東京法律事務所blog

弁護士の岸です。
事務所の憲法委員会で購入したペンライトが届きました♥️ 
これまで、私物を借りたりして国会前行動に参加していましたが、所員が気軽に参加できるよう、みんなで話し合って買いました。 
事務所は、坂を登ってすぐに国会に行けます。憲法守れの声をこれからも楽しんで国会に届けたいです。皆さんも一緒に参加しませんか?
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 弁護士の中川勝之です。

 中野区しいの木法律事務所萩尾健太弁護士(主任)、横浜合同法律事務所田井勝弁護士と共に学校法人桐蔭学園を相手方とする裁判と不当労働行為救済命令申立事件を受任しておりましたが、今般、和解・解決となりました。
 和解に至る経緯及び和解の内容について、和解条項記載の共同声明文をもってご報告し、あわせて、これまでのご支援、ご協力に感謝申し上げます。 

 

 【共同声明文】

 

1 本件和解に至る経緯

本件は、2019年10月末に、被控訴人の財政再建策が提案され、それに対する団体交渉を2020年3月まで行ってきたが、労使合意に至らぬまま、財政再建策が決定され、それに基づき、2020年12月以降、賞与削滅と入試手当の廃止がなされた。

控訴人組合は、財政再建策提案後、神奈川県労働委員会に不誠実交渉及び支配介入の不当労働行為救済を申し立て、神奈川県労働委員会は申立ての一部について救済命代を発した。双方が中央労働委員会に再審査を申し立て、中央労働委員会審査は2024年4月に結審したが命令は発出されていなかった。

2021年、上記の賞与削滅と入試手当の廃止に対して、専任敦員45名、非常勤講師1名、労働組合が原告となって未払い賞与分と入試手当、損害賠償を請求したが、2024年12月、一審判決は、控訴人らの請求を棄却したため、専任教員36名、非常勤講師1名、労働組合が控訴した。

一審では、賞与算定基準と入試手当の支給が労使慣行として法的効カがあると認められたものの、これらの削滅や廃止の必要性が認められた。しかし、控訴審では、労使慣行の廃止と労働条件の不利益変更については、就業規則の変更手続きが必要か否かが争われてきた。

 

2 和解の内容

① 双方合意の上で2026年2月10日、裁判上の和解が成立し、中央労働委員会でも裁判上の和解を認める形で和解したこと。

② そのもとで、解決されたこと。

③ 被控訴人は、現状よりも賞与算定基準を引き下げないよう最大限経営努力をすること。

④ 被控訴人と控訴人組合の間で、入試手当および賞与算定基準の回復については団体交渉で議論していくこと。

⑤ 今後、仮に労働条件の不利益変更がなされる場合は、被控訴人と控訴人組合で事前の団体交渉が必要とされたこと。

⑥ 今後も労使ともに、健全な職場づくりを目指すとともに、より良い学園の発展に向けて努力するとされたこと。

以 上

 

 弁護士の伊久間勇星(写真右から二番目)です。
 元SE(システムエンジニア)の原告3名がかつて所属していたSES企業の代表取締役の宮田亜美氏及び内海章紀氏に対して経歴詐称等の強要・プログラミングスクール詐欺・賃金の天引きについて損害賠償請求した訴訟において、本年2月6日、最高裁判所が被告らの上告を棄却し、上告受理申立てを不受理とする決定を獲得いたしました。4年超にわたった訴訟もこれで元エンジニア側の全面勝訴判決が確定しました。
 本事件は中川勝之弁護士、今泉義竜弁護士、江夏大樹弁護士と私が担当しました。

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1 本件の概要
 被告の宮田亜美氏及び内海章紀氏はTech Love株式会社・株式会社フロンティア・株式会社サクセスというSES会社を運営していました。
 SESというのは、取引先のオフィスに自社従業員のシステムエンジニアを派遣して(常駐)、技術的なサービスを提供する形態の契約のことです。
 SESと派遣は、指揮命令権が派遣とは異なりSES会社(雇用会社)にあるという点が異なりますが、実質的には取引先に指揮命令を一任し、単に派遣法の規制を免れるために形式上SESとしている会社も数多く存在しています。
 本件で問題となったTech Love株式会社・株式会社フロンティア・株式会社サクセスも、従業員らは労働契約締結後は全て客先(取引先)の指示に従って業務を行っていたため偽装準委任契約に該当していました。
 今回原告となった3名は、いずれも20代~30代の若年層で、上記会社の「未経験からSEになれる!」「未経験でも給料が30万円以上!」との求人広告を見て応募したところ、採用面接の場において会社の運営するプログラミングスクールを受講するよう促され、プログラミング未経験であった原告らはプログラミング言語を習得するために48万円~60万円のスクール代を支払いました。
 しかし、実施されたスクールの内容は、経歴詐称(プログラミングの経験が豊富かのように履歴書の年齢・経歴を粉飾する)の方法を教え込む、会社の人材を取引先に売り込む営業の電話かけをさせる、営業の面談を行わせるなど、システムエンジニアにプログラミングの能力を身に着けさせる内容ではなく、いわば被告らの取引先への詐欺行為に加担させ、現場に送り込むまで働かせる内容となっていました。会社からはこの間の賃金は一切支払われませんでした。
 そして、原告らは全くプログラミングの能力を身に着けられないまま、被告らの指示の下で実際にシステム開発の現場に送り込まれ就労しましたが、被告らに経歴詐称させられたうえで就労したため、当然現場で求められる知識、技術、経験も水準が高く、仕事ができないことについて他の現場のスタッフから叱責を受けるなどし、派遣元企業からのフォローも一切なく、大きな精神的苦痛を被り、短期間で退職に追い込まれました。
 さらに、原告らは退職後、被告らが賃金から厚生年金や保険料を控除していたにもかかわらず、これらの加入手続きを取っていなかったことも判明しました。
 原告らは、首都圏青年ユニオンに加入し、何度も交渉や団体交渉での解決を試みましたが、被告らは一切対応しなかったためやむを得ず提訴することになりました。
 なお、今回の原告は3名ですが、実際の被告らの上記求人詐欺の被害者は1000人以上います。被告らの詐欺グループはある会社に悪評が立つと、新たなSES詐欺会社(株式会社miifuz、株式会社H &Future等、詳しくはこちらをご参照ください。)を立ち上げては同様の求人詐欺を行うということを繰り返してきたためにこれだけ多くの被害者がいました。
 被告らは被害者がスクール代金の返還を求めると、「既にスクール代金返還を求める訴訟で弊社の勝訴判決が出ている」「もし訴訟を起こしたら反訴して弁護士費用も請求するから必ず費用倒れになる」「不当な要求を行う者は刑事告訴をして既に処罰されている」等の虚偽の事実に基づく脅迫を行っていました、多くの被害者が泣き寝入りせざるを得なかった中で立ち上がったのが今回の原告の3名です。

2 第一審判決の内容
 第一審判決の争点は、①被告らによるプログラミングスクールの勧誘・締結が詐欺にあたるか②被告らの経歴詐称の指示等の違法な業務命令権の行使による不法行為の成否③損害額の3つでした。
 第一審判決の詳細な内容についてはこちらの記事をご参照ください。
 簡潔にまとめると、第一審判決は、①未経験者を経験者と偽らせた上で取引先に派遣する行為は詐欺行為であり、②その詐欺行為を実現するために手段かつ詐欺行為そのものである「スクール」も詐欺行為に当たり、③自社の従業員に対して経歴詐称を指示した業務命令は違法なものであると判示しました。
 その結果、第一審判決では、①スクール代金全額②被告らの「スクール」を受講していた期間の逸失利益③被告らが天引きした賃金全額④慰謝料⑤弁護士費用が損害として認められ、3名の原告について計約516万円の賠償が認められました。

3 控訴審判決
 一審被告側が賠償を命じた第一審判決を不服として控訴し、これに応じてこちら側も賠償額の増額を求めて控訴いたしました。
 控訴審判決の詳細な内容についてはこちらの記事をご参照ください。
 控訴審判決は、経歴詐称の指示命令や経歴詐称を教授するスクールの勧誘を不法行為であることを認定すると共に、退職後相当期間の逸失利益も損害に当たることを認めて、第一審判決から大幅に賠償額を増額し、被告らに対して計768万円超の賠償が命じられました。

4 最高裁決定
 一審被告側が再度この判決を不服として上告・上告受理申立てを行いました。
 一審被告側は、上告理由として、①宮田亜美は株式会社フロンティアやサクセスでの不法行為については責任を負わないこと②社会保険料等の天引き相当額の損害は経営者が負うべきものではない旨主張しましたが、上告事由にあたらないものとして棄却されました。
 また、一審被告側は、上告受理申立理由として、①早期離職が転職活動において不利に判断されるという経験則は無い、仮にあるとしても被告らの不法行為を理由とする離職なのであれば会社都合なので再就職に不利になることは無い②経歴詐称行為を知っていたとしても経済的な困窮から給与の高さを優先する状況があるので、経歴詐称を指示したとしても不法行為は成立しない旨を主張しましたが、上告受理理由には該当しないものとして不受理となりました。
 
5 最後に
 被告らの反社会的SES詐欺グループは、この訴訟以降もかかる詐欺行為・詐欺求人を続けており、既に首都圏青年ユニオンが確認出来ているだけで被害者は600人以上に上っています。このような詐欺SESの存在自体が適正に運営されているSESにまで悪影響を及ぼしています。
 本訴訟では、SES詐欺グループのトップ2名(詐欺グループリーダーの内海章紀氏、幹部の宮田亜美氏)に賠償請求対象を絞ったものの、このほかにも、株式会社miifuzの代表取締役の牧慎太郎や株式会社H&Future代表取締役の田村一生氏、株式会社Infibilitis代表取締役の鶴見光一朗氏など本件詐欺グループメンバーが未だに上記詐欺行為・詐欺求人を継続しているため順次法的措置を進めている状況です(これらの反社会的詐欺グループメンバーに対してはいずれも関連訴訟で全面勝訴しています。)。
 本件の背景として、求人サイトがこのようなSES詐欺企業の求人広告を安易に掲載してしまうという問題があるため、各求人サイト運営会社に、本判決と共にSES詐欺グループの所属会社および所属メンバー全員の名前を通知して今後かかる企業の求人広告を一切掲載しないように申入れも行います。
 なお、被告らの詐欺グループの会社の1社が本訴訟の原告の方の内の一人に対して1億2500万円を請求するスラップ訴訟を起こしたり、元従業員に対して3000万円を請求するスラップ訴訟を起こしたりするなど卑劣な嫌がらせをしていましたがいずれの訴訟においても詐欺グループ側が全面敗訴しています(詳しくは、こちらの記事こちらの記事をご覧ください。)。
 原告の方は本件の記者会見において「今後同じような被害者を出したくないからこの4年戦い続けました」と語りました。私も本件の担当弁護士として反社会的SES詐欺グループ壊滅に向けて今後も全力を尽くす所存です。

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