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弁護士の菅俊治です。
本日のNHKの報道をみて驚きました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170217/k10010880111000.html 


1 電通の行う広告業務は、労基法改正案の裁量労働制の拡大対象業務か否か?


今日(2月17日)、衆院予算委員会で、民進党の長妻昭議員が、電通の行う広告業務は、労基法改正案の裁量労働制の拡大対象業務か否か、質問しました。


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NHKによると、塩崎厚生労働大臣は、
「広告会社が他者の商品開発をコンサルティングするような業務は対象にはならない。また個別の広告の制作や広告枠の営業業務は当然対象にはならない」
と答弁したそうです。

でも、これってまちがいですよね。

NHKは疑問も呈さず報道したようだけれど、どうかしてるんじゃないでしょうか。



2 改正案の条文をもう一度よんでみます
改正案は、2つの業務を付け加えようとしています。
新旧対照表の38条の4のあたりです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/189-44.pdf

1つめ。

「事業の運営に関する事項について繰り返し、企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用し、当該事項の実施を管理するとともにその実施状況の評価を行う業務」

要するに、事業運営に関してPDCAをまわすしごとです。
これは、「名ばかり管理監督者」の脱法を合法化するための改正です。
 

2つめ。
「法人である顧客の事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析を行い、かつ、これらの成果を活用した商品の販売又は役務の提供に係る当該顧客との契約の締結の勧誘又は締結を行う業務」
要するに、法人相手のソリューション業務です。
これは、「名ばかり事業場外みなし」の脱法を合法化するための改正です。
 

3 電通の仕事って?個別の広告制作じゃないでしょ

電通のしごとって単なる「商品開発のコンサル」でもないし、単なる「個別の広告の制作や広告枠の営業業務」でもないですよね。
法人相手のソリューション業務ですよね。
電通の方、いかがですか?

電通のウェブサイトをみましたけど、

「電通グループでは、経営・事業・マーケティングなどクライアントが抱えるさまざまな課題に応えるソリューション・パートナーのポジションにふさわしい、多様なサービスを提供しています。その領域は、社会、環境、生活者の変化に伴ない、ソーシャル課題へのソリューションにも広がっています。」

と書いてあります。
http://www.dentsu.co.jp/business/

電通って、
・マーケティング、デジタルマーケティング
・クリエーティブ、プロモーション 
・メディア 
・データ・ソリューション 
・コンテンツ 
などの総合企業でしょ。

電通の第9営業局は、政府・自民党がメインクライアントとさえいわれていますよね。
まさか、個別の広告だけを依頼しているわけではありますまい。
(ICJ岩上安身氏 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/304006
 

4 模範解答
ということで、質問に対する模範解答は、

「はい。まさに電通のような対法人ソリューション業務を対象にしております。」
「よって、裁量労働の対象拡大は危険なので、改正案はいったん白紙に戻して再検討します。」 

となるはずです。
(違うというなら、いったい誰を対象にした改正なんでしょう?) 

弁護士 菅俊治