そうこうして数日が経った。俺はコタツ兼テーブルのうえで、ウンウンうなってノートにあれこれゲームプランを書き殴っていた。杉作くん流にいえばアイディーアを考え続けていた。
アイディーアどころか、もはや、ため息も出ない。
バイトも辞めた。オッサンからもらった金はパソコンの購入費やらなんやらで、すでに30万円以上使っていた。
あてもなく俺は近所をぶらぶらした。
気がつくと、あの公園にいた。
鳩は顔を覚えているかのように、ベンチに座った俺の前に集まってきた。
だが、あの迷子のレース鳩、オッサンが「優作鳩」と名づけた鳩はいなかった。しばらく待ってみたが、いつまで経ってもやってくる気配はなかった。
俺はポケットから携帯を取り出し、アルバムを見た。実は以前に1人で公園に来て、優作鳩の写メを撮っていた。
そのときも俺は優作鳩に手で直接パンを食べさせた。右手でパンを食べさせながら、左手で携帯のシャッターを押した。
「ハイ、チーズ」
カシャ。
シャッター音に驚き、優作鳩がビビって羽をばたつかせる。
ピンボケせずに撮影するのに10分くらいかかった。キレイに撮れたたった1枚の写メをアルバムに保存した。それを見る。
旅立ったんだろうな。
それがあの世なのか、それとも飼い主のもとなのか。
いずれにせよ、どこかに行った。写メを1枚、残して。
精神が不安定になっていたのか、少し涙ぐんでしまった。
俺は想像した。優作鳩がどこか大空を飛んでいる姿を……。普通の鳩より美しい飛行姿勢で、優雅に飛んでいる。そして舞い降りる。そこに俺がいる。
「アッ!!」
俺は思わず声を上げた。そうだ、優作鳩のゲームを作ろう。いや、作ってやりたい、俺は心からそう思った。どうしても俺は、優作鳩に会いたくなった。
俺は走った。
携帯を耳にあてる。
「ああ、藤田さん、なんでしょう、もうすぐ昼休みが終わりましてええ、午後の授業が、はじまるんですけどおおお」
俺は怒鳴った。
「いいから、すぐ俺の部屋に来い! いいな、ソッコーで!」
電話から「そんなああ、ご無体なああ」という声が聞こえていたが、そのまま切った。俺は興奮して、どうにも止まらなかった。
感情も、カラダも。走る、走る、走る。うおおおお、と叫んで走り続ける。
なんか昔見た青春ドラマっぽいが、そんなことはどうでもよかった。
(書籍につづく)
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これまでブログ連載全25回をご愛読頂き、誠にありがとうございます。
連載の内容を面白いと思っていただいた方は、
書籍で続きをご覧いただけるとありがたく存じます。
徳間書店
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アイディーアどころか、もはや、ため息も出ない。
バイトも辞めた。オッサンからもらった金はパソコンの購入費やらなんやらで、すでに30万円以上使っていた。
あてもなく俺は近所をぶらぶらした。
気がつくと、あの公園にいた。
鳩は顔を覚えているかのように、ベンチに座った俺の前に集まってきた。
だが、あの迷子のレース鳩、オッサンが「優作鳩」と名づけた鳩はいなかった。しばらく待ってみたが、いつまで経ってもやってくる気配はなかった。
俺はポケットから携帯を取り出し、アルバムを見た。実は以前に1人で公園に来て、優作鳩の写メを撮っていた。
そのときも俺は優作鳩に手で直接パンを食べさせた。右手でパンを食べさせながら、左手で携帯のシャッターを押した。
「ハイ、チーズ」
カシャ。
シャッター音に驚き、優作鳩がビビって羽をばたつかせる。
ピンボケせずに撮影するのに10分くらいかかった。キレイに撮れたたった1枚の写メをアルバムに保存した。それを見る。
旅立ったんだろうな。
それがあの世なのか、それとも飼い主のもとなのか。
いずれにせよ、どこかに行った。写メを1枚、残して。
精神が不安定になっていたのか、少し涙ぐんでしまった。
俺は想像した。優作鳩がどこか大空を飛んでいる姿を……。普通の鳩より美しい飛行姿勢で、優雅に飛んでいる。そして舞い降りる。そこに俺がいる。
「アッ!!」
俺は思わず声を上げた。そうだ、優作鳩のゲームを作ろう。いや、作ってやりたい、俺は心からそう思った。どうしても俺は、優作鳩に会いたくなった。
俺は走った。
携帯を耳にあてる。
「ああ、藤田さん、なんでしょう、もうすぐ昼休みが終わりましてええ、午後の授業が、はじまるんですけどおおお」
俺は怒鳴った。
「いいから、すぐ俺の部屋に来い! いいな、ソッコーで!」
電話から「そんなああ、ご無体なああ」という声が聞こえていたが、そのまま切った。俺は興奮して、どうにも止まらなかった。
感情も、カラダも。走る、走る、走る。うおおおお、と叫んで走り続ける。
なんか昔見た青春ドラマっぽいが、そんなことはどうでもよかった。
(書籍につづく)
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