弁護士の今泉です。

ダイヤモンド・プリンセス等のクルーズ商品を販売する
株式会社カーニバル・ジャパンを整理解雇された労働者3名の代理人として、
2020年8月7日、会社に対して解雇無効と賃金の支払い、
社長に対して違法解雇を行ったことについての慰謝料(民法709条、会社法429条1項)を求め東京地裁に提訴し記者会見しました。
井上幸夫弁護士、加部歩人弁護士と担当しています。

各社に報道いただきました。

従業員の地位確認求め提訴 集団感染のクルーズ船会社-産経新聞

争点は、整理解雇の4要件を満たす解雇かどうかです。

整理解雇を行うにあたっては、①人員削減の必要性②解雇回避努力③人員選定の合理性④手続きの相当性の4つの要件を満たすことが必要であるというのが日本における確立した裁判例です(東洋酸素事件・東京高判昭54.10.29労判330号、あさひ保育園事件・最一小判昭58.10.27労判42763頁など)。
私たちは、本件について、以下のとおり4要件を欠くと主張しています。

 

1 人員削減の必要性がない
・2020年4月に堀川社長は「最悪年末まで運航停止しても問題ない施策を打った」旨述べていた。
・2020年4月末には原告らを含む従業員に対して2%程度の昇給をしている。
・雇用調整助成金の利用により人件費負担なく雇用を維持することができた。
・退職勧奨の対象となった24名のうち7割にあたる17名が6月15日時点で退職に応じており、人員削減の目標が概ね達成できていた。
2 解雇回避努力が尽くされていない
・雇用調整助成金や持続化給付金を一切申請していない。
(※同業他社および取引先旅行会社のほとんどは雇用調整助成金を活用し雇用維持している)
・希望退職募集をしていない。
・役員報酬のカットも、従業員を解雇した後の7月から実施(しかも20%のみ)。
・東京オフィスはDAIWA銀座ビル6階のワンフロア(約740㎡)を賃借したままで余っているスペースを返していない。
3 人員選定の合理性がない
・解雇の人選基準について会社が述べる「勤務成績」の具体的内容は不明。資料もなし。
・原告らは7年以上勤務する熟練労働者だが、2019年12月に1名、2020年2月に2名、2020年4月に1名採用された従業員については人選の対象から除外されている。
・ほかに育休中の2名を退職勧奨=解雇の対象としている。
4 手続きの相当性がない
・2020年5月15日の時点では「何も決まっていない」というアナウンスをしていながら、6月4日に一人あたり15分の面談のみで退職合意書へのサインを6月8日まで(のちに6月15日までに延期)に判断するよう迫り、断った者を6月30日付で解雇した。
・団体交渉において会社側代理人は「4要件とか4要素がないとダメと思ってない」「裁判所なんて知ったこっちゃない」と発言。雇用調整助成金について「焼け石に水」「国民の税金をね、そんな無駄なところに使うべきじゃない」と暴言を吐くなど不誠実な対応に終始した。

 

このような乱暴な整理解雇は、歯を食いしばって会社のために取り組んできた労働者に対する仕打ちとして決して許されるものではありません。
とりわけ新型コロナ禍における特例で拡充された雇用調整助成金について、
申請すらせずに安易に解雇したことは経営者として極めて無責任だと考えます。
連合ユニオン東京の湯淺さんとともに、3人の職場復帰を目指して全力を尽くしていきます。

 スクリーンショット 2020-08-08 03.43.00
(写真は会社ウェブサイト
https://www.princesscruises.jp/why/awards/より引用)