弁護士の中川勝之です。

 

 大田区(区長松原忠義)が「会計年度任用職員制度」への移行による組合員の労働条件の変更等について申し入れた団体交渉に応じないこと等について、東京公務公共一般労働組合が東京都労働委員会に対して救済命令を申し立てた事件(都労委平成31年不第32号)の第1回調査が6月26日に行われました。

 

 組合は、申立後の6月7日に改めて団体交渉を申し入れましたが、同月11日、大田区は団体交渉を拒否し、答弁書(指定代理人山田智、阿部孝敬、成田愛莉、須川孝芳、津本卓也、熊本修、河野雄二、村上理都子、山崎政幸)においても、組合は団体交渉をする権限を有していない等と主張しています。

 

 大田区議会の令和元年第3回定例会(9月中旬招集予定)において、会計年度任用職員の条例(案)が提出され、可決・成立が予定されていますが、組合としては、早期に大田区と誠実な交渉が尽くされなければ、団体交渉権(憲法28条)が侵害され、その後の団体交渉が無意味となりかねないことから、下記の勧告を求める「審査の実効確保の措置勧告申立書」を提出しました。

① 被申立人は、直ちに2020年度に導入される被申立人における会計年度任用職員(同職員としての申立人組合員も含む)の雇用・労働条件について、申立人との間で誠実な交渉を尽くすこと。

② 被申立人は、①の誠実な交渉が尽くされるまで、同職員制度導入に伴う条例(案)の議案を大田区議会に提出しないこと。

 

第1回調査では、組合の大田支部長が意見陳述として、非常勤保育士の労働実態、組合による団体交渉の意義等を熱く語りました。第2回調査期日は、7月31日(水)午後1時30分からです。皆様からのご支援を宜しくお願いします。

 

 私は、公立保育園で夕方4:30から7:30までの遅番・延長番を担当する3時間非常勤です。子どもたちが一番疲れも出、お迎えはまだかなあ、と不安と悲しい想いが交錯する時間帯を少ない人数の職員で怪我や事故のないよう、また、ゆったり過ごせるよう、愛情と神経を使って、子どもたちから目が離せない緊張が走る保育を担当しています。

現在、15年目を迎えています。また、私はダブルワークをしています。15年前、区報で非常勤保育士の募集を知り、日中の仕事をしていても、夕方の3時間なら私にもできると思い、応募し、現在に到っています。

当初大田区は5年働いたら仕事は無くなり、1年空けなければ再度応募できない仕組みでした。いわゆる5年雇い止めです。4年目を迎える頃からとても大きな不安を感じ始め、同じ想いの保育士たちが集まり、正規組合保育支部の多大な援助のもとに2009年2月に組合を結成しました。

度重なる団交の結果、1年空けなくても応募できるようになり、その不安は消え、どんなにうれしかったか知れません。しかし、その中でも落とされていた人がいたことがわかり、「5年間報酬を払い、大田の子どもたちのために頑張って来た大田の財産を切り捨てないで」と訴え続け、2012年11月に「5年満期の者が応募した際には、勤務実績等が一定程度認められたものと判断し、総合判定において勤務実績等を考慮する」旨の回答を勝ち取ることができました。事実上の5年雇い止めの突破です。ずーっと働ける正規に比べれば、5年に1回は見直されるという問題が消えた訳ではなく「なぜ?同じ保育士なのに?」「安心して働き続けたい!」という想いが常に根底にはあります。働く者にとって、安定雇用がどんなに重要かをわかっていただきたいと切に思います。

私たちにあった権利はたった一つ、有給休暇だけでした。仕事内容もいつしか「保育補助」から「専門的な知識、内容、責任」を要求されるものに変わり、特に7時間45分の非常勤の仕事内容は正規とほとんど変わらないものとなってきました。

何年働いても「ボーナス、昇給、経験加算もない」。これだけでも大きな差別ですが、団交を重ね改善してきた権利、休暇や要求実現したものは数々あります。中でも夏休み3日や病気休暇の有給化はうれしいものでした。そして長年訴え続けた結果、2017、2018年と8年ぶりに報酬が引き上げられました。

組合を作り、私たちは労働者に与えられた当然の権利や法律を学びました。そして、大田の子どもたちのためによりよい保育をするためには、私たち保育士にも安定した雇用と労働条件が必須だということを身をもって知ることができました。個人では無理だったことでも、組合を通し、労使交渉として訴えることで要求実現できるのだということを知り、組合の大切さを実感しています。ことさら弱い者はつぶされてしまいがちな社会において、働く者の立場に立って頑張る組合の一員として誇りを持っています。ますます学習し、人間らしく生きられるよう、大田の保育士として働いて来てよかったと思えるよう、当局の皆さんと心を割って交渉を重ねて行きたいと思っていました。

ところが、こと「会計年度任用問題」になったら、今までの態度が一変し、「現在、会計年度任用職員は存在しないのだから、団交には応じられない」との津本課長の話にびっくりし、耳をうたがいました。「え?なぜ?制度は変わっても、これからも頑張って働き続けて行こうとしている私たちの問題なのに」と怒りがわきました。

頭からシャットアウトする当局の態度は絶対おかしいと思います。

新制度は、中身を知れば知るほど、矛盾が出てきます。

私事ですが、新制度には3時間という働き方がありません。ダブルワークをしている私には、前の仕事を辞めるしかありません。また、私は今年5年満期です。1年~4年勤続の人たちは特別でスライドできるようですが、5年満期の者は改めて公募による応募をしなければならないとのことで、とても不安です。長く働いてきた者がふるいにかけられるなんて変です。働きたい人は全員働き続けられるようにして頂きたいと思います。

都労委のみなさん、どうぞ、私たちに団交の場を与えて頂き、区の大切な人材としての私たちの労働条件を交渉させて下さるよう、当局にはたらきかけて下さい。来年度からも大田区の保育士として誇りを持って大田の子どもたちのために働き続けたいと思っている多くの仲間の思いを代弁して、一日も早く救済されるように区にはたらきかけて下さい。是非とも力をお貸し下さいますよう、心からお願い申し上げます。