2010年03月15日

東京都青少年条例案 全会一致による廃案を目指せ

1.婦人団体や天下り先公益法人からも反対相次ぐ

 3月12日に東京都の石原慎太郎知事が東京都議会に提出した青少年健全育成条例改正案について、
インターネット上だけでなく、
婦人団体や各省官僚の天下り先公益法人も結束して、反対の意見書を提出しました。

東京都青少年健全育成条例に反対、民間団体と有識者が意見表明 -INTERNET Watch

 12日、この条例改正案に対して、民間団体および有識者らが反対の声を挙げた。意見書を提出したメンバーは以下の通り。東京都地域婦人団体連盟(東京地婦連)、東京大学大学院 教授 長谷部恭男氏、ネット教育アナリストの尾花紀子氏、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)、ECネットワーク【経済産業省】、電気通信事業者協会(TCA)【総務省】、テレコムサービス協会(テレサ協)、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)、CANVAS。
筆者注:【】内は筆者が確認した、天下り官僚の出身省。【】のない団体については確認できず

 上記の通り、天下り先公益法人で反対意見を提出したのは、
経済産業省と総務省の関連団体だけで、警察庁の関連団体は含まれていません。
当ブログでは、児童ポルノ禁止法改正案や青少年ネット規制法(青少年インターネット環境整備法)などの人権侵害法が提案される背景には、
警察庁の存在があることを再三指摘してきましたが、
他省が間接的に反対意見を提出しているにも関わらず、警察庁が提出していないことは、
この条例改正案は警察主導で立案された保安立法であり、
決して青少年(18歳未満の者)の利益を守るためのものではないということを、改めて印象付けるものです。

2.多数の重大な人権問題を一括審議することは不可能

 「違憲でない項目を探すことの方が難しいくらい」とさえ指摘されるほど、
この条例改正案は人権侵害規定だらけであり、問題点を網羅的に取り上げるのは困難なので、
特に重大な問題と考えられる5点を箇条書きで示します。
なお、条例改正案全文は以下のサイトを参照してください。

番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載: 無名の一知財政策ウォッチャーの独言

  1. 表現規制の基準を、青少年の「健全な成長」や「健全な判断能力の形成」を阻害するものとしているが、いずれも条文に定義規定がなく、東京都知事にフリーハンドを与えている(第7条〜第9条の2第1項第2号ほか)
  2. 「小児性愛者(18歳未満の者に対して性的嗜好を持つ者)は絶対悪」という思想の普及を東京都の「責務」としているのみならず、通信事業者や東京都民に「協力」の努力義務を課し、更に「何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する」として、東京都民以外の国民にも焚書を要求している(第18条の6の2〜第18条の6の4第3項)
  3. インターネットの「危険性」などの「啓発についての指針を定める」としているが、危険性ばかりを煽る内容となり、適正なリスク判断を妨げるものとなる恐れが強い(第18条の6の6第2項)
  4. 青少年ネット規制法が検閲ソフト(フィルタリングソフト)の当否の判断を家庭に委ねているにも関わらず、検閲ソフトを利用しない場合にのみ理由書の提出を義務付けている(第18条の7の2第1項)
  5. 東京都知事に通信事業者への立ち入り検査権、保護者への説明・資料提出要求権を与えており、両者に対して強大な圧力を掛けることとなっている(第18条の7の2第7項、第18条の8第5項)

 これらの規定は全て重大な人権侵害に当たるものであり、
1件ずつ慎重な審議を要するものですから、
ここでは取り上げていない問題点も含め、全てを一括審議することなど不可能です。

3.東京都青少年問題協議会の委員を刷新せよ

 以上のように、現在都議会に提出されている青少年健全育成条例改正案は、
審議するにも値しないものです。
パブリックコメントへの応募も含め、反対意見は個人・団体ともに多数に上っているほか、
民主党の都議員も3月12日の都議会予算特別委員会で反対を訴えており、(イザ!)
既に原案通り可決できる状況ではないと思われます。
しかし、審議のたたき台にすらならないような議案である以上、
修正協議にも一切応じるべきでないのはもちろんのこと、
このような条例案が廃案以外の結論になることはあり得ないことを、
都議会が全会一致で反対することによって強く示し、
二度とこのような条例案が提出されないようにすべきです。

 また、今回の条例改正案の元となった、
「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」の答申(PDF)の作成に携わった、
第28期東京都青少年問題協議会委員(PDF)を刷新すべきです。
設置根拠法である地方青少年問題協議会法は、
協議会の所掌事務を「青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する総合的施策の樹立につき必要な重要事項を調査審議すること」としているにも関わらず、
青少年を保護するどころか、率先して青少年の人権を弾圧しているようでは、存在意義が問われます。
法の趣旨に沿った審議ができる委員を任命して、ゼロベースで審議をやり直す必要があります。

関連リンク
【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 3(シンプル・イズ・ベスト版): 弁護士山口貴士大いに語る

緊急街宣 青少年健全育成条例改正案 断固反対(3.14追記あり) 日本を護る市民の会(日護会)のブログ(仮)/ウェブリブログ



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東京都青少年健全育成条例改悪問題・・・状況は?【ボヘミアンな京都住まい】at 2010年03月15日 10:05