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東京都青少年条例案 全会一致による廃案を目指せ

1.婦人団体や天下り先公益法人からも反対相次ぐ

 3月12日に東京都の石原慎太郎知事が東京都議会に提出した青少年健全育成条例改正案について、
インターネット上だけでなく、
婦人団体や各省官僚の天下り先公益法人も結束して、反対の意見書を提出しました。

東京都青少年健全育成条例に反対、民間団体と有識者が意見表明 -INTERNET Watch

 12日、この条例改正案に対して、民間団体および有識者らが反対の声を挙げた。意見書を提出したメンバーは以下の通り。東京都地域婦人団体連盟(東京地婦連)、東京大学大学院 教授 長谷部恭男氏、ネット教育アナリストの尾花紀子氏、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)、ECネットワーク【経済産業省】、電気通信事業者協会(TCA)【総務省】、テレコムサービス協会(テレサ協)、日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)、モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)、CANVAS。
筆者注:【】内は筆者が確認した、天下り官僚の出身省。【】のない団体については確認できず

 上記の通り、天下り先公益法人で反対意見を提出したのは、
経済産業省と総務省の関連団体だけで、警察庁の関連団体は含まれていません。
当ブログでは、児童ポルノ禁止法改正案や青少年ネット規制法(青少年インターネット環境整備法)などの人権侵害法が提案される背景には、
警察庁の存在があることを再三指摘してきましたが、
他省が間接的に反対意見を提出しているにも関わらず、警察庁が提出していないことは、
この条例改正案は警察主導で立案された保安立法であり、
決して青少年(18歳未満の者)の利益を守るためのものではないということを、改めて印象付けるものです。

2.多数の重大な人権問題を一括審議することは不可能

 「違憲でない項目を探すことの方が難しいくらい」とさえ指摘されるほど、
この条例改正案は人権侵害規定だらけであり、問題点を網羅的に取り上げるのは困難なので、
特に重大な問題と考えられる5点を箇条書きで示します。
なお、条例改正案全文は以下のサイトを参照してください。

番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載: 無名の一知財政策ウォッチャーの独言

  1. 表現規制の基準を、青少年の「健全な成長」や「健全な判断能力の形成」を阻害するものとしているが、いずれも条文に定義規定がなく、東京都知事にフリーハンドを与えている(第7条〜第9条の2第1項第2号ほか)
  2. 「小児性愛者(18歳未満の者に対して性的嗜好を持つ者)は絶対悪」という思想の普及を東京都の「責務」としているのみならず、通信事業者や東京都民に「協力」の努力義務を課し、更に「何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する」として、東京都民以外の国民にも焚書を要求している(第18条の6の2〜第18条の6の4第3項)
  3. インターネットの「危険性」などの「啓発についての指針を定める」としているが、危険性ばかりを煽る内容となり、適正なリスク判断を妨げるものとなる恐れが強い(第18条の6の6第2項)
  4. 青少年ネット規制法が検閲ソフト(フィルタリングソフト)の当否の判断を家庭に委ねているにも関わらず、検閲ソフトを利用しない場合にのみ理由書の提出を義務付けている(第18条の7の2第1項)
  5. 東京都知事に通信事業者への立ち入り検査権、保護者への説明・資料提出要求権を与えており、両者に対して強大な圧力を掛けることとなっている(第18条の7の2第7項、第18条の8第5項)

 これらの規定は全て重大な人権侵害に当たるものであり、
1件ずつ慎重な審議を要するものですから、
ここでは取り上げていない問題点も含め、全てを一括審議することなど不可能です。

3.東京都青少年問題協議会の委員を刷新せよ

 以上のように、現在都議会に提出されている青少年健全育成条例改正案は、
審議するにも値しないものです。
パブリックコメントへの応募も含め、反対意見は個人・団体ともに多数に上っているほか、
民主党の都議員も3月12日の都議会予算特別委員会で反対を訴えており、(イザ!)
既に原案通り可決できる状況ではないと思われます。
しかし、審議のたたき台にすらならないような議案である以上、
修正協議にも一切応じるべきでないのはもちろんのこと、
このような条例案が廃案以外の結論になることはあり得ないことを、
都議会が全会一致で反対することによって強く示し、
二度とこのような条例案が提出されないようにすべきです。

 また、今回の条例改正案の元となった、
「メディア社会が拡がる中での青少年の健全育成について」の答申(PDF)の作成に携わった、
第28期東京都青少年問題協議会委員(PDF)を刷新すべきです。
設置根拠法である地方青少年問題協議会法は、
協議会の所掌事務を「青少年の指導、育成、保護及び矯正に関する総合的施策の樹立につき必要な重要事項を調査審議すること」としているにも関わらず、
青少年を保護するどころか、率先して青少年の人権を弾圧しているようでは、存在意義が問われます。
法の趣旨に沿った審議ができる委員を任命して、ゼロベースで審議をやり直す必要があります。

関連リンク
【表現規制反対!】東京都青少年の健全な育成に関する条例の改正案【問題多すぎ!】ver 3(シンプル・イズ・ベスト版): 弁護士山口貴士大いに語る

緊急街宣 青少年健全育成条例改正案 断固反対(3.14追記あり) 日本を護る市民の会(日護会)のブログ(仮)/ウェブリブログ


2010年01月11日

検閲ソフト条例 「管理教育」そのものだ

1.検閲ソフト条例の正体現す神奈川条例案

 埼玉県や東京都などの首都圏の自治体で、
未成年者が所持する携帯電話に検閲ソフト(フィルタリングソフト)を強制適用させる、
検閲ソフト条例を制定しようとする動きが相次いでいます。
中でも最も条例の正体をよく現しているのが、神奈川県の青少年健全育成条例改正案です。
まだ神奈川県児童福祉審議会社会環境部会で議論中の段階で、
具体的な案文を作らずにパブリックコメントを募集していますが、
部会の議論が有志によってまとめられていますので、引用します。

[お願い][神奈川県]青少年保護条例改悪防止の為にパブコメお願いします(月よお前が悪いから)

  1. 青少年の夜間外出の禁止について、現行の青少年のみでの外出に限らず、親などが同伴した場合であっても罰金*2を親に課す。
    (筆者注:誤字と思われたので原文を取り消し線で修正しています。)
  2. ネットカフェやカラオケルームなどの個室を有する飲食あらゆる店への青少年の立ち入りを禁ずる。
    (筆者注:議事録を参照すると「個室性を有する飲食店以外の営業に対しても」現行条例の「個室性を有する飲食店を個別に青少年立入禁止場所として指定する制度」と同様の規制を行う旨の発言があるため、原文を取り消し線と斜体で修正しています。)
  3. 罰則の重罰化を主軸に置いた処罰バランスの見直し
  4. 行政処分の「効果的」な導入
  5. ネット閲覧時のフィルタリングの解除を行わないような保護者への啓発や理由書提出の準義務化を条文に盛り込む

2.頭髪丸刈りから検閲ソフトへ

 この条例案から分かるのは、検閲ソフトの強制問題は何ら目新しいものではなく、
前世紀から続いている管理教育問題の1つに過ぎないということです。

当ブログでは、子供にとって最大の脅威となっているのは「違法・有害情報」でも「ネットいじめ」でもなく、
管理教育思想に染まった親や教師であることを何度も指摘していますが、
手段が頭髪丸刈りの強制から検閲ソフトの強制に変わっただけで、
子供を精神的に屈服させて支配するという管理教育の本質は、昔と何ら変わっていないのです。

 そして、本質が同じであればやるべきことも同じであり、
かつて頭髪丸刈りの強制が人権侵害とされて現在ではほぼ全廃されたように、
検閲ソフトの強制も人権侵害行為として「ノー」を突き付けることが、
子供を管理教育思想から救うために必要なことなのです。
最近、極端な事例を取り上げて恐怖感を煽り、
適正なリスク判断をしにくくして検閲ソフトを使用させようとする動きも出てきていますが、
このような手法は典型的な詭弁であり、検閲ソフト必要論の妥当性を疑わせるものでしかありません。
青少年に襲い掛かるビッグ・ブラザー達で取り上げたように、
多くの家庭は検閲ソフトが不要であることを見抜いており、
だからこそ条例で強制せざるを得ないところまで追い詰められているのです。
詭弁に惑わされず、復古主義的な管理教育に「ノー」を突き付ける勇気が求められています。


2009年12月27日

デジタル時代の「焚書法制」を考える

1.「小児性愛者は絶対悪」

 12月22日、鳩山内閣発足以来初の犯罪対策閣僚会議が開かれ、
「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」(議長・大島敦副内閣相)を設置しました。

[児童ポルノ]排除へ政府が対策チーム - livedoor ニュース

 政府は22日、鳩山内閣発足以来初の犯罪対策閣僚会議を開き、児童ポルノ根絶に向けた総合対策を検討する「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」(議長・大島敦副内閣相)を設置した。児童ポルノ犯罪はインターネットの普及を背景に、検挙件数や被害児童数が過去最多を記録するなど深刻さを増しており、各省庁の連携は初めて。有識者やネット事業者らからの聞き取りも踏まえ、来年6月に報告書をまとめる。

 ワーキングチームは警察庁や総務省、外務省など関係9省庁の局長級で構成。「児童ポルノは絶対に許されない」という国民意識の醸成▽フィルタリング(閲覧制限)強化など製造、流通の各段階における被害防止対策▽被害児童支援の推進――などを検討する。

 毎日新聞はソフトに表現していますが、上記の「対策」は、
「小児性愛者(18歳未満の者に対して性的嗜好を持つ者)は絶対悪」という思想の普及、
検閲ソフト(フィルタリングソフト)の全国民への適用、
「被害児童(18歳未満の者)」の処罰などを意味する疑いが強いと考えられます。

何故なら、「児童ポルノは絶対に許されない」のであれば、
「小児性愛者も絶対に許されない」のでしょうし、
検閲ソフトによって「製造、流通の各段階における被害防止」を行うのであれば、
適用対象を青少年だけではなく、全国民に広げる必要があるからです。

 また、告訴も損害賠償請求訴訟もほとんどない現状で「被害児童」が政府による支援を求めているとは思えず、
その意思を無視して行政介入するとすれば、風俗犯として処罰するぐらいしかできることはありません。
実際、自らの意思で「児童ポルノ」を作成した17歳の「被害児童」が摘発される事件が日本でも起きており、
児童ポルノによる被害実態など存在しないことが明らかになりつつある中、
「被害者」を摘発して「保護」するという、支離滅裂な事態が発生しているのです。

2.「小児性愛者」撲滅に必要な「焚書法制」とは

 相変わらず「児童保護」という建前がむなしく響き、
国民の人権保障を脆弱にするための突破口でしかないことが明白な児童ポルノ問題ですが、
規制推進派の大きな目的の1つが単純所持罪という、
実現すれば日本史上初となる焚書令(焚書令第一号)の導入にあることは周知の通りです。
焚書令第一号を導入すれば「小児性愛者」を「性犯罪者」として社会的に抹殺することができるというわけですが、
事はそれほど簡単ではありません。

 というのも、現在は過去に大規模な焚書を行った始皇帝やナチス・ドイツの時代とは違い、
焚書すべき情報は紙に印刷されているものばかりではなく、デジタル情報を多く含んでいるからです。
デジタル情報は単に1と0の組み合わせでしかないので、
復元可能な状態で「削除」したり、暗号化して他人には内容が分からないようにしたり、
ネットワーク上でバラバラにして個々のパーツは意味をなさないようにするなど、
様々な焚書令対策を行うことができます。
もし、焚書令第一号を発令するのであれば、何が焚書令違反になるのかを決めなければいけませんし、
焚書令違反を取り締まるためにはどのような捜査権限が必要になるのかも考えておく必要があります。

 既に焚書令を導入している諸外国では、この辺が曖昧なままのケースが少なくなく、
誤ってダウンロードした後、すぐに削除した児童ポルノを警察に復元され、
一生性犯罪者として登録されることになる事件(スラッシュドット・ジャパン)も米国で発生しています。
また、英国は暗号化キー(パスワード)には黙秘権が及ばないとする法律を制定していますし、
これでも不十分とすれば、暗号技術などの使用そのものを規制するべきだという主張も考えられ、
実際に中国では「商用暗号管理条例」によって、暗号技術の使用は許可制とされています。

 焚書令賛成派はこうした点には触れず、焚書令第一号発令後に、
「児童ポルノ取締りのためには捜査権限拡大が必要」と警察庁にいわせる魂胆なのでしょうから、
発令前に実務上の問題点を詰めておくことは、
なし崩し的な捜査権限の拡大を阻止するためだけではなく、発令そのものを抑止する上でも有効です。
焚書令第一号だけではなく、その実施に必要な法令を含めた「焚書法制」とはどのようなものなのか、
明確にさせるべきです。

3.裸の王様と同じ構図の「児童ポルノバブル」

 通常生殖能力を備えている18歳未満の者を「児童」と呼び、
その「児童」を性欲の対象とする者を「小児性愛者」と呼び、
性行動を取る「児童」を「被害者」と呼び、
「被害者」をなくすために「焚書法制」を制定して「小児性愛者」を撲滅する。
これほど欺瞞に満ちた政治問題は、他に類例を見ません。
今年は児童ポルノ禁止法が日本で制定されてからちょうど10年目になりますが、
同時に国際政治における「児童ポルノバブル」が最高潮に達した年になるのかもしれません。
今年に入ってから、児童ポルノを口実にした人権弾圧に反対する声が、
世界中で強くなってきているからです。

 「児童ポルノバブル」の正体は、児童ポルノ問題の欺瞞にはほとんどの人が気付いていても、
それを指摘すれば「小児性愛者=絶対悪」の烙印を押されて社会的に抹殺されてしまうので、
規制反対の声が極端に小さくなり、相対的にごく少数の規制推進派の声ばかりが大きくなっていき、
いつのまにか誰にも反対できない「道徳的問題」と化してしまった状態です。
しかし、規制が行き過ぎて、ある程度反対の声が出始めれば、
あとは堰を切ったように反対の声があふれ、「児童ポルノバブル」は崩壊すると思われます。
裸の王様と同じで、今は多くの人が詐欺師に騙されて「素晴らしい洋服だ」と言っていますが、
1人の子供が「王様は裸だ!」と叫べば、誰もが「そうだ、裸だ!」というようになるでしょう。

 尚、ポルノ問題という性質上、どうしても反対派が男性に偏っている印象を受けますが、
女性も決して無関係な問題ではありません。
それは理屈抜きの人権弾圧を許せばいずれ全ての国民に塁が及ぶというだけの話ではなく、
夫や子供が「小児性愛者=絶対悪」の烙印を押される可能性があるからです。
諸外国で児童ポルノ捜査を受けたことを苦に自殺した人は、少なくとも数百人に上っていますし、
それだけの自殺者が出ているということは、更に多くの数の家庭が離婚や失職等に遭っていると思われます。
こうした場合、その妻や子供も「小児性愛者=絶対悪の家族」の烙印を押され、
路頭に迷うことになるでしょう。
「児童ポルノバブル」とは、
誰もが奈落に突き落とされる危険と隣り合わせになるだけの、21世紀の魔女狩りなのです。

関連リンク
表現規制について少しだけ考えてみる(仮)  <児童ポルノ>排除へ政府が対策チーム


2009年12月13日

青少年に襲い掛かるビッグ・ブラザー達

1.「検閲ソフトはいらない」家庭に広がる

 青少年に検閲ソフト(フィルタリングソフト)を原則適用することを定めた
青少年ネット規制法(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)が
2008年6月18日に成立したことにより、
この1年間、青少年の人権保障は重大な脅威に直面してきました。
しかし、検閲ソフトが原則適用とされ、
「ネットの危険性」を煽る一方的な情報にさらされているにも関わらず、
多くの家庭は賢明な選択をしています。

「携帯電話に「親学」重要」:イザ!

 埼玉県内の携帯電話販売店の実態を9月に調査したところ、青少年にフィルタリングサービスの説明と推奨を「必ずしている」はおのおの96%、86%と高いのに、青少年がサービスを「ほとんど利用している」は16%と極めて低いことがわかった。

2.家庭の選択権の侵害に手を染めるネット規制推進派

 これに業を煮やしたネット規制推進派は、
家庭の選択権を国家権力の干渉から保護する青少年ネット規制法の趣旨をないがしろにして、
自治体を各個撃破して青少年に検閲ソフトを強制適用する戦術を取り始め、
青少年の人権保障に更なる脅威を与えています。

「携帯電話に「親学」重要」:イザ!

 そこで、埼玉県は県青少年健全育成条例改正の骨子案をまとめ、11月末までに県民の意見を集約し、年度内に改正案をまとめ、来夏までの施行を目指している。

 改正内容は、まず第1に保護者の責務として、解除する場合には、以下のような正当な理由を記載した申出書を提出すること。

 (1)青少年が就労し、業務上必要な場合(2)青少年に障害や疾病のある場合(3)保護者がインターネットサービスを活用し、青少年のネットの利用状況を常に確認する場合。

 児童ポルノを口実に始動する日本版GFW構想で書いたように、
ネット規制推進派は青少年ネット規制法により青少年に半強制適用することに成功した検閲ソフトについて、
次は年齢制限を取り払って全国民に適用していくことを明確にしており、
ネット規制推進派にとって、子供など国民全体に検閲ソフトを適用するための踏み台に過ぎません。
当然、家庭の選択権を国家権力の干渉から保護しなければならないなどという価値観はなく、
青少年ネット規制法で家庭の選択権を認めたのは戦術的に撤退しただけで、
最終的に全国民を日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾。警察庁は「ブロッキング」と呼称)で囲い込み、
検閲ソフトを適用するという目的にはいささかの変化もないのです。

3.団結してビッグ・ブラザー達に反対を

 このように、ネット規制推進派とは、国民が自由を謳歌することを疎ましく思い、
極力管理していくことを望む、ビッグ・ブラザーのような勢力です。

今、国民に突き付けられている問いは、「青少年の保護」などではなく、
「ビッグ・ブラザー達の誘惑に負けて、彼らに青少年を差し出すのか否か」なのです。
そして、青少年をビッグ・ブラザー達に差し出そうものなら、
次は全国民を差し出すように要求されるのです。
国民の人権を守っていくためには、国民が青少年に対する各個撃破戦術に分断されず、
団結してビッグ・ブラザー達に反対していく必要があります。


2009年10月18日

「安心先進国」中国でネット人権宣言

 中国では「有害サイト」から国民を守るため、
グレートファイアウォール(GFW、金盾。日本の警察庁は「ブロッキング」と呼称)を設置して国内のインターネット通信を全て監視し、
更に検閲ソフト(フィルタリングソフト)「グリーンダム」を全てのパソコンに強制搭載させようとするなど、
「先進的」な「安心」政策が推し進められています。
もちろん、このような「安心」政策は人権尊重の価値観を持たない、
共産党独裁国家だからこそできるわけで、
人権保障の強化を求める人々からは強い批判を浴びています。
こうした状況が続く中、中国の学者、弁護士、詩人などの15人が集まって、
中国政府に表現の自由の尊重などを要求する「ネット人権宣言」を発表しました。

ネットの向こうの中国(19)「ネット人権宣言」が出現 2009/10/13(火) 10:41:52 [サーチナ]

  人類の歴史という長い川の流れを見渡す岸辺に立つと、次のことがよりはっきりとする。つまり、インターネットという技術革命がもたらした社会の変化と進歩は、中国人の自由と基本的人権を拡大する上で、古代の鉄や火のような、文明の進歩に与える(大きな)影響を持っているのである。

  ネット市民(中国語は「網絡公民)が自ら情報を発信する時代の到来は防ぎようがないものだ。市民記者が携帯電話やデジカメを使って事実を伝えることは、時代の流行ともなり、ネットは市民(中国語は「公民」)に、ブログ、動画サイト、フォーラムなどを通じて意見を発表する限りない空間を提供した。

  公共の問題やネットの言論の自由に関心を持つのはネット市民の責任だ。ネット市民が合法的に言論を発表し、真実を報道することは、市民の権利の行使であり、(中国という)古くからの文明に個人の幸福と基本的人権を核心的価値とする新たな血液を注入し、国民全体の福祉を促進するのであり、奨励し、尊重し、寛容であるべきだ。

  こうしたことに鑑みて、我々は以下の理念を尊重に値すると考える。

1.ネットの自由は市民の言論の自由の一部であり、人類の基本的人権かつ最も素晴らしい価値の一つであり、追求し保護する価値がある。

2.憲法の原則や法律に則ったネット上での発言、文字や音声、図画、映像などを使った意見の発表は、保護され、奨励しなければならない。

3.発表する権利はネット市民の最も基本的な権利であり、具体的にはブログ、動画サイト、論壇などで実現される。発表する権利は法律の範囲を超えた審査や干渉を受けてはならない。

4.編集権は尊重されるべきであり、法律の範囲を超えた他の権力による干渉を受けてはならない。

5.取材、報道の権利はネット市民が持つ権利の一つであり、憲法の言論の自由の原則により守られねばならない。(ただし)市民がこの権利を行使する際には、真実を伝えることを重視し、歪曲、ねつ造、悪意ある誹謗(ひぼう)などをしてはならない。

6.評論や意見交換する権利はネット市民が持つべき権利の一つであり、これには質問、監督する権利や、批判する権利などが含まれる。

7.匿名で発表する権利は言論の自由の一部であり、匿名は作者がより便利に意見を発表するためのものだ。匿名の作者が憲法や法律に則って意見を発表するなら、その合法的権利は尊重されねばならない。

8.ネットでの情報検索は市民の表現する権利や知る権利、監督する権利の一部である。合法的なネット上の情報は隠ぺいされてはならない。公共領域での個人情報を検索する権利は尊重、保護されるべきだ。

9.ネット上のプライバシーは尊重、保護されるべきであり、ネット市民の真の身分や個人情報は、公正で透明な司法手続きを通じて、必要性が証明された場合を除き、ネット上で公開してはならない。

10.憲法や法律に従ったネット上の情報が自由に流通する権利は、尊重かつ保護されるべきだ。言論の自由の原則に反するウェブサイトの審査、隠ぺい、封鎖は世論によって非難されるべきであり、司法手続きにより言論の自由の正義が追求されねばならない。

  我々は市民のネット上での言論の自由が国民全体の人権と幸福にもたらす意義のため、ネット人権デーを設けることを呼び掛ける。

  1911年10月10日に我々の先賢の志士が決起し、暴虐な王朝を終結させ、アジアで初の共和政体を作り上げた(辛亥革命のこと)。彼らの自由への熱意と勇気を思い起こすため、10月10日を中国ネット人権デーとすることを提起する。

 中国のみならず、民主主義国家でも十分に通用する内容ということができるものであり、
日本の人権保障政策にも反映させるべきです。
最近、ネット上での「実名・匿名論争」盛り上がる(イザ!)という記事が出ていましたが、
実名表示を強要して表現の自由を萎縮させることによって、
インターネットの「信頼性を高める」というのであれば、
中国共産党と同レベルといえます。
「ネット人権宣言」では、匿名の保障は「言論の自由の一部」であるとしており、
実名開示の強要によって表現の自由を萎縮させる中国共産党の手法を批判しています。
当ブログでも、社会の複雑な利害関係から記事内容の自由と中立を守るためには、
匿名が不可欠であり、その保障は人権と民主主義の生命線とさえいえるものだと考えています。(詳細は衆院総選挙 身に染みる匿名投票のありがたさを参照)

 また、世界で初めて、フィンランドで「ブロードバンド接続権」が法律に明記されました。

CNN.co.jp:世界初!フィンランドで「インターネット接続」が法的権利に

(CNN) フィンランドでインターネットに接続するブロードバンド環境が、法的な権利になった。インターネット接続を権利と見なしたのはフィンランドが世界で初めて。


法案を提出した運輸・通信省は、インターネット接続は水道や電気、銀行などと同様、現代社会では必要不可欠なインフラだと指摘。

 児童や著作権の保護を口実にして、ネット規制強化を図る勢力も根強く存在する一方、
インターネットの利用は思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などで保障された、
国民の権利であることを認める動きも加速してきているのです。
中国の「ネット人権宣言」もフィンランドの「ブロードバンド接続権」も、
マスコミではほとんど取り上げられていないようですが、
インターネットをめぐる世界の動きは、決して規制強化ばかりに偏ったものではありません。
日本でも規制強化の議論ばかりをするのではなく、
インターネットの利用は憲法で保障された国民の権利であることを、
もっと強調していくべきです。

関連リンク
RE: 実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つ - SiroKuro Page

実名・匿名論争が論じるべきテーマはたった一つ: 304 Not Modified

匿名と実名 - さぼり記


2009年08月29日

衆院総選挙 身に染みる匿名投票のありがたさ

 いよいよ明日は衆議院議員総選挙の投票日です。
小選挙区と比例区の2票を、国会議員として最もふさわしいと思われる候補者に投票することが、
民意の実現に資することになります。
今回の選挙では、若者と老人の投票数の差が、マスコミでも大きく取り上げられましたが、
このまま若者の低投票率と少子高齢化が進行すると、
この国は老人に食い潰されてしまいかねません。
持続可能な政治志向の強い若者が投票に赴くか否かは、
長い目で見れば国家の存亡に関わる重大な問題といっても過言ではないので、
特に若い世代の方は、必ず投票に行って頂きたいと思います。

 また、投票用紙に候補者名や政党名を記入し、投票箱に入れる際、
1つ気に留めて頂きたいことがあります。
それは一連の手続きが、全て匿名で行われるということです。
こうした意思表明機会は現実にはほとんどなく、
街頭でデモや演説をすれば、覆面でもしていない限り一目瞭然ですし、
国会や官公庁に請願やパブリックコメント(パブコメ)を出す際には、
氏名を明記することが求められます。
例外はブログのような、インターネットによる意思表明ぐらいですが、
犯罪にも使われていることを口実に実名開示を迫る勢力が、
世界中に跋扈しています。

 しかし同時に、民主主義を採用する国では、必ず匿名投票(秘密投票)を保障しています。
日本のように、憲法で保障している国も多いでしょう。
それはつまり、意思表示者の匿名性を保障しなければ、
表現の自由を実質的に保障することなどできないということは、
世界中の人々が認識しているということに他なりません。
意思表示者が実名開示を迫られれば、様々な利害関係にさらされ、
社会的圧力を受けることは明らかだからです。

 匿名性の保障は人権と民主主義の生命線とさえいえるものであり、
4年前に当ブログを始めた時、ブログ名を「匿名希望の時事ブログ」に決めたのも、
こうした理由によります。
しかし、最近ではネット上の表現を萎縮させるためだけではなく、
経済統制の手段としても個人名や企業名公表が使われてきています。(詳細はなし崩しに進む「名誉刑」 司法関与の仕組みをを参照)

 匿名性の保障が危うくなってきている昨今ですが、
その背景には、匿名性保障の重要性があまり認識されていないという問題もあると思われます。
憲法で匿名を保障される公職選挙の投票は、
普段意識することの少ない匿名性のありがたさを身に染みる、数少ない機会ですので、
単に票を投ずるだけではなく、匿名投票の重要性を意識する機会にもしていくことが、
匿名性の保障を強固にし、ひいては人権と民主主義を守ることにつながります。

関連リンク
総選挙 「投票の秘密」は守られているか / 平和憲法のメッセージ・水島 朝穂 - 薔薇、または陽だまりの猫

政権選択の自由、あはは〜ん - アンドロイドの夢

「政治信条の自由」、「政治活動の自由」、「投票の自由」を守るために。「ぐるみ」選挙とたたかおう。: ブログ blog で 情報交換


2009年07月12日

警察大暴走 「国策捜査」隠す気さえなくしたのか

 パソコン用ゲームソフト「レイプレイ」のモザイクを外して送信したら、わいせつ物公然陳列で逮捕。
児童(18歳未満の者)ポルノのアドレスを掲示板に投稿されたら、
掲示板開設者が児童買春・児童ポルノ禁止法違反幇助で逮捕。
既に政治問題となっている「レイプレイ」を狙い撃ちにするのみならず、
児童ポルノ禁止法改正案の与野党協議が続く中で露骨な国策捜査を行う。
警察庁が自らのイデオロギーを実現するために大暴走しているのはもはや明白であり、
既に国策捜査が「悪行」であることを認識することすらできなくなっている模様です。

「陵辱系ゲーム「レイプレイ」無修正ソフトが流出 風俗店店員を逮捕」:イザ!

 性暴力を疑似体験する市販のゲームソフトの改造版をインターネット上に流したとして、京都府警ハイテク犯罪対策室などは8日、わいせつ物公然陳列容疑で、川崎市川崎区小川町の風俗店従業員、福澤英敏容疑者(38)を逮捕した。過激な性暴力を表現した日本製ソフトは海外の人権団体からも批判されており、業界が制作を禁止するなど問題化している。

livedoor ニュース - 児童ポルノ、リンクだけで摘発 警察の好きにできる懸念も

  児童ポルノのサイトにリンクを張ったとして、神奈川県警がネット掲示板の書き込み者と開設者を摘発した。これまでもURLの書き込みだけでも摘発例があり、次第に厳しくなっているようだ。児童ポルノ以外でも摘発が広がる可能性もあり、「警察の好きに摘発できるようになるのでは」という懸念の声も出ている。

 この状況は、戦中制定されていた治安維持法強化の過程と酷似しています。
今でこそ治安維持法は戦中の悪法の代名詞的存在ですが、
1925年の制定当初から「誰でも逮捕できる」ほど危険な法律だったわけではなく、
最初は共産主義政党を設立したり、加入したりした者だけが適用対象であり、
思想弾圧法ではあっても、一般国民に適用される危険性はほとんどありませんでした。
しかし、1928年の三・一五事件(ウィキペディア)を利用して、
司法省が目的遂行罪導入の緊急勅令を制定
し、
翌年帝国議会が追認したため、「誰でも逮捕できる」危険な法律になってしまったのです。

 その後は拡大解釈に次ぐ拡大解釈で際限なく適用されていくこととなり、
挙句の果てには「日本革命を企図」するだけで目的遂行と認定され、
その証拠は「コミンテルン(旧ソ連の国際共産党)を認識」しているだけで足るとされたのです。
こうして法治は完全に失われ、
警察の胸三寸で誰でも犯罪者にされる可能性のある警察国家となっていきました。

 今回摘発された事件についても、「わいせつ物」「幇助」という定義の不明確な法律用語を、
警告なしで拡大解釈して逮捕するという、明らかな警察権濫用事案です。
新たな解釈を事前周知せずに逮捕するというのでは、刑法の遡及適用と何ら変わらず、
また一歩、国民の人権保障は後退してしまったといえます。
そしてより大きな問題は、今回の摘発が明らかに児童ポルノ禁止法改正案の与野党協議に合わせ、
「話題性」のある案件を狙い撃ちにしたということであり、
警察が「政治的中立」の重要性をまるで理解していないことが露になりました。

 このように、実現すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる、
与党の児童ポルノ禁止法改正案の単純所持規定など制定するまでもなく、
著しく公正性を失した露骨な国策捜査を展開したり、
違法な政治活動を行っている疑惑(ブロッキング 「自主的運用」を強要する警察庁を参照)を持たれたりするなど、
警察権力は歯止めの利かない大暴走を繰り広げています。
国民の「安全・安心」実現のため、警察権力の歯止め強化や透明性向上が急務であり、
それを逆行させるような法律の制定など論外です。

 ちなみに、治安維持法は懲役刑と禁錮刑を罰則として規定していましたが、
実際の運用ではほとんど懲役刑を科されることとなりました。
これは、治安維持法が禁じた共産主義政党の設立などは真っ当な政治活動ではなく、
「不道徳」な行為とされたからです。
そして、「本人を保護」するために昭徳会という財団法人を設立し、
思想犯保護観察法が施行されてからも「民間団体」として、行政法の制約を逃れて活動していました。

 現在、児童ポルノ禁止法改正案が「児童保護」を条文上の建前としながらも、
国会答弁では法案提出議員で元警察官僚の葉梨氏が「ペドファイル、小児性愛者との戦い」を公言して
「道徳の押し付け法」であることを半ば宣言し、
同時に警察庁が「児童ポルノ流通防止協議会」を設立して、
行政法の制約を逃れて日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾。警察庁は「ブロッキング」と呼称)の「自主的運用」を強要しようとしていることと、
似た流れといえるでしょう。

 結局、警察庁の考えることは特高警察を擁していた戦中から大して変わっておらず、
全体主義イデオロギー実現のためなら、
不当な法執行でも違法な政治活動でも何でもやるということです。

真に「児童保護」を実現するため、「児童保護」を隠れ蓑に、
思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などの国民の人権保障を脅かそうとしている勢力を白日の下にさらし、
然るべき処分を加えて、冷静な議論のできる環境を整えることが求められます。

関連リンク
児童ポルノ法改正案の最新版「論点整理」 - 保坂展人のどこどこ日記

民主党の児童ポルノ改正案は「児童ポルノ氾濫法」か!? - イケイケあかいけ!赤池まさあき (山梨1区)の国政ニュース - Yahoo!ブログ

404 Blog Not Found:news - URLを掲示しただけで刑事犯?


2009年07月06日

児童ポルノ 焚書令の発令要件を示せ

 衆議院法務委員会で審議中の児童買春・児童ポルノ禁止法改正案について、
与野党が密室で修正協議を続けている模様です。

「児童ポルノ規制で修正協議 自公と民主」:イザ!

 衆院法務委員会の与党と民主党の理事は2日午後、児童ポルノの拡散防止強化を目的とした、与党提出の児童買春・ポルノ禁止法改正案と民主党の対案をめぐり修正協議に入った。

 協議では、個人が趣味で児童ポルノの写真や映像を持つ「単純所持」を規制対象に加えることの是非、児童ポルノの定義などに関して与党と民主党の間で見解の隔たりがあることを確認。双方が修正案を用意し、9日に次回協議を行うことで合意した。

 密室協議による法案修正自体は、残念ながら日本の国会では常態化しており、
特に児童ポルノ禁止法改正案に限ったことではありません。
しかし、この法案については、与党が日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる単純所持禁止規定を提案し、
民主党も焚書令賛成派と反対派の主張を足して2で割ったような取得禁止規定を提案しており、
協議結果次第では日本の人権保障を未曾有の危機にさらすことになるのですから、
密室で協議を進めることは到底容認できません。
協議は全て公開して、慎重の上にも慎重に、法改正の必要性を検討するべきです。

 児童ポルノ禁止法改正案が他の表現規制法令と大きく違うのは、
規制対象の表現内容ではなく、規制対象の行為です。

つまり、規制を受ける表現の内容が時の政治情勢によってコロコロ変わるのは世の常であり、
例えば戦中であれば反戦・反軍がターゲットとなり、
戦後はわいせつ物、そして最近10年は児童ポルノがターゲットになっているわけですが、
いずれも規制されたのは表現の自由(発信権)のみであり、
情報摂取の自由(受信権)や思想の自由(所持権)まで直接規制されたことはありませんでした。

 児童ポルノ禁止法改正案と同種の法律として、戦中制定されていた治安維持法を取り上げる人もいますが、
治安維持法が禁じていたのは「国体変革」や「私有財産制度否認」を掲げる結社、
つまり共産主義政党の設立や加入、そしてその目的遂行(これが拡大解釈されていきます)でした。
あの悪名高い治安維持法でさえ、児童ポルノ禁止法改正案ほど直接的に、
情報摂取の自由や思想の自由を侵害してはいなかったのです。

 だからこそ、当ブログでは特に与党案について、
実現すれば日本史上における焚書令の第一号となり、
国民の人権保障が決定的に後退することになると何度も書いているのです。
焚書令賛成派はさも児童ポルノ問題が例外中の例外であるかの如く装っていますが、
国会審議を見ている限り、そのような発言は一言もありません。
むしろ定量的な被害実態調査すらないままに「ペドファイル、小児性愛者との戦い」(葉梨衆議院議員)を公言して憚らず、
児童保護など何の関係もない思想弾圧法であることを、半ば宣言しているような状態です。

 このようなでたらめな議論を認めて焚書令第一号が通ってしまえば、
焚書令は例外中の例外どころか、一切の法的制約を受けないという「前例」が作られ、
政治的制約(民意)さえクリアできれば、時の権力者が自由に発令できるということになってしまいます。

これは戦後日本の法的基盤である日本国憲法が前提とする「法の支配」を事実上葬り去り、
大日本帝国憲法が前提としていた「法治主義」に逆戻りするということです。
民主主義に対する人権の優位が逆転し、人権に対して民主主義が優位に立つことになると、
一時的な政治的混乱に乗じて恒久的な人権侵害法を制定することが可能となり、
国民の人権保障は常に危機にさらされ続けることとなります。

 先述の治安維持法についても、制定の3年前に「過激社会運動取締法案」として帝国議会に提出されたものの、
「具体的な犯罪行為が無くては処罰できないのは『刑法の缺陥』」と司法省政府委員が述べるなど、
あまりの危険性に世論の猛反発を受け、貴族院で大幅な修正を加えて可決された後、
衆議院で審議未了・廃案となりました。
しかし、その1年後に関東大震災が発生し、戒厳令下のドサクサに紛れ、
司法省は「治安維持ノ為ニスル罰則ニ関スル件」という緊急勅令を制定しました。
これが治安維持法の前身となり、その後の治安維持法制定、目的遂行罪導入、
思想犯保護観察法制定、予防拘禁制度導入につながっていったのです。

 つまり、理屈抜きに無条件で焚書令第一号の発令を認めるのであれば、
第二号、第三号と続くのは時間の問題となります。
関東大震災のような大災害など必要とは限らず、
1件の殺人事件をきっかけに焚書令が発令されることさえあり得るでしょう。
宮崎被告に死刑判決 特異な事件に振り回されるなで書いたように、
たった1人の異常者が引き起こした幼女連続誘拐殺人事件を振りかざして焚書令の発令を要求する者達が、
現実に存在するのです。

 次から次へと際限なく焚書令が発令される事態を回避するためには、
最低限、焚書令の発令要件を国会審議で明らかにしておく必要があります。
また、1年間の時限立法として制定して、
「焚書令は毎年見直されなければならない」という前例を残す選択肢も考えられます。
与野党が密室で修正協議を続けている状態なので、
現在どのような議論になっているのかは定かではありませんが、
焚書令第一号という、日本の人権保障を大きく左右する法令であることを強く認識し、
慎重な議論を続けるべきです。

関連リンク
イタリア「テレホノ・アルコバレーノ」児童ポルノ国別調査は - 保坂展人のどこどこ日記

「ペドファイルとのたたかい」でいいのか?「児童ポルノ法」審議について - よたよたあひる’S HOME PAGE - 楽天ブログ(Blog)

メディア戦隊レッドテイラー ロリコンとペドファイル

治安維持法 - Wikipedia


2009年06月28日

「児童をピンポイントで性欲から外せ」は詭弁だ

 6月26日、児童買春・児童ポルノ禁止法改正案の審議が衆議院法務委員会で始まりました。
実現すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる単純所持禁止規定を盛り込んだ与党案と、
焚書令賛成派と反対派の主張を足して2で割ったような取得禁止規定を盛り込んだ民主党案が提出されており、
審議結果は今後の日本の人権保障の行方を大きく左右するものとなります。

livedoor ニュース - [児童ポルノ禁止法]改正案審議、衆院法務委で始まる

 自民・公明両党と民主党がそれぞれ国会に提出している児童買春・児童ポルノ禁止法改正案の審議が26日、衆院法務委員会で始まった。18歳未満の性的な画像を所持する行為をどこまで処罰するかが焦点となる。

 審議の概要やそのでたらめさについては、既に多くのサイトで取り上げられているので、
当ブログはいつも通り、他サイトではあまり触れられていない点についてのみ取り上げますが、
それでもこの法案には突っ込みどころが多すぎて、とても1つの記事では書ききれませんので、
最も大きな詭弁と思われる点を3つだけ書きます。

詭弁その1:児童(18歳未満の者)だけをピンポイントで性欲の対象から外せ

 全国紙で法務委員会審議を受けて児童ポルノ問題を社説で取り上げたのは産経新聞のみ、
それも焚書令賛成論に立ったものでしたが、
その内容は焚書令賛成派の詭弁を浮き彫りにしてしまうものでした。

「【主張】児童ポルノ 根絶へ所持規制は不可欠」:イザ!

 与党案も民主党案も、子供を性的対象とすることに反対の立場であることは一致している。子供たちを卑劣な犯罪から守る。そのための法規制強化であることを忘れないでほしい。

 当ブログで何度か取り上げているように、かつて数え年で15歳、つまり満13〜14歳で元服が行われ、
現在でも満16歳で婚姻適齢を迎える(女性のみ)日本において、
18歳未満の者を「児童」と呼称し、あまつさえ性欲の対象とすることに「反対」するなどというのは、
全く国情に合わない価値観です。
そもそも18歳未満であっても、通常生殖能力が備わっていることを考えれば、
性欲の対象になるのはむしろ自然であり、ならないという方が不自然です。
そして、「児童」だけをピンポイントで性欲の対象から外すなどということは不可能であり、
やるとすれば大人も含めて全ての異性を性欲の対象から外す、つまり去勢せざるを得なくなります。

 「子供たちを卑劣な犯罪から守る」といえば聞こえは良いですが、
子供に対する性犯罪をゼロにするためなら何をやっても良いというのであれば、
「小児性愛者」は「絶対悪」なのかで書いたように、最終的には全国民に性ホルモン検査を義務付け、
規定範囲外の数値を出した者は化学的に去勢せよという話になるでしょう。

実際、米国の一部の州では性犯罪者限定とはいえ、このような措置が既に実施されており、
日本でも段階的に導入される可能性は否定できません。

 そして何より、子供は成長するにつれて性的魅力を備えていくものであり、
それに「反対」などというのは馬鹿げているというだけでなく、
子供の人間性そのものを否定するものです。
国家権力から自分の性的魅力に「反対」されたらどのような気持ちになるか、
焚書令賛成派は考えたことがあるのでしょうか。

詭弁その2:ポルノ撮影を子供に強要することは人権侵害だが、大人なら問題はない

 これも同じ産経新聞社説から引用します。

「【主張】児童ポルノ 根絶へ所持規制は不可欠」:イザ!

 海外ではポルノ撮影を目的とした児童誘拐まで起きている。知らぬ間に画像が流れた子供たちの精神的被害も深刻だ。

 このような犯罪の被害は子供に限ったことではなく、大人でも同様です。
それにも関わらず子供だけを「保護」対象とし、大人は対象外とするのであれば、
子供にポルノ撮影を強要することは人権侵害でも大人なら問題ないということになり、
かえって人権問題を深刻化させてしまいかねません。
そして利用方法もポルノには限られず、正規軍、非正規軍、工場、農場での利用の他、
物乞いにまで利用されているのが現実です。
子供にポルノ撮影を強要することは人権侵害でも大人なら問題ないというだけでも、
詭弁としかいいようがありませんが、
仮に日本の児童ポルノ対策が奏功して、それが外国の児童ポルノ産業に打撃を与えたとして、
誘拐犯が他産業で利用せずに子供を解放するなどという保証がどこにあるのでしょうか。
むしろ、より利益の低い産業に転用され、より劣悪な待遇の下におかれる危険が高いと考えられ、
とても「児童保護」になどならないでしょう。

 大体、日本人から外国の誘拐組織に流れるカネなど、どれだけあるというのでしょうか。
規制するというならまずは大人の被害も含めて実態を調査することが先決で、
必要であれば成人ポルノや他の産品も含めて規制すべきです。
それをせずにいきなり児童ポルノだけを規制するというのでは、
「児童保護」などは口実に過ぎず、国民の人権保障を脆弱にするための突破口に
児童ポルノ問題を利用しているだけだといわれても仕方がありません。

詭弁その3:「児童保護」を唱えながら「被害児童」の処罰に自ら乗り出す警察庁

 あまり取り上げられていないようですが、警察庁は6月18日、生活安全局少年課に「画像分析班」を設置し、
被害者の特定に自ら乗り出しました。

asahi.com(朝日新聞社):画像分析で製作者捕まえろ 警察庁、児童ポルノ根絶作戦 - 社会

 警察庁は18日、児童ポルノの根絶に向けたプログラムを発表した。児童ポルノ画像を分析して製作者や被害者を特定するため、同日付で画像分析班を発足させた。警察庁が自ら犯罪の端緒を探すチームを設けるのは異例という。

 「被害」を受けても告訴を行っていない「児童」が警察庁の捜査など望むわけがなく、
事実上、風俗犯として処罰することが目的といえます。

また、警察主導で「被害」を声高に訴えても、
肝心の「児童」が告訴も損害賠償請求訴訟もほとんど起こしてくれないのでは、
被害実態がないことが知れ渡るのは時間の問題ですから、
風俗犯扱いされたくなければ「被害者」として法的措置を取れ、と「被害児童」に迫ることも視野に入れていると思われます。

 尚、先述の朝日新聞の記事によると、警察庁が自ら被害者の特定に乗り出すのは異例だそうで、
ここからも児童ポルノ問題をネット規制の突破口にするという戦略に、
警察庁がいかに固執しているかが分かります。

 これらの詭弁を見れば、焚書令賛成派が「児童保護」などまじめに考えているとはとても思えず、
焚書令第一号発令のための口実に過ぎないということが明確に分かるでしょう。
焚書令賛成派が何故子供に目を付けたのかといえば、
それは子供が成長するに従って性的魅力を増していくという、
表立っては口に出しにくい事実を人権弾圧に利用したいというだけのことであり、
これ以上は考えられないぐらい、最低最悪の卑怯極まる政治活動なのです。

衆議院解散・総選挙が近づいてきていますが、
次期総選挙 党首ではなく議員を見極めよを引くまでもなく(読んで頂ければ理解はより深まると思います)、
子供を盾に取る卑怯者は所属政党を問わず落選させるべきです。
児童買春・児童ポルノ禁止法改正案の審議に対して、各議員がどのような態度を取るのか、
注視しなければなりません。

関連リンク
『Santa Fe』を1年間で処分すべしとする与党案に驚く - 保坂展人のどこどこ日記

創作物は理論で性的虐待は実践か? 性的対象化(sexual objectification)=人権侵害

北へ。の国から:法務委員会での児童ポルノ議論 感情論 vs 法律論


2009年06月20日

石川県携帯禁止条例案 「管理教育」は通用しない

 6月17日に、小中学生から携帯電話を取り上げる「努力義務」を保護者に課すことを盛り込んだ
「いしかわ子ども総合条例」の改正案が、
自民党25人、公明党2人、新進石川1人の共同提案として石川県議会に提出され、
自民党、公明党などの賛成多数で6月29日に可決される見通しとなっています。

「「子供に携帯持たせないで」親に努力義務条例 石川県議会」:イザ!

 小中学生に携帯電話を持たせない「保護者の努力義務」を盛り込んだ条例の改正案が17日、石川県議会に提出された。「県いしかわ子ども総合条例」の改正案を議員提案。自民、公明などの賛成多数で議会最終日の29日に可決される見通しで、県によると、全国初となる。ただ、実効性や解釈をめぐり保護者らの困惑を招く可能性もある。

 改正案では新たに「防犯や防災、その他特別な目的以外で持たせないよう努める」という条文を設ける。罰則規定はなく、施行は来年1月としている。

 また、議員提案とは別に、携帯電話会社に18歳未満の子供の携帯にフィルタリング機能が義務付けられたことに関連し、石川県は、保護者が断る場合、携帯会社に理由書を提出するよう義務付ける条例改正案を提出。

 例によって「児童保護」「努力義務」「罰則なし」といった美辞麗句を並べ、
更に対象から高校生を外し、小中学生に的を絞って狙い撃ちにすることで、
管理教育思想を普及促進する内容です。
子供を無視する教育再生懇談会で書いたように、このような条例案が提出されること自体、
大人全体に対する不信感を与えるだけであり、
子供の利益を損なわせるのはもちろんのこと、リスク管理の上でも逆効果となります。
そもそも管理教育思想とは、子供を利益の主体とは考えず、
一部の大人の利益の客体として捉える思想である以上、当然のことではありますが、
「児童保護」に真っ向から対立する思想に基づく条例案であり、直ちに取り下げるべきです。

 また、6月15日に谷本正憲石川県知事が提出した、
フィルタリング解除の際に理由書提出を義務付ける条例改正案についてもこれまでに触れてきた通り、
子供の人権を侵害するものであるのみならず、
最終的には大人の人権保障をも脅かすものです。
現に児童ポルノを口実に始動する日本版GFW構想で書いたように、
警察庁のセキュリティ対策会議は「検索結果の非表示化」や「ISPによるブロッキング」とともに、
青少年ネット規制法により18歳未満の国民に半強制適用することに成功したフィルタリングについて、
次は年齢制限を取り払って全国民に適用していくことも明確にしているのです。

つまり、ネット規制推進派にとって、
子供は国民全体の人権保障を脅かすための踏み台以外の何者でもなく、
そこに「児童保護」などという価値観は存在しません。
よって、議員提案の条例改正案と同様に、直ちに取り下げるべきものです。

 地方自治体が人権侵害条例を制定する事案については、
2005年に鳥取県人権侵害救済条例が全国的な問題となりましたが、
結局9月12日に成立してしまい、施行前に凍結、廃止とはなったものの、
成立そのものを阻止することはできませんでした。
地方の暴走を如何にして止めるかは今でも重要な課題であることが改めて認識されますが、
決め手がないのが実情のようです。
警察庁が子供を踏み台に国民全体の人権保障を脅かす戦略を描いているのと同様に、
地方自治体を各個撃破していく戦略についても啓発を進め、
他地域にも悪影響を与えそうな条例について、全国レベルで情報共有していくことが、
当面の対処になると思われます。

関連リンク
全国初!携帯電話を持たせない条例・・・ - 森政人的日々 〜石川県商工会青年部連合会会長・蠖垢海鷯鑢骸萃役・3児のパパな日々〜

石川県の携帯電話規制に関する報道について: 藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

楽なログ : 子供の携帯で努力義務なら


2009年06月15日

東京声明 青少年をゼロリスク症候群から保護せよ

 6月2日から2日間、財団法人日本ITU協会と総務省が「安心・安全なインターネット環境整備に関する戦略対話」を開催し、
「安心・安全なインターネット環境整備に関する東京声明(以下、東京声明)」を宣言しました。

livedoor ニュース - ネット上の青少年保護に国際的指針「東京声明」を宣言--総務省など

 財団法人日本ITU協会(ITU)と総務省は、6月2日、3日の2日間、東京都内で「安心・安全なインターネット環境整備に関する戦略対話」を開催した。この中で、オンライン上の青少年における安心・安全に関する取り組みの国際的な指針となる「東京声明」が宣言された。

 声明文では、ITUメンバーによる今後の青少年保護計画について、(1)安心を実現する基本的な枠組み整備、(2)民間における自主的取り組みの推進、(3)利用者を育てる取り組みの推進――を柱に推進していくことを提言。今後は、2009年10月5日から9日にかけて開催が予定されている「ITUテレコム・フォーラム」で声明の議論が続けられるとしている。

 東京声明の全文がこれ(英文和文仮訳)ですが、
全体的に「安心・安全」を口実にしたネット規制を世界規模で推進する内容となっています。
特に問題と思われるのが「青少年が違法・有害情報に触れる機会を最小化する」という部分で、
「最小」のリスクとはゼロリスクに他ならないわけですから、
青少年をインターネットから完全に排除するまで、規制強化が続けられることになってしまいます。

 子供を無視する教育再生懇談会で書いたように、
子供にとって最大の脅威となっているのは「違法・有害情報」でも「ネットいじめ」でもなく、
管理教育思想に染まった親や教師です。
ゼロリスク症候群に罹患すると管理教育思想に染まる危険性が高く、
子供のみならず親や教師をゼロリスク症候群から保護することは、
子供の利益を守る上で極めて重要となっています。

 つまり、目標に設定すべきなのは違法・有害情報に触れる機会の「最小化」ではなく、
インターネットから得られる利益とリスクを勘案した「最適化」なのです。
そのためにすべきことはいたずらにネット規制を強化することなどではなく、
「違法・有害情報」がもたらす損害とは具体的にどのようなものなのか、
どの程度の確率で損害が発生するのか、
逸失利益を最小限に抑える損害回避手段とはどのようなものなのかを調査することです。
東京声明のように、ゼロリスク症候群の蔓延を助長しかねない宣言を出すことは、
子供に不信感を与えることこそあれ、「安心」を与えることなど決してできないと断言できます。

 尚、フランスで「違法ダウンロード」停止警告を3回受けると最高1年間インターネット接続を禁止される、
いわゆる「スリーストライク法」が成立しましたが、
成立からわずか1ヶ月後、「人権宣言」で定めた通信権を侵害するとして、
フランス憲法院に違憲判決を下され、施行禁止となりました。

「仏憲法会議、ネット規制を「違憲」と判断」:イザ!

 フランスの違憲審査機関、憲法会議は10日、同国議会で5月に成立した違法ダウンロード取締法が、憲法を構成する「人権宣言」で定めた通信権を侵害するとして、施行禁止とすることを決めた。

 著作権の保護を目的とした同法は、インターネットで違法なダウンロードを行った者に対し、警告やネット契約の解除命令などの罰則を設けていた。

 憲法会議は「ネット通信へのアクセスの自由は裁判所が決定した場合にのみ制限される」として、行政機関の裁量で通信回線の切断などを可能にする同法を違憲とした。(共同)

 外国の判決とはいえ、インターネットを利用することは通信の自由で保護された権利であることが、
より明確になったといえます。
強制フィルタリングや日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾。警察庁は「ブロッキング」と呼称)の設置についても、
インターネット利用を制限する点では同様であり、
人権侵害になるということを啓発する必要があります。


2009年06月07日

ブロッキング 「自主的運用」を強要する警察庁

 警察庁はプロバイダ、NPO、学識経験者らなどで構成される「児童ポルノ流通防止協議会」を発足させ、
日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾。警察庁は「ブロッキング」と呼称)の「自主的運用」を強要することを決めました。
実現すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる児童ポルノ単純所持禁止規定を盛り込んだ、
与党の児童ポルノ禁止法改正案が民主党などの反対で成立のメドが立たない中、
業を煮やした警察庁が、プロバイダの「自主的運用」によって
日本版GFWを実現させる方針を打ち出したものです。

急げ児童ポルノ遮断! 協議会発足へ : ニュース・新製品 : セキュリティー : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 警察庁、プロバイダーと課題検討

  ネット上にあふれる児童ポルノ対策として、警察庁は、ネット利用者が違法なサイトを見ようとしても接続できなくする「ブロッキング」制度を民間のプロバイダー(接続業者)が自主的に運用できるよう、6月2日にプロバイダーなどと協議会を発足させる。

 警察庁が児童ポルノ問題をネット規制の突破口にするという戦略を打ち出したことについては、
4月5日に児童ポルノを口実に始動する日本版GFW構想で取り上げましたが、
今回の行動はこの戦略が実行に移されたことに他なりません。
「児童ポルノ流通防止協議会」の構成員を見てもそれは明らかで、
警察庁が3月26日に公開した「インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策について」(PDF)をとりまとめた、
「総合セキュリティ対策会議」とほぼ同様の構成員となっており、
事実上、事務局が警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課から財団法人インターネット協会に移っただけだと思われます。
これは警察色を薄めるための偽装工作と考えられ、
児童ポルノ問題をネット規制の突破口にする戦略について、
さすがの警察庁も後ろめたさを感じていることの証左といえます。

 国会審議さえも無視して日本版GFWの実現に狂奔し、
あまつさえ警察色を薄める偽装工作まで展開するなど、
最近の警察庁の暴走は目に余るものがあります。
また、青少年ネット規制法などのネット規制法制についても、
形式上は議員立法の形を取りながら、
実際には警察官僚が自民党議員に法案を持ち込んで成立させたという指摘がなされています。

 これらの行為は、政治的中立を求められる公務員としての職分を明らかに越えたものであり、
警察庁内部に戦前の特高警察のような、全体主義的思想集団が存在し、
国家公務員法で禁じられた政治活動を行っている疑いが濃厚といえます。

警察官僚の政治活動の実態を白日の下に晒し、違法行為については然るべき処罰を加えることが急務です。
また、児童ポルノ問題は思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などの、
国民の人権保障を脅かす口実でしかない
ということを、
児童ポルノ問題を声高に叫ぶ警察庁自らの行動が裏付けており、
こうした実態の認識を広く普及する必要があります。

関連リンク
北へ。の国から:日本版グレートウォール 警察庁、ブロッキングの導入を計画

表現規制について少しだけ考えてみる(仮)  ネット検問への序章


2009年05月24日

レイプレイ騒動政界に飛び火 読売報道禍どこまで

 フェミニストに浸透される読売新聞で取り上げた、
パソコン用ゲームソフト「レイプレイ」を制作した「イリュージョン」が
女権拡張主義(フェミニズム)団体「イクオリティ・ナウ」の圧力を受け、
販売中止に追い込まれたという読売新聞報道の問題が、政界に飛び火しました。

「日本製「性暴力ゲーム」を批判 自民女性局長「規制を検討」」:イザ!

 自民党の山谷えり子女性局長(参院議員)は22日、国会内で記者会見し、日本の業者が開発、販売している「性暴力ゲーム」を批判し、実態を調査するとともに規制策を検討していくことを明らかにした。

 日本製のゲームソフトをめぐっては、少女をレイプして中絶させるといった内容のパソコンゲームソフトが今年2月、英国の国会で問題視され、欧米各国で販売中止となっている。また、この種のゲームを野放しにしている日本政府に対して、海外の人権諸団体から抗議の声が上がっている。

 山谷氏は「党の女性局として、このような現状を調査し、有識者とも意見交換して(規制策の)提言をまとめたい」と述べた。山谷氏は、与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく考えを示した。

 「野放しにしている日本政府」って、米国政府は野放しにしているどころか、
連邦最高裁が規制は違憲という判決を下している
状況なのですが・・・。
あと、海外の人権「諸」団体って、何でしょう。増えたのでしょうか。
また「イクオリティ・ナウ」のような、フェミニズム団体の間違いなのではないかと疑われますし、
そもそも圧力団体として取り上げる以上、せめて1つぐらいは団体名を書くべきでしょう。
ウェブサイトなら字数制限も気にしなくて良いわけですし。

 それにしても、民意によって立つ外国政府の内政干渉に乗ろうとすれば「外圧利用」として非難されるのに、
民意によって立たない外国政治団体の「内政干渉」を利用する行為が非難を受けないというのは、
明らかに均衡を欠いています。
まして「イクオリティ・ナウ」の本部がある米国の連邦最高裁が違憲判決を下している法律を
日本で制定しようというのですから、めちゃくちゃにも程があります。
外国フェミニズム団体の抗議1つで与党が人権侵害法の制定に動くというのは、あまりに異常です。

 尚、今回の動きはカトリック信徒の山谷えり子自民党女性局長が主導しており、
キリスト教勢力とフェミニストが「自由との戦い」で手を組んだ形になっています。
「自由との戦い」については2008年8月31日の人身売買報告書 「自由との戦い」は御免被るで触れましたが、
それから1年足らずで、キリスト教勢力とフェミニストは本格的な共闘関係に入りつつあるようです。

 ところで、記事の最後に「与党が検討中の児童ポルノ規制法の改正内容にも反映させていく」と書いてありますが、
児童ポルノ禁止法改正案については、
与党案でも法律の目的が「児童の権利を擁護すること」であることを変える予定はなかったはずです。
山谷氏は「キリスト教的価値観及びフェミニズム思想の普及」とでも新たに書き込むつもりなのでしょうか。
それとも、「集団としての権利」なる全体主義的デマゴギーによって立つ日本史上初の法律にでもするのでしょうか。
成立すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる児童ポルノ単純所持禁止の推進といい、
随分と革命的な御仁です。

関連リンク
表現の数だけ人生が在る - 「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」の再来か?

Aerostats:日本製・性暴力ゲームの批判、規制について

自民党内規制推進派もついに動く - 日々のものごと日記

宗教右翼と左翼フェミニズムが手を取り合って表現規制 : sajima


2009年05月16日

フェミニストに浸透される読売新聞

 今週は「国際人権団体」イクオリティ・ナウが日本企業に圧力を掛け、
ゲームソフトを販売中止に追い込んだという読売新聞の報道が、大きな注目を集めました。

性暴力ゲーム、規制議論を : ニュース・新製品 : セキュリティー : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 少女らをレイプして妊娠・中絶させる内容の日本製のゲームソフトに、国際人権団体「イクオリティ・ナウ」が抗議活動を始めたのを受け、横浜市のメーカーや大手販売サイトがこのゲームの販売を取りやめた。

 ただ、女性を監禁してレイプする同種のゲームは国内で多く出回っており、専門家は「このゲームは氷山の一角」と指摘している。

(中略)

 インターネットで国を越えて情報が流通するなか、子どもを性的に描写した児童ポルノの扱いが国際的な問題になっており、米国や英国などは漫画やコンピューターグラフィックス(CG)の画像なども含めて製造や販売を禁止している。一方、日本ではCGを使ったパソコン用ゲームなどのバーチャル(仮想的)なポルノは禁止していない。

 まず基本的な間違いについてですが、イクオリティ・ナウは「人権団体」などではなく、
急進的な「女権拡張主義者(フェミニスト)団体」です。
具体的な構成員や主義主張については、
他サイトで広く取り上げられていますのでここでは取り上げませんが、
意外とロゴマークを取り上げているサイトが少ないようなので、貼っておきます。

イクオリティ・ナウのロゴマーク
(Adolescent Girls' Legal Defense Fund | GlobalGivingから引用。
Yahoo!翻訳版はこちら)

 まさに一目瞭然。
イクオリティ・ナウが何を志向しているのか、よく分かると思います。
実際、上記の引用元サイトにもEquality Nowのサイト(Yahoo!翻訳版はこちら)にも、
「human rights」という単語すらほとんどなく、「人権団体」というのは明白な誤りです。

 また、米国で漫画やCGの製造や販売が禁止されているというのも誤りで、
確かに米国では「児童オンライン保護法」という人権侵害法が一時成立したものの、
連邦最高裁で違憲判決を下され、効力を失っています。
つまり、製造や販売が禁止されているどころか、
製造や販売の禁止は人権を侵害する違憲立法であるという結論が確定しているのです。

 日本で無名の外国フェミニズム団体が何を言おうが無視すれば良いだけの話なのですが、
問題はこうした事案を必要以上に取り上げ、しかも誤った主張を鵜呑みにして報道する読売新聞です。
少し前まで、フェミニストに浸透された新聞といえば毎日新聞のイメージが強かったのですが、
いわゆる「WaiWai問題(ウィキペディア)」を受けて偏向記事のチェックが厳しくなったのか、
今回の事案についても、今のところ特に報道してはいないようです。

 代わって目を付けられ始めているのが読売新聞で、
公称発行部数1千万部以上という、毎日新聞の2.5倍を誇る日本最大紙の影響力は、
質、量ともに毎日新聞を大きく上回ります。
毎日新聞と違って右派系紙ではありますが、
表現規制推進派の裏にフェミニストがいることに気付いていないのか、
キリスト教的価値観に共感しているのか、
実現すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となる児童ポルノ単純所持禁止問題についても、
焚書支持の姿勢を鮮明にしています。

 今まで読売新聞は右派系紙ということもあり、
キリスト教的価値観への共感から焚書支持に回っているものと考えていましたが、
今回の事案を受けて、キリスト教勢力のみならず、
フェミニストにも浸透されつつあるということを認識しなければならないでしょう。
日本最大紙が偏向記事を書くことの悪影響は甚大であり、
今後の報道を厳しく注視していかなければなりません。

関連リンク
【規制の根拠は?】性暴力ゲーム、規制議論を【根拠がない!】: 弁護士山口貴士大いに語る

止めろ!規制社会・監視国家ブログ版 : 日本のアダルトゲーム叩きが、フェミナチ権勢拡大と政治に利用されてる構図

表現の数だけ人生が在る - 朝日新聞にも掲載来ました。

「なんでここにいるのかわからない」 児童ポルノ問題に紛れ込んで日本を誹謗する左翼ネットワーク : sajima


2009年04月05日

児童ポルノを口実に始動する日本版GFW構想

 警察庁は3月26日、「インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策について」(PDF)を公開しました。
「児童ポルノ流通防止」を口実に日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾。本報告書では「ブロッキング」と呼称)の設置を検討するという内容で、
児童ポルノ問題をネット規制の突破口にするという、
警察庁の戦略を明確にしたものといえます。

「ネットでの児童ポルノの流通」との戦い ~ 警察庁、「セキュリティ対策会議報告書」を公開:Enterprise:RBB TODAY (ブロードバンド情報サイト) 2009/03/26

 警察庁は26日、「総合セキュリティ対策会議 2008年度報告書」と題する文書を公開した。25ページのPDFファイルで、今年度の議題では「インターネット上での児童ポルノの流通に関する問題とその対策について」となっている。

(中略)

ISPによるブロッキングについては、英国、イタリア、オランダ、カナダ、スイス、スウェーデン、デンマーク、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、ブラジル、米国などで実施されており、イタリアおよびフィンランドでは、法令によりISPに対して実施が義務付けられているが、その他の国ではISPの自主的な取組みとして実施されているとのこと。

(中略)

そのほかにも、検索エンジンサービス事業者による元データの削除/検索結果の非表示化、ISPによるブロッキングの実施、インターネット利用者自身によるフィルタリングの使用などの対策があげられた。

 この報告書で特に問題と考えられるのは最後の部分で、
「検索結果の非表示化」や「ISPによるブロッキング」が実施された場合、
一般国民は検閲を受けていることに気付くことすらできないという、
究極の検閲体制の下に置かれる事態に至ります。

また、青少年ネット規制法により18歳未満の国民に半強制適用することに成功した「フィルタリング」について、
次は年齢制限を取り払って全国民に適用していくことも明確にしています。

 尚、ブロッキング実施国として取り上げられているのは、
例によってキリスト教国ばかりですが、
これらの国は「児童ポルノ流通防止」を口実に実施している国であって、
中国や北朝鮮においても口実が違うだけで、同様の取り組みは行われています。
特に中国は、グレートファイアウォール強化に血眼になっている、「ブロッキング国」の本家本元です。

 与党が検討している単純所持禁止(焚書令第一号)や民主党が国会提出した「取得罪」をも飛び越えて、
一気に「見えない検閲体制」の構築にまで踏み込もうとしている警察庁に、
「児童保護」や「人権尊重」などという価値観がないことは明白です。
警察庁は2年前にも、子供の利益を度外視して治安を向上させよという内容の報告書を発表しています(詳しくは警察庁最終報告書 これを子供に見せられるのかを参照)が、
これほどまでに突出した動きを見ると、
「治安向上」さえも警察庁にとっては規制強化の口実でしかなく、
日本版グレートファイアウォールを設置して「見えない検閲体制」を実現することこそ、
インターネット時代における警察庁の悲願なのではないかとさえ思えてきます。
古今東西、とかく治安機関というものは、
国民の自由や人権といったものを疎んじるものだからです。

 同様のことは宗教勢力にもいえることで、
治安機関は弱くともキリスト教勢力の強い欧米においては「児童ポルノ流通防止」が
グレートファイアウォール設置の口実となり、
逆に宗教勢力が弱く治安機関が強い共産圏においては、
共産党独裁体制維持のためにグレートファイアウォールが設置されているといえます。
そう考えると、諸外国に比べて治安機関も宗教勢力も弱い日本で
グレートファイアウォールの設置が遅れることも、
両勢力が手を組んで日本版グレートファイアウォール構想を推進することも、
当然の帰結だったのかもしれません。

 「取得罪」を盛り込んだ民主党の児童ポルノ禁止法改正案が国会提出されたり、
それを受けて与党も単純所持禁止(焚書令第一号)の制定に動くなど、
最近の国会情勢は目を離せない状況が続いています。
こうした状況を受けて、規制反対派の中にはかなりの焦りを感じている人も少なくないようです。
しかし、仮に規制強化そのものを防ぐことができなかったとしても、
規制推進派の正体を明らかにしていけば、法の濫用を抑制したり、
法を再改正して規制緩和したりすることは十分可能です。
あの悪名高い、米国の禁酒法が良い例でしょう。
禁酒法は現在の日本の児童ポルノ禁止法と同じような制定過程を辿りましたが、
結果として国民を地下経済に追いやることとなり、全土施行から13年で廃止されました。
相手が国会議員であれ、一般国民であれ、
理解を得るために必要なことは規制推進派と同じような詭弁を弄することではなく、
児童ポルノ問題は国民の人権保障を脅かす口実でしかないという現実を地道に訴えていくことなのです。

関連リンク
警察庁 サイバー犯罪対策:総合セキュリティ対策会議


2009年03月20日

人権侵害2法案 国会で徹底審議を尽くせ

 かねてより人権侵害法案として当ブログで取り上げていた2つの法案が、
国会に提出されました。

児童ポルノで取得罪新設 民主が禁止法改正案提出(日経ネット)

 民主党は19日、18歳未満のポルノ写真などの取得罪新設を柱とする「児童買春・児童ポルノ禁止法改正案」を衆院に提出した。現行は販売や提供目的での所持に限り罰則を科しているが、インターネットを通じた被害拡大などを踏まえ、より厳しい規制が必要と判断した。与党との修正協議を視野に入れ、今国会での成立をめざす。

 児童ポルノ規制を巡っては与党が「性的好奇心を満たす目的」で所持した場合に罰則を科す改正案をまとめている。民主党案は現行法であいまいな児童ポルノの定義を明確化。みだりに児童ポルノを有償または2回以上取得した場合に「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」を科す。

私的複製コンテンツのダウンロードも違法--改正法案が国会へ提出:ニュース - CNET Japan

 文部科学省が3月10日に国会に提出した「著作権法」の一部を改正する法律案がこのほど公開された。

 同法案では、私的複製した著作物のネット上での配信について「違法なインターネット配信による音楽・映像を違法と知りながら複製することを私的使用目的でも権利侵害とする」と規定。従来の法案でも禁じられていたアップロードに加え、「故意」の場合のダウンロード行為については違法にあたることが事実上明文化された。ただし、罰則規定は設けられていない。

 民主党の児童ポルノ禁止法改正案については児童ポルノ 何故「取得罪」なのか説明をで取り上げた通り、
何故焚書令第一号を発令せず、法案成立後の取得を禁止するに止めたのか、
焚書令賛成派、反対派の双方に説明する必要があり、
もし、理屈抜きに足して2で割っただけの「落としどころ」だというのであれば、
「取得罪」は焚書令第一号発令に向けた布石でしかないということになります。

 内閣提出法案の著作権法改正案についてもDL非合法化問題 情報摂取の自由を守れで取り上げた通り、
ダウンロード非合法化の真の問題点は経済問題ではなく、人権保障問題であり、
コンテンツ業界という一業界を振興するというだけの目的で、
情報摂取の自由を制限し、通信の自由(通信の秘密)の制限をも招く法改正は、
とても容認できるものではありません。

 どちらの法案についても、そもそも人権侵害法案であるという認識すら広まっていない状況であり、
議論が極めて未成熟なまま国会提出されたことに、強い危機感を覚えます。
しかし、国会に提出されてしまった以上、問題点を白日の下にさらす好機と捉え、
徹底審議を尽くすしかありません。
衆議院総選挙を半年以内に控えた今、人権侵害2法案に対する各議員の対応を注視すべきです。

関連リンク
王様を欲しがったカエル | リスク

児ポ法民主党改正案提出。 - 黙然日記

表現規制について少しだけ考えてみる(仮)  僅かでも希望があるので諦めるべきではないが…


2009年03月08日

児童ポルノ 何故「取得罪」なのか説明を

 3月4日、民主党「次の内閣」が「閣議」を開催し、
児童ポルノ取得罪の新設、罰則の法定刑引き上げなどを規定した、
児童ポルノ禁止法改正案を了承しました。

民主党:【次の内閣】党としての一体感を高めることが何より肝要 鳩山幹事長

 「児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案」については、法案担当者の千葉景子参院議員が説明。現行法ではあいまいな児童ポルノの定義の明確化、児童ポルノ取得罪の新設、罰則の法定刑引き上げ、被害児童の保護に関する制度の充実・強化などを柱とする法案内容を了承した。いわゆる「単純保持」については、正当な理由なく、有償または2回以上の取得をした者に対して罰則を設けられることとし、提供目的以外の児童ポルノ所持についても、実質的に処罰範囲に含まれることとなる。

 与党が主張している「単純所持禁止(焚書令第一号)」に対し、
民主党は「取得禁止」として、
法案成立前から保有している情報の焚書までは求めないということですが、
何故焚書令第一号を発令せず、法案成立後の取得を禁止するに止めたのか、
焚書令賛成派、反対派の双方に説明する必要があるでしょう。
あえて「取得罪」を打ち出した以上、民主党「次の内閣」は、
焚書令賛成派が主張する「児童保護」を実現するためには、
焚書令第一号の発令までは必要ないが、
取得禁止は必要という判断を下したということだからです。
もし、理屈抜きに足して2で割っただけの「落としどころ」だというのであれば、
「取得罪」は焚書令第一号発令に向けた布石でしかないということになります。

 また、「罰則の法定刑引き上げ」や「被害児童の保護に関する制度の充実・強化」についても、
一体何を根拠に打ち出したのか説明すべきです。
当ブログで何度も書いているように、
「児童ポルノ」による「被害」の実態は極めて不明確な状況であり、
「児童保護」を目的に掲げている以上、まずは現状を把握しなければ動きようがないはずです。

 現状を示す根拠としてよく取り上げられるのが、警察庁が発表する「認知件数」です。
しかし、去る2月19日にも「児童ポルノ製造、提供事件も109件増の676件」という発表に対して
「印象操作」という批判が噴出しましたが、
事件の「認知件数」というものは当局の注力度合いや法令解釈に大きく左右されるものであり、
「被害」の実態を現すものではありません。
特に同じ「1件」でも大変な「被害」であったり、皆無に近い「被害」であったりする、
性犯罪被害の実態把握にはほとんど役に立たないものです。
米国では「被害者」の彼氏が逮捕されるというような、
「児童ポルノ」による被害よりも、「児童ポルノ禁止法」による被害の方が
大きいのではないのかと思われる事案まで発生しています。

 それではどうすれば良いのかという話になりますが、
「児童ポルノ」被害の実態を把握したいというのであれば、
「被害者」からの告訴件数が1つの目安になるでしょう。
損害賠償請求訴訟の件数や平均的な賠償額も有力な根拠といえます。

 また、そもそも論として、何故「児童保護」という目的が、
いきなり「児童ポルノ」にすっ飛んでしまうのか、
それ以前の問題として「児童(18歳未満の者)」保護という政策目標がどこから出てきたのか、
年齢設定は何を根拠にしているのかなど、突っ込みどころは山ほどあります。
それらを1つ1つ整理して議論を進めていくのでなければ、
児童ポルノ禁止法強化の目的は「児童保護」などではなく、
国民を各個撃破して、焚書令第一号発令の「前例」を作ることなのだと考えざるを得ません。

関連リンク
表現の数だけ人生が在る - 民主党が与党案の単純所持禁止案に賛同しているかのような発言をしている件

[児童ポルノ法]「政治力学」とか我々がすべきこととか(カルトvsオタクのハルマゲドン/カマヤンの虚業日記)

基準も曖昧なのに規制強化?|つま先立ち、時々踵立ち


2009年02月15日

ストリートビューが問う一次情報のマスコミ独占

 世界各地を高さ2.5メートルから撮影した360度パノラマ写真を提供する、
米グーグル社の「ストリートビュー」について、地方議会や弁護士会からの批判が増えています。

「ストリートビューに全国から規制求める声」:イザ!

 インターネットで地域画像を閲覧できる米グーグル社のサービス「ストリートビュー(SV)」を巡り、全国の議会や弁護士会などから中止や改善を求める声が相次いでいる。グーグル社は今後、サービスを始める地域への事前通知を検討。不動産業者が物件紹介に活用する例も増えているが、自宅が無断公開される事態に、「プライバシーの侵害」との懸念が拡大している。

 ストリートビューが日本で提供され始めたのは2008年8月5日ですが、
住宅地の撮影サービス自体は、遥か昔から存在しています。
例えば、防犯カメラ、テレビカメラ、新聞カメラなどです。

 これらのサービスとストリートビューが大きく違うのは、
撮影されてから編集などを経ていない生データ、
つまり一次情報にアクセスできる人です。

防犯カメラなどの生データにアクセスできるのは、
警察やマスコミなどごく一部の人に限られますが、
ストリートビューは生データを直接インターネットで提供しているので、
誰でもアクセスすることができるのです。

 ただ、被写体の了解なしに撮影・公開しているという点については、
テレビカメラや新聞カメラも同様ですし、
防犯カメラは公開を前提とはしていないものの、
非公開を保障してはいないケースがほとんどです。
ですから、撮影・公開時には被写体の了解を得るべきだというのであれば、
ストリートビューだけを問題にするのは公平ではなく、
防犯カメラなども議論の対象に含めるべきです。

 このような議論がマスコミに取り上げられないのは、
テレビカメラや新聞カメラを擁するために自分が困るからということもありますが、
彼らが真に問題視しているのが「プライバシー侵害」などではなく、
一般国民が一次情報にアクセスできてしまうことそのものだからです。

 インターネットが普及してからも、ほとんどのコンテンツの一次情報は、
当ブログも含めて、依然としてマスコミ情報に頼る状況が続いています。
しかし、ストリートビューは、一次情報のマスコミ独占にさえ、
ついに風穴を開けようとしているのです。
これはマスコミからしてみれば、大きな脅威に映ります。

 そして何よりも大きな問題は、一般国民の中にも、
本心では一次情報のマスコミ独占を良しと思っている人が少なくないことです。

確かに一次情報のマスコミ独占が続けば、
「社会的に望ましく」編集された情報のみが公開されることとなるでしょう。
しかしそれは、何が社会的に望ましく、何が社会的に望ましくないのかという判断を、
マスコミが密室で恣意的に行うことを認めるということです。

 ストリートビューは特にデリケートな一次情報を扱っているわけではなく、
誰でも撮影可能な公道からの風景を公開しているだけです。
それさえも一般国民がアクセスすることまかりならず、
マスコミの審査を仰ぐべしというのでは、
日本が抱えるほとんどの社会問題の根幹といっても過言ではないマスコミ問題の改善など、
望むべくもありません。
一次情報のマスコミ独占というぬるま湯から脱却し、
マスコミ問題改善の第一歩を踏み出す勇気が求められています。


2009年01月17日

「児童ポルノ」 総務省課長を参考人招致せよ

 1月14日、総務省は「「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」最終取りまとめ 〜「安心ネットづくり」促進プログラム〜」を公表しました。

総務省の違法・有害情報対応検討会、最終報告書をとりまとめ

 総務省は14日、「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の第10回会合を開催し、最終報告書をとりまとめた。総務省が今後推進する「『安心ネットづくり』促進プログラム」の骨子となるもので、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(青少年ネット規制法)が施行される2009年4月1日から2011年度までに講じるべき施策を提言している。16日に同省のサイトで正式に公表する予定だ。

 この最終取りまとめ案については、個人82件、法人7件パブリックコメント(PDF)が寄せられました。
件数が多いだけでなく、内容的にもレベルの高いコメントが多く、
総務省としても対応に苦慮したものと思われます。
特に児童(18歳未満の者)ポルノ問題について、総務省の本音を引き出すことに成功している他、
質量ともに十分なネット規制批判のパブコメを受けたことは、
ネット規制推進派に一定の圧力を加えることでしょう。
パブコメを送って頂いた方には、心から感謝いたします。

 さて、パブコメで引き出した児童ポルノ問題についての総務省の本音とは、以下の部分です。

総務省の違法・有害情報対応検討会、最終報告書をとりまとめ

 これに対して総務省では、確かに児童ポルノ禁止法では、児童の権利侵害という側面を重視しているが、「同時に、同法は、児童を性欲の対象としてとらえることのない健全な社会を維持するという社会的法益の保護をもその目的としているものと考えられる」と回答。また、違法情報の類型の整理にあたって、名誉毀損情報や著作権侵害情報などと同じ類型として扱われてこなかった経緯や、最終報告書案においても「被害児童が存在するため権利侵害の側面もある」点や「被害児童保護の要請により、インターネット上の児童ポルノ対策は喫緊の課題」と位置付けているとして、権利侵害の側面を否定・軽視しているわけではないと説明している。

 ただし、多くの指摘があったことから、誤解を与える恐れが高いとして、上記のような説明を追加した。また、健全な社会を維持するという目的があることについても、児童ポルノ禁止法改正案の発議者の1人である円より子参議院議員が過去の委員会で説明した内容を引用して裏付けている。

 児童ポルノ禁止法は第一条で、その立法目的を「児童の権利を擁護すること」として掲げています。
しかし最近、規制推進派は上記のように、「児童を性欲の対象としてとらえることのない健全な社会を
維持するという社会的法益の保護をもその目的としているものと」何の根拠もなく主張しています。
そこで今回、総務省が無理矢理引っ張ってきたのは、
何と民主党副代表の円より子氏(参議院議員)の衆議院法務委員会発言でした。
確かに円より子氏は1999年5月12日、
児童ポルノ禁止法の目的には社会的法益保護も含まれる旨発言しています。
しかし、一議員の委員会発言など何ら法的効果を持たないことはいうまでもないばかりか、
このようなものを根拠に引っ張って意図的に法令の趣旨を捻じ曲げることは、
紛れもなく政治活動そのものです。

 役所の審議会は、しばしば事務方の役人が作成した「事務局案」に盲判を押すだけの
「追認機関」になりがちとされますが、
この「社会的法益論」に係る文章が国家公務員法の適用される役人主導で作成されていた場合、
国家公務員法違反(政治的行為の制限)という犯罪行為に当たる可能性があります。
この検討会の事務方責任者は二宮清治消費者行政課長ですので、
彼を国会に参考人招致するべきです。
特に「児童ポルノ」問題 大使寄稿と公開質問状で取り上げた、
子どもの人権と表現の自由を考える会」の「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律改正に関する公開質問状」に回答した公明党、民主党、共産党、国民新党は、
全政党揃って「社会的法益論」に反対しており、
政党の正式回答よりも一議員の委員会発言を優先するような役人の暴挙を黙認するようでは、
いくら「官僚政治打破」を声高に唱えたところで、全く信用されないでしょう。
二宮課長は、堂々と公党の顔に泥を塗ったのです。

 そもそも、かつて数え年で15歳、つまり満13〜14歳で元服が行われ、
現在でも満16歳で婚姻適齢を迎える(女性のみ)日本において、
18歳未満の者を「児童」と呼称し、あまつさえ性欲の対象にすることが「不健全」などと決め付けることは、
全く国情に合わない価値観です。
このような価値観はキリスト教的禁欲主義に基づくものであって、
それを普及することが社会的法益などとはとてもいえません。
本気で子供の利益に資そうと考えるのであれば、
子供が政治に何を求めているのか、真摯に耳を傾けることが先決であり、
児童ポルノ問題をキリスト教的価値観の普及に利用するようなことは直ちにやめるべきです。


2009年01月12日

「児童ポルノ」問題 大使寄稿と公開質問状

 児童(18歳未満の者)ポルノの単純所持禁止を盛り込んだ児童ポルノ禁止法改正案が
今国会に提出される見込みであることに関連して、最近2つの動きがありました。
なお、単純所持禁止とは、法案成立前から保有している情報の継続保有を非合法化するもので、
実現すれば日本史上初の焚書令(焚書令第一号)となり、極めて重大な人権侵害となるものです。

 1つ目は、シーファー駐日米大使が2008年12月31日付朝日新聞朝刊13面「私の視点」に寄稿を行ったことです。
駐日米国大使館のサイトに全文が掲載されていますが、
論理的には全く話にならない、政治的アジテーションといわざるを得ないものです。
突っ込みどころが多すぎて全部は書けませんが、最も致命的な欠陥と考えられるのは以下3点です。

  1. 根拠が統計的なデータではなく、極端な事例をピックアップしたもので、典型的な詭弁です。
    まさか世界でたった2人の不幸な子供のため、全世界で焚書令を発令せよなどというわけではないでしょう。

  2. 「児童ポルノ犯の85%が子どもへの性的虐待を認めた。」そうですが、
    単純所持禁止を求めるのであれば、単純所持者に絞った数値を出さなければ意味がありません。
    それに、これでは単に性的虐待者が児童ポルノを需要しているというだけの話で、
    児童ポルノを規制したらかえって性的虐待が増加、深刻化する懸念さえ出てきます。
    また、この理屈だと単純所持禁止だけではなく、閲覧禁止にしないといけなくなってしまいそうですが、
    そのことに触れていないのはアンフェアです。

  3. そもそも、性的虐待を政府が解決すべき社会問題として捉えるのであれば、
    性的虐待からの救済対象は18歳未満の者に限定されるべきではなく、
    成人も対象にした包括的な対策が検討されるべきです。

    また、18歳未満の者を「児童ポルノ」と規定しながら、
    12歳未満の者を事例としてピックアップする理由が不明です。
    これでは、あえて年齢を区切って「児童ポルノ問題」といっているのは、
    政治的アジテーションに好都合だからだといわざるを得ません。

 2つ目は、「子どもの人権と表現の自由を考える会」が2008年12月2日に各政党に送付した、
「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律改正に関する公開質問状」に対する回答が、
1月5日に送付されてきたことです。
結果は自民党、社民党、新党日本が無回答、
公明党が規制強化推進、
民主党が検討中、
共産党、国民新党が規制強化反対でした。

 「子どもの人権と表現の自由を考える会」については、
ミクシィの規制反対派コミュニティが2008年6月23日に設立したもので、
政党に対する公開質問状の送付は今回が初めてのようです。
そのためか、質問文があまりこなれていない印象がありますが、
共産党はわざわざ質問文をフォローしつつ、
しかも明確な根拠を示して規制強化反対を明言
する回答を送付してきており、
これは今回1番の収穫だったのではないのでしょうか。

 逆に無責任さが際立ったのが自民党で、与党第一党として規制強化を推進しながら無回答というのは、
堂々と規制強化推進を表明している公明党以上に性質が悪いです。
与党第一党という立場上、様々な質問状を受けて対応し切れない面もあるのでしょうが、
焚書令第一号という、極めて重大な人権侵害法案を検討しているという認識があれば、
無回答という対応はしないと考えられます。
つまり、自民党は「児童ポルノ」の単純所持禁止が
焚書令第一号になるということを認識していない可能性が高く、
今後の説得で翻意を促せる可能性が考えられる反面、
人権問題についてあまりに不見識な政党という謗りは免れないでしょう。

 もっともこの点については一般国民についても同様で、
「児童ポルノの単純所持禁止」といわれても、
小学生ポルノが見られなくなるだけで、困るのは薄気味悪い「小児性愛者」だけだと思っている人が、
大半ではないかと思われます。
シーファー大使や財団法人日本ユニセフ協会が小学生ばかりを取り上げているのも、
こうしたイメージを定着させる戦略があるのでしょう。
しかし、今は自分に関係なさそうだからといって、
理屈抜きに焚書令第一号などという人権侵害法案の成立を容認していたら、
そのツケは必ず全国民に回ってきます。
一部の国民を各個撃破して「前例」を作り、全国民の人権保障を危うくしようとする戦略の危険性を、
自民党だけではなく、一般国民にも啓発していかなければなりません。

関連リンク
閑寂な草庵 - kanjaku - 新・児童ポルノ法改正問題を考える

児童ポルノ等に関する公開質問状の回答の件について|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ


2008年11月30日

「小児性愛者」は「絶対悪」なのか

 11月25〜28日にブラジルで開かれた「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」は、
児童ポルノ禁止法に定める「児童ポルノ」の単純所持のみならず、
「バーチャルな画像や性的搾取の描写」、
つまりアニメ、漫画、小説なども含めた「児童ポルノ」の「閲覧」をも非合法化するよう求める提言をまとめ、閉幕しました。

「児童ポルノの閲覧も「犯罪」と明言 リオで国際会議」世界から‐南北アメリカニュース:イザ!

 児童買春や児童ポルノなどの根絶を目指しブラジル・リオデジャネイロで開かれた「第3回児童の性的搾取に反対する世界会議」は28日、被害者保護の観点から、市民がインターネット上の児童ポルノサイトにアクセス・閲覧する行為も犯罪だとして法律で禁止するよう各国政府に求めた提言をまとめ、閉幕した。

ブラジル:子どもの性的搾取反対会議 リオ宣言案を採択 - 毎日jp(毎日新聞)

 また、児童ポルノについては「バーチャルな画像や性的搾取の描写」という表現で、過激な漫画やアニメも児童ポルノに属するとした。

 会議の内容については以下のサイトが詳しいので、
少し長いのですが、詳細を把握したい方は参照してください。

今国会内で児童ポルノ法改悪の観測が浮上&ブラジル会議で創作物と「閲覧」が槍玉に|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ

ブラジル会議、閉幕 「閲覧」の違法化と、「過激な二次元創作物」を「児童ポルノ」とする宣言を採択|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ

 会議の内容を簡単にまとめると、
18歳未満の「児童」に対する性的嗜好そのものを撲滅するため、
それを想起させる一切の情報の発信も受信も非合法化せよというものです。
もはや児童の保護など何の関係もない話であり、
このようなでたらめな議論がまかり通れば、
最終的には性犯罪を撲滅するため、全国民に性ホルモン検査を義務付け、
規定範囲外の数値を出した者には性ホルモン抑制剤を強制投与し、
化学的に去勢せよという話になるでしょう。

 実際、米国の一部の州では性犯罪者限定とはいえ、このような措置が既に実施されており、
犯罪者に対する措置であっても非人道的措置は許されない以上、
性ホルモン抑制剤の強制投与は人道に反するものではないということになっているので、
「児童の保護」「性犯罪予備軍の保護」といった名目で全国民に実施されることは、
否定できることではありません。

 こうした恐ろしい議論が国際会議でなされる背景には、
「小児性愛者は絶対悪」という、会議参加者間の暗黙の了解があります。
しかし、一体いつ、何をきっかけに、
18歳未満の者に対して性的嗜好を持つ者が「小児性愛者」と呼ばれ、
決して擁護することが許されない「絶対悪」に転落させられたのでしょうか。
禁欲主義を掲げるキリスト教圏限定の話であれば、まだ理解できないことはありませんが、
非キリスト教圏の日本でも激しい非難が浴びせられる現状は不可解です。

 ただ、「絶対悪」である以上、手段を選ばず撲滅すべしという主張が出てくることは避けられないので、
「小児性愛者は絶対悪」という前提が、何を根拠にしていて、
本当に正当性のある前提といえるのかという問題は、
このでたらめな議論を食い止める上で、重要になってくると考えられます。
根拠が弱ければもちろん、キリスト教圏でしか通用しないものであっても、
少なくとも日本においては当てはまらない前提となり、
18歳未満の「児童」に対する性的嗜好そのものを撲滅するなどという、
荒唐無稽な話に付き合う必要はなくなるからです。

 規制推進派がよく持ち出す、
「児童ポルノの単純所持を規制していない国は、G8の中で日本とロシアだけ」という主張も、
G8の中で日本以外の国は全てキリスト教国家ということを考えれば、
日本で規制を推進するには根拠の弱い理屈であることが分かります。
コンテンツ規制 「舶来信仰」から脱却をでも書きましたが、
もう占領下ではないのですから、外国のコンテンツ規制がどうであろうと、
日本は日本国民に合った規制制度を構築すれば良いのです。
キリスト教国家が「小児性愛者は絶対悪」と決めたのだからそれが正しいというような、
思考停止としか言いようのない議論に、付き合う必要はありません。


2008年11月16日

子供を無視する教育再生懇談会

 政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)の携帯電話問題ワーキンググループは12日、
子供の有害情報対策として「小学生が携帯電話を持つことがないようにする」ことを盛り込んだ
提言案をまとめました。

asahi.com(朝日新聞社):「小学生には携帯持たせない」政府の教育再生懇が提言案 - 社会

 政府の教育再生懇談会(座長・安西祐一郎慶応義塾長)の携帯電話問題ワーキンググループは12日、子どもの有害情報対策として「小学生が携帯電話を持つことがないようにする」ことを盛り込んだ提言案をまとめた。年末に麻生首相に提出する。

 中学3年生の63%、小学6年生の32%が携帯電話を持っているという文科省の調査結果を踏まえ、特に小学生が携帯を持たないようにする取り組みを重視。携帯電話がなくても困らないようにNTTに公衆電話の増設を求める。

 非常連絡のため子どもに携帯電話を持たせたいとの親の声にも配慮。通話機能などに限定された子ども向け機種を無償貸与する案を検討することも盛り込んだ。

  「親の声」には配慮するとしていますが、「子供の声」は一切無視する構えです。
つまり、教育再生懇談会に子供を利益の主体と考える意思は微塵もなく、
一部の大人の利益の客体として捉える姿勢を鮮明にしたものといえます。

これはかつて大きな社会問題となった、管理教育思想そのものであり、
政府の意思決定機関にこのような思想が蔓延していることは、憂慮すべき事態です。

 また提言案は、「携帯電話がなくても困らないようにNTTに公衆電話の増設を求める」としていますが、
教育再生懇談会が聞こうともしない「子供の声」を聞けば、
子供は携帯電話の通話機能よりも、
ネット機能やメール機能を重視している
ことが分かります。

東京の中学生女子、携帯サイト利用1日平均44.8分、メール23.6回(INTERNET Watch)

 利用内容を見ると、小学校では通話の方が多く、1日平均12.1分。これに対してサイトは5.8分で、メールは6.3回だった。中・高校ではサイトの方が上回っており、中学校では通話が1日平均8.3分なのに対し、サイトが35.0分、高校では通話が10.3分なのに対し、サイトが63.3分だった。メールは中学校が1日平均21.3回、高校が20.0回と、小学校と比較して3倍に増加している。特別支援学校は通話が1日平均6.5分、サイトが16.0分、メールが9.7回だった。

 小学生では若干サイト閲覧時間よりも通話時間の方が多いものの、
メール回数を考えれば通話機能使用時間とネット機能、メール機能使用時間はほぼ同じといえるでしょう。
中高生になると、ネット機能使用時間だけでも通話機能使用時間を大きく上回るようになります。
中には携帯電話を見て、「これ電話できるの?」と聞く子供までいるそうで、
今後もネット機能やメール機能重視の流れは変わらないと思われます。

 そして、子供から携帯電話を取り上げる口実としてよく利用される、
「ネットいじめからの保護」についても、全く子供の利益に資するものではありません。
何故なら、平成18年度に全国の小中高校などで認知されたいじめのうち、
「ネットいじめ」はわずか4%しかなかった上、
当の被害者でさえ、ネットいじめの加害者よりも、
管理教育思想に染まった親や教師の方が脅威と考えているケースが少なくないからです。

いじめ一挙6倍、定義を見直し12万5000件 - MSN産経ニュース

 平成18年度に全国の小中高校などで認知されたいじめは12万4898件で、前年度比6・2倍と大幅に増加したことが15日、文部科学省の「児童生徒の問題行動調査」で分かった。昨年、いじめを苦にした自殺が相次いだことを受け、いじめの定義や調査方法を見直し、国私立学校も対象に加えた結果という。パソコンや携帯電話のインターネットを使った「ネットいじめ」は約4900件で、全体の4%あった。いじめが原因とみられる自殺も6人いた。

ネットいじめ(Bullied by a Mouse)|ABMレポート|図書館|チャイルド・リサーチ・ネット(CRN)

 第5に、子どものなかには、親が過剰に反応することを心配して、親にいじめについて話すことをためらう子がいる。10代の子どもにとって、親からコンピューターやインターネットのアクセスや携帯電話を取り上げられることは、社会的に孤立して、友人達と連絡を取れないことを意味するからである(Cottle, 2001)。

 こうした事実を鑑みれば、ネットいじめを発見し、対処するために必要なことは、
親や教師が「携帯電話を取り上げてやる」などといって
子供に不信感を抱かせることではなく、
「携帯電話を取り上げるようなことは絶対にしないから、何でも相談して欲しい」といって
子供の信頼を勝ち得、もしいじめを発見したら、警察やISPに通報して加害者を特定し、
然るべき処罰を与えることだということが分かります。

 そもそも、いじめ全体の問題として捉えれば、
全体のわずか4%しかないネットいじめなど無視し、
残り96%の多くを占めると思われる校舎内のいじめ対策に重点を置いた方が、
余程「子供の保護」になるでしょう。
「ネットいじめからの保護」という口実が、
子供の人権を侵害するための方便でしかないことが、よく分かると思います。

 青少年ネット規制法などの、子供から表現の自由や情報摂取の自由を奪おうとする施策の背景には、
管理教育思想があるのではないかとモバゲー苦境 管理教育の亡霊が子供を襲うで書きましたが、
教育再生懇談会の提言案などを見る限り、どうやら当たっていたようです。
何のことはありません、「携帯電話問題」とは、21世紀になってなおこの世に止まる、
管理教育思想という亡霊が姿形を変えたものに過ぎないのです。

子供と保護者がこのことを理解していくことが、何よりも求められています。

関連リンク
管理教育 - Wikipedia


2008年11月03日

DL非合法化問題 情報摂取の自由を守れ

 10月20日に開かれた文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」で、
著作権法第30条の範囲を見直し、国民の権利である私的複製権を制限することで合意しました。

津田大介:「ダウンロード違法化」ほぼ決定 その背景と問題点 (1/3) - ITmedia News

 10月20日、約3カ月ぶりに開かれた文化審議会著作権分科会の「私的録音録画小委員会」において、2006年以来争点となっていたiPodに代表されるメモリーオーディオへの課金を見送ることと、著作権法第30条の範囲を見直すことが確認された(“iPod課金”見送り ダウンロード違法化へ)。

 委員会を主管する文化庁はこの骨子に従い報告書案をまとめ、来年の通常国会に著作権法改正案を提出する見込みだ。改正後は、インターネット上に置かれている権利者に無許諾で複製された「“音楽”と“動画”の違法ファイル」をダウンロードする行為は違法になる。

 この結論に対しては賛否が分かれていますが、
賛成論、反対論は概ね以下の通りとなっています。

賛成論
送信可能化権などを侵害している違法サイトなどからのダウンロードを非合法化すれば、
対価を支払って著作物を購入する人が増え、コンテンツ産業を振興することができる。
産業振興を成し遂げれば、良質なコンテンツを多数供給することができ、消費者の利益にもなる。

反対論
宣伝効果などを考えれば、違法サイトなどからのダウンロードは、
必ずしもコンテンツ産業に損失を与えているとは言い切れない。
また、消費者の利益を軽視し、産業振興ばかりを重視する議論はおかしい。

 つまり、賛否両論ともに、消費者、生産者双方の経済的利益を最大化することが目的という点では一致しており、
その手段としてダウンロードの非合法化が有効か否かが、議論になっているのです。
この議論は著作権の独占性、
消費するまでその利益を認識しにくい性質(こうした財を「経験財」といいます。)、
生産者の特殊性(一般に「クリエイター」と呼ばれる人は、
最初から金銭的な収益最大化を目指して制作に取り掛かることは少なく、
自らの作品を制作できること自体を利益と考えて、
「自分が作りたいものを作る」傾向が他産業に比べて強い)などを考えると、
どちらが正しいのか簡単には判断できず、市場の状況により結論は変わってくるとされています。

 もっとも、外国の事例を見る限りダウンロード非合法化の成果は芳しくないようで、
やはり娯楽商品という性質を考えると、
ムチを振り回して対価を支払わせる手法はなじまないように思われます。
案外、寄付制度を充実させて、大道芸人に対する投げ銭のような形で、
自主的なクリエイター支援を奨励することも、有効なのかもしれません。
これはこれでなかなかに難しい問題ですが、
ダウンロード非合法化の真の問題点は経済問題ではなく、人権保障問題です。

 ダウンロードが非合法化されるということは、情報摂取の自由が制限されるということです。
また、違法なダウンロードを取り締まるという名目で、
通信の自由(通信の秘密)の制限にもつながる可能性があります。
つまり、この問題は国民の人権保障と密接に絡む問題であって、
コンテンツ市場の生産者と消費者の利害調整で済ませられるような話ではないのです。

 また、人権問題である以上、そもそもダウンロード非合法化問題は
文化庁の審議会だけで議論するような話でもなく、
少なくとも人権行政を所管する法務省の関与が必要であり、
更にインターネット問題であることを考えれば、総務省の関与も必要になるはずです。
今後、自民党や公明党の部会審議などを経て、法案の閣議決定を目指すこととなりますが、
与党には慎重な審議を求めるとともに、
法務相と総務相には、閣議決定文書に「盲判」を押すようなことがないように求めたいと思います。

 ダウンロード非合法化を推進しているレコード業界に認識はないのでしょうが、
この問題は当ブログで何度も取り上げている児童ポルノの単純所持非合法化問題と同様、
国民の人権保障を危うくする突破口になりかねないものです。
政治や行政の世界において、「前例」は非常に大きな力を持つのですから、
「情を知らなければ大丈夫」「ストリーミングなら大丈夫」「罰則なし」などという美辞麗句を並べられても、
コンテンツ業界という一業界を振興するため、
それも効果があるのかないのかも分からない、
下手をすれば逆効果にすらなりかねないような施策のために、
国民の人権保障を危うくするような法改正は容認できません。
仮にダウンロードを非合法化しないことがコンテンツ市場に一定の悪影響を与えるとしても、
国民の人権保障を磐石にすることの方が、遥かに重要です。

 情報摂取の自由は、思想及び良心の自由や表現の自由から「派生原理として当然に導かれる」だけで、
明文規定になっていないため、最近様々な勢力に目を付けられているようですが、
情報摂取の自由が失われてしまえば、国民の利益が大きく損なわれるとともに、
国民の思想や表現にも重大な影響が出ることは明白です。

それは中国や北朝鮮が、表現の自由を抑圧すること以上に、
外国からの情報流入や、国内における情報流通に神経を尖らせていることを見ても分かると思います。
国民が多様な価値観や過ぎた知識を持つことを嫌う者にとって、
国民に入る情報を統制する手段は、喉から手が出る程欲しいものなのです。
それは戦中の大日本帝国政府や戦後のGHQも同じことでした。

 児童ポルノの単純所持非合法化問題はともかく、ダウンロード非合法化推進の背景に、
そのような陰謀じみた勢力がいるとは全く思いません。
しかし、推進者の思惑がどうであれ、「前例」を作ってしまえば、その結果は同じことです。
レコード業界は自らの軽率な行いが、国民に大変な不幸をもたらしかねないことを、
認識しなければなりません。

関連リンク
ダウンロード違法化についての超初歩的な経済学 - 池田信夫 blog

表現の数だけ人生が在る 私的録音録画小委員会にてダウンロード違法化が決定(その1)


2008年08月31日

人身売買報告書 「自由との戦い」は御免被る

 少し前の話になりますが、6月4日に米国務省が「2008年人身売買報告書」を発表しました。
この報告書は毎年この時期に発表されているもので、
外国の人身売買の状況や政府の対策などについて、
国名を名指しして4段階にランク付けするという、無礼極まりない報告書として有名なものです。
日本は例年、努力しているものの進展は遅いとして、
下から2番目の「基準を満たしていない国」に分類されています。

◆中東4カ国「最低水準」 米人身売買報告書(2008年6月13日付産経新聞朝刊)

 米国務省は12日、2007年の「人身売買に関する報告」をまとめた。新たに中東のクウェート、バーレーン、オマーン、カタールの4カ国を、北朝鮮やイランなど12カ国とともに最も低いレベルの人身売買防止の「基準も満たさず、努力もしていない国」に分類した。日本は人身売買防止に向け努力しているものの進展は遅いとして引き続き下から2番目の「基準を満たしていない国」に指定された。(ワシントン 有元隆志)

 「人身売買報告書」と銘打ちながら、
その内容はほとんど性風俗産業に関するものであること、
自らの意思で「蛇頭(ウィキペディア)」などの犯罪組織と取引し、
不法入国したことが明白であるケースまで「人身売買」に含めている
こと、
報告の情報源(ソース)が「非政府組織(NGO)の主張」という、
良くいって怪情報、悪くいえば反日宣伝とさえいえるようなものを真に受けていることなど、
この報告書の内容にはかなりの問題があります。
これを国務省内部の参考資料として使うのであればまだしも、
外国の国名を名指しして人身売買対策の良し悪しをランク付けする資料にしようというのですから、
言語道断というものであり、
本来であれば報告書発表の度に、駐日米大使を外務省に呼び出して抗議するべきものです。

 この問題だらけの報告書は日本の人権問題を改善するのには役立ちませんが、
米国が日本政府に何をさせたいのかを知るためには大いに役立ちます。

2008年人身売買報告書(抜粋)

日本(第2階層)

(略)

認知された人身売買被害者の大半は、仕事を求めて日本に移動してくるものの、日本到着と同時に、借金に縛られ、売春を強要される外国人女性である。

(略)

また、人身売買業者は、日本人の女性や少女もポルノや売春による搾取の対象としている。

(略)

日本への勧告:(略)児童買春・児童ポルノ処罰法を改正して、児童ポルノの所持を刑事罰の対象とする。

 「日本への勧告」という、また何とも偉そうな項目名ですが、
それよりも内容が問題です。
まず、「認知された」人身売買被害者の大半が売春を強要される外国人女性であるということは、
この報告書のソースであるNGOが、わざわざ性風俗産業関連の「人身売買問題」に焦点を当てて、
米国に「御注進」した可能性が高い
ことを示しています。
単なる不法入国者まで「人身売買被害者」に含めるのであれば、
単純労働に従事している人もかなりの数になるはずだからです。
そもそも、公正な調査を行う意思にも能力にも疑問のあるNGOの「主張」がソースである以上、
その調査結果が結論ありきのずさんなものであることは当然といえます。

 また、「被害者の大半」について、特に年代層は特定せず、「外国人女性」であるとし、
「搾取の対象」となっている日本人についても、「女性や少女」として、年代層は特定していません。
「少女」は「女性」に含まれるにも関わらず、わざわざ特記しているところに
他意を感じざるを得ない記述ですが、それが間違いではないことを示すのが「日本への勧告」です。
何と、上記の状況を受けて日本政府が取るべき対策は、
児童ポルノの単純所持を罰則付きで非合法化することだというのです。

 被害者の年代層は特定されていないというのに、
児童ポルノだけを規制対象にする。
「搾取の対象」になる1番の原因は市場が地下経済に潜行し、
適正な対価が得られなくなることだというのに、それを更に悪化させるようなことをいう。
そもそも児童ポルノの単純所持を禁止したら、
その需要は売春市場に向かい、売春問題が悪化する可能性が高い。

 つまり、この「人身売買報告書」なるものは、
現状認識と取るべき対策が全く一致していないどころか、
状況を最も悪化させる策といっても過言でないような「対策」を「勧告」しているのです。
もちろん、わざわざ状況を悪化させようなどという意思はさすがにないでしょうから、
単に「児童ポルノの単純所持を罰則付きで非合法化せよ」という一文を、
「日本への勧告」の末尾に追記したかったというだけのことだと思われます。
本文を見て頂ければ分かりますが、その前までの文章は現状認識に問題があるものの、
対策としては論理的に筋の通るものばかり(妥当な対策かは別問題)です。
それにも関わらず、「児童買春・児童ポルノ処罰法を改正して、
児童ポルノの所持を刑事罰の対象とする。」という一文だけが、
いかにも取って付けたような、全く筋の通らない「対策」となっているのです。

 この文章は、米国が日本政府に何をさせたいのかを、如実に示しています。
米国は形振り構わず児童ポルノの単純所持非合法化という「焚書令第一号」を実現させ、
それを突破口にして成人ポルノの規制強化、
ダウンロードを非合法化する著作権法改正、
日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾)の創設などを実現したいのです。
これらの規制強化は、米国の政界に影響力を持つキリスト教勢力、
女権拡張主義者(フェミニスト)、著作権団体などの利益となります。
特にキリスト教勢力やフェミニストは、
「自由との戦い」とさえいえるような、
極めて独裁主義的傾向の強い言動を繰り返しています。
「焚書令第一号」を日本で実現させることは、
「自由との戦い」を強力に支援することに他ならないのです。

 先の通常国会が「ねじれ国会」であったこともあり、
国会審議の混乱と会期の不延長という「僥倖」により、
「焚書令第一号」は継続審議となりました。
しかし、継続審議ということは、当然9月12日に召集される臨時国会で審議が再開されるということです。
与党の「単純所持禁止」に対し、民主党は「取得禁止」を主張していますが、
例え「取得禁止」であったとしても後で「単純所持禁止(焚書令)」に強化される危険性が高い上、
そもそも「児童保護」などとは全く関係のないところから議論が始まっているのですから、
どう修正しても真っ当な法律になるはずがありません。

  •  どのような「被害」が、どれだけ発生しているのか?
  •  児童の「被害」は他にもないのか?
  •  同様の「被害」は児童以外にもないのか?

 本気で「児童保護」を考えているのであれば、少なくともこのぐらいの疑問点はすぐに浮かぶはずです。
こうしたことが全く議論されていないということが、
議論が広がると「各個撃破」が難しくなって困るという、
「児童保護」とは無関係の意図が提案者にあるということをはっきりと示しています。
実際、当の「児童」、特に年齢上限の16歳、17歳の人がこのような「保護」を求めているという話は
ほとんど聞いたことがなく、「被害」自体がでっち上げに近いのではないのでしょうか。
思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などの人権保障を、
一気に危うくしかねないような規制強化を要するほどの「被害」が量的、質的に発生しているのか、
慎重に調査することが、何よりも求められています。

関連リンク
表現の数だけ人生が在る ダウンロード禁止法の推進に利用されそうな単純所持禁止法

なぜ「受け手犯罪者化」は問題なのか 児童ポルノ禁止法と著作権法との連結性と監獄社会(1)|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ

児童買春・児童ポルノ禁止法:11月改正へ修正協議 処罰範囲が焦点 - 毎日jp(毎日新聞)

衆法 第169回国会 32 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

●児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案


2008年07月27日

無差別殺傷続発 「暗いニュース」の有害性は?

 6月8日に秋葉原で無差別殺傷事件が発生してから2ヶ月足らずですが、
既に2件も同様の事件が発生してします。

「【八王子通り魔事件】「事件起こせばマスコミに名前」逮捕男が動機を供述」事件です‐事件ニュース:イザ!

 東京都八王子市の書店で女性2人が死傷した無差別殺傷事件で、殺人未遂容疑で逮捕された会社員、菅野(かんの)昭一(しょういち)容疑者(33)=同市川口町=が、警視庁捜査1課の調べに対し、「大きな事件を起こせば自分の名前がマスコミに出ると思った」と供述していることが23日、分かった。

「「誰でも良かった」…スーパー店員刺した男逮捕」事件です‐事件ニュース:イザ!

 スーパーで女性(53)の胸をバタフライナイフで刺したとして、警視庁青梅署は26日、殺人未遂などの疑いで、東京都青梅市河辺町、シロアリ駆除会社社員、大越粒巧容疑者(22)を逮捕した。大越容疑者は「普段から社長に仕事で文句を言われ、(犯行を起こして)恥をかかせてやろうと思った」と供述。女性とは面識がなく、「誰でもいいから殺そうと思った」と話しているという。

 秋葉原で事件を起こした加藤智大容疑者(25)と同様に、
いずれもマスコミの注目を集める手段として無差別殺傷事件を起こしており、
一種のテロ行為といえます。
そして、テロを起こして自身の境遇を社会に知らしめ、
社会的な反響を引き起こすという彼らの目的は、全て成功しています。

 加藤容疑者は「ワイドショー独占」という「夢」を実現させたのみならず、
秋葉原の歩行者天国の中止、ナイフ規制強化、模倣犯の出現という、
これ以上ないぐらいの「成果」を挙げることができました。
まさにテロリスト冥利に尽きるというものでしょう。

 何故、素人テロリストによるテロが、ここまで成功したのか。
それは、マスコミが必要以上に事件を取り上げ続けたからに他なりません。
マスコミがテロ報道を繰り返すために、
行政当局は歩行者天国の無期中止に追い込まれ、
政治家はナイフ規制強化に浮き足立ち、
社会に怒りを持つ人はテロリストと化してしまったのです。

 このように、マスコミが垂れ流す「暗いニュース」が社会不安を引き起こし、
不必要な規制強化や凶悪事件を誘発させるなど、
社会に対して重大な悪影響を与えていることは明らかです。
根拠の不明確な「ゲーム有害論」や「ネット有害論」とは異なり、
「暗いニュース」に深刻な有害性があることは疑いないというのに、
全くといって良いほど問題視されていない現状は、
ネット規制推進派の目的に「青少年保護」などというものは露程もなく、
フェミニズムやキリスト教的価値観の押し付けだけが目的であるということを、
如実に現しています。

 ところで、ルーマニアの上院議会で全会一致で可決された「明るいニュース法」は、
可決の2週間後に憲法裁判所で違憲判決を受けました。
テレビ・ラジオ局に「明るいニュース」と「暗いニュース」を
同じ割合で放送することを義務付けるもので、
ちょっと乱暴過ぎますが、社会実験としては面白いと思っていたので、
実施前に廃止されてしまったのは少し残念です。

 ただ、「暗いニュース」が国民の健康や生活に
「取り返しのつかない影響」を与える
という観点自体は、
日本の昨今の状況を見ても間違いなく、
ルーマニアで「明るいニュース法」が可決されたことは無差別殺傷事件の続発などよりも、
よほど注目を集めるに値するニュースでした。
それなのに、ほとんど報道されることさえなかったのは、
マスコミにとって不都合な真実が露呈することを恐れたからなのでしょうか。

 この国のマスコミ問題は、ほとんどの社会問題の根幹といっても過言ではないぐらいに、
極めて根深いものがあります。
「暗いニュース」の有害性が議論されることは、
この問題を解決の方向に導く可能性を秘めており、
マスコミの支配下にないネット上においてこそ、
もっと議論されて然るべきです。

関連リンク
みのさん、暗いニュース選んだのはテレビ局じゃないの?:ITと人間の意外な関係 - CNET Japan

「【主張】八王子通り魔殺人 身勝手な凶行を断ち切れ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

無差別殺傷 繰り返される身勝手な凶行 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:八王子殺傷事件 希薄な人間関係も一因では - 毎日jp(毎日新聞)

無差別殺傷―この連鎖を断ち切らねば(朝日新聞社説)


2008年06月08日

青少年ネット規制法案 参議院は徹底審議を

 6月6日、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律案」(青少年ネット規制法案)が、
衆議院の「青少年問題に関する特別委員会」に委員長提案として提出され、全会一致で承認を得た後、
午後の衆議院本会議で可決されました。
国会提出前に与野党が談合し、国会審議を一切せずに即日可決という、
絵に描いたような密室政治が展開されました。
衆議院で可決されてなお、委員会の議事録も青少年ネット規制法案の条文も
衆議院のウェブサイト上に公開されていないという、異常事態になっています。

 とりわけ罪が重いのは、政府・与党の談合体質を批判すべき野党第一党の立場にある民主党と、
自公民各党を「オール与党」と切り捨て、「たしかな野党」を標榜してきた共産党です。
衆議院審議において、民主党はその責務を放棄し、
共産党は自ら掲げてきた看板に泥を塗ってしまいました。

 法案を国会に提出する前に、議事録の残らない、
非公開の与野党談合で結論を出してしまうというのは、
民主主義に対する挑戦です。
また、このような姑息な手段を使うということ自体が、
青少年ネット規制法案をまともに審議すれば、
国民の理解は得られないという認識が与野党にあることを、
如実に示しています。

 しかし、衆議院が議会としての責務を放棄した今こそ、
参議院が二院制の存在意義を示すチャンスでもあります。
「第一院の暴走」を食い止め、徹底審議の方針を打ち出すことができるのか、
来週の国会情勢を注視しなければなりません。


2008年05月25日

円より子請願に見る被害妄想とゼロリスク症候群

 5月23日に民主党の円より子氏(参議院議員)と下田敦子氏(同)から提出された、
「美少女アダルトアニメ雑誌及び美少女アダルトアニメシミュレーションゲームの製造・販売を規制する法律の制定に関する請願」については
既に多くのサイトで引用されているようですが、
当ブログでも要旨を全文引用します。

請願情報

 街中に氾濫(はんらん)している美少女アダルトアニメ雑誌やゲームは、小学生の少女をイメージしているものが多く、このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており、既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている。これらにより、幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らかで、表現の自由以前の問題である。社会倫理を持ち合わせていない企業利潤追求のみのために、幼い少女を危険に晒している商品を規制するため、罰則を伴った法律の制定を急ぐ必要がある。
 ついては、美少女アダルトアニメ雑誌及び、美少女アダルトアニメシミュレーションゲーム製造及び販売規制の罰則を伴った法律を制定されたい。

 この文章の要点は「このようなゲームに誘われた青少年の多くは知らず知らずのうちに心を破壊され、人間性を失っており」という部分でしょう。
これと似たような文章を、どこかで見たことがあるという方は多いのではないのでしょうか。
例えば、このような文章です。

  • 電磁波がスカラー波になって人体に有害な影響を与えている。
  • 世界はユダヤ人の秘密結社(フリーメーソン?)に支配されている。
  • 地球は目に見えない宇宙人に侵略されている。

 何となく似ていますよね。
何故似ているようにみえるのかといえば、どの文章も、
現実世界に何の根拠ももたない、被害妄想が表出したものだからです。

 円氏と下田氏についてはフェミニストとして有名であり、
また例によって背後にはカスパルやジュネベイル・ガイドといった、
キリスト教系団体の存在が指摘されています。
しかし、この文章が表しているのは、
規制推進派がイデオロギーにのみ基づいて動いているわけではなく、
本当に青少年が「有害情報」から被害を受けていると何の根拠もなく信じ込んでいる、
まさに被害妄想状態に陥っているということです。

 しかも、ご多分に漏れずゼロリスク症候群も患っており、
「既に幼い少女が連れ去られ殺害される事件が起きている」というだけで、
「幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会をつくり出していることは明らか」という
凄まじい結論に飛躍しています。
健常者であれば、「幼い少女たちを危険に晒(さら)す社会」というには
「奈良小1女児誘拐殺人事件」のような事件が数年に1件程度では全く不十分な上、
それが「有害情報」のせいであるというのであれば、
例えば「有害情報」普及前と普及後の事件件数の増加率のような、
何らかの根拠を示せなければならないということが分かるのですが、
ゼロリスク症候群を患うと、そういった冷静な思考はできなくなってしまうのです。

 被害妄想やゼロリスク症候群のような精神疾患に振り回されて
国民の表現の自由や情報摂取の自由が侵害される事態になることは、
断じて避けなければなりません。
ましてや焚書令第一号の実現など論外です。

 なお、児童ポルノ禁止法改正について民主党案が公表されましたが、
焚書令第一号となる内容に変わりはなく、到底受容できるものではありません。
「児童ポルノ」の定義見直しに踏み込んでいる点は評価しますが、
「児童」といいながら年齢を小学生に絞らず、
国民を欺いている点にも切り込んで欲しいところです。

(詳細はでたらめが横行する児童ポルノ問題を参照)

関連リンク
生理的に受け付けないのでエロゲーは規制すべきだ - P2Pとかその辺のお話@はてな

名も無き市民の会 BLOG  とんでもない請願があらわれた!

チラシの裏(3周目) 民主の議員がエロゲ規制の懇願出しやがりました

表現の数だけ人生が在る 民主党の案 出ました。

「「エロゲーで人間性失う」円より子議員の掲示板に批判」エンタメ‐コミック・アニメニュース:イザ!


2008年05月18日

ネット規制 独り歩きする「90.9%の賛成」

 国民の表現の自由や情報摂取の自由を侵害する「青少年ネット規制法案」のみならず、
実現すれば日本史上初の焚書令となる児童ポルノの単純所持禁止までが
まじめに議論されているという、
信じがたい状況にある昨今ですが、
その背景の1つに、とある世論調査結果があります。
2007年9月に内閣府が行った「有害情報に関する特別世論調査」(PDF)です。

 この中で、「4 インターネット上の有害情報の規制について」と
「6 児童ポルノの単純保持の規制について」の
「規制すべきである」と「どちらかといえば規制すべきである」の合計が、
ともに90.9%になっているのです。
ちなみに「7 実在しない子どもの性行為等を描いた漫画や絵の規制について」の
「対象とすべきである」と「どちらかといえば対象とすべきである」の合計は
86.5%となっています。

 この調査結果が規制論議で引用され、議論に影響を与えているようです。

有害サイト削除法案 賛否両論 : 連載 : 企画・連載 : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

規制、世論が後押し

 内閣府が昨年9月に実施した世論調査では、1700人余りの回答者の90・9%がネットの有害情報を規制すべきだと答えた。

 しかし、この世論調査には様々な問題があります。
中でも大きな問題は、
調査方法が面接方式であることと、
明らかに調査対象者に予断を与えるような資料を提示した上で回答させていることです。

 まず、性的な問題についての世論調査に面接方式が不向きであることは、
誰にでも分かる
ことでしょう。
面接方式の大きな欠点として、調査員に対して匿名性を確保できず、
「目の前の相手に悪い印象を持たれたくない」という当たり前の感情が働き、
回答にバイアスが掛かる問題があるからです。
その結果、回答を拒否されたり、本心とは別の回答をされたりして、
実際の世論と調査結果の間に乖離が生じます。

 ちなみに、この世論調査の対象者は3,000人で、
不在や病気などによる回答不能者を除いた回答可能者数は2,291人でした。
その内、524人は明示的に回答を拒否しているのです。
この人数は、回答可能者数全体の2割以上に当たります。

 しかも、この調査は「がん対策に関する世論調査」に回答するように求め、
実際に回答を得た後に、
「話は変わりますが、次に時事問題として「有害情報」についておうかがいします。」
といって回答を求めるという、
極めて姑息な回答率上昇手法を取っています。
これは性的な質問には回答したくない人から「回答拒否」という選択肢を奪い、
イエスかノーかを迫るもので、
わざと回答にバイアスを掛けようとしているのではないかと疑われても仕方のない行為です。

 また、上記の「話は変わりますが・・・」といった後に、
明らかに調査対象者に予断を与えるような資料を提示し、
「対象者によく読んでもらってから」質問するとしています。
それが「有害情報に関する特別世論調査」(PDF)の5ページにある「資料5」ですが、
21行ある文章中、表現の自由に触れている行はわずか2行しかないという、
極めて偏った資料になっているのです。
他はネット上の「有害情報」の例示や、「有害情報」による「被害」、
「有害情報」に対する政府の取り組みなどとなっています。

 まず、大前提として、調査対象者に資料を提示している時点で反則です。
理由は簡単で、調査対象者に資料を提示して国民世論と切り離してしまったら、
国民世論を調査するために、
調査対象者を無作為抽出した意味がなくなってしまうからです。

 しかも、資料を読んだ直後に回答させられるのですから、
時間をおいて冷静に考えたり、他の情報と比較することもできません。
一方的に偏った情報を流された直後に、
その情報と反対の考えを表明することは、特に面接方式では非常に困難です。

 つまり、この世論調査では、
分からないことは「分からない」、回答したくないことは「回答したくない」という、
当然に調査対象者に与えられるべき選択肢が、
目に見えにくい形で奪われているのです。
「回答したくない」という選択肢に至っては、
調査票に存在すらしていません。
「がん対策に関する世論調査」に回答してしまった調査対象者は、
否が応でも回答を強要されることになっています。

 「分からない」という回答を減らしたいのであれば、
時間を掛けて周知広報を行うべきです。
また、「回答したくない」という回答を減らしたいのであれば、
面接方式ではなく、郵送方式などを使い、匿名性を確保するべきです。
このような「似非世論調査」「世論操作」以外の何物でもなく、
特に慎重な議論を要する表現の自由や情報摂取の自由の規制に利用されるべきではありません。

 唯一利用できそうなのは「1 国の有害情報に対する取組の認知度」ぐらいで、
「内容を詳しく知っている」のはわずか3.5%
「内容をある程度知っている」を含めても27.3%しかいないということです。
面接方式である以上、調査員に対する「見栄」が働き、
「内容をある程度知っている」は実態より多いとみられることを考えれば、
政府が「有害情報」をネット規制の突破口にしようとしていることなど、
ほとんどの人は知らないということを、この数字は示しています。

 つまり、この世論調査結果からいえることは、
「有害情報」問題などほとんどの人は無関心で、
一部のノイジーマイノリティ(声の大きな少数派)が騒ぎ立てているに過ぎないということです。

今の段階で規制を論議することなど論外であり、
「有害情報」が本当に有害で、しかも規制を要する程のものだと主張するのであれば、
まずはどのような害があるのかを質、量の両面でしっかりと調査し、
その結果を国民に周知して理解を得るべきです。

関連リンク
有害情報に関する特別世論調査 公表資料(PDF)

有害情報に関する特別世論調査 集計表

がん対策に関する世論調査 調査の概要

マスコミの振りまく仮想世論に振り回されるセンセイ方が、仮想現実に振り回される子どもたちを嗤えるのか - 雑種路線でいこう

表現の数だけ人生が在る これじゃただの猥褻法案2


2008年05月10日

「焚書令第一号」の弊害は日本版GFWだけではない

 前回の記事(焚書令第一号の次は日本版GFWか)で、
与党PTが焚書令第一号実現を見越し、日本版グレートファイアウォール(GFW、金盾)を
法制化しようとしていることについて触れましたが、
焚書令第一号が生み出すものは、日本版GFWに止まるのでしょうか。

 奈良県では平成16年11月17日に発生した「奈良小1女児誘拐殺人事件」を受けて、
平成17年7月1日に児童ポルノの単純所持を禁止する条例が制定されています。
その名も「子どもを犯罪の被害から守る条例」。
児童ポルノの単純所持どころか、
保護者がいないところで児童に声を掛けることまで禁止という、
特異事例が政治利用された典型例のような条例ですが、
この条例は児童ポルノの単純所持禁止規定では1件しか適用されていません。
個人の単純所持を合法的に見つけることは簡単ではないからです。
法律にしても同じ話で、実際に摘発することは困難でしょう。
そうなると、以下のような展開が予想されます。

  1. 規制推進派は「奈良小1女児誘拐殺人事件」のような事件の発生を待つ。
  2. 実際に発生。
    犯人は児童ポルノを所持していたが、
    警察は捜査権限が限られているので見つけられなかったと釈明。
  3. 規制推進派はこの釈明を利用し、警察権限の拡大や更なる規制強化を図る。

 例えば、このような権限拡大、規制強化が考えられます。

  • 通信傍受法の適用対象罪拡大や適用手続きの簡素化
  • 共謀罪の制定
  • ISPから警察に通信記録を提出させる際の手続き簡素化
  • 警察の要請に応じるISPに対する免責
  • 警察の要請に応じないISPに対する法的圧力強化
  • 児童ポルノの単純所持のみならず、「視聴」することも禁止
  • アニメ、ゲーム、漫画などの「児童ポルノ」の製作、販売禁止の「努力義務」
  • ISPに対して、アニメ、ゲーム、漫画などの「児童ポルノ」の削除、ブロッキングの「努力義務」

 もちろん、こんなことをやっても大した効果はないでしょう。
しかし、だからこそ、焚書令第一号は、
際限のない警察権限の拡大や規制強化を図る口実として利用できるのです。
日本版GFWは、その第一弾に過ぎません。

 そもそも、10年前まで販売すら禁止されておらず、
ほとんど問題とも認識されていなかった児童ポルノが、
単純所持だけで逮捕され、氏名等を公表されて社会的に抹殺されるということが、
あまりにも異常なのです。
何故これほど議論が拙速になっているのかといえば、
子供の政治的利用価値の高さに味を占めた規制推進派が、
「児童保護」を錦の御旗にして一気に規制強化を推し進めてしまおうとしているからです。

 どうしてもこの動きを完全に跳ね返すことはできないというのであれば、
単純所持の禁止を1年間の時限立法として制定し、
毎年見直しの機会を設けるというのも一案ではないのでしょうか。
これなら少なくとも「恒久的な焚書令の発令」という前例だけでも避けられます。
一時的であれ、恒久的であれ、焚書令第一号が発令されたという前例が残ることは避けられず、
思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などの人権保障が
大きな打撃を受けることには変わりありません。
しかし、どうしてもやむを得ないというのであれば、
「焚書令は毎年見直されなければならない」という前例が残る方が、まだましです。
最悪の場合の選択肢として、検討の余地はあります。

関連リンク
表現の数だけ人生が在る 性的好奇心を満たす目的で所持じゃなくても逮捕はできる

日出る処の天子 人権擁護法案よりも通ってしまいかねない児童ポルノ処罰改正案!

崎山伸夫のBlog - 宗教右翼に対する懸念は現実のもの

名も無き市民の会 BLOG  児童ポルノ法改悪反対運動に関するQ&A

次号SDの三酔人電脳問答でもネット規制を取り上げた - 雑種路線でいこう


2008年05月04日

焚書令第一号の次は日本版GFWか

 自民、公明両党の児童ポルノに関するプロジェクトチーム(PT、森山真弓座長)は
児童ポルノの単純所持について、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とすることを決めました。
当ブログで再三にわたって警鐘を鳴らしてきた焚書令第一号が、
ついに与党のPTで決定されてしまったわけですが、
まだ与党内でも政務調査会審査や総務会審査が残っており、
更に参議院で過半数を占めている野党との協議、国会審議など、
山はいくらでもありますので、
児童ポルノの単純所持禁止は焚書令そのものであるということを訴え続ければ、
これから廃案にできる可能性は十分にあります。

 また、現在与党内で審議が続いている焚書令第一号の実現を見越した与党PTは、
児童ポルノが掲載されている外国サイトへの接続の遮断を、
ISPの努力義務規定として追加すると言い出しました。
これは努力義務規定を作って一定の効果を狙うとともに将来の義務規定化への布石とする、
最近の人権弾圧手法にならったやり方です。
このような規定は、当然焚書令第一号の実現なしには作れないわけで、
焚書令第一号の危険性が早くも顕在化してきたといえます。
外国サイトへの接続を遮断するというのは、
中国政府が「精度向上」に躍起になっている、
グレートファイアウォール(GFW、金盾)そのもののシステムなのです。

 最近はこれだけにとどまらず、続発している硫化水素自殺問題まで政治利用されています。
世界保健機関(WHO)が作成した「自殺報道に関するガイドライン」を一切無視して
群発自殺を煽り、視聴率稼ぎのタネにしているマスコミには何のお咎めもなしなのに、
インターネット上の硫化水素関連情報が有害情報として、警察庁に指定されました。

 こうした一連の流れによって、
規制推進派は「児童保護」「犯罪予防」「努力義務」などと美辞麗句を並べてはいるものの、
実態は「ネット潰し」以外の何物でもないということが、確実に露見してきています。
このような流れに乗る政治家は選挙で落選させ、
警察庁の幹部を左遷してくれる政治家を当選させなければなりません。

関連リンク
社会全体に警鐘を鳴らします。 - 函館の民間団体ぶどうの木 〜うつ病の正しい普及啓発と自殺予防対策を実施〜            - 楽天ブログ(Blog)

Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜: マスメディアという凶器

ぺぺねた。 「硫化水素自殺の方法はテレビで見て知った」

「【主張】硫化水素自殺 二次被害より一層深刻だ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

硫化水素自殺 巻き添えの被害も深刻だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

硫化水素自殺―ネット上でも防止策を(朝日新聞社説)

社説:硫化水素自殺 死を誘発するサイトの罪深さ - 毎日jp(毎日新聞)


2008年04月27日

ネット企業は「真の青少年保護」に尽力せよ

 最近のネット規制論議の高まりを受けて、
モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)、
インターネット・コンテンツ審査監視機構(I-ROI)といった、
「健全なサイト」を認定する団体が相次いで設立されました。
こうした動きは、ネット規制推進論が突出し過ぎている現状において、
ひとまずこれを押さえ込む効果があると考えられますので、歓迎します。
政府による規制論が高まった場合、
民間による規制論で対抗するのは常套手段だからです。

 ただ、これはあくまで一時的な対抗手段に過ぎません。
政府規制論に民間規制論で対抗しても、
民間規制が弱すぎれば政府規制論が復活し、
強すぎれば政府規制と変わらなくなるというジレンマに追い込まれるからです。

 結局、中長期的にネット規制論の台頭を防ぎ、
表現の自由や情報摂取の自由を守っていくためには、
警察庁が流している「ネット有害論」そのものに反論していくことが必要となります。

警察庁最終報告書 これを子供に見せられるのかでも触れましたが、
警察庁は実際には極めて小さな問題である「インターネット事件」を、
可能な限り大きく見せて、ネット規制論を煽っているからです。

 警察庁の「ネット有害論」は特異な事件を大きく取り上げたり、
児童買春や児童ポルノ禁止法違反と詐欺や強姦をまとめて「犯罪件数」として公表して
実害が生じない犯罪と実害が生じる犯罪の区別を付かなくさせるなど、
使い古された手ばかりです。
問題は、それが「警察庁発表」になると、大きな影響力を持ってしまうということです。
これに対抗するためには、同じぐらい大きな影響力を持つ団体に、
反論してもらわなくてはなりません。

 こうして警察庁の「ネット有害論」を退け、
青少年をネット規制論から守ることこそが、真に青少年の利益を保護することになります。

EMAやI-ROIなどの民間規制団体は間違っても、
警察庁の「ネット有害論」に迎合し、
警察庁とともに青少年の利益を踏みにじるようなことのないよう、
今後の動きを注視していく必要があります。

 なお、前回の児童ポルノを口実にした「焚書令」を認めるなでも書きましたが、
高市氏らネット規制推進派の最大の目的は児童ポルノ単純所持禁止という、
焚書令第一号の実現だと思われます。
全体的に、ネット規制関連の議論が青少年ネット規制法案に向きすぎており、
気が付いたら焚書令第一号が実現してしまっていたという事態にならないよう、
注意が必要です。

関連リンク
think-filtering.comの声明について - 池田信夫 blog


2008年04月20日

児童ポルノを口実にした「焚書令」を認めるな

 与党の「児童ポルノ禁止法見直しプロジェクトチーム(PT)」(座長・自民党の森山真弓元法相)は18日、
児童ポルノの単純所持を罰則付きで非合法化することで一致しました。
「準児童ポルノ」の禁止や青少年ネット規制法案などといった、
トンデモ法案をちらつかせて落としどころを作る戦略は、功を奏しつつあるようです。

 児童ポルノ規制推進派の主張の問題点については
でたらめが横行する児童ポルノ問題でも書きましたが、
今回は児童ポルノの単純所持禁止が一種の焚書令であることに触れていきます。

 日本の歴史上、大規模な焚書事件が起きたのは、
敗戦後の占領軍(GHQ)によるものぐらいであり、
日本人の手による大量焚書事件というものは、これまで1度もありませんでした。
江戸時代のキリシタン禁制においても、
戦前の治安維持法、出版法、軍機保護法においても、
戦中の敵性語追放運動においても、
個人が単純所持する書物を焼き捨てよなどという命令は出なかったのです。

 つまり、もし与党の児童ポルノ禁止法改正案が成立した場合、
歴史上初めて、日本人の手によって大量焚書を強要されることになるのです。
法案が成立しても、非合法化される本はひっそりと捨てられるだけでしょうし、
電子データであれば物理的にモノを処分するわけでもないので、
中国の焚書坑儒やナチスドイツの焚書儀式のような大騒ぎにはならないでしょう。
そもそもどれだけの人が、このような悪法に従うのかも不明です。

 しかし、歴史上初めて焚書令が正式に発令されるという事態になれば、
思想の自由、表現の自由、情報摂取の自由、通信の自由などの人権が、
潜在的に強く脅かされることになるのは明らかです。
「焚書令を発令しても良い」という前例を政府に与えるのは、あまりにも危険です。
児童ポルノ規制推進派が単純所持禁止に拘る理由も、
とにかく焚書令第一号さえ通してしまえば、
後の規制強化はトントン拍子に進むという目算があるからではないのでしょうか。

「児童ポルノ」というととかく反対の声が上がりにくくなるものですが、
こういう狙い撃ち規制を国民が見過ごしていると、
結局は全ての国民が各個撃破されることにつながります。
こういうときこそ、ナチス政権と闘ったマルチン・ニーメラ牧師の有名な詩を思い出すべきです。

共産党が弾圧された。
私は共産党員ではないので黙っていた。
社会党が弾圧された。
私は社会党員ではないので黙っていた。
組合や学校が閉鎖された。
私は不安だったが、関係ないので黙っていた。
教会が弾圧された。
私は牧師なので立ち上がった。
そのときはもう遅かった。

はじめに彼らはユダヤ人を逮捕した。
私はユダヤ人でないから黙っていた。
次に彼らはコミュニストを逮捕した。
私はコミュニストでないので、黙っていた。
それから彼らは労働組合員を逮捕したが、
私は労働組合員ではないので沈黙していた。
そして彼らは私を捕らえたが、
もう私のために声を上げてくれる人は一人も残っていなかった。


2008年04月07日

青少年ネット防止法案 人権擁護法案の右翼版だ

 以前にメディア規制3法案と呼ばれた人権擁護法案、個人情報保護法案(成立済)、
青少年有害社会環境対策基本法案(以下、青少年対策法案)のうちの1つである青少年対策法案が、
「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」(以下、青少年ネット防止法案)に名を変えて動き出しています。
この動きを主導しているのは自民党青少年特別委員会の高市早苗委員長と、
民主党「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム(PT)」の高井美穂事務局長です。

ネット規制にばく進する自民党 「有害情報」を流せば懲役刑も|経済ジャーナリスト 町田徹の“眼”|ダイヤモンド・オンライン

 自民党の内閣部会(松村龍二部会長)と青少年特別委員会(高市早苗委員長)は先月後半、合同部会を開いて、18歳未満の青少年がインターネットでセックスや暴力などの有害情報にアクセスするのを防ぐ「有害情報の規制」法案をとりまとめた。

 そのポイントは、(1)内閣府に設ける青少年健全育成推進委員会(筆者注:以下、青少年委員会)に「有害情報」を判定する権限を与え、(2)有害情報の排除のため、同委員会や総務大臣、経済産業大臣に、インターネットサービスプロバイダーやサイト管理者に対する立ち入り検査や、削除命令を出す権限を付与、(3)命令違反者には、1年以下の懲役刑や100万円以下の罰金といった刑事罰を課す―ことなどである。

 3つのポイントを読んでピンと来る方もいると思いますが、
新法制定の目的が不明瞭、「有害情報」の定義が曖昧、
新設される青少年委員会の権限が強大、過大な罰則規定など、
この法案は人権擁護法案と酷似しています。

 人権擁護法案と違うのは、青少年ネット防止法案の内容が非公開であること、
民主党と隠密かつ緊密に連携を取っていること、
青少年を狙い撃ちにしている(ように見せかけている)ことなどで、
人権擁護法案が潰された「教訓」を踏まえた、狡猾な手法を取っているといえます。
人権擁護法案は条文まで全て公表されているために、
ネット上で様々な問題点を指摘され、
それをテレビや新聞などのマスコミに大々的に報道されたことが大きな障害となりました。
今では法務省の人権擁護局長が自民党人権問題調査会に説明しに行くたびに、
袋叩きに遭っている状態です。

 そうした状況を見た高市委員長は、青少年ネット防止法案の内容はもちろん、
民主党と連携を取りながら動いていることについても、
可能な限り表沙汰にならないよう、慎重に動いてきたようです。
また、もし表沙汰になっても大騒ぎにならないよう、
「有害情報」「青少年」「努力義務」「民間の調整機関」など、
可能な限り「自分はまだ大丈夫」と思わせるような文言が散りばめられています。
また高市委員長は新聞特殊指定問題について解除反対を唱え、
新聞社を味方に付けるなど、マスコミ対策にも余念がありません。
その甲斐あってか、最近まで青少年ネット防止法案は存在すらほとんど知られず、
ある程度表に出てきた現段階においても、
大きく取り上げられてはいないようです。

 しかし、現在集められる情報を読んでみる限り、
青少年ネット防止法案は人権擁護法案の右翼版といえるぐらい内容が酷似しています。
違うのは名目ぐらいで、人権擁護法案が左翼勢力の常套句である
「弱者救済」「差別是正」などを掲げているのに対し、
青少年ネット防止法案は右翼勢力の常套句である「青少年保護」を掲げています。
また、青少年ネット防止法案を推進している高市委員長は、
人権擁護法案を推進している「キングメーカー」古賀氏以上に
政治的な根回しに長けているようで、
この点が青少年ネット防止法案を阻止する上で、最も大きな問題となるように思います。

 今後の動きとして、4月8日午後4時に自民党政調、内閣部会・青少年特別委員会合同会議で
「「青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による
 青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案」(案)についてフリートーキング」が行われますので、
この中でどのような発言がなされるのか、注視していかなくてはなりません。

関連リンク
青少年の健全な育成のためのインターネットの利用による青少年有害情報の閲覧の防止等に関する法律案骨子(案)(PDF)

ネット規制を競う自民・民主・総務省 - 池田信夫 blog

18歳未満の人たちがアクセスしている「それ」は、もう"the Internet"ではない - 半可思惟

18歳未満の人達がアクセスする「それ」は、もう “the Internet” ではない

osakana.factory - 日本の子供たちからインターネットが消える日

去りにし日々、今ひとたびの幻: [メモ][ネット規制]「インターネット・ホットラインセンター」って何?

新悪法『ネット規制法案』 - 哲学のバトル日記

DESIRE〜病んだ欲望の行方〜 朝イチのお仕事?『人権問題等調査会』

日本のインターネット産業に大きな節目?--自民と民主が重要法案を準備:ニュース - CNET Japan


2008年03月23日

でたらめが横行する児童ポルノ問題

 最近、シーファー駐日米大使が児童ポルノの単純所持の非合法化を主張したり、
財団法人日本ユニセフ協会がアニメ、ゲーム、漫画などの
「準児童ポルノ」の非合法化を主張したりするなど、
児童ポルノ問題がにわかに注目を集めています。
ただ、規制反対論を唱えるだけで「小児性愛者」のレッテルを貼られて
社会的に抹殺されかねない
だけに、
表立って規制反対の声を上げている人はほとんどいないようです。
しかし、規制推進派の主張はあまりにもでたらめです。

 まず、「児童ポルノ」の対象者は「児童」とは限りません。
一般に「児童」という場合、小学生を指しますが、
児童ポルノ禁止法が指す「児童」は「18歳未満の者」であり、
乳幼児はもちろん、16歳や17歳の高校生までが「児童」として扱われているのです。
かつて日本では数え年で15歳、つまり満13〜14歳で元服が行われていたことを考えても、
18歳未満の者を「児童」とし、そのポルノの所持者を
「小児性愛者」として罪人、病人扱いするのは、あまりにも不合理な話です。
しかし、規制推進派はそうした点には触れずに、
小学生以下の子供ばかりを取り上げ、
「児童ポルノ」に対する不快感や嫌悪感を醸成するのに利用しています。

 また、ポルノに登場することは不幸であると決め付ける論調も多く見受けられますが、
これがあまりにも一面的な主張であることは論を待たないでしょう。
もし誰もが不幸になるのであれば、そもそもポルノに登場などするはずがありません。
こういう主張をする人は、誰もが自分と同じように何不自由ない生活をしていて、
何の刺激もない、無難なだけの日々を望んでいると
勘違いしているのではないのでしょうか。

 人身売買問題と絡める人もいますが、
これはでたらめの域を超えて、詭弁に近い主張です。
何故なら、人身売買や人攫いの被害者は児童ポルノでの利用に限られず、
成人ポルノ、正規軍、非正規軍、工場、農場での利用の他、
物乞いにまで利用されている現実があるからです。
児童ポルノ問題などまるで関係ない話で、
むしろこうした主張は人身売買問題を矮小化してしまう危険さえあります。

 他にも規制推進派の主張には問題が山ほどあり、
このような主張に惑わされて児童ポルノ禁止法が制定されたことを残念に思います。
せめて単純所持の非合法化や「準児童ポルノ」非合法化が現実のものとならないよう、
政治の動きを注視していかなくてはなりません。

 それにしても、これほどまでに問題だらけの主張を、
米国の大使や日本ユニセフ協会まで動員して押し通そうとしているのは何故なのでしょうか。
大きな理由としては、1.キリスト教的価値観の押し付け
2.フェミニスト(女権拡張主義者)のエゴイズムの2つが考えられると思いますが、
この辺についても機会があれば記事を書こうと思います。

関連リンク
MIAU : 「準児童ポルノ」に関する公開質問

漫画やアニメ、ゲームの表現は規制されるのか? - OhmyNews:オーマイニュース


2008年03月02日

フィルタリング努力義務化 合憲性の議論を

  保護者や携帯電話事業者に対し、フィルタリングソフトの積極的な利用を
努力義務として課すことを盛り込んだ出会い系サイト規制法改正案が、閣議決定されました。

「出会い系運営業者届け出制に 法改正を閣議決定」事件です‐事件ニュース:イザ!

 出会い系サイトをきっかけに18歳未満の青少年が性犯罪の被害にあう事件が多発していることから、政府は29日、サイトの運営業者に対し、都道府県公安委員会への届け出を罰則付きで義務づけることなどを柱とする出会い系サイト規制法改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

(中略)

 保護者や携帯電話事業者に対し、有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリングソフト」の積極的な利用を努力義務として課す−などの点が改正される。

 別に多発してないのですけれどね。
先日警察庁が発表した「出会い系サイトをきっかけとする事件」でも、
昨年の事件数は前年比8.5%減の1753件で、
しかもそのほとんどは児童買春や児童ポルノ禁止法違反などの、
被害者なき犯罪です。
実際に事件といえるような犯罪は詐欺98件、強姦43件ぐらいで、
殺人や傷害に至っては件数が記事になっていません。
つまり、全くなかったか極めて少なかったということで、記事にすると、
かえってインターネットの安全性を証明してしまうような数字だったということです。

 それに、出会い系サイトによる事件を理由として、
強制フィルタリングの対象となりかねない状況に陥っているモバゲータウンには、
2008年1月末時点で総会員数が903万人となっており、
20歳未満の会員数に限っても377万人以上となっています。
出会い系サイト関連の総事件数1753件、内被害者のいる事件数141件という数字が、
いかに小さな数字かが分かると思います。

 フィルタリングソフトの強制使用については、
表現の自由(発信の自由)や情報摂取の自由(受信の自由)を侵害するものであると、
以前の記事(フィルタリング問題 情報摂取の自由を守れ)で書きました。
表現の自由は周知のとおりですが、情報摂取の自由についても
最高裁判例で「思想及び良心の自由の不可侵を定めた憲法一九条の規定や、
表現の自由を保障した憲法二一条の規定の趣旨、目的から、
いわばその派生原理として当然に導かれるところであり、
また、すべて国民は個人として尊重される旨を定めた憲法一三条の規定の趣旨に沿う」

として認められています。

 つまり、フィルタリングソフトの強制使用は立派な人権侵害であり、
それを「努力義務」として規定する法令は憲法違反になると考えられます。
これほど誰の利益にもならない人権侵害も少ないと思うのですが、
現に立法化が進行している状況にある以上、
その動きを注視していかなくてはなりません。

 フィルタリングソフトの強制使用が法令に規定されたとしても、
実際に被害を受けるのは子供だけで、大人には関係ないと考える人が少なくないことが、
このような法案が閣議決定に至った大きな要因だと思います。
しかし、法案によって直接的に被害を受けるのは子供だけでも、
間接的な被害は大人にも及びます。
それは、この法案がインターネットにおける、
表現の自由や情報摂取の自由を侵害しても良いという「前例」になるということを考えれば分かることです。
政治や行政の世界では、「前例」というものは極めて大きな力を持ちます。

 今回の法案が何故「有害情報」「子供」「努力義務」といった、
大人が反対しにくいキーワードを散りばめたものになっているのかを
国民が真剣に考えないのであれば、
日本の自由と民主主義は、いよいよ危うくなってきます。

関連リンク
表現の自由 - Wikipedia

平成18年度新試短答公法系第5問解説

『モバゲータウン』『モバオク』 1月末会員データのご案内


2008年01月28日

フィルタリング問題 子供の利益を考えよう

 昨年12月に増田寛也総務大臣が携帯電話事業者に対し、
子供が使用する携帯電話に原則としてフィルタリングを設定するよう要請した問題について、
慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究(DMC)機構は1月21日、
「インターネット上の安全・安心に関する緊急フォーラム−未成年者向け携帯フィルタリングサービス原則化の是非を問う−」を開催しました。

 フィルタリング関連のフォーラムといえば、保護者の安心や治安の向上といったような、
子供の利益とは関係ない話ばかり議論されることが多いものですが、
このフォーラムは少々違いました。

【レポート】フィルタリングによるSNSやブログ排除を未成年は望むか - 慶大DMCフォーラム (4) 行政側に3つの誤り、今後も関係者の議論と協力が必要 | 携帯 | マイコミジャーナル

 第三者機関については、(モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)事務局長の)岸原氏が再度発言。「第三者機関の3月の設立を目指し、フィルタリングサービスの運用基準を作りたい。例えば、コミュニケーションサイトが関わって起きた事件は全部そのサイトの責任なのか。もちろん、犯罪の防止措置を講じるのはサイト側の責任だが、犯罪はリアルの世界と同じように、犯罪者の責任ではないのか。問題の所在とカバーする範囲を明確にしないと、一番困るのは未成年者」と話した。
(括弧部分は筆者追記)

 この手のフォーラムで子供の利益が議論されるというのは、極めて画期的なことです。
何とも情けない話ですが、これでも大きな前進だと思います。
このフォーラムでは他にも、何故最近になって、
フィルタリングの推進が強行に推し進められるようになったのかについても議論が及びました。

「あまりに急」「検閲では」――携帯フィルタリングに事業者から不満続出 (1/2) - ITmedia News

 フィルタリング導入は、携帯サイトに絡む問題に頭を悩ませている学校関係者や保護者にとって、“最後の頼みの綱”という側面もある。

 「親は今、『どうしていいか分からない』という状況。教師は忙しくてそれどころではなく『よく分からないものにはフタをしたい』という心境だろう」――子どもたちのIT教育を手がけるNPO法人CANVASの石戸奈々子さんは、親や教師と触れ合ってきた経験からこう話す。

 フィルタリング問題の背景には、
詭弁を弄して保護者などの不安を煽るマスコミや政治家の存在がありますが、
そのことについて触れていると読めなくもない発言です。
解決策は簡単で、詭弁を弄して不安を煽る言論に対して、
データを示して反論していけば良い
のですが、
そのことについて触れられていないのは残念でした。

 尚、増田総務相の発言については、裏に課長級の役人がいたようで、
混乱を招いた責任を問われて更迭された模様です。

未成年者の携帯“フィルタリング原則化”、課題は山積み、効果も疑問

 今回のフォーラムは、慶應義塾大学DMC機構教授の中村伊知哉氏がモデレータを務めたが、中村氏は冒頭、パネリストを紹介する中で、当初出席が予定されていた総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課長の佐藤裁也氏が異動したことを説明。「ついこの間、突然のことだが、佐藤課長が更迭になりました。この問題と全く関係ないとは思えない。役所のほうも、そのようにこの問題を重要視していることの表われだろう」

 また、1月26日に内閣府から発表された、
「インターネット上の安全確保に関する世論調査」によれば、
フィルタリングが「必要」「どちらかといえば必要」と答えた人が計76.3%に上る一方、
フィルタリングを「全く知らない」と答えた人も62.2%に上っています。
質問文などの詳細がまだ公表されていないため、
詳しいことは分かりませんが、
フィルタリングのことはよく分からないけど
自分が不利益を被るわけではないし(調査対象は20歳以上)、
とりあえず設定しておけばいいんじゃないのかという考えが多かったのではないでしょうか。
尚、調査方式は面接式、回答数は3006人、回答率は60.1%となっており、
実際にフィルタリングが「必要」「どちらかといえば必要」と答えた人は、
調査対象者のうちの45.9%となっています。
それにしても、このような明白に回答者の混乱が見られる調査結果について、
何の言及もしないマスコミについては、毎度のことながらあきれるばかりです。

 先週はフィルタリング問題について色々な動きがありましたので、
概要をまとめるだけでもかなりの長文になりましたが、
このような状況を見ると、フィルタリングの強要が子供の利益を損なわせることが、
次第に明らかになってきているようです。
まだまだインターネットに対する不安を煽り、
表現の自由や情報摂取の自由を侵害するための足掛かりにしようという動きが弱まりませんが、
真実を広めていくことによって、保護者や教師が不安に駆られ、
子供の利益が損なわれることを防いでいくことができます。


2007年12月25日

モバゲー苦境 管理教育の亡霊が子供を襲う

 最近、総務省が推進している携帯フィルタリングが、
いよいよ大きな問題となってきています。

J-CASTニュース : フィルタリングで「モバゲー」規制 株価急落でDeNA思わぬ「苦境」

   携帯電話のゲーム・SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エー(DeNA)の株価下落が続いている。携帯電話事業者がそろって18歳未満の利用者に、「有害サイト」の閲覧をできなくする「フィルタリング」を設定すると発表したことが影響した。10代に圧倒的な人気を誇っている「モバゲー」だが、強まるフィルタリングの動きのなかで、思わぬ「苦境」に立たされたかたちだ。

 思わぬ苦境などと書いていますが、
子供にフィルタリングを強要して需要を押さえ込めば、
子供が困るのはもちろんのこと、
子供向けサービスを提供している事業者も困るのは、当然のことです。

 それでは何故、今になって影響が表面化してきたのでしょうか。
それは、フィルタリングの普及率が、最近になって激増したからです。
今年7月に内閣府が発表した調査では、フィルタリングの利用率は
小学生が1.2%、中学生は0.8%でした。
しかし、電気通信事業者協会が9月末に行った調査では、
小中高校生の3分の1にも上りました。

 調査主体、調査方法、調査対象の全てが違うので、
単純な比較は難しいところですが、
「親権者が明示的に拒否しない限り、フィルタリング加入」という方針が、
かなりの影響を与えているものと考えられます。
特にこの時期はクリスマスプレゼントなどがあり、
子供の携帯電話購入が多くなる時期なので、更に影響は広がるでしょう。

 何故総務省は、子供から娯楽を奪い、
事業者から収益機会を奪うフィルタリングを、
ここまでして推進するのでしょうか。
犯罪から守るためなどと言ってはいますが、
以前に書いたように、実際に子供が被害者になる犯罪は極少数です。
しかも、フィルタリングなどという極めて弊害の大きい対策を取らずとも、
やれることはいくらでもあるでしょう。

フィルタリング問題 情報摂取の自由を守れ

 つまり、総務省がフィルタリングを推進する理由は、他にあるのです。
それは1つとは限らないので、恐らくいくつかの理由があるのだと思いますが、
最大の理由は、かつて大きな社会問題となった、管理教育ではないでしょうか。
管理教育というのは、子供を利益の主体とは考えず、
一部の大人の利益の客体として捉え、
提示された価値観を受け入れることや、指示に盲従することを子供に求める教育政策です。
具体的には、社会の流行を追うことや社会に関心を持つことの禁止、
外出の制限、
異常に厳しい規則を実力で強要することなどが行われていました。
子供を利益の主体とは考えないのですから、
子供の不利益などお構いなしというわけです。

 今総務省が推進しているフィルタリングは、
まさにこのような特徴を備えています。
フィルタリングによって情報摂取の自由や通信の自由が侵害されれば、
様々な価値観や人とのつながりを持つことができなくなります。
そうなれば、提示された価値観や、
指示の妥当性を吟味する能力が低下していくことは明らかです。

 かつて実力をもって行われていたことが、
今再び「通信契約への政治介入」によって行われようとしているのです。
総務省がそこまで謀略じみたことを考えているのか、
昔受けた管理教育によって、無意識に同じことを
繰り返してしまっているだけなのかは分かりませんが、
どちらにせよ、子供にとって大きな問題であることに変わりはありません。

 子供の携帯電話を購入する際には、フィルタリング加入欄にバツが入っているか、確認しましょう。
そして、もし強制的にフィルタリング加入されそうになったら、必ずその場で抗議しましょう。

フィルタリングというものがいかに有害無益か、
子供と保護者がともに理解していくことこそが、
管理教育の亡霊を祓うことにつながります。

関連リンク
「携帯サイト業界の憂鬱 人権保護へ“規制”じわり」IT‐インターネットニュース:イザ!

管理教育 - Wikipedia


2007年12月09日

コンテンツ規制 「舶来信仰」から脱却を

 総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長・堀部政男一橋大名誉教授)が6日、
最終報告書をとりまとめ、公表しました。
通信・放送関連の9つの法律を見直して「情報通信法(仮称)」として一本化することや、
通信と放送を別々に規制する現行法体系を再編し、
伝送設備、伝送サービス、コンテンツなど事業別の法体系とすること、
地上波以外の放送(CSなど)については表現規制を変更し、
ネットについては表現規制を強化することなどを提言しています。

通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 報告書のポイント(PDF)

通信・放送の総合的な法体系に関する研究会 報告書(PDF)

 CSなどについて規制を変更するというのは、
1つは従来、地上波同様に政治的中立などを義務付けた放送法が適用されていたことについて、
これを除外しようということです。
広告について、広告であることが明確に分かるようにしなければならないということを除き、
ネットと同じ程度の規制となります。

 報告書では、放送法の規制が継続される放送を「特別メディアサービス」、
規制が除外される放送を「一般メディアサービス」、
ネットなどを「オープンメディアサービス」としていますが、
通信と放送の垣根がなくなることから、
アクセスの多いサイトが「特別」や「一般」に分類される可能性もあります。

 「特別」と「一般」の線引きについては、
「映像/音声/データといったコンテンツの種別、画面の精細度といった当該サービスの品質、
端末によるアクセスの容易性、視聴者数、有料・無料の区別など」によって
「特別な社会的影響力」があるかどうかを判断基準にするそうですが、
少なくとももう1つ、「電波を独占的に使用しているか」という基準は加えられるべきでしょう。
一種の国有資源である電波を、政府から免許を受けて独占的に使っているのですから、
そうでない発信者とは明確に区別されるべきだと思います。

 大きな問題となるのはここからで、ネットの表現規制が強化されること、
それに伴ってCSなどについても同様の規制強化が行われることです。
政府による直接介入的な規制は控えるようですが、
表現規制に協力しないISPの法的安全性を脅かすなどといった、
間接的な方法で規制を強化することとしています。

 報告書は「オープン」について規制するべき情報について、
「違法な情報」と「有害な情報」の2つに分けて書いています。
これは上記の報告書(PDF)の21〜23ページに当たる部分なのですが、
「コンテンツに関する法体系の在り方」の「基本的な考え方」や、
「メディアサービス」について書いている16〜21ページと読み比べると、
面白いことに気付きます。

 16〜21ページは日本の現状や問題点、問題の改善案などが書かれているのに対し、
21〜23ページは「〜規律することには憲法上の大きな問題は発生しない」
「米国においては〜、イギリスやフランスでは〜、ドイツでも〜、韓国では〜」
「日本国内では現在、〜諸外国に比して十分とは言い難い」
と、とにかく逃げ腰なのです。
このことは、「オープン」を規制することについて、
総務省とその研究会が、後ろめたさを強く感じていることの証左ではないでしょうか。

 上記の引用部分について、裏を返せば、
「大きくはないけど、憲法上の問題が発生する」
「諸外国と比較するぐらいしか、規制強化の根拠がない」

といえるわけです。

 こうした論調を見るたびに思うのですが、
いい加減、コンテンツ規制の「舶来信仰」はやめるべきではないでしょうか。
上記引用部分の国名を見て気付いた方もいらっしゃると思いますが、
実はコンテンツ規制の「お手本」とされている国は、全てキリスト教国家なのです。
韓国は少し微妙かもしれませんが、韓国でコンテンツ規制を推進しているのは、
勝共連合や統一教会などのキリスト教系の勢力です。

 何故、西欧文明とは違う、
日本文明という独自の文明を持つ日本国民が、
キリスト教国家のコンテンツ規制に続く必要があるのでしょうか。

 外国のコンテンツ規制がどうであろうと、
日本は日本国民に合った規制制度を構築すれば良いのです。
キリスト教国家が規制強化したから強化しよう、緩和したから緩和しようというような、
思考停止としか言いようのない議論から、いい加減に脱却するべきです。
もう、占領下ではないのですから。

関連リンク
外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 | 官憲横暴?

情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊) ネット規制に反対するブロガーの声が届いた?!〜が、通信・放送融合法案の致命的欠陥は修正されず…

無名の一知財政策ウォッチャーの独言: 第35回:放送通信融合法制という脅威

あまりにも危険なネット規制法(情報通信法)が再浮上 表現の自由は一体どうなる!?|クリエーター支援&思想・表現・オタク趣味の自由を守護するページ

「知」的ユウレイ屋敷: [時事]放送と通信の融合に関する総務省の方針への違和感


2007年01月01日

発信者情報 開示は裁判所決定を経よ

livedoor ニュース - [発信者情報]同意なしで開示へ ネット被害で業界が新指針

 インターネット上のプライバシー侵害や名誉棄損について総務省と業界団体は、情報を書き込んだ発信者の同意がなくても被害者に発信者の氏名や住所などを開示する方針を固めた。

(中略)

原案によると、他人の氏名や住所、電話番号など個人を特定する情報を掲示板などに勝手に書き込む行為を幅広く「プライバシー侵害」と認定。個人を名指しして病歴や前科を公開することも含まれる。

(中略)

 被害者は裁判で発信者情報の開示を求めることが多かったが、悪質な書き込みをした発信者を早急に特定し、損害賠償請求できる可能性も高くなるとみられる。

 業界と総務省は一般からの意見も募集したうえで、早ければ来年2月にも導入する方針。

 この方針の問題点は、プライバシー侵害の幅が広すぎることと、
裁判所の審理を経ずに発信者情報が開示されてしまうことです。

 まず、「氏名」「住所」「電話番号」はプライバシーではなく、個人情報です。
プライバシーについては法律上の定めがないのですが、
判例上プライバシーとされているのは、引用部の中では前科ぐらいで、
病歴をプライバシーとした判例はなかったと思います。
つまり、総務省と業界団体が議論の対象としているのは、
プライバシー保護ではなく、個人情報保護なのです。

 個人情報保護が必要というのであれば、個人情報保護法を改正するのが筋であって、
総務省や業界団体が勝手に「発信してはいけない情報」を定めて、
その情報の発信があった場合に、発信者情報開示という
「制裁」を加えるのはおかしいです。
もしこのような「制裁」をプロバイダが行えば、
プロバイダはプロバイダ責任制限法などの法律の定めによらずに
発信者情報を開示したということになりますので、
プロバイダは法的責任を問われることになるかもしれません。

 大体、個人情報を書いた人の情報を開示して、一体何をしようと言うのでしょうか。
個人情報を書くことは違法ではないので、開示を受けたところで、
書いた人を脅すというような、非合法的手段を取らない限り、
個人情報を書くことをやめさせることはできません。

犯罪の幇助を幅広く解釈する昨今の判例を鑑みれば、
個人情報を書いた人の情報を開示して、その情報を利用した犯罪が起きた場合、
プロバイダが犯罪幇助で刑事責任を問われる可能性も十分考えられます。

 また、プロバイダ責任制限法はプロバイダが発信者情報を開示できる状況を、
明らかな権利侵害が行われたとき、損害賠償請求権行使のために必要な場合
その他正当な理由があるときに限っており、
「その他正当な理由」というのがあいまいではあるものの、
基本的には裁判沙汰にでもならない限り、裁判所の審理を経ずに
発信者情報を開示することを認めていません。

 もっとも、この規定でも損害賠償請求権行使のために開示請求し、
開示を受けてから損害賠償請求権行使を取りやめるというようなことが
可能という問題はあるのですが、
プロバイダが勝手に「発信してはいけない情報」を定めて、その情報の発信があった場合に
発信者情報を開示して良いということではないのは明らかです。

 表現の自由を最大限保障するためには、権利侵害が明白でない限り、
裁判所が権利侵害か否かを判断し、発信者情報開示の当否を決定すべきです。

現状では法律に問題はあるものの、この通りに運用されているようなので、
変なことをせずに現状を維持していくべきです。

関連リンク
うつわいりませんか? | 発信者情報:同意なしで開示へ ネット被害で業界が新指針

外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 | 匿名発言はだまし討ちか?

極右評論:ネット規制が始まるのか。


2006年12月26日

警察庁最終報告書 これを子供に見せられるのか

 25日、警察庁の「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守る研究会」(座長・前田雅英首都大学東京都市教養学部長)は、
「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守るために」と題した最終報告書(PDF)をまとめました。
報告書の内容は「携帯電話」「ゲーム」「子どもを性行為等の対象とするコミック等」に
大きく分けられます。
本文は29ページしかないので、ざっと読んでみました。

 読んだ感想は、この報告書を子供に見せられるのか?というものでした。
ここまで問題だらけの報告書も珍しいのではないでしょうか。

  1. 全文において根拠薄弱。特異な事例を挙げるばかりで、件数などの統計を挙げている箇所が少ない
  2. 自らの価値観を「誰もが認めている」と思い込んでいる
  3. 子供の利益を守ることではなく、治安を守ることが主眼に置かれている

 1.については報告書として問題外であり、それ以上言及することはありません。
2.については、「子どもを性の対象としてはならない」という規範を
「誰もが認めている」としている部分に言及しています。
これは全く根拠のない話です。
この部分が児童(18歳未満の者)が児童を性の対象とすることを含むのか、
18歳以上の者が児童を性の対象とすることに限定しているのか分かりませんが、
どちらにせよこの規範を「誰もが認めている」などという根拠は聞いたことがありません。
このことを証明するには、世論調査を行って100%近い支持を得なければなりませんが、
そのような世論調査は行われていないと思います。

 また、報告書にも書いてある通り、児童に対する性行為は
条例で規制されているに過ぎず、法律上、特段の規制は受けていません。
法律面から見ても、「子どもを性の対象としてはならない」という規範が
認められているとは、とてもいえないのです。

 3.については読めば分かりますが、「携帯電話」「ゲーム」「子どもを性行為等の対象とするコミック等」が
子供に与える利益への言及はほとんどなく、
子供が非行・犯罪の加害者や被害者になる可能性ばかりに言及しています。
つまり、子供の利益を無視して、治安向上のために子供の思想の自由、表現の自由、
情報摂取の自由などを制限せよと書いているのです。
子供から見れば、自らの利益を治安向上のために犠牲にせよと言われているに等しい内容です。

 研究会は、この報告書が子供に見せられる内容であるか、考えたのでしょうか。
このような報告書を書くことが警察に対する信頼を失わせ、
将来の反権力派、反警察派を育成することに、気が付いているのでしょうか。

 子供はこんな報告書を見ないから、と考えているのであれば甘いです。
確かに原文を読む子供は少ないかもしれませんが、
新聞などのメディアを通じ、そしてそれを読んだ人を通じ、
様々な形で子供の目や耳に入ります。
ましてや今は研究会が頭を抱えているように、情報化社会です。
2ちゃんねるには猛烈な批判が書き込まれ、まとめサイトでも取り上げられています。
私のように、ブログで取り上げるブロガーも大勢います。
今や政府のでたらめな言動は、昔とは比べものにならないほど速く、
子供を含む国民全体に浸透していることに、役人や委員は気付くべきです。

関連リンク
詭弁の特徴のガイドライン

「バーチャル社会のもたらす弊害から子どもを守るために 最終報告書」を読んで(オシテオサレテ)

でぃーぷぱらのいあ どっと こむ - いよいよ規制が本格化?

:: 三月革命 | 人それぞれ ::


2006年11月20日

フィルタリング問題 情報摂取の自由を守れ

asahi.com:携帯電話の有害サイト、未成年者を遮断へ

 菅総務相は20日にも携帯電話3社の社長に、フィルタリングの利用を拡大するための対策を要請。携帯3社は近く、未成年者が新規契約するすべての携帯電話でフィルタリングを原則導入する。ただ、親が望まない場合は、例外的にサービスを外せるようにする。

(中略)

 警察庁によると、06年上半期に出会い系サイトに関係した事件は前年同期比28%増の909件あり、検挙された容疑者の約95%が携帯電話からアクセスしていた。被害者の約85%が18歳未満で、携帯を通じて未成年者が巻き込まれる犯罪の防止が課題になっている。

何か、メディアリテラシーの教材のような記事ですね。
「事件」は確かに909件ですが、被害内訳は以下の通りとなっています。

  • 重要犯罪:殺人2件、強盗12件、放火0件、強姦22件、略取誘拐1件、強制わいせつ10件、計47件
  • 粗暴犯:暴行3件、傷害5件、脅迫3件、恐喝10件、計21件
  • その他:窃盗16件、詐欺36件、その他45件、計97件
  • 合計:罪名が記されている事件が120件、その他を入れて165件

その他を入れても、合計が記事の2割にも達しません。これはどういうことなのでしょうか。
実は、記事中の「事件」の内、児童買春や青少年保護育成条例違反といった、
「被害者なき犯罪」が何と8割以上を占めているのです。
マスコミには警察発表を垂れ流すばかりではなくて、内容を分析した記事を書いて頂きたいものですね。

携帯電話に限らず、情報機器が普及していくと、必ず口実を探して情報統制しようという動きが出てきます。
こうした動きに対して、表現の自由(発信の自由)情報摂取の自由(受信の自由)をもって対抗し、
国益に沿わない情報統制をたしなめるのが、民主主義国民のあるべき姿でしょう。
文部科学省と共に、そうした国民を育成するべき立場にある総務省が情報統制を助長しているというのは、大変残念なことです。

もし、フィルタリングサービスを強制的に使用させるというようなことがあったら、必ず抗議しましょう。
それは表現の自由や情報摂取の自由の侵害であり、使用者の利益にはならないからです。
子供の保護者がやるべきことは、子供に防犯教育やメディアリテラシー教育を施すことであって、
情報統制を行うことではないのです。
情報統制は受け手に対して、自由な表現や情報摂取から得られる利益の損失、
メディアリテラシー能力の低下などをもたらすだけで、何の利益ももたらしません。

親が望まない場合以外は強制的に情報統制を受けなければならなくなるようで、
子供の情報環境は厳しくなることが必至ですが、頑張って自由を獲得して欲しいと思います。
国民が情報統制に慣らされることは、国家全体のことを考えても、決して良いことではありません。
健全な民主主義国家を育成していく為にも、これからの日本を背負っていく子供には、
理不尽な情報統制を打ち破って欲しいと思います。

関連リンク
小学生での携帯電話所有率が増加:今日の雑学情報

経理課主任・・・法律家への軌跡! 5月26日(金)法廷における取材制限

kids gooからお墨付きをもらいました(笑)|Life is \(^o^)/ over

表現の自由、知る権利 - Wikipedia

平成18年上半期におけるいわゆる「出会い系サイト」に関係した事件の検挙状況について


2006年10月18日

核武装論 議論も駄目とは何事か

自民党の中川昭一政調会長が15日、民放の報道番組で、
核保有の「議論は当然あっていい」と発言したことについて、
与野党やマスコミから集中砲火を受けています。

不見識な中川氏の核発言(日経新聞社説)

 世界中が日本の核武装を歓迎するような事態があれば別だが、それがありえないとすれば、日本の核武装は北朝鮮がいま直面しているような国際的孤立を招く。中川発言にあるような「周りの状況を考えたとき、当然持つべしという意見が出てきている」は、まさに現在の北朝鮮の論理である。

 核武装を議論することが抑止力を高めるとの議論もある。それによって米国が日本に目を向けてくれるとの説もある。「悪い子」をして米国や国際社会の関心を集め、安全保障をせがむ北朝鮮の論理と重なる。

日経新聞は北朝鮮で、「意見が出て」くることがあるなどと本気で思っているのでしょうか。
金正日総書記が核実験やると言えば誰もやるなとは言えず、
やらないと言えば誰もやれとは言えない。
それが北朝鮮という全体主義国家です。
耳障りな事は議論さえもするなという考えこそが、まさに北朝鮮の論理なのですが、
北朝鮮の論理に賛同する人がこんなに多いとは驚きでした。

核武装について議論すると、米国や国際社会から「悪い子」呼ばわりされるというのは
何の根拠もありませんが、これは日経新聞の願望なのでしょうか。
かねてから日経新聞は国際政治が苦手だと思っていましたが、こんなトンデモ社説は初めて見ました。
朝日新聞社説がまともに見えます。


2006年01月18日

宮崎被告に死刑判決 特異な事件に振り回されるな

書くネタがないと書いた翌々日に、書くネタが津波の如く押し寄せてきました。
まず幼女連続誘拐殺人事件に関する事を書き、
その後にヒューザーの小嶋進社長に対する証人喚問や、ライブドアに関する事を簡単に書きたいと思います。

宮崎勤被告は4人の幼女を殺害した凶悪犯ですので、極刑が下される事に異論はないでしょう。
弁護側も、ほとんど責任能力について争うのみだったようです。
それが棄却され、4人の幼女を連続殺害した異常者が当然の如く極刑になった、と。ただそれだけの話です。
しかし、世の中にはそれだけの話じゃつまらないと言わんばかりに事を大きくしようとする人がいます。

Sankei Web 産経朝刊 主張(01/18 05:00)

 インターネットの普及でポルノ画像が氾濫(はんらん)し、ホラービデオにも歯止めがかからない。社会全体で性犯罪の防止態勢を築くことが急務である。

1月18日付・読売社説(2) : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 事件後、インターネットや携帯電話が全盛の時代になった。現在の社会には、際どい性や暴力の情報、ゲームが氾濫(はんらん)している。幼児らを標的にする、類似と見られる残虐な事件も拡大している。

 最高裁判決が示すのは、この「社会病理」を検証し、取り除いていくことの緊急性、重要性である。

MSN-Mainichi INTERACTIVE 社説

 野放し状態に近いアニメや漫画も含め、犯罪行為を正当化するような映像やゲーム類は、社会を挙げて一掃する方策を講じる必要がある。

毎日新聞は特に勇ましいですね。まるで焚書運動でも始めるかのようです。
米国連邦地裁が「暴力的」ゲーム有害論は根拠なしと判断でゲームについて書きましたが、
「情報の氾濫」によって犯罪が増えているという根拠はありません。
そもそも幼女連続誘拐殺人事件は、テロや営利誘拐でもないのに犯行声明や遺骨を送り付けるなど、
極めて特異な事件であり、類似の事件といっても8年後に起きた神戸市の連続児童殺傷事件ぐらいしかないでしょう。
しかも、犯人の少年が「氾濫した情報」に、特に多く触れていたという事はありませんでした。

つまり、幼女連続誘拐殺人事件にせよ、連続児童殺傷事件にせよ、
ごくまれに現れる異常者による例外的な事件に過ぎず、「社会問題」として捉えるべき事件ではないのです。
それをあたかも模倣性の高い事件のように取り上げて、規制強化を訴え、
国民の利益を損なわせるような主張には、耳を貸すべきではありません。
ごくまれな例を取り上げて根拠とするのは、典型的な詭弁です。

幼女連続誘拐殺人事件の事はこのぐらいにして、小嶋社長に対する証人喚問ですが、
すっかり黙り込んでしまった事にかなりの批判があるようです。
しかし、刑事訴追を受ける恐れがある以上、容疑者には黙秘権がありますから、これは仕方がないと思います。
これ以上の追及は、捜査機関の役割でしょう。

ライブドアについては、まだあまりはっきりとした情報が出ていませんが、
新聞を読む限りでは、「偽計取引」に関しては立件できるのかな、と思いました。
既にグループ内の別の企業が買収していた事を説明しなかっただけのようですから、
それが「うその説明をして顧客や投資家らを欺く」事になるのかな、と。
グループ内の別の企業が買収していた事を説明しない事は
「うその説明をする」事に当たるという判例などがあるのかもしれませんが、
普通に考えれば「説明をしない」事と「説明をする」事は全く違いますからね。
また、不必要に夜間に家宅捜索を始める事は禁止されており、
何故夜間に家宅捜索が始められたのかも気になるところです。
色々と分からない事が多いので、今後の展開に注視していきたいと思います。

関連リンク
PukiWiki - 詭弁の見抜き方

クルイ咲キ:ライブドア強制捜査と宮崎勤死刑確定について思う

おともなくさんざめくようす+: 1/17(火)

マスメディア研究所:東京・埼玉の幼女誘拐殺人事件に思う

東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件 - Wikipedia

神戸連続児童殺傷事件 - Wikipedia


2005年12月28日

太宰府市議会削除要請事件 言論弾圧どころか犯罪行為ではないのか

太宰府市議会が議員に関する2ちゃんねるの書き込みに対して、
人権侵害だとして議長名で削除要請を行いました。
詳細については以下のサイトを参照して下さい。

大宰府市より - 人権擁護法案ポータル - livedoor Wiki(ウィキ)

恐怖!猫屋敷: 福岡県太宰府市議会、2ちゃんにマジギレ(しかも逆ギレ)

私には書き込みがどのような人権を侵害しているのか全く分かりません。
今回の事件によって、人権擁護法案や人権条例の危険性が一段と明白になりましたが、
この事は自明の理であり、また他のサイトでも取り上げられていますので、ここではこれ以上触れません。
私が取り上げたいのは、この太宰府市議会の行為が脅迫罪に当たるのではないか、という事です。

削除要請の中に、「削除されない場合は、警察等の公的機関に対し相応の手続きをする」という記述があります。
これは、削除要請の対象となる書き込みは「人権侵害」どころではなく「犯罪」、つまり刑法違反に当たる、という事を意味します。
何故このような話になるかと言いますと、警察には「民事不介入の原則」というものがあり、
警察が扱う事件は「刑事事件」、つまり犯罪に限られるのです。
その上で「警察に対し相応の手続きをする」という事は、
当該書き込みを犯罪行為として処理する、という表明になります。

しかし、書き込みをどう読んでも犯罪行為には当たりません。
つまり、この表明ははったりという事です。
そうなると、以下の判例に触れる可能性が出てきます。

告訴の意思がなく、またはその意思が不確定であるのに、ことさらに告訴すべきことを通知するのは、害悪の告知にほかならない。(大判大3・12・1刑録20-2303)

「警察に対し相応の手続きをする」事が、必ずしも「告訴の意思」を意味する事になるのか、
また「告訴の意思」でなくとも「警察に対し相応の手続きをする」と通知するだけで脅迫罪が成立するのか、
1回削除要請を出したぐらいでは「ことさら」には当たらないのか、
太宰府市議会という役所が出している以上は1回でも「ことさら」に当たるのか、当たらなくても脅迫罪は成立するのかなど、
色々と不明な点はあります。
しかし、太宰府市議会が脅迫罪に触れるか、触れないにしても相当きわどい行為をした事は間違いないでしょう。
脅迫罪が成立するとなると、損害賠償請求という問題にもなってきます。

言論弾圧、人権擁護法案や人権条例の危険性といった事も勿論重要なのですが、法的な側面からも太宰府市議会を追求すべきです。
仮に法的には問題がなかったとしても、太宰府市議会が犯罪すれすれの行為をした事がクローズアップされれば、
「人権擁護」の美名の下に表現の自由が脅かされている事が、一層明らかになるでしょう。

関連リンク
草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN 部落解放同盟から人権侵害と脅される若者ー大宰府市議会の圧力に屈するな

時事ブログ「グースの勿忘草」 - 人権条例による言論弾圧始まる−2ちゃんねるへ圧力

Birth of Blues:「太宰府市による2ちゃんねる差別発言削除要望事件」は、言論抑制か差別助長なのかを検証する


2005年12月10日

米国連邦地裁が「暴力的」ゲーム有害論は根拠なしと判断

ITmediaニュース:イリノイ州のビデオゲーム販売規制法に違憲の判断

 ケネリー判事は、暴力的なビデオゲームをプレイすることが攻撃的な考え方や行動に永続的な影響を及ぼすという見解を支持する証拠は提示されていないと指摘。

残虐ゲーム規制法、イリノイ州も敗訴

判事は、子供の粗暴化とゲームの因果関係が「十分に証明されていない」と指摘。さらに、「言論の自由に恐ろしい影響をもたらす」として、違憲と認定した。

松沢神奈川県知事のブログにトラックバックを送っておきます。
日本でも表現の自由が憲法で保障されているので、同じ訴訟を起こされれば同じ判決が出る可能性は高いでしょう。
日本のゲーム業界団体にも、根拠のない有害論の排除に努力して頂きたいものです。
根拠のない有害論による規制がまかり通る事によって、ゲーム業界にゲームを売れなくなるという損失をもたらす事は勿論ですが、
未成年者にもゲームを買えなくなるという損失をもたらすからです。
未成年者には力がありませんから、自らの権利を侵害されてもなかなか声を上げる事ができません。
ゲーム業界団体が法廷の場で争う事は、権力濫用から未成年者を守る事にもなるのです。
これこそ昨今叫ばれる青少年保護の理念に適う行動といえるでしょう。

ところで、今日の産経新聞コラム「正論」に、以下のような記述がありました。

異常性愛の傾向を持つ者は昔から存在した。しかし、これが連鎖し、歯止めがなくなっているように見えるのはなぜか。一つは、犯罪や性に関する情報、とりわけ小児性愛に関する情報が、“表現の自由”の名の下に、漫画、DVD、ネットなどを通じて氾濫(はんらん)していることである。しかも一部の精神医学者・社会学者は「欲求不満の解消になる」と擁護してさえいる。

全く逆です。
「児童の保護」の名の下に児童ポルノ禁止法が制定され、
同意をとっても児童(18歳未満の者)が「被害者」となるようになりました。
これを受けて、漫画などのフィクション作品でも自主規制が強まる傾向となっています。
理由はというと、犯罪を助長する「有害性」があるのだそうです。
しかし現実には、規制を強めた後に凶悪な事件が起きました。
勿論、最近2つの事件が起きた事のみをもって、規制との関連を論ずる事は早計です。
しかし、あえて関連付けて論ずるのであれば、以下のように記述するべきでしょう。

異常性愛の傾向を持つ者は昔から存在した。しかし、これが連鎖し、歯止めがなくなっているように見えるのはなぜか。一つは、犯罪や性に関する情報、とりわけ小児性愛に関する情報が、“児童の保護”の名の下に、規制されていることである。しかも一部の精神医学者・社会学者は「犯罪を助長する」と有害だとしてさえいる。

参考リンク
残虐ゲーム規制法、イリノイ州も敗訴で施行ならず:Garbagenews.com

taka_threeの何でも適当に:日本もこういうところはアメリカを見習えばいいのに

なんか ゆんゆんいってる:暴力への行政規制が本格化


2005年10月17日

人権侵害に寛容な片山鳥取県知事

城之内 徳男さんにコメントで情報を頂きました。ありがとうございます。
「鳥取県人権尊重の社会づくり委員会」の委員の一部です。

宇山 眞 ウヤマ スナオ 鳥取県同和教育推進協議会
金 泰鎮 キム テジン 在日本大韓民国民団
朴 井愚 パク チョンオ 在日本朝鮮人総聯合会
安田   寿朗 ヤスダト    シロウ 鳥取県弁護士会

この「鳥取県人権尊重の社会づくり委員会」とは「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」の別名のようです。
「鳥取県人権尊重の社会づくり協議会」は鳥取県人権尊重の社会づくり条例第6条に基づいて設置され、
「人権尊重の社会づくりに関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。」とされています。
つまり、同和、民団、総連といった団体が委員になっている協議会に、
知事に意見を述べる事ができるという法的地位を与えている訳です。
もっとも、鳥取県に限った事ではないのでしょうけどね。
ちなみに人権侵害救済条例に反対した県弁護士会も委員になっています。

人権侵害救済条例の知事案はこの協議会から知事に提案されたものです。
結果的には知事案を修正した県議案が可決されたので、知事案は廃案になりました。

条例成立に関して、片山知事は驚くべき発言を繰り返しています。

「あいまいな表記が多い。運用者によっては人権侵害になる」
「(上記発言に対する反発を受けて)懸念が具現化しないよう注意しながら運用していく」
「報道分野については適用を除外してもよかったのではないか」
「来年6月の施行までは(改正を)行わない」
「(表現の自由との関連などで憲法違反の恐れがあるとする)条例運用への懸念を具現化させないため、(県弁護士会に)協力をお願いする」

また、「県からの独立性を確保するため、(人権救済委員会の本部を)県庁からできるだけ離れた鳥取市内に置く」方針だそうです。
そこまで小癪な手を打たなければならないと自覚しているのに、改正は行わない。
運用者によっては人権侵害になる、つまり知事が替わったらまずい事になりかねないと自覚しているのに、改正は行わない。
人権侵害が懸念されているのに、報道分野についてのみ適用除外にし、報道機関のご機嫌取りで乗り切ろうとする。
協力しなければ憲法違反になるような運用をすると、県弁護士会を脅迫する。
随分と人権侵害に寛容な知事のようです。
これでは知事が替わらずとも人権侵害が発生する事は目に見えています。
鳥取県民は人権侵害救済条例の廃止を求めるとともに、片山知事のリコールを請求した方が良いのではないでしょうか。

尚、このような記事もありましたので、以下の自治体には注意した方が良いかもしれません。

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 人権救済条例:予想外の反響 県が新たにHP開設、趣旨や経緯を説明 /鳥取

一方、条例の規則作りなど実務を担う県人権推進課には、条例に関心の高い他自治体からの問い合わせが相次いだ。今のところ▽大阪▽京都▽奈良▽静岡▽長野▽岡山▽愛媛▽福岡▽熊本――の9府県やその市町村。

人権侵害救済条例とは直接関係ありませんが、竹島問題を持ち出して一方的に鳥取県との交流を打ち切った韓国・江原道が、
交流再開を求めてきました。鳥取県はこれに応じるようです。
都市交流を国家間の交渉カードに使うような国と、交流再開する必要があるのでしょうか。
私には片山知事が何を考えているのか、全く理解できません。

参考リンク
外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 気になる最近のニュースから

とりネット−鳥取県総務部人権局−鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - <人権救済条例>「報道分野は除外しても…」鳥取県知事語る

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 人権救済条例:県議会で成立 「これで本当に救えるのか」、運用へ多くの課題 /鳥取

Yahoo!ニュース - 毎日新聞 - 人権救済条例:委員会、県庁と離れた場所に 条例の規則、来年2月めどに策定 /鳥取


2005年10月09日

地元新聞、弁護士会も反対 鳥取県人権条例案

人権擁護法案を危惧する国民協議会 人権擁護法案を考える市民の会:鳥取県 人権侵害救済推進及び手続に関する条例

条例案と問題点のまとめはリンク先に書いてありますが、人権擁護法案と大筋で同じですね。
今回大きく違うのは、地元新聞、弁護士会が反対している事でしょう。
朝日新聞が批判的な記事を掲載し、日弁連も声明発表を検討するなど、人権擁護法案には肯定的な組織にも受けが悪いようです。
ここまで反対の大合唱が起こると、一体誰がこんな条例を推進しているのかと思ってしまいます。

尚、共同通信によると、人権擁護法案の今国会提出は見送られるそうです。
日弁連が懸念しているように、鳥取県議会で条例案が成立してしまうと、全国の地方議会、そして国会にも影響すると思います。
人権擁護法案反対派は郵政民営化法案に反対して落選したり、処分待ち状態になっている方が多いので、
こちらもどうなるか予断を許さない状況ですが、
ひとまず焦点は国会から鳥取県議会に移ったといえるでしょう。
「人権」といえば何でも通る時代に入ってしまうのか、
名前に惑わされずに内容をしっかり吟味できる時代に入る事ができるのか。
採決は10月12日です。

参考リンク
人権擁護(言論弾圧)法案反対!:鳥取県の言論弾圧に抗議しよう! - livedoor Blog(ブログ)

山陰中央新報 - 鳥取県の人権条例/議論は尽くされたか

asahi.com: 鳥取県、全国初の人権救済条例 調査拒めば罰則も  - 政治

Sankei Web 政治 人権法案、今国会も見送り 自民・古賀氏(10/07 18:12)


2005年09月03日

ハリケーン「カトリーナ」報道 もし人権擁護法案が成立していたら

今日(平成17年9月3日)の産経新聞朝刊「【緯度経度】ワシントン・古森義久 被災で露呈する人種の違い」によると、
「ニューオーリンズの総人口四十八万人のうちの67%がアフリカ系米人、つまり黒人」であるが、
「略奪を働く市民たちはテレビの映像や新聞の写真でみる限り、百パーセントといえるほど、みな一律に黒人ばかり」だという事です。

もし人権擁護法案が成立していたら、このような記事を書く事は差別助長行為とされるでしょう。
また引用部分の「テレビの映像や新聞の写真」とは米国の報道の事ですが、
これを日本で流す場合には、数少ない白人やアジア系の略奪者の映像を平等に取り扱う事を要求されるでしょう。

ハリケーン被害は天災というより人災の様相を呈しています。
そこに人種問題が存在する事は紛れもない事実です。
しかし、人権擁護法案は人権擁護の美名の下にこの事実を隠蔽してしまう恐れがあります。
何を始めるにもまずは情報収集をしますが、その情報が偏っていたり、間違っていたりしたら思わぬ結果を招きます。
その原因が人権擁護法案にあれば、人権擁護法案をその名の通り人権を擁護する法案だと誤解した人は、
人権擁護そのものが問題だと考えてしまいかねません。

もしどうしても法案の成立が避けられなくなったら、せめて人権擁護に対する誤解だけでも避ける為に、
差別助長言動等禁止法案にでも法案名を変えて頂きたいと思います。
こうすれば問題が起きても、原因は言論弾圧にあるのであって、人権擁護とは関係ないと言う事ができます。
内容とかけ離れた法案名を付けて、国民を惑わすのだけは止めて頂きたいものです。

参考リンク
人権擁護(言論弾圧)法案反対!

サルでも分かる?人権擁護法案

人権擁護法(案)

人権擁護法案要綱


2005年08月26日

言った側から言った通りの規制が始まる(ネット自殺)

自殺サイト、発信者の情報開示…総務省などが指針 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ネット自殺予告の発信者開示、業界団体が指針案(日経新聞)

昨日の記事を書いたと同時ぐらいに発表されたようですね。
日経新聞などの一部報道では「業界団体が指針案を発表した」などとして
指針案策定に総務省や警察庁が関わっている事を書いていませんが、
読売新聞に書いてある通り「電気通信事業者協会などネット関係4団体と総務省、警察庁」が策定しています。
これは表現の自由に政府が堂々と圧力を掛けてきたと言えます。しかも法的根拠なしでです。
自殺防止効果も殆どなく、正当性もないネット規制が始まろうとしているのです。

9月22日まで各業界団体で意見を公募するようなので、この問題に関心のある方は応募して頂きたいと思います。

社団法人電気通信事業者協会

社団法人テレコムサービス協会

社団法人日本インターネットプロバイダー協会

社団法人日本ケーブルテレビ連盟


2005年08月25日

「自殺サイト殺人」を自殺サイト規制の口実にするな

「自殺サイト殺人」と呼ばれている連続殺人事件が起こりましたが、あからさまな自殺サイト叩きですね。
事件の要因は色々ある筈なのに、さも自殺サイトの存在が主原因であるかのように印象操作していると言わざるを得ません。
ましてや今回の事件はどう見ても「普通の人」とは言えない、極めて特殊な人が起こした事件です。
このような事件を口実にプロバイダやネットカフェに圧力を掛けたり、
法規制をしたりして表現の自由を制限する事は言語道断です。

もっとも自殺サイト規制論は今に始まった事ではなく、最初のインターネット自殺が起きて以来燻り続けていました。
ネット規制の定石に倣って、まずは有害情報としてフィルタリング対象とするようにフィルタリングソフトメーカーに求めます。
そして今回のような大事件を待って、発信側、つまりプロバイダやネットカフェへの圧力に乗り出し、世論を見ながら法規制の機会を伺うのです。

しかし、自殺サイト規制の無意味さは数字が無情に物語っています。
去年の自殺者数は32325人でしたが、インターネット自殺は19件、55人に過ぎないのです。
僅か0.17%
、誤差にも程遠い数字です。
毎年増え続けてはいますが、1%に達するだけでもどれだけの年月が掛かるのでしょうか。
表現の自由を制限するには、余りにも小さな問題です。

そして何よりも正当性の問題があります。自殺は犯罪どころか違法行為ですらないのです。
このような問題に政府が介入してくる事は許されないと思います。
そんな事をする余裕があるなら本来やるべき仕事に専念させるか、人員削減の対象とするべきです。