東京法律事務所blog

2017年09月

 職員の山本です。
 自由法曹団東京支部の企画で沖縄調査があり、法律事務所の職員である私も参加してきました。
 自由法曹団沖縄支部との交流の他、戦跡や平和祈念公園、辺野古・高江・嘉手納・普天間の地を訪ねました。
 その中で、かねてより沖縄の戦跡を訪ねたいと思っていたこともあり、今回訪問した二つのガマにふれることにします。

 一か所目は初日に訪問した糸数アブチラガマです。
 内部は真っ暗なため、頭にはヘルメット、手には懐中電灯をもち、中に入ります。
 ここは陸軍病院の分室として使われ約600名の負傷兵が運びこまれ、その後軍が撤退したときに重症患者が置き去りにされたこと、米兵の攻撃に遭いながらも負傷兵7名と住民40名余が8月22日にガマを出たこと、などが入口に書かれています。ただ、案内をしていただいた横田さんのお話はこの程度の内容ではありませんでした。かつてガマから遺骨を運びだしトラック3台分の量になったこと、いまでもガマ内部の隙間には遺骨があること、ガマ内部への攻撃で飛ばされた一斗缶が天井に張り付いていること、異臭のために米軍も進入してこなかったこと、など。そして極めつけは、足下を指さし「ここに歯が1本残っている」という説明であり、「集団自決」の様でした。

 二か所目は全体のコースからははずれますが、調査3日目にチビチリガマを訪ねました。
 ここは、4月1日に米軍が上陸を開始した海岸の近くにあり、翌日には83名の「集団自決」が行われた場所です。「集団自決」の真相は38年後に明らかになり、約6割が18歳以下の子どもだったことが判明します。平和祈念公園でも10歳以下の子どもの犠牲が多かったという説明を聞いたばかりでした。
 事前には、中には入れないが入口まで行けるということと、直前に少年たちの器物損壊事件が起きたことを予備知識として訪ねました。ガマには千羽鶴とともに遺族会の看板が設置されていました。看板には遺族会の意向として、先祖の遺骨を踏みつけられ壊されることに耐えきれず、立ち入りを禁止にしていていることが記されています。糸数アブチラガマ訪問時には、そういうことにまでは思い至らなかったと恥じ入ります。ただ、この看板を見ただけでも、この場の破壊におよぶとは理解しがたいことです。それと同時に、入口横にある石碑の碑文にはさらに驚かされました。集団自決から38年後に遺族と住民が建立した「チビチリガマ世代を結ぶ平和の像」が、7ヵ月後に心なき者に無残に破壊されたことが記されています。追悼と不戦の気持ちともに、何とも言えない不愉快な気持ちでこの場を後にしました。
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弁護士の江夏大樹です。
高校授業料の無償化の対象外とされた朝鮮学校の元生徒らが国に賠償を求めた裁判で、先日、東京地裁は、元生徒らの訴えを退ける判決を言い渡しました。


(判決日の東京地裁前の様子)
朝鮮学校無償化2

しかし私(あくまで個人的な見解)は、この東京判決はおかしな判決であり、無償化の対象外とすることは、許されない差別であると思います。
~東京判決のおかしなところ~
この事件では、2つの観点が大事です。1つは①教育の機会均等、もう1つは②就学支援金の適正利用という点です。

① 教育の機会均等の観点

高等教育の無償化の目的は、教育の機会均等に寄与することです。
したがって、建学の精神に基づいて特色ある教育をしている場合でもその自主性を尊重するために、公立のみならず、私立、そして民族学校(インターナショナルスクール、中華学園など)も無償化の対象となっています。

② 就学支援金の適正利用

他方で、無償化のために高校へと交付した就学支援金が、教育のために使われてないような場合には、就学支援金の支給をストップせざるを得ません。

ここで重要なのが、政治的外交的的理由により無償化の対象外とすることは許されない点です。
・拉致問題を解決することと朝鮮学校を対象外とすることは繋がりません。
・民族教育を理由に無償化の対象外とすることも許されません。日本国憲法は個人の自由を尊重しています(憲法13条)。
・もちろん、北朝鮮のミサイル問題も関係ありません。子どもたちへ責任追及することはお門違いです。

さて、①教育の機会均等②就学支援金の適正利用が重要な争点となった裁判で、東京地裁は以下のとおり判示しました。


おかしなポイントその1  広汎な裁量を認めた点

「外国人学校についても就学支援金の支給対象とし、もって教育の機会均等を図ることが望ましいと考えられる一方、各種学校には様々な学校が存在」「いかなる学校の生徒等に対して就学支援金を支給すべきかは、その性質上、教育行政に通暁した文部科学大臣の専門的、技術的な判断に委ねるほかない」(判決)
しかしながら、①教育の機会均等の要請に照らせば、大臣に広汎な裁量を認めることは許されません。
特に、民族学校を支給の対象とするか否かについては、民族差別は許されないとする平等権(憲法14Ⅰ)及び教育を受ける権利(憲法26Ⅰ)の観点から、裁量を広く認ならず、これを認めることは、少数者の教育を受ける権利は、多数者(国会・内閣)によって容易に奪うことが可能となってしまうことを意味します。


おかしなポイントその2  『疑い』のみで適法とした 
「朝鮮総連と朝鮮学校との関係については・・・資産や補助金が朝鮮総連の資金に流用されている疑いを指摘する報道等が繰り返しされていたことなどを勘案すると、学校運営が法令に従った適正なものであることについて、十分な確証を得ることができ」ないから、対象外として「文部科学大臣の裁量権の範囲からの逸脱又はその濫用があるものとは認められない」(判決)
上記のとおり、判決では②適正な運用について、『疑い』『十分な確証を得ることができない』という理由で、対象外とする判断が適法とされています。
しかし、『疑い』だけで、朝鮮学校及びその生徒らを不利益に取り扱っていいのでしょうか??
憲法上の権利を単なる『疑い』で制約するこの判決はあまりにひどいと思います。
単なる疑いのみならず、むしろ②適正な運用を行わない十分な確証が認められた場合に限り、適法とすべきです。
なお、上記のように、判決において『疑い』のみで足りるとしたのは、大臣の裁量を広汎に認めたという出発点が間違っていることが原因です。


~差別は私たち皆の問題だ~
ナチスに抗した牧師の有名な一節があります。
ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった

 私は共産主義者ではなかったから

社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった

 私は社会民主主義ではなかったから

彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった

 私は労働組合員ではなかったから

そして、彼らが私を攻撃したとき

 私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった
(マルチンニーメラ-牧師)

ある人が攻撃されている時、それを他人事として見て見ぬ振りでいいのでしょうか。
今回の判決を見て、僕は見て見ぬ振りができませんでした。
それは、大学時代や研修時代に出会った数多くの朝鮮学校出身者の素敵な友達を思い出したからです。

このポスターのように「違いを認め、互いの人権を尊重し合う社会」への進展とともに、このひどい判決が覆ることを強く願います。

ヘイトスピーチ







IBMロックアウト解雇第5次訴訟、本日東京地裁で勝訴しました。

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弁護団には当事務所から水口弁護士、今泉弁護士、本田弁護士が加わっています。

組合の声明を貼り付けます。


               声 明

     日本IBMのロックアウト解雇、四度目の断罪!

 

2017年9月14日                 
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)

JMITU 日本アイビーエム支部

IBMロックアウト解雇事件弁護団

 

1 東京地裁民事第36部(吉田徹裁判長)は、本日、日本IBMのしたロックアウト解雇を無効として、原告(47歳、男性)につき地位確認及び総額約1070万円の賃金支払いを命ずる原告全面勝訴の判決を言い渡した。

2 日本IBMは、2012年7月、ロックアウト解雇を開始した。それまで日本IBMは、2008年末から執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇は一切なかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件と同様のロックアウト解雇が連発されたのである。

  2012年7月~10月にかけて11名、2013年5月~6月に15名、2014年3月に4名、2015年3月~4月に5名の組合員が解雇通告された。これ以外に非組合員も15名解雇通告されている。本件の原告は2015年4月に解雇された組合員であり、本訴訟は第5次訴訟に当たる。既に10名の組合員が地位確認訴訟を提起しており、そのうち1次・2次訴訟(原告合計5名)は昨年3月28日に東京地裁が原告全員勝訴の判決を下し、現在東京高裁で和解協議中である。3次訴訟(原告4名)は、組合員2名が原職復帰を勝ち取る等の勝利的和解が実現し、4次訴訟(原告1名)は、本年3月8日に東京地裁が原告勝訴判決を下し(日本IBMが控訴せず確定)、既に原職復帰が果たされている。本日の判決により、日本IBMのロックアウト解雇は、四度目の断罪がなされたことになる。

3 日本IBMのロックアウト解雇の特徴は、第1に、長年にわたり日本IBMに勤続してきた労働者に対し、業績不良や改善見込みがないなどという会社が主張する事実はないにもかかわらず、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実で解雇したことである。被解雇通告者に交付された解雇理由書の記載が一律に「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」なる抽象的な同一文言であったことはこのことを裏付けている。

第2に、長年勤務してきた労働者を突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様である。

第3に、2012年7月以降の被解雇通告者は50名にのぼるが、そのうち解雇当時、組合員であった者が35名であり、まさに組合員を狙い撃ちしたものであり、これはリストラに反対してきた労働組合の弱体化を狙って実施された解雇であることである。とりわけ本件ロックアウト解雇は、原告の業務変更について労使間での交渉中に行われたものであり、労働者の団結権を侵害する、悪質なものといえる。

4 東京地裁は、解雇の有効性について、原告の業績は芳しくなかったとしつつも、「指摘を受けた問題点については改善に努めようとしており、一応の改善は見られていた」、「評価も改善傾向にあった」、業務変更に関する労使交渉中の解雇であった点に関しては、「被告において何ら回答や交渉を行わないまま、その翌日に本件解雇に係る解雇予告が行われた」として、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえず、権利濫用として無効というべきである」と断じた。IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点において高く評価できるものである。

他方、本件ロックアウト解雇が不当労働行為であるとの原告の主張に対して、東京地裁は、原告が主張する事情はいずれも本件解雇が組合嫌悪の意思に基づくものであったことを推認させるには十分とはいえないとして、不当労働行為性を否定した。この点は不十分な判断である。

5 解雇訴訟については、これまで判決が言い渡された7名全員について、解雇の無効が確認されたこととなる。

  我々は、日本IBMに対し、本件5次訴訟の控訴を断念し、直ちに解雇を撤回して原告を復職させるよう強く要求するとともに、一連のロックアウト解雇訴訟、都労委での不当労働行為救済事件を始め、争議の全面解決を、強く求めるものである。

以上



弁護士の中川勝之です。

 

厚生労働省は、今月と来月に、無期転換ルールの周知や導入促進に関する要請などを行う「無期転換ルール取組促進キャンペーン」を実施するとのことです。

 

早稲田大学の非常勤講師の争議をたたかった首都圏大学非常勤講師組合が東京大学教職員組合(東職)とともに、東京大学の非正規教職員の雇用問題に取り組んでいます。

 

その問題で先月23日に両組合が記者会見をしたので立ち会ってきました。

 

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記事も出ています。

「東大が無期転換を阻害している」労組、非正規教職員8000人の雇用危機訴える

東大 パート5年雇い止め 労組 無期雇用へ転換要求


東京大学は、「東大ルール」と称して、6か月のクーリングを事実上制度化し、無期転換申込権を発生させることなく、大量の非正規教職員を雇止めにしようとしています。

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(「改正労働契約法と東京大学における有期雇用教職員の取扱いについて」より)


東職の佐々木彈委員長は、「最も団結を必要としている人に寄り添って組合員を拡大したい」と述べていました。

 

雇用の安定には労働組合の力が必要不可欠です。


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