特撮ヒーロー番組は、基本的に放送のかなり前から撮影が開始されます。例えば、円谷プロのウルトラマンシリーズは、撮影した内容が放送されるのは半年程後になりますし、松竹の作った魔弾戦記リュウケンドーは、既に全52話の撮影がクランクアップした後に放送が開始されています(まあ、これは放送予定時期が遅れたことが影響していますが)。これに対し、仮面ライダーやスーパー戦隊を手掛ける東映では、撮影から放送までわずか1ヶ月程度しか時間がありません。何故こんなギリギリのスケジュールをとっているのでしょうか?

1つの特撮番組の放送期間はたいてい1年間です。 これだけ長期間に及ぶ撮影だと、時間的な余裕は多い方が助かります。脚本の仕上がりが遅れたり、役者が急病になってしまった場合などでも、比較的スケジュールの都合はつけやすいです。また、特撮番組故に、必殺技などのCG演出も必要になりますが、そういった編集作業にも時間が掛けられるため、クオリティの高い作品が作りやすいというのも利点です。こう考えると、撮影から放送までの時間が短い東映のやり方は良くないようにも思えます。

 しかし、撮影から放送までの期間が短いことにもメリットはあります。それは、臨機応変な対応が出来ることです。番組が思うように人気が出なかった場合でも、テコ入れや路線変更などで改善を図ることも可能ですし、また、人気のキャラクターは出番を増やすなど、視聴者の意見に迅速に応えられるのです。放送開始時に撮影が終了しているような番組では、こうはいきません。

このように一長一短があるため、どちらのやり方が正しいということはないのです。