久しぶりに国内線の2泊3日に行ってきました。岡山と東京のステイでした。3日間、天気もよくて快適なフライトでした。1日目、2日目はB777に移ってきて半年くらいのCo-Piさん、3日目は3ヶ月くらいのCo-Piさんだったのでいろいろ技術的な話もしながら楽しくフライトしてました。B7に移ってきたCo-Piさんは半年もすると国際線に任用されて、北米線を中心に乗務するようになるので操縦を任される機会がぐっと減ります。国際線に出だすと操縦機会は月に5−6回がいいところでしょうか。月に10回くらいの操縦機会がないと、技量が低下するのを止めるだけで上達を図るのはなかなか難しいと思います。そういう事情もあってこの時期のCo−Piさんは操縦技術の修得に一生懸命なので僕も教え甲斐があります。

技術の修得という面では操縦技術も少林寺拳法の技術も同じで共通することが多いですね。月に10回というと大体週に2回程度、少林寺拳法でもやはり週に2回くらいは練習しないとなかなか上達はできないものです。上達のコツは少林寺拳法の教えの中にある『修行の心得』に凝縮されます。
『修行の心得』
1、修行目的の確立
2、修行の順序を守ること
3、基本を学ぶこと
4、理を知ること
5、数をかけること
6、修行を片寄せぬこと
7、体力に応じて修行すること
8、永続して行うこと

この教えは全ての技芸に通じる素晴らしい教えでまさにこの通りであると思います。飛行機の操縦技術もまったく同じ。
(1)何のために自分の操縦技術を高める必要があるのか、という確かな目的意識を持ち、
(2)基礎訓練から順次習ってきたことをベースに今の自分の段階でどのようなレベルが要求されるのかを理解し、
(3)まず基本を完全に体に覚えさせ、
(4)その基本が何故そうなっているのか、何のためにそうしなければならないのかを知ることで応用が可能になります。
(5)そしてできる限り多くの操縦機会を得られるように心がけ一回一回の操縦を大切にします。
(6)自分の好みや趣味だけに走らずいろんな人のいろんな考え方を試してみて、自分自身の能力の幅を広げ、
(7)自己管理をしっかりして自分自身の状態を常に正確に把握する訓練をし、
(8)訓練中じゃなくても日常のフライトから常に学ぶ姿勢をもって仕事に取り組む。
ことによってもっとも効果的な技術修得が可能になります。

B777というのは面白い飛行機で、マニュアルでコントロールしていても半分自動操縦が生きているようなシステムがあります。例えば、上昇気流で機体が浮き上がろうとすると操縦桿に力を加えなくても勝手にPitchが下がって機体を沈めようとし、逆に下降気流で機体が沈みだすとPitchを上げて沈みを止める、Pathを一定にKeepしようとするシステムです。だから気流が悪いときにPILOTが機体の動きを無視して、自分の力で飛行機を抑え込もうとしたらコンピュータと人間がけんかをして飛行機が暴れます。「B7は生きている。馬に乗っているようなものだ。自分は騎手になって、自分で飛行機を押さえ込むのではなく、飛行機の飛びたいように飛ばしてやれ。PILOTはそれをアシストしてやるだけでいいんだ。」と言われた先輩の言葉を心に刻みながらフライトしていますが、まさにその通りです。

「相手の力に逆らわず、相手の力を利用して滑らかな動きでコントロールする」・・・これも操縦と少林寺拳法の共通する考え方ですね。