル箔押し:中村美奈子
・制作年 2016年
・215x160x27mm

*大辻清司氏は、ご存知の方も多いと思うが、瀧口修造の実験工房に参加していた。また、筑波大学や桑沢デザイン研究所で永らく、教鞭をとった。
私にとっての写真は、黒白銀塩写真。その黒は、光が銀に閉じ込められた美しさ。

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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●本日のお勧め作品は、日和崎尊夫です。
20170203_hiwasaki_04_umihuti日和崎尊夫
「海渕の薔薇」
1972年
木口木版
32.3×18.3cm
Ed.30
サインあり


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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜〜土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

本日の瑛九情報!
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先日は瑛九の最初期の抽象作品(1935年)をご紹介しましたが、それから6年後、具象的な作品を描いています。
抽象から具象へ、そして再び抽象へ。画家の歩みは試行錯誤の連続でした。
瑛九「逓信博物館A」
瑛九「逓信博物館 A
1941年 油彩
46.0×61.1cm
*「瑛九作品集」(日本経済新聞社)42頁所載
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〜〜〜
瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で開催されています(11月22日〜2017年2月12日)。外野応援団のときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

◆frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。

frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第27回

和紙とつきあう

 美術・工芸分野で和紙を使っている方も多くおられると思うが、紙を扱うルリユールでも重要な素材であるのは言うまでもない。土佐の和紙である「典具帖(てんぐじょう)」は西欧で絵画修復に用いられているそうだが、書籍修復でも勿論のこと様々な和紙が使われているし、製本時にもカバー等の組み立て作業、折丁の背の修理など、必要不可欠な存在である。
 和紙の三大原料として、雁皮(がんぴ)・楮(こうぞ)・三椏(みつまた)があり、それぞれに繊維の長さなど性質・特性に違いがある。私の場合は、楮を中心として用い、雁皮や三椏の和紙を必要に応じて使っている。また本来の修復等の用途以外に、装飾紙としても使っている。具体的な例として、雁皮を使った作品についてご説明したい。
 西欧におけるルリユールでは、いわば職人的なルリユールと芸術的なルリユールという区別がある。パリの街を歩いていると製本工房を見かけることがある。シボ(表面の凹凸)が小さめでカジュアルな雰囲気のシャグラン(Chagrin)という山羊革と既成のマーブル紙を用いた、フラグムでいうところの「定型製本」を主な仕事とする工房も多く、そこでは製本の技術のみを提供するわけで、いわば「職人仕事」といえる。他方、ルリユールダール(Reliure d’art)と言われる世界では、製本の技術の上にオリジナル装飾を施す製本であり、革・紙以外の異素材を使うこともある。紙も既製品ではなく、製本家が手染めしたオリジナル紙を使うことが多い。私はとりわけ、こういった装飾紙を作ることが好きで、学生の頃から様々な紙作りを試みてきた。
 11月の展覧会のDMに使われた作品では、東京文京区の紙舗「直」という和紙店で取り扱っている修復用の雁皮紙を用いて装飾紙を作った。薄茶色の雁皮は、楮紙と違った透明感があるのが視覚的特徴で、この透明感に惹かれたことがこの装飾紙作りの始まりだった。
 技法は単純で、基本的には紙をアクリル絵の具で染めコラージュするだけだが、紙を丸め皺や折目を作ってから染める、ちぎってあるいはちぎらずにコラージュする、プレスに入れ平滑にした後、紙やすりで表面を粗くしてみる等、私なりに解釈した本の内容をこのような形で表している。紙の元々持っている透明感もさることながら、土台となる洋紙に貼った時に出てくる、ガラスのような透明感がこの装飾紙の魅力である。

zu-1学生時代に、この雁皮を用いて作った最初の装飾紙
Julien Gracq著 ”Balcon en Forêt ” 
「森の木々の間からさす光…」という単純な発想だった


zu-211月の展示作品
吉増剛造著「古代天文台Antique Observatoire」(日仏対訳)
天文台は闇を照らすものだが、光を強調させることで闇の存在を
表したかった、というのは後付けの理由。


画像では(特に私の撮影能力では)残念ながら、この透明感は再現できないが、作るたびに紙を装飾の素材として扱うことの面白さと奥深さを味わっている。
(文:平まどか
平(大)のコピー


●作品紹介〜平まどか制作
HIROSHIMA1958-1


HIROSHIMA1958-2


HIROSHIMA1958-3


HIROSHIMA1958-4
「HIROSHIMA 1958」
港千尋+マリー=クリスティーヌ・ドゥ・ナヴァセル編
エマニュエル・リヴァ写真
 
2008年 インスクリプト刊

・プララポルテ装
・山羊革 手染め紙・仔牛革装飾
・手染め見返し
・タイトル箔押し:平まどか
・制作年 2016年
・215x238x15mm

*アラン・レネの映画「ヒロシマ モナムール(公開時邦題「24時間の情事」)に主演した女優、エマニュエル・リヴァが撮った原爆投下から13年後の広島。まだまだ貧しい日本だが、子供達の笑顔は明るい。
手染め紙はブログでご説明した雁皮を用いたもの。

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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●本日のお勧め作品は、ベン・ニコルソンです。
20170103_nicholson_04ベン・ニコルソン
「作品」
1968年
エッチング、鉛筆、ガッシュ、紙
イメージサイズ:30.0x28.0cm
シートサイズ:43.5x37.5cm
サインあり


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本日の瑛九情報!
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東京国立近代美術館は昨日1月2日(月)から開館しています。
瑛九1935-1937闇の中で「レアル」をさがす(表)瑛九1935-1937闇の中で「レアル」をさがす(裏)

本展企画者の大谷省吾さん(同館美術課長)の講演会がありますので、ぜひお出かけください。
「書簡から読み解く 1935 -1937年の瑛九」
2017 年 1 月 7 日[土]14:00-15:30
場所:講堂(地下1階)
※開場は開演30分前、申込不要、聴講無料、先着140名
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瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で開催されています(11月22日〜2017年2月12日)。外野応援団のときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

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スタッフSの「港千尋×frgm」ギャラリートーク・レポート

スタッフSの「港千尋×frgm」ギャラリートーク・レポート

読者の皆様こんにちわ。木枯らしとビル風が吹き荒ぶ年の暮れ、着膨れする周囲を尻目に年中同じYシャツチノパン姿で出歩いております、スタッフSこと新澤です。身内に「見てる方が寒い」と文句を言われることはあるものの、諸悪の根源は都心交通の過剰暖房にあると断固主張させていただく所存です。

そのようなどうでもいい主義主張はさておきまして、本日の記事では「ルリユール 書物への偏愛―テクストを変換するもの―」展の最終日11月19日(土)に開催された、写真家・著述家の港千尋先生を招いてのギャラリートークを紹介させていただきます。

01



ルリユール展GT_01トーク前に作品を見て回る港千尋先生

前回の「光嶋裕介新作展 〜和紙に挑む〜 幻想都市風景」のギャラリートークでお招きした松家仁之さんは初対面でしたが、今回ご来廊いただいた港千尋先生も展示作家である造本作家グループLes fragments de M(略称frgm)の皆様のご要望でお招きしたものの、亭主はじめ画廊スタッフとはギャラリートーク当日が初顔合わせでした。

ルリユール展GT_02恒例行事・亭主の前語り。
今回のお題は港先生の著書にパリの版画工房が登場することから、日本の石版画について。

トークはまずは港先生とfrgmの皆さんの紹介から始まったのですが、多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授、第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展日本館の展示企画コミッショナー、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督を務め、写真家・評論家して多彩な活動をされる港先生もさることながら、frgmの皆さんもインターネットも普及していない時代に気持ち一つで異国の地に飛び立ち、言葉の壁に苦労されながらも技術を身に着けられた方ばかりで、かつてフランスに住みながらもフランス語に恐れをなして英国の全寮制学校に逃げ込んだ身としては、その熱意には脱帽する他ありませんでした。

トークの本題は港先生が長らく取り組んできた「記憶」というキーワードを基に語っていただき、亭主が前語りで挙げたパリ14区の石版画工房の話から、閉鎖前の国立印刷所の見学で見ることができた印刷の歴史、その風景を写した写真集の中で触れた日本の活字の話から、大日本印刷で日本活字のルーツ的存在である秀英体の活版印刷部門に招かれたことなどを始め、フランス国立印刷所の仕事の一つにルリユールの制作があることや、美術品と言っていい制作過程や結果を持ちながら、それ以外の「記憶」である書籍というものがなければ成り立たない特異性について等々、最後には来場者の方々からの質問にも密にお答えいただき、非常に濃い時間をご提供いただきました。

ルリユール展GT_04トーク後の懇親会。ときの忘れもの初の製本の展覧会でしたが、遠方からのお客様も多く、今後の展開を期待させる内容でした。

ルリユール展GT_05二次会ではご来場いただいた和光大学の三上豊先生や建築評論家の植田実先生も交えて増々会話が弾み、楽しい一時でございました。

ルリユール展GT_03トーク後恒例の集合写真。

(しんざわ ゆう)

■港 千尋(みなと ちひろ 1960年9月25日〜)
神奈川県藤沢市出身の写真家・写真評論家(著述家)。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科教授。フランス在住。「群衆」「移動」などをテーマに写真を撮りながら、多彩な評論を行う。2007年6〜11月、イタリアで行われたヴェネツィア・ビエンナーレでは、日本館コミッショナーを務めた。2014年8月1日には、あいちトリエンナーレ2016の芸術監督に就任。タスマニアの美術館、Museum of Old and New Art監修。
2006年〈市民の色〉で伊奈信男賞受賞。2007年第52回ヴェネチア・ビエンナーレ美術展における日本館の展示企画コミッショナーに就任。著書に『記憶――創造と想起の力』(講談社、サントリー学芸賞)、『第三の眼』(廣済堂出版社)、『遠心力』(白水社)、『自然 まだ見ぬ記憶へ』(NTT出版)、『洞窟へ――心とイメージのアルケオロジー』(せりか書房)、『影絵の戦い』(岩波書店)、写真集『瞬間の山』、『文字の母たちLe Voyage Typographique』(インスクリプト)、『In-between2 フランス、ギリシャ』(EU・ジャパンフェスト日本委員会)など多数。

本日の瑛九情報!
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今回の近美の瑛九展は作家のデビューした前後の1935年から1937年のフォトデッサン、コラージュに焦点をあてた展示ですが、晩年の点描作品も出品されています。
近美瑛九「田園」左から「田園 1959」「午後(虫の不在) 1958」「青の中の丸 1958」「れいめい 1957」
写真がピンボケですいませんが、中でも見ごたえがあるのが左端の120号の大作・油彩「田園」。
かつては私たちの画廊で展示したこともある最晩年の傑作です。

この「田園」は近美の所蔵ではなく寄託作品で、所有者はあの「なんでも鑑定団」に出演したKさんです。〜〜〜
瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で始まりました(11月22日〜2017年2月12日)。ときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

frgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」第26回

「ルリユール 書物への偏愛ーテクストを変換するもの」展と

フラグマン・ドゥ・エムによるルリユールの企画展が11月8日から11月19日に開催されました。
 会期中には多くの方にお越しいただき、作品をご覧いただきながら直接お話をすることができて大変有意義な時間を持つことができました。ご来訪いただいた皆様、どうもありがとうございました。
 また、ルリユールの企画展という、日本では希少な企画展示の機会をくださった「ときの忘れもの」さんには改めて一同深く感謝しています。
 この原稿を書いている現在は、実はまだ会期中の中程なのですが、ご来客のみなさんにご感想や質問をいただき、展示会場には充実した時間が流れています。初めて革工芸のルリユール作品に接したという方も多く、熱心に質問してくださってとても嬉しく思います。中には技法について鋭い質問もあり、どきどきすることもありました。お話しながら日本ではまだまだ認知度が低いルリユールをまず知っていただくことが何よりも必要だと改めて感じています。
 また、最終日には、写真家の港千尋氏によるトーク・イベントも行われ、より充実した展覧会となることでしょう。

zu1


 港氏は、グローバルなフィールドワークによる写真と評論で広く知られた方ですが、その写真そして著書で何よりも印象的なのは対象物に注がれる眼差しの在り方です。
 『記憶ー「想像」と「想起」の力』で語られているー(人間の)記憶は、文字や数字や信号のように書き込まれ保存されているものではなく、われわれが生きているすべての瞬間に、刻々と変化しながら現出するーは、意識しているかどうかは別として、たぶん誰もがなんとなく実感している現象ではないでしょうか。
 写真にはまったく門外漢である私が港氏の写真集に初めて接したのは「文字の母たちーLe Voyage Typographique 」を通じてでした。当時、西洋古版本を学習し始めた所で、活字についてしっかり調べたいと資料を漁っている内になぜか遭遇しました。

zu2『文字の母たちーLe Voyage Typographique』
港千尋
インスクリプト 2007年


 2006年に(事実上はほぼ)閉鎖されたと言っていいフランス国立印刷所の内部と、縮小されたとはいえ現在も存在する活字彫刻師の姿と活字の群れを撮影したこの写真集は、「活字を撮した写真」という不思議さとともに、失われつつあるものへのノスタルジーは感じられるけれどもそれとは微妙に違う距離も感じられて、名状しがたい感銘を受けたのでした。
 日頃から書物が持つテクスト以外のマテリアルな側面、それは印刷、(刷られるところの)紙、活字、版面、版画、タイトル、そして製本と表紙(!)ーに強く引きつけられている自分としては、ガラモン活字が過去に実際に使われ多くの印刷が行われたこの印刷所の内部に潜入したかのような気になり幸福な気持ちもしたのでした。

zu3


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zu5


(文:市田 文子)
市田(大)のコピー


●作品紹介〜市田文子制作
市田7-1


市田7-2
Egarements chez Louis Medard
Lunel
 
2006年 限定150部のうち71番

・水牛革総革装
・綴じつけ製本
・スエード革見返し三重装 
・タイトル箔印刷
・210×300×22mm
・2013年制作

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●ルリユール用語集
ルリユールには、なじみのない用語が数々あります。そこで、frgmの作品をご覧いただく際の手がかりとして、用語集を作成しました。

本の名称
01各部名称(1)天
(2)地
(3)小口(前小口)
(4)背
(5)平(ひら)
(6)見返し(きき紙)
(7)見返し(遊び紙)
(8)チリ
(9)デコール(ドリュール)
(10)デコール(ドリュール)


額縁装
表紙の上下・左右四辺を革で囲い、額縁に見立てた形の半革装(下図参照)。

角革装
表紙の上下角に三角に革を貼る形の半革装(下図参照)。

シュミーズ
表紙の革装を保護する為のジャケット(カバー)。総革装の場合、本にシュミーズをかぶせた後、スリップケースに入れる。

スリップケース
本を出し入れするタイプの保存箱。

総革装
表紙全体を革でおおう表装方法(下図参照)【→半革装】。

デコール
金箔押しにより紋様付けをするドリュール、革を細工して貼り込むモザイクなどの、装飾の総称。

二重装
見返しきき紙(表紙の内側にあたる部分)に革を貼る装幀方法。

パーチメント
羊皮紙の英語表記。

パッセ・カルトン
綴じ付け製本。麻紐を綴じ糸で抱き込むようにかがり、その麻紐の端を表紙芯紙に通すことにより、ミゾのない形の本にする。
製作工程の早い段階で本体と表紙を一体化させ、堅固な構造体とする、ヨーロッパで発達した製本方式。

半革装
表紙の一部に革を用いる場合の表記。三種類のタイプがある(両袖装・額縁装・角革装)(下図参照)【→総革装】。
革を貼った残りの部分は、マーブル紙や他の装飾紙を貼る。

夫婦函
両面開きになる箱。総革装の、特に立体的なデコールがある本で、スリップケースに出し入れ出来ない場合に用いる。

ランゲット製本
折丁のノドと背中合わせになるように折った紙を、糸かがりし、結びつける。背中合わせに綴じた紙をランゲットと言う。
全ての折丁のランゲットを接着したあと、表装材でおおい、装飾を施す。和装本から着想を得た製本形態(下図参照)。

両袖装
小口側の上下に亘るように革を貼る形の半革装(下図参照)。

様々な製本形態
両袖装両袖装


額縁装額縁装


角革装角革装


総革装総革装


ランゲット装ランゲット製本


●本日のお勧め作品は、瀧口修造です。
20161203_takiguchi2014_I_34瀧口修造
「I-34」
水彩、インク、紙
イメージサイズ:34.2×23.6cm
シートサイズ :35.7×25.1cm


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本日の瑛九情報!
〜〜〜
しばしば画家の出発は、秘かに孤独に始まり、孤独に終る……というのも、つい空語に陥りやすい自由というものを心に抱いての独り旅であるからではあるまいか。
瑛九はけっしていわゆる孤絶の人なぞではなかった。いつも社会にむかってひらかれた心を持ちつづけたといってよいだろう。ただわが国の画壇というものの体質にはついになじまず、反撥しつづけた。瑛九は五〇歳を待たず惜しくも世を去ったけれど、多くのみずみずしい仕事、しかも先駆的な仕事を残している。そしてつねに若く、汚れを好まぬ人々の共感をえつつある。瑛九は歩みつづけている。瑛九が瑛九らしくあることがいかに大切なことであるか、私はいよいよ痛感するばかりである。

瀧口修造【瑛九の訪れ】小田急グランドギャラリー『現代美術の父 瑛九展』図録1979年6月より)〜〜〜
瑛九の良き理解者であり「瑛九の会」呼びかけ人でもあった瀧口修造が書いた七つの文章をご紹介しています。
瑛九 1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす>展が東京国立近代美術館で始まりました(11月22日〜2017年2月12日)。ときの忘れものは会期終了まで瑛九について毎日発信します。

◆frgmメンバーによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」は毎月3日の更新です。

「ルリユール 書物への偏愛展」開催中

ただいま画廊では「ルリユール 書物への偏愛展」を開催しています。

初日の午前中にいつも展覧会の撮影をお願いしているタケミアートフォトスの皆さんにいつもよりはたくさんのカットを撮影していただきました。
まさに書物の小宇宙がきらきらと輝いている展示です。

亭主はじめ主力スタッフは台北です。
画廊には留守番のスタッフたちと、frgmの羽田野麻吏さん、平まどかさん、市田文子さん、中村美奈子さんが交替でつめています。
どうぞお出かけください。

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●本日のお勧め作品は、羽田野麻吏です。
羽田野-十二羽田野麻吏
アルチュル・ランボオ/小林秀雄訳 『地獄の季節』
2013年制作
総パーチメント二重装 パッセカルトン
パーチメントに駝鳥革・牛革・染め紙のモザイク
牛革・染め紙の見返し
天パラジウム
夫婦箱
タイトル箔押し:中村美奈子
サイズ:201×153×26mm

*書籍概要
1930年 白水社刊 初版
装幀: 佐野繁次郎

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◆ときの忘れものは「ルリユール 書物への偏愛―テクストを変換するもの―展」を開催しています。
会期:2016年11月8日[火]〜11月19日[土] *日曜、月曜、祝日休廊
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造本作家グループLes fragments de M(略称frgm)は2011年10月、三人の製本家と一人の箔押し師が集まり、ルリユールをもっと多くの方々に知っていただき、より身近なものとして慈しんでもらうことを願い、活動を始めました。
メンバーは羽田野麻吏さん、平まどかさん、市田文子さん、中村美奈子さんで、2014年11月よりブログでfrgmのエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」を連載しています。
「ルリユール」とはフランス語で「製本」を意味し、書店で売られているいわゆる機械製本も含める語ではありますが、一方で工芸としての製本を強く想起する言葉として、フランス語圏の国々では使われています。工芸としての製本とは、読書家・愛書家が自らの蔵書を製本家に依頼して、世界に一つの作品に仕立て直す(具体的には山羊革や仔牛革などを表装材に用い、その上に革や他の素材による)装飾を施していきます。
本展ではfrgm皆さんのルリユール作品約35点をご覧いただきます。
●イベントのご案内
展覧会最終日の11月19日(土)19時より、港千尋さん(写真家、著述家)を招いてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-maii. info@tokinowasuremono.com

「ルリユール 書物への偏愛展―テクストを変換するもの―」11月8日〜11月19日

ときの忘れものでは、2016年11月8日[火]〜11月19日[土]まで「ルリユール 書物への偏愛―テクストを変換するもの―展」を開催します(日曜、月曜、祝日休廊)。
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造本作家グループLes fragments de M(略称frgm)の皆さんの展覧会「ルリユール 書物への偏愛」を開催します。
frgmは2011年10月、三人の製本家と一人の箔押し師が集まり、ルリユールをもっと多くの方々に知っていただき、より身近なものとして慈しんでもらうことを願い、活動を始めました。
メンバーは羽田野麻吏さん、市田文子さん、平まどかさん、中村美奈子さんです。
「ルリユール」とはフランス語で「製本」を意味し、書店で売られているいわゆる機械製本も含める語ではありますが、一方で工芸としての製本を強く想起する言葉として、フランス語圏の国々では使われています。工芸としての製本とは、読書家・愛書家が自らの蔵書を製本家に依頼して、世界に一つの作品に仕立て直す(具体的には山羊革や仔牛革などを表装材に用い、その上に革や他の素材による)装飾を施していきます。
本展ではfrgm皆さんのルリユール作品約35点をご覧いただきます。

●イベントのご案内
展覧会最終日の11月19日(土)19時より、港千尋さん(写真家、著述家)を招いてギャラリートークを開催します(要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。
E-maii. info@tokinowasuremono.com

●エッセイ連載のお知らせ
2014年11月から、frgmの皆さんによるエッセイ「ルリユール 書物への偏愛」を連載しています。毎月3日更新です。
こちらも合わせてご覧ください。

■羽田野麻吏 Mari HATANO
製本家。「栃折久美子ルリユール工房」エコルプログラムにて製本工芸を学ぶ。 2003年よりアトリエコリルスとし注文制作・製本教室を始める。
個展「le greal」I・II・III 書肆啓祐堂
個展「dix mésangettes 10篇の詩のための秘匿箱」clement salon*
ARA国際製本美術フォーラム第6回より参加
2000年 エストニア国際製本展「Golden Book」受賞
2005年 Concours Pointe de Paris の42冊に選出
2006年 Double Bush Binding 豪・日・仏巡回展

羽田野-4出品No.4)
羽田野麻吏

・2016年制作
・総革二重装
・足付き製本
・夫婦函
・箔押し:中村美奈子
・表紙の素材・手法:山羊革と駝鳥革に蛙革・胃袋革・手染め紙のデコール
・表紙ウラと本文側の見返し:仔牛革・手染め紙・蛙革/手染め紙
・310×208×5mm
書籍データ:
MAX ERNST『PARAMYTHES』
1967年
LE POINT CARDINAL PARIS 刊


■市田文子 Fumiko ICHIDA
製本家。U.C.A.D(パリ工芸製本専門学校)、ヴェジネ市立製本学校で製本、書物修復を学ぶ。 2002年よりアトリエ・アルドを開き注文制作、ワークショップ、製本教室を始める。
個展「書物のつくり- Texte, Corps d'ouvrage, Structure」GALLERY北野坂
2007年 限定本「中原中也詩集」 atelier ALDE刊行 刊行記念展示「中原中也を綴じる−テクストと繋がるルリユール」アトリエ箱庭
イタリア国際ルリユール展 "L’Infinito"「100人の匠」に入選
イタリア国際ルリユール 展 "Il Cantico delle Creature"「100人の匠」に入選
2006年 Double Bush Binding 豪・日・仏巡回展

市田五出品No.20)
市田文子

・2015年制作
・アクリル表紙
・ランゲット製本
・革函
・表紙の素材・手法:アクリルに箔押のデコール
・221×171×20mm
書籍データ:
ポール・エリュアール『Les Malheurs des Immortels (神々の不幸)』
1922年
Edition de la Revue Fontaine, Paris 刊
初版


■平まどか Madoka TAIRA
製本家。2000年ベルギー国立ラカンブル高等視覚芸術学校製本・ドリュール科卒業。 2000-2001年 同上校修復科紙資料部門で研修。 現在、池袋コミュニティカレッジ内「ルリユール工房」講師、及び自宅工房での製本教室主宰。
個展「Madoka Taira Exposition –Reliure d’art-」森岡書店
1999年 ベルギーフランス語圏共同体政府コレクション収蔵
2001年 グループ展「Neuf Ecoles des Arts du livre exposent leurs reliures」 ヨーロッパ4カ国巡回
2006年 Double Bush Binding 豪・日・仏巡回展
2009年 Designer Bookbinders(英国) 国際コンペティション展示作品入選

平作品2出品No.26)
平まどか

・2016年制作
・総革装
・プラ・ラポルテ製本
・夫婦函
・箔押し:中村美奈子
・表紙の素材・手法:仔牛革に仔牛革のデコール
・表紙ウラと本文側の見返し:手染め紙
・229x178x11mm
書籍データ:
瀧口修造『三夢三話』
1980年
書肆山田 刊


■中村美奈子 Minako NAKAMURA
箔押し師。U.C.A.D(パリ工芸製本専門学校)で製本・箔押しを学ぶ。 その後、ヴェジネ市立製本学校にて箔押しを専門的に習得し帰国。 2006年より天金と箔押しを受注制作している。

中村作品1-a出品No.38)
中村美奈子

「文鎮」(参考出品)
・2016年制作
・鉄塊に山羊革、金箔とパラジウム箔での箔押し
・上部と下部に真鍮ワイヤー
・箔押しされているテクスト:William Blake「Auguries of Innocence」より引用


こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください

frgm公式サイト:http://www.frgm-reliure.jp/
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ギャラリー&編集事務所「ときの忘れもの」は建築家をはじめ近現代の作家の写真、版画、油彩、ドローイング等を扱っています。またオリジナル版画のエディション、美術書・画集・図録等の編集も行なっています。
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