弁護士の中川勝之です。

 

 今年度末に職員の大量雇い止めが予想されると問題になっている東北大学ですが、今月11日、仙台労働基準監督署において、労働基準法違反で告発がなされました。

 告発人は、首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長、大野英士副委員長及び佐々木弾組合員(東京大学教職員組合の委員長でもあります)です。

被告発人は、国立大学法人東北大学、同大学総長(学長)の里見進氏、同大学理事の植木俊哉氏、花輪公雄氏、伊藤貞嘉氏、大槻達也氏、佃良彦氏、原信義氏及び矢島敬雅氏です。

 告発事実は、2015(平成27)年から2017(平成29)年までの合計4回の職員就業規則の改正に際して(大槻達也氏及び矢島敬雅氏は最後の1回だけ)、適法に選出された過半数代表者の意見を聴取せずに(実際には、TA(ティーチング・アシスタント)、RA(リサーチ・アシスタント)及び非常勤講師を除外して選挙を行い、それにより選出された者の意見しか聴取せずに)、職員就業規則を改正したというものです。

 

 昨日組合が記者会見をし、私も出席しました。この問題で記事も出ています。
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労働組合メンバーら 東北大を告発、就業規則改正は「違法」
<東北大雇い止め>非常勤講師ら大学側を告発「就業規則変更は無効」

「就業規則変更不備」東北大を告発 職員組合関係者

 

 就業規則の作成・改正に際しての意見聴取義務(労基法90条1項)、届出義務(労基法89条)及び周知義務(労基法106条)の各義務違反があった場合の就業規則の効力については、その効力の内容ともかかわり、議論があるところです。

 

 しかし、東北大学と同様に、常勤教職員だけによる過半数代表選挙を行っていた一橋大学に対しては、2013(平成25)年3月、中央労働基準監督署及び立川労働基準監督署が、過半数代表者を適法に選出し、その者から法人化以降の全ての就業規則改正に関して意見聴取を行うように等と是正勧告しています。

 

「くみあいニュース」(一橋大学教職員組合執行委員会・2013年3月29日発行)

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 東北大学も、過半数代表者を適法に選出し、その者から法人化以降の全ての就業規則改正に関して意見聴取を行うことはもちろんすべきですが、今年度末の職員の雇い止めも当然やめるべきです(告発人ら代理人は私と今泉義竜弁護士)。