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2008年09月28日

学力テスト公表 現状では「逆選択」の恐れ

 全国学力テストの市町村別データ公表の是非を巡る議論が続いていますが、
「広くデータを公表して教育の改善につなげる」という一理ある公表賛成論に対し、
公表反対論は「学校の序列化につながる」というような、
ピント外れの理由ばかりが主張されています。
しかし、学校の良し悪しは事実として存在するのであり、
それが分かるようにすることは、教育改善の役に立ちます。
問題は市町村別データ公表によって学校の良し悪しが分かるようになることではなく、
かえって分かりにくくなりかねないことです。

 学校の良し悪しを判断する方法は、
大きく分けて、筆記試験(学力テスト)学校評価の2つがあります。
筆記試験は実施が容易で定量的な情報を集めやすいという長所がある一方、
元々試験に秀でた児童・生徒がどれだけいるのか、
そもそも筆記試験の結果がよいことにどれ程の意味があるのかといった問題があり、
判断材料としては意外と役に立ちません。

 それに対し学校評価は、評価項目の設定に慎重な検討が必要である上に、
評価の趣旨、実施方法、データの読み方などについて、
児童・生徒、保護者、教師などに説明し、理解と協力を得なければならないため、
実施には手間が掛かります。
しかし、実際に学校教育を受けている児童・生徒と保護者は、
学校の良し悪しを判断するための情報を最も多く持っているのですから、
児童・生徒と保護者から情報を引き出すことなしに、
学校の良し悪しを判断することはできないのです。
実際、進学先を選ぶときに、知り合いの在学生、卒業生、保護者から話を聞いたり、
ネットで評判を調べたりしている人は、今でも多いと思われます。

 つまり、実施するべきなのは全国学力テストではなく、全国学校評価なのです。
筆記試験の結果も、その問題を理解して使うのであれば無益ではありませんが、
現状ではとても理解されているとは言いがたい上、
学校評価なしに筆記試験結果だけを公表した場合、
筆記試験の点数を引き上げることに関心が集中しすぎ、
教育の改善という本来の目的が忘れられてしまう恐れがあります。
これは「レモンの原理」「悪貨が良貨を駆逐する」と呼ばれる現象であり、
典型的な情報の非対称性による市場の失敗、「逆選択」です。

 ちなみに、筆記試験の点数をどうすれば引き上げられるのか、
頭を抱えている人が多いようなので、簡単、安価、確実に引き上げる方法を書いておきます。
それは受験者に対し、試験の数日〜1週間程前に、
点数引き上げの協力をお願いし、数百円程度の謝礼を支払い、過去問を教えることです。
現金よりも菓子などの方が良いかもしれませんが、
これだけのことで一定の点数引き上げが見込めます。

 何故かと言いますと、筆記試験の点数が上がらない理由の1つに、
受験者に筆記試験対策を行うインセンティブ(誘因)がないことが挙げられるからです。
受験者によっては筆記試験対策を行うどころか、
全く試験を相手にせず、試験中に寝入っていたりする場合すらあるそうです。
そこで、点数が上がらないと私達(教師)が困るのです、どうかご協力をお願いします、
多少のお礼も致しますといえば、一定のインセンティブ向上が見込めるでしょう。
この方法は社会調査などで使われているもので、
安価に回答率を上げる手法として、よく利用されています。

 これだけを読んでも、いかに筆記試験結果というものがあてにならないものか、
よく分かると思います。
筆記試験など、既に児童・生徒から見放されているのです。
可能な立場にあれば、全国学力テストの市町村別データ公表の是非を巡り、
政治家が喧々諤々の議論を繰り広げていることをどう思うか、
このテストに60億円が使われていることをどう思うか、
児童・生徒に直接聞いてみると良いでしょう。
保護者や政治家が思うより、児童・生徒はずっと冷静な答えを返すと思います。
いつの時代の子供も、大人が思っている以上に、大人をよく見ているものです。

 全国学力テストの市町村別データ公表にしても、
実際に実施したところで多くの市町村では良い効果も悪い効果も現れず、
一喜一憂するだけで、政策的には無視されると思われます。
ただ、効果が現れるとすれば、現状では良い効果よりも悪い効果の方が
大きくなる可能性が高いというだけのことです。
本当に大きな問題は、大して役に立たない全国学力テストに注目が集まりすぎ、
教育改革の切り札の1つである、学校評価制度の確立が疎かになってしまっていることです。
不毛な議論が延々と続いていることは、全国学力テストの実施が、
結果として教育の改善に悪影響を与えていることの証左に他なりません。

関連記事
外部評価と教育バウチャーの相乗効果

関連リンク
逆選抜 - Wikipedia

BSEとノーベル賞の意外な関係 - [よくわかる経済]All About


2008年09月14日

自民党総裁選 「安心実現内閣」と決別せよ

 9月1日の福田康夫首相の辞任表明を受け、自民党総裁選が10日に告示され、
22日に投開票されることとなり、
石原伸晃元政調会長(51)、小池百合子元防衛相(56)、麻生太郎幹事長(67)、
石破茂前防衛相(51)、与謝野馨経済財政担当相(70)の5氏が立候補しました。
前回の総裁選と違い、若手が3人も立候補する「活発な総裁選」といえますが、
各候補とも互いに論戦するというよりは、一致団結して小沢民主党批判をしている感が強いのが残念です。
民主党が他党である以上、自民党総裁候補同士よりも政治的立場が遠いのは当たり前であり、
ややもすれば「この人、本当に自民党の人?」といいたくなるような政治家が少なくなかった時期に比べ、
日本の政界も成熟してきたといえます。
ただ、他党の批判は自らの総裁を決めてから行えば良いことであって、
総裁選中に一致団結して他党批判をしているようでは、
「総裁選は衆院選に向けたパフォーマンス」という批判を受けても仕方がありません。
今は総裁候補者同士で政策論戦を行うべき時であって、小沢民主党と戦うのはその後です。

 各候補者の政策についてですが、候補者間の差異が少ない上に一長一短で、論評し難いところです。
経済政策なら小泉改革路線継承を明言する小池氏が1番に見えますが、
経済成長を実現する上で大きな障害となっている「地球温暖化対策」強化を掲げているのが気になります。
安全保障重視を掲げる石破氏は、安全保障上、
軍備の維持強化と並んで重要な外交政策への言及が少なく、
少し視野が狭いのではないかと思います。
本命候補といわれる麻生氏については外交政策に定評があるものの、
小泉改革路線を修正して財政出動路線に戻そうとしている上、
青少年ネット規制法成立を主導した高市早苗氏が推薦人に入っている点が無視できません。

 そして最大の問題は、各候補が福田首相の掲げる「安心実現内閣」の問題点に
全く言及していないばかりか、
むしろ大して気にもせず、安易に「安心」という言葉を使っていることです。
政府が「安心」を実現することは極めて困難であるばかりでなく、
「国民目線」から見れば大して意味のない政策目標であることは、
当ブログで以前から書いてきているところです。(詳しくは政治に「安心」を求める愚を参照)

 私が次期総裁に求めることは、愚にも付かない「安心実現内閣」と決別し、
現実の国益追求に徹するという、当たり前の前提に立ち返ることです。
日本政治を「安心」の呪縛から解き放つことこそが、
今や最大の政治課題となっています。

関連リンク
自由民主党 総裁選2008

「【主張】総裁選討論会 給油支援継続に知恵絞れ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

総裁選討論会 自民党が目指す国造りとは : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

行財財政改革や成長戦略の議論を深め(日経新聞社説)

社説:自民党総裁選 「本命」麻生氏は守りに走るな - 毎日jp(毎日新聞)

経済政策―マニフェストを作れるか(朝日新聞社説)


2008年08月24日

産科医無罪 被害者の強大化に歯止めを

 平成16年に発生した帝王切開死亡事故で、
執刀した産婦人科医の加藤克彦被告(40)が業務上過失致死罪などに問われ、
産科医離れが加速化するなど、大きな問題となっていましたが、
8月20日、福島地裁は無罪判決を言い渡しました。

「帝王切開死亡事故 大野病院産婦人科医に無罪判決 福島」事件です‐裁判ニュース:イザ!

 福島県大熊町の県立大野病院で平成16年、帝王切開手術を受けた女性=当時(29)=が死亡した事件で、業務上過失致死と医師法(異状死の届け出義務)違反の罪に問われた産婦人科医、加藤克彦被告(40)の判決公判が20日、福島地裁で行われ、鈴木信行裁判長は無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。

 当ブログでは過去にも取り上げていますが、
刑罰は本来、故意犯に対して科すことを想定した制度であって、
過失犯に科すことは例外とされています。
これは、過失犯に刑罰を科すことは国民の自由を著しく阻害しかねないという観点だけでなく、
そもそも過失による事件を防止する上で、
刑罰を科すことは必ずしも効果的ではないという理由によっています。
故意犯と違い、過失犯は事件を起こしたくて起こしているわけではないのですから、
これを防がなければならないとなると、
「過剰な安全措置」を取らざるを得なくなる場合が多くなるのです。

 そして、現実に産科の現場で頻発している「過剰な安全措置」が、
産科の廃止、救急患者の受け入れ拒否、そして医学部生の産科忌避です。
これらの「過剰な安全措置」が、社会にとって有害無益であることは議論の余地がないでしょう。
産科では受け入れ拒否による死産まで発生し、
他科でも患者がたらい回しにされたあげくに治療が遅れて死亡する案件が頻発するなど、
あまりにも損害が大きくなったことを受けて、
政界では医師に免責特権を与えることも検討されているようです。

「【医療と刑事捜査】(中)免責は特権か 萎縮の歯止めか」リビング‐健康ニュース:イザ!

 7月29日、自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」が開かれた。席上、座長の大村秀章衆院議員は、救急救命に関係した医療事故に限定して医師らの刑事責任を免除するという刑法改正の私案をぶち上げた。

 しかし、この方法は法の下の平等に照らして極めて問題が大きく、
憲法違反になる恐れが低くないばかりか、
医療以外でも発生している「過剰な安全措置」には対処できません。
根本的な問題は軽度の過失犯に刑罰を科す刑事制度にあるのですから、
重過失致死傷罪のみを残し、業務上過失致死傷罪などは廃止するべきなのです。
軽過失に対しては損害賠償請求、行政処分、懲戒処分、社会的制裁などで対応した方が、
事件の抑止と安全措置の適正性を両立できると思われます。

 残る問題は遺族(被害者)の「駄々」ですが、
遺族に対しては辛い思いを聞いたり、葬儀や当面の生活の手助けをしたりして、
落ち着いた生活を取り戻せるように支えていくことで対応していくべきであって、
医師(加害者)に対して「腹いせ」をする権利を与えるべきではないはずです。
「被害者」の強大化と「加害者」の弱体化は、国民平等の実現とは相反するものであり、
「被害者」が刑事裁判に出廷して「加害者」の厳罰を要求することさえ認めてしまう現状は、
双方の利益や社会的利益の調和などまるで無視した「被害者絶対主義」とでもいうような、
憂慮すべき状況です。

 その影響は過失致死傷罪による「過剰な安全措置」問題に止まらず、
殊更に自国の被害と敵国の加害を強調することに長けた、
中国、韓国、北朝鮮との関係にも悪影響を及ぼすでしょう。
一度「加害者」のレッテルを貼られれば、
「被害者」を名乗る者にはまともに反論する機会すら与えないという「被害者絶対主義」思想の蔓延は、
国際社会で日本の国益を守る上でも大きな障害になりかねません。

関連リンク
刑事訴訟の限界。 - 企業法務戦士の雑感

閑寂な草庵 - kanjaku - 医療事故と刑事責任

正義の対立 - I’ve been working on the railroad...

「【主張】産科医無罪判決 医療を萎縮させぬ捜査を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

産科医無罪 医療安全調査委の実現を急げ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

産科事故判決が教えるもの(日経新聞社説)

産科医無罪―医療再生のきっかけに(朝日新聞社説)

社説:帝王切開判決 公正中立な医療審査の確立を - 毎日jp(毎日新聞)


2008年08月15日

PB黒字化先送り論争 目標設定が不適切だった

 2010年度までに中央政府(国)の基礎的財政収支(公債金収入以外の収入から国債費以外の支出を引いたもの。プライマリーバランス。PB)を黒字化する目標について、
先送りするべきか堅持するべきかの論争が過熱しています。
先送りするというのはもちろん、昨今の景気後退を抑えるために、
積極財政(バラマキ)や減税を行うということです。

 しかし、議論すべきは基礎的財政収支黒字化の時期ではなく、
歳出の最適化ではないのでしょうか。
基礎的財政収支の収入のほとんどは租税収入であり、
これは景気の変動に大きく左右されるので、
金額を政治目標とするのにはなじまないからです。
政治が金額を決定することができるのは支出だけなのですから、
年間の歳出額はいくらにすべきか、その中でどの分野にいくら振り分けるべきなのかという、
歳出の最適化目標を決定し、実現していくことこそが政治の使命です。

 歳出・歳入一体改革といえば聞こえは良いのですが、
歳出の最適化にせよ、歳入(税制)の最適化にせよ、
1つ間違えれば福田政権どころか自公政権そのものが倒れてしまいかねないような、
極めて危険な政治課題です。
それを同時並行で進めるというのは、
絶対に不可能な話といっても過言ではありません。

 かの有名な経済学者、ミルトン・フリードマン(故人)も以下の文章を書いています。

『最強の経済学者ミルトン・フリードマン』228ページ

「政府支出の総額という正しい視点ではなく、財政赤字というまちがった視点に立つことで、慎重な財政運営を主張する議員は、積極財政派を無意識のうちに手助けしている。過去の典型的なパターンをみると、積極財政派が、歳出の拡大につながる法案を通過させ、『これは大変だ。財政赤字をなんとかしなければならない』と叫ぶ。そうすると、慎重派が積極派に協力して増税する。増税が実現した途端に、積極財政派は慎重派とまた袂を分かち、政府支出を増やし、赤字が拡大する」

 このように、「政府支出の総額=歳出」だけを議論することが正しいのであって、
「財政赤字=歳出・歳入」を同時に議論することは間違っているのです。
その意味で歴代政権が消費税増税を先送りし続けてきたことは適切な判断であり、
今後も消費税増税論議は行わず、歳出の最適化実現に絞って議論していくべきです。

関連リンク
「【主張】経済対策 ばらまき排し構造転換を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

社説:安心実現対策 財政再建を危うくするな - 毎日jp(毎日新聞)


2008年08月04日

福田改造内閣は「ゼロリスク症候群内閣」か

 8月2日、皇居で新閣僚の認証式が執り行われ、
福田改造内閣が正式に発足しました。
「国民目線の改革実行」を標榜し、
「安心実現内閣」と命名しましたが、これほどむなしい名の内閣もないでしょう。
政府が「安心」を実現することは極めて困難であるばかりでなく、
「国民目線」から見れば大して意味のない政策目標であることは、
当ブログで以前から書いてきているところです。

 政治に「安心」を求める愚で書いたように、「安心実現」のためには、
小さな問題に対して過剰な対応を取ることによって「旬」が過ぎるのを待つか、
マスコミに圧力を掛けて黙らせるぐらいしか手がありません。
福田首相が後者を選ぶとは考えづらく、
前者を中心に進めていくことになると考えられます。
そうなると、先日の秋葉原無差別殺傷事件を受けてのナイフ規制強化のような、
過剰な規制が次々と制定されていくことになるでしょう。

 郵政民営化法案に反対し、「大きな政府」路線色の強い野田聖子氏が消費者行政推進担当相に任命され、
強力な規制官庁となる恐れが指摘されている「消費者庁」設立を担当することも、
このシナリオを現実味のあるものとしています。
個人消費はGDPの6割弱を占めており、
もし個人消費全体に網羅的かつ強力な規制を掛けられると、日本経済は大打撃を受けます。

 「安心実現内閣」というのは福田首相の命名に過ぎませんから、
あまりあげつらうものではないのかもしれません。
しかし、これまでの福田首相の言動を鑑みると、
小さな問題に対する過剰対応を繰り返す、
「ゼロリスク症候群内閣」に堕する可能性は、
決して低くないと思われます。

関連リンク
「【主張】福田改造内閣 一丸で危機を乗り切れ 保守カラーの鮮明化に期待 」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

福田改造内閣は改革を逆行させるな(日経新聞社説)

福田新体制―船出した解散準備内閣(朝日新聞社説)

福田改造内閣 政策実現へ果断に取り組め : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:福田改造内閣 守りの「挙党」ではいけない - 毎日jp(毎日新聞)


2008年07月13日

ナイフ規制強化 お上頼り脱し自衛権の議論を

 6月8日に秋葉原で発生した無差別殺傷事件を受けて、
18歳未満へのナイフ販売を禁止する都道府県が増えています。

「ダガーナイフ規制の動き広がる 秋葉原通り魔事件で」事件です‐事件ニュース:イザ!

 秋葉原の無差別殺傷事件で凶器に使われたダガーナイフについて、各都道府県で18歳未満への販売を条例で規制する動きが広がっている。事件前から販売を禁止していた7県に加え、事件後に新たに12府県が禁止を決定、9県が審議会に諮問するなど禁止を予定している。

 ちなみに、無差別殺傷事件を起こした加藤智大容疑者は25歳でした。
つまり、1件特異な事件が起きたからといって規制強化する必要などないことは、
都道府県議会の議員も分かっているが、
何もしないと議員として格好が付かない。
ならば叩いても政治的に抵抗できない、
選挙権のない青少年を狙い撃ちにしてお茶を濁そうということです。
上の記事によると、全国の47都道府県の内、
28もの府県がこの程度の低俗議員で占められていると思うと、大変残念です。

 多くの都道府県議会に低俗議員が跋扈しているというのも問題ですが、
今回の記事で取り上げたいのは、無差別殺傷事件に対する日本の世論と米国の世論の違いです。
2007年4月16日にバージニア工科大学銃乱射事件(ウィキペディア)が起きたとき、
米国世論が政府に求めたのは銃規制強化ではなく、銃規制緩和でした。

米大学乱射事件、銃規制論議は低調 逆に校内での銃携帯容認論も 世界日報(2007/4/20 12:02)

 【ワシントン19日早川俊行】米バージニア工科大学銃乱射事件は32人の犠牲者を出したにもかかわらず、米国内の銃規制論議は低調だ。FOXニュースが19日に発表した最新世論調査では、銃規制の強化が乱射事件の阻止に役立つと考える人は、わずか19%にとどまった。逆に保守派識者からは、被害拡大を防ぎ、犯罪者に対する抑止力を高めるために、生徒や教職員に学校内での銃携帯を認めるべきだとの意見が出ている。
 
 FOXニュースの世論調査によると、71%が乱射事件を起こすような人物は「常に銃規制法の抜け道を見つける」と回答。米国民の多くは、規制を強化しても危険人物に銃が渡るのを阻止するのは困難と捉えていることが分かる。
 
 銃規制に反対する保守派識者が、今回の事件に関連して引き合いに出すのが、2002年1月に同じバージニア州のアパラチアン・ロースクールで発生した乱射事件だ。このとき、教授ら3人が犯人に射殺されたが、2人の学生が車に所持していた銃を取り出し、犯人を取り押さえることに成功した。被害が拡大しなかったのは、その場に銃を所持する学生がいたから、というのが保守派の見方だ。
 
 ホワイトハウスのスタッフを務めた経歴を持つフリーランスライターのジム・シンプソン氏は、バージニア工科大学乱射事件について「現場に武器を持った人がいたなら、悲惨な殺戮の大部分は防げた」と指摘する。
 
 バージニア州議会では昨年、学生や教職員に大学構内での銃携帯を認める法案が提出されたが、成立しなかった。このとき、工科大のスポークスマンは「親、学生、教職員、来訪者はキャンパス内で安全を感じられる」と、法案の不成立を歓迎していた。
 
 これに対し、保守派コラムニストのジェイコブ・サルム氏は「安全を感じることと安全であることは違う」と、大学側の姿勢を批判。同氏は「警察がどこにでもいるわけではないという現実を考えれば、自分で自分の身を守ろうとする人の武器を取り上げるのは不道徳だ」と指摘するとともに、学校内での銃携帯を認めることは凶悪犯罪の抑止効果になるとの見方を示す。
 
 合衆国憲法修正第2条は「規律ある民兵は、自由な国家の安全に必要であるから、国民が武器を所有、携帯する権利を侵してはならない」と規定しており、銃規制は建国理念に逸脱すると考える国民は多い。
 
 銃規制に前向きな民主党でさえ、次期大統領選の有力候補者たちは規制論議に及び腰だ。ゴア副大統領が2000年の大統領選で敗れたのは、同氏が銃規制を支持し、所有者の反発を招いたことが一因とみられているためだ。

 何故、同様の事件に対する日米両国世論の反応が正反対になるのか。
その理由は、米国の世論が「安全であること」を求めているのに対し、
日本の世論は「安全を感じること」を求めていることにあるのではないのでしょうか。

 「体感治安」なる珍妙な言葉がマスコミのみならず、
警察庁の公文書にも頻出している現状が、このことをよく示しています。
今や日本の警察行政における重要課題は「治安の改善」ではなく、
「体感治安の改善」といっても過言ではありません。
もっとも、それならナイフ規制などするよりも、
ルーマニアに倣って「明るいニュース法」を制定した方が、
よほど効果があると思われますが。

 米国で銃規制が進まないのは、銃器メーカーが巨額の利益を上げていて、
それが全米ライフル協会へ寄付され、
ロビー活動に使われているからだという主張もありますが、
これは誤りです。
米国の銃器市場の規模は10〜14億ドル(約1,050億〜1,500億円)ぐらいで、
これは日本のテレビゲーム市場の規模の1/4以下になります。
しかも構造が単純だからか(複雑化すると動作不良が起きやすくなるため)
中小零細企業が多く、訴訟を起こされるだけで経営危機に直結するような業界です。

銃産業への訴訟禁止法 米国で成立現実味 業界救済に“照準”東京新聞

 ■市場14億ドル

 業界関係者によると、米銃器産業の市場規模は十億−十四億ドル。しかし、販売店を中心に、ほとんど中小零細企業なため、業界は訴訟費用や相次ぐ安全対策などで経営が圧迫されており、銃擁護派は「銃保有の権利が脅かされかねない」と危機感を強める。

 全米ライフル協会の資金源のほとんどは、430万人に上る会員が納める年会費であり、
政治力の源泉はこの会員数にあるのです。
それはつまり、全米ライフル協会が米国民の政治的支持を勝ち得ているということであって、
銃器販売による利益が賄賂まがいの政治献金となり、
銃規制を阻止しているかのような主張は、事実誤認です。

 そして、全米ライフル協会が米国民に支持されているというのは、
米国の世論が「安全を感じること」よりも「安全であること」を求めていることのみならず、
自分の利益を自分で守る意志を持っていることをも示しています。
自分の利益を自分で守る意志をほとんど持たず、
「安全を感じること」を追求する日本の世論より、
よほど成熟しているといえます。

 日本の言論界に目を向けると、右から左まで危機管理意識が極めて低い人ばかりで憂鬱になります。
「現場に武器を持った人がいたなら、悲惨な殺戮の大部分は防げた」といえる人は、
1人もいないのでしょうか。
未だに日本国民の「お上頼り」姿勢が根強いことを改めて見せ付けられ、
国民の自立は遠いことを実感させられた1ヶ月間でした。

関連リンク
まとめと全米ライフル協会 NRA:イザ!

日本国憲法は自分の身を守る権利を認めない?:イザ!

「体感治安と実際には落差」(o^-')b 東京新聞♪|女子リベ 安原宏美--編集者のブログ


2008年07月06日

「3つのF」 地球の限界を認識せよ

 7月7日から3日間の日程で主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)が開催されることに伴い、
ここ10年程国際問題として取り上げられてきた地球温暖化問題の他、
金融(Finance)、燃料(Fuel)、食糧(Food)の「3つのF」問題がクローズアップされています。
地球温暖化問題については京都議定書の発効により、
良くも悪くも国際法レベルでの対策が進んでいるところですが、
「3つのF」については問題化してきたのがこの数年ということもあり、
国際的な対策はこれからという状況です。

 こうした状況を受けて、サミットでは当初注目を集めていた地球温暖化問題だけでなく、
「3つのF」問題も主要な議題として取り上げられることとなっています。
しかし、この問題の主因について、独仏伊は投機資金流入を、
米英は世界的な需要増大にあるとしており、
対策以前に事実認識に大きな隔たりがある状態です。

 各国の金融業の強弱が事実認識の隔たりとして表れているわけですが、
理論的に考えれば、この議論の軍配は米英に上がります。
何故投機資金が流入するのかといえば、
今後更に需給が逼迫すると予想されているからに他ならないからです。
もし、需給逼迫を解消せずに投機資金を止めてしまうのであれば、
それは上限価格規制そのものであり、一時的な消費者の利益になるとしても、
長期的には価格の乱高下を招き、最悪の場合、需要を満たしきれずに品切れとなってしまいます。
それはつまり、第3次石油危機(オイルショック)や世界的な食糧危機が現実のものになるということです。

 「今の価格は実際の需給とかけ離れている」という主張も散見されますが、
現在のところ、特に根拠のある主張とはなっていません。
原油や食糧は価格変動による需要量や供給量の変動が少なく、
僅かな需給逼迫で価格が高騰することは、よく知られている現象だからです。
ちなみに、一昔前まで、農作物が豊作だとかえって農業収入が少なくなり、
ついには輸送費さえ賄えずに野菜をトラクターで潰さなければならなくなる、
いわゆる「豊作貧乏」が頻発していましたが、
これは価格高騰の逆の現象です。

 つまり、「3つのF」のうち、金融は言われているほど大きな問題ではないのですが、
逆にいえば燃料と食糧は打つ手なしといっても過言ではない程、深刻な問題です。
というのは、利用できる地球資源には限界があるからです。
世界中の人々が米国人並みの暮らしをするには、
地球が3個必要とか、5個必要とか、10個必要とか、
とにかく1個では絶対に足らないというようなことが言われ続けていたわけですが、
それがいよいよ現実の問題として浮かび上がってきているのです。
未だ見つかっていない資源を見つけ、資源利用技術を高めていったとしても、
このまま世界人口が増え続け、豊かな生活を追求し続けるのであれば、
僅かな時間を稼ぐことしかできないのは明らかです。

 かつての世界では、人口が増えて資源が足りなくなれば戦争を仕掛けて奪い取り、
敗者は滅びるか悲惨な生活に甘んじるのが当たり前でした。
幸い日本は島国であり、国家防衛も食糧調達も容易であったため、
大東亜戦争(太平洋戦争)に負けるまで、そういったことはありませんでしたが、
今の日本国民の人口と生活を維持しようとするのであれば、
他国民の人口増加や生活水準を抑制しなければならなくなってくるでしょう。

 何もサミットで堂々とそんなことを言う必要は全くなく、
外国向けに耳触りの良いことを言うのは何ら問題ありませんし、むしろそうするべきです。
しかし、それとは別に厳しい現実を認識し、戦略を立てて対応していかなければ、
カネも技術も外国に吸い取られる結果に終わった京都議定書の二の舞になります。
地球温暖化問題にせよ、「3つのF」問題にせよ、
根本的には国家間のパワーゲームの道具以外の何物でもないのです。

関連リンク
「【主張】洞爺湖サミット 過剰な投機抑制で行動を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

サミットは歴史的合意へ政治決断を(日経新聞社説)

洞爺湖サミット 世界の難題に処方せんを : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:北海道・洞爺湖サミット 地球の危機救う論議を 環境、経済で米の責任大きく - 毎日jp(毎日新聞)

欧州利上げ―次は米金融の立て直しを(朝日新聞社説)


2008年06月29日

ネット規制法の「二匹目のドジョウ」を狙え?

 6月11日に青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(青少年ネット規制法)が成立したことを受けてか、
一部の国民を狙い撃ちにするような法案や条例案が、
早くも議論の俎上に上がっています。
選挙権のない青少年の狙い撃ちには成功したから、
次は特定の有権者層の狙い撃ちに挑戦というわけです。

「1箱1000円目指し!たばこ議連が設立総会」政治も‐政局ニュース:イザ!

 「たばこ1箱1000円」を目指す超党派の「たばこと健康を考える議員連盟」は13日、東京・永田町の憲政記念館で設立総会を開いた。次期臨時国会でたばこ税引き上げのための議員立法を目指す。総会では共同代表に自民党の中川秀直元幹事長、尾辻秀久参院議員会長、公明党の北側一雄幹事長、前原誠司民主党副代表ら計7人が就任した。

「コンビニ深夜営業めぐり自治体と業界バトル 「温暖化防止」「防犯、インフラ」」政治も‐地方自治ニュース:イザ!

 地球温暖化防止のため、二酸化炭素(CO2)削減が叫ばれる中、24時間営業が売り物のコンビニエンスストアの深夜営業に自粛を求める動きが出てきた。火ぶたを切ったのは埼玉県。神奈川県や京都市なども加わり、深夜営業の自粛により、深夜型ライフスタイルの転換を求める声が広がった。思わぬ事態にコンビニエンス業界は「CO2の削減効果はわずか。深夜営業をやめることのリスクも大きい」と反発し、自治体対業界のバトルの様相を呈してきた。

 たばこ税1000円論とコンビニ深夜営業規制論の共通点は言うまでもなく、
特定の有権者層を狙い撃ちにし、各個撃破する戦術を取っていることです。
特にコンビニ深夜営業規制論については、「深夜型ライフスタイルの転換を求める」としており、
規制を足掛かりにして国民生活への公権力介入を狙う意図が透けて見えます。

 今になってから、日本たばこ産業(JT)やコンビニ業界は慌てて反対論を張っていますが、
動くのが遅すぎます。
既に国会には、ろくな根拠も、まともな国会審議もなしに、
国民の「思想の自由」や「表現の自由」や「情報摂取の自由」や「通信の自由」を侵害する、
青少年ネット規制法を成立させた前例があるのです。
今になって明文規定もない「営業の自由」や「喫煙の自由」を守ることは、
以前に比べて格段に困難になったといえます。

 税負担は公平であるべきという原則に立ち返れば、
消費税増税に代えてたばこ税を増税するなど論外です。
また、わずかなCO2削減のために、
国民生活の向上に大きく寄与しているコンビニ深夜営業を規制するべきではありませんし、
真の目的が「深夜型ライフスタイルの転換」だというのであれば、
とんでもない国家権力の濫用といわざるを得ません。
国民は政治家のおもちゃではないのです。

 私は児童ポルノを口実にした「焚書令」を認めるなの中で、
「こういう狙い撃ち規制を国民が見過ごしていると、
結局は全ての国民が各個撃破されることにつながります。」

と書きましたが、実際にそうなりつつあるようです。
今回もまた、自分は喫煙者じゃないから関係ない、
自分は深夜営業コンビニを利用しないから関係ないという、
国民の無関心の中で、狙い撃ち増税、狙い撃ち規制が実現されていってしまうのでしょうか。

 二匹目、三匹目のドジョウが捕まるのであれば、
この柳の下には無限のドジョウがいるといわんばかりに、
空前の「狙い撃ち規制ブーム」が訪れる恐れがあります。
そうなれば、青少年ネット規制法や児童ポルノの単純所持禁止は、
その1つに過ぎないものとなるでしょう。
6月11日が歴史のターニングポイントになるのではないかという声もありますが、
それはネット規制、表現規制、思想規制といった問題に止まらず、経済的自由をも含めた、
人権問題そのもののターニングポイントとなってしまうのかもしれません。

関連リンク
昨日を歴史のターニングポイントにしないために―青少年ネット規制法の概略、危険性、今後 - 半可思惟


2008年06月15日

リスボン条約否決 EUの独裁主義に急ブレーキ

 EU新基本条約(リスボン条約)は13日、アイルランドの国民投票で否決されました。
投票結果は批准反対が53.4%、賛成が46.6%、投票率は53.1%でした。
リスボン条約はEU加盟国のうち、1カ国でも批准しなければ発効しないため、
アイルランドの批准拒否により、当面リスボン条約が発効する見通しは立たなくなりました。

「EU新基本条約、否決される アイルランド国民投票」世界から‐ヨーロッパニュース:イザ!

欧州連合(EU)大統領創設などを盛り込んだ新基本条約「リスボン条約」批准の可否を問うアイルランドの国民投票の開票が13日行われ、地方だけでなく都市部でも反対が多数を占め否決された。同条約は1カ国でも批准しないと発効しないため、来年1月の発効を目指していたEUは戦略の大転換を迫られる。

(中略)

反対票を投じた市民は「分からないことには賛成できない」と口をそろえた。

 2007年10月19日にポルトガルの首都リスボンで採択されたリスボン条約については、
同21日にEU新基本条約(リスボン条約)採択 EU政界に広まる反民主主義思想を書きました。
この時はEU加盟国の一部が国民投票を行わず、
議会による議決で批准を強行しようとしていることについて、
国論を政治の力でねじ伏せるものであり、
もし各国がこの手法を取った場合、EU史に大きな禍根を残すと書きましたが、
結果的にはアイルランド以外の全ての国がこの手法を選択しました。

 そのアイルランドも、憲法で国民投票を義務付けられているため、
やむを得ず行ったものであり、与党政治家は国民投票に批判的でした。
つまり、この小国の憲法に国民投票規定がなかったとしたら、
全ての加盟国が国民投票を行わずにリスボン条約を批准、発効していたということで、
EUの民主主義は極めて危機的な状況にありました。

 アイルランドのリスボン条約批准拒否により、
政治の力にねじ伏せられた各加盟国民の怒りが与党に向かい、
次の選挙で独裁主義者を落選させ、
EU政界から反民主主義思想が払拭されることを望むばかりです。

 リスボン条約の批准拒否がアイルランドの国益を増進させるのか、
あるいは減退させてしまうのか、結果が分かるのは先のことになりますが、
どちらの結果になったとしても、
国民投票による決定の結果であれば国民は受け入れ、
真摯に問題点を反省するでしょう。

しかし、国論を政治の力でねじ伏せるようなやり方で批准したのであれば、
どちらの結果になったとしても、国民は受け入れなかったでしょう。
国益を増進させても民意を無視した決定という事実は消えず、
減退させれば政治に対する批判が起きるだけで、
国民が問題点を反省し、次回に生かす余地はないからです。

 日本では先週、ついにまともな国会審議もなく、
「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律青少年ネット規制法」(青少年ネット規制法)が成立してしまいましたが、
重要法案の成否は国民投票に掛けて決定するという規定を憲法に設けることが、
国民に対する説明責任の履行を政治に迫るとともに、
決定の責任を国民が取れるようにする
ということを象徴する出来事でした。

関連リンク
EU条約否決 帰属意識は国民国家か欧州か


2008年03月29日

沖縄集団自決判決 争点を間違えるな

 大東亜戦争(太平洋戦争)末期の沖縄で発生した住民の集団自決について、
旧日本軍命令説を主張する大江健三郎氏(73)の『沖縄ノート』(岩波書店)と
家永三郎氏(故人)の『太平洋戦争』(同)の記述が名誉毀損に当たるとして、
当時少佐の梅沢裕氏(91)と同大尉の赤松嘉次氏(故人)の弟の秀一氏(75)の2人が
大阪地裁に提訴した訴訟の判決が、3月29日にありました。
判決は原告の全面敗訴で、損害賠償及び出版差し止めの請求は棄却されました。

 その判決理由を巡って左右両派が真っ向対立する議論を展開しているわけですが、
双方共に裁判の争点を勘違いしているようです。
集団自決について、旧日本軍の「命令」や「関与」があったか否かが
裁判の争点であるかのような議論が散見されますが、
それは誤解であり、裁判の争点は2人の著者と出版社が
「命令説を信じるに足る相当の理由」を持っていたか否かなのです。

 つまり、例え実際に2人の元隊長が集団自決命令を下していなかったとしても、
「命令説を信じるに足る相当の理由」を持って本を出版したのであれば、
著者や出版社が法的責任を問われることはないのです。
これは表現の自由を尊重するための制度であり、
もし「真実と信じるに足る相当の理由」持っているにも関わらず、
後に異なる事実が判明した際に違法状態化する可能性が残るとなると、
発信者(著者、出版社など)の法的安全性が不安定になり、
表現の自由が著しく損なわれてしまいます。

 よって、事実誤認に基づく表現によって損害を発生させたとしても法的責任は追及せず、
反論などによって自力で損害を防止するべきであるというのが、
自由主義国家の考え方です。

 ですから、今回の判決が「自決命令それ自体まで認定することには躊躇を禁じ得ない」として
命令説の当否の判断を避けたのは、裁判所の行政事務として適正な処理
であり、
「司法の使命放棄」などという批判は的外れです。
そもそも一行政機関でしかない大阪地方裁判所の判断をもって
歴史的事実を確定させようなどとする考えは、
「官僚無謬論」以外の何物でもありません。
裁判所の役割とは、何が事実か分からない世の中の事件について、
法的紛争を最終処理するために必要な範囲で、
限られた時間の中で無理矢理に一刀両断することなのです。

 この裁判は極めて政治性の強いものであり、
控訴審でどちらが勝つにせよ最高裁まで続くことはほぼ確実といえますが、
最高裁判決がどのような内容になったとしても、
それをもって歴史的事実を確定させるべきではありません。
著者と出版社が「真実と信じるに足る相当の理由」を持っていたか否かが
直ちに歴史的事実の確定につながるわけではない上に、
その判決は一行政機関の判断に過ぎないからです。

 未だ「官僚無謬論」は根強く残り、
特に裁判所に対する国民の信頼は異常に高いものがありますが、
役所に過度の期待を求めても、役人も民間人と同様、
神ならざる人に過ぎないのですから、間違いを犯すこともあるのです。
また、「司法の使命」を過度に意識した裁判官が、
政治的な傍論を書いて問題になることも頻発しています。

国民が「官僚無謬論」を信奉して役人に過度の期待を持つことのツケは、
結局国民に跳ね返ってくることを認識するべきです。

関連リンク
「【主張】沖縄集団自決訴訟 論点ぼかした問題判決だ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

集団自決判決 「軍命令」は認定されなかった : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:沖縄ノート判決 軍の関与認めた意味は大きい - 毎日jp(毎日新聞)

集団自決判決―司法も認めた軍の関与(朝日新聞社説)

「沖縄集団自決訴訟 判決要旨」事件です‐裁判ニュース:イザ!


2008年03月09日

薬害エイズ有罪 事なかれ主義に拍車の恐れも

 薬害エイズ事件で、非加熱血液製剤の回収措置などを怠ったとして、
当時の厚生省生物製剤課長、松村明仁被告(66)に対し、
業務上過失致死罪で禁固1年、執行猶予2年とした判決が、最高裁で確定しました。
ほとんどのマスコミが手放しでこの判決を賞賛しているようですが、
彼らが常々批判している、「公務員の事なかれ主義」に拍車を掛けかねないということには、
あまり言及していないようです。

 もし、自分が役人の立場だったとして、
今回の決定を受けたら、どのように考えるでしょうか。

「とりあえず安全措置を取っておけば、少なくとも刑事責任は追及されないのではないか。
国益を考えれば過剰反応だろうけれど、もし人の1人でも死んで、
起訴されたらたまらない。
今回の事件だって、起訴事実に挙げられている死者は1人なんだ――

 あまり大きく報道されていないようですが、
薬害エイズ事件によってエイズウィルス(HIV)に感染した被害者は1400人以上おり、
死者も500人以上に上っているのに対して、
今回の裁判で起訴事実に挙げられている死者数は1人なのです。
別の裁判でもう1人の死亡について起訴されましたが、
こちらの裁判では無罪が確定しました。

 つまり今回の決定が意味するところは、
予測可能な薬害で1人でも死亡した場合、
役人の刑事責任追及に発展する恐れがあるということなのです。
このような決定は、病気で100人死ぬ可能性があっても、
薬害で1人死ぬことは絶対に避けるというような事態を
招来しかねないのではないのでしょうか。

 最近、何か事件が起きると、とかく「犯人」を見つけ出し、
厳罰に処することが解決であるかのような言説が多く見受けられますが、
そもそも過失に対して刑罰で臨むこと自体にかなりの無理があるのです。
刑罰は本来、故意犯に対して科すことを想定した制度であって、
過失犯に科すことは例外とされています。
これは、過失犯に刑罰を科すことは国民の自由を著しく阻害しかねないという観点だけでなく、
そもそも過失による事件を防止する上で、
刑罰を科すことは必ずしも効果的ではないという理由によっています。
故意犯と違い、過失犯は事件を起こしたくて起こしているわけではないのですから、
これを防がなければならないとなると、
過剰な安全措置を取らざるを得なくなる場合が多くなるのです。

 今回の決定によって、ただでさえ新薬や先進医療の承認に時間が掛かりすぎると
批判されている日本の厚生行政が、更に時間の掛かるものとなりかねません。
そうなれば、患者は最新の治療を受けられず、
医師は最新の治療を学ぶことができず、
製薬会社は新薬開発の意欲を失うという、
誰もが損をする結果になってしまいます。
今後、今回の決定がどのような影響を及ぼしていくのか、
注視していくべきです。

関連リンク
「【主張】薬害エイズ裁判 不作為の罪に深い反省を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

薬害エイズ有罪―市民の生命を守る重さ(朝日新聞社説)

「不作為」有罪 官僚社会全体への警鐘だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:薬害エイズ 無責任な官僚を一掃する好機 - 毎日jp(毎日新聞)


2008年02月18日

沖縄少女暴行事件 ゼロリスク症候群を克服せよ

 沖縄県で2月10日午後10時半頃、中学3年の少女(14)に暴行したとして、
米海兵隊キャンプコートニー所属の2等軍曹、タイロン・ハドナット容疑者(38)が
強姦容疑で逮捕、送検されました。
ハドナット容疑者は暴行を否定していますが、
この件について犯罪が成立するか否かは社会的に大きな問題ではないので、
ここでは触れません。

 問題なのは、現状では通常の刑事事件として処理できているにも関わらず、
1995年以来13年ぶりに起きた少女暴行事件を政治利用し、
米軍基地撤退を唱える声が小さくないことです。

 彼ら反米勢力の理屈は、13年に1件でも少女暴行事件が起こるのであれば、
日本の防衛上極めて重要な役割を果たしている米軍基地を全面撤退させるべきであるという、
典型的なゼロリスク症候群性の詭弁です。
もちろん、当の反米勢力の多くはそれを理解した上で詭弁を弄しているのでしょうが、
残念ながら今尚、このような低レベルな詭弁に、
国民世論が少なからず惑わされているようです。

 詭弁の中でも、ごくまれな例を取り上げて根拠とするケースは比較的多く、
当ブログにおいても何度か記事にしていますが、
未だに「そのような主張はゼロリスク症候群性の詭弁である」と断じることのできる
政治家やジャーナリストは、ほとんど見かけることができません。
こうも少ないと、ゼロリスク症候群性の詭弁を弄する人は左右両派に多いので、
お互いに口に出せないのではないかと疑いたくなってしまいます。

 ですが、あらゆる分野において、1件事件が起きるたび、
国中大騒ぎして過剰な対応を取るケースが散見される昨今の状況を改善しなければ、
いつまで経っても日本の政治は安定しないでしょう。
野党が参議院の過半数を占めている現状では尚更です。
今回の事件を機に、そろそろゼロリスク症候群性の詭弁に頼るのは止め、
冷静に費用対効果を論じようという声が大きくなることを祈るばかりです。

関連リンク
踊る新聞屋−。: 「Morte alla Fransia Italia anela!」。自称愛国者のいかがわしさよ

「【主張】沖縄少女暴行 米軍再編への影響回避を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

沖縄米兵暴行 実効性ある再発防止策を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

沖縄でなぜ事件が繰り返されるのか(日経新聞社説)

社説:沖縄米兵事件 凶行を二度と起こさせるな - 毎日jp(毎日新聞)

米兵少女暴行―沖縄の我慢も限界だ(朝日新聞社説)

詭弁の特徴のガイドライン


2008年02月12日

空港外資規制 外国事例を参考にしよう

 成田空港や羽田空港など、国内の主要空港や関連施設運営会社の
外資保有比率について、議決権ベースで3分の1未満に制限しようという規制が、
国土交通省から提起されています。
これについては閣内からも反論が出ましたが、
またも町村官房長官がとんでもないことを言い出しました。

livedoor ニュース - [空港外資規制]岸田規制改革担当相、一転賛成へ

 これに関連し、町村信孝官房長官は同日の記者会見で、岸田氏ら法案に反対した3閣僚にかん口令を敷いたことについて「関係各省で事務的に調整が終わったものに閣僚が違うことを言うのは問題。(自民)党側からも強い申し入れがあったので私が注意した」と説明した。【石川貴教】

 全く逆です。
閣僚が決めたことについて、事務方(役人)が違うことを公言し、
政治活動を始めることが問題なのです。
今回のように、事務方(役人)が決めたことに問題があれば、
止めさせることこそが閣僚の仕事であって、それに黙って従えというのは、
まさに戦前の大日本帝国政府に蔓延っていた超然主義(官僚主義)そのものです。

 暫定税率問題 再議決を前提にするのはおかしいで取り上げた発言といい、
最近、町村官房長官のおかしな発言が増えているのではないのでしょうか。
国民的にも、永田町的にも人望の厚い政治家だと思っていましたが、
そろそろ引退時が近付いているのかもしれません。

 本題の空港外資規制については、外国事例が参考になります。

空港外資規制 安全保障上の歯止めが必要だ : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 外資規制がない英国やデンマークでは国際空港が買収されてしまった。経営権を握った外資は、短期間で利益を上げようと必要な投資を削る動きに出た。

 要員不足で搭乗手続きに長い行列ができ、清掃も行き届かなくなるなど、サービス低下が問題になっている。防疫やテロ対策までおざなりにされかねない、と懸念する声も出てきた。空港への外資参入を無制限に認めれば、日本でもこんな事態が起きかねない。

 問題になっているのは単なる要員不足で、
防疫やテロ対策については「懸念する声」が出ているだけです。
つまり何の問題も発生していません。
もちろん、今後についても問題が発生しないことを保障するわけではありませんが、
そもそも空港について、安全保障問題と絡めて外資規制論を唱えるのは無理があります。

 というのは、よく問題にされるハイテク産業や防衛産業について、
何故外資規制が必要になる場面が出てくるのかを考えれば分かります。
これらの産業は、敵対国軍やテロリストの能力を高める技術を持っている場合があり、
そういった技術の価値は経済的利益だけでは推し量れず、
政治的利益や軍事的利益をも勘案して外国と取引されなければならないからです。

 ところが、個々の企業が合理的に行動することによって、
国家の経済的利益の実現に資することはできても、
政治的利益や軍事的利益の実現に資することまではできない場合があります。
そういった場合に、技術を国内に囲い込み、
敵対国軍やテロリストに渡らないようにする手段の1つが、外資規制です。

 そういったことを考えると、羽田空港や成田空港を買収したとして、
一体何ができるというのでしょうか。
わざわざ空港のセキュリティを甘くさせる目的で買収するとでも言うのでしょうか。
そんなことをやれば、すぐに政治問題化して、強力な事後規制を食らうのは明白です。
下手をすれば全国の空港セキュリティの一斉点検でもされかねません。
莫大なカネを使ってまで空港を狙おうとする敵対国軍やテロリストにとっては、
悪夢以外の何物でもないでしょう。
第一そんなカネがあるなら、普通に軍備を増強したり、
日本国内にテロリストや武器を送ったりした方が、
よほど効果的に日本を攻撃できると思われます。

 もっとも、先に挙げた英国の例のように、
買収者がコスト削減に突っ走ってサービス低下を招いたり、
ひいては警備が手薄になったりする事態は考えられます。
これは空港が競争の少ない独占的産業だから起こる問題で、
出資者が内資か外資かというのは、何の関係もない話です。
現に鉄道や電気など、空港と同様に独占性の高い産業では料金規制がありますが、
外資規制については外為法以上の規制はありません。
尚、外為法の規制については空港に対しても適用されます。

 結局のところ、外国の例を見ても、理屈で考えても、
平時については料金規制や最低人員規制で対応し、
有事の場合には事後補償による強制使用規制で対応しておけば、
何の問題も発生しないでしょう。
また、警備、検疫、入国管理など、怠ると空港利用者以外にも迷惑が掛かる上、
公権力行使も必要になってくるような業務については、
必要な範囲で公務員にやらせても、
特に「改革逆行」といわれるような話ではないと思います。

 空港の出資規制のような、安全保障とは何の関係もないところで、
さも安全保障上の問題が発生するような言説が横行すると、
本当に安全保障上必要な規制を行うのに支障が発生します。

それを無視して安全保障上の問題を唱え、既得権益を守ろうというのは、
まさに国を売る行為に他ならず、許し難いことです。
規制派がそれを了知の上で規制を唱えているのか、
そんな大変なことだとは知らずに唱えているのかは分かりませんが、
政治家として全く相応しくない方々だということは確かです。

 日本の安全保障にとって、真に脅威となるのはいわゆる「反日左翼」ではなく、
こういう「安保族」です。
安全保障問題を重視される方には、
是非とも今回の問題を記憶に留めておいて頂き、
次の選挙で落選させて欲しいと思います。

関連リンク
「【主張】空港外資規制 安全保障の議論が重要だ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

社説:空港外資規制 納得できる説明が必要だ - 毎日jp(毎日新聞)


2008年02月03日

中国製ギョーザ中毒 消費者団体を見極めよう

 有機リン系殺虫剤「メタミドホス」に汚染された中国製ギョーザによる中毒事件で、
女児1人が一時意識不明の重体となり、
その他にも9人が被害を受けました。

 このような事態に至ったにも関わらず、
かつて大きな問題となったBSE問題では
米国産牛肉の禁輸解禁反対を声高に叫んでいたのに、
今回は中国製食品の禁輸措置に言及せず、
日本政府の怠慢ばかりを指摘する消費者団体が少なくないようです。

 確かに今回の問題によって、食の安全確保に対する日本政府の取り組みに
問題点が多々見つかったことは事実です。
しかし、BSE多発期に渡英していた1人を除き、
日本国内では発症例のないBSEには過度の対応を要求し、
実際に複数の被害者を出した中国製食品には検疫体制強化ぐらいしか要求しないというのは、
明らかに公平性を欠いています。

 このような消費者団体はその名称とは裏腹に、
消費者保護の名の下に日米を分断するのが真の目的なのではないかと
勘繰られても仕方がありません。

 そもそも中国については極端な環境破壊や公害の発生が多々報じられているところであり、
このような国からの食品輸入には、慎重を期さなければならないことは当然です。
具体的には、WTO協定などの国際的取決めに反しない範囲で食品輸入を制限し、
それでも輸入された食品には「中国産使用」とパッケージの表面に一定以上の大きさで
表示させるなどの規制をすべきでしょう。
外食産業に対しても、メニューに表示させるなどすべきです。

 ちなみに、外食産業に対する原産国表示規制については、
BSE問題の際に消費者団体が声高に要求していた規制です。

また、遺伝子組み換え食品についても、同様の規制を要求しています。
こういった表示規制については、コストを掛けず、また市場を歪めずに
消費者に選択肢を提供できる制度として、高く評価することができます。

 効果は高くてもコストも高くついてしまう禁輸措置のみならず、
コストは低く、効果はそれなりの高さを見込める表示規制についてさえ言及しない消費者団体は、
直ちにその看板を取り下げるべきでしょう。
禁輸措置に言及しないだけでも相当な減点ですが、
表示規制にさえ言及しないとなると、
もはや確信犯的な偽消費者団体といわざるを得ません。

 今回の問題は、数多ある自称消費者団体のうち、
どの団体が真の消費者団体で、どの団体が偽消費者団体なのかを見極める、
格好のリトマス試験紙といえるでしょう。
今後の各消費者団体の言動に要注目です。

関連リンク
外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 | 中国製・殺人ギョーザ続報

「【主張】中国製ギョーザ 問われる「食」の危機管理」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

中国製ギョーザ中毒と企業・行政の責任(日経新聞社説)

中国製餃子 「食の安全」守る体制の強化を : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

社説:有毒ギョーザ 日中共同で徹底解明を急げ - 毎日jp(毎日新聞)

中国製ギョーザ―食の安全に国境はない(朝日新聞社説)


2008年01月20日

暫定税率問題 再議決を前提にするのはおかしい

 揮発油(ガソリン)税に暫定税率を上乗せするよう定めている
租税特別措置法の改正(延長)案が、
国会で大きな争点となっています。
大まかに与野党の主張を並べると、以下のようになります。

野党「原油高の折、ガソリン税に上乗せされている暫定税率は廃止すべきだ。」

与党「財源はどうするのか。
また、3月31日までに成立しない場合、(4月1日に一旦税率が戻ってから、
衆院再議決で暫定税率が復活することとなり、)経済を混乱させる。」

 財源問題については大いに議論の余地があると思います。
年間で中央(国)、地方合わせて約2兆6000億円の税収減となるので、
何らかの措置は必要となるからです。
ちなみに、これほど大きな減税となるにも関わらず、
町村信孝官房長官は「テーマ設定が小さすぎる」(livedoorニュース)などと言っていますが、
金銭感覚がおかしいとしか言いようがありません。

考えられる対応策は大きく分けて2つあり、
1つは他の税を引き上げるか債券を増発して暫定税率分を補うこと、
もう1つは道路整備計画を中心とする歳出の見直すことです。

 実際にやるとすれば両方組み合わせることになると思いますが、
必要な道路整備は各地方の予算で行うこととし、
財源は地方税の引き上げや地方債の増発で賄えばよいでしょう。
各地方の予算で整備させることで無駄な道路の建設を抑制できますし、
暫定税率が撤廃されるのですから、その分地方税を引き上げることは可能なはずです。

 この対応が政治的に難しい場合、最悪の対応として、
国税の引き上げや国債の増発によって道路整備を続行するという可能性も考えられますが、
それでもガソリン税の引き上げが続くよりは幾分ましです。
ガソリン税は典型的な「狙い撃ち課税」であり、
資源配分を歪めることになるからです。

 最近ではガソリン税を、ピグー税(ウィキペディア)の一種である、
環境税(ウィキペディア)として肯定する考えもありますが、
現行のガソリン税制はそのような想定をおいた制度ではありません。
また、今から環境税の議論を開始しても、3月までにまともな議論をできるはずがないので、
一旦暫定税率を撤廃してから、時間を掛けて議論していくべきでしょう。

 与党の主張のおかしな点は、2つ目の
「(衆院再議決で暫定税率が復活することとなり、)経済を混乱させる」というところです。
これは全く理由になりません。
何故なら、与党が衆院再議決をしなければ済む話だからです。

 私が調べたところ、現時点で与党は「再議決」について、
明確には言及していないようですが、
そこを省略して「経済を混乱させる」と言っても同じことです。
再議決さえしなければ、単なる減税にしかならないので、
大した混乱など起きないでしょう。

 本当に経済の混乱を避けたいのであれば、与党が再議決をしないと明確に宣言すれば、
先行きがはっきりして対応しやすくなります。

政局的にも、財源問題の責任を野党に押し付けることができますので、
それほど悪くない選択肢でしょう。

 世論調査を見ても、暫定税率の撤廃には3分の2の有権者が賛成しており、
この状況で野党が年度内採決に応じる可能性は低いと考えられます。
これほど不人気な暫定税率を、4月に再議決して復活させれば、
与党に対して大きな批判が起きることは間違いありません。
それならば再議決せずに、野党にボールを投げてみるというのも、
1つの選択肢として浮上してくると思いますので、
与党にはこの選択肢を真剣に検討して頂きたいと思います。

関連リンク
善福寺手帳: 世論調査

「【主張】民主党大会 政局至上主義は信頼失う」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

与野党とも現下の経済を直視せよ(日経新聞社説)

ガソリン税 暫定部分も含め一般財源化を(毎日新聞社説)

民主党大会 政権担当能力をどう示すのか : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

通常国会―「ガソリン」だけじゃない(朝日新聞社説)


2008年01月13日

福岡追突事故判決 遺族の冷静さを称えたい

 平成18年に福岡市で起きた、飲酒運転による追突事故について、
福岡地裁は危険運転致死傷罪の成立を認めず、
業務上過失致死傷罪などによって懲役7年6月(求刑懲役25年)を言い渡しました。
この事故では幼児3人が亡くなり、平成13年に危険運転致死傷罪が創設されて以来、
最も大きな被害を出した飲酒運転事故とされ、
適用される罪や量刑が注目されていました。

 最近、交通事故の判決が少しでも軽い量刑になると、
遺族が大騒ぎしてマスコミが大々的に取り上げるというパターンが多いですが、
今回の事故の遺族は極めて冷静でした。

「「感想うまく言えない」 “宝物”失った夫婦」事件です‐事故ニュース:イザ!

 「胸がいっぱいで(感想は)うまく言えません」。判決後の記者会見で哲央さんは言葉を詰まらせた。「結論は裁判所の判断に委ねようと思ってきたので、受け入れようと思ってます」。自らに言い聞かせるような口調だった。

 交通事故にせよ、一般の犯罪にせよ、薬害にせよ、戦争犯罪にせよ、
とかく「被害者」の地位が異常なまでに高まっている昨今の日本において、
その地位を濫用せず、事態を冷静に受け止めて頂けることに、
心から感謝したいと思います。
ちなみに最後の一文「自らに言い聞かせるような口調だった。」という部分は、
東京版の産経新聞朝刊にはありませんでした。
遺族が泣いて騒ぐ様を記事にできなかったことの不満が、
この一文を追加させたのでしょうか。

 ただ、今回の事故の遺族のようなケースは、極めて稀です。
それは当然で、誰でも家族や友人の命を突然奪われれば、
故意か過失か無過失かなど関係なく、
原因を作った人を殺してやりたいと思うぐらいに恨むものでしょう。
大事故であれば、遺族が泣いて騒ぐ様を記事にしたいマスコミも群がってきます。
そのような中で、これほど冷静に事態を受け止めることが
大変困難であることは想像に難くなく、
全ての遺族に同じことを求めるのは酷というものです。

 問題は、突然の事態を前にパニックになっている
遺族の地位を異常なまでに高め、
加害者の利益をまるで考えずに法律改正することまで易々と受け入れてしまう、
昨今の世論にあるのではないでしょうか。

いくら人を死なせたからといって、あくまで過失による事故に過ぎないのに、
10年も20年も刑務所に入れることが、果たして妥当なのでしょうか。
刑法は加害者の利益と社会全体の利益を調和させるための法律のはずですが、
あまりにも加害者の利益が軽視され、
社会全体の利益が重視されすぎているように思います。

 社会全体の利益というのも、交通事故の減少という当初の利益から外れ、
もはやかわいそうな遺族の「味方」となって悦に入りたいという利益に
成り果てているといったら、言いすぎでしょうか。

厳罰化によって加害者が不利益を被ることはもちろん、
危険運転致死傷罪の適用を免れるため、
救護すれば助かるかもしれない被害者を見捨てて逃げねばならず、
そのために失われる命にさえほとんど議論が及んでいない現状を見ると、
過言とは言い切れないと思います。

 社会が遺族に対してするべきことは、
パニックに陥った遺族の「駄々」を唯々諾々と受け入れることではなく、
辛い思いを聞いたり、葬儀や当面の生活の手助けをしたりして、
落ち着いた生活を取り戻せるように支えていくことではないのでしょうか。
月並みですが、いくら厳罰を加えて「仇討ち」を達成しても、
長い目で見れば、遺族のためにはならないように思うのです。

 世論調査を見るに、私のような考えを持つ人は少数派のようですが、
「被害者」に振り回されて他の利益を見失うと、
日本はおかしな方向に進んでしまいます。

1億3千万人が住むこの日本、多少の悲劇は起きるものだと割り切らないと、
小さな問題への対処に追われてしまい、
本当に国家として対処が必要な課題に対応できなくなったり、
法令がコロコロ変わって安定しない社会になっていくでしょう。
そうした事態は、避けたいものです。

関連リンク
交通安全に関する特別世論調査(平成18年10月)(PDF)

飲酒運転、日本は甘い85%…本社全国世論調査 : ニュース : @CARS : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

「【主張】3児死亡事故判決 危険運転罪の見直し急げ」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!

福岡飲酒事故 「危険運転」罪の壁は厚かった : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

3児死亡事故―危険運転でないとは(朝日新聞社説)

社説:3児死亡事故 飲酒運転自体に厳しい処断を - 毎日jp(毎日新聞)


2007年11月25日

政治に「安心」を求める愚

 近頃、「安全、安心」を求める声が高まっているようです。
政府の予算要求のキーワードともなってきています。

2007/11/02-12:02 生活者の視点で法令総点検=年内にも対策を、閣僚懇で指示−福田首相

 福田康夫首相は2日午前の閣僚懇談会で、来年春をめどに消費者や生活者の視点に立って所管法令を総点検し、急を要する課題については年内に対策を打ち出すよう各閣僚に指示した。首相は耐震強度や食品表示の偽装問題に触れ、「政府の仕事のやり方は生産第1の視点からつくられてきたので、国民生活の安全・安心の視点が政策の中心になっていない」と指摘した。

 しかし、「安全」「安心」では全く意味が異なります。
「安全」とは現実的、物理的に危険がないことであるのに対し、
「安心」とは安全だと「感じる」ということ、
つまり「安全感」というようなものです。

 では、「安全」とは異なる「安心」を提供するためには、
どのようなことをすれば良いのでしょうか。
「安全」を提供するためには「危険」を取り除かなければならないのと同様、
「安心」を提供するためには「不安」を取り除かなければなりません。

 ここが問題なのです。
「危険」については、リスク評価等の手法を用いて一定程度に抑えることで
対応することができますが、
「不安」を政策的に取り除くことなど、果たしてできるのでしょうか。

 政治レベルで取り上げられる「不安」というのは、
かなりの部分がマスコミに大々的に取り上げられることによって生まれます。
例え大した問題ではなかったとしても、「不安」「危険」とは違い、
大した問題ではないことを証明しても解決しません。
マスコミが大々的に取り上げ続ける限り、「不安」は残り続けるのです。

 もしこれに対応するとすれば、
小さな問題に対して過剰な対応を取ることによって「旬」が過ぎるのを待つか、
マスコミに圧力を掛けて黙らせるぐらいしか手がないでしょう。
どちらにしても、無用な問題が起きることは明白です。

 小さな問題に対して過剰な対応を取れば、少なくとも税金が無駄になりますし、
場合によっては国民の権利が不必要に制限されることにもなります。
マスコミを無理矢理黙らせれば、
取り上げられるべき問題が取り上げられなくなってしまいます。
これではまさに、戦中の日本のような状態です。

 「安心」というのは自らの判断力を磨いて本当の問題は何かを見抜き、
対処していくことでしか得られないものです。
それを面倒くさがって、政治に「安心」を求めても、
政治には国民の目を惑わしたり、耳を塞ぐことぐらいしかできません。
これは政治家が悪いのではなく、
無理難題を政治に求める国民の方が悪いのです。

 「安全」のように、ある程度政治に求めるべきものはしっかりと求めていき、
「安心」のように、自力で獲得すべきものは自力で獲得する。
民主主義国民のあるべき姿とは、こういうものだと思います。

関連リンク
「【主張】シーリング 改革の加速へ大きく舵を」コラむ‐オピニオンニュース:イザ!


2007年10月21日

EU新基本条約(リスボン条約)採択 EU政界に広まる反民主主義思想

 欧州連合(EU)は19日、ポルトガルの首都リスボンでの非公式首脳会議で、
将来のEU運営の基礎となる新基本条約「改革条約(リスボン条約)」案を採択しました。
2005年にフランスやオランダが国民投票で否決した、
欧州憲法条約の代替案となるものです。
加盟国の内、1国でも否決されると発効しないため、
全加盟国に受け入れやすいように、様々な修正を施したものとなっています。

 内容的に全加盟国が受け入れやすいものにするということは結構なことですが、
問題は一部の加盟国が「リスボン条約は欧州憲法条約とは異なる」などとして、
国民投票に代えて議会による議決で批准しようとしていることです。
これは国論を政治の力でねじ伏せて批准を強行しようということであり、
もし各国がこの手法を取った場合、EU史に大きな禍根を残すこととなるでしょう。

EU新基本条約 「国会で批准」に野党、世論反対 英ブラウン首相苦悩(産経新聞) - Yahoo!ニュース

 【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)は19日、ポルトガルの首都リスボンでの非公式首脳会議で、将来のEU運営の基礎となる新基本条約「改革条約(リスボン条約)」案を採択したが、同条約の批准をめぐり、英ブラウン政権が苦境に立たされそうだ。

 ブラウン首相は国会での批准を目指しているのに対し、最大野党保守党のキャメロン党首は、批准のための国民投票の実施を要求、政権への圧力を強めているためだ。

 英国ではEU懐疑論が根強く、国民投票となれば批准は難しい。批准できなければEU内での批判にさらされる。支持率が急落している首相にとってまさに内憂外患となりそうだ。

 「リスボン条約」は12月13日に署名され、加盟27カ国の承認を経て2009年1月1日に発効する。憲法で国民投票の実施が定められているアイルランドを除き、加盟国の大半は、05年に欧州憲法がフランスとオランダの国民投票で否決され立ち往生した二の舞を演じないよう、議会での承認をもって新条約案を批准する方針だ。

 英与党労働党は、前回総選挙で欧州憲法批准のための国民投票を公約したが、ブラウン首相は今回の「リスボン条約」は、「外交・防衛政策、警察・司法手続きなど主権に関わる分野で英国の国益は確保されている」として欧州憲法とは異なると説明。国民投票ではなく議会での承認を求める考えを表明した。

 しかし、18日付の英紙デーリー・テレグラフ紙の世論調査では69%が国民投票の実施を求めており、不要としたのは14%に過ぎない。このため、ブラウン首相は、国会でリスボン条約が承認されても、次期総選挙では国民投票を選択しなかった責任を問われる可能性が高そうだ。

<EU>改革条約採択 問われる各国首脳の国内政治力(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 条約の成立には今後、全加盟国の批准が必要になる。英国では、51%が条約に批判的で、「国民投票を行えば、反対派が勝つ」(MORI社会調査研究所)状況だ。このため、ブラウン英首相(労働党)は「改革条約は国の統治に根本的変化をもたらさず、国民投票は必要ない」と主張、議会での批准で乗り切る考えだ。

 このほか英紙の調査では議会で批准手続きを実施する予定の独、伊、仏でも軒並み6〜7割が、批准の国民投票を要求している。

 EUの拡大、強化路線について、私は以前から疑問を持っていました。
それは、歴史、民族、経済情勢など、
様々な違いを抱えるEUが、このまま拡大、強化を続けていけば、
いずれ民主的な意思決定は困難となり、
巨大な独裁主義的共同体と化すのではないかということです。
既に加盟国民からは「すべての不幸はブリュッセルからやってくる」(2007年3月24日付産経新聞朝刊)
と囁かれるほど、EUに対する不信感は強いものとなっています。

 また、EUの拡大、強化を推進している国は、
フランスやドイツなど、比較的左派色の強い国です。
一般に左派というのはあまり愛国的ではなく、
目的達成のために非民主的手段を取ったり、
超国家的共同体に国家主権を移譲することに対しても、比較的寛容です。
こうした国が民主的手段による国家主権の移譲を困難と見れば、
非民主的手段に訴えてでも移譲を推し進めようとすることは、十分に考えられることです。

 こうした状況下、リスボン条約の批准問題がEUの独裁主義化への端緒となるのか、
注視していくべきです。
拡大、強化を急ぎすぎた超国家的共同体の転換点として、
歴史に刻まれることとなるかもしれません。

関連リンク
リスボン条約 - Wikipedia

欧州憲法 - Wikipedia


2007年07月16日

情報格差による所得格差 「見えない所得格差」にも注目を

「ネットを使えなければ所得低下 情報通信白書」ビジネス‐情報・通信ニュース:イザ!

 菅義偉総務相は3日午前の閣議に平成19年版の「情報通信白書」を提出し、了承された。年収が多いほどパソコン保有率やインターネット利用率が高くなる相関性があることを指摘。情報格差が所得低下など経済的格差につながる可能性があると警告した。
 白書によると、パソコンを使ったネット利用率は、年収200万円未満の世帯で52.9%、600万円以上800万円未満で78.3%、2000万円以上が86.4%。

 また、情報取得による経済的効用について、過半数の人が、多くの情報や新しい情報を得ることが経済的に有利と考えており、白書は「情報にアクセスする手段を持たない人は、経済的効用が得られず、所得が低くなる可能性が考えられる」と分析した。

 数字については、あくまで「相関性」を表しているだけであり、
「因果性」までをも表しているものではないことに注意が必要です。

とはいえ、所得の向上にネット利用が有効であることを否定する人は少ないでしょう。
今やネットは仕事や勉強をする上で当たり前のように利用されるものであり、
ネットを満足に使えなければ仕事や勉強に支障を来たし、
所得を向上させる上で障害になることは自明の理です。

 盲点なのは、実質的な所得を向上させる方法には2種類あるということです。
1つは単純に所得を増やす方法。
もう1つは消費や貯蓄をうまく行い、金額当たりの経済的効用を増やす方法です。
例えば、ネットを利用することによって、より良いモノをより安く買うことができれば、
その分実質的な所得は向上する訳です。

 ネットを利用することによって金額当たりの経済的効用を増やすには、
ネット上のコンテンツを利用すること、
ネットの情報を利用して、消費や貯蓄をうまく行っていくことの2通りが考えられます。
しかし、平成19年度版情報通信白書も、各マスコミの記事も、
このことには触れていないようです。

 単純な所得格差は数字として目に見えますが、
金額当たりの経済的効用の格差は、容易には見えてきません。
また、本人が格差を認識することも容易ではありません。

この点が大きな問題であり、政府やマスコミは積極的に取り上げていくと共に、
実態把握や改善に努めていくべきです。

関連リンク
総務省:情報通信統計データベース:情報通信白書


2007年03月28日

公務員制度改革 一つ一つ確実に推し進めよ

 公務員制度改革について、政府と自民党の対立が激化しています。
両者の主張を簡単にまとめると、
政府は「とにかく改革を進めよう。細部は進めながら詰めていけばいい」
自民党は「細部まで全部決めてから改革を実施すべし」
ということになると思います。

 マスコミの報道を見ていると「新人材バンク」をどうするかという問題ばかりが
注目されていますが、実際に対立点になっているのはそれ以前の問題なのです。
改革案の骨子を見ても、「新人材バンク」の設立はあくまで
公務員制度改革の一つに過ぎないことが分かります。

◆公務員制度改革案 了承持ち越し 省庁側やまぬ抵抗(3月27日付産経新聞朝刊)

 ≪改革案の骨子≫

 一、職員採用試験の種類や年次にとらわれない能力・実績主義

 一、国家公務員の天下り斡旋を新人材バンクに一元化。移行期間中は再就職等監視委員会(仮称)が承認した場合に限り、各省庁の斡旋を認める。バンク職員による出身官庁職員の再就職斡旋は禁止

 一、機能する新人材バンクの制度設計に向け、有識者懇談会で検討

 一、専門スタッフ職制を平成20年度に導入。19年度に各省庁の幹部ポストの1割を公募。定年延長を検討する

 また、これを見れば分かる通り、政府の改革案でさえ「新人材バンク」の
具体的な制度設計はこれからの検討課題となっています。
制度設計を検討する前に設立を確定させて、しかも今まで行われてきた
人事慣行を取りやめよというのですから、猛反発されるのも仕方ないでしょう。
これでは官僚人事に大きな支障をきたしかねません。

 しかし、能力主義や専門スタッフ職制の導入、早期退職慣行の廃止といったことであれば、
比較的容易に実現できるでしょう。
比較的容易に実現できる改革を進めながら、「新人材バンク」の導入といったような
大改革の細部を詰めていくようにしていくことが、結果的には改革推進につながります。

急がば回れといいますからね。

 公務員制度改革を推し進めている塩崎恭久官房長官や渡辺喜美行政改革担当相は
「すべての改革がセットと言っていては、すべてが先送りになる」といっているそうですから、
分かっているのであれば一つ一つ確実に推し進めていくべきです。

関連リンク
【主張】天下り防止策 安易な妥協は改悪になる-コラむのニュース:イザ!


2006年12月24日

本間税調会長辞任 公私混同の批判はやめよう

 政府税制調査会(首相の諮問機関)の本間正明会長(大阪大大学院教授)が21日、辞任しました。
家族ではない女性との同居、公務員宿舎への入居が問題とされ、
与野党やマスコミから集中砲火を受けたからです。

 しかし、2つの問題は、本当に批判に値するような行為なのでしょうか。
女性との同居は私的な問題であり、本間氏の家族が批判するということはあるにしても、
与野党やマスコミが批判するというのはおかしな話です。
そもそも、家族ではない女性と同居しているということは、
既に妻とは別居状態にあるということでして、
家族の批判に値するのかさえ、微妙なところでしょう。

 公務員宿舎の売却を主張するなら宿舎に入居するなという批判に至っては、
宿舎に入居している人は宿舎の売却に抵抗せよというような話で、
一体全体何が言いたいのか、さっぱり分かりません。
宿舎に入居しながら宿舎の売却を推し進めることに、
何の問題があるのでしょうか。
妬みによる八つ当たりにしても、あまりにもでたらめな批判です。

 また、今回の辞任劇には、財務省も一枚噛んでいます。

傷つく宰相、はや背水 本間氏辞任 官邸「守るも切るも地獄」-政治もニュース:イザ!

 会長ポスト人事では財務省が、財務省寄りで増税志向が強かった石弘光前会長の続投を求めていたが、それを嫌った安倍首相や塩崎長官ら「官邸チーム」が、法人税減税を唱える本間氏を押し込んだ経緯がある。

 「(本間氏への)批判は(経済財政政策の転換を迫る)思惑含み。それに屈して、辞めさせるわけにはいかない」。安倍首相は、連日のように出てくる辞任要求に対して、強い不快感を周辺に漏らした。

 こうした路線対立に加え、公務員官舎が財務省所管であることから、官邸には早くから「財務省リーク説」が流れ、不信感が募っていたことも、官邸の対応をにぶらせたようだ。

 実際、財務官僚の1人は舞台裏について「官舎の件はうち(財務省)が用意し、自民党税調のインナーが引き金を引いたという感じかな」と言ってはばからない。

 結果的に、役人の行動によって政府税調会長のクビが飛び、
自民党税調は役人に借りを作ったのです。

何故かあまり大きく報道されていませんが、
重大な役人の政治介入であり、今回の辞任劇の最も大きな問題です。

 与野党やマスコミは、世論調査もせずに
「世論は本間氏に道義的なけじめを求めている」などと
適当なことを言っていないで、この問題を厳しく追及し、
役人の暴走から民主主義を守るべきです。

(12月29日関連リンク修正)

関連リンク
税調会長バッシング-TOKYO ROCK CITY:イザ!

姫路立命会 : 経済学者が採った、合理的選択の結末

財政改革ウォッチャー: “豪華な官舎”で考えたこと

外交と安全保障をクロフネが考えてみた。 | 官邸VS財務省戦争勃発か

本間税調会長 国民の厳しい視線自覚を(産経新聞社説)

[税調会長辞任]「つまずいた首相主導の人事」(読売新聞社説)

税調会長辞任でも方針維持を(日経新聞社説)

本間会長辞任 「チーム安倍」が漂流している(毎日新聞社説)

本間氏辞任 つまずいた安倍改革(朝日新聞社説)


2006年12月15日

ウィニー判決 罪刑法定主義の徹底を

  ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」を開発した金子勇被告に
罰金150万円(求刑・懲役1年)の有罪判決が言い渡されました。
罪状は著作権法違反幇助なのですが、あまりにも酷い判決と言わざるを得ません。

元検弁護士のつぶやき: ウィニー開発者に罰金判決(いくつかの追記あり)

 言い換えると講学上は、つまり教室で理論的に考察するのであれば、幇助になりうる事案だと思われる、ということです。

幇助犯の処罰範囲 - 碁法の谷の庵にて - 楽天ブログ(Blog)

 主観面としては、本件の判決では、「著作権侵害に使われることを認識・認容していた」という。ただ単に認識ではなく「認容」まで求めるのがミソだ。
 「誰かがやっちゃうかもしれないけど、まあそんなこともないだろう」というのでは「認識」はあるが「認容」していない。「誰かがやっちゃうかもしれないけど、なったらなったで別にいい」と言うのが認容だ。

 こうした判決賛成論も聞かれるのですが、やはり以下の点が決定的に問題です。

踊る新聞屋−。: [winny事件]放置も法治も罪刑行政裁量主義

 結局ですね、専門家や社説が法理論や社会常識をもってwinny有罪の正当性を解説しても、ではwinnyは摘発されてもYouTubeやgoogleが摘発されない多重基準や恣意性を誰もが納得できるよう論理的かつ説得力を持って明快に、「だからwinnyは有罪なんだ」と解きほぐした例というのは見当たらない。

スピード違反と著作権法違反の違いってなんだろう。 : ひろゆき@オープンSNS

でも、スピード違反に使われることが予見されるスポーツカーを作っても、自動車メーカーが違法性を問われることはないわけです。

 認識と認容の区別を付けるべきか否かについては学説が分かれるようですが、
「誰かがやっちゃうかもしれないけど、まあそんなこともないだろう」というのは
前半と後半が矛盾しており、実際には、
「誰かがやっちゃうかもしれないけど、なったらなったで別にいい」しかあり得ないでしょう。
何故このような無意味な区別を付ける学説があるのか理解できませんが、
金子被告が罪に問われて、YouTubeや自動車メーカーが罪に問われない理由にはなりません。

 12月13日付産経新聞夕刊によると、2ちゃんねるには
「包丁をつくった職人も捕まるのか」「殺人をすると言っている奴に包丁を渡すのは問題」
「核ミサイルはつくること自体が禁止」といった書き込みがあったそうですが、
この判決に沿えば、包丁職人は有罪となるでしょう。
著作権を侵害すると言っている人にウィニーを渡してなどいないので、これは関係のない話です。
核ミサイルの製造は明文の法律で禁止されているのであって、
殺人幇助などでしか捕まえられないということはありません。

 このような判決は、罪刑法定主義を破壊するものです。
ウィニーが問題だというなら立法措置で対応するべきであって、
司法府の出る幕ではないのです。
金子被告は即日控訴しましたので、
上級審では罪刑法定主義に則った判決が下されることを望みます。

関連リンク
「未必の故意」と「認識ある過失」(Wikipedia)

踊る新聞屋−。: winny事件とネット規制−「猥褻」と「著作権」の「幇助」。そして

livedoor ニュース - ウィニー開発者「有罪」 ネットで判決批判が大勢

ウィニー有罪 開発者が萎縮する(朝日新聞社説)

ウィニー判決 開発意欲そがない議論を(産経新聞社説)

技術も配慮したウィニー判決(日経新聞社説)

ウィニー有罪判決 実態は変わらないむなしさ(毎日新聞社説)

[ウィニー判決]「技術者のモラルが裁かれた」(読売新聞社説)


2006年12月09日

「実名と報道」刊行 国民に「冷静な議論」を促せ

◆「実名 メディアの原点」 知る権利に奉仕 新聞協会が冊子(12月8日付産経新聞朝刊)

 事件、事故の被害者や国家試験の合格者らについて、警察や官公庁の発表で匿名化が進んでいるとして、日本新聞協会は7日、実名発表の意義に関する考え方をまとめた冊子「実名と報道」を刊行した。「実名はメディアにとってすべての始まりで原点」とし、実名発表にこだわる決意を強調している。

(中略)

 ■匿名報道 感情の希薄化を招く

(中略)

 全国の警察が今年10月中に摘発した酒酔いなど飲酒運転の件数は、昨年同月比で23・4%減の8794件だった。これは取り締まりの強化とともに、飲酒運転根絶の機運が全国的に高まった結果といえた。何が世間の目を厳しくさせたのか。それは福岡市で8月末、飲酒運転の車に追突され、博多湾に沈んだ一家の悲痛な叫びだった。

 亡くなった長男の大上紘彬(ひろあき)君(4)、二男の倫彬(ともあき)君(3)、そして一番幼い紗彬(さあや)ちゃん(1)。彼らの名を呼びながら母親のかおりさんは何度も暗い海に潜った。かわいい盛りの博多どんたくの衣装の写真が悲しみを色濃いものとして全国に伝え、激しい怒りが燎原(りょうげん)の火のごとく広がったのだ。

 匿名化により、共有すべき感情が希薄になることを、何より恐れる。(社会部長 別府育郎)

マスコミが事あるごとに、声高に訴える「冷静な議論」は一体どうなったのでしょうか。
国民に「冷静な議論」を求めるのであれば、センセーショナルな表現は避けるべきでしょう。
匿名報道が感情の希薄化を招くというのであれば、それはむしろ望ましいことのはずです。

実際に、この事件のセンセーショナルな報道により、
「飲酒運転根絶の機運が全国的に高ま」りました。
飲酒運転は私的な問題であり、懲戒処分にはなじまない問題にも関わらず、
飲酒運転をしたら例外なく懲戒免職処分にするというような、
極端な処分規定を置く役所や企業も現れました。

あまりにも行き過ぎた厳罰主義であり、内規を守らせて業務効率を上げるという、
懲戒処分の本来の目的を損ないかねないでしょう。
無意味に懲戒免職処分にしたら使用者にとっても損失ですし、
不合理な懲戒処分規定は労働者の反発を買うからです。
裁判でも、処分の合理性を否定する判決が出ています。

もちろん、何でもかんでも匿名報道すべきだというのではありません。
政治家が絡むような事件であれば、関与した政治家の実名や政党を報道することは、
国民が「冷静な議論」をする上で役立つでしょう。
しかし、一般的な事件、事故では、実名報道の意味は全くないと思います。
センセーショナルな報道が横行して「冷静な議論」を妨げたり、
プライバシーを侵害したりするだけでしょう。
センセーショナルな報道で視聴率や部数を稼ぎたいだけじゃないのかと疑われたくなければ、
マスコミは率先して匿名報道を行うべきです。

関連リンク
ねこちゃんブログ: 新聞は廃刊せよ!

asahi.com:新聞協会が「実名と報道」刊行 匿名発表の流れに警鐘 - 社会

livedoor ニュース - [新聞協会]冊子「実名と報道」刊行


2006年12月04日

外部評価と教育バウチャーの相乗効果

livedoor ニュース - [教育再生会議]「ゆとり教育見直す」中間報告素案で明記

 政府の教育再生会議(野依良治座長)で学校教育の改革を協議する第1分科会は30日、来年1月にまとめる中間報告の素案を公表した。「不適格教員を排除するため、あらゆる制度を活用する」との姿勢を打ち出し、保護者や児童・生徒が教員評価に参加する第三者評価を打ち出した。

(中略)

 教員への評価では、校長だけでなく保護者や児童・生徒も加わることを提唱。

学校選択制や教育バウチャー制度を導入するにあたって、
児童・生徒と保護者に対し、
どのようにして学校の情報を提供していくかが課題となっていますが、
実際に教育を受けた児童・生徒と保護者による評価は、
最も参考になる情報といえるでしょう。

筆記試験の結果を公表することも一定の意義はありますが、
元々試験に秀でた児童・生徒がどれだけいるのか、
そもそも筆記試験の結果がよいことにどれ程の意味があるのかといった問題があるので、
あまり参考になる情報ではないのです。
実際に教育を受けた児童・生徒と保護者による評価の方が、余程役立ちます。

しかし残念なことに、ネット世論を見る限り、批判的な意見が多いようです。
以下のような批判が、特に多く見受けられました。

  • 児童・生徒は、きちんと授業をする教師を悪く評価する
  • 教師の権威を失墜させる
  • 教育サービスは評価が困難

まず、ほとんどの児童・生徒は、きちんとした授業を受けることを望んでいます。
そうでなければ現在のような受験産業の興隆はありませんし、
必修科目の未履修問題も起こらなかったでしょう。
このような批判は、あまりにも児童・生徒を見下していると言わざるを得ません。

大体、きちんと授業をする教師を悪く評価するような児童・生徒が
大量にいるような学校に、誰が行きたいと思うのでしょうか。
それはそれとして、悪い学校と評価されるのは致し方ないことです。

次に、教師の権威を失墜させるという批判ですが、
そもそも教師の権威とは何でしょうか。
地域の大卒者は教師ぐらいしかいないというような時代ならともかく、
大学進学率が半数近くに上る昨今、教師に権威など存在しないでしょう。
公立校教師に至っては、毎日のようにマスコミに叩かれている、
一介の地方公務員に過ぎません。
一介の地方公務員にどれ程の権威が存在するのか、甚だ疑問です。

最後に、評価が困難という批判ですが、これは工夫次第で解決できます。
適切な評価項目を設定し、評価に対する説明機会を確保すれば大丈夫です。
ただ、評価項目が不適切であったり、評価に対する説明機会が十分でなかったりすると、
児童・生徒やその保護者が間違った判断をしてしまう可能性があるので、
その点は留意する必要があると思います。
説明機会については入学前説明会や懇談会などが既に行われているので
問題ないでしょうけれど、評価項目をどのように設定するかについては、
今後の課題になってくるでしょう。

このように、ネット世論に多く見られる批判は、少し的外れなのではないでしょうか。
外部評価制度によって学校の情報が児童・生徒と保護者に行き渡り、
教育バウチャー制度によって自由に学校を選べるようになれば、
学校間で健全な競争が促進されると共に、
各々の児童・生徒にとって最適な学校を選び、入学することができるようになるでしょう。
2つの制度は相乗効果を発揮し、教育再生の切り札になると思います。

(12月4日追記)

◆【教育再生 安倍改革】半数がバウチャー賛成 内閣府の保護者調査(12月4日付産経新聞朝刊)

 ■不適格教員の排除求める
 児童生徒が学校を選択し、児童生徒数に基づいて教育予算を配分する「教育バウチャー制度」の導入に約半数の保護者が賛成していることが内閣府のアンケート調査で分かった。

 バウチャー制度は、文部科学省は消極的だが安部晋三首相は前向き。賛成は50・1%と半数を占め、反対(10・6%)を大幅に上回った。反対の理由は「小規模校の教育環境が悪化する」(80・9%)が多かった。

 同じく安倍政権が推進しようとしている教員免許更新制度については、制度への期待として、大半が不適格教員の排除も合わせて求めていた。中教審は教員排除と関連づけてはいないが、資質・能力向上だけを求める声は1割余りにとどまった。

 学校評価制の一部となる「教員評価」は政府の閣議決定で促進が求められているが、児童生徒の経験率は1割未満。評価する主体で望ましいのは「児童生徒・保護者」が過半数を占めた。

内閣府の保護者調査によると、
児童・生徒と保護者による教員評価に過半数が賛成しており、
教育バウチャー制度の賛成派は反対派の5倍となっています。
保護者世論とネット世論には、かなりの開きがあるようです。

関連リンク
ユーディット : 公的教育はさびれていく

千葉市政に注目してみる(熊谷 俊人): 教員の個人評価について

The king has donkey ears・王様の耳はロバの耳 保護者の教員評価だけでは問題解決しない

教育に止めを刺す。-風のたより:イザ!


2006年11月29日

税制改革 税収見通しを試算せよ

道路特定財源の一般財源化、証券税制の優遇措置廃止、
減価償却制度の見直しによる法人税減税、消費税増税など、
様々な税制改革が議論されています。
しかし、実際に税制改革を行った場合、どのような影響が出るのかという
肝心の議論がほとんど行われていないのではないでしょうか。

マスコミ報道を見る限り、法人税減税を行うと何千億円の減税になるとか、
消費税増税を行うと何兆円の増税になるとか、
現在の景気が維持されるという前提で、直接的にどれだけ影響が出るのか、
という議論に止まっているように思います。

しかし、税制を変更した場合、現在の景気が維持されるということはあり得ません。
証券税制の優遇措置を廃止すれば証券市場に悪影響が出ますし、
減価償却制度の見直しによる法人税減税を行えば設備投資が促進されますし、
消費税増税を行えば消費が減少します。

こういった影響を試算して国民に提示してくれないと、
国民には政策を選択しようがありません。
安倍政権になってから「成長なくして財政再建なし」「上げ潮路線」「成長戦略」「成長路線」などが
叫ばれるようになりましたが、
赤字財政を放置して、とにかく減税しまくるというような話でもない限り、
税制の変更が景気と税収に対して、どのように影響するのかという議論は
避けて通れないはずです。

減税を行うのであれば、初年度にはこれだけの減税になり、
景気への好影響で10年間のGDPはこれだけ上昇して、総税収はこれだけになる。
増税を行うのであれば、初年度にはこれだけの増税になり、
景気への悪影響で10年間のGDPはこれだけ下落して、総税収はこれだけになる。
こうした議論なしに税制を論じても、建設的な議論とはいえないでしょう。
具体的な数字の試算を公表し、国民に政策選択の機会が与えられることを望みます。

関連リンク
税制改正 企業減税先行は納得いかぬ(毎日新聞社説)

[法人税減税]「競争力強化に何をすべきか」(読売新聞社説)

税収増でも歳出削減の手を緩めるな(日経新聞社説)

予算編成 成長に欠かせぬ財政再建(産経新聞社説)

07年度予算 「国債25兆円」が試金石だ(朝日新聞社説)


2006年11月23日

労働法制改革 情報公開がカギだ

「自律的労働時間制度(ホワイトカラー・エグゼンプション)」や「解雇の金銭的解決」の導入、
不払い残業(サービス残業)問題などについて、議論が高まっています。
しかし、誤解に基づく議論もかなりあるようです。

サラリーマンの残業代が消える!? 年代別減額リスト(ZAKZAK)

 労働総研が国の統計などを元に行った試算では、労働者側が失う手当は総額で4兆6000億円(1人あたり45万円)。これに独自に計算したサービス残業の総額7兆円を加えると、なんと総額11兆6000億円(筆者注:1人あたり114万円)もがカットされることになるというのだ。

この記事を根拠に、「ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されると
年収が114万円も減らされる!」
との議論がありますが、これは間違いです。
まず、「サービス残業の総額7兆円」をどのような計算で導き出したのか分かりませんが、
この7兆円は現状でも支払われてはいません。
現在行われているサービス残業(不払い残業)時間分の残業代が支払われたとしたら、
7兆円になるというだけの話です。

また、「4兆6000億円」が具体的に何を指しているのかよく分かりませんが、
仮に残業や休日出勤による賃金の割増分のことを指しているのだとすれば、
これも間違っています。
企業は法令の許す限り最低の水準で、賃金を設定している訳ではないからです。
例え残業や休日出勤による賃金割増義務が撤廃されたとしても、
何らかの形で働いた分の賃金は支払われます。
そうしなければ、労働者が辞めていってしまったり、やる気を失ってしまったりするからです。

このことは、ほとんどの企業の賃金が、法令上最低の水準に設定されてはいないことからも、
分かると思います。
もちろん、賃金割増義務撤廃によって賃金が減らされることは考えられます。
しかし、完全にただ働きさせるような企業は、
法令上最低の賃金しか支払わない企業と同じぐらいしかないでしょう。
賃金割増義務撤廃によって、全労働者がただ働きさせられるということは絶対にあり得ない話で、
4兆6000億円も賃金が減らされるということはありません。

この誤解がかなり広まっているようですので、少し細かく解説しましたが、ここからが本題です。
どのような労働法制を導入すれば、労使双方の利益を最大化することができるのでしょうか。
尚、当ブログが指す「労働者」は学問上の労働者(就業者と失業者)であり、
労働法制上の労働者(就業者と元就業者の一部)とは異なりますので、ご了承ください。

そのカギは、労働状況についての情報公開制度を確立することにあります。
労働法制改革をしようとすると、必ず「規制緩和は労働者を搾取するものだ」という声が出てきます。
しかし、労働状況についての情報が公開されていれば、
そのようなことはほとんど起こらないでしょう。
そんなことをすれば、その企業に就職しようという人が減ってしまいますし、
既に就職している人も、もっと条件のよい職場に転職していってしまうからです。

現在の労働法制が抱えている問題は、この情報公開制度を確立するどころか、
情報公開を事実上阻止していることにあります。

残業や休日出勤の際に割増賃金を支払うことが義務付けられているため、
違法な不払い労働が横行し、労働状況がアングラと化しているからです。
当然、アングラ状態を堂々と公開する訳にはいかないので、
情報公開はしたくてもできない状況となっています。

現実離れした規制を緩和した上で、労働時間、離職率、満足度など、
公開しなければならない情報を決め、
その情報を正確かつ簡単に手に入れられるようにすべきです。

具体的な手段としては、労働者が各地の労働局に直接情報を伝え、
それを労働局のサイトで公開するというような方法が考えられます。
労使双方の主張を載せるということも考えられるでしょう。

労働状況についての情報が公開されれば、市場原理によって適切な労働環境が守られ、
労働者は自分に合った企業を探すことが容易になり、
使用者は高い離職率に頭を痛めることがなくなっていくでしょう。
労働法制改革というと、とかく規制強化か規制緩和かで労使が真っ向対立する構図となりがちですが、
互いの利益を最大化する方策として、情報公開制度の確立を検討して頂きたいと思います。

関連リンク
Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜: I Never Promised You a Rose Garden.

花のニッパチ、心のままに ≫ ホワイトカラー・エグゼンプションに反対 経済同友会

この素晴らしき平坦な戦場にそえて - ホワイトカラー・イグゼンプションの問題性

労働法改正 まず不払い残業をなくせ(朝日新聞社説)

ホワイトカラーエグゼンプション - Wikipedia


2006年11月09日

造反組復党問題 改革路線を継続できるのか

郵政民営化に反対し、自民党を離党した無所属議員を復党させるか否かが問題となっています。
この問題には政策面と政局面がありますので、順に見ていきたいと思います。

まず、政策面について。
この点から考えるべき事はただ1つ、郵政民営化に反対した造反議員を復党させても、
改革路線を継続できるのかという事です。

安倍晋三首相や中川秀直幹事長は「郵政民営化に賛成すれば良い」などと言っているようですが、
それだけでは論外です。
改革路線の足を引っ張ったり、郵政民営化の内容を骨抜きにしたりされるのは明らかでしょう。

どうしても復党させるというのであれば、自らの非を認め、改革路線に協力するという言質を取らなければ駄目です。
しかし、そんな事はまず無理なので、復党させた場合に改革路線が後退させられることは避けられないでしょう。
よって、政策面からは復党させるべきではないと思います。

次に、政局面について。
造反議員を復党させる理由について、参院選対策が挙げられています。
しかし、復党させることによって、本当に参院選を有利に戦うことができるのでしょうか。

まず、復党させた場合、野党はどのように反応すると考えられるでしょうか。
「総選挙は茶番劇」「自民党は自らの意思で抵抗勢力を取り込んだ」「政策は二の次で選挙に勝つことしか考えていない」・・・
格好の攻撃材料を提供することになるのは確実でしょう。
いくら旧来の支持基盤に働きかけやすくなるとはいえ、
下手をすれば参院選を有利に戦うどころか、不利に戦うことになりかねません。
実際問題として改革路線を危機に晒すことになるのですから、当然と言えば当然の話ですけれどね。

復党させない場合は3つの状況が考えられます。
造反議員が与党と選挙協力する場合、野党と選挙協力する場合、選挙協力しない場合です。

与党と選挙協力する場合、やはり復党させた場合と同じような批判を受けるかもしれません。
しかし、選挙協力は同一政党に所属する場合と違い、政策を同じくする必要はないのです。
自民党と公明党の選挙協力や連立がまさにそうですし、
野党も民主党、社民党、国民新党が選挙協力を行っています。
ですから、もし復党させた場合と同じような批判を受けた場合は、
そのような批判は筋違いだし、何より野党だってやっているではないか、と反論することができるので、
それ程大きな問題とはならないでしょう。
ただ、やはり分かりにくくなりますし、選挙協力する以上、与党の議席を造反議員に明け渡さなければならなかったり、
政策協定を結ばなければならなくなる可能性があるので、あまり良くはありません。

野党と選挙協力する場合、選挙協力しない場合はどうなるでしょうか。
恐らく、去年の総選挙と同じような結果になるのではないかと思います。
野党と選挙協力すれば、改革勢力VS抵抗勢力の構図になりますし、
選挙協力しなければ、改革勢力VS抵抗勢力VS外野(民主党、社民党)+抵抗勢力(国民新党)の構図になるからです。
どちらにせよ、与党は参院選を有利に戦うことができるでしょう。

結局、造反議員が抵抗勢力である限り、改革勢力たる与党には勝てないし、
与党の力になることもできないのではないでしょうか。
世論調査を見ても与党の支持率は高いですからね。
下手な手を打っても、勝利を盤石にするどころか、支持率急減の危険を冒すだけだと思います。

以上より、政策面からも政局面からも、自民党は造反議員を復党させるべきではありません。
大体、政策が違ってもとりあえず頭数を揃えれば安心というのは、民主党の考え方そのものです。
そしてその結果が、先の総選挙でしょう。
何も大失敗の先例を、わざわざ踏襲することはないのではないかと思います。

関連リンク
So-net blog:山本一太の「気分はいつも直滑降」:僅かな兆候、そして最後のチャンス

小泉チルドレンよ甘えるな!:なぜ造反議員の復党なのかを考えよ。 - かみぽこぽこ。 - 楽天ブログ(Blog)

やぶにらみトーク:小泉チルドレン大騒ぎ!情けない! - livedoor Blog(ブログ)

【コラム・断】「造反」議員復党論に警告-本・アートニュース:イザ!


2006年11月04日

未履修問題 やるべき事は何か

全国の高校で必修科目の未履修が発覚しましたが、
実質50時間の補修を行うことで卒業を認めるなどの救済策が決定しました。
これに対して、履修者が不利益を被るといった批判もあるようですが、
履修者が被る不利益は法益ではなく反射的利益に過ぎないので、
この期に及んで考慮を要するものではないと考えられ、妥当な救済策だと思います。

救済策が決定したことで、議論は責任追及と今後の対策に移ります。
まず責任追及についてですが、未履修問題そのものについての責任は校長にあります。
教育委員会に虚偽報告を行ったのですからね。
また、教育委員会には監督責任がありますので、虚偽報告を見抜けなかった、
あるいは黙認していたことについて責任を負わなければなりません。
しかし、文部科学省には直接的な責任はありません。
文部科学省は教育委員会に「助言や援助、指導」ができるに過ぎず、監督責任を負っていないからです。
教育行政の最終責任の所在はあいまいとされますが、
組織体系を見る限り、教育委員会に最終責任があるのであって、文部科学省にはないと言えるでしょう。
現実を無視した教育制度を放置していたという事については責任がありますが、
個々の事例について責任を負うことはないのです。

これは重大な問題です。
何故なら、全ての国民に等しく教育を受ける機会を与えるという目標を実現するには、
全ての国民に対する教育行政の責任者は同一であるべきだからです。
地域によって責任者が違うなら、等しく機会を与えることができないのは自明の理です。
実施主体は文部科学省でも、地方公共団体でも、株式会社でも、NPOでも構いませんが、
最終的な監督責任は文部科学省にあるべきです。
こうすれば、上記の目標の実現に近づけることは勿論、
国会が直接的に教育行政を監督できるようになりますので、様々な教育問題の解決にも資するでしょう。

今後の対策については、教育行政の最終責任を文部科学省に負わせる他に、大学入試制度改革が挙げられます。
そもそも大学入試は何の為に行われるのでしょうか。
色々意見があると思いますが、私は予備校と同様、授業に全く付いていけそうもない受験生を排除することと、
習熟度別授業を行うこと
が目的とされるべきだと思います。
このようにすれば、国民の学習権を最大限保障し、また各国民に合った教育を行うことができるからです。

良く聞かれる意見に、据えるべき目的として、高校生に一定の学力を身に付けさせることを挙げ、
その為には全大学で一定以上の難度の入学試験を課すべきだというものがありますが、
これには様々な問題があります。

まず、学力は筆記試験で測れるのかというのが大きな問題です。
測れるというのであれば、昔の詰め込み教育や予備校の試験対策教育で学力が上がるという話になりますが、
果たしてそんな話を支持する人がどれだけいるでしょうか。
学力には明確な定義すらないのが現状で、どのように把握していくかも試行錯誤の状態にありますが、
詰め込み教育や試験対策教育で学力が上がるという話が、今更支持されることはないでしょう。

また、大学に進学しない高校生はどうなるのでしょうか。
教育行政が大学入試をインセンティブに、高校生や学校を試験対策に駆り立てるなら、
大学進学を希望しない高校生がなおざりにされることは目に見えています。
いくら大学進学率が上がったとはいえ、半分近くの高校生は大学以外の進路に進みます。
それだけの高校生をなおざりにするのは、いくらなんでもまずいでしょう。

最後に、大学進学を希望する国民の学習権はどうなるのでしょうか。
授業に付いていけないとか、定員を越えるから入学させないというなら分かりますが、
授業に付いていけて、定員に達している訳でもないのに入学させないというのは、明白な学習権の侵害です。
学力の高い人はより良い教育を受ける機会が得られ、
学力の低い人はその機会を奪われるというのなら、そんなに酷い格差社会はないでしょう。
あまりにも露骨なエリート主義と言わざるを得ません。

以上の理由により、難しい大学入試によって大学の門を狭くするのではなく、
逆に大学設立や定員増を奨励して大学の門を広くし、国民の学習権を幅広く保障していくべきです。
高校の学習は、大学入試をインセンティブにするというような安易な手段に頼るのではなく、
地道に学習の必要性を説明し、理解を得ることによって行われるべきです。
そうしなければ未履修問題も、様々な形に変わるだけで、解決されることはないでしょう。
学習の必要性も理解できず、大学入試にも使えないとなれば、
高校生も学校も、真面目に学習しよう、させようという気にはならないからです。

まずは最初の授業で、この科目を学習するとどのような事が分かるのか、それはどのように役立つのかを
説明することから始めなければなりません。
教育が一商品として認識されてきている昨今、商品説明もなしに売り付けるようなやり方では、
もはや児童・生徒は買ってくれないという事を認識すべきです。

教育行政の最終責任を文部科学省に負わせ、大学入試制度改革を行い、
児童・生徒に学習の必要性を説明するようにすれば、
多くの教育問題が解決するでしょう。
安倍政権は教育政策を重視するとしていますから、是非実現して欲しいと思います。

関連リンク
小林たかし公式ブログ: 必修科目未履修問題

「高校生の未履修問題」と「いじめ問題」は表裏一体だ(しあわせのかたち)

補講は無駄-商売日記:イザ!

50回の補修は時間の無駄-info21:イザ!

教育委員会 このままでは無用の長物だ(毎日新聞社説)

必修漏れ 高校で何を学ばせるか(朝日新聞社説)

[必修逃れ救済]「“騒動”で見えた高校教育の課題」(読売新聞社説)

履修逃れ 公教育は受験だけでない(産経新聞社説)

履修漏れで問われる指導要領(日経新聞社説)


2006年10月27日

「灰色金利」撤廃 上限金利の引き下げで喜ぶのは誰か

更新再開以来、初めての経済記事です。
前政権は経済重視でしたが、現政権は政治重視なので、なかなかネタが来ませんでしたが、やっと来ました。

貸金規制法改正案 「灰色金利」撤廃確実に-マネー・経済ニュース:イザ!

 自民、公明両党は25日、貸金業規制法など関連法改正で、関係部会を開き、少額・短期の融資に特例金利を認める案を撤回する修正案を了承した。
(以下略)

利息制限法の上限金利(15〜20%)と出資法の上限金利(29.2%)の間の「灰色金利」が問題となってきましたが、
出資法の上限金利を例外なく利息制限法の上限金利まで引き下げることとなりました。
よく分からない方は、上記リンク先に図解があるので、それを見れば分かると思います。

正直、予想外の決着でした。
金融庁は「灰色金利の撤廃で、年率7〜20%の金利で融資する
“ミドルリスク・ミドルリターン”の金融市場の育成につなげたい」
などと考えているようですが、そんな事は無理です。
ちょっと考えれば分かる話で、上限金利を規制することで
「リターン」を下げることはできても、「リスク」を下げることはできないからです。
結局、貸金業者は貸し渋るか、手数料などの形で脱法的な金利を設定するかしかありません。

貸金業者は利益を圧迫され、消費者は貸金業者から借入れができなくなる。
誰もが損をするかのように見えますが、そういう訳でもないです。
得をする人もいることはいます。さて、誰でしょうか。

答えは暴力団です。
今までに上限金利が引き下げられた際、合法的貸金業者の衰退と
非合法的貸金業者の興隆が見られましたので、今回も同様でしょう。
大きな需要のあるところから供給を排除するというのは難しく、
いくら取り締まってもキリがない上に、非合法とはいえ被害者がいる訳でもないので、
警察も本腰を入れて撲滅しようとなどしないからです。

先に予想外の決着と書いたのは、このような結果が明白であるのに、
規制緩和が叫ばれる現状で、規制強化が行われるとは思えなかったからです。
あまりにも典型的な「無用の規制」で、
規制改革に反対する抵抗勢力の巻き返しの序曲になるのではないかと危惧しています。

小泉政権が経済を立て直したので、安倍政権は教育や改憲などの政治課題に力を入れていくというのは良いと思いますが、
せっかく立て直した経済をまた倒してしまったり、財政再建に全く手を付けないというのでは困ります。
郵政民営化のような大改革を行えとは言いませんが、
規制改革、行政改革、財政再建といった経済政策は引き続き重要で、
少しずつでも進めていく必要があります。
ましてや後退させるなど論外です。
今回の問題が、経済政策全体の後退に繋がらないよう、国民は注視していく必要があります。

関連リンク
グレーゾーン金利撤廃は、不幸を増やすだけ!!-退屈男の徒然に:イザ!

livedoor ニュース - 貸金業規制法案と貸し渋り・貸しはがし

上限金利引き下げの影響に関する考察(PDF)


2006年10月23日

北の核開発阻止の唯一の方法(米政治評論家・クラウトハマー氏)

9日に書いたNPT体制維持か、核武装かで、日本が核武装するとでも言わない限り、
中露は金正日政権が倒れるような制裁を認めない。
従って、制裁によって北朝鮮に核を放棄させることはできない、と書きました。
そして産経新聞が22日、米政治評論家・クラウトハマー氏が、
ワシントン・ポストなどに掲載された「第二次世界大戦はもう終わった」と題するコラムで、
同様の見解を示したと報じました。

米政治評論家・クラウトハマー氏 日本に核武装奨励を 中朝抑止、東アジア安定

 【ワシントン=古森義久】米国の有力な政治評論家でコラムニストのチャールズ・クラウトハマー氏は20日、北朝鮮の核実験に関連して米国は最も信頼できる同盟国としての日本に核武装を促すことが東アジアの安定につながるという見解を発表した。ブッシュ政権の周辺ではこれまでの思考を根本から変えたこの種の日本核武装奨励論が目立ってきた。

 (中略)

 同コラムは日本の核武装は日本がその関心を表明するだけでも(1)中国に朝鮮半島の非核化継続を強めさせる(中国は北朝鮮の核武装が米国の東アジアでの関心を奪うという理由からだけでも、北の核を放置している気配がある)(2)中国は日本の核武装を止めるために北朝鮮に本格的圧力をかけてその核武装を破棄させようとする(3)日本の「核カード」が北の核開発阻止の唯一の方法かもしれない−などと述べた。
 (中略)

 クラウトハマー氏はブッシュ政権とも近い保守派の大物政治評論家だが、同じ保守派ではブッシュ大統領補佐官だったデービッド・フラム氏も米国政府が日本核武装を奨励すべきだと提言したばかりだった。

ワシントン・ポストのコラムについては、oribe氏が訳されていますが、
こちらを読むとクラウトハマー氏の見解は更に明確であることが分かります。

Meine Sache 〜マイネ・ザッヘ〜: War Is Over!

日本の核装備の脅威はその計算を狂わせる。日本の核装備を防ぐために、中国は金正日への圧力を強めることになるかもしれない。日本カードは、北朝鮮に核計画を翻させるわずかな可能性を持つ、唯一のカードなのだ。

唯一のカードと断言していますね。
私も日米主導の軍事制裁による金正日政権打倒を除けば、
日本の核武装カードが、日米の持つ唯一のカードだと思います。
他のどのようなカードを持ってしても、「人道援助」に名を借りた中露の対北援助を止めさせることはできないでしょう。
「人道援助」がある限り金正日政権が倒れるとは考えにくく、核放棄は望めません。
どうすれば中露に金正日政権が倒れるような制裁を認めさせることができるかと考えた時、
日本の核武装以外に取引材料はないと思います。

よって、日本は中露に対する当て馬となるべく、米国人と共に核武装論議を活発化させるべきです。
そして日米政府は難色を示しつつも、中露が北朝鮮の核武装を容認するなら、
日米政府は日米両国の世論を説得することができない、と言うことができれば理想的でしょう。
中露に対するこの上ない圧力となり、対北援助全面停止や、
中露を巻き込んだ対北軍事制裁などを引き出すことができるかもしれません。

もしできない場合は、日本の核武装に続いて韓国、台湾も核武装することになるでしょうから、
最悪NPT体制が完全に崩壊し、世界は核兵器だらけになるかもしれません。
しかしそれでも、中朝露の核の脅威に米国の核頼みで対処しなければならない現状よりは、
自らの意思で行使できる防衛手段を手にできる分、日韓台にとっては良いでしょう。
1番損をするのは中国で、尖閣諸島や台湾を攻撃する手立てをほとんど失うことになります。

だからこそ、日本の核武装はあくまで当て馬であって、
実際にやらなければならなくなるという事はないと思うのですけど、
結局のところはチキンレースですね。
いかにして中露に、核武装カードを切ることはないと思われないようにするか、が鍵となるでしょう。
弱腰外交が今ほど危険な時は、ないかもしれません。


2006年10月09日

NPT体制維持か、核武装か

2月から忙しくなってしまった為に全く更新ができず、すみませんでした。
最近少し余裕ができてきたので、そろそろ更新を再開しよう、何かネタないかな、などと考えていたら、
とんでもない事が起きてしまいました。
北朝鮮の核実験です。
完全成功とはいかなかったとの情報もありますが、核爆発自体は成功させたようです。

さて、最も敵対的な隣国が一方的にNPT脱退を宣言し、核実験を成功させた状況で、日本がすべき事は何でしょうか。
当然、核兵器のみならず、北朝鮮の全ての核施設を放棄させることです。
その為にはどうすれば良いでしょうか。
1.金正日政権を倒す、2.軍事力で破壊する、3.制裁を科して交渉により放棄させる、といった手が考えられますね。

まず、1.はどうでしょうか。恐らくこれが1番確実でしょう。
ただ、色々問題が起きるのは避けられないので、これは最後の手段ですね。
大量の難民や北朝鮮領の処理はどうするかといった問題が大きく、
特に中韓露としてはどうしても避けたい話で、同意を得るのも難しいでしょう。

次に2.ですが、これだけで解決するのは難しいと思います。
北朝鮮の核施設は分散して地下に建設されているといわれているからです。
わざわざそんな事をしている以上、空爆だけで致命傷を与えることはできないようになっていると考えられ、
やるなら地上部隊を侵攻させて占領するしかないでしょう。
でも、それをやったら全面戦争確実で、結局1.までいってしまいます。

結局、当面の策としては3.が現実的でしょう。
問題は、どのような制裁を科せば、北朝鮮が全ての核施設を放棄しようという気になるか、という事です。
北朝鮮の独裁者、金正日総書記は自らの地位の安寧が唯一最大の目標と考えられています。
それを剥奪する、つまり言うことを聞かなければ金正日政権を倒す、と言わなければ、
全ての核施設を放棄しようという気にはならないでしょう。

では、具体的にはどのような制裁が有効でしょうか。
大まかに分けて経済制裁と軍事制裁がありますが、どちらを選ぶにしても、まともに制裁を科せば金正日政権は持たないと思います。
北朝鮮経済は自給自足できる状況にありませんし、軍隊の装備は非常に古く、士気も著しく低下しているとされているからです。

問題は、まともに制裁を科せるか否かです。
フセイン政権下のイラクへの経済制裁のように、「人道援助」の名の下に必要物資の輸入を認めるのであれば、金正日政権は安泰でしょう。
政権が崩壊するのは経済制裁によって「悪い国」というレッテルを貼られることによるのではなく、
必要物資が入手できなくなり、国民の不満を抑えきれなくなることによるからです。
ですから、経済制裁によって全ての核施設を放棄させようというのであれば、
一切の例外なく輸出入や金融取引を禁じる、というものでなければなりません。
また、軍事制裁によって全ての核施設を放棄させようというのであれば、
空爆で地上の核施設だけを破壊するなどというやり方ではなく、
必要ならば地上部隊を投入し、金正日政権を倒す必要があります。

もし、それが中露に受け入れられず、国連安保理の制裁として実行できないのであれば、
中露は公然たるNPT違反を行った政権の存続を認めるのか、ならば我が国も核武装する、と通告すべきでしょう。
中露にとって日本の核武装は、金正日政権の崩壊と同じぐらい避けたい状況でしょうから、
交渉カードとしてうまく使っていくべきだと思います。

逆に言えば、そうでも言わない限り、中露は金正日政権が倒れるような制裁を認めないでしょう。
北朝鮮の核兵器が中露に飛んでくることはまずあり得ないので、
金正日政権が崩壊して厄介な問題に直面するよりは、核保有の金正日政権存続を望むと思います。
日本政府には、中露から金正日政権の崩壊容認を引き出せなかった場合、
核保有の金正日政権と付き合わなければならなくなるという事を肝に銘じて、外交に望んで頂きたいものです。


2006年01月27日

ライブドア事件 問われているのは企業倫理ではなく法令順守

東京地検特捜部がライブドアを家宅捜索し、堀江貴文容疑者らを逮捕したのは、
ライブドアが倫理にもとる経営をしていたからではなく、犯罪行為をしていたとされるからです。
逮捕容疑となった事件は平成16年10月に発生しており、発覚までに1年以上掛かりましたので、
証券取引等監視委員会の権限強化や投資事業組合の規制強化などによって、
市場の透明性を高める事が対策として考えられるでしょう。
市場の透明性を高める事は法令順守を促進しますので、妥当な対策です。

しかし、何故今回の事件をもって企業倫理などという言葉が出てくるのでしょうか。
ほとんどの場合、犯罪行為は非倫理的ですから、わざわざ倫理を持ち出す必要はない筈です。
それなのにあえて倫理を持ち出すというのは、倫理観が人により異なり、
具体的なものではない事を利用して、出る杭を打ちたいという事なのではないでしょうか。
ライブドアはマネーゲームで儲けてけしからん、などと言っている人もいますが、
マネーゲームとは合法的な資産運用の事であって、非合法的な資産運用は含まないでしょう。
むしろマネーゲームで儲けているように見えて、実はそうではなかったのですから、
マネーゲームは儲かるなどという話は嘘であった、という事ではないのでしょうか。
マネーゲームで儲かるのであれば、リスクを冒して犯罪に手を染める必要などありませんからね。

法令の範囲内で個人や企業が自らの利益を最大化するように経済活動を行う事で、
国家経済が活性化するというのが、自由経済の前提です。
国会でも与野党問わずライブドア事件と小泉改革を結びつけて批判する議員が多いようですが、
規制緩和とは規制を破っても良いという事ではありません。
緩和された規制の範囲内で企業活動を行わなければならないのです。

全くもって当たり前の事で、わざわざ書くような事でもないと思うのですが、
国会といいマスコミといい、規制緩和と規制違反の区別を付けられない人が多すぎます。
そこに企業倫理などという抽象的なものを持ち出すから、余計に混乱して収拾が付かなくなるのです。

ライブドアは犯罪行為を行っていた疑いがあり、当局はそれを1年以上見抜けなかった。
だから見抜けるようにしなければならない。
犯罪行為が事実であれば、厳正に処罰しなければならない。

ただ、それだけの話なのに、何故こんなに議論が盛り上がるのでしょうね。
民主党の野田佳彦国対委員長が「ライブドア3兄弟」などと言っていますが、
管直人元代表が言っていた「未納3兄弟」並に下らない議論という意味であれば、なるほどその通りだと思います。

関連リンク
週刊!木村剛 powered by ココログ: [ゴーログ]ライブドア報道に思うこと

I work HARD in law.:ホリエモンと法律の遵守(2) - livedoor Blog(ブログ)

ムッシュKの徒然日記:ライブドア事件 - livedoor Blog(ブログ)

団子マンを目指す中年男「いけしゅ」のクロダイな日記(仮):ライブドアに「イマドキの問題点」を見る(真摯に過去の歴史から学ぶべき)


2006年01月15日

両立する事を対立させる愚

あけましておめでとうございます、というには遅すぎますが、今年も宜しくお願い致します。
年始のせいか書くネタも時間もなかなか見つからず、元日から半月を過ぎての初投稿となってしまいました。
このままでは来月になりそうなので、今回は時事から少し離れますが、
最近新聞などを読んでいて気になる事を書こうと思います。

どうも最近、両立する事をわざわざ対立関係におき、二者択一や折り合いを求める記事が目立つのです。
例えば、

  • 株式を買われるのは経営者が悪い(ライブドアによるニッポン放送株大量取得に関する記事)
  • 現実の世界と虚構の世界に、うまく折り合いをつけないと大変なことになる(宮崎事件に関する記事)
  • 自由主義と保守主義の懸隔は大きい(以前に自由主義と保守主義は対立しないで取り上げました)
  • 米国重視かアジア(中韓朝)重視か(親中派がよく使うフレーズ)
  • 日米同盟中心か国連中心か(反米派がよく使うフレーズ)
  • 対話か圧力か(北朝鮮問題でよく使われるフレーズ)

株式売買に「悪」など存在しません。
野菜を買われるのは八百屋が悪いとか、テレビを買われるのは電気屋が悪いと言うのと同じぐらい意味不明です。
現実の世界と虚構の世界に対立などありません。
経済的理念と政治的理念は別物ですから、対立しません。
日米が結束して中韓朝に対処すれば良いのですから、米国重視と中韓朝重視の外交戦略は対立するどころか同一です。
国連常任理事国であると共に、国連に対して最も強い影響力を持つ米国を中心にする事と、
国連を中心にする事はほとんど変わりません。
そもそも「国連」という単語が安保理を指しているのか、安保理常任理事国を指しているのか、
総会を指しているのか、それとも事務局を指しているのか、曖昧です。
圧力なき対話は無視されるでしょうし、対話を切って圧力を掛けても交渉のしようがなくなりますから、両方行う事が必要です。

このように両立する事を対立させて考えても、間違った方向に視野が狭くなるだけです。
対立する事を二元論で考えるのはともかく、両立する事を二元論で考えるのは間違っています。
そんな事は当たり前だと思われる方もいるかもしれませんが、
最近この手のミスリードが増えているように思うので、自戒を込めて具体例をまとめてみました。


2005年12月24日

少子化対策 現金給付の拡充を

人口減少社会が予想以上に早く到来する事が分かりました。
これを受けて少子化対策がますます重要になり、緊縮財政の中でも歳出増が認められました。
少子化対策費を増やす事には賛成ですが、問題は中身です。

大分合同新聞社

▽小6まで児童手当
 【少子化】少子化対策の目玉として児童手当を拡充。4月から支給対象年齢を小学3年生から6年生まで拡大した上で、支給率を85%から90%に引き上げる。予算額は2270億円で、三位一体改革に伴う地方への税源移譲分を除いた05年度比42%の大幅増。
 約4万5000人分の保育所受け入れ児童を増やすため、保育所運営費負担金として2982億円、保育所整備費などに140億円を計上。子育て家庭への支援策として延長保育、育児支援家庭訪問事業、つどいの広場事業などには339億円。年間10万円の不妊治療への助成を通算2年から通算5年に拡大するほか、10月からは出産一時金を30万円から35万円に引き上げる。

予算額を合計すると5731億円ですね。
しかし、現金給付は児童手当の2270億円だけで、他は保育所運営費などに使われる事になります。
ここに大きな問題があります。

現金給付以外の財政措置、つまり現物給付は、その事業を利用する人にのみ効用をもたらします。
例えば保育所運営費であれば、保育所を利用する人、つまり兼業主婦のみです。
これは相対的に専業主婦の出産を控えさせたり、専業主婦に労働を促す効果を持ちます。
このような効果が、少子化対策に必要なのでしょうか。
少子化対策の邪魔にはなっても、助けになるという事はないでしょう。
少し勘繰ると、フェミニストが専業主婦を駆逐する為に、少子化対策を利用しているのではないかと疑ってしまいます。

まずは現物給付に使われる予算を現金給付に回し、現金を保育所などの利用に使うか、
他の事に使うかは受給者が決められるようにすべきです。

これは歳出を増やさずにできます。
その上で更に現金給付が必要という事であれば、子供がいない世帯の税負担を増やすべきです。
子供がいない世帯から子供がいる世帯に所得移転する事で、
「子供がいない方が楽しめる」状況を改善できます。
これはフリーターやニート対策にも有効でしょう。
「子供を作らなければ何とかなるさ」から「子供も作れないような人生設計ではまずい」に社会を変えていけば、
自ずと就職活動にも真剣になると思います。

関連リンク
世相: 出生率の低下と少子化

コラムニストになるために書く訓練をするのだ!!! 人口減少問題について

Blueprints 少子化を止めろ!

手取り23万で住宅ローン10万の生活: 少子化対策で遅れている日本

外交のファンタジスタ: 人口減少

産経新聞:人口減少社会 活力失わないよう工夫を

読売新聞:[人口減少]「予想より早かった転機の訪れ」

日経新聞:人口減の放置は次世代への責任放棄

毎日新聞:人口減少 少子化対策は機能したのか

朝日新聞:人口減少 悲観ばかりではない


2005年11月26日

皇室典範報告書 発言と内容が矛盾している

「私たちは歴史観や国家観で案を作ったのではない。歴史観も議論すべきだが、それは国会で議論すべき問題だ」(有識者会議の吉川弘之座長(一般設計学))

II 基本的な視点
[1]国民の理解と支持を得られるものであること
[2]伝統を踏まえたものであること
[3]制度として安定したものであること
(「皇室典範に関する有識者会議」報告書)

歴史観や国家観を踏まえずに伝統を踏まえる事などできないでしょう。
そもそも有識者会議の委員に皇室制度の専門家がほとんどおらず、
最初から結論ありきの人選ではないかと言われていましたが、その通りだったようです。

吉川座長は「歴史観は国会で議論すべき問題」と発言していますので、
報告書は皇位継承問題解決の道筋を示したのではなく、
議論を国会に丸投げしたといって良いと思います。
皇位継承問題の解決策として、旧皇族を皇籍に復帰させたり、
女性皇族の養子にする事によって皇位継承権を与えるという方策が検討されていますが、
国会で本格的に議論される事を望みます。

尚、小泉首相が郵政解散に打って出た事によって、自民党国会議員は自由に議論ができなくなったと一部で言われていますが、
これは間違いか、そうでなければ議員の誤解です。
郵政民営化法案の他法案との違いとして、

  • 小泉内閣の最重要法案であり、否決は内閣不信任と見なされていた事
  • 反対派は絵に描いたような「抵抗勢力」と見なされ、国民の支持を得ていなかった事

この2つが挙げられると思います。
前者の理由により否決されれば小泉首相は衆院を解散せざるを得ませんし、
後者の理由により選挙に負ける、つまり自公で過半数を割る可能性はほとんど皆無でした。

しかし、この2つの条件を満たさないのであれば、衆院を解散する必要性はありませんし、
下手に解散すれば負ける可能性も出てきます。
ですから、もし報告書の内容で内閣が皇室典範改正案を提出したなら、国会で否決すれば終わりです。
小泉首相は特段報告書の内容に拘っている訳ではなさそうですから、まさか衆院解散などしないでしょう。
報告書が国民の支持を得られるとは限らず、反対派が支持を得る事も十分考えられるとなれば、尚更です。

そうなると、国会で否決されそうな皇室典範改正案を提出する事はない筈です。
否決されて終わりでは、政権が打撃を受けるだけだからです。
つまり、国会議員がしっかり議論して、報告書は駄目だという事になれば、
報告書を国会に提出させない、もし提出されても国会で否決する事は十分可能です。
国会議員、特に反対派の多い自民党国会議員は、何も恐れる事はありませんから、
しっかり議論して、報告書に代わる解決策を提示して頂きたいと思います。

参考リンク
草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN 「女系天皇容認」よりもまずは宮家の存続・復活から


2005年11月19日

禁煙指導に医療保険適用 喫煙は自己責任で

厚生労働省が禁煙指導に医療保険を適用する考えを、
厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に提案しました。
医療経済研究機構の調査によると、喫煙により医療費は1兆3000億円増加しており、
病気による労働力損失5兆8500億円を含め、
約7兆1500億円もの社会的損失を招いているというのが根拠です。

しかし、労働力については、どれだけ提供するかは労働者が決めるべき事であり、
政府が介入するべき問題ではありません。
政府がたばこを取り上げて働く事を強要したら、それは強制労働です。
よって、病気による労働力損失5兆8500億円については問題にすべきではありません。

問題は医療費1兆3000億円です。
その内の自己負担率は基本的に3割です。
仮に全額の自己負担率が3割だとして、公費負担は9000億円以上になります。
実際には高齢者のように1割、2割負担の人も多いでしょうから、1兆円は下らないでしょう。
この公費負担はたばこ税などの形で喫煙者から徴収するべきです。

しかし、禁煙指導に掛かる費用を医療保険で賄うというのはおかしいです。
喫煙による医療費増はたばこ税などの形で解決できますから、
「患者」の負担を下げて禁煙を推し進める必要はありません。
喫煙は自己責任であるべきですから、後で禁煙したくなったとしても、
それに掛かる費用は自ら負担するべきです。

自民党や公明党でたばこ税を増税して、禁煙を促したり、「健康対策」を推進しようという論議が進んでいます。
しかし、これもおかしな話です。
喫煙を続けるか禁煙するかというのは喫煙者自身が決めるべき事であり、
政府が介入するべきではありません。
喫煙は「悪行」だと言わんばかりの議論は、独善的で傲慢です。
気に入らない言動に「人権侵害」とか「差別的」というレッテルを貼る人と似ています。
また、「健康対策」が何を意味しているのか不明ですが、
喫煙に伴う医療費増を賄うというのでなければ、ただの狙い撃ち課税です。
このような不公正な課税には反対です。


2005年11月03日

公務員改革にも総額管理の視点を

公務員の純減が大きな課題とされています。
この目的は、財政再建の為に人件費を削減する事です。
しかし、その手段として、公務員の純減が必ずしも適切といえるのでしょうか。

公務員の問題としてよく取り上げられるのが、天下り問題です。
天下り先で高給を受け取るので、これが財政負担になっています。
しかし、公務員の純減では、このような問題には対処できません。
特殊法人や認可法人や公益法人に所属する人は公務員ではないからです。
むしろ、忙しく働いている公務員を減らして行政活動能力を低下させ、
肝心の人件費はあまり減らないという最悪の結果になりかねません。

役人ができるだけ人件費を確保したいと考えているなら、純減目標を突き付けられれば、
給料の低い人を大量に切り、給料の高い人を残そうとするでしょう。
また、給料の高い人は天下りが可能な地位にいる人も多いので、
天下りによって公務員を減らそうともするでしょう。
公務員を減らすとは、そういう事です。

公務員の純減は人件費削減の手段に過ぎません。
もし公務員が増えたとしても、人件費が減ればそれで良いのです。
減らすべきは人件費であれば、公務員の純減目標を立てるのではなく、
人件費の総額管理目標を立てるべきなのは道理です。

厚生労働省がなりふりかまわず、財務省や経済財政諮問会議の医療制度改革案を受け入れ、
何としても総額管理だけは避けようとしているところを見ても、
総額管理が絶大な効力を発揮する事が分かります。

同じように公務員改革でも、天下り先で受け取る給与も含めた人件費に総額管理目標を設定する事が、
人件費削減に有効でしょう。
財政再建という目的を達する為、公務員の純減という手段に拘る事なく、
人件費削減を実現していくべきです。


2005年10月29日

企業買収問題 「倫理」が欠けているのは経営者ではないのか

商品を買えば売主は喜ぶものですが、最近の株式市場ではそうとも限らず、
むしろ売主が怒り出してしまう事もあるようです。
買われたくないモノは売らなければ良いというのが常識ですが、株式の世界では通じないようです。
また、普通株を買って貰うという事は、後で配当や値上がり益を出すし、
出せなかったら議決権を行使して経営陣を交代させたり、企業を清算しても良いから、
出資してくれという事です。
しかし実際には、カネさえ出させればこちらのもの、恩など仇で返せばよいというのが株式の世界のようです。

買収対象企業の経営者は盛んに「倫理」や「良識」や「日本的な信義」を叫びますが、
むしろ経営者の方こそ、そういったものが欠けているように見えます。
ニッポン放送の買収防衛策が違法として仮処分を受けた事は記憶に新しいです。
保身の為なら違法行為も厭わないような人が「倫理」を説いても、虚しく響くだけでしょう。

TBSは楽天による株式購入が問題化する前から、経営陣による自社買収(MBO)で
株式購入による企業買収を回避する事を検討していました。
しかし、必要な資金が約6千億円に上り、資金調達が困難な事から二の足を踏んでいたのです。

つまりTBS経営陣は、出資は受けたいけど出資者から経営に口を出されたくはない、というのが本音なのでしょう。
それなら、優先株などの議決権制限株式を発行し、
これによる資金調達でMBOをやるという事はできないのかと思うのですが、どうなのでしょうか。
普通株を議決権制限株式に転換する訳です。
こうすれば、株主から議決権の行使によって経営に口を出される事はなくなります。
勿論、議決権を制限する以上、それに見合うだけの配当や値上がり益を出さなければなりませんけどね。
TBS経営陣には向いているように思えるのですが、やらないところを見ると、
そう簡単な話ではないのでしょうか。

また、買収対象企業の経営者は、しばしばステークホルダー(利害関係者)という言葉を使います。
これは株主、従業員、顧客、取引先、地域貢献といった意味ですが、
もし経営陣だけでなく、利害関係者も経営に口を出すべきだと考えているのであれば、
利害関係者で買収するという手も考えられるでしょう。
出資者を拡大する事で、個々の負担を軽減する事ができます。

私が考えている、株主が経営に口を出す事を嫌う経営者が取るべき方策はこの2つです。
他の手段を取っても構いませんし、諦めて口出しを受け入れるというのも1つの道でしょう。
しかし、口を出しても良いと言って出資を募りながら、
いざ口を出したら「倫理に反する」などと言うのだけは止めて貰いたいものです。
それこそ「倫理」や「良識」や「日本的な信義」に反します。


2005年10月22日

党首討論 内政干渉の排除と三権分立の徹底を競え

19日に小泉自民党総裁と前原民主党代表の党首討論がありました。
民主党代表は管氏以降、岡田氏、前原氏が務めていますが、
代表が替わる度に討論の質が向上していると思います。
最後の5分を除いて前原氏の主張には同意できる部分が多く、小泉首相も真摯に対応していました。

問題は、その最後の5分です。
時間がなくなって焦っていた事もあったのかもしれませんが、
最後の5分で靖国参拝に触れてから、主張がおかしくなっていきました。
小泉首相の靖国参拝を外交問題として扱ったり、大阪高裁の参拝違憲論を持ち出したりと、
外国の内政干渉や司法府の政治介入を利用するものだったのです。
それまでの40分が良かっただけに、残念な最後でした。

中国、韓国、北朝鮮による内政干渉は依然続いていますが、中国は軟化し始めています。

Sankei Web 国際 町村外相の訪中拒否 対日報復で会談中止(10/18 21:07)

 また小泉首相が私服で同神社を訪れ拝殿前で参拝するなど私的参拝の色合いを強めたことについても「どのような方式であれ、参拝の本質は変わりようがない。中国が強烈に反発するのは当然だ」と指摘、評価に値しないとの見方を示した。

 孔報道局長は一方で、「中国政府の対日(重視)政策は一貫している。中日両国は互いに重要な隣国同士だ」と述べ、決定的な関係悪化は望んでいないとの姿勢を強調。日中間の経済交流についても「健康的で不断の発展を期待している」と述べた。

そもそも、何故中韓朝が内政干渉を続けるかといえば、国益を実現する為です。
つまり、国益にならないと判断すれば、内政干渉をする事はなくなっていきます。
日本の首相が靖国参拝しようがしまいが、それ自体が中韓朝の国益に影響を与える訳ではないからです。
靖国参拝を口実に内政干渉を加えて揺さぶりを掛けて、
団結を乱せるのであれば他の交渉で有利になりますが、逆に反発を受けるのであれば不利になります。
今までは前者の要素が強かったので強硬な内政干渉を続けていましたが、
最近は後者の要素も強くなってきたので、軟化し始めているのです。

これを更に軟化させていくには、小泉首相が公約通りに来年8月15日に参拝に行く事が肝要です。
今年のように略式参拝ではなく、堂々と正式参拝する事も重要です。
民主党の協力も不可欠で、外国の内政干渉には与せず、与野党が団結して排除するという姿勢を明確にする事が必要です。
これは政権獲得の為にも不可欠です。
外国の内政干渉を利用するような政党に政権を与える訳にはいきませんからね。

また内政面においては、司法府による政治活動を利用する事も避けなくてはなりません。
三権が干渉合戦を始めてしまうと、三権の機能に支障が出ますし、権威が損なわれてしまいます。
司法府の逸脱を利用するのではなく、これに対しても与野党が団結して排除していくという姿勢を明確にする事が必要です。
これも政権獲得の為には不可欠といえます。

ところで前から思っていたのですが、小泉首相は靖国参拝批判について、
思想及び良心の自由の保障を持ち出して反論していました。
私は信教の自由の方が妥当ではないかと思いますが、どちらにせよこれは憲法で保障されている人権です。
小泉首相の靖国参拝を批判したり、訴訟を起こしたりする事は人権侵害に当たるのではないでしょうか。
人権擁護法案が成立したら人権救済を申立て、人権委員会に「説示」や「啓発」や「指導」を行わせる事が可能ではないかと思います。
人権委員の任命権は首相にありますしね。
両議院の同意が必要といっても、与党が同意に反対するというのは考えにくいです。

誤解のないように書いておきますが、私はこのようなやり方に賛成している訳ではありません。
逆にこんな事ができてしまいかねないからこそ、人権擁護法案には反対です。
ただ、小泉首相も靖国参拝批判は人権侵害ではないかと考えているようなので、
小泉首相が人権擁護法案に反対しないのは、それが理由の1つではないかと思うのです。
実際に人権委員会を動かしたら大問題になりますが、そこまでしなくとも、
靖国参拝批判は人権侵害という反論を強化する事はできます。
人権擁護法案推進派は古賀氏を除いて、靖国参拝に批判的な人が多いと思いますが、
人権侵害の定義を曖昧にした人権擁護法案というのは、
こういう事にも使える可能性があるという事を認識して頂きたいと思います。

ちなみに実際に人権委員会が動いた場合でも、「説示」「啓発」「指導」は行政行為には当たりませんので、
法益侵害が発生せず、違憲訴訟を起こす事はできません。
靖国参拝違憲訴訟を起こしても、原告適格がないので門前払いにされるのと同じです。
つまり例え法案が違憲で、それによって実際に損害が発生したとしても、
国会が法律を廃止しない限り止めようがないのです。
そういう意味で、「指導する」とか「自粛を求める」というのは、結構怖いです。
何せ政府に「人権侵害者」のレッテルを貼られても、抗議するぐらいしかできないのですからね。

参考リンク
衆議院TV(平成17年10月19日)

[党首討論]「画期的な外交・安保論戦だった」(読売新聞)

党首間で外交論争を深めよ(日経新聞)

党首討論 この調子で議論の質を高めよ(毎日新聞)

党首討論 外交不在がよく見えた(朝日新聞)


2005年10月15日

地方の暴走を如何にして止めるか

残念ながら鳥取県人権侵害救済条例が成立してしまいました。
条例案が明るみに出てからかなりの抗議が入ったようですが、時既に遅しだったようです。

外国人の住民投票を認めたり、公務員の資格要件から国籍条項を排除するなど、
地方公共団体が国家主権を侵害するような政策をとる事は、これまでにも度々ありました。
このような地方の暴走を如何にして止めるかは、
地方分権推進、道州制導入などを検討する上で大きな課題だと思います。

公民権については、法律で国民固有の権利と定めれば解決できるでしょうけど、
「永住外国人地方参政権付与法案」を国会に提出しようとする公明党がまず認めないでしょう。
民主党に至っては国家主権を移譲を公言してはばかりません。

更に難しいのは、今回のように国民の権利を制限する政策をどう制御するかです。
地方公共団体が制限できるのは経済的権利にとどめ、
精神的権利の制限は禁止しても良いのではないかと思いますが、
実際には明確に線引きできる場合ばかりではないでしょう。
「引っ越しおばさん」の問題が話題になりましたが、
あのような行為を制限する事もできないようにしてしまって良いのか、という問題も出てきます。

これまで地方分権推進、道州制導入などの議論は、経済的側面に関するものが多かったように思います。
これはこれで重要なのですが、今回の問題を機会に、政治的側面にももっと関心を向けるべきです。
中央(国)の監視ばかりに集中しては、地方から切り崩されてしまいます。
国家主権を行使できるのは中央も地方も同じであるという認識を持ち、
地方の監視も怠らないようにしなければなりません。

参考リンク
なめ猫♪ 鳥取人権条例可決―全国への波及を阻止せよ

人権擁護(言論弾圧)法案反対!:似非人権擁護推進派 - livedoor Blog(ブログ)

鳥取人権条例 擁護法案と同様問題多い(産経新聞)

[鳥取人権条例]「拙速な制定に追従すべきでない」(読売新聞)

鳥取県人権条例 危うさ隠せぬ「人権」の分権(毎日新聞)


2005年10月08日

自由主義と保守主義は対立しない

郵政民営化問題がクローズアップされてから、自由主義と保守主義の関係が注目されてきていました。
これについて書きたいと前から思っていたのですが、今日の産経新聞コラム「正論」で取り上げられていたので、
これを引用しながら書いていきたいと思います。

 思想史が教えるところによると、近代社会は、まず、自由主義や社会主義(平等主義)を理念とした急進的改革をうみだした。そして、これらの思想がもたらした社会秩序の不安定や崩壊感に対抗すべく、保守主義が生まれてきたのである。

 自由主義と保守主義の懸隔は大きい。自由主義は、個人の自由を第一の価値観として、能力主義、市場競争へと傾き、保守主義は、伝統的な家族や共同体、社会秩序の保持を唱え、個人を縛る道徳や規範を重視する。いうまでもなく、社会主義(社会民主主義)は平等を重視し、福祉や弱者の権利保護を唱える。

まず一段落目ですが、これには経済体制の変化が大きく関わっています。
つまり、封建主義から資本主義への変化です。
封建主義社会では農業が中心ですので、人の移動や所得格差が少ない「安定した社会」となります。
しかし、資本主義社会では工業化が進むので、人も所得も市場原理によって配分されるようになり、人の移動と所得格差が大きくなります。
これを是とするのが自由主義です。
しかし、人の移動が激しくなる事によって共同体意識は薄くなり、社会は不安定化します。
これを問題視し、共同体意識の復活を求めるのが保守主義です。
所得格差も放置したのでは格差が拡大する一方という事で、「結果平等」を求める声が出てきます。
これが社会主義です。

ここで問題になるのは、これらの理念が政治的か、経済的かという事です。
小泉首相の自由主義は、郵政民営化に代表されるように、経済的理念です。
二段落目で挙げている自由主義、社会主義も経済的理念です。
しかし、保守主義だけは政治的理念となっています。
経済的理念と政治的理念は全く違うものですから、比較する事はできません。

 もし、二大勢力になるなら、「保守」と「自由主義」の対立である。そして、「自由主義的改革」がある程度進展すれば、これに対抗する本来の「保守」の理念が求められることになる。

 その時、戦後日本において初めて、「保守」とは何か、いいかえれば、今日、日本が「保守」し、子孫たちに残すべきものは何か、という問いが真に浮上する。しかし、それまでにはもう少し時間を要するようである。

「正論」はこのように結ばれていますが、自由主義と保守主義は対立する理念ではありませんから、このような対立構図は有り得ません。
郵政公社を民営化しようが、政府系金融機関を統廃合しようが、道路特定財源を一般財源化しようが、
保守主義の理念をもってこれらに対抗する事など不可能です。
これらの政策をとっても、「伝統的な家族や共同体、社会秩序、個人を縛る道徳や規範」を軽んじる事にはならないからです。
社会主義などの経済的理念を打ち出さなければ無理です。


2005年10月01日

傍論による政治活動には厳格に対処せよ

大阪高裁で首相の靖国参拝に関する訴訟の判決がありました。
判決は原告敗訴でした。しかし、大阪高裁は傍論で違憲論を述べました。
これは判決理由とは区別されるもので、法的効力を持ちません。
ではどのような意味があるかというと、司法府の政治的影響力を行使する事ができます。

本来司法府というのは、単に法的判断を下すのが仕事で、政治的中立を求められます。
裁判官の政治思想によって法的判断が左右されては、法治が揺らぐからです。
政治的中立を担保する為、裁判官は「積極的に政治運動をすること」を禁止されています。
しかし、最近は原告敗訴判決の傍論で原告救済の立法措置を求めるなどの、傍論による政治活動が増えています。
判決書の中に混ぜてしまえば政治活動が可能というのでは、政治活動禁止規定が骨抜きになってしまいます。
傍論は判決理由ではない以上、特に保護に値するような正当性はありませんので、
今回のように傍論で政治活動をした裁判官は弾劾するなどして、厳格に違法性を問うて欲しいと思います。

判決を受けてどのような政策をとるべきかを決めるのは国民であり、
立法するのは国民の代表で構成される立法府であり、執行するのは行政府です。
そこに司法府が政治介入すべきではありませんし、国民は政治介入を利用して政治活動を行うべきではありません。
前者を行う裁判官と同様に、後者を行う国民も批判されるべきです。


2005年09月28日

憲法の「抜本的改正」には反対 大きな禍根を残す事は必至

民主党新代表の前原氏が改憲派である事もあって、自民党でも改憲論議が進んでいます。
その内容は、第9条(軍備放棄)、第96条(改正)は勿論、前文、天皇、国民の権利義務など、あらゆる条項の改正を目指すものとなっており、
憲法の「抜本的改正」と言わざるを得ないものとなっています。
しかし、これには様々な問題があります。

まず、国会による改正発議の困難さです。抜本的改正案である以上、議論百出になる事は避けられません。
郵政公社を民営化する、ただそれだけの法案を過半数で可決するだけであれ程揉めるのが日本の国会です。
憲法の抜本的改正案を2/3の賛成で発議するなど、およそ非現実的と言わざるを得ません。

仮に発議されたとして、次は国民投票です。
国民は、賛成か反対の意思表示しかできません。
このような制度で国民に抜本的改正案を突き付けた場合、どうなるのでしょうか。

可決された場合
「どうだ、これで文句あるまい。国民は抜本的改正を支持した」「いや、国民が望んだのは権利の拡大だけだ。第9条の改正など望んでいなかったのだ」「逆だ、自衛軍の保持を求めたんだ。むしろ過度に権利を拡大する事には懸念を持っている」・・・

否決された場合
「これではっきりしただろう。国民は平和を求めている。この際自衛隊も廃止すべきではないのか」「違う、国民の権利が制限される事に懸念を示しただけだ。国民は第9条の改正を望んでいる」「天皇を元首と規定しなかったのが問題だったのではないか」「いや、いっそ天皇も廃止すべきだ」・・・

どちらにせよ議論百出、改憲派、護憲派双方で盛大な水掛け論になる事は必至です。
国民にしてもこの条項の改正には賛成だけどあの条項の改正には反対、という人が殆どでしょうから、
全部まとめて賛成か、反対かといわれると頭を抱えてしまうでしょう。私もその1人です。
その結果投票率が落ちたり、無効票が多くなったりしたら、民意を反映していないなどと批判される事も確実です。

つまり、どのような結果になっても大きな禍根を残す事は避けられないのです。
これを避ける為には、可能な限り多くの選択肢を国民に提示する事が必要になります。
例えばいくつかの条項の改正を国会で発議し、国民はそれぞれの改正案について賛成、反対の投票ができるようにすれば良いのです。

ではどの条項を改正すべきかというと、私がもっとも改正すべきと考えるのが第96条です。
国民の代表の過半数が憲法改正発議に賛成しても改正発議ができないというのは、民主主義の否定だからです。
次が第9条。解釈改憲すればどうにでもなる条項ではありますが、法の権威の喪失、不毛な国会審議の発生という問題は大きいです。
まずはこの2つについて改正を発議し、個別に賛成、反対の投票ができるようにして頂きたいと思います。


2005年09月24日

納得できない「NHK新生プラン」 いっその事民営化してはどうか

NHKは民営でも国営でもない「特殊法人」であり、「公共放送」とされています。
これは「受信料を主な財源として、営利を目的としない公共的な事業体が行う放送」と定義されます。
民営でも国営でもない立場になければできない放送とは、一体どのようなものなのでしょうか。

「NHK新生プラン」によると広告収入や税金による運営では「視聴率や特定の主義主張にとらわれる」のだそうです。
広告収入ならまだ分からない事もないですが、税金で運営しても駄目というのは理解できません。
税金では駄目で受信料なら大丈夫というのも理解できません。
何せNHKは、昭和天皇を強姦罪で人民裁判に掛けるような、とんでもない番組(ETV2001シリーズ「戦争をどう裁くか」の第2夜「問われる戦時性暴力」)を制作しているのです。
NHKが偏向しているとはよくいわれますが、余りにも酷すぎます。
広告収入で運営されている民放でも、これ程までに「特定の主義主張にとらわれた」番組はないでしょうから、
受信料制度を廃止して広告収入で運営した方が、問題は小さくなりそうです。

他にも「迅速で的確な災害報道・緊急報道」「確かな指針となるニュースや大型企画番組」など、もっともらしい文章が並びますが、
これらは民放、新聞、インターネットなどで提供されています。
チャンネルが増える事によって番組の多様性が広がる事までは否定しませんが、
「公共放送」でなければ提供できないというのは無理があるでしょう。

NHKの平成17年度予算によると、受信料収入は6478億円です。
契約対象者の受信料不払いや未契約は3割に上るそうなので、もし全ての契約対象者が支払いに応じれば、
単純に考えて9000億円以上の受信料収入になりますね。
更に税の減免を受けている事も考えれば、途方もない国民負担によって支えられているといえます。
財政が火の車の昨今、本当にこのような「公共放送」が必要なのでしょうか。
「NHK新生プラン」を読む限り、民営化した方が良いのではないかと思います。

参考リンク
NHK新生プラン

平成17年度 収支予算、事業計画及び資金計画


2005年09月18日

前原氏が民主党新代表に就任

民主党代表選は前原氏と管氏の一騎打ちとなり、得票数は96対94、無効票が2という僅差の勝利となりました。
これは、旧社会党系を除く殆どの派閥が自主投票となった為です。
私は小沢氏と鳩山氏が支援した候補が勝つと思っていましたが、自主投票という選択肢は抜け落ちていました。
小沢氏と鳩山氏は世代交代を警戒して管氏支持に回ったとされていますが、若手の反発を嫌って自主投票にしたのでしょう。
旧社会党系は管氏支持の一手だったので、簡単に纏まったのでしょうね。

管氏は前々回の代表を務めていた時に、2回目の代表なのにも関わらず大失態をやらかしましたが、
それでも尚2票差まで迫るところに民主党立て直しの難しさが現れています。
しかし、前原氏は代表選前に行われた演説で、今回の大敗の原因は民主党にあり、
その原因とは郵政民営化法案への対応のまずさであると、明言されていました。
前原氏の手腕の程は未知数ですが、少なくとも問題認識は間違っていません。
また、就任後の会見で憲法第9条第2項を改正すべきと明言するなど、
民主党代表にとっては禁句といっても過言ではない事にまで言及しています。
このまま突き進んでいけるのか、それとも党に足を引っ張られて動けなくなってしまうのか、
今の段階では分かりませんが、頑張って欲しいと思います。

前原氏には多くの仕事が待っていますが、まず処理しなければならない問題は人事ですね。
これをうまく処理しないと、最初から党改革が頓挫します。
それから特別国会で与党と対決です。
郵政民営化法案の対案を出すとしていますが、その内容は公約通りの公社縮小案です。
預入限度額を500万円まで段階的に引き下げる(民主党)で書いた通り、私はこれには賛成できません。
法案を国会に提出すれば、国会で与党に問題点を追求される事は避けられませんが、
しっかり反論できないと求心力を失うでしょう。
何とかここを凌ぎきって党内と世論の求心力を維持し、10月23日の参院補選に勝つ事が当面の目標になると思います。
どれをとっても困難な仕事ばかりですが、政権政党を目指す以上、避けては通れない道です。

尚、衆院選の際に行われた候補者アンケートで、前原氏の回答が問題視されているようですが、
選挙向けに無難な答えをしただけとも考えられます。
勿論、それなら良いという話ではありませんが、どこまで問題視すべきかは疑問です。
詳しい事は「Irregular Expression」に書かれているので割愛しますが、
とりあえずは管氏を破った事を歓迎し、今後に期待したいと思います。

参考リンク
Irregular Expression: 民主党代表に前原誠司氏

民主代表に前原氏 迷った末『超コイズミ』(東京新聞)


2005年09月17日

政治家の失言は政治生命の消失に繋がる

ちょっとした失言でも、すぐに問題になりますからね。
民主党の西村氏が小泉首相を「狙撃してもいい男」と言ってしまったようです。
まぁマスコミや郵政民営化法案反対派が、散々刺客だの抹殺だのと騒ぎ立てていたので感覚がマヒしてしまっていたのでしょうから、
この発言自体を殊更問題視する気はないです。
最近の政治用語では、「殺す」というのは「選挙で対抗馬を立てる」という事だそうですからね。
西村氏の発言が問題だとはいっても、謝れば済む程度でしょう。

しかし、今回は他に2つの問題がありました。
まず、発言者が西村氏である事。西村氏は建国義勇軍事件を起こした「刀剣友の会」の最高顧問でした。
小規模とはいえテロを起こしていた組織の最高顧問に就任してしまったという過去を持つ以上、
テロに関しては人一倍慎重でなくてはなりません。
また、謝罪の言葉が「みんなが言うから訂正します」という余りに誠意のないものでした。
これでは、本気で首相を暗殺しても良いと考えているのではないか?と疑われても仕方がないでしょう。

ただちょっと気になるのが、この記事朝日新聞の紙面にしか出ていないみたいなんですよね。
他に全く出ていないところを見ると、もしかしたら朝日新聞の誤報かもしれません。
まぁ、もし誤報ならすぐに抗議されるでしょうけどね。

今日はこの見出しで、もう1人取り上げたい議員がいます。平沼氏です。
私は衆院反対派は参院反対派に追随せよで書いた通り、平沼氏は郵政民営化法案に白票を投じ、首相指名で小泉首相に投票すべきだと考えています。
平沼氏もそれを理解しているものの、面子を失う事を恐れて態度を保留しているのだと考えていました。
面子など既に失われているのですけどね。
しかし14日になって、首相指名で小泉首相には投票しないと発言されました。
ああ、既に失われた面子にしがみついても仕方がないのに、これで平沼氏の傷は更に広がってしまった、と残念に思いました。

ところが15日になって、態度を一転させました。
「軽々に私憤にかられてやるべきことではない。(党岡山)県連に迷惑を掛けてはいけない」と、また訳の分からない事を言い出したのです。
平沼氏は軽々に私憤にかられて、反小泉、反郵政民営化の旗を振っていたようです。
私憤とは、権力欲の事でしょうか。
また、国民にではなく、県連に迷惑を掛けない為に、信念を曲げるそうです。
これ、失言じゃないですよね。本音ですね。つい、言ってしまいましたね。
平沼氏は、国民の為に小泉首相に反旗を翻した訳ではなかったのです。

もう平沼氏が自民党に戻れたとしても、将来首相になれる可能性は万に一つもなくなったといって良いでしょう。
国民の信頼を回復する事は、完全に不可能になりました。
政治家は、国民を無視して権力闘争に明け暮れたあげく、自らの失言で自滅した平沼氏を他山の石として、
同じ失敗をしないようにして頂きたいと思います。
最初からおとなしく首相指名で小泉首相に投票すると言うか、黙ってそうしておけば、こんな事にはならなかったのに、大変残念です。
いや、平沼氏の本性を知る事ができたのですから、残念というのはおかしいですね。悲しいというべきでした。

参考リンク
西村眞悟議員首相狙撃発言 : 週刊オブイェクト

これが保守議員の正体だったね。 今日の出来心/ウェブリブログ

Irregular Expression: 平沼赳夫が狂人宰相に一票


2005年09月16日

民主党代表選 前原氏を支持する

民主党代表選は前原氏と管氏の一騎打ちになる情勢となりました。
対立軸は主に2つ考えられます。保革と世代です。
中堅保守派の前原氏とベテラン革新派の管氏という構図になります。
こうなると動きが読めなくなるのが、立候補を辞退した小沢氏と、小沢氏を推していた鳩山氏です。
今回2人は緊密に連携しているようですから、同じ候補を支援する事になるでしょう。
そして支援を受けた候補が新代表に就任する事になると思います。

一昨日の記事で書いた通り、管氏は最悪です。
前原氏は民主党「ネクスト内閣」の「防衛庁長官」を務めています。
シーレーン防衛やミサイル防衛の必要性を主張し、日米同盟解消に至った場合には核武装も考えなければならないとするなど、
安全保障問題について積極的な姿勢を持っています。
管氏が前原氏と同じぐらいの歳の時、
韓国で拘束されていた北朝鮮工作員の釈放を求める署名をしていたのとは大違いです。

代表選の選挙権を持つ民主党員には、是非とも前原氏に1票を投じて頂く事を望みます。
それが民主党の為、ひいては自らの為、そして国民の為になります。

尚、民主党代表選立候補の受付は17日午前10時に締め切られ、
午後13時半より代表選挙立候補者による立会演説会、15時より両院議員総会(投票・新代表就任あいさつなど)となっています。
13時半から民主党サイトでネット中継されますので、時間のある方は見てみましょう。

参考リンク
言語学研究室日誌:次期民主党党首は

【情報ボックス1】改憲・集団的自衛権の行使を主張する京都の民主党 かえるネット京都のウェブログ/ウェブリブログ

【ネット中継予定】両院議員総会 13:30頃〜(民主党)

資料:シンガンス釈放嘆願署名


2005年09月15日

民主党新党首 管氏だけはやめて欲しい

昨日の記事を書いたその日に同じような社説が3つも出ました。
特に毎日新聞は全くといって良い程同じです。案外、考える事は皆同じなのですね。

民主党代表 まずは岡田暫定で頭冷やせ(毎日新聞)

あわてて新代表を決めても、党刷新のためにいいことは何もない。ここはじっくり腰をすえて衆院選の敗因分析と、どうやって党を立て直すかに時間と労力を傾注すべきだ。

[民主党]「『出直し』のできる体制を築け」(読売新聞)

党執行部が強い姿勢でリードし、党内に亀裂が生じることを恐れることなく、徹底した党内論議を通じて、筋の通った政策を練り上げる必要がある。

民主は大敗を直視し党再生を急げ(9/14)(日経新聞)

選挙敗北の原因を直視したうえで、この機に徹底的に政策を見直すことが、党再生のためにまず必要な作業だ。

今党首選をやっても無用な混乱と権力争いを招くだけで、政策を練り上げるどころではなくなってしまいます。
何せ立候補の受付が17日午前10時までです。それまでに推薦人20人も集めなければなりません。
政策論争どころか、推薦人を集めるだけで寝る時間もなくなるのではないでしょうか。
今更取りやめるのも難しいのは分かりますが、できれば岡田氏を暫定的に続投させて態勢を立て直す事を望みます。

さて、その党首選ですが、立候補を示唆している人はかなり多いようです。
態度がはっきりしていなかったり、一部の報道に出ているだけの人もいますが、
名前が取り沙汰されているのは、小沢氏、前原氏、野田氏、河村氏、管氏ぐらいでしょうか。

小沢氏は剛腕、壊し屋の名で通っている人ですね。
党首になったら存分に党を振り回せば良いと思います。
党員が小沢氏についてくるなら良し、ついてこないなら党を壊せば良し。
どちらにせよ政策論争のできない党からは脱する事ができます。

前原氏、野田氏、河村氏は中堅議員です。
指導力は未知数ですが、若さが強みですね。
怖じ気づかずに党を引っ張っていく事ができるなら良いでしょう。
大政党で若い党首というのはなかなか見られませんし、面白いと思います。

問題は管氏。管氏だけは願い下げです。
10年前の薬害エイズ問題など古すぎる話です。
大臣の年金未納などという余りにもくだらない話を「未納三兄弟」などと呼んで政治問題化させ、
自らの年金未納が発覚して党首辞任に追い込まれたという大失態を国民は忘れていません。
これは去年の話です。
小泉首相とのやりとりも酷すぎで、管氏のボケに小泉首相がツッコミを入れる漫才を見ているようでした。
今年の通常国会でも数年前の発言を、わざわざパネルに書いて取り上げたりしています。
あれはもう笑えもしませんでした。ほとほと呆れるばかりでした。
これから1年あれを見せられると思うと、まさに議会制民主主義の危機を感じます。

民主党内の政策論争も進まなくなるでしょう。管氏は政策論争などしないからです。
火のないところに煙を立てる事に全力を尽くすだけです。
これでは民主党は今のまま何も変わらないという最悪の状況に陥ります。
岡田氏の暫定的続投が無理で、党首選が不可避なら、
せめて党を引っ張って政策を実現しようとする人が党首となり、民主党を変えていく事を望みます。


2005年09月14日

民主は真摯に反省を

言われるまでもなくそうしていると思いますが、一部には民主擁護論もあるようです。
確かに大幅に議席を減らしたとはいえ113議席を維持し、依然2番目に大きな政党であり、最大野党である事にも変わりないのは事実です。
しかし、民主が共産のような自他共に認める永年野党の地位に甘んじるのではなく、政権政党を目指すのであれば、
それからは大きな後退を余儀なくされてたのもまた事実です。

何故このような事態に陥ったのかといえば、郵政民営化法案へのでたらめな対応が1番大きな原因でしょう。
静観して党内や支持基盤の混乱を避け、自民の自滅を待てば良いと思ったのでしょうが、
いくら分裂したとはいえ、そんな姑息なやり方で政権を取れる程選挙は甘くありません。
選挙戦中に静観を維持する事すらできず、泥縄的な「改革案」を小出しにし、選挙戦中に党内と支持基盤の混乱を招くという目も当てられない事態になりました。
これで勝てる訳ありません。
ここまで減らすとも予想していませんでしたけどね。

今民主の関心事は党首選でしょうが、まともな人材がいないのであれば、ひとまず岡田党首を暫定的に続投させても良いでしょう。
たった1つの約束も守れない政党と言われるでしょうが、当分選挙はないので問題ありません。
むしろ無難な党首を担いで党内の混乱を避ける事に終始すれば、そのまま次の選挙まで今の状況を変えられなくなりかねないでしょう。
また負けたくなければ、政策論争をした上で誰もがついていける首相候補を担ぎ出すべきです。
それが無理なら党を分割する事も辞すべきではありません。
各々の党を作って首相候補を担ぎ、選挙の時には協力して自公に立ち向かえば良いのです。
政党とは政策実現の為にあるのであり、選挙協力の為にあるのではないのです。
選挙協力など政党を同じくしなくても可能です。自公が良い例でしょう。

民主が政権政党になろうとするなら、国民の支持を回復しなくてはなりません。
その為には労組依存を脱却し、政策論争をしても党が割れない強い党になる事です。
政策論争ができるようになる為には、党員の主義主張を摺り合わせるか、それができないのであれば党を割るしかありません。
小泉首相は郵政民営化法案に反対した党員を容赦なく排除する事によって、国民の支持を得ました。
民主にもそれができなければ、この先も支持を回復する事はないでしょう。
政党は政策実現の為にあるという政党政治の原点に立ち返り、再起を期して頂きたいと思います。

参考リンク
言語学研究室日誌:お遍路菅か、ゼネコン小沢か


2005年08月20日

自民と民主が政権公約を発表

自民党 政権公約2005
2005年 民主党マニフェスト 政策各論

全部読みました。長いですね。
今後数年間の政策が網羅的に書かれている訳ですから、ある程度は仕方がないのでしょうけど、
なかなか全部読んでくれる人はいないのではないかと思います。
双方に共通する問題点と共通しない問題点が様々な分野に亘って見受けられましたので、各分野ごとに見ていきたいと思います。

皇位継承
自民:記述なし
民主:女性天皇容認
自民は「皇室典範に関する有識者会議」の最終報告を待つようですね。
この中間報告では、旧皇族を復帰させるなどして男系を維持するか、女性天皇容認かの二者択一となっています。

外交
自民:対米関係重視、アジア「共同体」構想の推進
民主:対中韓関係重視、東アジア共同体の構築を目指す
自民は対米、民主は対中韓を先に書いています。
自民は東アジア共同体構想から「東」を抜きました。「共同体」を鉤括弧で括っているのは何を意味するか分かりません。
民主は中韓とは様々な交流、連携を進め、アジア地域を不戦地域にしたいなどとする一方、
対米関係においては「自制を促す」「地位協定の改定」「普天間基地の早期返還」など圧力を加える姿勢を鮮明にしています。
また、アジア諸国からの留学生受け入れを増やすとしています。

郵政民営化
既に預入限度額を500万円まで段階的に引き下げる(民主党)で書いていますのでこちらを参照して下さい。
日本は自由主義国家ですから、郵政公社維持にこそ説明が求められるべきです。

財政健全化
自民:小泉内閣の5年間で既に10兆円の歳出改革を断行、更に歳出・歳入一体の改革により2010年代初頭に基礎的財政収支を黒字化
民主:3年間で10兆円の歳出カット、国債発行額30兆円未満、基礎的財政収支赤字を半減
我が国の財政事情について(PDF)を見る限り、どちらも実現は厳しそうです。
民主の歳出削減項目は以下の通りですが大雑把で具体性に欠けており、どこまで実現できるかは不透明です。
国の直轄公共事業半減(1.3兆円)、国家公務員人件費総額2割減(1兆円)、特殊法人向け支出半減(1.8兆円)、現在の個別補助金の一括交付金化に伴う2割減(2.8兆円)、税源移譲に伴う交付税削減(1.7兆円)、その他経費の1割削減、特別会計の徹底的な見直し

農業改革
自民:集落営農の組織化・法人化や新規就農を促進
民主:サラリーマン・定年退職者に対し、一定の条件下で農地取得の下限面積条件を緩和
規制緩和によって農業への企業参入を促進すべきだと考えていますが、
自民の集落営農の組織化・法人化はその布石になるのでしょうか。
民主の改革案も前進ですが、企業を対象としていないのが気になります。

公共事業
自民:整備新幹線の着実な整備
民主:大規模な直轄公共事業の建設や計画をすみやかにストップ
半年以上前に散々無駄だと叩かれていた整備新幹線ですが、自民は計画通りに整備するようです。
民主は随分と大胆な事を言っています。

人権
自民:簡易・迅速・柔軟な救済を行う人権救済制度の確立
民主:障がい者差別禁止法、年齢差別禁止法、人権侵害救済法を制定、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書、自由権規約選択議定書を批准、「盗聴法」の運用を凍結、ILO勧告に基づき公務員の労働基本権を保障
郵政民営化法案が衆院通過する前まで与党内で揉めていた人権擁護法案ですが、自民は尚諦めていないようです。
民主は法務・人権というカテゴリーまで作っており、この他にも様々な法律を制定、改正する意向で、逆差別問題などの弊害を懸念します。

青少年
自民:青少年健全育成基本法を制定
民主:特定暴力情報等からの子どもの保護に関する法律を制定
どちらも内容を詳述していませんが青少年有害社会環境対策基本法みたいな法律になりかねないと懸念します。
神奈川県では青少年保護育成条例が制定されましたが、「有害図書類」の有害性には何の根拠も示されていません。
その為、風評や先入観だけで「有害図書類」の指定が行われているのが実態で、魔女狩りさながらです。
このような法案は百害あって一利なしと言わざるを得ません。

以上です。自民にも色々と問題がありますが、やはり民主はやばすぎると思います。
特に人権関連議定書の批准や外交政策の転換は衆院選で勝てば実現できてしまいます。
政権と衆院の過半数を確保すれば良く、参院の可決は必要ないからです。
とりあえず民主にやらせてうまくいかなかったら参院選で負かせば良いというのは、
大変危険な考えであると肝に銘じるべきでしょう。

参考リンク
草莽崛起 ーPRIDE OF JAPAN こんな民主党に政権は任せられないーその実態は第2社会党だ

言語学研究室日誌:終戦記念日に思うこと

郵政民営化賛成派のblog集:郵政民営化賛成派blog 一覧