男「本気で映画作る。主演女優はキミだ。キミしかいない!」
1 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:03:51.38 ID:2RAcRBUE0
男「ちょっとっ!そこのキミ!」
女「えっ!?わ、わたし…?」
男「……ふぅむ」
女「…?」
男「ちょっと、口開いて」
女「え?…は?」
男「ふぅむ…」ジロジロ
女「(あっ…びっくりしてちょっと開いちゃってた)」
男「運動は得意?」
女「…別に得意じゃないです。いきなり何なんですか?」
男「そうか……。バク転もできないのか?身体は柔らかいか?」
女「(あやしいのにつかまってしまった……)」
3 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:06:41.64 ID:2RAcRBUE0
友「…で、誰だったのその人」
女「わかんない」
友「めっちゃ不信人物じゃん!ほんとにこの学校の人だったの……?」
女「うん…」
友「もしや、新手のナンパ」
女「えーっ!ないない!」
友「女ちゃん可愛いんだから無理もないわねーっ」
女「だから違うってばーっ!そんな感じじゃなかったもん」
友「わかんないわよ?もうすでに、このクラスで先輩に手をつけられた娘いるもの」
女「えっ?まだ入学して一ヶ月もたってないのに…」
友「手がはやいわよね。…だから、あなたもきっと狙われてるんだって」
男「ちょっとっ!そこのキミ!」
女「えっ!?わ、わたし…?」
男「……ふぅむ」
女「…?」
男「ちょっと、口開いて」
女「え?…は?」
男「ふぅむ…」ジロジロ
女「(あっ…びっくりしてちょっと開いちゃってた)」
男「運動は得意?」
女「…別に得意じゃないです。いきなり何なんですか?」
男「そうか……。バク転もできないのか?身体は柔らかいか?」
女「(あやしいのにつかまってしまった……)」
3 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:06:41.64 ID:2RAcRBUE0
友「…で、誰だったのその人」
女「わかんない」
友「めっちゃ不信人物じゃん!ほんとにこの学校の人だったの……?」
女「うん…」
友「もしや、新手のナンパ」
女「えーっ!ないない!」
友「女ちゃん可愛いんだから無理もないわねーっ」
女「だから違うってばーっ!そんな感じじゃなかったもん」
友「わかんないわよ?もうすでに、このクラスで先輩に手をつけられた娘いるもの」
女「えっ?まだ入学して一ヶ月もたってないのに…」
友「手がはやいわよね。…だから、あなたもきっと狙われてるんだって」
4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 13:10:17.84 ID:2RAcRBUE0
女「…そうかなぁ」
友「で、どうだったの?カッコよかった?」
女「あ、あんまり……覚えてない」
友「…ふーん」
女「な、なに」
友「べつにぃ」
ガラッ
先生「うーっし、朝礼はじめんぞ」
友「あ、先生来たっ。…何か発展があったらおしえてねっ?」
女「だからそんなの無いってばぁ」
5 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:16:59.54 ID:2RAcRBUE0
先生「もう知ってるだろうが、これから新入生歓迎会があるから」
先生「放送が入ったら静かに廊下にでて、体育館に向かうこと」
女「(…ほんと、さっきの人なんだったんだろ)」
女「(ネクタイの色が2年生の色だったから、先輩だと思うけど)」
女「(新入生歓迎会かぁ……)」
女「(どこかに、いるんだろうな)」
女「(……。)」
女「(また変なこと聞かれたらやだなぁ…)」
6 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:22:30.32 ID:2RAcRBUE0
体育館
『サッカー部はサイコーの先輩とサイコーの楽しさで、キミをまってるぜっ!』
『マネージャーも大募集中なんだぜーーっ!』
友「うわ…。ああいうノリ、私苦手」
女「うん。私も……」
友「今のところ、気に入った部活あった?」
女「無いなぁ…」
友「私も…」
女「もう、帰宅部でいいかも」
友「なんか私もそんな気がしてきた。日陰者の私には、部活紹介のこの時間は苦痛でしかないわ…」
女「友ちゃん卑屈すぎだよ…」
7 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:32:46.18 ID:2RAcRBUE0
女「…でも、確かにそうよね。中学の時は入学してすぐバレーボール部に入ったけど」
女「練習キツくてすぐにやめちゃったのよね…。朝練とか、私には向いてなかった」
友「女ちゃんは朝に弱いもんね?」
女「低血圧なのっ」
友「へぇ。じゃあ、デートにも遅刻するんだ?」
女「それとこれとは…」
『本 気 で 映 画 を 作 る !!』
女「ふぇっ!?」
友「な、なにっ?」
男『映画同好会だっ!!』
男『本気で作りたい奴だけ来いっ!!』
男『以上ッ!!!』
女「(きょ、今日の変な先輩っ…!?)」
8 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:40:23.87 ID:2RAcRBUE0
『え、映画同好会の紹介でしたーっ。つづきましてはー』
女「あ、あの人」
友「知ってるの?」
女「今朝の…」
友「なるほど」
友「…だいぶ、個性的そうな人ね」
女「でしょ?」
友「でも、顔は悪くなさそう」
女「友ちゃんああいうのがタイプなの?」
友「そうでもないけどね」
友「一般的に見てよ。…ま、壇上であんなことする人、普通の女の子は寄り付きにくそうよねぇ」
友「肝が座ってるというべきか…。恥知らずというべきか…。目立ちたがりというべきか…」
9 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:46:19.49 ID:2RAcRBUE0
女「映画同好会かぁ…」
友「映画好きなの?」
女「うーん」
女「きらいじゃないけど」
友「…好きでもない、と」
女「うん。映画館ってほとんど行ったこと無いし」
女「テレビでもわざわざ映画みないしさ」
友「まぁ、確かに1時間半以上拘束されるのは、私も性に合わないんだよね」
女「TVだとCMの量がすごく多いしね」
友「…高校でも私たちそろって帰宅部かな」
女「…そうかも」
10 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:51:47.83 ID:2RAcRBUE0
翌朝・学校の廊下
女「……あ」
男「おぉ」
女「(また会ってしまった…)」
男「うんうん…」ジロジロ
女「あ、あのぉ」
男「100メートルは何秒で走れる?」
女「は?」
男「え?」
女「……じゅ、じゅうはち秒、くらい…」
男「そうか……。そうか、そうか…」
女「(何がしたいんだこの人は…)」
11 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:56:45.22 ID:2RAcRBUE0
男「何か特技とかある?」
女「べ、べつに」
男「得意なスポーツとか科目は?」
女「あ、あのぉ…」
男「んむ?」
女「こ、こまります…。何のつもりか分からないですけど」
女「もうすぐ…HRはじまっちゃいますし」
男「大丈夫。HRの時間まであと5分はたっぷりある」
女「は、はぁ」
12 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:01:51.95 ID:2RAcRBUE0
男「……まぁ」
男「確かに朝の大事な時間を悪かった」
女「(やった。分かってくれた!話せば分かる人だった!)」」
男「だからゆっくり話す時間を作るとしよう」
男「今日の放課後そこの部屋に来てくれないか」
女「えっ!?」
男「大丈夫だな、空いているな」
女「えっ…?えっ…?」
男「では、待っているぞ」
女「えぇーーっ?」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:07:25.98 ID:KmMzgeeJ0
俺VIPEERだけどこういうのってそこらへんの携帯小説と区別できるほどのもんじゃないよね
女の口調を可愛く書いてなんだかんだで男とくっつきって奴
SS豚やゆとり女には好まれるかもしれないけど、恋空とかそういう系と何が違うのか分からん
別に高尚なもん書けとかは言わないけどさ
違うと思うならプリプリプリーズ
16 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:09:06.03 ID:2RAcRBUE0
教室
友「…展開はやっ!」
女「どうしようどうしようどうしよう」
友「どうしようって……それ、フラグじゃん」
女「折れるフラグなら折ってるよぉ!」
友「行くしかないわね、その部屋とやらに…」ニヤニヤ
女「すっごく怪しかったよその部屋…。誰も使ってなさそうな薄暗い部屋だった…」
友「押し倒すのに最適な部屋ってことか」
女「ひっ!?」
友「おぉ、いま下世話な想像したでしょ?」
女「し、してないぃっ」
友「なんにしても、私は行って欲しいけどね~。楽しそうな展開じゃない♪」
17 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:16:19.95 ID:2RAcRBUE0
放課後
女「…放課後になってしまった」
女「どうしよう」
友「さっさと行きなって」
女「でも…」
友「大丈夫だって。ちょっと変な人かもだけど、誠実そうな人だったじゃない?」
女「友ちゃん遠目から見ただけじゃん!……確かに、変態さんみたいな感じじゃないけどさぁ」
友「ほらね?だいじょうぶだいじょうぶっ」
女「友ちゃん楽しんでる…」
友「失礼なっ!女ちゃんの恋路を応援してるんだって!」
女「だからそんなんじゃないってば……」
19 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:21:23.54 ID:2RAcRBUE0
友「意気地がないなぁ」
女「……そうだっ!」
女「友ちゃん着いてきてよ!」
友「えぇ!?」
女「私の安全が保証されるまで友ちゃは一緒に居てよぉ」
友「うぅ…どうしたものか…」
女「友ちゃんばっかり外野で楽しんでずるい…。たまには舞台に上がってきてよ」
友「……」
友「しょうがないなぁ……」
女「やった、やったっ」
友「世話が焼ける子ねぇ」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:24:37.73 ID:T6aUYipT0
支援
21 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:31:38.82 ID:2RAcRBUE0
友「…ここが、その部屋?」
女「そうそう」
友「……暗い。窓からじゃ何も見えない。」
女「でしょでしょ」
友「……」
友「やっぱりおとなしく帰ろっか?」
オト屋「かわい子ちゃんふたりでどったの~?」
女「ひゃぁっ!?」
友「ふぇっ!?」
オト屋「ははっ、ごめんごめん。驚かせたな」
オト屋「うちらの部室、興味津々で覗いてたみたいだからさ。いったいどうしたんだい?」
友「部室…?」
オト屋「そうさ。ここは映画同好会の部室さね」
女「(映画同好会…。あの人が所属しているところだ…)」
22 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:38:47.79 ID:2RAcRBUE0
女「えっと…その…私……」
女「呼ばれて、ここに来いって…」
オト屋「呼ばれて…?」
友「新入生歓迎会の時に、壇上で『映画作る!』って叫んでた人に呼ばれたらしいですよ」
オト屋「あぁーったく…。新入生に変な印象つけやがって。やっぱあいつにやらせんじゃなかったな」
オト屋「…んで、あいつに君が呼ばれてきた、と」
女「はい」
オト屋「そうか…君が、例の子か」
女「……?」
オト屋「ま、あいつはまだ来てないみたいだし。いま鍵開けるから、遠慮なく部室に入って待ってくれたまえ」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:41:57.09 ID:C81he9q00
おため④
24 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:44:56.07 ID:2RAcRBUE0
女「お邪魔します…」
友「…おぉ、思ったとおり何にもない」
オト屋「そう、なんにもない」
オト屋「…まだ、ね」
友「というと?」
オト屋「映画同好会はまだ出来たばかりなのさ」
オト屋「この部室をもらえたのも、つい最近の事だ」
女「そうだったんですか…」
オト屋「紹介が遅れたね。俺はオト屋。2年生だ」
25 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:52:14.24 ID:2RAcRBUE0
オト屋「女ちゃんと、友ちゃんか…。いやあ、新入生のかわい子ちゃんと一気に二人も仲良くなれるなんて、僥倖、僥倖」
女「あ、はは…」
友「オト屋先輩ったら、そんなこと言っても何にも出ませんよぉ」
ガラッ
カメ男「……」
オト屋「おぉ、来たか」
オト屋「こいつはカメ男。同じく2年生だ」
女「は、はじめまして。女といいます」
友「友です。はじめましてっ」
カメ男「…ども」
オト屋「こいつはあんまり愛想良くないけど、まぁ許してやってくれ」
カメ男「…どういう事だ?」
オト屋「例の娘だよ」
女「……?」
26 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:58:53.21 ID:2RAcRBUE0
カメ男「……そうか」ジロジロ
女「え、えっと…?」
カメ男「……いい脚だ」
女「ひっ!?」
オト屋「おいっ!初対面相手それはやめろよな。悪い癖だぞカメ男」
カメ男「……」ニヤッ
女「……うぅ」
友「あのぅ…それで、例の方はいつごろいらっしゃるんでしょうか」
オト屋「おぉ、そうだったな。…さっき、掃除の当番をサボろうとして先生に捕まってたから、もうちょっとかかるかもしれん」
女「そうですか…」
27 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:10:03.37 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画同好会の会員は、俺たちを含めて全部で四人いる。皆二年生だ」
オト屋「四人じゃたいした映画は作れないからね。新入生を大募集してるんだがなぁ…」
友「…じゃあ、女ちゃんはもしかして、新入会員として誘われてたんですか?」
オト屋「ところがどっこい、そう簡単な問題でもない」
女「…?」
オト屋「まぁ、それはあいつに直接聞くのが一番さ」
ドドドドドドドッ ガラッ!
男「ははははっはーーっ!!」
女「っ!?」ビクッ
オト屋「おぉ、早かったじゃないか」
男「なぁに、掃除など所詮は塵を集める作業よ」
男「作業は覚えればいいのだから、覚えるだけの仕事にいつまでもかまってられん」
28 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:16:49.14 ID:2RAcRBUE0
オト屋「それより、例の娘、来てるぜ?」
男「……おぉ」
女「ど、ども…」
男「そうかっ!」
男「ヒロイン役を引き受けてくれる決心をしてくれたか!!」
女「……」
女「は?」
男「ん?」
オト屋「おいおい、この娘飲みこめてないぜ…?お前ちゃんと話つけたのかよ」
男「したはずだが」
女「な、なにを…」
カメ男「……腋もいい」
オト屋「あぁ~ぁ~~。ちゃんと話を整理しようぜ?」
29 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:25:07.27 ID:2RAcRBUE0
男「あれだけアプローチしたんだ。スカウトしているも同然だろう」
オト屋「おまえなぁ…」
女「全然気が付きませんでした…」
友「残念だったわねー」
女「な、なにがっ」
友「べつにぃ」ニヤニヤ
男「…ふむ」
男「伝わっていなかったなら致し方ない。改めて、君に頼みたい」
男「俺の映画に、どうか出て欲しい」
女「えっと……あの……その……」
オト屋「おいおい、女ちゃん困ってるぞ」
男「なぜ困るんだ」
オト屋「はぁ……」
30 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:32:40.24 ID:2RAcRBUE0
オト屋「あのな、まずは自己紹介からだよ馬鹿。相手はナンもお前のこと知らないんだ」
オト屋「知らない相手の映画に出れるかボケっ!」
男「それもそうだな」
男「俺は男。職業は映画監督」
男「以上だ」
女「……」ポカーン
友「はは、こりゃすごい…」
オト屋「ほんっと、映画で飯食えてから職業って言えよな…」
女「えっと、わたしは…」
男「君はいい。見れば分かる」
女「…は?」
オト屋「お前、この子の名前知ってんのかよ」
男「……」
男「知らない」
32 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:41:44.11 ID:2RAcRBUE0
男「まぁ、名前など後でいい」
オト屋「お前なぁ…」
男「とにかく、この脚本を読め」バサッ
女「……『おもいなき戦い』」
男「そうだ。いい題名だろう?」
女「はぁ…」
女「じゃあ、さっそく」
男「いや待て、今はいい」
男「家に帰ってから、じっくり読め。映画の脚本は、読む分には初めて見る奴でも分かりやすく書いてある」
男「だが、隅から隅まで、しっかり読んでほしい」
男「決して、台詞だけ読もうとは思わないことだ」
女「わ、わかりました」
33 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:49:15.56 ID:2RAcRBUE0
男「よく読んだ上で、俺の映画に出るか出ないか決めるんだ」
男「まぁ、俺の脚本がつまらないなんてことはあり得ないがな」
オト屋「よく言うぜ」
女「えっと…じゃあ」
男「うむ。わざわざ来てもらって悪かった。今日のところはこれでいい」
オト屋「なんでまた呼び出しといて、そんなに偉そうなんだよお前は…」
男「俺は偉いからな」
オト屋「あー、そうかいそうかい。…わるかったな、お嬢ちゃんたち」
女「い、いえ」
友「そんなぁ。色んな先輩と知り合えて、逆によかったですよぉ。…ね?」
女「う、うんそうだね」
34 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:55:07.95 ID:2RAcRBUE0
帰り道
女「なんだか、まだよく飲み込めない…」
友「ねぇ、女ちゃん」
女「なに?」
友「これは、親友として忠告するんだけど」
友「止めといた方がいいよ」
女「…やっぱり?」
友「うん」
友「ちょっと、あの人たち怪しすぎるよ」
友「…男さんもそうだけど、特にあのカメ男って人」
女「私、あのひとにすっごく見られてた気がする…」
友「でしょ?……止めといたほうがいいよ。なんだか、危ない気がする」
女「…だよねぇ。うん、分かった」
35 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:00:07.38 ID:2RAcRBUE0
夜 女宅
女「おふろきもちよかった」
女「じゃ、寝る準備するとしますかっ」
女「あっ……脚本」
女「どうしよっかなぁ。断るにしても、なんて断ろう…」
女「……」
女「(とりあえず、脚本読んでみようかな)」
36 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:04:57.98 ID:2RAcRBUE0
朝 学校
女「…っくちゅん!」
友「ありゃ、どうしたのー?風邪?」
女「う、うん゛……。ちょっと湯冷めしちゃって」
友「ありゃりゃ」
女「…それで、なんだけどね。私、映画同好会に入ろうかな……なんて思ってたりして」
友「え゛っ!?」
女「あわわわ、お、思ってるだけだよ、思ってるだけっ!」
友「…どういう心変わりなんだい、いったい…」
女「えっとぉ……そのぉ」
女「脚本が……すごくおもしろかったの……」
37 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:13:33.93 ID:2RAcRBUE0
友「うっそぉ…」
女「ほんと」
友「あの男だよ?…ろくに言葉も知らないような人だったよ!?」
女「友ちゃん、それ失礼だよ…」
友「そうだけどさぁ…。いったいどんな話だったの?」
女「アクション映画だった」
友「へぇ…。でも、アクションのヒロインっていったら……」
女「うん。私、運動そんなに得意じゃない」
友「だったら」
女「…でも、この脚本を映像にしてみたいって、すごく思ったの」
女「だから、その手助けができればいいなぁって」
友「…そっか。」
38 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:18:37.26 ID:2RAcRBUE0
友「でも、気をつけてね。あんな野獣の巣窟みたいなところに、ほんとは女ちゃんを行かせたくないんだけど」
女「大丈夫だよ。とって食われたりはしないと思う……たぶん」
友「しんぱいだなぁ」
女「…ほんとは、友ちゃんにも入って欲しいんだけど」
友「私はいいかなぁ…」
友「やっぱり、帰宅部の方が気楽でいい」
女「そっか…」
友「女ちゃんが決めたことだし、もう今更なにも言わないけどさ」
友「…不安になったら、すぐ止めるんだよ?」
女「うん…わかった。ありがとう、友ちゃん」
46 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:21:15.29 ID:2RAcRBUE0
放課後
女「…確かこの部屋だったと思うんだけど」
女「なんか……昨日とちがって、中があかるい」
女「ほんとにこの部屋かな」
ガラッ
セイ作「何かご用でしょうか?」
女「あっ、え、えっと…」
女「ここ…映画同好会の部室ですよね…?」
セイ作「そうですよ」
女「あの……えっと……」
セイ作「…あぁ、あなたが例の。どうぞ、入ってください」
女「は、はぁ…。失礼します…」
47 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:36:49.22 ID:2RAcRBUE0
女「…部屋の中が昨日と全然違うんですけど」
セイ作「ははは、そうかい?」
女「えぇ…。なんというか、あの…ピカピカしてます」
セイ作「ワックス塗ったからね」
女「あと、ソファーとかイスとか机とかなかったです…」
セイ作「がんばって運んだからね」
女「…もしかして、私が帰った後ここを改装したんですか?」
セイ作「うん。…正確には、まだ改装中だけど、ね」
48 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:43:29.43 ID:2RAcRBUE0
ガラッ
オト屋「おつかれーっす」
セイ作「オト屋くん。お疲れ様」
女「お疲れ様です」
オト屋「おぉ、短時間でこれだけのことをやるとは…やるなぁ、セイ作」
セイ作「ありがとうございます。でもまだ途中ですよ。」
オト屋「女ちゃん、来たか。今日は一人なんだな」
女「はい」
オト屋「こいつの事は知ってるか?セイ作って言うんだ」
セイ作「そういえば、自己紹介がまだでしたね。はじめまして。セイ作っていいます。話は男からよく聞いてますよ、女さん」
女「は、はじめましてっ。えっと…話を聞くって……どんな…」
セイ作「心配しなくても、悪いことは聞いてませんよ」
女「(どっちにしろ気になる…)」
49 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:52:11.59 ID:2RAcRBUE0
オト屋「しっかし、よくもまぁこれだけのものを一人で運んで、綺麗に掃除したなぁ。言えば手伝ったのによぉ」
セイ作「なんてことはないです。これくらいの事で皆さんのお手を煩わせていたら、映画なんて作れませんよ」
オト屋「まったく、ほんとに頼りになる奴だよお前は」
女「あのー、一人でって…」
オト屋「あぁ、まぁ、そういう奴なんだ」
女「えっ、でも…昨日の放課後の数時間で一人でこんなに……?」
セイ作「ですから、まだ途中です」
女「……すごい」
オト屋「おーおぉ、パソコン来てるじゃん」
セイ作「男が用意しておいてくれました。さわってみましたけど、なかなか高性能ですよ」
オト屋「いいねぇ、映画作りの環境が整ってきたねぇ」
セイ作「えぇ。……主演女優も含めて」チラッ
女「……ふぇっ?」
50 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:01:23.38 ID:2RAcRBUE0
女「あの、そのことなんですけど」
女「…私、お断りさせていただこうとおもって」
セイ作「…」
オト屋「おいおい、嬢ちゃん。そりゃなんでだい?」
女「脚本読んだんですけれど、…すごく、よかったです」
オト屋「じゃあ…」
女「よかったんですけど、……すごく良かっただけに、私なんかが演じるわけにはいかないって思って」
オト屋「ほぉ」
女「ですから、女優の件は…」
セイ作「はははっ。そんなこと、貴女が心配することじゃありませんよ」
女「…えっ」
セイ作「そうでしょう?貴女が適役だと思ったから、男は貴女を選んだんですよ」
セイ作「もし、貴女ではいけないという心配をするとしたら、男が心配するべきなのです」
51 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:07:04.95 ID:2RAcRBUE0
女「でも私は、演技の経験もないし」
セイ作「そんなこと問題じゃありません」
セイ作「脚本を読んで、良かったと思った貴女の気持ち」
セイ作「…問題なのは、そっちのほうなのではないですか?」
女「え……」
オト屋「おい、セイ作」
セイ作「…あ」
セイ作「すいません、益体もない事を言ってしまいました」
セイ作「忘れてください」
女「そんな」
オト屋「ま、あれだ。その辺はよく男と話すといい」
オト屋「男監督と、…な」
女「監督……。あの人が……」
52 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:17:31.10 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画制作ってのは、縦割りなんだ。役割分担がしっかりしてるんだよ」
オト屋「男の奴には監督っていう、役割がある」
女「オト屋さんは、どんな役割があるんですか?」
オト屋「俺は録音っていう役割だ。映画の音全般に責任を持っている」
オト屋「それと同じように、画全般の責任を持つカメ男は撮影」
オト屋「そこにいるセイ作は、制作という役割。…制作は、平たくいえば裏方だ。お金の管理からお茶出しまで、なんでもする」
女「あの、…なんで縦割りなんでしょうか?」
オト屋「いい質問だお嬢ちゃん」
オト屋「縦割りにすることによって、自分の仕事に対して責任が生まれるんだ」
オト屋「自分の中のテリトリーの失敗は、自分の失敗だ。…だから、失敗は許されない。他の誰かのせいにはできないんだ」
オト屋「…だから、皆自分のテリトリーを守るし、人のテリトリーを荒らそうとはしないんだよ」
女「なるほど……」
53 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:23:20.02 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画制作ってのは、何かの能力に特化した奴らの集団さ」
オト屋「…俺は音に関しての知識なら負けないが、カメラはさっぱりだ」
オト屋「でも、スペシャリストが集まって、縦割りの役割分担にすれば、最高のものができる」
女「うまくできているのですね」
オト屋「そうさ。…だから、さっきセイ作は、監督のテリトリーを、軽く荒らしちまった」
オト屋「……な?」
セイ作「お恥ずかしながら」
女「…そうなんですか?」
オト屋「まぁ、まだ分からないだろうけどな。…難しい問題なんだ、これは」
セイ作「……」
54 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:29:46.51 ID:2RAcRBUE0
ガラッ
男「おはようっ」
カメ男「……」
オト屋「おぉ、いいところに二人とも来たな」
女「あ、どうも…」
男「来たな。あーっ…」
女「女、です…」
男「そうだった、女くん」
オト屋「…プッ、昨日名前なんてどうでもいいとか言ってたくせに」
男「それにしても、この部室はすばらしい環境になったな」
男「すばらしいぞセイ作」
セイ作「ありがとうございます。でもまだ途中です」
男「ははは、ではさっそく打ち合わせと行くか」
55 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:44:40.66 ID:2RAcRBUE0
男「…何っ!?女優を辞退!?」
女「はい。…その代わり、この同好会には入りたいと」
男「お前に何が出来る?」
女「え?」
男「お前は、女優としての価値しかないんだ。その事を分かった上で言っているのか?」
女「…そ、そんな」
オト屋「……」
セイ作「……」
男「俺は映画を本気で作ると言った」
男「俺の本気に、女優以外のキミはいらん」
女「(…確かに私は何の力もない。映画の事は何にも分からない。邪魔をするだけかもしれない)」
男「脚本を好きになるなんて当たり前だ。俺が書いたんだからな」
男「…だが、俺が必要としているのは、俺が俺の脚本を好きになってくれる奴じゃない」
男「俺の映画のパーツになるに足る奴だけだ」
56 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:52:41.78 ID:2RAcRBUE0
女「……そうですか」
女「では、私は影ながら応援することにして…」
オト屋「なぁ男。そうはいっても、人手は欲しいぜ?」
男「いらん」
オト屋「…そうか」
セイ作「……」
女「それでは、失礼…します……」
男「ふぅ……」
男「すまん」
女「いえ…」
女「では」
58 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:02:32.01 ID:2RAcRBUE0
女「……そっか」
女「そうだよ……ね」
女「(甘かったな…。映画作るのって、すごく大変なんだよね)」
女「(私なんかが、出る幕ないよね)」
セイ作「あのっ…女さんっ!」
女「あ、…えっと、セイ作さん。どうしたんですか、わざわざ追いかけてくるなんて」
セイ作「どうか、お願いがあります」
セイ作「映画に出てください。…お願いします…お願いしますっ!」
女「そんなっ!土下座なんてしないでくださいっ…!」
セイ作「男の奴に……映画を撮らせてやって欲しいんです」
女「…私が居なくても、撮れるじゃないですか」
セイ作「いいえ、撮れません」
セイ作「撮れないんです」
59 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:20:33.15 ID:2RAcRBUE0
女「…どうしてですか?」
女「例え撮れないにしても、スペシャリストの先輩達が居る中に、私が入っていても同じことですよ」
セイ作「たしかにそうかもしれません」
セイ作「…けれども、女さんが女優をしてくれるなら話は別なんです」
女「だから、それは…っ!」
セイ作「いままでずっと、私たちに足りないものは、役者だったんです」
セイ作「男がずっとずっと探していて、見つからなかったのは、役者なんです」
セイ作「カメ男やオト屋は、男が今の僕以上に頭を下げて手に入れた仲間でした」
セイ作「でも、役者だけはずっと見つけられなかった」
女「……」
セイ作「……あの脚本、あなたは良いと言ってくれましたね」
セイ作「実はあの脚本は、あなたの為に書いた脚本なのですよ」
女「えっ!?…で、でも、脚本を渡されたのは男さんと出会った次の日ですよ!?」
60 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:25:52.20 ID:2RAcRBUE0
セイ作「その一日の間に、彼は書いたのです」
女「あんなに良い脚本を一日で…信じられない」
セイ作「天才なんです、彼は」
セイ作「もしあなたが首を縦に振ったら、あの脚本をもっと煮詰めておもしろくするでしょう」
セイ作「…ですが、あなたがこのままお帰りになるなら、散りぢりに引き裂かれて、二度と日を浴びることはないでしょう」
女「そんな……」
セイ作「お願いします」
セイ作「彼に……男に、映画を撮らせてやってください」
61 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:32:11.13 ID:2RAcRBUE0
オト屋「いいのか?」
男「何が」
オト屋「やっと、見つけたんだろう?」
男「本人にやる気がないなら、どうしようもないだろう」
オト屋「やる気にさせるのも、あんたの役目じゃないのか」
男「…それを決めるのも俺だ」
オト屋「そうだったな、悪い」
オト屋「だが、一つ言っとくとな」
オト屋「俺もお前に頭下げられるまで、映画になんかこれっぽっちも興味なかったぞ?」
オト屋「俺の生き場所は、ライブのハコだった。…それをあんたが、映画に引きずり込んだんだ」
オト屋「責任とって、あんたにゃさっさと映画を作ってもらわにゃならん」
男「……」
男「分かってる」
62 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:42:21.00 ID:2RAcRBUE0
オト屋「いいや、分かってないね」
オト屋「お前さん怖いんだろう?」
オト屋「…作るのが、怖いんだろう?自分の実力の浅さを知るのが怖いんだろう?」
オト屋「だから、お嬢ちゃんを無理に引き止めなかった」
オト屋「…ちがうか?」
男「違う」
男「…とは言い切れない」
男「図星だ」
オト屋「なら」
男「天才にも限界はある」
男「…人の強い意思を動かす事は、人を泣かせる以上に難しい」
男「今すぐには無理だ」
63 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:50:45.79 ID:2RAcRBUE0
女「私、あがり症なんです」
女「小さいときから、人の前で何かをするのって苦手で…」
セイ作「でも、映画は観客の前で演じるわけではありません」
女「…同じです」
女「カメラや映画研究会の皆さんの前で演じる…」
女「考えただけでも、心臓がおかしくなりそうで」
セイ作「でも、できます。…時間をかければ、きっと」
女「…そんな時間をかけさせるくらいなら、きっと、別の女優さんを見つけたほうが早いですよ」
女「こんな、教室の前に立っただけで足がすくむような私より」
女「もっと良い人がいます」
64 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:56:24.90 ID:2RAcRBUE0
カメ男「……」ジー
女「だから、申し訳ないですけど……」
セイ作「そうですか……」
カメ男「……」ジー
女「……え」
カメ男「……」ニヤッ
女「ひゃっ!?」
セイ作「カメ男さん!?」
女「と、撮ってるんですか!?」
カメ男「……」コクリ
女「や、やめてくださいっ!や、やめっ…!?」
カメ男「……」ニヤニヤ
65 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:03:19.88 ID:2RAcRBUE0
女「そんな下から!?…ぱ、パンツ見えちゃいますからあっ!」
カメ男「…大丈夫。ギリギリ」
女「ぎ、ギリギリでも駄目ですからあっ!」
カメ男「……デュフ」
女「ひっ……」
男「どうだ、カメ男。女優の映え具合は」
女「あ、男さんっ!止めさせて下さい~っ」
カメ男「……エクセーレントゥ」
男「そうか…」
オト屋「声質も、滑舌も問題なしだ」
男「そう、か……」
女「はやく止めさせてください~~っ!」
66 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:22:55.11 ID:2RAcRBUE0
男「女くん」
男「…どうか、ヒロインをやってほしい!!」
男「どうか、どうか頼む……っ!!」
女「えっ!?…男さんまで、土下座って……や、やめてくださいっ!!」
男「キミがウンというまでやめない!」
女「そんな…」
男「どんなに時間がかかっても良い」
男「俺は、キミをヒロインにしたい…っ!」
オト屋「俺からも頼むっ!」
セイ作「もちろん僕も」
カメ男「…頼む」
女「みなさん、先輩なのに……。やめてください。…困ります」
67 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:30:31.46 ID:2RAcRBUE0
男「やめないと言った。…俺には、キミが必要なんだ」
女「……必要」
男「キミじゃなきゃ、駄目なんだ」
男「…キミが居ないと、何もかもが崩れてしまう」
男「頼む、一緒に前に進もう!」
男「本気で映画を作ろう!」
女「どうして」
女「私なんですか?」
男「……」
女「私じゃなくても、この学校には、もっと私より綺麗で、華があって、演技が出来そうな人が居ると思います」
女「…私である必要が、ないじゃないですか」
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 23:08:16.26 ID:mZt7X1MJ0
さるさんくらったか
69 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/02(火) 23:41:19.70 ID:2RAcRBUE0
男「綺麗だとか、華があるとか、演技ができるとか」
男「そんなものは、本当はどうでもいい」
女「…えっ」
男「脚本を見ただろう?」
男「あの話は、俺がキミを見て、初めて生まれた」
男「キミじゃなければ、俺を駆りたてることはできなかった」
女「…でも」
女「あの脚本のヒロインは、私なんかよりも強くて、輝いていて、…カッコいいです」
男「そうだ」
男「…でも、キミはヒロインのようになりたいと、誰よりも思っている」
男「そうだろう?」
女「……」
70 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/02(火) 23:54:02.35 ID:2RAcRBUE0
女「なんで、そんなことがわかったんですか」
女「一度しか…それも、短時間しか会っていないのに」
男「俺が天才だからだ」
女「確かに…。天才じゃないと、そういう真似はできないでしょうけど」
男「だが…俺は、天才だが」
男「俺が良いと思う脚本と俺が良いと思った役者じゃないと」
男「映画は作りたくないんだ」
女「私が良い役者だって、思うんですか?」
女「あがり症の私が、良い役者でしょうか」
男「当たり前だっ!!」
女「ふぇっ!?」
男「天才の俺が見誤るわけないだろうがっ!!」
71 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/03(水) 00:07:51.37 ID:P7dI2AR50
男「日常を、カットに分けて考えたことはあるか?」
女「カット…?」
男「映画は、カットのつぎはぎで出来ている」
男「だから、常に最良のカメラの位置と、カットポイントを考えている」
男「現実世界で映える女に興味は無い」
男「カメラの中で、カットに分けたときに輝く女にしか、俺は興味がないっ」
男「それが、キミだ」
女「…えっ、な、なに…?どういう事ですか?
男「えぇい!!」
男「歯並びの良い白い歯。アップに耐える肌質。マイク乗りの良い声。黄金比率のスタイル。痛みの無い艶ある黒髪。人の目線を引く表情!!」
男「そして心の奥に眠る、熱い志向!!」
男「それがお前の魅力だって言ってるんだっ!!!」
72 :ちぢれ:2010/02/03(水) 00:19:34.88 ID:P7dI2AR50
女「あ、あぅ……あぅあぅ……」
オト屋「ありゃ」
セイ作「気圧されてしまったみたいですね」
男「……」
女「ど、どうすれば……」
男「明日また、部室に来てくれ」
男「さっそく、キミに合わせたカメラテストをしよう」
女「は、はぁ…」
男「よろしく頼む」
女「え、えと……こちらこそ?」
カメ男「……絶景」ジー
オト屋「おぉぃ、土下座のドサクサでパンチラ撮るとは、良い根性じゃねえか」
カメ男「……赤シマシマ」ボソッ
73 :ちぢれ:2010/02/03(水) 00:27:01.24 ID:P7dI2AR50
夜 女宅
女「…ごめんね、急に電話なんかしちゃって」
友「それは、いいんだけど…」
友「なんだか、すごい事になっちゃったねぇ」
女「うん…」
友「無理することないんだよ?嫌なら止めなよ」
女「それが、なぜか……」
女「嫌じゃないんだ」
友「そうなの?」
女「うん…」
74 :ちぢれ@コミケにボカロのジャンルコード無いんだけど:2010/02/03(水) 00:57:16.71 ID:P7dI2AR50
女「不安だし、心配ではあるんだけど…」
女「なんか、楽しみなんだ…」
友「へぇ…」
女「あのね、なんだか、男さんに見透かされた気がしたの」
女「…うぅん、見透かされちゃった」
友「というと?」
女「バレーボールが好きだったのに、バレー部やめちゃった時の気持ち…」
女「わたし、ずっと引きずってた」
女「そういうの、見透かされちゃったんだと思う」
友「そっか…」
友「じゃあ、ある意味では、男さんは女ちゃんの理解者なのかな」
女「そういうことになる…かな」
75 :ちぢれ@コミケにボカロのジャンルコード無いんだけど:2010/02/03(水) 01:08:40.93 ID:P7dI2AR50
次の日 部室
女「こんにちは」
男「おぉ、来たな」
オト屋「待ってたぜ」
セイ作「では、さっそくカメラテスト始めましょうか」
カメ男「…用意は万全」
女「え、あ、あの……心の準備が」
男「ふぅ……」
男「今日はカメラテストだ、準備なんかいらないよ」
女「カメラテストって、なんですか……?」
男「一言で言えば、カメラが撮影に支障なく動くかテストする事だな」
女「あのぉ……それって、私がいる意味あるんでしょうか?」
76 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:15:08.67 ID:P7dI2AR50
男「おおいにある」
女「はぁ…」
男「いいか、ヒロインを美しく映せずして、カメラの資格は無いのだ」
男「ただ、カメラがカメラの機能として、動けばいいという訳ではない」
女「…なるほど」
男「まぁ、テストはテストだ。キミは窓辺にでもたたずんでいたまえ」
女「分かりました」
セイ作「急ぐ作業じゃないですから。トイレや水分補給は気軽にどうぞ」
女「あ、はいっ」
男「…さて」
男「ようやく始められるな」
77 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:21:19.86 ID:P7dI2AR50
男「どうだ、色温度は」
カメ男「…今はこれくらいだ」
男「もうちょっと、アンバーな方が好きだ」
カメ男「……分かった」
女「色温度?」
男「気になるか?」
女「え、えぇ。まぁ」
男「安心しろ、後々分かってくる」
女「そうですか…」
カメ男「…これくらいでどうだ」
男「まぁ、いいだろう。日光相手に細かく調節しても、しょうもあるまい」
女「(わからない…。何をやってるんだろう…)」
78 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:31:32.22 ID:P7dI2AR50
男「…ふぅむ、やはり広角にしたらこれくらいの歪みはでるか」
カメ男「……むしろ、これが良い」
男「なるほど、そういう考えもできるな」
男「…よしわかった。今日はこれくらいにしておくか」
女「ふぅ……」
男「女くん、なかなか良かったぞ」
女「えっと……ただ、立ってただけですけど」
男「立ち方にもセンスってものがある」
女「はぁ…」
男「表情は固かったが、姿勢は良かったな」
男「肩がちょっと上がり気味だったが、腰から頭までがスーッとしてて、卑しさを感じなかった」
女「(そういうものなのか…)」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 01:43:55.47 ID:I7SjBKjDQ
支援
でも寝る
朝まで残ってますように
80 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:47:08.55 ID:P7dI2AR50
女「あの、そのビデオカメラって、結構良い奴なんですか?」
カメ男「……割と」
女「わりと、ですか」
男「SONYのVX2000。今はハイビジョンやらHDやらでないと駄目だからな」
男「ちょっと前までは、TVの簡易的な取材なんかでは、こいつをしょっちゅう見かけたもんだが…」
男「DV方式のセミプロ用っていったら、多分VX2000の右に出るものはいないだろうよ」
女「よく分からないですが…、すごいんですね」
男「別にすごくは無い」
女「はぁ…」
オト屋「同好会の予算で買える、ギリギリの価格の中古をよく探し出したもんだよ、ホント」
男「予算があと100万あれば……」
オト屋「無理言うな」
81 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:06:17.23 ID:P7dI2AR50
男「音の方はどうなんだ?」
オト屋「多分問題ない。後で聞いてみな」
男「わかった」
セイ作「スケジュールはどうします?…あと、脚本の決定稿はあがりそうですか?」
男「ゴールデンウィークまで、あと何日だ?」
セイ作「あと一週間ですね」
男「よし、明日までに決定稿をあげる」
男「皆、ゴールデンウィークはもちろん空けてあるな?」
女「はいっ、家族と旅行に行きますっ」
男「よし、問題ないな。では撮影はゴールデンウィークに行う」
男「それまでに各々の役割を果たすべく、準備の時間とする」
女「あのぉ……」
82 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:14:18.46 ID:P7dI2AR50
男「なんだ、家族との旅行がそんなに大事か」
女「大事といえば、大事です…」
男「安心しろ、撮影の方が大事だ」
女「えぇーーっ?」
男「俺はもう、脚本を書きに帰る。セイ作、後は任せた」
セイ作「わかりました」
男「……あぁ、そうだ。一つ大事な事を忘れていた。あいつを呼び出しておけ」
セイ作「あいつ、ですか」
男「あの、生意気な小僧だよ」
セイ作「彼は3年生ですよ」
男「俺からみたら小僧だ」
83 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:22:13.87 ID:P7dI2AR50
女「うぅ…家族旅行が……」
セイ作「私からもお願いします。撮影がゴールデンウィークに出来なければ、もう夏休みを待つしかありません」
セイ作「土日を使って撮ることもできますが、やはり、まとまって一気に撮ってしまった方が良いのです」
女「……でも」
セイ作「女さんには、迷惑をかけすぎているという以上に、かけていると思います」
セイ作「…ですが、私たちはここで止まるわけにはいかないのです」
セイ作「分かっていただけませんか?」
女「私も、皆さんの足をひっぱりたくないですよ。…だから、家族旅行をとりやめるなんて、やぶさかもないことなんです」
女「…でも、男さんが悪びれも無く、やめろっていうから」
オト屋「きひひっ、あいつも不器用だからな」
セイ作「彼は彼なりに、女さんに悪いと思っていますよ」
女「なら…」
セイ作「おそらく、ですが。監督と女優という立場が明確になってきましたから…」
セイ作「あまり下手に出たくはなかったんでしょうね」
84 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:36:38.30 ID:P7dI2AR50
女「監督と女優って…そういうものなんですか」
セイ作「さぁ……」
セイ作「ですが、彼の中ではそうなのかもしれません」
女「…むずかしい」
セイ作「そう、むずかしいんです」
セイ作「これは創作ですから」
セイ作「たとえ、人間関係といえども、正解の形なんていうものは存在しないんですよ」
オト屋「あぁーあ、奥深いこって」
オト屋「そんなに深く考える必要もなかろうに」
セイ作「人それぞれですよね」
セイ作「女さんも、これから撮影に向けて、『理想の関係』っていうのを模索してみてください」
セイ作「男さんの理想と同調するのも大切ですが、それだけではない事を、知っておいたほうがいいでしょう」
85 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:41:14.59 ID:P7dI2AR50
寝たら落ちるだろうな
撮影シーンの前に落とすのは不本意だけど、落ちたらそれまでって事なんだろう。
マイクのこととかやりたかったな
文体に魅力がないよね、ほんと。
おやすみなさい。残っていたら、また続きを書かせてください。
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 02:46:39.76 ID:6EOuMw9X0
ほしゅ
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 04:11:53.16 ID:8ywQKiOBP
続き気になるからわざわざ携帯から使いにくいP2.2chにログインして保守してやるよ
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 06:25:44.05 ID:2yGR6bMC0
ほ
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 06:45:48.79 ID:w4ZRyeMIO
全力で保守させて頂こう
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 07:54:46.04 ID:8tyLe1t60
ほし
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 08:22:58.29 ID:I7SjBKjDQ
残ってた☆
92 :ちぢれ:2010/02/03(水) 09:49:17.02 ID:P7dI2AR50
うわあああああ
せっかく残してくれたのに今急用がはいったあああああ
絶望した
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 10:49:17.03 ID:y+xapwdlO
ほ
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 10:53:47.05 ID:YJ+mSszB0
同人幼女の話は結局どうなったんだ
95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 11:33:41.18 ID:oVPDKBHx0
ほしゅ
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 11:43:56.22 ID:I7SjBKjDQ
ふむ、覚えてたら保守しとく
97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 12:19:32.67 ID:I7SjBKjDQ
保守
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 12:22:33.95 ID:PUPdeKQ40
スレタイでハンドメイドマイ思い出した
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 13:08:57.32 ID:w4ZRyeMIO
保守
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 13:36:29.40 ID:TdAUkEUu0
すごく痛い
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:06:27.88 ID:I7SjBKjDQ
ほ
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:08:09.31 ID:LeB4qAiM0
題材は悪くない
けど、何かどこか凄く痛々しい
とりあえず語尾に「っ」をつければ可愛いんだろうと思ってる>>1の意図が丸見えなのが課題点
次に厨二臭い喋り方をするキャラが多すぎ、何が「例の」だよww
>>1はリアル高校生か何かか
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:41:25.39 ID:1hUJ0/190
ちぢれはちぢれです
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 15:40:57.73 ID:lcvny+AE0
ちぢれているのはちんg
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 16:14:49.66 ID:I7SjBKjDQ
保守
106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 16:37:58.20 ID:mDFBFo7B0
とりあえずカメ男が気に入らないのでさようなら
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 17:28:03.43 ID:I7SjBKjDQ
確かにカメ男はキツイ
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 17:52:37.23 ID:r+HK5ONy0
ほ
109 :ちぢれ:2010/02/03(水) 18:38:20.57 ID:9VIczggR0
帰り道
女「男さんと、私の、理想の関係……か」
女「(どうしたらいいんだろう)」
女「(……)」
女「(わからない)」
女「(映画のこと、……それ以前に、映画を作るってこと)」
女「(監督と女優のこと)」
女「(……私、全然わからない)」
女「(こんな私がどんなに考えたって駄目だよね)」
女「(言う事を素直に聞こう。……うん、そうしよう)」
110 :ちぢれ:2010/02/03(水) 18:51:34.18 ID:9VIczggR0
次の日 部室
男「決定稿だっ!!」
セイ作「先ほど人数分刷ってきました。皆さんにお配りしますね」
女「(…前のとどれぐらいちがうのかな)」
オト屋「相変わらず仕事が速いな。どれくらい修正したんだ?」
男「最初から書き直したっ!!」
女「えっ!?」
オト屋「おいおい、大げさだな」
男「お前には分からんだろうが、一部直すだけで済むような修正は修正とは言わん」
男「脚本は一本の木に等しい」
男「枝葉が多少枯れていても、根と幹が張っていれば、それでいいのだ」
男「しかるに修正とは、根を深く広く張らせ、幹を太く固くすることを言うのだ」
オト屋「わかったわかった。突っ込んだ俺が悪かったよ。セイ作、原稿をくれ」
111 :ちぢれ:2010/02/03(水) 19:00:08.72 ID:9VIczggR0
男「さて…時間もあまり無い。皆ここでよんでもらおう」
男「しばらく黙読の時間を設ける」
男「…分かってると思うが、時間はたっぷり取る。隅々まで、一言一句もらさず読む事っ!」
女「(……どれくらい変わってるのかな)」
女「(わっ、…前と違って、いきなりアクションだ)」
女「(でも、ジャンルはアクションのままなんだなぁ……)」
女「(蹴りをよけて、バク転でかわして……)」
女「(うひゃあ、わたしにできるかなぁ)」
112 :ちぢれ:2010/02/03(水) 19:07:55.67 ID:9VIczggR0
男「そろそろ皆読み終わったか?」
男「……いいようだな」
女「すごい。前のより、もっと……」
男「何か質問は無いか?」
オト屋「俺はないぜ?」
カメ男「……異常ナシ」
セイ作「僕も大丈夫です」
男「よし。ではこれで決定稿だ」
男「……そうだ、奴めそろそろ来るのでは無かったのか?」
セイ作「来るとはいっていましたが。…彼が時間を守らないのは今に始まったことではないですし」
男「だから小僧なのだっ!」
セイ作「携帯で呼び出してみます」
男「頼む」
113 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:12:29.35 ID:9VIczggR0
女「どちら様がいらっしゃるんですか?」
男「この映画を作るにあたって、足りないものがくさるほどある」
男「それは分かるな?」
女「えぇ、まぁ」
男「……だが、決定的に足りないものが、一つだけある」
男「何だと思う?」
女「えっ…?」
女「決定的に……?」
男「そうだ」
男「映画が成り立たないくらいに、決定的だ」
女「うーん……?」
114 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:24:20.61 ID:9VIczggR0
男「わからないか?」
女「はい……」
ガラッ
ダン裕「アロハぁ」
男「やっと来たか」
ダン裕「いやぁ、スマーン。ちょっと災難にあってたのサ」
オト屋「どーせ、女難だろ?」
ダン裕「おーっと、オト屋ちゃん。久しぶりなのにご挨拶だネ」
男「こいつが、足りなかったもの、だ」
女「というと……?」
男「主演男優だよ」
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 19:24:25.66 ID:FGkrkw2E0
カメ男がどう考えてもムッツリーニ
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 19:25:20.81 ID:FGkrkw2E0
うわダン裕チャライ
イラネ
117 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:35:38.31 ID:9VIczggR0
ダン裕「まだ出演するとは言ってないし、脚本も読んでないンだがぁ?」
男「ほら、決定稿だ」
ダン裕「あとでゆっくり読むよ」
男「こっちとしては出演するか否かを即断してもらわなければ、進行に支障をきたすんだが」
ダン裕「ジョーダンだよ、あんたの脚本に俺が出ないはず無いんだゼ?」
男「冗談に冗談を返しただけだ。気にするな」
ダン裕「ハハッ、相変わらず男はおもしろい奴だネ」
男「お前はおもしろくもなんともないがな」
女「……あの二人、仲悪いんですか?」ボソボソ
オト屋「あれはあれで、お互い楽しんでるんだ。そのうち分かる」
オト屋「はたから見てるこっちは、ちっとも楽しくないがなぁ」
118 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:49:07.53 ID:9VIczggR0
ダン裕「ウップス」
ダン裕「俺としたことが、素敵なお嬢さんに気付かないなんてな」
女「……え?わ、わたし?」
ダン裕「新入生の娘だね、3年のダン裕っていうんだ。よろしくね」
女「女です、よろしくお願いしますっ」
ダン裕「女ちゃんか…、うん、今週末よかったらお茶とかどうかな?」
男「ダン裕、主演女優だ」
ダン裕「……ヒュ~」
女「あ、あれ……え、えっと…?」
ダン裕「イヤー、わすれて、今の忘れてネ」
ダン裕「相手役のダン裕。あ、ら、た、め、て、よろしく」
女「は、はぁ。よろしくおねがいします」
女「(いったいなんなんだこの人は……)」
119 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:04:01.55 ID:9VIczggR0
男「…さて、これでようやく、撮影できる最低限の要素は整ったわけだ」
セイ作「そうですね」
男「演出面・技術面は俺が統括するが…」
男「制作面はセイ作が統括というより、セイ作一人にやってもらうことになるが…」
男「大丈夫か?」
セイ作「大丈夫です」
セイ作「……といいたいところですが、助手が一人ほしいです」
男「お前が必要とおもうなら、そうしてくれ。心当たりはあるのか?」
セイ作「はい」
男「よし、では制作は安心して一任していいんだな?」
セイ作「そうですね。必要に応じて監督の指示も頂きますよ」
男「わかった。…では、俺はカメ男と絵コンテを今日中にあげる。昨日あらかた作ったが、カメ男のアドバイスが要る」
カメ男「……了承」
120 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:13:02.44 ID:9VIczggR0
男「女は俺とカメ男のそばに居て、絵コンテでも見てろ」
女「はいっ」
オト屋「俺は脚本から適当に録音設計立ててるぜ」
男「わかった。絵コンテをあげたら真っ先にオト屋に渡す」
セイ作「ロケ地はもう決まってますか?」
男「決めた。それも追って連絡する」
セイ作「では絵コンテの後は、私とスケジュールを一緒に決めてもらいますよ」
男「そうしよう」
ダン裕「俺はどうしたらいいかナ?」
男「脚本を100回読め」
ダン裕「へ~い、へい」
124 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:30:31.28 ID:9VIczggR0
男「カメ男。とりあえず描いてきた絵コンテをチェックして欲しい」
カメ男「……腕が鳴る」
女「あの…」
女「絵コンテって、何ですか?」
男「そうか、絵コンテも知らないか」
女「申し訳ないです…」
男「これを見てくれ。言わずと知れた絵コンテなんだが、どんな情報が書いてあるか言ってみろ」
女「絵が描いてあります。四コマ漫画みたいです」
男「そうだな。他には?」
女「文字が色々書いてありますが…、これは台詞ですか?」
男「その通りだ。台詞の他に、SEや環境音を書いたりもするが、メインは台詞だ」
男「絵は、そのカットでカメラが撮る画を描いたものだな」
女「わぁ、この絵男さんが描いたんですか。上手いですね……」
男「作りたい画を伝える手段は、絵が手っ取り早い。監督は多少の絵心があって当然だ」
125 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:46:53.51 ID:9VIczggR0
男「他に、お前が知っておかなければいけないのは…」
男「ここに、数字があるだろう。カットナンバーと、タイムだ」
女「……?」
男「タイムは、そのカットまでの累計時間と思ってくれていい。」
男「カットナンバーは、そのシーンの何カット目かをあらわしたものだ」
女「えっと…、すいません。シーンとか、カットっていう表現があいまいにしかわからなくて…」
男「ふむ。分からないことを分からないと言う姿勢は崩すなよ。何よりも大事なことかもしれない」
女「わかりました」
男「映画は、カットとカットをつなげて出来ている、というのはわかるな?」
女「はい。…えっと、カットは……パッ、って絵が切り替わって、次にパッ、って切り替わるまでが1カットでいいんですか?」
男「しごく感覚的な説明だが、それで間違いない」
126 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:00:39.21 ID:9VIczggR0
男「作品は、カットの集合だ。一時間半の作品で、何百というカットになる」
女「そんなに…」
男「その烏合の衆であるカットを、キリの良いところでグループ分けするんだ」
男「そのグループのことを、シーンという」
女「なるほど……。ですが、そのグループ……シーンは、どういう基準で分けるんですか」
男「基本的に、劇中の舞台や場所が変わると、シーンも変わるな」
男「何百とあるカットで整理するよりも、シーン何のカット何という風に整理した方が、やりやすいだろう?」
男「シーンナンバーさえ覚えておけば、あの場面の何番目のカットか、と思い浮かべやすい」
女「うまくできてるんですね。知ってるようで知らなかったことでしたが、あやふやなまま撮影に入らないでよかったです」
男「映画はカットの集合で出来ているだけでなく、シーンの集合でもあるということが分かってくれたか」
カメ男「……このアングルは無理」
男「なんだと、どこだ」
カメ男「……ここ」
127 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:07:33.19 ID:9VIczggR0
カメ男「……そもそもカメラの動きが多い」
男「アクションなんだから当たり前だろう」
カメ男「……あと、ここはローアングルだ」
カメ男「……迫力と、太もも」
男「なるほど」
女「ふ、ふともも……?」
男「よし、そこはカメ男の案で行こう」
女「えっ!?」
男「だが、カメラには積極的に動いてもらわねばならん」
カメ男「……自信がない」
男「お前の手持ちを俺は買ってる。その上での絵コンテだ」
128 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:17:31.74 ID:9VIczggR0
カメ男「……手持ち、か」
カメ男「……三脚で撮れそうなのもある」
カメ男「……三脚で撮れるなら、それにこしたことはない」
男「よし、お前が三脚で撮った方がいいと思うカットがあるなら、リストアップしてみてくれ」
男「だが、手持ちじゃなければならないカットもある」
カメ男「……分かった」
カメ男「……だが、手持ちはあくまで最終手段」
カメ男「……乱用するなど、おこがましい」
男「そうか」
男「だが……」
カメ男「俺はお前の」
男「……なんだ?」
女「…?」
カメ男「……なんでもない。リストアップをする」
129 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:24:09.06 ID:9VIczggR0
女「すいません、手持ちって、何のことですか」
男「その名の通り、カメラを手でもって撮影する事だ」
女「ほんとにそのままですね。覚えやすいです」
男「カメラは基本的に、三脚の上に据えるものだからな」
男「手持ちってのは、実は例外なんだ」
女「そうなんですか?私はカメラって手で持つものだと思ってました…」
女「小学校の頃に運動会でお父さんがハンディカムで撮ってくれたのは、三脚なんか使ってませんでしたよ」
男「典型的な素人だな」
女「……そうなんですか」
男「素人の手持ちほど、撮った画を見ていて気持ち悪いものはないんだ」
男「……手持ちが綺麗に撮れる。それだけで才能だし、技術なんだ」
女「そんなに難しいんですか…」
男「難しい」
男「……すごく、難しいんだ」
130 :ちぢれ:2010/02/03(水) 21:25:58.91 ID:9VIczggR0
マックから出ます
遅筆でごめんなさい
131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 21:39:53.64 ID:nGdXLf14P
はやくしろかす
132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 22:00:02.67 ID:YRbLnOSL0
支援
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 22:51:17.17 ID:EKm/ppc40
しえん
134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 23:17:33.92 ID:2QSSq7Oy0
ほ
135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 23:48:22.30 ID:0FOE3CeG0
ほ
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 00:25:50.77 ID:M5H9rqRV0
し
137 :ちぢれ:2010/02/04(木) 00:28:38.76 ID:9mdFgXE30
男「そうか、ここも手持ちは駄目か」
カメ男「……駄目ではない」
カメ男「……だが、俺程度の奴が多用してはいけない」
カメ男「……使うべきところを厳選するべきだ」
男「わかった。カメ男の言うとおりにする」
カメ男「……」
男「俺はカお前を信じている」
男「確かに、俺は一つのカットに目を囚われて、全体を見通せていなかった」
男「カメ男が正しいだろうな」
カメ男「正解なんてない」
男「その通りだ。…だが、俺の表現思想を正確に表現する必要がある」
男「正解は、あるんだ」
138 :ちぢれ:2010/02/04(木) 00:41:45.41 ID:9mdFgXE30
男「よし、修正はこれくらいでいいだろう」
カメ男「……あとは現場に行ってみなければ」
男「そうだな、今夜にでもロケ地を覗きに行くか?」
カメ男「……行く」
男「わかった。では俺はこの絵コンテをオト屋に渡してくる」
カメ男「……分かった」
女「……」
カメ男「……」
女「(二人っきりになってしまった…)」
女「(きまずい…。なんだか前からこの人だけは苦手なんだよね…)」
カメ男「……ふぅ」
女「(なんだか、落ち込んでる…?)」
139 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:10:23.60 ID:9mdFgXE30
女「あの、何か問題でもあったんですか…?」
カメ男「……ん?」
女「あ、いえっ、その……、カメ男さんの言うとおりにの絵コンテになりましたし」
女「他になにか問題でもあるのでしょうかと思いまして」
カメ男「……問題」
カメ男「おおありだ」
女「そう、なんですか?」
カメ男「……俺に、実力が無いのが大問題だ」
女「えっ……」
140 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:24:47.77 ID:9mdFgXE30
女「実力が無いって…どうしてそう思うんですか?」
女「私から見たら、カメ男さんはカメラに関してすごく熟知しているように思えます」
女「…それに、情熱も人一倍あるように感じました」
カメ男「俺には尊敬する人がいる」
カメ男「……その人には、まだまだ遠く及ばない」
女「そんな」
女「尊敬するぐらいの方なんですから、それくらい当然じゃないですか」
女「…カメ男さんは、その方みたいになりたいんですか?」
カメ男「さしあたっての目標はそうだ」
カメ男「……だが」
カメ男「今までの様に好きなものを好きなように撮っていたのでは、あの人との距離は縮まらない……」
女「わたしには、カメラのことも、その方がどれだけすごいかも分からないですが」
女「カメ男さんのそのひたむきさって、素敵だと思います」
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 01:26:01.19 ID:3w46pjUCP
やっときたか
142 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:33:26.24 ID:9mdFgXE30
カメ男「ひたむき、か……」
女「はい。…違いましたか?」
カメ男「いや……」
カメ男「俺は、女の子が大好きだ」
女「……ふぇっ!?なんですか突然にっ」
カメ男「だから、女の子を可愛く、綺麗に撮りたい」
カメ男「顔だけじゃない。限られた部位だけじゃない。女の子のすばらしさは無限にある」
女「は、はぁ」
カメ男「……カメラはいい」
カメ男「人の目では見えないものを見せてくれる」
女「カメ男さん…」
143 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:42:00.23 ID:9mdFgXE30
カメ男「精一杯、撮る」
カメ男「キミを」
女「……わたし、を?…あ、そっか。私、主演なんだった」
カメ男「気付いたよ」
カメ男「キミを精一杯撮ることに、今はひたむきになる事にする」
女「はいっ!」
女「…か、かわいく、撮ってくださいね。出来るだけ!」
女「本物が残念なぶんだけ……へへっ」
カメ男「……カメラのチカラにも限界がある」
女「うぐっ、…ちょっと傷つきましたよ」
カメ男「……冗談さ。ちょっと監督のところにいってくる」
女「…はい。がんばってください」
カメ男「……あぁ。ありがとう」
144 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:56:56.78 ID:9mdFgXE30
男「…そうか、そことそこは、手持ちにするか」
カメ男「やる価値はある。…いや、やらせてくれ」
男「わかった。信じよう」
オト屋「あぁ~あ、録音部の俺にとったら手持ちなんてやりにくくてしょうがねぇ」
男「お前も信頼してるからな」
オト屋「信頼なんて便利な言葉で済まそうったってそうはいくかい。いいよいいよ、音は後回しで」
オト屋「俺がケツを拭けば済む問題なら、それでいいよ。そういうことにしてやるよ」
オト屋「迷惑きわまりない信頼ってやつに応えなきゃならんしな」
男「助かる」
セイ作「…では、そろそろスケジュールの作成に移れますか?」
男「大丈夫だ」
145 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:09:05.94 ID:9mdFgXE30
男「スケジュールが決まった」
女「はいっ」
男「これが、明日から撮影終了までのスケジュール」
男「…それと、これが絵コンテの決定稿だ。今日の夜に脚本と照らし合わせて隅から隅まで目を通せ」
女「ぶ厚い…ですね。絵コンテって」
男「約120カットあるからな。1Pあたり4カットだから、30枚はある」
女「大変そうです…、でも、がんばります」
男「そうだ。頑張れ」
女「…あのぉ、一つ、質問良いですか」
男「なんだ」
女「えっと、私のあがり症の件についてなんですが」
男「なんだ、まだ治ってないのか」
女「そんな簡単に治りませんっ!!」」
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 02:10:14.85 ID:txRGYEGo0
∧ ∧ 食料の支援ですよ 一人一個まで
( ´・ω・)
( ∪ ∪ ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、
と__)__) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■)
梅干 高菜 おかか こんぶ ごはんですよ わさび漬け 焼たらこ
,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、
(,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■)
鶏飯 明太子 ちりめんじゃこ ゆかり 柴漬 塩辛 牛肉しぐれ
,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、
(,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■)
鮭 鶏ごぼう 野沢菜 天むす ツナマヨ エビマヨ 鮭マヨ 具なし
147 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:19:33.70 ID:9mdFgXE30
女「いつの間にか、ゴールデンウィークに撮影することになってしまいましたけど」
女「…いいんですか?」
男「何がだ」
女「私のあがり症ですよ!」
女「時間をかけてもいいって、言ってくれたじゃないですか」
男「あぁ、時間かけて治すと良い」
女「で、でもっ、治りきらないで撮影に臨んでいいんですか?」
男「いいも悪いも、そうするしかなかろう」
男「…今回キミの演技がダメだったのなら、また時間を置いて撮影に臨むだけの話だ」
男「それまで待つ。それがダメだったとき、さらにその次の機会まで待つ」
女「…そんな」
男「結局は場慣れだ」
男「逃げていたのでは、お前は何時までたっても、そのあがり症とやらは治らんだろう」
148 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:27:23.08 ID:9mdFgXE30
男「いいか」
男「お前はもう逃げれないんだ」
男「向き合うしか方法は無い」
女「向き合う……」
男「明日から、リハーサルだ」
男「アクションシーンが多い。ダン裕と一緒にいちから演技をつけていく」
男「……お前はもう、主演女優なんだ」
女「実感が、ありません」
女「……でも、やれることはやります」
女「私、この脚本が好きですから」
男「そうかい」
男「期待しないで、明日を待ってるよ」
女「あむむ……。で、でも頑張りますからね!」
女「私、頑張りますからっ!!すっごく頑張りますからっ!!!」
女「…そうかなぁ」
友「で、どうだったの?カッコよかった?」
女「あ、あんまり……覚えてない」
友「…ふーん」
女「な、なに」
友「べつにぃ」
ガラッ
先生「うーっし、朝礼はじめんぞ」
友「あ、先生来たっ。…何か発展があったらおしえてねっ?」
女「だからそんなの無いってばぁ」
5 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:16:59.54 ID:2RAcRBUE0
先生「もう知ってるだろうが、これから新入生歓迎会があるから」
先生「放送が入ったら静かに廊下にでて、体育館に向かうこと」
女「(…ほんと、さっきの人なんだったんだろ)」
女「(ネクタイの色が2年生の色だったから、先輩だと思うけど)」
女「(新入生歓迎会かぁ……)」
女「(どこかに、いるんだろうな)」
女「(……。)」
女「(また変なこと聞かれたらやだなぁ…)」
6 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:22:30.32 ID:2RAcRBUE0
体育館
『サッカー部はサイコーの先輩とサイコーの楽しさで、キミをまってるぜっ!』
『マネージャーも大募集中なんだぜーーっ!』
友「うわ…。ああいうノリ、私苦手」
女「うん。私も……」
友「今のところ、気に入った部活あった?」
女「無いなぁ…」
友「私も…」
女「もう、帰宅部でいいかも」
友「なんか私もそんな気がしてきた。日陰者の私には、部活紹介のこの時間は苦痛でしかないわ…」
女「友ちゃん卑屈すぎだよ…」
7 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:32:46.18 ID:2RAcRBUE0
女「…でも、確かにそうよね。中学の時は入学してすぐバレーボール部に入ったけど」
女「練習キツくてすぐにやめちゃったのよね…。朝練とか、私には向いてなかった」
友「女ちゃんは朝に弱いもんね?」
女「低血圧なのっ」
友「へぇ。じゃあ、デートにも遅刻するんだ?」
女「それとこれとは…」
『本 気 で 映 画 を 作 る !!』
女「ふぇっ!?」
友「な、なにっ?」
男『映画同好会だっ!!』
男『本気で作りたい奴だけ来いっ!!』
男『以上ッ!!!』
女「(きょ、今日の変な先輩っ…!?)」
8 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:40:23.87 ID:2RAcRBUE0
『え、映画同好会の紹介でしたーっ。つづきましてはー』
女「あ、あの人」
友「知ってるの?」
女「今朝の…」
友「なるほど」
友「…だいぶ、個性的そうな人ね」
女「でしょ?」
友「でも、顔は悪くなさそう」
女「友ちゃんああいうのがタイプなの?」
友「そうでもないけどね」
友「一般的に見てよ。…ま、壇上であんなことする人、普通の女の子は寄り付きにくそうよねぇ」
友「肝が座ってるというべきか…。恥知らずというべきか…。目立ちたがりというべきか…」
9 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:46:19.49 ID:2RAcRBUE0
女「映画同好会かぁ…」
友「映画好きなの?」
女「うーん」
女「きらいじゃないけど」
友「…好きでもない、と」
女「うん。映画館ってほとんど行ったこと無いし」
女「テレビでもわざわざ映画みないしさ」
友「まぁ、確かに1時間半以上拘束されるのは、私も性に合わないんだよね」
女「TVだとCMの量がすごく多いしね」
友「…高校でも私たちそろって帰宅部かな」
女「…そうかも」
10 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:51:47.83 ID:2RAcRBUE0
翌朝・学校の廊下
女「……あ」
男「おぉ」
女「(また会ってしまった…)」
男「うんうん…」ジロジロ
女「あ、あのぉ」
男「100メートルは何秒で走れる?」
女「は?」
男「え?」
女「……じゅ、じゅうはち秒、くらい…」
男「そうか……。そうか、そうか…」
女「(何がしたいんだこの人は…)」
11 :ちぢれ:2010/02/02(火) 13:56:45.22 ID:2RAcRBUE0
男「何か特技とかある?」
女「べ、べつに」
男「得意なスポーツとか科目は?」
女「あ、あのぉ…」
男「んむ?」
女「こ、こまります…。何のつもりか分からないですけど」
女「もうすぐ…HRはじまっちゃいますし」
男「大丈夫。HRの時間まであと5分はたっぷりある」
女「は、はぁ」
12 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:01:51.95 ID:2RAcRBUE0
男「……まぁ」
男「確かに朝の大事な時間を悪かった」
女「(やった。分かってくれた!話せば分かる人だった!)」」
男「だからゆっくり話す時間を作るとしよう」
男「今日の放課後そこの部屋に来てくれないか」
女「えっ!?」
男「大丈夫だな、空いているな」
女「えっ…?えっ…?」
男「では、待っているぞ」
女「えぇーーっ?」
14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:07:25.98 ID:KmMzgeeJ0
俺VIPEERだけどこういうのってそこらへんの携帯小説と区別できるほどのもんじゃないよね
女の口調を可愛く書いてなんだかんだで男とくっつきって奴
SS豚やゆとり女には好まれるかもしれないけど、恋空とかそういう系と何が違うのか分からん
別に高尚なもん書けとかは言わないけどさ
違うと思うならプリプリプリーズ
16 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:09:06.03 ID:2RAcRBUE0
教室
友「…展開はやっ!」
女「どうしようどうしようどうしよう」
友「どうしようって……それ、フラグじゃん」
女「折れるフラグなら折ってるよぉ!」
友「行くしかないわね、その部屋とやらに…」ニヤニヤ
女「すっごく怪しかったよその部屋…。誰も使ってなさそうな薄暗い部屋だった…」
友「押し倒すのに最適な部屋ってことか」
女「ひっ!?」
友「おぉ、いま下世話な想像したでしょ?」
女「し、してないぃっ」
友「なんにしても、私は行って欲しいけどね~。楽しそうな展開じゃない♪」
17 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:16:19.95 ID:2RAcRBUE0
放課後
女「…放課後になってしまった」
女「どうしよう」
友「さっさと行きなって」
女「でも…」
友「大丈夫だって。ちょっと変な人かもだけど、誠実そうな人だったじゃない?」
女「友ちゃん遠目から見ただけじゃん!……確かに、変態さんみたいな感じじゃないけどさぁ」
友「ほらね?だいじょうぶだいじょうぶっ」
女「友ちゃん楽しんでる…」
友「失礼なっ!女ちゃんの恋路を応援してるんだって!」
女「だからそんなんじゃないってば……」
19 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:21:23.54 ID:2RAcRBUE0
友「意気地がないなぁ」
女「……そうだっ!」
女「友ちゃん着いてきてよ!」
友「えぇ!?」
女「私の安全が保証されるまで友ちゃは一緒に居てよぉ」
友「うぅ…どうしたものか…」
女「友ちゃんばっかり外野で楽しんでずるい…。たまには舞台に上がってきてよ」
友「……」
友「しょうがないなぁ……」
女「やった、やったっ」
友「世話が焼ける子ねぇ」
20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:24:37.73 ID:T6aUYipT0
支援
21 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:31:38.82 ID:2RAcRBUE0
友「…ここが、その部屋?」
女「そうそう」
友「……暗い。窓からじゃ何も見えない。」
女「でしょでしょ」
友「……」
友「やっぱりおとなしく帰ろっか?」
オト屋「かわい子ちゃんふたりでどったの~?」
女「ひゃぁっ!?」
友「ふぇっ!?」
オト屋「ははっ、ごめんごめん。驚かせたな」
オト屋「うちらの部室、興味津々で覗いてたみたいだからさ。いったいどうしたんだい?」
友「部室…?」
オト屋「そうさ。ここは映画同好会の部室さね」
女「(映画同好会…。あの人が所属しているところだ…)」
22 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:38:47.79 ID:2RAcRBUE0
女「えっと…その…私……」
女「呼ばれて、ここに来いって…」
オト屋「呼ばれて…?」
友「新入生歓迎会の時に、壇上で『映画作る!』って叫んでた人に呼ばれたらしいですよ」
オト屋「あぁーったく…。新入生に変な印象つけやがって。やっぱあいつにやらせんじゃなかったな」
オト屋「…んで、あいつに君が呼ばれてきた、と」
女「はい」
オト屋「そうか…君が、例の子か」
女「……?」
オト屋「ま、あいつはまだ来てないみたいだし。いま鍵開けるから、遠慮なく部室に入って待ってくれたまえ」
23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 14:41:57.09 ID:C81he9q00
おため④
24 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:44:56.07 ID:2RAcRBUE0
女「お邪魔します…」
友「…おぉ、思ったとおり何にもない」
オト屋「そう、なんにもない」
オト屋「…まだ、ね」
友「というと?」
オト屋「映画同好会はまだ出来たばかりなのさ」
オト屋「この部室をもらえたのも、つい最近の事だ」
女「そうだったんですか…」
オト屋「紹介が遅れたね。俺はオト屋。2年生だ」
25 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:52:14.24 ID:2RAcRBUE0
オト屋「女ちゃんと、友ちゃんか…。いやあ、新入生のかわい子ちゃんと一気に二人も仲良くなれるなんて、僥倖、僥倖」
女「あ、はは…」
友「オト屋先輩ったら、そんなこと言っても何にも出ませんよぉ」
ガラッ
カメ男「……」
オト屋「おぉ、来たか」
オト屋「こいつはカメ男。同じく2年生だ」
女「は、はじめまして。女といいます」
友「友です。はじめましてっ」
カメ男「…ども」
オト屋「こいつはあんまり愛想良くないけど、まぁ許してやってくれ」
カメ男「…どういう事だ?」
オト屋「例の娘だよ」
女「……?」
26 :ちぢれ:2010/02/02(火) 14:58:53.21 ID:2RAcRBUE0
カメ男「……そうか」ジロジロ
女「え、えっと…?」
カメ男「……いい脚だ」
女「ひっ!?」
オト屋「おいっ!初対面相手それはやめろよな。悪い癖だぞカメ男」
カメ男「……」ニヤッ
女「……うぅ」
友「あのぅ…それで、例の方はいつごろいらっしゃるんでしょうか」
オト屋「おぉ、そうだったな。…さっき、掃除の当番をサボろうとして先生に捕まってたから、もうちょっとかかるかもしれん」
女「そうですか…」
27 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:10:03.37 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画同好会の会員は、俺たちを含めて全部で四人いる。皆二年生だ」
オト屋「四人じゃたいした映画は作れないからね。新入生を大募集してるんだがなぁ…」
友「…じゃあ、女ちゃんはもしかして、新入会員として誘われてたんですか?」
オト屋「ところがどっこい、そう簡単な問題でもない」
女「…?」
オト屋「まぁ、それはあいつに直接聞くのが一番さ」
ドドドドドドドッ ガラッ!
男「ははははっはーーっ!!」
女「っ!?」ビクッ
オト屋「おぉ、早かったじゃないか」
男「なぁに、掃除など所詮は塵を集める作業よ」
男「作業は覚えればいいのだから、覚えるだけの仕事にいつまでもかまってられん」
28 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:16:49.14 ID:2RAcRBUE0
オト屋「それより、例の娘、来てるぜ?」
男「……おぉ」
女「ど、ども…」
男「そうかっ!」
男「ヒロイン役を引き受けてくれる決心をしてくれたか!!」
女「……」
女「は?」
男「ん?」
オト屋「おいおい、この娘飲みこめてないぜ…?お前ちゃんと話つけたのかよ」
男「したはずだが」
女「な、なにを…」
カメ男「……腋もいい」
オト屋「あぁ~ぁ~~。ちゃんと話を整理しようぜ?」
29 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:25:07.27 ID:2RAcRBUE0
男「あれだけアプローチしたんだ。スカウトしているも同然だろう」
オト屋「おまえなぁ…」
女「全然気が付きませんでした…」
友「残念だったわねー」
女「な、なにがっ」
友「べつにぃ」ニヤニヤ
男「…ふむ」
男「伝わっていなかったなら致し方ない。改めて、君に頼みたい」
男「俺の映画に、どうか出て欲しい」
女「えっと……あの……その……」
オト屋「おいおい、女ちゃん困ってるぞ」
男「なぜ困るんだ」
オト屋「はぁ……」
30 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:32:40.24 ID:2RAcRBUE0
オト屋「あのな、まずは自己紹介からだよ馬鹿。相手はナンもお前のこと知らないんだ」
オト屋「知らない相手の映画に出れるかボケっ!」
男「それもそうだな」
男「俺は男。職業は映画監督」
男「以上だ」
女「……」ポカーン
友「はは、こりゃすごい…」
オト屋「ほんっと、映画で飯食えてから職業って言えよな…」
女「えっと、わたしは…」
男「君はいい。見れば分かる」
女「…は?」
オト屋「お前、この子の名前知ってんのかよ」
男「……」
男「知らない」
32 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:41:44.11 ID:2RAcRBUE0
男「まぁ、名前など後でいい」
オト屋「お前なぁ…」
男「とにかく、この脚本を読め」バサッ
女「……『おもいなき戦い』」
男「そうだ。いい題名だろう?」
女「はぁ…」
女「じゃあ、さっそく」
男「いや待て、今はいい」
男「家に帰ってから、じっくり読め。映画の脚本は、読む分には初めて見る奴でも分かりやすく書いてある」
男「だが、隅から隅まで、しっかり読んでほしい」
男「決して、台詞だけ読もうとは思わないことだ」
女「わ、わかりました」
33 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:49:15.56 ID:2RAcRBUE0
男「よく読んだ上で、俺の映画に出るか出ないか決めるんだ」
男「まぁ、俺の脚本がつまらないなんてことはあり得ないがな」
オト屋「よく言うぜ」
女「えっと…じゃあ」
男「うむ。わざわざ来てもらって悪かった。今日のところはこれでいい」
オト屋「なんでまた呼び出しといて、そんなに偉そうなんだよお前は…」
男「俺は偉いからな」
オト屋「あー、そうかいそうかい。…わるかったな、お嬢ちゃんたち」
女「い、いえ」
友「そんなぁ。色んな先輩と知り合えて、逆によかったですよぉ。…ね?」
女「う、うんそうだね」
34 :ちぢれ:2010/02/02(火) 15:55:07.95 ID:2RAcRBUE0
帰り道
女「なんだか、まだよく飲み込めない…」
友「ねぇ、女ちゃん」
女「なに?」
友「これは、親友として忠告するんだけど」
友「止めといた方がいいよ」
女「…やっぱり?」
友「うん」
友「ちょっと、あの人たち怪しすぎるよ」
友「…男さんもそうだけど、特にあのカメ男って人」
女「私、あのひとにすっごく見られてた気がする…」
友「でしょ?……止めといたほうがいいよ。なんだか、危ない気がする」
女「…だよねぇ。うん、分かった」
35 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:00:07.38 ID:2RAcRBUE0
夜 女宅
女「おふろきもちよかった」
女「じゃ、寝る準備するとしますかっ」
女「あっ……脚本」
女「どうしよっかなぁ。断るにしても、なんて断ろう…」
女「……」
女「(とりあえず、脚本読んでみようかな)」
36 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:04:57.98 ID:2RAcRBUE0
朝 学校
女「…っくちゅん!」
友「ありゃ、どうしたのー?風邪?」
女「う、うん゛……。ちょっと湯冷めしちゃって」
友「ありゃりゃ」
女「…それで、なんだけどね。私、映画同好会に入ろうかな……なんて思ってたりして」
友「え゛っ!?」
女「あわわわ、お、思ってるだけだよ、思ってるだけっ!」
友「…どういう心変わりなんだい、いったい…」
女「えっとぉ……そのぉ」
女「脚本が……すごくおもしろかったの……」
37 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:13:33.93 ID:2RAcRBUE0
友「うっそぉ…」
女「ほんと」
友「あの男だよ?…ろくに言葉も知らないような人だったよ!?」
女「友ちゃん、それ失礼だよ…」
友「そうだけどさぁ…。いったいどんな話だったの?」
女「アクション映画だった」
友「へぇ…。でも、アクションのヒロインっていったら……」
女「うん。私、運動そんなに得意じゃない」
友「だったら」
女「…でも、この脚本を映像にしてみたいって、すごく思ったの」
女「だから、その手助けができればいいなぁって」
友「…そっか。」
38 :ちぢれ:2010/02/02(火) 16:18:37.26 ID:2RAcRBUE0
友「でも、気をつけてね。あんな野獣の巣窟みたいなところに、ほんとは女ちゃんを行かせたくないんだけど」
女「大丈夫だよ。とって食われたりはしないと思う……たぶん」
友「しんぱいだなぁ」
女「…ほんとは、友ちゃんにも入って欲しいんだけど」
友「私はいいかなぁ…」
友「やっぱり、帰宅部の方が気楽でいい」
女「そっか…」
友「女ちゃんが決めたことだし、もう今更なにも言わないけどさ」
友「…不安になったら、すぐ止めるんだよ?」
女「うん…わかった。ありがとう、友ちゃん」
46 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:21:15.29 ID:2RAcRBUE0
放課後
女「…確かこの部屋だったと思うんだけど」
女「なんか……昨日とちがって、中があかるい」
女「ほんとにこの部屋かな」
ガラッ
セイ作「何かご用でしょうか?」
女「あっ、え、えっと…」
女「ここ…映画同好会の部室ですよね…?」
セイ作「そうですよ」
女「あの……えっと……」
セイ作「…あぁ、あなたが例の。どうぞ、入ってください」
女「は、はぁ…。失礼します…」
47 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:36:49.22 ID:2RAcRBUE0
女「…部屋の中が昨日と全然違うんですけど」
セイ作「ははは、そうかい?」
女「えぇ…。なんというか、あの…ピカピカしてます」
セイ作「ワックス塗ったからね」
女「あと、ソファーとかイスとか机とかなかったです…」
セイ作「がんばって運んだからね」
女「…もしかして、私が帰った後ここを改装したんですか?」
セイ作「うん。…正確には、まだ改装中だけど、ね」
48 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:43:29.43 ID:2RAcRBUE0
ガラッ
オト屋「おつかれーっす」
セイ作「オト屋くん。お疲れ様」
女「お疲れ様です」
オト屋「おぉ、短時間でこれだけのことをやるとは…やるなぁ、セイ作」
セイ作「ありがとうございます。でもまだ途中ですよ。」
オト屋「女ちゃん、来たか。今日は一人なんだな」
女「はい」
オト屋「こいつの事は知ってるか?セイ作って言うんだ」
セイ作「そういえば、自己紹介がまだでしたね。はじめまして。セイ作っていいます。話は男からよく聞いてますよ、女さん」
女「は、はじめましてっ。えっと…話を聞くって……どんな…」
セイ作「心配しなくても、悪いことは聞いてませんよ」
女「(どっちにしろ気になる…)」
49 :ちぢれ:2010/02/02(火) 19:52:11.59 ID:2RAcRBUE0
オト屋「しっかし、よくもまぁこれだけのものを一人で運んで、綺麗に掃除したなぁ。言えば手伝ったのによぉ」
セイ作「なんてことはないです。これくらいの事で皆さんのお手を煩わせていたら、映画なんて作れませんよ」
オト屋「まったく、ほんとに頼りになる奴だよお前は」
女「あのー、一人でって…」
オト屋「あぁ、まぁ、そういう奴なんだ」
女「えっ、でも…昨日の放課後の数時間で一人でこんなに……?」
セイ作「ですから、まだ途中です」
女「……すごい」
オト屋「おーおぉ、パソコン来てるじゃん」
セイ作「男が用意しておいてくれました。さわってみましたけど、なかなか高性能ですよ」
オト屋「いいねぇ、映画作りの環境が整ってきたねぇ」
セイ作「えぇ。……主演女優も含めて」チラッ
女「……ふぇっ?」
50 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:01:23.38 ID:2RAcRBUE0
女「あの、そのことなんですけど」
女「…私、お断りさせていただこうとおもって」
セイ作「…」
オト屋「おいおい、嬢ちゃん。そりゃなんでだい?」
女「脚本読んだんですけれど、…すごく、よかったです」
オト屋「じゃあ…」
女「よかったんですけど、……すごく良かっただけに、私なんかが演じるわけにはいかないって思って」
オト屋「ほぉ」
女「ですから、女優の件は…」
セイ作「はははっ。そんなこと、貴女が心配することじゃありませんよ」
女「…えっ」
セイ作「そうでしょう?貴女が適役だと思ったから、男は貴女を選んだんですよ」
セイ作「もし、貴女ではいけないという心配をするとしたら、男が心配するべきなのです」
51 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:07:04.95 ID:2RAcRBUE0
女「でも私は、演技の経験もないし」
セイ作「そんなこと問題じゃありません」
セイ作「脚本を読んで、良かったと思った貴女の気持ち」
セイ作「…問題なのは、そっちのほうなのではないですか?」
女「え……」
オト屋「おい、セイ作」
セイ作「…あ」
セイ作「すいません、益体もない事を言ってしまいました」
セイ作「忘れてください」
女「そんな」
オト屋「ま、あれだ。その辺はよく男と話すといい」
オト屋「男監督と、…な」
女「監督……。あの人が……」
52 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:17:31.10 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画制作ってのは、縦割りなんだ。役割分担がしっかりしてるんだよ」
オト屋「男の奴には監督っていう、役割がある」
女「オト屋さんは、どんな役割があるんですか?」
オト屋「俺は録音っていう役割だ。映画の音全般に責任を持っている」
オト屋「それと同じように、画全般の責任を持つカメ男は撮影」
オト屋「そこにいるセイ作は、制作という役割。…制作は、平たくいえば裏方だ。お金の管理からお茶出しまで、なんでもする」
女「あの、…なんで縦割りなんでしょうか?」
オト屋「いい質問だお嬢ちゃん」
オト屋「縦割りにすることによって、自分の仕事に対して責任が生まれるんだ」
オト屋「自分の中のテリトリーの失敗は、自分の失敗だ。…だから、失敗は許されない。他の誰かのせいにはできないんだ」
オト屋「…だから、皆自分のテリトリーを守るし、人のテリトリーを荒らそうとはしないんだよ」
女「なるほど……」
53 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:23:20.02 ID:2RAcRBUE0
オト屋「映画制作ってのは、何かの能力に特化した奴らの集団さ」
オト屋「…俺は音に関しての知識なら負けないが、カメラはさっぱりだ」
オト屋「でも、スペシャリストが集まって、縦割りの役割分担にすれば、最高のものができる」
女「うまくできているのですね」
オト屋「そうさ。…だから、さっきセイ作は、監督のテリトリーを、軽く荒らしちまった」
オト屋「……な?」
セイ作「お恥ずかしながら」
女「…そうなんですか?」
オト屋「まぁ、まだ分からないだろうけどな。…難しい問題なんだ、これは」
セイ作「……」
54 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:29:46.51 ID:2RAcRBUE0
ガラッ
男「おはようっ」
カメ男「……」
オト屋「おぉ、いいところに二人とも来たな」
女「あ、どうも…」
男「来たな。あーっ…」
女「女、です…」
男「そうだった、女くん」
オト屋「…プッ、昨日名前なんてどうでもいいとか言ってたくせに」
男「それにしても、この部室はすばらしい環境になったな」
男「すばらしいぞセイ作」
セイ作「ありがとうございます。でもまだ途中です」
男「ははは、ではさっそく打ち合わせと行くか」
55 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:44:40.66 ID:2RAcRBUE0
男「…何っ!?女優を辞退!?」
女「はい。…その代わり、この同好会には入りたいと」
男「お前に何が出来る?」
女「え?」
男「お前は、女優としての価値しかないんだ。その事を分かった上で言っているのか?」
女「…そ、そんな」
オト屋「……」
セイ作「……」
男「俺は映画を本気で作ると言った」
男「俺の本気に、女優以外のキミはいらん」
女「(…確かに私は何の力もない。映画の事は何にも分からない。邪魔をするだけかもしれない)」
男「脚本を好きになるなんて当たり前だ。俺が書いたんだからな」
男「…だが、俺が必要としているのは、俺が俺の脚本を好きになってくれる奴じゃない」
男「俺の映画のパーツになるに足る奴だけだ」
56 :ちぢれ:2010/02/02(火) 20:52:41.78 ID:2RAcRBUE0
女「……そうですか」
女「では、私は影ながら応援することにして…」
オト屋「なぁ男。そうはいっても、人手は欲しいぜ?」
男「いらん」
オト屋「…そうか」
セイ作「……」
女「それでは、失礼…します……」
男「ふぅ……」
男「すまん」
女「いえ…」
女「では」
58 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:02:32.01 ID:2RAcRBUE0
女「……そっか」
女「そうだよ……ね」
女「(甘かったな…。映画作るのって、すごく大変なんだよね)」
女「(私なんかが、出る幕ないよね)」
セイ作「あのっ…女さんっ!」
女「あ、…えっと、セイ作さん。どうしたんですか、わざわざ追いかけてくるなんて」
セイ作「どうか、お願いがあります」
セイ作「映画に出てください。…お願いします…お願いしますっ!」
女「そんなっ!土下座なんてしないでくださいっ…!」
セイ作「男の奴に……映画を撮らせてやって欲しいんです」
女「…私が居なくても、撮れるじゃないですか」
セイ作「いいえ、撮れません」
セイ作「撮れないんです」
59 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:20:33.15 ID:2RAcRBUE0
女「…どうしてですか?」
女「例え撮れないにしても、スペシャリストの先輩達が居る中に、私が入っていても同じことですよ」
セイ作「たしかにそうかもしれません」
セイ作「…けれども、女さんが女優をしてくれるなら話は別なんです」
女「だから、それは…っ!」
セイ作「いままでずっと、私たちに足りないものは、役者だったんです」
セイ作「男がずっとずっと探していて、見つからなかったのは、役者なんです」
セイ作「カメ男やオト屋は、男が今の僕以上に頭を下げて手に入れた仲間でした」
セイ作「でも、役者だけはずっと見つけられなかった」
女「……」
セイ作「……あの脚本、あなたは良いと言ってくれましたね」
セイ作「実はあの脚本は、あなたの為に書いた脚本なのですよ」
女「えっ!?…で、でも、脚本を渡されたのは男さんと出会った次の日ですよ!?」
60 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:25:52.20 ID:2RAcRBUE0
セイ作「その一日の間に、彼は書いたのです」
女「あんなに良い脚本を一日で…信じられない」
セイ作「天才なんです、彼は」
セイ作「もしあなたが首を縦に振ったら、あの脚本をもっと煮詰めておもしろくするでしょう」
セイ作「…ですが、あなたがこのままお帰りになるなら、散りぢりに引き裂かれて、二度と日を浴びることはないでしょう」
女「そんな……」
セイ作「お願いします」
セイ作「彼に……男に、映画を撮らせてやってください」
61 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:32:11.13 ID:2RAcRBUE0
オト屋「いいのか?」
男「何が」
オト屋「やっと、見つけたんだろう?」
男「本人にやる気がないなら、どうしようもないだろう」
オト屋「やる気にさせるのも、あんたの役目じゃないのか」
男「…それを決めるのも俺だ」
オト屋「そうだったな、悪い」
オト屋「だが、一つ言っとくとな」
オト屋「俺もお前に頭下げられるまで、映画になんかこれっぽっちも興味なかったぞ?」
オト屋「俺の生き場所は、ライブのハコだった。…それをあんたが、映画に引きずり込んだんだ」
オト屋「責任とって、あんたにゃさっさと映画を作ってもらわにゃならん」
男「……」
男「分かってる」
62 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:42:21.00 ID:2RAcRBUE0
オト屋「いいや、分かってないね」
オト屋「お前さん怖いんだろう?」
オト屋「…作るのが、怖いんだろう?自分の実力の浅さを知るのが怖いんだろう?」
オト屋「だから、お嬢ちゃんを無理に引き止めなかった」
オト屋「…ちがうか?」
男「違う」
男「…とは言い切れない」
男「図星だ」
オト屋「なら」
男「天才にも限界はある」
男「…人の強い意思を動かす事は、人を泣かせる以上に難しい」
男「今すぐには無理だ」
63 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:50:45.79 ID:2RAcRBUE0
女「私、あがり症なんです」
女「小さいときから、人の前で何かをするのって苦手で…」
セイ作「でも、映画は観客の前で演じるわけではありません」
女「…同じです」
女「カメラや映画研究会の皆さんの前で演じる…」
女「考えただけでも、心臓がおかしくなりそうで」
セイ作「でも、できます。…時間をかければ、きっと」
女「…そんな時間をかけさせるくらいなら、きっと、別の女優さんを見つけたほうが早いですよ」
女「こんな、教室の前に立っただけで足がすくむような私より」
女「もっと良い人がいます」
64 :ちぢれ:2010/02/02(火) 21:56:24.90 ID:2RAcRBUE0
カメ男「……」ジー
女「だから、申し訳ないですけど……」
セイ作「そうですか……」
カメ男「……」ジー
女「……え」
カメ男「……」ニヤッ
女「ひゃっ!?」
セイ作「カメ男さん!?」
女「と、撮ってるんですか!?」
カメ男「……」コクリ
女「や、やめてくださいっ!や、やめっ…!?」
カメ男「……」ニヤニヤ
65 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:03:19.88 ID:2RAcRBUE0
女「そんな下から!?…ぱ、パンツ見えちゃいますからあっ!」
カメ男「…大丈夫。ギリギリ」
女「ぎ、ギリギリでも駄目ですからあっ!」
カメ男「……デュフ」
女「ひっ……」
男「どうだ、カメ男。女優の映え具合は」
女「あ、男さんっ!止めさせて下さい~っ」
カメ男「……エクセーレントゥ」
男「そうか…」
オト屋「声質も、滑舌も問題なしだ」
男「そう、か……」
女「はやく止めさせてください~~っ!」
66 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:22:55.11 ID:2RAcRBUE0
男「女くん」
男「…どうか、ヒロインをやってほしい!!」
男「どうか、どうか頼む……っ!!」
女「えっ!?…男さんまで、土下座って……や、やめてくださいっ!!」
男「キミがウンというまでやめない!」
女「そんな…」
男「どんなに時間がかかっても良い」
男「俺は、キミをヒロインにしたい…っ!」
オト屋「俺からも頼むっ!」
セイ作「もちろん僕も」
カメ男「…頼む」
女「みなさん、先輩なのに……。やめてください。…困ります」
67 :ちぢれ:2010/02/02(火) 22:30:31.46 ID:2RAcRBUE0
男「やめないと言った。…俺には、キミが必要なんだ」
女「……必要」
男「キミじゃなきゃ、駄目なんだ」
男「…キミが居ないと、何もかもが崩れてしまう」
男「頼む、一緒に前に進もう!」
男「本気で映画を作ろう!」
女「どうして」
女「私なんですか?」
男「……」
女「私じゃなくても、この学校には、もっと私より綺麗で、華があって、演技が出来そうな人が居ると思います」
女「…私である必要が、ないじゃないですか」
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/02(火) 23:08:16.26 ID:mZt7X1MJ0
さるさんくらったか
69 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/02(火) 23:41:19.70 ID:2RAcRBUE0
男「綺麗だとか、華があるとか、演技ができるとか」
男「そんなものは、本当はどうでもいい」
女「…えっ」
男「脚本を見ただろう?」
男「あの話は、俺がキミを見て、初めて生まれた」
男「キミじゃなければ、俺を駆りたてることはできなかった」
女「…でも」
女「あの脚本のヒロインは、私なんかよりも強くて、輝いていて、…カッコいいです」
男「そうだ」
男「…でも、キミはヒロインのようになりたいと、誰よりも思っている」
男「そうだろう?」
女「……」
70 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/02(火) 23:54:02.35 ID:2RAcRBUE0
女「なんで、そんなことがわかったんですか」
女「一度しか…それも、短時間しか会っていないのに」
男「俺が天才だからだ」
女「確かに…。天才じゃないと、そういう真似はできないでしょうけど」
男「だが…俺は、天才だが」
男「俺が良いと思う脚本と俺が良いと思った役者じゃないと」
男「映画は作りたくないんだ」
女「私が良い役者だって、思うんですか?」
女「あがり症の私が、良い役者でしょうか」
男「当たり前だっ!!」
女「ふぇっ!?」
男「天才の俺が見誤るわけないだろうがっ!!」
71 :ちぢれ@夏コミ申請してた:2010/02/03(水) 00:07:51.37 ID:P7dI2AR50
男「日常を、カットに分けて考えたことはあるか?」
女「カット…?」
男「映画は、カットのつぎはぎで出来ている」
男「だから、常に最良のカメラの位置と、カットポイントを考えている」
男「現実世界で映える女に興味は無い」
男「カメラの中で、カットに分けたときに輝く女にしか、俺は興味がないっ」
男「それが、キミだ」
女「…えっ、な、なに…?どういう事ですか?
男「えぇい!!」
男「歯並びの良い白い歯。アップに耐える肌質。マイク乗りの良い声。黄金比率のスタイル。痛みの無い艶ある黒髪。人の目線を引く表情!!」
男「そして心の奥に眠る、熱い志向!!」
男「それがお前の魅力だって言ってるんだっ!!!」
72 :ちぢれ:2010/02/03(水) 00:19:34.88 ID:P7dI2AR50
女「あ、あぅ……あぅあぅ……」
オト屋「ありゃ」
セイ作「気圧されてしまったみたいですね」
男「……」
女「ど、どうすれば……」
男「明日また、部室に来てくれ」
男「さっそく、キミに合わせたカメラテストをしよう」
女「は、はぁ…」
男「よろしく頼む」
女「え、えと……こちらこそ?」
カメ男「……絶景」ジー
オト屋「おぉぃ、土下座のドサクサでパンチラ撮るとは、良い根性じゃねえか」
カメ男「……赤シマシマ」ボソッ
73 :ちぢれ:2010/02/03(水) 00:27:01.24 ID:P7dI2AR50
夜 女宅
女「…ごめんね、急に電話なんかしちゃって」
友「それは、いいんだけど…」
友「なんだか、すごい事になっちゃったねぇ」
女「うん…」
友「無理することないんだよ?嫌なら止めなよ」
女「それが、なぜか……」
女「嫌じゃないんだ」
友「そうなの?」
女「うん…」
74 :ちぢれ@コミケにボカロのジャンルコード無いんだけど:2010/02/03(水) 00:57:16.71 ID:P7dI2AR50
女「不安だし、心配ではあるんだけど…」
女「なんか、楽しみなんだ…」
友「へぇ…」
女「あのね、なんだか、男さんに見透かされた気がしたの」
女「…うぅん、見透かされちゃった」
友「というと?」
女「バレーボールが好きだったのに、バレー部やめちゃった時の気持ち…」
女「わたし、ずっと引きずってた」
女「そういうの、見透かされちゃったんだと思う」
友「そっか…」
友「じゃあ、ある意味では、男さんは女ちゃんの理解者なのかな」
女「そういうことになる…かな」
75 :ちぢれ@コミケにボカロのジャンルコード無いんだけど:2010/02/03(水) 01:08:40.93 ID:P7dI2AR50
次の日 部室
女「こんにちは」
男「おぉ、来たな」
オト屋「待ってたぜ」
セイ作「では、さっそくカメラテスト始めましょうか」
カメ男「…用意は万全」
女「え、あ、あの……心の準備が」
男「ふぅ……」
男「今日はカメラテストだ、準備なんかいらないよ」
女「カメラテストって、なんですか……?」
男「一言で言えば、カメラが撮影に支障なく動くかテストする事だな」
女「あのぉ……それって、私がいる意味あるんでしょうか?」
76 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:15:08.67 ID:P7dI2AR50
男「おおいにある」
女「はぁ…」
男「いいか、ヒロインを美しく映せずして、カメラの資格は無いのだ」
男「ただ、カメラがカメラの機能として、動けばいいという訳ではない」
女「…なるほど」
男「まぁ、テストはテストだ。キミは窓辺にでもたたずんでいたまえ」
女「分かりました」
セイ作「急ぐ作業じゃないですから。トイレや水分補給は気軽にどうぞ」
女「あ、はいっ」
男「…さて」
男「ようやく始められるな」
77 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:21:19.86 ID:P7dI2AR50
男「どうだ、色温度は」
カメ男「…今はこれくらいだ」
男「もうちょっと、アンバーな方が好きだ」
カメ男「……分かった」
女「色温度?」
男「気になるか?」
女「え、えぇ。まぁ」
男「安心しろ、後々分かってくる」
女「そうですか…」
カメ男「…これくらいでどうだ」
男「まぁ、いいだろう。日光相手に細かく調節しても、しょうもあるまい」
女「(わからない…。何をやってるんだろう…)」
78 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:31:32.22 ID:P7dI2AR50
男「…ふぅむ、やはり広角にしたらこれくらいの歪みはでるか」
カメ男「……むしろ、これが良い」
男「なるほど、そういう考えもできるな」
男「…よしわかった。今日はこれくらいにしておくか」
女「ふぅ……」
男「女くん、なかなか良かったぞ」
女「えっと……ただ、立ってただけですけど」
男「立ち方にもセンスってものがある」
女「はぁ…」
男「表情は固かったが、姿勢は良かったな」
男「肩がちょっと上がり気味だったが、腰から頭までがスーッとしてて、卑しさを感じなかった」
女「(そういうものなのか…)」
79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 01:43:55.47 ID:I7SjBKjDQ
支援
でも寝る
朝まで残ってますように
80 :ちぢれ:2010/02/03(水) 01:47:08.55 ID:P7dI2AR50
女「あの、そのビデオカメラって、結構良い奴なんですか?」
カメ男「……割と」
女「わりと、ですか」
男「SONYのVX2000。今はハイビジョンやらHDやらでないと駄目だからな」
男「ちょっと前までは、TVの簡易的な取材なんかでは、こいつをしょっちゅう見かけたもんだが…」
男「DV方式のセミプロ用っていったら、多分VX2000の右に出るものはいないだろうよ」
女「よく分からないですが…、すごいんですね」
男「別にすごくは無い」
女「はぁ…」
オト屋「同好会の予算で買える、ギリギリの価格の中古をよく探し出したもんだよ、ホント」
男「予算があと100万あれば……」
オト屋「無理言うな」
81 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:06:17.23 ID:P7dI2AR50
男「音の方はどうなんだ?」
オト屋「多分問題ない。後で聞いてみな」
男「わかった」
セイ作「スケジュールはどうします?…あと、脚本の決定稿はあがりそうですか?」
男「ゴールデンウィークまで、あと何日だ?」
セイ作「あと一週間ですね」
男「よし、明日までに決定稿をあげる」
男「皆、ゴールデンウィークはもちろん空けてあるな?」
女「はいっ、家族と旅行に行きますっ」
男「よし、問題ないな。では撮影はゴールデンウィークに行う」
男「それまでに各々の役割を果たすべく、準備の時間とする」
女「あのぉ……」
82 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:14:18.46 ID:P7dI2AR50
男「なんだ、家族との旅行がそんなに大事か」
女「大事といえば、大事です…」
男「安心しろ、撮影の方が大事だ」
女「えぇーーっ?」
男「俺はもう、脚本を書きに帰る。セイ作、後は任せた」
セイ作「わかりました」
男「……あぁ、そうだ。一つ大事な事を忘れていた。あいつを呼び出しておけ」
セイ作「あいつ、ですか」
男「あの、生意気な小僧だよ」
セイ作「彼は3年生ですよ」
男「俺からみたら小僧だ」
83 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:22:13.87 ID:P7dI2AR50
女「うぅ…家族旅行が……」
セイ作「私からもお願いします。撮影がゴールデンウィークに出来なければ、もう夏休みを待つしかありません」
セイ作「土日を使って撮ることもできますが、やはり、まとまって一気に撮ってしまった方が良いのです」
女「……でも」
セイ作「女さんには、迷惑をかけすぎているという以上に、かけていると思います」
セイ作「…ですが、私たちはここで止まるわけにはいかないのです」
セイ作「分かっていただけませんか?」
女「私も、皆さんの足をひっぱりたくないですよ。…だから、家族旅行をとりやめるなんて、やぶさかもないことなんです」
女「…でも、男さんが悪びれも無く、やめろっていうから」
オト屋「きひひっ、あいつも不器用だからな」
セイ作「彼は彼なりに、女さんに悪いと思っていますよ」
女「なら…」
セイ作「おそらく、ですが。監督と女優という立場が明確になってきましたから…」
セイ作「あまり下手に出たくはなかったんでしょうね」
84 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:36:38.30 ID:P7dI2AR50
女「監督と女優って…そういうものなんですか」
セイ作「さぁ……」
セイ作「ですが、彼の中ではそうなのかもしれません」
女「…むずかしい」
セイ作「そう、むずかしいんです」
セイ作「これは創作ですから」
セイ作「たとえ、人間関係といえども、正解の形なんていうものは存在しないんですよ」
オト屋「あぁーあ、奥深いこって」
オト屋「そんなに深く考える必要もなかろうに」
セイ作「人それぞれですよね」
セイ作「女さんも、これから撮影に向けて、『理想の関係』っていうのを模索してみてください」
セイ作「男さんの理想と同調するのも大切ですが、それだけではない事を、知っておいたほうがいいでしょう」
85 :ちぢれ:2010/02/03(水) 02:41:14.59 ID:P7dI2AR50
寝たら落ちるだろうな
撮影シーンの前に落とすのは不本意だけど、落ちたらそれまでって事なんだろう。
マイクのこととかやりたかったな
文体に魅力がないよね、ほんと。
おやすみなさい。残っていたら、また続きを書かせてください。
86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 02:46:39.76 ID:6EOuMw9X0
ほしゅ
87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 04:11:53.16 ID:8ywQKiOBP
続き気になるからわざわざ携帯から使いにくいP2.2chにログインして保守してやるよ
88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 06:25:44.05 ID:2yGR6bMC0
ほ
89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 06:45:48.79 ID:w4ZRyeMIO
全力で保守させて頂こう
90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 07:54:46.04 ID:8tyLe1t60
ほし
91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 08:22:58.29 ID:I7SjBKjDQ
残ってた☆
92 :ちぢれ:2010/02/03(水) 09:49:17.02 ID:P7dI2AR50
うわあああああ
せっかく残してくれたのに今急用がはいったあああああ
絶望した
93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 10:49:17.03 ID:y+xapwdlO
ほ
94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 10:53:47.05 ID:YJ+mSszB0
同人幼女の話は結局どうなったんだ
95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 11:33:41.18 ID:oVPDKBHx0
ほしゅ
96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 11:43:56.22 ID:I7SjBKjDQ
ふむ、覚えてたら保守しとく
97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 12:19:32.67 ID:I7SjBKjDQ
保守
98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 12:22:33.95 ID:PUPdeKQ40
スレタイでハンドメイドマイ思い出した
99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 13:08:57.32 ID:w4ZRyeMIO
保守
100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 13:36:29.40 ID:TdAUkEUu0
すごく痛い
101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:06:27.88 ID:I7SjBKjDQ
ほ
102 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:08:09.31 ID:LeB4qAiM0
題材は悪くない
けど、何かどこか凄く痛々しい
とりあえず語尾に「っ」をつければ可愛いんだろうと思ってる>>1の意図が丸見えなのが課題点
次に厨二臭い喋り方をするキャラが多すぎ、何が「例の」だよww
>>1はリアル高校生か何かか
103 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 14:41:25.39 ID:1hUJ0/190
ちぢれはちぢれです
104 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 15:40:57.73 ID:lcvny+AE0
ちぢれているのはちんg
105 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 16:14:49.66 ID:I7SjBKjDQ
保守
106 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 16:37:58.20 ID:mDFBFo7B0
とりあえずカメ男が気に入らないのでさようなら
107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 17:28:03.43 ID:I7SjBKjDQ
確かにカメ男はキツイ
108 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 17:52:37.23 ID:r+HK5ONy0
ほ
109 :ちぢれ:2010/02/03(水) 18:38:20.57 ID:9VIczggR0
帰り道
女「男さんと、私の、理想の関係……か」
女「(どうしたらいいんだろう)」
女「(……)」
女「(わからない)」
女「(映画のこと、……それ以前に、映画を作るってこと)」
女「(監督と女優のこと)」
女「(……私、全然わからない)」
女「(こんな私がどんなに考えたって駄目だよね)」
女「(言う事を素直に聞こう。……うん、そうしよう)」
110 :ちぢれ:2010/02/03(水) 18:51:34.18 ID:9VIczggR0
次の日 部室
男「決定稿だっ!!」
セイ作「先ほど人数分刷ってきました。皆さんにお配りしますね」
女「(…前のとどれぐらいちがうのかな)」
オト屋「相変わらず仕事が速いな。どれくらい修正したんだ?」
男「最初から書き直したっ!!」
女「えっ!?」
オト屋「おいおい、大げさだな」
男「お前には分からんだろうが、一部直すだけで済むような修正は修正とは言わん」
男「脚本は一本の木に等しい」
男「枝葉が多少枯れていても、根と幹が張っていれば、それでいいのだ」
男「しかるに修正とは、根を深く広く張らせ、幹を太く固くすることを言うのだ」
オト屋「わかったわかった。突っ込んだ俺が悪かったよ。セイ作、原稿をくれ」
111 :ちぢれ:2010/02/03(水) 19:00:08.72 ID:9VIczggR0
男「さて…時間もあまり無い。皆ここでよんでもらおう」
男「しばらく黙読の時間を設ける」
男「…分かってると思うが、時間はたっぷり取る。隅々まで、一言一句もらさず読む事っ!」
女「(……どれくらい変わってるのかな)」
女「(わっ、…前と違って、いきなりアクションだ)」
女「(でも、ジャンルはアクションのままなんだなぁ……)」
女「(蹴りをよけて、バク転でかわして……)」
女「(うひゃあ、わたしにできるかなぁ)」
112 :ちぢれ:2010/02/03(水) 19:07:55.67 ID:9VIczggR0
男「そろそろ皆読み終わったか?」
男「……いいようだな」
女「すごい。前のより、もっと……」
男「何か質問は無いか?」
オト屋「俺はないぜ?」
カメ男「……異常ナシ」
セイ作「僕も大丈夫です」
男「よし。ではこれで決定稿だ」
男「……そうだ、奴めそろそろ来るのでは無かったのか?」
セイ作「来るとはいっていましたが。…彼が時間を守らないのは今に始まったことではないですし」
男「だから小僧なのだっ!」
セイ作「携帯で呼び出してみます」
男「頼む」
113 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:12:29.35 ID:9VIczggR0
女「どちら様がいらっしゃるんですか?」
男「この映画を作るにあたって、足りないものがくさるほどある」
男「それは分かるな?」
女「えぇ、まぁ」
男「……だが、決定的に足りないものが、一つだけある」
男「何だと思う?」
女「えっ…?」
女「決定的に……?」
男「そうだ」
男「映画が成り立たないくらいに、決定的だ」
女「うーん……?」
114 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:24:20.61 ID:9VIczggR0
男「わからないか?」
女「はい……」
ガラッ
ダン裕「アロハぁ」
男「やっと来たか」
ダン裕「いやぁ、スマーン。ちょっと災難にあってたのサ」
オト屋「どーせ、女難だろ?」
ダン裕「おーっと、オト屋ちゃん。久しぶりなのにご挨拶だネ」
男「こいつが、足りなかったもの、だ」
女「というと……?」
男「主演男優だよ」
115 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 19:24:25.66 ID:FGkrkw2E0
カメ男がどう考えてもムッツリーニ
116 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 19:25:20.81 ID:FGkrkw2E0
うわダン裕チャライ
イラネ
117 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:35:38.31 ID:9VIczggR0
ダン裕「まだ出演するとは言ってないし、脚本も読んでないンだがぁ?」
男「ほら、決定稿だ」
ダン裕「あとでゆっくり読むよ」
男「こっちとしては出演するか否かを即断してもらわなければ、進行に支障をきたすんだが」
ダン裕「ジョーダンだよ、あんたの脚本に俺が出ないはず無いんだゼ?」
男「冗談に冗談を返しただけだ。気にするな」
ダン裕「ハハッ、相変わらず男はおもしろい奴だネ」
男「お前はおもしろくもなんともないがな」
女「……あの二人、仲悪いんですか?」ボソボソ
オト屋「あれはあれで、お互い楽しんでるんだ。そのうち分かる」
オト屋「はたから見てるこっちは、ちっとも楽しくないがなぁ」
118 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 19:49:07.53 ID:9VIczggR0
ダン裕「ウップス」
ダン裕「俺としたことが、素敵なお嬢さんに気付かないなんてな」
女「……え?わ、わたし?」
ダン裕「新入生の娘だね、3年のダン裕っていうんだ。よろしくね」
女「女です、よろしくお願いしますっ」
ダン裕「女ちゃんか…、うん、今週末よかったらお茶とかどうかな?」
男「ダン裕、主演女優だ」
ダン裕「……ヒュ~」
女「あ、あれ……え、えっと…?」
ダン裕「イヤー、わすれて、今の忘れてネ」
ダン裕「相手役のダン裕。あ、ら、た、め、て、よろしく」
女「は、はぁ。よろしくおねがいします」
女「(いったいなんなんだこの人は……)」
119 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:04:01.55 ID:9VIczggR0
男「…さて、これでようやく、撮影できる最低限の要素は整ったわけだ」
セイ作「そうですね」
男「演出面・技術面は俺が統括するが…」
男「制作面はセイ作が統括というより、セイ作一人にやってもらうことになるが…」
男「大丈夫か?」
セイ作「大丈夫です」
セイ作「……といいたいところですが、助手が一人ほしいです」
男「お前が必要とおもうなら、そうしてくれ。心当たりはあるのか?」
セイ作「はい」
男「よし、では制作は安心して一任していいんだな?」
セイ作「そうですね。必要に応じて監督の指示も頂きますよ」
男「わかった。…では、俺はカメ男と絵コンテを今日中にあげる。昨日あらかた作ったが、カメ男のアドバイスが要る」
カメ男「……了承」
120 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:13:02.44 ID:9VIczggR0
男「女は俺とカメ男のそばに居て、絵コンテでも見てろ」
女「はいっ」
オト屋「俺は脚本から適当に録音設計立ててるぜ」
男「わかった。絵コンテをあげたら真っ先にオト屋に渡す」
セイ作「ロケ地はもう決まってますか?」
男「決めた。それも追って連絡する」
セイ作「では絵コンテの後は、私とスケジュールを一緒に決めてもらいますよ」
男「そうしよう」
ダン裕「俺はどうしたらいいかナ?」
男「脚本を100回読め」
ダン裕「へ~い、へい」
124 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:30:31.28 ID:9VIczggR0
男「カメ男。とりあえず描いてきた絵コンテをチェックして欲しい」
カメ男「……腕が鳴る」
女「あの…」
女「絵コンテって、何ですか?」
男「そうか、絵コンテも知らないか」
女「申し訳ないです…」
男「これを見てくれ。言わずと知れた絵コンテなんだが、どんな情報が書いてあるか言ってみろ」
女「絵が描いてあります。四コマ漫画みたいです」
男「そうだな。他には?」
女「文字が色々書いてありますが…、これは台詞ですか?」
男「その通りだ。台詞の他に、SEや環境音を書いたりもするが、メインは台詞だ」
男「絵は、そのカットでカメラが撮る画を描いたものだな」
女「わぁ、この絵男さんが描いたんですか。上手いですね……」
男「作りたい画を伝える手段は、絵が手っ取り早い。監督は多少の絵心があって当然だ」
125 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 20:46:53.51 ID:9VIczggR0
男「他に、お前が知っておかなければいけないのは…」
男「ここに、数字があるだろう。カットナンバーと、タイムだ」
女「……?」
男「タイムは、そのカットまでの累計時間と思ってくれていい。」
男「カットナンバーは、そのシーンの何カット目かをあらわしたものだ」
女「えっと…、すいません。シーンとか、カットっていう表現があいまいにしかわからなくて…」
男「ふむ。分からないことを分からないと言う姿勢は崩すなよ。何よりも大事なことかもしれない」
女「わかりました」
男「映画は、カットとカットをつなげて出来ている、というのはわかるな?」
女「はい。…えっと、カットは……パッ、って絵が切り替わって、次にパッ、って切り替わるまでが1カットでいいんですか?」
男「しごく感覚的な説明だが、それで間違いない」
126 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:00:39.21 ID:9VIczggR0
男「作品は、カットの集合だ。一時間半の作品で、何百というカットになる」
女「そんなに…」
男「その烏合の衆であるカットを、キリの良いところでグループ分けするんだ」
男「そのグループのことを、シーンという」
女「なるほど……。ですが、そのグループ……シーンは、どういう基準で分けるんですか」
男「基本的に、劇中の舞台や場所が変わると、シーンも変わるな」
男「何百とあるカットで整理するよりも、シーン何のカット何という風に整理した方が、やりやすいだろう?」
男「シーンナンバーさえ覚えておけば、あの場面の何番目のカットか、と思い浮かべやすい」
女「うまくできてるんですね。知ってるようで知らなかったことでしたが、あやふやなまま撮影に入らないでよかったです」
男「映画はカットの集合で出来ているだけでなく、シーンの集合でもあるということが分かってくれたか」
カメ男「……このアングルは無理」
男「なんだと、どこだ」
カメ男「……ここ」
127 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:07:33.19 ID:9VIczggR0
カメ男「……そもそもカメラの動きが多い」
男「アクションなんだから当たり前だろう」
カメ男「……あと、ここはローアングルだ」
カメ男「……迫力と、太もも」
男「なるほど」
女「ふ、ふともも……?」
男「よし、そこはカメ男の案で行こう」
女「えっ!?」
男「だが、カメラには積極的に動いてもらわねばならん」
カメ男「……自信がない」
男「お前の手持ちを俺は買ってる。その上での絵コンテだ」
128 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:17:31.74 ID:9VIczggR0
カメ男「……手持ち、か」
カメ男「……三脚で撮れそうなのもある」
カメ男「……三脚で撮れるなら、それにこしたことはない」
男「よし、お前が三脚で撮った方がいいと思うカットがあるなら、リストアップしてみてくれ」
男「だが、手持ちじゃなければならないカットもある」
カメ男「……分かった」
カメ男「……だが、手持ちはあくまで最終手段」
カメ男「……乱用するなど、おこがましい」
男「そうか」
男「だが……」
カメ男「俺はお前の」
男「……なんだ?」
女「…?」
カメ男「……なんでもない。リストアップをする」
129 :ちぢれ@出先のマック:2010/02/03(水) 21:24:09.06 ID:9VIczggR0
女「すいません、手持ちって、何のことですか」
男「その名の通り、カメラを手でもって撮影する事だ」
女「ほんとにそのままですね。覚えやすいです」
男「カメラは基本的に、三脚の上に据えるものだからな」
男「手持ちってのは、実は例外なんだ」
女「そうなんですか?私はカメラって手で持つものだと思ってました…」
女「小学校の頃に運動会でお父さんがハンディカムで撮ってくれたのは、三脚なんか使ってませんでしたよ」
男「典型的な素人だな」
女「……そうなんですか」
男「素人の手持ちほど、撮った画を見ていて気持ち悪いものはないんだ」
男「……手持ちが綺麗に撮れる。それだけで才能だし、技術なんだ」
女「そんなに難しいんですか…」
男「難しい」
男「……すごく、難しいんだ」
130 :ちぢれ:2010/02/03(水) 21:25:58.91 ID:9VIczggR0
マックから出ます
遅筆でごめんなさい
131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 21:39:53.64 ID:nGdXLf14P
はやくしろかす
132 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 22:00:02.67 ID:YRbLnOSL0
支援
133 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 22:51:17.17 ID:EKm/ppc40
しえん
134 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 23:17:33.92 ID:2QSSq7Oy0
ほ
135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/03(水) 23:48:22.30 ID:0FOE3CeG0
ほ
136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 00:25:50.77 ID:M5H9rqRV0
し
137 :ちぢれ:2010/02/04(木) 00:28:38.76 ID:9mdFgXE30
男「そうか、ここも手持ちは駄目か」
カメ男「……駄目ではない」
カメ男「……だが、俺程度の奴が多用してはいけない」
カメ男「……使うべきところを厳選するべきだ」
男「わかった。カメ男の言うとおりにする」
カメ男「……」
男「俺はカお前を信じている」
男「確かに、俺は一つのカットに目を囚われて、全体を見通せていなかった」
男「カメ男が正しいだろうな」
カメ男「正解なんてない」
男「その通りだ。…だが、俺の表現思想を正確に表現する必要がある」
男「正解は、あるんだ」
138 :ちぢれ:2010/02/04(木) 00:41:45.41 ID:9mdFgXE30
男「よし、修正はこれくらいでいいだろう」
カメ男「……あとは現場に行ってみなければ」
男「そうだな、今夜にでもロケ地を覗きに行くか?」
カメ男「……行く」
男「わかった。では俺はこの絵コンテをオト屋に渡してくる」
カメ男「……分かった」
女「……」
カメ男「……」
女「(二人っきりになってしまった…)」
女「(きまずい…。なんだか前からこの人だけは苦手なんだよね…)」
カメ男「……ふぅ」
女「(なんだか、落ち込んでる…?)」
139 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:10:23.60 ID:9mdFgXE30
女「あの、何か問題でもあったんですか…?」
カメ男「……ん?」
女「あ、いえっ、その……、カメ男さんの言うとおりにの絵コンテになりましたし」
女「他になにか問題でもあるのでしょうかと思いまして」
カメ男「……問題」
カメ男「おおありだ」
女「そう、なんですか?」
カメ男「……俺に、実力が無いのが大問題だ」
女「えっ……」
140 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:24:47.77 ID:9mdFgXE30
女「実力が無いって…どうしてそう思うんですか?」
女「私から見たら、カメ男さんはカメラに関してすごく熟知しているように思えます」
女「…それに、情熱も人一倍あるように感じました」
カメ男「俺には尊敬する人がいる」
カメ男「……その人には、まだまだ遠く及ばない」
女「そんな」
女「尊敬するぐらいの方なんですから、それくらい当然じゃないですか」
女「…カメ男さんは、その方みたいになりたいんですか?」
カメ男「さしあたっての目標はそうだ」
カメ男「……だが」
カメ男「今までの様に好きなものを好きなように撮っていたのでは、あの人との距離は縮まらない……」
女「わたしには、カメラのことも、その方がどれだけすごいかも分からないですが」
女「カメ男さんのそのひたむきさって、素敵だと思います」
141 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 01:26:01.19 ID:3w46pjUCP
やっときたか
142 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:33:26.24 ID:9mdFgXE30
カメ男「ひたむき、か……」
女「はい。…違いましたか?」
カメ男「いや……」
カメ男「俺は、女の子が大好きだ」
女「……ふぇっ!?なんですか突然にっ」
カメ男「だから、女の子を可愛く、綺麗に撮りたい」
カメ男「顔だけじゃない。限られた部位だけじゃない。女の子のすばらしさは無限にある」
女「は、はぁ」
カメ男「……カメラはいい」
カメ男「人の目では見えないものを見せてくれる」
女「カメ男さん…」
143 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:42:00.23 ID:9mdFgXE30
カメ男「精一杯、撮る」
カメ男「キミを」
女「……わたし、を?…あ、そっか。私、主演なんだった」
カメ男「気付いたよ」
カメ男「キミを精一杯撮ることに、今はひたむきになる事にする」
女「はいっ!」
女「…か、かわいく、撮ってくださいね。出来るだけ!」
女「本物が残念なぶんだけ……へへっ」
カメ男「……カメラのチカラにも限界がある」
女「うぐっ、…ちょっと傷つきましたよ」
カメ男「……冗談さ。ちょっと監督のところにいってくる」
女「…はい。がんばってください」
カメ男「……あぁ。ありがとう」
144 :ちぢれ:2010/02/04(木) 01:56:56.78 ID:9mdFgXE30
男「…そうか、そことそこは、手持ちにするか」
カメ男「やる価値はある。…いや、やらせてくれ」
男「わかった。信じよう」
オト屋「あぁ~あ、録音部の俺にとったら手持ちなんてやりにくくてしょうがねぇ」
男「お前も信頼してるからな」
オト屋「信頼なんて便利な言葉で済まそうったってそうはいくかい。いいよいいよ、音は後回しで」
オト屋「俺がケツを拭けば済む問題なら、それでいいよ。そういうことにしてやるよ」
オト屋「迷惑きわまりない信頼ってやつに応えなきゃならんしな」
男「助かる」
セイ作「…では、そろそろスケジュールの作成に移れますか?」
男「大丈夫だ」
145 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:09:05.94 ID:9mdFgXE30
男「スケジュールが決まった」
女「はいっ」
男「これが、明日から撮影終了までのスケジュール」
男「…それと、これが絵コンテの決定稿だ。今日の夜に脚本と照らし合わせて隅から隅まで目を通せ」
女「ぶ厚い…ですね。絵コンテって」
男「約120カットあるからな。1Pあたり4カットだから、30枚はある」
女「大変そうです…、でも、がんばります」
男「そうだ。頑張れ」
女「…あのぉ、一つ、質問良いですか」
男「なんだ」
女「えっと、私のあがり症の件についてなんですが」
男「なんだ、まだ治ってないのか」
女「そんな簡単に治りませんっ!!」」
146 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/02/04(木) 02:10:14.85 ID:txRGYEGo0
∧ ∧ 食料の支援ですよ 一人一個まで
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( ∪ ∪ ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、 ,.-、
と__)__) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■) (,,■)
梅干 高菜 おかか こんぶ ごはんですよ わさび漬け 焼たらこ
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鶏飯 明太子 ちりめんじゃこ ゆかり 柴漬 塩辛 牛肉しぐれ
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鮭 鶏ごぼう 野沢菜 天むす ツナマヨ エビマヨ 鮭マヨ 具なし
147 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:19:33.70 ID:9mdFgXE30
女「いつの間にか、ゴールデンウィークに撮影することになってしまいましたけど」
女「…いいんですか?」
男「何がだ」
女「私のあがり症ですよ!」
女「時間をかけてもいいって、言ってくれたじゃないですか」
男「あぁ、時間かけて治すと良い」
女「で、でもっ、治りきらないで撮影に臨んでいいんですか?」
男「いいも悪いも、そうするしかなかろう」
男「…今回キミの演技がダメだったのなら、また時間を置いて撮影に臨むだけの話だ」
男「それまで待つ。それがダメだったとき、さらにその次の機会まで待つ」
女「…そんな」
男「結局は場慣れだ」
男「逃げていたのでは、お前は何時までたっても、そのあがり症とやらは治らんだろう」
148 :ちぢれ:2010/02/04(木) 02:27:23.08 ID:9mdFgXE30
男「いいか」
男「お前はもう逃げれないんだ」
男「向き合うしか方法は無い」
女「向き合う……」
男「明日から、リハーサルだ」
男「アクションシーンが多い。ダン裕と一緒にいちから演技をつけていく」
男「……お前はもう、主演女優なんだ」
女「実感が、ありません」
女「……でも、やれることはやります」
女「私、この脚本が好きですから」
男「そうかい」
男「期待しないで、明日を待ってるよ」
女「あむむ……。で、でも頑張りますからね!」
女「私、頑張りますからっ!!すっごく頑張りますからっ!!!」