11月25〜28日にブラジルで開かれた「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」は、
児童ポルノ禁止法に定める「児童ポルノ」の単純所持のみならず、
「バーチャルな画像や性的搾取の描写」、
つまりアニメ、漫画、小説なども含めた「児童ポルノ」の「閲覧」をも非合法化するよう求める提言をまとめ、閉幕しました。
「児童ポルノの閲覧も「犯罪」と明言 リオで国際会議」世界から‐南北アメリカニュース:イザ!
児童買春や児童ポルノなどの根絶を目指しブラジル・リオデジャネイロで開かれた「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」は28日、被害者保護の観点から、市民がインターネット上の児童ポルノサイトにアクセス・閲覧する行為も犯罪だとして法律で禁止するよう各国政府に求めた提言をまとめ、閉幕した。
ブラジル:子どもの性的搾取反対会議 リオ宣言案を採択 - 毎日jp(毎日新聞)
また、児童ポルノについては「バーチャルな画像や性的搾取の描写」という表現で、過激な漫画やアニメも児童ポルノに属するとした。
会議の内容については以下のサイトが詳しいので、
少し長いのですが、詳細を把握したい方は参照してください。
今国会内で児童ポルノ法改悪の観測が浮上&ブラジル会議で創作物と「閲覧」が槍玉に|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ
ブラジル会議、閉幕 「閲覧」の違法化と、「過激な二次元創作物」を「児童ポルノ」とする宣言を採択|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ
会議の内容を簡単にまとめると、
18歳未満の「児童」に対する性的嗜好そのものを撲滅するため、
それを想起させる一切の情報の発信も受信も非合法化せよというものです。
もはや児童の保護など何の関係もない話であり、
このようなでたらめな議論がまかり通れば、
最終的には性犯罪を撲滅するため、全国民に性ホルモン検査を義務付け、
規定範囲外の数値を出した者には性ホルモン抑制剤を強制投与し、
化学的に去勢せよという話になるでしょう。
実際、米国の一部の州では性犯罪者限定とはいえ、このような措置が既に実施されており、
犯罪者に対する措置であっても非人道的措置は許されない以上、
性ホルモン抑制剤の強制投与は人道に反するものではないということになっているので、
「児童の保護」「性犯罪予備軍の保護」といった名目で全国民に実施されることは、
否定できることではありません。
こうした恐ろしい議論が国際会議でなされる背景には、
「小児性愛者は絶対悪」という、会議参加者間の暗黙の了解があります。
しかし、一体いつ、何をきっかけに、
18歳未満の者に対して性的嗜好を持つ者が「小児性愛者」と呼ばれ、
決して擁護することが許されない「絶対悪」に転落させられたのでしょうか。
禁欲主義を掲げるキリスト教圏限定の話であれば、まだ理解できないことはありませんが、
非キリスト教圏の日本でも激しい非難が浴びせられる現状は不可解です。
ただ、「絶対悪」である以上、手段を選ばず撲滅すべしという主張が出てくることは避けられないので、
「小児性愛者は絶対悪」という前提が、何を根拠にしていて、
本当に正当性のある前提といえるのかという問題は、
このでたらめな議論を食い止める上で、重要になってくると考えられます。
根拠が弱ければもちろん、キリスト教圏でしか通用しないものであっても、
少なくとも日本においては当てはまらない前提となり、
18歳未満の「児童」に対する性的嗜好そのものを撲滅するなどという、
荒唐無稽な話に付き合う必要はなくなるからです。
規制推進派がよく持ち出す、
「児童ポルノの単純所持を規制していない国は、G8の中で日本とロシアだけ」という主張も、
G8の中で日本以外の国は全てキリスト教国家ということを考えれば、
日本で規制を推進するには根拠の弱い理屈であることが分かります。
コンテンツ規制 「舶来信仰」から脱却をでも書きましたが、
もう占領下ではないのですから、外国のコンテンツ規制がどうであろうと、
日本は日本国民に合った規制制度を構築すれば良いのです。
キリスト教国家が「小児性愛者は絶対悪」と決めたのだからそれが正しいというような、
思考停止としか言いようのない議論に、付き合う必要はありません。