2010年04月18日

検閲ソフト 全国民への強制適用構想が動き出す

1.京都府知事が「『フィルタリング』の義務化」を明言

 4月11日に行われた京都府知事選で3選を果たした山田啓二氏が、
児童ポルノの流通抑制を名目に、「『フィルタリング(検閲ソフト適用)』の義務化」を明言しました。
名目が流通抑制であるため、成人を含めた全住民が検閲ソフトの強制適用対象となります。
1年前に警察庁が提言した全国民への検閲ソフト適用構想が、
ついに実現に向けて動き出しました。
(昨年の警察庁の提言については、児童ポルノを口実に始動する日本版GFW構想を参照)

一問一答「福祉や成長戦略全力」 : 京都 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 ――マニフェストに書いた「日本一厳しい児童ポルノ規制条例制定」が注目されているが。

 「児童ポルノの被害者になった子どもたちの映像や画像がずっと残り、被害が続くのは許せない。(有害サイトへの接続を制限する)『フィルタリング』の義務化などをやっていかないといけない。被害者を再生産しない仕組みを作ることがメーンだ。どのような規制が出来るかは、専門家を集めて議論する。次の補正予算に、そのための調査費などをつけたい」

2.中国共産党も断念した検閲ソフトの強制適用

 実は同様の情報統制が昨年夏、中国において試みられました。
「有害サイトから青少年を守ること」を名目に、
2009年7月1日から販売される全てのパソコンに検閲ソフト「グリーン・ダム」を強制搭載させる計画でしたが、
前日の6月30日に延期を余儀なくされ、8月13日には「断念宣言」を出すという、
一党独裁国家としては異例の事態に追い込まれました。

「中国、検閲ソフト義務化断念 回線管理に転換か」:イザ!

 【上海=河崎真澄】中国政府は13日、国内で販売されるパソコンを対象に、有害サイトへの接続を遮断する政府指定の“検閲ソフト”搭載を義務化するとしていた方針を、撤回した。工業情報省がこの日、記者会見で明らかにした。国際社会だけでなく国内のネットユーザーからも猛反発にあい、異例の「断念宣言」に追い込まれた格好だ。だが、専門家らは、中国当局がパソコン内部ではなく、ネット回線そのものの検閲機能を強化する動きもあるとし、警戒を強めている。

 つまり、このような情報統制政策は、共産党による独裁政権に支配され、
うかつに政府批判をすれば10年以上の懲役刑に処せられることがある中国においてさえ、
とても認められないレベルの人権侵害政策なのです。

3.試される自治体の自浄能力

 先月、東京都議会で継続審議になった青少年健全育成条例改正案に続き、
地方議会がこのような人権侵害政策に対して、
どこまで明確に「ノー」を突き付けることができるのかが注目されます。
京都府知事と京都府議会が自ら権力の暴走を抑えることができないようであれば、
一切の精神的自由権の制約権を自治体から剥奪し、
自治体の所掌分野を経済政策中心に絞り込むことを検討する必要も出てくるでしょう。
自治体が自らの問題を自ら解決することができるのかという意味でも、
京都府の検閲ソフト問題を注視し続けなければなりません。