弁護士の青龍美和子です。

国の根幹である国会、首相官邸、各省庁は、「森友問題」などで前代未聞の大騒ぎですね。
私たち東京法律事務所の有志も、昨日3月14日、安倍政権退陣を求める緊急ホワイトデー宣伝を実施しました。
20180314 四ツ谷街宣(今泉)
四ッ谷駅頭を歩いて行く方々、みなさん怒っておられましたよ!

国がそんな大混乱に陥っている最中、実は、東京都でものすごく危険な条例案が通されようとしています。
東京都迷惑防止条例の「改正案」です。
正式名称は、「公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例」だそうです。
・・・ピンと来ませんよね。
どのように改定されようとしているのでしょうか?

自由法曹団東京支部が意見書を出しているので、見てみましょう。
http://www.jlaf-tokyo.jp/shibu_katsudo/seimei/2018/180312.html

まず、条例案を都議会に提案したのは、警視庁です。
警視庁は、この条例改正案の概要をホームページに掲載していました。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/meibou_comment.files/meibou_an.pdf
この元のページを見ると、昨年11月に意見募集(パブコメ)もしていたんですね。

この警視庁概要によると、現在条例で規制している行為に加えて、
「みだりにうろつくこと」
「監視していると告げること」
「電子メール(SNS含む)を送信すること」
「名誉を害する事項を告げること」
「性的羞恥心を害する事項を告げること」
が、新たに規制の対象となり、そして、違反した場合の罰則も重くなるそうです。

「みだりにうろつくこと」って・・・何でもありな気がしません?
私も、道に迷ってうろつくことが多々ありますが(笑)、こういうのも「みだりにうろつくこと」になるのでしょうか。

同じような行為は、ストーカー規制法でも規制されています。
でも、ストーカー規制法は、「特定の者に対する恋愛感情その他好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」と、「恋愛」感情に限定されています。

しかし、迷惑防止条例の改正案のほうは、「正当な理由なく、専ら、特定の者に対するねたみ、恨みその他の悪意の感情を充足する目的」という、あいまいで、とても広い解釈が可能になっています。しかも、「感情」という内心で違法かどうかを判断されるのです。
また、「正当な理由」があるかどうか、という判断は、現場の警察官にゆだねられています。
警察が、「正当な範囲を逸脱した」と判断すれば、市民運動や、住民運動、労働運動への規制が当然に認められることになります。表現の自由や、労働組合の団体行動権などの憲法で保障された権利であっても、警察の恣意的な判断で、逮捕されてしまうおそれがあるのです。

たとえば、「名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」については、市民が国会前や路上で、首相や大臣、国会議員の批判をしたり、労働組合が紛争の相手方になっている会社の前で会社の批判をしたり、チラシをまいたり、消費者が企業に対して不買運動をしたり、地域で住民がマンション建設反対の運動をしたり・・・これまえ当たり前にできた行動が、すべて当てはまる可能性があります。
しかも、どのような方法をとるかという制限もないので、FacebookやTwitter、インスタグラムなどのSNSで、同様の発信を繰り返しおこなえば、「名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと」に当たる可能性があるのです。

えー!!(゜◇゜)
昨日、私は四ッ谷駅前で、さんざん安倍首相とその夫人の昭恵さんを批判するスピーチをしてきちゃいましたよ。こういうことが迷惑防止条例違反になってしまうんですか!!
警察に捕まるかと思うと、もうこんな行動しないほうがいいのかな、とか思っちゃいますよね。萎縮効果が絶大です。

そんな迷惑防止条例の「改正案」、明らかに憲法違反です。
ただし、成立したらすぐに誰かがこの条例違反で逮捕されるということはないと思います。
だけど、もし憲法9条が改定されて、自衛隊が書き込まれて、日本が海外で戦争するようになって、国民がその戦争に協力しなければならなくなった時、「戦争反対!」「〇〇首相はヤメロ!!」などと駅頭で叫んだら、どうなるでしょうか・・・。

都議会では、3月19日にこの条例改正案が委員会で審議され、22日に採決、本会議では3月末に採決の予定だそうです。
知ってました?全然報道されてないのではないですか!?
国会混乱のどさくさに紛れて、こんな危険な条例案が、首都東京で今にも通されようとしているんですよ。

自由法曹団東京支部は、国民救援会、東京地評とともに、本日、東京都や都議会の各会派に条例改正案の廃案を求めました。この短期間に、条例改正案の危険性を詳細に記した意見書を2本も出しています。
20180315 東京都迷惑防止条例 記者会見2
20180315 東京都迷惑防止条例 記者会見
(当事務所の小部正治弁護士は、自由法曹団東京支部の支部長なのです。)

スケジュールはタイトですが、まだまだこの条例案の危険性が知られていません。
ぜひぜひ、SNS等で拡散してください!

そして、もしこの条例案を危険だと実感されたら、下記要請書を担当委員会の委員宛にFAXしてください!!よろしくお願いしますm(__)m
↓↓↓

迷惑防止条例案 要請書
迷惑防止条例案 要請書 要請先

【続報】

3月19日の警察・消防委員会の審議の様子を、傍聴した方々から以下のとおり聞きました。

この短期間に、条例改正案に反対する団体要請が105団体からあったとのこと。

そのおかげで、もともと共産党以外質問予定ではなかったところ、急遽全会派が警視庁に質問しました。
傍聴席はいつもの倍の人数が集まって、満杯だったそうです。

 

■ 自民党、公明党は、「『一部の人』が懸念をしている」 と言って、問題を矮小化するような内容。
  それでも、改正後の条例が、市民運動・労働運動・社会運動には決して適用しないとの確答を引き出してくれたようです。

 

■ 都民ファーストは、どうも何が問題かわかっていないようで、他会派からも「もう終わり?」と唖然とされていたとのこと。

 

■ 民進は、罪刑法定主義(刑罰を加える時は、対象となる犯罪を明確にしなければならない等の原則)の観点から、曖昧な法文はしっかりと運用する必要がある、確認的な質問を。
  さらに、もともと条例にある濫用防止規定を守るように、と確認したそうです。
  具体的には、「散歩などが条例違反にあたらないように適切な配慮を」「
濫用防止規定を守るように」などと質問していたようです。

 
■ 共産は、まず要請FAXの束や署名用紙の束をみせて、集計数を示し、「一部の人」の懸念ではないことを明らかに。 条例改正の必要性があるのかないのか質問したところ、警視庁は「統計も何もありません」と何回も答弁したそうです。前の条例改正の時(2003年)の警視庁の答弁を引用して、当時と同様の認識で、市民運動・労働運動・社会運動には決して適用しないとの確答を得ていたとのこと。


条例案を提案した警視庁をかなり追い詰めているのではないでしょうか!?

ただし、予定通り22日に委員会採決が行われるということですので、要請書をどんどんFAXしてください!

要請書のデータと、FAX送信先は、下記にリンクを貼りますので、じゃんじゃんダウンロードして使ってください!!

迷惑防止条例「改正」に反対する要請書等(PDF)

迷惑防止条例「改正」に反対する要請書(団体用)

迷惑防止条例「改正」に反対する要請書(個人用)

東京都迷惑防止条例「改正」に反対する FAX 要請先