SRな彼女 【ライトな非公認広報部】 

オマージュやパロディ、名セリフなどをコッソリ無理矢理投入したりしています。                                                                  探してくださいねwww

2014年01月

非公認ライトなラノベ広報部

<登場人物>
堀内智也
 アニメ好きで妄想癖のある高校2年生。琴乃に片思い中。
佐渡川キルマ
 SRな女王様。サディスティックな巨乳少女。
井上琴乃
 校内一の美少女。BL,同人マニア。
高池涼太
 智也の親友。家が金持ちでソーシャルゲームの課金王。
斉藤
 智也達のクラスメイト。変態で有名。


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SRな彼女  25

 俺は家を出た。

 早くいなくなれと思っていたくせに、いざ、その時を迎えると俺の心境は複雑だ。たった数日間だったが、キルマがいた日々は、ムカつく事はあったが刺激的で楽しかったと思う。俺は決して忘れないだろう。

 待ち合わせ場所では、時間に少し遅れた俺を、井上さんは笑顔で迎えてくれた。イベント会場へ向かう間、井上さんが俺に何か話しかけるが、俺の耳には全く入ってこなかった。ただ相づちを打つだけ――。あのツンデレ女王様の涙が、俺の頭の中をグルグル回っていた。時計を見ると、14時まで残り30分――。

「井上さん、ごめん! 俺、今日は、やっぱり……」

「え? どうしたの? 」

 俺は井上さんを残して走った。元来た道を、キルマのいる自宅にむかって――。何やってんだ、俺。

 

 自宅に着いたのは、14時2分前の事だった。

「キルマ! 」

 俺が部屋に飛び込むと、キルマは一人泣いていた。

 ――バカヤロウ! 強がり言いやがって。

「オヌシ……どうして……? 」

「一人で消えていくなんて、寂しい事言うな! 俺が……、俺が見取ってやる」

「馬鹿なヤツじゃ……。だけど、ワラワは嬉しい、嬉しいぞ」

 キルマは俺にしがみついて、さめざめと泣いた。俺は本気で消えて欲しくない、と思ったんだ。

「お別れじゃ……。オヌシに出会えてよかった」

 キルマは俺にキスをした。そしてそのまま蒸発をする様に消えてしまった。中身のいなくなったジャージを俺の胸に残して――。

 

 俺はひどく疲れていた。湿っぽいのは大嫌いな俺だけど、ちくしょう、涙が出ちまうぜ。いなくなって、せいせいするはずだったのに、なんなんだよ、俺! 俺はベッドに倒れこむと、キルマの着ていたジャージを抱きしめて眠った。

 

 


 ……いい匂いだ。ポニュポニュと柔らかい。抱き枕? 俺は何度も頬ずりをした。

 どれくらい眠っていたのだろう? 俺は目を覚ました。

 ――ん? が顔をうずめるジャージには、豊満過ぎるオッパイが?! 

 キルマも目を覚ます。

「どわああああああ!! 」

 俺は驚いて飛び起きた。だって、そうだろう? 抱き合って寝ていたんだぜ。

「ななな、なんでぇ?! 」

「き、き、きっさまァーッ! こ、この変態野郎!! スキル発動!! 」

「うぎゃあああああ!! 」

 ――消えたはずじゃあ……ハルハール・オッパイガール。

 

――運営からのお知らせ。

「いつも美少女カードバトルを御利用いただきありがとうございます。この度、一度入手したカードは消滅しないよう仕様変更いたしました。今後とも、美少女カードバトルをよろしくお願いします――」

 

 ――おしまい――

SRな彼女  24

 キルマ消滅日。

 井上さんと初デートの日だ。でも、俺は睡眠不足だった。昨夜はよく眠れなかったんだ。あの気丈なキルマの涙を、俺は初めて見た。俺は、なんだか罪の意識みたいな物を感じていたんだ。勝手に俺に召喚されて、短い命を終えて消えて行く。まるで蝉だ。誰だって、今日命が終わると知って受け入れられるはずが無い――。


 俺はスマホで美少女カードバトルにアクセスをした。『イベント終了時間、本日14時』の文字。

 俺は昨夜、運営宛にお問い合わせフォームでメールを送った。

 ――イベント用のレアカードを終了後も消滅しないようにして欲しい――

 運営からの返事を確認する。

「『美少女カードバトル』を御利用いただきありがとうございます。お問い合わせの件ですが、誠に勝手ながら一部のレアカードはイベント終了と同時に消滅する仕様になっております。あしからず御了承ください……」

 ――まあ、そんなもんだろうな。予想通りの回答だ。生存戦略、失敗。


 時刻はもうすぐ正午。井上さんとの待ち合わせまで、あと一時間だ。

 母さんが「お昼ごはん食べないの? 」と訊くが俺は食欲がない。

「もう、あなたもキルマちゃんも朝も昼も食べないなんて……。どうしちゃったのかしら? 」

 母さんは心配そうだった。

 楽しみなはずのデートなのに、俺の心は何かがつっかえたままだ。一応着替えて出発の準備をする。


 俺はキルマの部屋をノックした。消滅する前に顔を見ておこう。

「オス。智也……」

 意外に笑顔でキルマは顔を出した。

「なんじゃ? しんみりした顔をしておるな。オヌシらしくないぞ」

 キルマはそう言った。

「キルマ……」

「ワラワは運命を受け入れる事にしたのじゃ。もう、覚悟は出来ておる。心配するでない」

「お前、いつから知っていたんだ? 」

「オヌシが新体操部に迎えに来た時からじゃ。オヌシの心を読んでしまった……」

 ――あの時、俺に巨乳がどうとか言って喧嘩売ってきたのは、偶然ではなく、心が読まれたからだったのだ。

「心を読めば、知りたくも無い事を知ってしまう。因果なものだな……」

 キルマは呟く様にそう言った。

「世話になったな。もし、オヌシが望むなら、最後にワラワはオヌシの為に、能力を使ってもよい。琴乃がお前を未来永劫愛する様に洗脳してやる事も……ワラワは可能だ……」

「ばかやろう。俺がそんな事頼む訳ないだろう……」

 ――わかっているくせに。

「そうだ。わかっておる。では、早く行け。琴乃が待っておる」

「いや、でも……」

「いいから早く行くのじゃ。オヌシが居ると、ワラワはまた泣いてしまうかもしれぬ。オヌシに涙は見せたくないのじゃ。一人で消えさせてくれ。ワラワの最期のお願いじゃ」


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SRな彼女  23

 家に戻ると、俺はキルマの部屋をノックした。

 顔を出したキルマは相変わらず俺のジャージを着ている。キルマは制服以外ボンデージしか持っていないというのもあるが、意外とジャージが気に入っているようでもある。しかし、このダイナマイト巨乳、俺のジャージは胸の部分が伸びきって無残だ。

 ――やっぱり肉まんの三倍はあるかも……。


「な、なんじゃ? 何か用か? 」

「肉まん買って来たんだ。食うか? 少し冷めているかもしれないけど」

「何か企んでおるのか? 」

 キルマは俺をジロジロと見た。

「何も企んでなんかねえよ」

 ――井上さんとバイトだったんだぞ。俺は気分がいいのさ。それにキルマはもうすぐ消えてしまう。いざ消えるとなると、少し寂しい気もするんだ。だから、せめて肉まんくらい奢ってやろう、そう思ったんだ。

「な、中に入るがよい」

「え? いいのか? 」

「よいと言っておるであろう。入って一緒に食べようぞ」


 中に入ると石鹸の香りがふわっと俺を包んだ。風呂上りなんだろう、キルマの髪はまだ少し濡れていた。

「そこ座るがよい……」

「あ、ああ……」

 俺は言われるまま、ベッドの端に座った。並んで座ったまま暫く黙って肉まんを齧った。なんかね、話題が見つからなかったんだよ。

「や、やっぱ、ちょっと冷めてたな、肉まん」

 沈黙が窮屈で、俺は口を開いた。

「智也……。バイトって楽しいか? 」

 下を向いたままキルマは尋ねた。

「バイト? あ、ああ、まあ、そうだな」

「ワラワもバイトしてみたい……」

「え? 」

「ワラワにも、バイト出来ると思うか? 」

「……お前に? え……いや、出来るんじゃないか? 」

 ――消えてしまうのに出来るも何も……

「嘘をつくな……」

「え? 」

「嘘をつくなと言っておるのじゃ! 」

 そう叫ぶと、キルマは顔を上げた。

 ――涙……?

「ワラワは……、ワラワは、消えてしまうのであろう? 明日でワラワは……」

「お前、どうしてそれを……? 」

「出て行け! 出て行くのじゃ! 」

 キルマはボンデージを俺に投げつけた。

「……お、おい。キルマ……」

「うるさい! 出て行け! 」


 キルマは俺を部屋から押し出すと、鍵をかけてしまった。そして、その後、部屋からはすすり泣く声が聞こえてきたんだ。


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SRな彼女  22

「なにィ?! CHBDに入るゥ?! 」

 電車の中で、思わず俺はキルマに確認をした。三人の会話の中で、キルマがCHBDとやらに入ると言い出したのだ。

「ああ、斉藤にどうしてもと土下座されてな……。そのうち智也も入ると言っておったぞ? 」

 ――斉藤? 超(C)、変態(H)、バスターズ(B)、団(D)――CHBD!あのやろう……!

「そんなもん、入るかァ! 」

「え? そうなのか? 斉藤は自信たっぷりであったぞ? 」

「なあに? そのCHBDって? 」

 井上さんは尋ねた。

「いや、ワラワもよくわからんのじゃ……」

 ――わからんモノに入るなァ!

「キルマちゃん。斉藤って、あの変態さんで有名な斉藤君? 」

「いや、知らぬが? 斉藤って変態なのか? 」

「うん。ものすごい変態らしいよ。あの斉藤君が絡んでいるなら、なんだか面白そう――。私も入ろうかな? 」

 ――ぎゃあ! 井上さんが変態に食いついたァ! 目を輝かせてるしィ! しかも入るって……。

「堀内君も一緒に入ろうよ」

「い、いやあ。やめた方がいいかと……」


 駅に到着し、俺と井上さんは電車を降りた。

「またね、キルマちゃん」

 井上さんはホームでキルマに手を振った。キルマも少し微笑んで小さく手を振り返した。
 電車は発車し、キルマは一人帰って行く。

「良かったね――」と、井上さんは言った。

「え? なにが? 」

「キルマちゃんよ。転校してきたばかりで寂しそうだったけど、CHBDとか入れば友達できそうね」

 ――CHBDとか、変態ばかりですがな! いや、サドなキルマも十分変態か? まあ、どっちにしろ、キルマは消える運命だし、友達作ってもしかたないしな……。






 やはり、井上さんが居るバイトは最高だ。井上さんがいるだけで、野暮ったい店内も明るくなってくる。学校ではクラスが違うから、こんなに井上さんを見ていられる事はないからな。バイトの四時間なんて、あっという間に感じたよ。

 帰り際、俺は思い立って肉まんを二個買った。店長のサービスで社員割引適用だ。

 ――肉まんってちょうどオッパイくらいの大きさか? キルマはこの2倍はあるな。井上さんは、このぐらいかな? 妄想が膨らむ。
 帰り道。俺はそうーと隣を歩く井上さんの胸を確認。肉まんと比べる。うん、これよりは、もう少し大きいか。失敬失敬。そんな俺の妄想など気づかない井上さんは笑顔だ。


「堀内君、美少女カードバトル。どうなってる? 」

 井上さんは俺に訊いた。

「いやあ、今回も駄目っぽいよ」

「私も今回は諦めようかな。バイト代出たら、次のイベントは課金で頑張っちゃうんだから」

「お、俺もそうしようかな……」

 ――俺の場合、課金は未定だ。いや、しないと思う。嘘つきな俺。

「ねえ。堀内君。明日の休日。予定ある? 」

 井上さんはそう言った。

「え? いや、別にないけど……」

「漫画の同人イベントがあるんだけど、一緒に行かない? 良かったらだけど……」

 ――ままま、マジですか?! 遂に井上さんからデートのお誘いが!

「も、もちろん喜んで! 」

 ――井上さんとなら、たとえガチムチホモ漫画の即売会だろうが即演会だろうが、行くに決まってるぜ!

「嬉しい。良かったァ」

 井上さんは本当に嬉しそうに笑ったんだ。

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SRな彼女  21

 キルマ消滅前日

 俺の美少女カードバトルのイベントランキングはやっと1953位まで上がった。せっかく、1億分の1の最強カード『キルマ』を引いているというのに、当のカードは、突然ゲームを飛び出してしまって、こっちの世界で好き放題。俺の順位はこの辺りが限界か。涼太のヤツは熾烈なトップ争いに、鼻息が荒い。校則を破って、休み時間の度に隠れてスマホをいじっている。


「おい。堀内」

 話しかけてきたのは斉藤だ。こいつは変人で有名だ。噂では怪しげな活動をしているらしい。超平和バスターズ? SOS団、いやスケット団? なんだか名称は忘れたが、超常現象研究部的な活動で、学園の魔女伝説を探っているとかいないとか――。

「佐渡川キルマとは何者だ? 」

 斉藤は俺にそう尋ねた。

「どうして、俺にそんな事を訊くんだ? 」

「佐渡川が転校して来た日。あの日の事が、俺は気になって仕方ないのだ」

 ――こいつ。そういえば、あの日、キルマの能力で俺の隣の席をキルマに譲っていた。という事は、キルマのクラス全員への洗脳は、斉藤には二度目だ。斉藤には効いていない?!

「何の事だ? 」

 ――もしかしてキルマの能力を見て、魔女だと勘違いしたか……

「佐渡川はどんな、プ、プレイをするのだ? 」

「は 」

「なあ、教えてくれよ~。俺は真正のマゾなんだよ~。俺の変態センサーが反応しているんだ。ハアハア」

 斉藤はヨダレを垂らす。

 ――さすがは斉藤。校内一の変態と言われるだけの事はある。キルマの変態を見抜くとは。

「そ、そうだ。堀内。お前も俺と同じ臭いがする。我が『超変態バスターズ団』に入れ」

「そんな、変な団体に入れるかー!! 」

 俺はそれ以上絡みたくないので逃げ出した。

「俺は諦めんからなァ! 堀内ィ! きっと、お前達の変態を暴いて、我が『超変態バスターズ団』に入団させてやるゥ!! 」

 斉藤は大声でそんな言葉を投げた。勘弁してくれ! 





 そして、待ち遠しい放課後がやって来た。

「堀内くーん。バイト行こ」

 廊下で天使が手を振っている。

 ――ああ、夢見た日がやって来た。

「キルマちゃんは帰るの? 」

 井上さんは、俺の隣で帰宅の準備をしていたキルマに訊いた。

「うむ。暇だしな。帰ろうかとは思っておるが……」

「じゃあ、途中まで一緒に行こうか? 」

 ――ああ、井上さん。せっかくの二人きりが……。

「一緒に? じゃが、しかし……」

 キルマは俺の顔を見た。気を使うつもりか?

「帰り道一緒だし、いいでしょ? 」

「そうだ。キルマ。一緒に行こう」

 ――優しい井上さんの誘いをホゴにするなんて駄目だ。どうせ、キルマは消えてしまうんだ。俺はこれから何度でも井上さんと一緒にバイト行けるからな。それに、両手に花も悪くないね。

「わかった。そうしよう」

 俺達は三人で学校を出た。とりとめのない話をしながら歩く。

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