弁護士の今泉義竜です。
10月26日、三菱UFJモルガンスタンレー証券・パタハラ事件で仮処分を申し立てました(江夏大樹弁護士と共同受任)。
※パタハラ(パタニティ・ハラスメント/paternity harassment):男性の育休取得の妨害や育休取得を理由とした不利益扱いのこと。

各社が記事を配信してくれました。

三菱モルガンの外国人幹部、休職扱いめぐり申し立て-東京地裁(ブルームバーグ)
育休で「パタハラ」 三菱UFJモルガン社員が仮処分申請 (日経新聞)
仮処分申請「理由なく休職命令」イクメンが無効申し立て(毎日新聞)
「パタハラ」で仕事干され、うつ病、休職命令…証券会社勤務の男性、仮処分申し立て(弁護士ドットコム)
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(写真は弁護士ドットコムより)

当事者のグレンさんは早期の復職実現を求めています。
ちなみに、会社社長は本年5月24日にイクボス宣言をしているようです。
【イクボス宣言】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の長岡社長がイクボス宣言
本件を速やかに解決する英断を期待しています。

以下に、プレスリリースをした際の事案の説明を転記します。


―事案の概要―

①雇用契約の締結

申立人:グレン・ウッド氏(Glen Wood)

相手方:三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

 グレンは相手方との間で雇用契約を締結し、2012年9月1日から就業を開始。ゴールドマンサックスやメルリンチ証券での就業経験を持つグレンと、海外顧客への営業・販売体制を構築したい会社の思惑が一致し、グレンは『外資系機関投資家向けの日本株関連商品のセールスチームの体制構築、及びその統括』業務を担当することになった。

 グレンを迎え入れて以降、海外セールスチームの売上は軌道に乗り、2016年時には2012年時と比較し、2倍以上の売上が計上されるなど、会社には大きな収益がもたらされると共に、海外セールスチームは安定軌道に乗った。

②育児休業取得の制限

 2015年秋にグレンのパートナーが海外で子どもを出産することとなった。グレンは育児休業を取得する旨の申請をしたものの、DNA鑑定が求められるなどして許可手続が停滞し、なかなか認められなかった。結局、育休取得ができないまま、2015年10月に息子が出生した(早産で未成熟児であった)。グレンは会社から育休許可がでないままやむなく息子のもとへ駆けつけた。結局、育休許可が出たのは2015年12月25日であり、それまでは欠勤扱いとされた。

③育児休業から復帰後の仕事外し→体調の悪化

 グレンは事情によりパートナーと結婚はせず、息子を日本に連れて帰りシングルファーザーとして2016年3月から仕事に復帰した。グレンは、24時間態勢で息子の面倒を見てくれる外国籍の看護師を雇い、母親の代わりをしてもらった。しかし、復帰直後より、上司はグレンに少人数のクライアントのみを担当させ、仕事を干した。従前の仕事を失ったグレンの健康状態は悪化し不眠の状態が続いた。

④復職条件として会社は基本給の半減を提案→原職復帰を求めると休職命令

 仕事外しに悩んだグレンはうつ病を発症させ、2017年1月から休職した。グレンは半年の療養後、7月に復職可能との診断書を得て会社に復職を申し出たところ、会社は体調が十分ではないとして年俸を半減させる別業務での復職を提案した。グレンが原職への復帰を求め続けたところ、会社は2017年10月18日付でグレンに休職命令を発し、現在に至っている。

―申立人の主張―

①休職命令はパタニティ・ハラスメントの一環である

 グレンは海外セールスチームの統括業務を遂行し、成果を出することに生き甲斐を感じていた。しかし、会社は、育休取得を妨害し、育児休業から復帰したグレンの仕事を干し、やりがいを奪いうつ病を発症させた上、療養期間経過後に主治医、産業医が復職可能と判断しているにもかかわらず復職を認めないという対応を取った。
 この一連の会社の対応は、育児休業取得を理由とする不利益取扱いすなわちパタニティ・ハラスメントである(育児介護休業法10条違反)。

②仮処分により速やかに救済されるべき

 グレンはシングルファーザーであり、息子の面倒を見るため、外国籍の看護師を雇っており、息子は実の母親のように慕っている。しかし、グレンが休職したままであると、本年末に更新期限を迎える看護師のビザは更新許可がされないというのが入国管理局の取り扱いであり、その結果息子は事実上の母親を失ってしまう。仮処分手続きにより迅速に解決させる必要がある。

以上