パフォーマンス作品集 フルクサスをめぐる50余年
塩見允枝子

著者からのメッセージ

1960年代の前半に、私はイヴェントと呼ばれるパフォーマンス作品を数多く書きました。それらは基本的なコンセプトや演奏法を、簡単なことばで表現したもので、自然や日常の中のささやかな事象を対象としたdo-it-yourself の傾向の強いものでした。マチューナスはそうした作品を小さなカードに印刷し、プラスティックの箱に入れて出版してくれましたが、その後、私はこの単純なイヴェントを、より複雑で豊かな演奏芸術に発展させたいと思い始めたのです。以来、50年以上に及ぶ私の長い旅が始まりました。

この作品集では、1964〜2016年の間に制作したものから45作品を選び、年代順に並べています。例えば、1964年にニューヨークのワシントン・スクェア―画廊で初演した≪二重窓≫に始まり、「ことばを演奏する」ための作品群や、フルクサス的ユーモアの洗礼を受けたもの。又、シャ―ロット・ムアマン主催のAnnual Avant-garde Festival of New Yorkやオランダでのフルックスフェスト、ベン・ヴォ―ティエ主催のThe International Fluxus Nothing Festival in Niceやマチューマスの逝去を悼んで発行された新聞への献呈作品。それから、多少大掛かりな装置が必要なインターメディア作品や、電子テクノロジーによるコンピュータ・ミュージシャン達との共同作品など、その折々に関わる人々や時代によって、それぞれ違った角度からパフォーマンスの可能性を追求してきたのです。この本では、そうした冒険の数々を一望して頂けるでしょう。特に最後の作品は、2016年6月に相次いで他界されたフルクサスの二人の重要人物のために書き下した、パフォーマンス付き寸劇のシナリオです。

作品によって、インストラクションの文字数が大幅に異なるため、レイアウトには苦心しました。視覚的にも1作毎に異なっていますし、中にはヴィジュアル・ポエトリーのように、楽器の形に似せたものもあります。それでも45作品のそれぞれに、初演の場所や日時、或はその作品が生まれることになった経緯などを、脚注として簡単に記載しました。最小限のことばで、基本的な演奏法だけを記したこれらの作品は、実際に行なう場合には、様々な具体的条件を考える必要があります。今後再演するにしても、初演時と同じ条件は殆どないでしょうから、その時々に最適と思われるヴァリエーションを考案しなくてはなりません。

なお、表紙の写真は2015年に≪幽閉された奏鳴曲≫を京都市立芸術大学の学生会館ホールで演奏したときのものです。荘厳なベートーヴェンのソナタが、内部奏法による騒音に覆われ、又、楽器や演奏者達も白いネットによって、視覚的にも覆われるというパフォーマンスです。

この小冊子は表紙と各作品のタイトルだけは、日英両言語で表記しましたが、インストラクションは日本語のみです。全てを二か国語で出版するとなると、経費の関係から、本自体の価格も上がります。この版は、日本の若い世代の方々への贈り物として、簡素な装丁でなるべく廉価に抑え、それでも内容だけはしっかりと吟味して編集し、上梓しました。次世代の方々がパフォーマンスを楽しむための、小さな踏み台となることが出来れば幸いです。
しおみ みえこ

●書籍のご案内
この作品集は,フルクサスから出版された「イヴェント小作品」以後のことばを含んだパフォーマンス作品や寄稿文・献呈曲などから選出された45の作品と演奏の記録です。
所属先の京都市立芸術大学・芸術資源研究センターの技術協力を得て、簡素な小冊子として出版。
『塩見允枝子パフォーマンス作品集 フルクサスをめぐる50余年』塩見允枝子
『パフォーマンス作品集 フルクサスをめぐる50余年』サイン本

2017年
塩見允枝子 発行
60ページ
21.4x18.2cm
税別1,600円 ※送料別途250円


ときの忘れものでも扱っております。ご注文はこちらからどうぞ。

■塩見允枝子 Mieko SHIOMI
岡山市生まれ。1961年東京芸術大学音楽学部楽理科卒業。在学中より級友達と「グループ・音楽」を結成し、即興演奏やテープ音楽の制作を行なう。64年ニューヨークへ渡りフルクサスに参加。郵便によるグローバルなイヴェント「スペイシャル・ポエム」のシリーズを開始。帰国後も、海外のフルクサスの催し物に参加する他、国内でもパフォーマンス、音楽作品の作曲、視覚詩など、ジャンルを超えた活動を続けている。大阪府箕面市在住。

塩見允枝子 オーラル・ヒストリー

移転記念コレクション展
会期:2017年7月8日(土)〜7月29日(土) 11:00〜18:00 ※日・月・祝日休廊
※靴を脱いでお上がりいただきますので、予めご了承ください。
※駐車場はありませんので、近くのコインパーキングをご利用ください。
201707_komagome_2出品作家:関根伸夫、北郷悟、舟越直木、小林泰彦、常松大純、柳原義達、葉栗剛、湯村光、瑛九、松本竣介、瀧口修造、オノサト・トシノブ、植田正治、秋葉シスイ、光嶋裕介、野口琢郎、アンディ・ウォーホル、草間彌生、宮脇愛子、難波田龍起、尾形一郎・優、他

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ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
営業時間=火曜〜土曜の平日11時〜18時。日・月・祝日は休廊。

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JR及び南北線の駒込駅南口から約8分、名勝六義園の正門からほど近く、東洋文庫から直ぐの場所です。