2015年07月29日

ハーちゅん⑤の〔考察〕

ハーちゅんの首を絞めた
養護施設の若い男の先生を、

他の先生たちが かばったのは、
いろんな理由があると、

私は思う…。




【1】こういう施設だからこそ、
男手が必要な時も あると思うのに、
男の先生が少ない。


私が施設へ行くと、
いつも女の先生ばかりで、

ハーちゅんの出来事が あって初めて、
施設に男の先生が居る事を知ったくらいだ。

だから、
ハーちゅんの出来事がバレてしまったら、

その貴重な人材を失う事になるので、

それを避けたかったのだと思う。





【2】養護施設の先生の なり手が少ない。


‥という事は、
先生が1人辞めると、

次の新しい先生を
なかなか 補充してもらえない
という事に繋がるのだ。


只でさえ大変な仕事なのに、
人手が足りなくなるのは、
とても困るのだと思う。





【3】他の先生たちも、
ハーちゅんに悩まされていた。


だから、その男の先生が、
ハーちゅんの首を絞めてしまった気持ちが、

よく解るから
かばいたくなってしまったのだろう‥。







あの施設は、陸の孤島だから…


先生たちの胸一つで

真実なんて
どうにでも出来る所なのだ…。





〆〆〆

その若い男の先生は、

なぜノイローゼに
なってしまったのか‥



それは たぶん、

ハーちゅんを、
例外の障害者だと思うことが、
出来なかったからだと思う…。




言葉が解る、
他の障害児の子たちと同じように、

ハーちゅんも
言って聞かせれば
解ってくれるはずだ‥


例外にするのは 良くない事なのだ‥


と、マニュアル通りに
懸命にやってしまったのだと思う。




でも‥
限度というものが あるだろう‥

ハーちゅんは、
誰が どう見ても、度を超えている。




ハーちゅんが例外である という
現実を受け止めるには、

養護教員になるために習ってきた
マニュアルを まるごと捨てて、

さらに、人とは何か?という概念も、
半分くらい捨てないと、

ハーちゅんの現実なんて、
受け止められないと思う。





 ̄ ̄ ̄
他の先生たちは、口には出さないが、

ハーちゅんは例外だから
どうしようもない…と、

そう思っていたと思う。




ウチの母親も、

ハーちゅんを施設に預けた理由に、

父親がハーちゅんを
殺してしまいそうだったから‥

と、そう言っていたのだ…。




他の先生たちも、ウチの両親も、

ハーちゅんを 例外視していたのだ。




そうしないと、

本当に、
こっちの精神状態が破綻してしまう…。






ハーちゅんを 例外視する事を
悪だと思ってしまって、

その結果、
精神を病んでしまうくらいなら、


“ハーちゅんは、人の体であっても、
中身は人ではない。これは例外だ”

という現実を受け入れて、


【自分】が壊れないように、
自己防衛してほしかった‥と、
思ってしまう‥。






〆〆〆

その若い男の先生が、

施設を辞めて、
それから どうなったのかは
わからない‥。




ただ、

ハーちゅんは未だに、
若い男の人を見ると怯えているのが、

言葉が通じなくても解る…。




[2010年7月18日]


tokoyami_showco at 04:35│ 私は障害きょうだい遺児 | 私は、障害きょうだい遺児《番外編》