トヨタ2000GTを描いた
 今まで当然描いたことがある筈のだが、どうも気が進まなくて描かずにいたのだが、近しい人からトヨタ2000GTを描いてくれと言われて、描いてみる気になった。その写真を探してみたのだが、あの2000GTの特徴を一つの角度で表現できる写真がない。やむを得ないからフロントヴューの大きく見える角度の絵にサイドヴューを加えて描くことにして横長のグレイのキャンソンボードを用意した。
 先ずPMパッドにアウトラインをスケッチして、形をよく推敲してからそれを忠実にトレーシング・ペーパーに写して、またそれをキャンソンボードに写して、いつもの要領で着色して、タイトルを入れて描き上げた。どうも満足の行く出来ではないが致し方がない。
 
TOYOTA200GT 001









 描いていて思ったことは私自身が2000GTの形を細部までよく把握していなかったということである。それはあの車の開発の過程に原因がある。あの車を開発したのはスポーツのために特に編成したチームによって行なわれた、そのチームにデザイン部から1人のベテランデザイナーを送り込んで、デザイン部とは全く無関係に開発の作業が行なわれたのであった。私は私が直接手を下さなかった車でも、私の責任の範囲で開発、デザインされた車は、大抵のことは細部まではっきり覚えていた。さて今度2000GTを描いてみると、部分によってはさてここはどんな形をしていたのだったか、ということがはっきり思い出せないのだ。形を決めるのに写真を頼りにするほかない所が沢山出てきた。だから今度のこの絵には些か頼りないところがあって、それが全体の頼りない表現になってしまっているのである。
 それとこの車を改めて描いてみると随分細部まで良く考えられてデザインされている、これはいくらベテランでも一人のデザイナーが全部やったとは思われないほど良く出来ている。開発に協力したヤマハの手が加わっていたか、それともこのブログにいつか意見を寄せてくれた人の言うようにどこかのデザイナーが手を下したのかもしれない。それは先に述べたように開発過程で無関係であった私には分らないことである。しかし一般の人の高い関心を呼ぶに値する優れたデザインであることは認めざるを得ないのだ。

[追悼]奇しくもこの文章を書いている時、嘗てこの車を担当したデザイナーの訃報を知らされた。深く哀悼の意を表します。