1 はじめに

 弁護士の平井康太です。沖縄に行って感じてきたことの報告です。

※東京法律事務所や自由法曹団の見解を示すものではありません。

 

 自由法曹団という弁護士団体が、1月21日から1月22日にかけて、稲嶺進名護市長の名護市長選挙での再選の応援も兼ねて1泊2日で沖縄に行きました。

 東京法律事務所からは、加藤健次弁護士、小部正治弁護士と私の3人で参加しました。

 

2 常任幹事会

 初日は自由法曹団の常任幹事会ですが(私は常任幹事ではありません)、辺野古の基地建設に反対する市民の方から辺野古の基地建設の状況を伺いました。

 私がその話の内容を理解したところでは、座り込みや演説をしていた市民を囲いの中に1時間半程度にわたって機動隊が閉じ込めることがあるということでした。

  

 以前、沖縄に行った際に、高江のヘリパットの建設に反対している市民の座り込みに対して、機動隊が市民を持ち上げて道路の脇に移動させるところを見たことがありますが、市民を囲いに入れて出さない事態が存在することは知らなかったので驚きました。

 

 市民の道路への座り込みに対して、実力を用いて囲いに移動させた後、1時間半も当該囲いから移動させないという措置は、他の事情にもよりますが、過剰な措置として、比例原則に違反するなどの違法な措置となる可能性があると思われます。

 

 市民に対して過剰な対応がされないように機動隊の動きにもより警戒していく必要があると感じました。

 

3 稲嶺市長の応援

 翌日、稲嶺市長の選挙対策本部に伺うと、「必勝食堂」など手造り感が満載なものが多く、市民による草の根運動によって支えられている選挙活動であると感じました。
必勝食堂の写真

 稲嶺市長が到着すると、稲嶺市長を応援するために作成した自由法曹団の寄せ書きのほか、東京法律事務所の弁護士・事務局で作成した寄せ書きを手渡すなど、稲嶺市長への激励が行われました。写真にある青色のものが事務所で作成した寄せ書きです。
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 稲嶺市長からは、日本政府が法を遵守しないで基地建設を進めて辺野古が無法地帯になっていることや、平和への想い、今度の選挙への決意などをお話しいただき、市民の方々が稲嶺市長を応援したくなる気持ちがよく分かりました。私も微力ながら応援しています!

 

4 米軍ヘリの窓が落下した現場

 稲嶺市長の応援の後、2017年12月13日に上空を飛ぶヘリから校庭に窓が落下した普天間第二小学校の現場に自由法曹団で行ってきました。

 現在も校庭は児童たちには使用禁止となっていますが、職員の方のご協力いただいて現場を確認しました。

 

 報道によれば、落ちた窓は、米軍の大型ヘリ「CH53E」の重さ約7.7キロ・約90センチ四方の金属製の枠がついた窓です(2017年12月14日・毎日新聞、https://mainichi.jp/articles/20171214/k00/00e/040/270000cなど。)。

 

 実際に落下した現場を見たところ、窓が落ちた場所は、校庭の中央付近であって(写真中の奥の赤色のカラーコーンが置いてある場所です)、校庭にいた児童・教師に当たってもおかしくない場所であると感じました。上空から上記重さの窓が直撃した場合には、児童や教師の生命・身体が侵害される蓋然性が高いと考えられます。

窓が落ちた場所の写真

 

 このような危険な事態が起きたにもかかわらず、2018年1月18日、普天間第二小学校の真上を米軍ヘリ3機が飛んでいたことを防衛相沖縄防衛局が監視カメラなどで確認したという事態あり、防衛相から学校上空を飛行しないように申し入れがされたという報道がされています(1月19日YOMIURI ONLINE、

http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/news/20180119-OYS1T50013.html )。

 

 しかし、あくまで申し入れであって、米軍が申し入れを受けなかった場合には、児童を含めた市民の生命・身体を守ることへの実効性は担保されません。アメリカに対して、児童・教員の安全を本気で守ろうという姿勢とは感じられませんでした。

 

5 沖縄で感じた権力行使の在り方と憲法

 タイトルにもありますが、沖縄では、権力行使の在り方を感じることができました。

 具体的には、上記のとおり、国が、辺野古基地建設に反対する市民を必要以上に機動隊で対処するという権力を行使し、他方で、危険な米軍ヘリを止めるために権力を行使しないというように、現在の国家権力が市民を守るために行使されていない事態が存在するということです。

 

 このような沖縄での事態は、権力が国の都合で行使されることがあることを私に教えてくれました。

 

 沖縄で起きている権力行使の在り方が、今後、日本の他の地域で起きないとは私には言い切れません。しかし、国家権力という強大な力の前で頼れるものがあります。それは憲法です。

 

 憲法第13条は、個人の尊重を定めています。国家権力を制限して個人を守ってくれるのが憲法です。また、憲法第99条に定めがあるように、国務大臣や国会議員などの公務員とは異なり、国民には憲法尊重擁護義務はありません。それは、主権者である国民によって制定された憲法が、国民の権利・自由を守るために国家権力にブレーキをかけるルールだからです。

 

 最近、憲法改正について報道がされていますが、改正案が国家権力から個人を守ることができるものか慎重に見極めようと思っています。特に、戦争は国家の都合で国民を犠牲にするという国家権力の濫用の最たるものであると感じていますので、改正案で戦争にブレーキをかけることができるのかには最大限の注意を払います。

 

 将来、想像もしてないような人が権力者となったときに、国家権力が自由に行使されてしまう余地を生まないかという観点からも、今後の憲法改正の動向を皆様にも注視していただければ幸いです。

 

6 おわりに

 最後になりますが、今度の名護市長選挙で、稲嶺市長が再選を果たし、名護市長として市民のために権力を用いていただくことを願っております。