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2016年11月05日

PT-03 『 死屍毒郎のアルバイト大作戦 』

tokubai2004

「なんだよ、洒落の通じねぇ奴らだな」

「それはこの社会全体に、いや、言える事ですね」

「しかしお前、予習したらしいのにその態か」

「いや、予習した通りににやってこの態ですよ」

「郷に入っては郷に従えよ、大人しくよ」

「自分には出来ない事をこそ相手に要求し勝ちですよね、いや、無能な人間て」

 最早水を掛けたくらいでは止まらない激しい交尾、とでも言いたそうな諦めの表情を浮かべた花乃が、二人の間に割って入る。

「では、向き不向きを考慮して応募先を選別しつつ死郎くんは職探しを継続、という事でいいかしら」

「既定路線に沿った詰まんない結論だな、へっ」

「いや、統計に従い人を均一化したがるこの社会に於いてそれは必然的な流れでしょうね」

「ごちゃごちゃ抜かすなら二人とも、帰ったらどうなのあの山奥の孤児院に」





tokubaizakki at 12:24|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 特売小説更新履歴 

2016年10月01日

PT-24 『 三塚松理のどうせweb小説なんて碌なもんじゃねえ 』

tokubai3

「へー。いつも自分の事ばかりの小虫くんでも人の役に立つ事があるのねぇ」

 実際に感心しているのかどうか、やはり平坦な調子でそう言った花乃がタブレットを机に置いて顔を上げ、小虫と松理の二人分の沖縄までの航空券が取れたと告げる。

「金曜の真夜中に発って土曜の深夜に帰ってくる、弾丸ツアーになっちゃうけど、臨時雇いを休む必要があるなら代わりの手配なんかは自分でやってね」

 予定を訊かれれば空けると答えるに違いないが、その確認もないとは独断専行が過ぎる、とは言え花乃の手際は確かなもの、松理がただただ目を丸くする。

「日程上、旅籠屋のお世話にはならないから女中さんに部屋まで歯ブラシを持って来させるなんて心配はないけど、島を歩いて一周したいとかいかだを組んで別の島に渡りたいとか小虫くんが言い出しても、間違いなく連れて帰る、それだけは約束してね」





tokubaizakki at 18:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 特売小説更新履歴 

2016年05月23日

PT-45 『 三塚松理の人生は上々だ 』

tokuuri

 二十五歳で会社勤め、と事前に相手からはそう聞かされていたが、実際に会って話をしている内に実のところは三十六歳の専業主婦だと判明した。

 二十四歳、大学院生だと伝えていた自分もまた本当は高校生なのだと男が告白すると、薄々気付いていたとその主婦は、経験の差を匂わせた。当然の事、百発百中潮吹きさせる俺の凄テク、だの、これまでに相手をした四十六人中三十五人がリピーター化、といった武勇伝もはったりだとばれていた。

 まさに、インターネットマッチングサービスの功罪が凝縮され、明暗が浮き彫りとなった、これは俗に言う面接、ブラインドデート現場だった。





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2016年03月18日

PT-15 『 軽音部壊滅す 』

tokubai

 全47話を数えるテレビアニメ版「機動警察パトレイバー」、その内のお気に入りのエピソードを互いに出し合う流れとなり、果たして三塚松理が、第29話「特車二課壊滅す」のタイトルを挙げるとこれが満場の賛同を得、三年生の神代国見や同じく三年生で生徒会副会長の海野花、通称花乃らが大いに盛り上がる。

「後に「ケータイ捜査官7」で再現された時は、ま、俺は痺れたね」

 始業前の市立宝町高校、直線型校舎三階の南端、音楽室。

 表向きは軽音楽部の朝練とされながら、実際は軽音部周辺人脈の屯所として働いているその場所に、隻腕隻眼の大男、三年生の小龍包虫男、通称小虫が現れ、皆に刮目するよう呼び掛けた。

「年収三、四百万にも満たないお前ら下層民共に命令を下すぜ」

 持ち上げた口角で頬を歪めたお得意の、凶悪な笑みを小虫は浮かべた。





tokubaizakki at 01:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 特売小説更新履歴 

2016年03月12日

PT-32 『 一之瀬綾子のいきなり告白とかしない方がいいと思う 』

tokubai2006

「あたしたちがこんな恋愛ものの映画を観ちゃっていいのかな。似合わないからって死刑になったりしないかな」

「死刑になったらなったで逃げ方はその時に考えるとして、とりあえずはきょろきょろなどせず堂々としておけばいいよ」

 整髪料の存在を知らないみたいなもっさりとした頭髪、量販店で購めたと思しきポロシャツとジーンズ、好きなミュージシャンのスタイルを真似たと言うサンバイザー、双見のその普段の姿に綾子は、脇目も振らず対象に没頭する趣味人、という印象を持つ。

 或いは、これからは本番だとして気負った部分のある自分とは違い、今までの助走期間から然程変わらずに見えるその様子に触れ、安心感を得て落ち着きを取り戻す。

 喧嘩別れと再会を繰り返す男女が二十年越しに結ばれるまでを客観的に、ドライに描いた映画は、主役の男女を演じる二人の役者の相性の好さも奏功し、軽妙な味わいがあった。

 これを綾子も双見も存分に楽しみ、選択を間違っていなかったと口を揃えた。





tokubaizakki at 03:11|PermalinkComments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 特売小説更新履歴 
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