2010年03月

2010年03月10日

ネガティブくん

Rope climber明けましておめでとうございます。
という言葉で始まった2010年初アップ。しかし今はもう3月。時差で日本の3月がアメリカの1月というわけではないのは言わずもがな、旧正月にしても遅すぎる。それはただ僕が記事の更新を怠っていただけのことであって、ただ僕がレイジーなだけのことである。
去年の新年一発目の記事“こんばんは、賀正ですが。”を振り返ると、地道だらけの地固めの年になりそうなどと言っていたが、ふたを開けてみると地固めどころか大地震で地面が真っ二つに割れてしまうほどの大変な一年だった。去年という年にタイトルを付けるなら迷わず“マグニチュード2009”に違いない。
何がそんなに大変だったかというと…、おっとあぶない!“常に笑いと感動を提供し、このブログを万人の心安らぐ憩いの場所にします”というたった今出来たブログ理念に基づき、あまり重たい話はここでは割愛させて頂きたい。
とにかく今年は僕の得意技であるポジティブシンキングをフル活用して、2010年という年を最高の年にしたい。
さて僕のポジティブシンキングがどれくらいすごいかというと、以前僕はとろろが大嫌いだった。食べると口のまわりが痒くなるし、何よりもあの食感は大量の鼻水をすすっているようで何とも気持ちが悪かった。しかし、柔道の試合で負けを繰り返すうちにくよくよしていては前に進めない、負けから何かを学ぼう、失敗を生かして成功につなげよう、というポジティブシンキングが僕の中に染み付いた。そしてあんなに嫌いだったとろろが食べれるようになった。とろろ芋の食感よりも栄養面に目を向ける事でそれがだんだん好きになっていった。
 僕のポジティブシンキングのすごいところはこれにとどまらない。鼻水すらも好きになった。とろろみたいで結構いける♪冬場の鼻炎が苦ではなくなった。ここまで来ればもうポジティ部長である。

しかし、そんな僕のポジティブの遺伝子を受け継がない息子がいる。
2月のあるデイオフ。高橋家の5人はサンタモニカビーチへと繰り出し、冬とは言え突き刺さるようなカリフォルニアの陽の光の中で日頃の抑圧されたものを解放させた。自転車でビーチ沿いを滑走する泰善。人懐っこいカモメを追っかける壮吉。思う存分砂遊びを楽しみ、思う存分砂を食べる多輔。ロープを登ってその息の切れ具合と腕の痙攣具合から体力の衰えを思い知らされる僕。それらを見守る妻。
そんな楽しかった思い出を語らいながら帰りのフリーウェイを走っていた。
「父さん、泰善の自転車めっちゃ速かったやろ!」
「父さん、今度は貝殻探そうね。」
「父さん、夏になったら海にも入ろうね。」
「父さん、次のオフもサンタモニカ行こうね。」
そんな絵に描いたような温かい家族のひととき。そのまま切り取ってアルバムに大切にしまっておきたい空間。120パーセント笑顔×5=幸せ。
しかし次の瞬間、それをぶち壊すように二つ前のピックアップトラックの荷台から巨大な黒い陰が転がり落ちてきた!時速120キロで流れているフリーウェイ。一つ前の車は慌てて左にハンドルを切る。妻はキャー!僕は一瞬何ごとか分からなかったがとにかく急ブレーキを踏んだ。しかし交通量も多い時間帯だったため、大規模な玉突き事故は避けなければならないと咄嗟にブレーキを緩め、右にハンドルを切った。すると右後方の車がクラクションを鳴らす。前の車はよけきれず黒い物体に激突。黒い物体が大破。僕たちの車はその大破した物体の破片をバラバラと踏んで乗り越えて行く…。


ネガティブくんその黒い物体は大量のペットボトルが入った巨大なゴミ袋だった。100メートルほど行くと落とし主のトラックがハザードを点滅させながら止まっていた。僕たちの車は何ごともなかったかのようにフリーウェイを静かに走っている。ただあの温かかった車内の空気は一気に零下まで下がっていた。そして車内には5つの心臓音がバクバクバクバク音をたてている。少し間をおいて泣きそうな壮吉が口を開いた。
「もうサンタモニカ行かない!」


toku3haru3 at 11:58|PermalinkComments(7)TrackBack(0)