東京法律事務所blog

2016年08月

障がい者自立支援施設の職員2名(勤続5年目と10年目)が労働組合の分会を立ち上げたとたんに相次いで解雇・雇止めを受けた事件で、8月9日に東京地裁民事第11部(湯川克彦裁判官)は職員2名の地位を確認する労働者側勝訴判決を出しました。

 
白梅写真

事実経過の概要は次のとおりです。

 

20149月  全労連・全国一般東京地本一般合同労組白梅分会結成。公然化申し入れ。

       法人は暴力的組合と描き、法人の監事をしていた弁護士に団交の応対を含め労働問題に関する事項を一任。

2014117

       法人が、副分会長であった原告Nに対し、不法に残業代(所定外労働に対する賃金の趣旨)を得る目的で母親の介護の必要があるなどと不実を述べて所定労働時間を短縮した更新契約を締結させたとして雇用契約取消通知。

20141216

       原告Nが雇用契約取消通知に対して地位確認等を求める労働審判申立。

20141226

       法人が、分会長であった原告Mに対し、2013年11月から12月にかけて法人理事長に対し、休職中の職員に関し、休んでいる理由を説明するよう求めるとともに、法人の都合で休ませているのだから賃金は支払うべきである旨強く申し向けて賃金の支払いを強要し、このストレスで理事長が健康を害し退任を余儀なくされたとして期間途中での解雇通知。

201519

       組合は両原告の雇用について団交を求めていたが、法人側が「デッドロック」と称して協議を拒んだことから団交拒否の不当労働行為救済申し立て。

2015113

       原告Mが地位確認等請求訴訟提起。

2015213

       法人が、前年12月の解雇通知と同じ理由で、同年3月末での原告Mの雇止めを通知。

2015224

       原告Mの本訴第1回期日

2015225

       原告Nの労働審判(第2回期日)で、地位確認とバックペイを認める労働審判。その後、法人側からの異議申し立てはなく自然確定。

2015226

       法人が原告Nに対し、施設利用者に対する暴行があったとして同年3月末での雇止めを通知。

201534

       原告Mが賃金仮払い仮処分を申し立て。

201536

       原告Nが雇止めに対して地位確認等請求訴訟提起。

先に始まっていた原告Mの訴訟と併合。

2015624

       原告Mが申し立てた賃金仮払い仮処分手続で仮払命令が出る。法人側は異議申し立てをせず決定が確定。

201510

       法人が、組合や両原告が理事会メンバーや施設利用者の家族に宛てて事情を説明する手紙を送ったことをとらえて、これが法人に対する名誉棄損を構成するとして新たに解雇理由として追加主張。

201689

       東京地裁判決(民事第11部は係 湯川克彦裁判官)

 

 判決は、原告のMさんについては、法人が主張する出来事があったとしてもそれを問題視することなく契約更新していたこと等を指摘して雇止めに客観的に合理的理由はないとしました。
 また、原告のNさんについては、暴行があったのならば法人はその時点で行政に報告を上げているだろうが、それがないし、暴行とされる行為についても証人の供述内容からすると暴行と評するに足りないものであること等を指摘して、やはり客観的に合理的な理由はないとしました。
 さらに、法人側が新たな解雇理由だと主張してきたことについては、原則として解雇理由の追加は許されないとして排斥しました。


 本件は、ブラック化が指摘されている福祉の職場においていかに乱暴なことがおこなわれているかを世間に明らかにしたもので、裁判所はしっかり良識を示したと言えます。法人側は控訴をするようですが、原告と組合はこの判決をてこに早期解決を目指して法人側に団交を申し入れ中です。

(平井哲史)

 

8月11~12日、東京法律事務所の有志で八ヶ岳に行きました。

目指すは八ヶ岳連峰最高峰の赤岳。

美濃戸口から入り、行者小屋に寄って、赤岳展望荘に泊まりました。

 

結構な急勾配で、手を使わないと上れないところもあり、スリル満点でした。

東京法律事務所山の会代表・小部正治弁護士「こんなに急だったかなぁ~」の言葉に、「だまされた」と水口洋介弁護士。

スポーツマンの新人・岸朋弘弁護士は終始余裕の表情でした。

 

8月11日は「山の日」ということで、山小屋ではテレビ局の方々がドローンで撮影していたり、山の日記念のバッジももらいました。

喜んでポシェットに装着した私のバッジは、翌日には消えていました(弁護士バッジはなくしません!)。

夜には、某登山雑誌の元編集局の方による「山の写真の撮り方講座」なるイベントが開催されました。

山での写真の撮り方のコツを伝授された私たちは、さっそく翌日実践に。

映り込み方の違い、わかるでしょうか。

赤岳頂上、その後中岳を越えて、これまた急勾配の阿弥陀岳登頂にも挑戦しました。

 

阿弥陀岳を下りて行者小屋から美濃戸口に戻り、帰りは小淵沢温泉と豚肉料理で疲れを癒やしました。

2日間とも良い天気に恵まれ、八ヶ岳の自然を満喫した登山の旅でした。( 青龍美和子)

 

菅の写真

弁護士の菅俊治です。

【国際自動車(雇止め)事件・勝訴決定!】
タクシーの国際自動車株式会社を相手にした裁判で本日、東京地裁から勝訴決定をもらいました(東京地裁民事36部・川淵健司裁判官)。ちょっと珍しい論点を含んでいるので紹介します
(代理人は、東京法律事務所の小部正治・菅俊治・江夏大樹、江東総合法律事務所の蒲田哲二・中村優介)。

【残業代請求したら雇止め?】
事案は、残業代請求をおこなったということを理由に、タクシー乗務員を雇止めにしたというもの。ひどい話です(国際自動車グループの残業代計算の仕方もひどいのですが、これは最後に)。
裁判所は、「債務者は〔会社のこと〕、従業員が会社を提訴すること自体が、労働契約の重大な不更新事由の一つであると主張するが、かかる主張は、裁判を受ける権利の保障(憲法32条)及び労働基準法の趣旨を没却する独自の見解である」と断罪しました。
ふつう会社側は、本当の動機はひた隠しにするものですが、本件は思わず自白しちゃったというか、公然と宣言しちゃったんです。
裁判官も、びしっと書いてくれました(当然!)。
それにしても、国際自動車といえば、日本最大のタクシー企業グループのはず。それで、この体たらくとはいったいどうなっているのか。

【雇用継続の期待あり・雇止めは無効】
この事件の第1の特徴は、65歳定年を超えて1年契約で働いている身分の不安定な労働者を特に狙い撃ちにした点です。残業代請求をした労働者はほかにもたくさんいるのですが、特に有期雇用の人を標的にしました。
裁判所は、労働契約法19条の「雇用継続に対する合理的期待」があったと認め、雇止めには合理的な理由がないとして雇止めを無効とし、従業員に対する賃金の支払を命じました。
まあ、でもここまではよくある話。

【労働者供給契約にも労働契約法19条の適用あり】
本件の第2の特徴は、65歳定年を超えた方の雇用について、労働組合による「労働者供給」という方式がとられていた点。
「労働者供給」なんて耳慣れないですね。
「労働者を他人の指揮命令の下に労働に従事させること」をいいますが、労働者派遣と似てるものと理解すればさしあたりはOKでしょう(本当は違うのですが。正確なことをお知りになりたい方は、日本労働弁護団の『派遣労働相談マニュアル』を読んでください)。
いっぱんには労働者供給事業は、強制労働や中間搾取の温床となり、労働者の人権が侵害される危険があるため禁止されています(職業安定法44条)。例外的に、労働組合が組合員を供給する場合だけが許されています(労働者派遣法の労働者派遣は、ある意味もう一つの例外)。
本件で会社側は、労働者供給契約が会社と労働組合との間で締結されたことにより、定年を迎えた従業員について再雇用のために労働者供給の申込みをするか否かは会社側の自由裁量である。だから、労働契約法19条の適用はないと主張しました。
裁判所は、「本件供給契約の締結により、契約期間の満了した労働者に対する供給契約の申込みが債務者の自由裁量に委ねられ、その結果債務者〔会社〕と労働者との有期労働契約の更新の場面に労働契約法19条が適用されなくなるとすれば、本件供給契約は、労働者保護の観点から労働者供給事業の原則禁止を定めた職業安定法44条の趣旨に反するとともに、労働契約法19条による規制を潜脱するものとして公序良俗に反し無効というべきである」と述べ、会社側の主張を排斥しました。
ここまで明確に言ってくれて、すっきりする判示です。

【会社は雇止め方針を撤回し、復職させよ】
会社側は、今後、定年延長を迎える労働者や更新時期を迎える労働者についても、雇止めをしていくという方針をとっています。このままでは、これからも雇止めされる労働者が出てしまいます。
とてもいい裁判をもらいましたので、これを力に会社を姿勢が改まることを期待しています。
当然、雇止めされた労働者の復職も実現しなくてはなりません。

【国際自動車グループのひどい残業代計算法】
最後に、国際自動車グループの残業代計算のひどさについて。
タクシー乗務員の賃金は、(基本給+歩合給)で構成されるのが通例です。
そして、もし時間外労働をした場合は、(基本給+歩合給)に対して割増賃金を支払いなさいというのが労働基準法の定めるところです。
ところが、国際自動車グループでは、歩合給の計算式に、割増賃金部分を控除する規定をくみこむという姑息な規定を作りました。
もし、このような規定が有効だとすると、時間外労働を何時間したとしても割増賃金が増えた分と同じだけ歩合給から割増賃金相当額が控除されてしまうので、使用者の負担はいっこうに増えません。「定額で働かせ放題」というわけです。これでは割増賃金を支払わせることにより長時間労働を抑止しようという労働基準法の趣旨が果たされません。
この規定が大変悪質であるから無効である、割増賃金(相当額)の賃金を支払えとして、国際自動車グループを被告としていくつかの残業代請求の裁判がおこなわれています。
東京地裁では、労働者側勝訴(東京地裁民事11部佐々木裁判長)、使用者側勝訴(東京地裁民事19部清水響裁判長)と判断が分かれていますが、労働者勝訴の判決は東京高裁でも勝訴し、現在最高裁に係属しています(指宿昭一弁護士が代理人)。
私たちのグループが提訴している事件は、別の労働組合の組合員なのですが、いま東京地裁民事11部に係属しています。

【全面解決をめざしてがんばります】
私たちはこのような賃金制度の違法性は明らかだと思っており、このまえばっちり準備書面を書いて提出したところです。
当然勝訴判決が出るものと信じていますが、それはともかく、
既発生の割増賃金についての精算、賃金制度の改定など、労使で話し合うべきテーマがたくさんあります。
こちらも全面解決をめざさねばなりません。

しかし、今後のためにも、国際自動車グループが採用したような脱法的な割増賃金計算は違法であったことは明確にしなければならないと思います。

(文責:弁護士菅俊治)
https://www.tokyolaw.gr.jp/lawyer/suga_s.html  

2016年8月5日(日本時刻同月6日)、ブラジルのリオデジャネイロにおいてオリンピックが開催されます。

ところで、2016年オリンピックについては、日本の東京も、アメリカのシカゴ、スペインのマドリードとともに開催地として立候補していました。

しかし、東京の招致計画には様々な問題があり、自由法曹団東京支部も参加する「異議あり!2016石原オリンピック連絡会」が招致反対行動に取り組みました。

私は自由法曹団東京支部の事務局次長の一人として、開催地を決定するIOC総会が行われるデンマークのコペンハーゲンに行き、市街地中心部や総会会場前の宣伝等に取り組みました。2009年9月末から10月初旬のことです。(くわしくは、自由法曹団東京支部リンクを参照ください)

結果的には東京は2016年オリンピックの開催地としては落選し、その後、2020年オリンピックの開催地として再び立候補し、決定に至っています。

報道によれば、小池都知事は2020年オリンピックの調査チームを発足するとのことですが、それを含め、2020年オリンピックを注視していきたいと思います。

(中川勝之)

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