最近、総務省が推進している携帯フィルタリングが、
いよいよ大きな問題となってきています。
J-CASTニュース : フィルタリングで「モバゲー」規制 株価急落でDeNA思わぬ「苦境」
携帯電話のゲーム・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の株価下落が続いている。携帯電話事業者がそろって18歳未満の利用者に、「有害サイト」の閲覧をできなくする「フィルタリング」を設定すると発表したことが影響した。10代に圧倒的な人気を誇っている「モバゲー」だが、強まるフィルタリングの動きのなかで、思わぬ「苦境」に立たされたかたちだ。
思わぬ苦境などと書いていますが、
子供にフィルタリングを強要して需要を押さえ込めば、
子供が困るのはもちろんのこと、
子供向けサービスを提供している事業者も困るのは、当然のことです。
それでは何故、今になって影響が表面化してきたのでしょうか。
それは、フィルタリングの普及率が、最近になって激増したからです。
今年7月に内閣府が発表した調査では、フィルタリングの利用率は
小学生が1.2%、中学生は0.8%でした。
しかし、電気通信事業者協会が9月末に行った調査では、
小中高校生の3分の1にも上りました。
調査主体、調査方法、調査対象の全てが違うので、
単純な比較は難しいところですが、
「親権者が明示的に拒否しない限り、フィルタリング加入」という方針が、
かなりの影響を与えているものと考えられます。
特にこの時期はクリスマスプレゼントなどがあり、
子供の携帯電話購入が多くなる時期なので、更に影響は広がるでしょう。
何故総務省は、子供から娯楽を奪い、
事業者から収益機会を奪うフィルタリングを、
ここまでして推進するのでしょうか。
犯罪から守るためなどと言ってはいますが、
以前に書いたように、実際に子供が被害者になる犯罪は極少数です。
しかも、フィルタリングなどという極めて弊害の大きい対策を取らずとも、
やれることはいくらでもあるでしょう。
つまり、総務省がフィルタリングを推進する理由は、他にあるのです。
それは1つとは限らないので、恐らくいくつかの理由があるのだと思いますが、
最大の理由は、かつて大きな社会問題となった、管理教育ではないでしょうか。
管理教育というのは、子供を利益の主体とは考えず、
一部の大人の利益の客体として捉え、
提示された価値観を受け入れることや、指示に盲従することを子供に求める教育政策です。
具体的には、社会の流行を追うことや社会に関心を持つことの禁止、
外出の制限、
異常に厳しい規則を実力で強要することなどが行われていました。
子供を利益の主体とは考えないのですから、
子供の不利益などお構いなしというわけです。
今総務省が推進しているフィルタリングは、
まさにこのような特徴を備えています。
フィルタリングによって情報摂取の自由や通信の自由が侵害されれば、
様々な価値観や人とのつながりを持つことができなくなります。
そうなれば、提示された価値観や、
指示の妥当性を吟味する能力が低下していくことは明らかです。
かつて実力をもって行われていたことが、
今再び「通信契約への政治介入」によって行われようとしているのです。
総務省がそこまで謀略じみたことを考えているのか、
昔受けた管理教育によって、無意識に同じことを
繰り返してしまっているだけなのかは分かりませんが、
どちらにせよ、子供にとって大きな問題であることに変わりはありません。
子供の携帯電話を購入する際には、フィルタリング加入欄にバツが入っているか、確認しましょう。
そして、もし強制的にフィルタリング加入されそうになったら、必ずその場で抗議しましょう。
フィルタリングというものがいかに有害無益か、
子供と保護者がともに理解していくことこそが、
管理教育の亡霊を祓うことにつながります。
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「携帯サイト業界の憂鬱 人権保護へ“規制”じわり」IT‐インターネットニュース:イザ!