February 22, 2011 23:03

「pentimento」終了。
新しいサイトに引っ越します。

徳永憲 official website
http://tokunagaken.blogspot.com/

試聴:Myspace
http://www.myspace.com/tokunagaken


January 09, 2011 00:21

『スワン』(2006)

バンド編成としては5年振りとなる作品。…というわけで気合が入った。
5年を経ている空気感は自然と録音に落とし込まれるだろうという想定の元、
選曲には気を遣った。
その構想段階で男女に纏わる曲が多そうだったので、その路線で統一。
やっぱりアルバム毎に大まかなテーマを決めるとモチベーションが保ちやすい。
途中で何がやりたかったか、迷うこともない。
自分の曲に自信が持てるように、ちゃんと冷却期間も設けているし(その間で脱落していく曲もあるということだ)万全の心持ちだった。
リズム録音&ミックスは前作でも一部お世話になった大串さん。
特定の趣味性を出さない、バランスの取れたエンジニアさんで、信頼が置けた。
僕の意見を吸収し具現化させるのも非常に素早い、職人さんでした。
そして、このアルバムからは歌い方を本格的に変えた。
前作でも試していたのだが、感情を抑制してデコボコをなくす志向へと。


1.赤い髪
2004年作。録音はすべて自宅のハードディスクMTR。声は10本以上重ねてある。
この時期、クァルテット・エン・シーをよく聴いていて、コーラスに凝っていた。
譜面とか書けないので、頭がゴチャゴチャになって大変だった。
最後に頼りになるのは耳だけなので、部分部分に欲しいハーモニーを足して完成させた感じ。

2.コートを召しませ
1998年作。昔住んでた東武東上線の駅を思い浮かべて書いた曲。
このアルバムのリズム録音は代々木ステップウェイで行った。1日半で8曲分。
ちゃんとそれで成り立っている理由は、みんな巧いことと、僕という独裁者が決定権をすべて握っていること。民主主義なバンドではこうはいかない。
ドラムは小島君、ベースは吉川君。チェルシーボロでもお馴染みのメンツ。
音は全体にアンビエントの効いたライブな方向性を目指した。

3.7(セブン)
2001年作。ギターのチューニングはEADEAE(2カポ)。
変則チューニングの良い所は自分の中のコード進行セオリーが破壊されること。
これで自然と純度の高い創作になる。この曲はその点ですごく成功している。
デモを初めて聴いたレーベル・オーナーのサカモト君の感想は、
「どうして僕のことがわかるんですか!」
歌詞のことを言ってるんだろうけど、むちゃくちゃな感想だと思った。
録音前のリハーサルでスネアの入る位置を細かく指示して小島君に嫌がられた。

4.ブレーキ痕
2000年作…とは言え、サビは2005年初頭に完全に書き替えた。
弟が某音楽出版社のディレクターから歌詞の一部を書き直した方が良い、と言われたその一部が「ブレーキ痕」。絶対に間違っているその意見に何故か僕が反発し書いた曲。
ベースの動きに細かい注文をつけて吉川君に嫌がられた。
ギターソロはリズム録りしたその日に、勢いで追加。なかなかカッコイイ。

5.サンビーム
1999年作。ギターのチューニングはGオープン。志賀直哉の平成女の子版、という感じか。
サンビームという言葉は元々はヴァセリンズの曲から着想を得ている。
わかるだろうけど、書いた瞬間に傑出曲だと思ったので、すぐに当時のバンドで練習を開始。
『眠りこんだ冬』ツアーのアンコールに新曲としてやっていた。でも、タイミングが合わず、正式発表したのはこのアルバムになった。

6.パーソナル・ノー
1995年作。治らないと言われてた病気が本当に治るものか。そこがこの曲の肝。
歌詞は尋常ではないが、曲調はシンプルなギター・ロック。
しかし、それをそのままシンプルに気持ち良く演奏するだけでは物足りない、という気持ちがどこかにある。だから決して代表曲扱いにはしない。大切な曲ではあるが。

7.ジューンブライド
1996年作。小節を食うリズムのオンパレードで、これがリズム録音の難所だった。
結婚についてテクニックだけで書いたみたいだけど、
ちゃんと気持ちがこもっているので個人的には問題なし。
ライブで歌ってみたいけど、歌詞と歌詞が交錯する部分があるので、どうしても実現せず。
そもそも僕の曲はライブを念頭に書かれていない。

8.S(スピード)
一番古く1992年作。昔(1995年頃?)ポニーキャニオンの顔見せみたいなオーディションでこの曲を歌ったもんだ。その頃までは僕の代表曲だった。
いつしかその青臭さが気恥ずかしくなって封印したんだけど、
今回最後に1曲弾き語りを加えることになった時、何故かこの曲が頭に浮かんだのだ。

9.君へと傾くから
1997年作。「君」の相手が「僕」だとは一言も歌われない、実は悲しい曲。
小島君のドラムはこういうダイナミックな曲調によく合うな。冒頭の豪快なオカズもアドリブ。
僕は「しめた、しめた」と思いながら同時にエレキをグワンと弾いてました。
最後に福永君のヴィオラをオーバーダビングした。

10.僕らはこれじゃ終われない
2000年作。これは完全に僕自身のことを歌った曲で、
書いた瞬間に溜めてたものがどっと流れ出た感覚があった。
本当はもっと重厚なアレンジでトゥーマッチなぐらい盛り上げても良かったのだが、
このアルバムは曲の骨格がちゃんと分かるシンプルな形にしたかったので、これぐらいに留めておいた。
エレキのフィードバック音だけは確か高田馬場のゲートウェイでダビングした。

11.爪の匂い
2004年作で1曲目同様これも自宅録音。僕がキーボードを弾いている曲は、録音前にそのフレーズだけを一から練習して弾いている。かなり面倒くさい。
ただ、地道に少しずつ手をかけているフィーリングがサウンドに沈着していくのは悪くない。
譜面を書けないし、日常的に練習することもないので、後から再現できないのが難点だけど。
「故意」は「恋」に聞き違ってもOKだと思って歌っている。


ジャケットは黒田硫黄氏。そのいきさつについては→こちら
それに伴うタイトル命名については→こちら
いいアルバムです。

January 04, 2011 01:40

あけましておめでとうございます
今年もよろしくお願いします
いよいよ今月26日に新作『ただ可憐なもの』がリリースされます!
皆様のお手元に届きますよう、願っております


というわけで毎年恒例のお気に入りアルバム。
一応選んだものの、2010年は自分の制作にかかりっきりだった事もあり、
全体的にそれほど聴きこめてないかなぁ、と思う。
何となく次点アルバムを寄せ集めているみたいで気持ち悪いけど、
まぁ、しょうがない。
因みにMGMTは冬になってから聴き返したらすごく良かった。
そういう発見がもっとできたらいい。

・Congratulations / MGMT
・Transference / Spoon
・Dark Night Of The Soul / Danger Mouse & Sparklehorse
・Contra / Vampire Weekend
・Avi Buffalo / Avi Buffalo
・The Age Of Adz / Sufjan Stevens
・High Violet / The National
・Strange Weather,Isn't It? / !!!
・Destroyer Of The Void / Blitzen Trapper
・The Courage Of Others / Midlake

December 23, 2010 22:15

ただ可憐なもの

こんな感じです。
質素な刺繍。
発売はあと1ヶ月ちょい。
いよいよ。
昨日は取材がありました。
雑誌「インディーズ・イシュー」

12/27追記:Myspaceで試聴始めました。
アルバム冒頭曲の「本屋の少女に」
少しでも広がってくれると嬉しい。
こちら

12/28追記:本日のライブ
イベント開演前にDJやることになりました。
何も考えてないので、適当にかけます。
ライブの出番は20時ぐらいの予定。
お楽しみに。

December 21, 2010 00:51

『サイレンサー』(2004)

いつかは作らないと、と思っていた弾き語り作品。
原点に帰り、殆どの曲をカセットの4トラックMTRで録音した。
当初はまたMuleに出してもらおうと思っていたのだが、条件が折り合わず、一時はリリースを諦めかけた。そんな時にワイキキのサカモト君が現れ「出しましょう」と言ってくれた。
別バンド、チェルシーボロの活動がそこそこ順調だったから、当時は深刻に考えていなかったけど、この時の申し出がなかったら、どうなっていたのだろうと今にして思う時がある。
本当にありがたい話だった。
またサカモト君は、ちゃんとしたエンジニアさんにミックスをお願いすることを薦めてくれた。
この判断も正しかった。粗いカセットの音が適度にブラッシュアップされ、締まった音像になった。
曲もコンパクトながら粒揃い。忘れた頃に聴いて、好きになってやって下さい。

1.盗聴キノコ
ギターのチューニングはCACFCD#。2002年作。
この時期は変則チューニングで妙なインストばかり作ってた。
シンガーソングライターとしては病んでいたかも。タイトルは「ほら、君ん家のキノコにも盗聴器が…」という意。それ以上の深い意味はない。

2.ダイヤに人を見る目はない
このアルバムの曲群は全てアコギと歌を同時に録っている。
言ってみりゃライブみたいなもの。この曲はヴォーカルが2本入ってるけど、
右のふらついている方がギターと同時に録った声である。
ギターのチューニングはCACFCD#。2002年作。

3.日曜大工
親と子の歌だが、子供ができたからといってそういう歌を作るというほど単純な話ではない。
このアルバムの中では一番古い1993年作。新しい曲群の中にこういう寝かした曲を混ぜることによって、アルバムに複雑な陰影が生まれるのが好きなのだ。
グロッケン、コーラスをオーヴァーダブ。

4.不良少女
ギターのチューニングはCACFCD#、そしてカポ。2002年作。
日本人はベタなウェットさが大好きで、いつの時代もそういうものが大衆の心を捉える。
それは重々承知なのだが、自分としてはそこに常に距離を置いていたい。
自分が恥ずかしいと感じることをやれるわけがないし、
そもそもそれを信じてやっている人に勝てるわけがないのだ。
でも、やっぱり僕も日本人なのでウェットなもの自体は嫌いじゃない。
その複雑な心境が表出している曲。歌詞そのものはバカげている。けど、ウェットなのだ。

5.しびれんぼう
2003年作。一人多重録音で、はじめてのアカペラに挑戦。
聴いての通りこれは4トラックじゃない。確かローランドのVSで録ったのかな。
しかし、それでもトラック数が足らなかった。
タイトルは映画「さびしんぼう」風に見せといて、実は卑猥なんじゃないかというギリギリのラインを狙っている。

6.クスクス
1999年作。山椒は小粒でピリリと辛い、という役回りな曲。
いつかこういう短い曲を30曲ぐらい入れたアルバムを作りたい。
それにしても「ハンガー状に男を吊るす」ってメチャクチャな日本語だな。
なんとなく言いたいことは分かるけど。

7.アノラッキー・ボーイ
2002年作のインスト。ギターのチューニングはGオープン。
昔「アノラック」と称された音楽があって、僕も好きだったんだけど、
社会的にはアンラッキーな奴に見えるんだろうな…という意のタイトル。
曲調はまったくアノラックしてないが、フードを被ったアンラッキーなボーイっぽくはある。

8.いつもいつも
ギターのチューニングはCACFCD#、そしてカポ。2002年作。
後半曲のムードが変わる。質素な4つ打ちで、フォークトロニカ的かもしれない。
このアルバムは僕にしては珍しくあまりストック曲を蔵出ししていない。
自分の中では一回リセットする感覚で作っていた。
次作『スワン』以降、またストック曲は出していくんだけどね。

9.ガールズ・フェスティバル
2004年作。アルバム制作終盤に足りない何かを補おうと思って急遽書いた曲。
結局これがリード・トラックになった。
Aメロとサビが同じコード進行なのがミソ。自分的には覚え易い。
PVは渋谷gabowlでのライブ当日にでいきなり撮ることになった。
アルバム音源は用意されてないし、あまりに無計画だったので、
(折角8ミリフィルムを使っているのに)しばらくボツという憂き目にあっていた。

10.氷の中の女
僕の音源の中でリヴァーブがこんだけかかっている曲も珍しい。
元々はチェルシーボロの為に書いたのだが、弾き語り以外にどうすることも出来なかったので、ソロ用とした。2001年作。EADEAEチューニングで2カポ。
歌詞でいつも気を遣っているのが、描写以外の部分で何が歌い手、聴き手に残っていくか、だ。
この曲の場合、死んだ女なんてどうでもいい事。
それと向き合ってる対象に刻まれ残されるであろう「何か」が重要。

11.今夜も暴走族の音
2002年作。俳句のような曲である。田舎で「暴走族」と言えば夏の季語なのだ。
これも「不良少女」と同じ路線かな。バカげているけど、ウェット。ただベタではない。
同郷の友人がこれを聴いて「あかん。たまらんわ~」と言っていて嬉しかった。
イントロでは暴走族のサイレンを模してみた。可愛いグロッケンの音だから全然迫力がない。

12.ネムノキ君
2001年作。最後の最後にものすごくヘタレな感じでバンド風バッキングがつく。
予測し得なかったことだが、この曲を書いた数年後、仲の良かった友達が亡くなってしまって、
それ以降この曲を歌う度にその友達のことを思い出してしまうようになった。
悲しくなるので、あまり歌いたくないのだが、時々は歌わねばならぬ。そういう曲。


ジャケットはここからしばらく友人である加藤くん(fromディレクションズ)に頼むことに。
顔ジャケは彼のアイディア。なんか僕のようで僕でないような、不思議な写真です。
この録音期に録音したけど、収録しなかった曲は「そっと必死にくいとめてらぁ」「焦燥感」
「宙イング・サヨナラ」「死に損なう君よ」「ハッピーバースデイ」「思いつめちゃいけない」。
行き場を見つけた曲もあれば、完全に葬られた曲もあり。復活する曲もあるやもしれない。

December 16, 2010 22:46

2010年12月28日(火)
<ELEKIBASS 2010 Farewell Party>
代々木Zher The ZOO
出演:ELEKIBASS with ヤパニ!ホーンズ、徳永 憲
ゲスト:渚十吾、アベタカシ
開場17:30/開演18:00
前売2000円/当日2500円(共に1ドリンク別)

年末のザーザズーはバンド編成で出ることに(!)。
当初は2マンの予定でしたが、もう少し賑やかになるそう。
前売りチケットの予約はHPの方で受け付けています。
そして、ちょうど1ヵ月後にもライブ決まりました。

2011年1月16日(日)
渋谷Cabotte
出演:徳永 憲、倉谷和宏(旭荘201)
開場18:30/開演19:00
チャージ2000円(1ドリンク込み)

以前にもやったワインバーにて。曲数はそこそこできるかと思われる。
予約はカボットさんの方で受け付けています(→こちら)。
限定20名で、席は当日の先着順だそうです。徳永の出番は1つ目の予定。


BGM:The Age Of Adz / Sufjan Stevens

December 07, 2010 23:34

『嘘つきデビル』(2001)

前作が地方の青春模様と都会との対比を描いていたとしたら、
このアルバムはその逆。都会の青春模様と田舎との対比。
基本トラックは秋葉原にあった福岡史朗さんの地下スタジオ、BOX&COXで録音した。
それを自宅に持ち帰り、あとはミックスまで全て自宅のハードディスクMTRで仕上げた。
予算があまり無かった、というのが最初の一因であるが、
制作しているうちに、デモテープに近いその手触りの方が内容に合っているような気がして、
自分の気持ちがすごく入っていった。
で、そうなったらもう後戻りは出来なかった。
同年に出したシングル「ネヴァ・ギヴァ」は当然収録されるもんだ、と誰もが思っただろうが、
結局音の質感が異なってしまったのでオミットすることにした。
とにかくミックスまで担当したということもあり、一番アルバム作りに没入したのがこの作品だ。
丁度コンプレッサーをどっさりかけるロック・サウンドに疑問を持っていた時期で、
自分なりにその対抗策を模索していた作品でもある。
それについては、あっさり敗北を認めるものであるが、
この温かく生々しい音は、社会と隔絶した耳で聴くととても心地良い…かもしれない。

1.ハイウェイの貴公子
知り合いのディレクターがスピード狂で、その乗ってる気分を僕が代弁してあげた。
しかし、当人には不評だった。
BOX&COXにあったメサ・ブギー(Gアンプ)がぐわんと良い音を出してくれた。
長時間使用すると音がへたる、と事前に聞かされていたので、いつへたるか冷や冷やしながら弾いていた。左右から聞こえるエレピが思いのほか情緒あり。1995年作。

2.看護婦のカーディガン
どうでもいいこと、この上ないことを歌うのが好きだ。今の時代「看護師のカーディガン」と歌わないといけないのかもしれないが、それは絶対にイヤだ。
マンドリンは土臭さを出さないように心掛けた。カウベルがとてもよく似合っている。1995年作。
実はチープなCGを使ったPVがあるのだけど、殆ど世には出ていないと思う。

3.なんだか迷惑だ
1994年作。女子に人気あり。ラブソング一歩手前のヘタレ歌で、ほぼ名曲。
坂田君のドラムがドライブ感たっぷり。僕がデモで打ち込んだリズムをいとも簡単に再現してくれるのにはいつも感心する。この録音の時も1テイクでOKだった。
珍しくバンジョーを弾いているが、これはスタジオに転がってたのを面白がって使ってみたのだ。
バンジョーを弾いたのは生まれてこの方、この日だけだ。

4.マイ・サンダー
アルバム制作終盤に大急ぎで録音した曲。これはすべて自宅録音。打ち込みの音が荒いぞ。
9.11のすぐ後のリリースだったので、この物騒な歌詞については随分と周りの人から言われた。しかし、当然これは9.11以前に完成していた曲だ。ライブでやるのは今でもお気に入り。
ギャラクシー500の「ブルー・サンダー」へのオマージュも入ってます。1999年作。

5.僕の胸につっかえているイヤなこと
今から考えると無茶をしているが、このアルバムのリズム録音に際してリハーサルをしなかった。いきなり録音。事前にデモテープとコード譜を渡しておけば、何とかなると思っていたのだ。
こういう複雑な曲は、ちゃんとリハをしていれば、もう少しスリリングになっていたかもしれない。
とても気に入っている曲だが、ライブではやったことがない。1996年作。

6.今夜君に会えるといい
ギターのチューニングはEADF#BE。3弦だけを半音下げている。
2001年作で、当時一番新しい曲だった。これも全て自宅録音。
途中から出てくる2本のディストーション・ギターは徳永憲史上、一番メタリック。
弾いてる時とても気持ち良かったのを記憶している。

7.たまらず恋をする
昔のバイト先の友人宅で飼われていたカメを見て閃き、彼の曲を書く。
いつ見ても逃げようとしているカメを、彼は「子供の頃から大事に飼っているんだ」と自慢してくれた。なんとも言えない寂寞とした歌だ。思い出すことが沢山ある。1995年作。

8.ファーストフード(火曜日にはもう飽きた)
表記は「ファストフード」の方が正しいのかもしれないが、どうにも馴染めないのだな。
1999年作。これも全て自宅録音。
アルバム・クレジットに「THE BIG SLEEP STUDIO」と記してあるが、要するにそれが当時の自宅。その頃レイモンド・チャンドラーと昼寝にハマっていたから、そういう名前をつけてみた。

9.オレンジ
元々は大学生の時に書いた野心的なメロディー。
歌詞をちゃんとつけて仕上げたのは1996年の時。
これも全部自宅で作業した曲で、その一連の曲の中では一番完成度が高いと思う。
甘いようでいて、とても苦い感触が残る歌詞だ。自分的には色んな挫折を織り込んだ。
気づいてくれなくてもいいけれど。

10.未来は来るだろう
ここで出てくる田舎の風景は『嘘つきデビル』の全体的な都会っぽさと対になっているもので、
自分の中ではひじょうに重要。コントラストがあればあるほどいい。
最後に転調するんだけど、80年代っぽくない所は自画自賛できる。
静動のダイナミズムが激しかったから、ミックスには苦労した。1996年作。

11.飛べないカモメ
これが一番古い曲で、1992年作。いかにも大学生のボンクラが作りそうな甘えた歌で、
そういう所が気に入っている。短いけど、ちゃんとエモーションを湛えた歌になっているかな。

アルバム・タイトルは最後の最後に命名した。
アートワークはブライト・アイズのジャケも手がけていた山本さん、
そしてSpangle Call Lilli lineの笹原さんの写真、
どれもこれもうまくハマった。トレイ下に写っている自分は病弱そうで激ヤセだが、
まぁ、そういう時期だった、ということだ。
詮索は無用で。

December 01, 2010 09:29

『眠りこんだ冬』(2000)

このアルバムから完全セルフ・プロデュース状態に入る。
というわけで、以前からやりたかったパワーポップ路線へと突入。
似合わないと言われて封印していたブルース・ハープやボトルネックも演奏するわ、
勢い任せに叫んでいる曲もあるし、かなり羽根を伸ばした状態。
今冷静に聴けばヴォーカルに力が入り過ぎの曲もあるが、
そういうモードだからこその青春っぽさ全開という気もする。
そう、これは青春をコンセプトに作られた作品だった。
曲調はいくらか若く、90年代前半に作られた楽曲が多い。
もうすぐ20代も終わるというこの時期に、今作らないとタイミングを逸する、
とはっきりと意識していた。
ギリギリのところで若さを爆発させたアルバム、といったところか。

1.フレンド(オア・ダイ)
1994年作。飲み会という理由だけで騒げなかったのは、若くてプライドがあったからだ。
30代を越えたら飲み会という理由だけでウキウキしてしまうよ。
昔は親睦会って言葉が大嫌いだった。そのいらだちが歌になった。熱い。
他の曲もそうだが、リズム録音は主に代々木ワンダーステーション。

2.気にしないで
1991年作。こういうナーバスな曲はもう書けない。まだ大学生だった。
寺谷さんはピチカートでも叩いてた激ウマなドラマー。スマートで洒脱。仕事人だった。
ピアノ・ソロは昔のデモテープそのままを鶴来さんに弾いてもらった。
PVは練馬の光が丘公園にて撮影。最初病院のベッドに乗りながら歌いたい、と言ったらコロコロ付きの丸イスで妥協してくれ、と言われた。
因みにシングル・ジャケの案は僕が出したもの。
デザイナーの木村さんがそれをポップに仕立ててくれた。

3.ラブソング・ナンバー1
1993年作。東京に来た頃の気分がかなり投影されている。独りでもがいている人の為の歌。
タイトルはおちゃらけ、というよりは挑発。
ホーン・セクションはスリルの方々。はじめはもっと派手なアレンジだったのだが、
僕には豪華過ぎるように感じたので、とことん地味にしてもらった。申し訳なかった。

4.読書のポーズ
1995年作。これも青春の1ページ。
本は好きだけど、本を読む自分が好きって考え方もあるよな。
ドラム・パターンはキンクスを参考にした。寺谷さんは本当にタイトだ。
録音したスタジオは麻布だったんだけど、この頃サルが出没していた。(どうでもいい)

5.工業都市のため息
1996年作。ボブ・ディランの「おもいぞパンのビン」の一節「マンガ本と僕、僕らだけでバスに乗る」からインスパイアされて書いた。
何故だかレコーディングのことは(ギロを使った時以外)憶えていない。
だけど、出来としてはいいんじゃないだろうか。アルペジオが工芸品みたいだ。

6.トンネル
中学生の頃からオリジナルは作っていたんだけど、初めて本格的に日本語で書くようになったのが20才の時。この曲はその第一歩。というのは前にも書いたな。
若書きのようでいて、今でも歌える普遍性もあるような。
不思議だ。
等さんのウッドベースと、鶴来さんのピアノが柔和で美しい。1991年作。

7.80年代
1994年作…とは言えメロディー自体は高校生の時に作った。
それを引っ張り出してきて日本語を乗せたら、こういう歌詞になったと。
しかし、内容は90年代でも00年代でも適用できるんじゃないかな。
ガット・ギターを弾いているのはかなり珍しい。甘い音色が曲調に合っていると思う。

8.眠りこんだ冬
雪原を走るJR電車に乗った自分をただ描写しただけの曲。
アルバム・タイトルにもなって、当然ジャケットの世界ともリンクしている。
アウトロを途中でフェイド・アウトするかどうか、で非常に悩んだ。
でも、ベースの吉川君がこのアウトロを絶賛していたので残した。確かにこれは痺れる。
左右のダブル・ドラムを提案したのは坂田君。1996年作。

9.ひっこみじあん
1994年作。若さが持つ強さってのは経験の浅さに裏打ちされたものだ。
そして、若さが持つもろさってのも経験の浅さに裏打ちされたものだ。そういうラブソング。
凝ったコーラス・ワークは昔のデモテープを再現した。
そういった上モノの録音は、主に四谷天窓と同じビルに入っていたスタジオで作業することが多かった。

10.雨が降り続いた
1996年作。ギター・ソロは僕が最初に自宅で録ったデモのテイクを採用。サンプリングした。
二度と同じようなソロを弾けなさそうだったので。
全体の音の質感はまさしくエンジニア土井さんの世界。どっしりしている。
「リンゴン リンゴン」とは鐘の音。そして、次曲にも鐘が打たれる。

11.オカエリ・ファンファーレ
1994年。元々のタイトルは「オカ・エリロ・ボコン」。
作った当時、渋谷系が流行っていて、それを(誰にも知られぬよう)揶揄している。
オシャレさんが間違ってフランス語風に発音したら最高だ、とニヤニヤしていた。
で、中黒の位置がおかしいにせよ、念の為スタッフが東映に確認を取ってみたら、
歌詞で歌われる分にはいいけど、タイトルには勘弁、という返事だった。
というわけでファンファーレになった。
ヴォーカル録りの日は発熱していた。しかし、締め切りが迫っていたので強行。
PVは等々力の多摩川周辺で撮影した。最後に土手でワーゲンを運転した感触は良かったよ。

12.飛び出しナイフ
1992年作。歌詞は色々と書き直して、最後はパズル状態。数行しかないのに。
そして短い曲なのに、地味に何度も転調している。変だ。

13.マテリアル・イシュー
自宅のガレージでガス自殺をしたマテリアル・イシューのリーダー、ジム・エリスンに捧げた。
ダイアンとかヴァレリーとか、女の子の名前の曲が多かった人だった。1996年作。
ちなみに「気にしないで」のカップリングにした「不時着ヴァージョン」はリズム録りした時のヴォーカルをそのまま使ったもの。ヘロヘロでかっこいい。

ジャケットは越後湯沢の近くの町で撮影したもの。
(川端康成好きとしては、雪国と言えばここしかない)
自分にはアルバムを録音する前からコンセプトが見えていたので、
スタッフにお願いして、かなり前倒しで撮影に行ったのでした。

November 23, 2010 23:17

2010_11_22徳永憲(リハ)at渋谷クアトロ

昨日のスザク・ミュージック祭、無事終了。
次回あるとするならば、
今回観てくれた人はまた絶対来てくれそうな、いいイベントでしたね。
僕はなんやかんやで3回ステージに立たせてもらった。
懐かしい曲もやれたし、
すごく楽しかったです。

次回ライブは28日(日曜)。
下北沢BAR?CCOにてアコギの弾き語り。
前売予約はBAR?CCOでメール受付しています。
こちら

メール送信の際は、件名に:11/28「HIGH BRICCO MEETING Vol.11」予約希望
本文に:名前(フルネーム)、電話番号、予約希望人数を明記して送信して下さい。
cco@club251.co.jpからの返信メールをもって受付完了となります。
TEL=03-5481-7444(two five one事務所内 CCO担当宛/16:00〜)

ただいま選曲中。
来年出る新作アルバムのモードを取り入れた感じにしようかな。
皆様よろしくです。

そうそう、28日は新宿で黒田硫黄サイン会もあります!
「あたらしい朝」の2巻を買って、サインしてもらって、
そして僕のライブに来るってのもオツかもしれない。
詳しくは→こちら
2巻、展開はとても早いのだが、
読後の味わいはじわじわ後でやって来る感じ。
個人的には、状況に流されまくりのマックスの生き方に、
何故か一本筋が通っているのが泣けた。
そして、それが最初から本のタイトルに集約されていた事にも気づいて、
しばらく感じ入ったのであった。


BGM:Destroyer Of The Void / Blitzen Trapper

November 17, 2010 22:45

2010年11月22日(月)
<SUZAK MUSIK Night>
渋谷クラブクアトロ
出演:小島麻由美、ピラニアンズ、ビューティフルハミングバード
ゲスト:ハッチハッチェルバンド、徳永 憲
DJ:HAKASE−SUN
開場17:30/開演18:30
前売3500円/当日4000円(共に1ドリンク別)

いよいよ来週に迫ってきましたよ。
僕の出演時間はそんなに長くはないと思うけど、
内容はめちゃくちゃ濃くなる予定。
バンド編成もやる。
28日(日)下北沢BAR?CCOの方はアコギでの弾き語り。
10曲はできると思う。
皆様、ご期待を。


BGM:Avi Buffalo / Avi Buffalo

November 11, 2010 00:02

『お先に失礼』(1999)

元々はポニーキャニオンの資金で作っていたのだが、突然契約を反故にされた為、
事務所レーベルから出すことになったミニ・アルバム。
そんなゴタゴタがありつつも、ちゃんと味方についてくれる人々が周りにいてくれた。
とてもありがたかった。今でもその感謝の気持ちを忘れることはない。
制作で印象深いのは16CHのアナログ・レコーダーを持ち込んでリズム・トリオを録音した目黒ゾアでのセッション。
リハと録音を兼ねながら色んな曲を試した。
今でも活躍してくれている吉川君はそこからの参加。
『アイヴィー』の出発点は僕の生々しい弾き語りだけど、ここでは溌剌としたバンド・サウンド。
これは意識してのこと。風通しが良くなった、と当時よく言われました。

1.誰かのブルース
カメラという単語をどれだけオシャレに使わないか、にこだわった。
『アイヴィー』に比べて随分ちゃんとした歌だ。反省したとみえる。1993年作。

2.お先に失礼
1992年作。斜に構えて物を見る典型みたいな曲で、これが大学生当時の僕そのものだった。
僕が基本的にはネオアコ野郎だということが分かる。それは否定できまい。
ASA-CHANGが4種類ぐらいのパーカッションをダビングしてくれて、キャッチーになった。
そして、等さん編曲のストリングスがまたしてもかっこいい。
PVは富士山、お台場で撮影した。この頃のお台場はまだ空き地が多かったな。

3.ぎこちない歩き方
最初「春が来た」というタイトルだった。リズムが8分の9になっている部分が気持ち良い。
ジャカジャカ弾いているアコギはエンジニア浜田さんのアイディアで8本ぐらい重ねたもの。
間奏の口笛は当時マネージャーだった麻畠君。僕よりうまかったので、座を譲った。
この曲でもASA−CHANGのパーカッションが効いている。1993年作。

4.0ポイント
5.メザセ!メザセ!
このミニ・アルバムの中核を担う曲。元々は高音ではりきって歌う曲だったのだが、
ディレクターの指示でジェントルな歌い方にした。
そのディレクションは正しかったと今にして思う。
長いイントロを1曲扱いにしたのが「0ポイント」。僕のギターがうまい。1998年作。

6.ひ弱な兵隊さん
制作の終盤でビタースウィートなメロディーを足したいと思って引っ張り出した曲。
1994年作。歌詞のテーマはほぼ「メザセ!メザセ!」と同じである。
こういった弾き語り曲やダビングものは、殆ど用賀のゲートウェイ・スタジオでの作業だった。

7.陽気なバラ
堀辰雄が療養してそうな高原のサナトリウムをイメージして書いた。1998年作。
ザクッとしたバンドの音がいいですな。
僕がギター・ソロを弾くヴァージョンがあったが、最終的にはオルガンに差し替えに。
最後に回転数の落ちた変な音が出てくるが、これはマルチテープにたまたま残っていた別アーティストの音。ポニーキャニオンの倉庫にあったもう用済みのサブテープを使い回して制作していた為。面白かったので残してしまった。

8.日曜の朝 
子供ソング。こういう曲は使えそうなストックがまだ幾つかあって、
いつか纏めて出してみたい気もする。いつになるかわからないが。1994年作。


ジャケットの撮影場所は国立の一橋大学。
僕が着ているのは60年代のアイビー・スーツだそう。
レンタルでなく経費で買い上げた、ということだったので僕がもらったのだが、
あれから袖を通したことはない。勿体無いね。


November 04, 2010 23:56

『アイヴィー』(1998)

1996年から断続的に続けていた(休んでいた時期もあり)録音を最終的にまとめた1枚。
レコーディング・スタジオは延べ7ヵ所ぐらいに渡るか。
今なら1日に何曲も録っていくが、この頃は基本的に1曲毎にじっくりと作業。
あれやこれや悩みながらスタジオを使っていた。
今『アイヴィー』の制作費があったら10枚は余裕で作れる…。
時代はかわった。
そう言えば、ミックスまで完成しつつもお蔵入りになった曲が3曲ある。
その他、別ミックスなども多数。シングルのカップリング曲もあった。
とにかく色んなことを勉強させてもらった。
その経験は現在にも活きていると思う。
ジャケットのアイディアは結構ギリギリの時期になって突然閃き、
辻川さんに急いで電話したのを憶えている。
おかげで雑誌などで「Now Printing」状態になってしまった。

1.詩人
1994年作。『アイヴィー』セッションの最後の最後に、録音〜ミックスまで代々木のワンダーステーションにて一日で仕上げた曲。僕にしては珍しく徹夜の作業になった。
1曲目なのでコンパクトにしようと思ったのだが、長くなった。でも、これでいい。
エンジニア土井さんのかけたエフェクトが緊張感あって好きだ。

2.夜はとても優しくて
クリックなしの弾き語りを録音した(本人はデモ録りのつもり)後から肉付けしていった、このアルバムらしい曲。というわけでリズムがヨレヨレ。
でも、味がある。今は無き六本木WAVEの上にあったスタジオでエレキをさんざん弾いたが、
うまくいかず(イントロの1フレーズだけ採用)、結局、高田渡さんとの共演でお馴染みの佐久間さんにエエ感じのエレキを入れてもらった。鶴来さんのエレピが最高。1995年作。

3.優しいマペット
ソプラノ・リコーダーは前日に練習したのをよく憶えている。
友達の友達に借りたんだけど、笛には女の子の名前が書いてあった。
ま、どうでもええわな。ハンドクラップはスタジオにいた何人かで録音。楽しかった。
マペットというのは「マリオネット」と「パペット」を合わせた造語らしい。
操られる上に優しいとは悲惨だ。1993年作。

4.オートマチック・ラブラブマシーン
1995年作。よく聴いたら「フンフン」とアコギ弾きながら鼻歌歌ってるな。なんて適当なんだ。
リズムマシンはローランドのドクター・リズム。音色はあれ1種類しか出ない。
シングル・ジャケのアイディアは辻川さん。何回もジャンプした記憶がある。
あと内ジャケの風船ガム写真だが、風船ガムってふくらますと白くなってしまうので、
あれは食紅を大量に混ぜこんだガムだった。強烈にまずかった。
PVは確か麻布の住宅地で撮影した。
一見ローファイなノリだが、周りにはスタッフがいっぱいでした。

5.魂を救うだろう
曲の終わり、よく聴いたらエンジニア大橋さんの「ほい(OK)」という声が聞こえる。
ドア開けっぱなしだったのだろうか。

6.口封じ
1998年作。下手くそなジョン・フェイヒー風インスト。ギターのチューニングはEADEAE。
虎ノ門にあったポニーキャニオンのリハーサル室みたいなスタジオで録音した。
年期の入ったアナログのコンソール卓があって、渋いサウンドになった。
堀込君(キリンジのお兄ちゃん)がタイトルを褒めてくれたような気がする。
(1993年頃、デモ録音を手伝ってもらったことがあり)

7.コーラの秘密
女言葉になっているけど、これは歌い手を小島麻由美に想定して書いたため。
結局自分で歌うことになった。1997年作。
サビの高音が掠れているけど、これもアコギと同時に録ったから直せなかった。
等さんのストリングス編曲がカッコ良過ぎたので、わざとダサくしてもらった覚えあり。
鶴来さんのピアノ・フレーズが凄い。

8.プリントドレス
1994年作。女性を侮辱した曲ではない。むしろその逆。ドラムとオルガンは小島麻由美。
彼女が自分のアルバム用に予約していたアバコ・スタジオに突然呼ばれ、これを録った。
予約したはいいが、その日はやることがなかったらしい(担当ディレクターが同じだったのだ)。

9.ラッキー
1993年作で、その頃に録ったデモテープの音をそのまま流用している。
坂田君はしょぼいドラムマシンの音をヘッドフォンで聴きつつドラムを叩いているわけだ。
というわけでミックスが難しく、何度かやり直した。僕の耳も経験不足だった。
鼻の欠けたミッキーとは勿論ミッキーマウスのことだ。

10.いつまでも生きていたい
ギターのチューニングはEADEAE。
この曲もクリックなしの弾き語りを最初に録って(本人はデモ録音のつもり)、
そこにバンド・サウンドを重ねた。
そういう録音方法になったのは、まだ僕がスタジオに慣れてなくて、歌が硬かったからだ。
1998年作。当時、一番新しい曲だった。

11.アイヴィー
1998年作。ギターのチューニングはEADEAE。
アコギ&リズム隊はクリックなしのライブ一発録音。しかも、リハーサルなし。
最初の等さんベースの即興に引き込まれるうちに魔法にかかった感じ。
ま、いい曲はいいプレイを呼ぶのだ。それは経験上、確か。
演奏後、盛り上がったその場で等さんにストリングスを依頼。
最初は短い弾き語り曲だったのにエライことになった、と思った。

拙い部分もあるけど、ざっくり個性が見えていて、いいデビュー・アルバムだと、
久し振りに聴いて思った次第。
当時はあれもやりたい、これもやりたい、とまだまだ悶々としてたけど、
これぐらいのバランスで良かったのかもな。

October 29, 2010 16:49

『魂を救うだろう』(1998)

デビュー作がミニ・アルバムになったのは、ディレクターさんの薦めだった。
録音は1996年から始めていたのに、まだ全体のイメージは散漫としていたし、
録音したい曲の候補は増える一方だった。
事務所が決まった事を機に、ここらで一区切り打って、
先ずは最初に名刺がわりのミニを出そうという話になったのだ。
僕も同意した。
1998年の時点で東京に出てきて5年経っていた。
その間ライブ活動もしていない。
何も起きていないも同然だった。
何かしら痕跡を残さなければ、という焦燥感があったのは事実だ。

今から思うと、この5曲の並び、バッチリだ。
(選曲はディレクターさん。勿論僕も納得の上でのリリース)
僕以外の人から見た「徳永憲」の個性がよく出ている。
しかし、当の本人としてはその辺りがよく分かっていなかった。
現在は(持て余しつつも)それなりに対処出来るようになったが、
当時は自分と自分の音楽との関わり合いは、ほぼカオス状態だったように思う。

1.ビルの屋上
青山にあったラント・スタジオでベーシックを録音。
その後、別スタジオで等さんのウッドベースを入れて完成。
売れっ子スタジオ・ミュージシャンの凄さを思い知った瞬間だった。1996年作。

2.魂を救うだろう
これもラント・スタジオで歌とアコギを同時に録音した。
歌詞の最後の行は、本当は違う言葉の並びだったんだけど、
今歌った方が良かったじゃん、ということになり採用された。
野崎さんのチェンバロが素敵。いつかまた仕事をしたい。1996年作。

3.だから僕は眠るのか
ギターのチューニングはDADGAD。
最後はぷっつり切れる編集がされているけど、実際の演奏もそのすぐ後でぷっつりと終わる。
小品のつもりで書いたものが大作になっていく、そんな過程が垣間見える。
エフェクトはミックス時に3人で手分けして手動で動かした。1997年作。

4.夢の中じゃ
そう言えばこの5曲、今でもライブで普通に歌っているんだよな。
まぁ、僕の基本形なんだろう。辛辣さの按配がちょうどいい感じ。
ドラムは坂田君が2パターン叩いていて、採用になったのは激しいヴァージョン。
録音したスタジオは六本木の再開発の関係でなくなってしまった。1993年作。

5.わんわん吠えている
これは昔のデモテープそのまま。ベッドルームでカセットMTR一発録り。
1994年録音なので、ちょっと声が若いかな?


ジャケット制作は小島麻由美のジャケットでお馴染みのサリーさん。
僕は不慣れで意見が迷いどおしだったな。
タイトル曲は8ミリでPVも撮った。映像表現に疎かった自分が露になっていて、
出来は決して良くはないと思う。
※何か思い出したら、追記していこう。

October 23, 2010 00:08

今週は京都でアルバムの最終ミックス&マスタリングを行ってきた。
場所はマザーシップ・スタジオ(→こちら)。
音へのこだわりを感じさせる環境で、楽曲に堂々たる風格がついた感じ。
僕が「こうなったらいいなぁ」と思っていたサウンドに見事変身。
尽力していただいたラリーさん、野村さんには本当に感謝です。
というわけで、とうとう完成しました!
発売は来年の1月。詳細は徐々に出していきます。
お楽しみに。

さて、京都での一泊はゆーきゃんにお世話になって、
次の日はabcdefg record(→こちら)の計らいで名古屋ライブと相成った。
何も分からない状況で行ったわけだが、
カフェの方々共々みんないい人ばかりでひと安心。
リラックスして演奏できた。
事後報告になるけど、その模様はUstreamで中継された。
誰か見た人いるのかな。


BGM:Yellow Fever / Fela Kuti

October 17, 2010 23:17

KitKatの大人味が美味いなーと思っていたところ、
季節限定のロッテのRummyが今年も無事発売になっていて、
また買い溜めしましたよ。益々チョコレート三昧。
そんな最近です。

いきなりですが、今週名古屋でライブをします。
チャージ・フリーなので、来れそうな方は是非。
名古屋、いつ以来だろう?

詳細は→こちら

記事検索
ギャラリー
  • 『ただ可憐なもの』 ジャケ&試聴開始
  • あたらしい朝、そして次回ライブ
  • 981
  • ひらパー兄さん選挙
  • ひらパー兄さん選挙
  • マン・レイ展 知られざる創作の秘密
  • ライブドアブログ