昨年末、建物がほぼ出来ちゃっているにも関わらず、
に建築確認が取り消された文京区のマンションの審査請求を申し立てた側の代理人、
日置雅晴先生に一連の顛末について伺う勉強会があった。
報道ではけっこう唐突に取り消されちゃったみたいな書き方が多く、
それじゃあ、怖くて建てられないじゃないか、
法治国家なんだから決まったことに異議申し立てるなよみたいな声も聞いた。
だが、ちゃんと顛末を聞いてみると、そりゃあ、住民側も怒るわ、という話だった。

というのも、この土地のトラブルが始まったのは
そもそも10年以上前のこととか。
ご存じのように文京区は坂、しかも、急坂が少なくない。
問題になった土地もそんな傾斜地にあり、しかも前面道路が細い。
大きな建物を建てようとするなら道路を拡幅するしかないわけだが、
その順番を巡って最初の係争が起こり、その後、開発事業者が変わってからも
事業者は区を介しての住民の要望をすべて聞く耳持たず状態で押し通してきた。
今回、建築確認取り消しとなった瑕疵も実は当初計画から瑕疵だったそうで、
にも関わらず、関係者は必要な書類を3年以上に渡って提出しようとせず、
知らん顔で工事を進めてきた。
ご存じのように建物の建設を巡る紛争では建物が建ってしまうと、
訴えてももうしょうがないでしょということで、強制的に終了になる。
ということは、知らん顔してのらりくらりとかしているうちに建物が建ってっしまえば
逃げ切れるというワケで、それを狙ったんでしょうねえ、この事業者さんは。
だが、残念ながら逃げきれず、最後の最後で逆転してしまったわけだが、
本当はそれ以前に話し合いに応じていれば、
こんなところまでの大損を蒙ることはなかったはず。
もちろん、計画を多少変更するなどする必要は生じただろうが、
ほとんど出来上がった建物が使えなくなり、購入者には返金しなきゃいけない、
そこまでの事態には陥らなかっただろうと思う。
しかも、ここで指摘された瑕疵は入居者にとって危険なモノだった。
地下にある駐車場から地上に出るには車路を使うしかなく、しかも手すりがないのだ。
その状況で何かあった場合には駐車場にいる人の避難に不都合が生じる可能性があるのだ。
まずいでしょ、それはなのである。

文京区の例以外の事例についても、建築確認の問題などにつき、
いろいろな意見が出たのだが、
個人的な意見を言わせていただくと、
建築確認が出ているからと言って、それが正しいとは限らない、
それを認識することが大事じゃないかと思う。
というのは、建築確認は確認という言葉から分かるように、
書類としてちゃんとしていれば、それでOKなのである。
裁量権のない、覊束行為というヤツなのである。
しかも、最近は民間の検査機関が作業をしたりする。
すごく矛盾していると思うが、検査機関はお金をもらう相手のことを検査する。
厳しく検査するとお金をもらえなくなっちゃうこともあるわけで、
あるいは、通してくれないんだったら緩いところに頼んじゃうということもあるわけで、
実際、そういうケースも多々あることは知っている人は知っている。
つまり、本当はダメなんだけれど、なんたらの沙汰も金次第という例もある。
それが絶対だと信用しちゃダメなんだよということなのである。

それに建築確認には一軒の建物しか見ていないという限界がある。
たとえば、広島の過日の土砂災害のことを思い出して欲しい。
あれはちゃんとした手続きを経て建てられていたはず。
だが、建物だけを見れば、その土地だけを見れば、別に問題がなかったとしても、
そのエリアの地形全体で見ればすごく問題があったわけで、
それが大きな被害に繋がった。
建築確認はある一軒だけの書類を見て、それだけから判断するが、
地形に関する問題でいえば、その一軒だけが良くても
地域全体としてはやばいということは多々ありうる。土地は繋がっているのだ。

だが、困ったことに建築確認が下りているはイコール正しいとされてしまう。
少し前にある弁護士さんが自分の抱えている案件について話をされていたのだが、
争いの対象となっている擁壁は多少知識のある人間が見れば、
作っちゃダメなものであること、危険なものであることが容易に分かる代物。
だが、どうやって通したかは分からないが、事業者は建築確認が下りているのだから正しいと言い張り、
裁判所も建築確認が下りているんだから、それにいちゃもんをつけてもね~
みたいな言い方なのだという。
建築確認が絶対だとすると、
危ない擁壁でも確認が下りていれば是とされてしまうわけで、
それでは建築確認の本来の意味を無視した結果になる。おかしいよね~と思う。

とまあ、いろいろ矛盾があると思うが、
それらがすぐに解消、是正されることはほぼないと思うので、
大事なことは買う側、借りる側がやばいものに気づく、知識を付けることだと思う。
前述の擁壁に関して言えば、そもそも、それを見た時点で
これはやばいわと気づく知識があれば、
購入後に家が傾く、訴訟沙汰になるなんて体験はしなくて済んだ。
これから買う、借りる人はホントにこれ、大丈夫かどうか、
それを見抜く力をもって、安全に買ったり、借りたりしなきゃね、である。