東京法律事務所blog

2017年11月

弁護士の今泉義竜です。

11月26日の人権研究交流集会「単なる理想か?~憲法の可能性と実現力~」@大阪のシンポは280名の方が参加し満員でした。コーディネータを務めました。

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憲法学者の木村草太さん、TBS報道特集の金平茂紀さん、ND事務局長の猿田佐世さん、あすわかの太田啓子さんに、それぞれのフィールドに引き付けて憲法を語ってもらいました。

以下、印象に残った発言を挙げます(メモと記憶に基づくものですので不正確かもしれません)。
後日、なんらかの媒体で正確なレポートを出す予定です。

【木村草太さん】
・報道の自由ランキングは、制度については日本はそこまで低い評価ではない。しかし、運用の面で低い評価となっている。萎縮や忖度。メディアへの攻撃も、法制度を利用した国家権力によるものの他に、民間人による「自由な言論」による攻撃がなされている。
・自民党政権への支持の背後にある、強いものに逆らっても無駄、という意識を変えていく必要がある。
・パワハラに飲まれない、強いものに対し声を上げていいんだ、という空気を作ることが大事。それが憲法の理念・精神。
・北朝鮮から攻撃されないのにアメリカが先制攻撃をするのは明らかな国際法違反である(9条の問題ではない)のに、報道でも明確にそれを指摘するものが少ない。
・護憲派に足りないものは、金と権力と好感度。金と権力は仕方がないが、好感度を上げる工夫は色々ある。
・9条を守るとどういいことがあるのか。守ろうとしているものの魅力を伝えることが必要。
・テレビ業界で重宝されるのは、無理に応えられる人。ただそういう人が本当の専門家とは限らない。専門家も連帯して、当番弁護士のように、いつでもどこでもテレビ局に駆けつけられるようにしたらいい。
・抽象的に自衛隊を置くだけの規定だと何をやるのか意味不明。不明なものは危険。
・憲法を学校で実践的に学ぶためには、憲法を使う体験をさせること。学校内で不服があれば異議申立をさせ、公共の議論を得て、結論を得る体験。

・護憲派が圧倒的不利なので、断固反対派だけでなく、対案を出すという条件闘争派も保険としては有りかと思う。ただ実際問題として、技術的に歯止めを書き込むのは難しい。対案を出すというグループのブレーンが誰かを見極めるべき。検討してみたが、歯止めを書こうとすれば、憲法9条3項の条文が膨大になる。


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【金平茂紀さん】

・立憲政治のメルトダウン。「立法府の敗北」「三権分立の壊死」と言えるような状況。
・報道を40年やってきて、あまり憲法について考えなかったが、現在は違う。
・若者は、株式会社的な学校・その他しか経験してきていない。勝つか負けるか、効率化、儲けを出すという価値観しか知らない。民主主義的な経験が無い。
・メディアの衰退・御用化。総選挙の結果、これらの傾向がより固まった。
・憲法を空気のように感じて生きてきた。取材で海外の戦争の惨状を見ると、憲法の価値が分かる。
・メディアの劣化は著しいが、諦めないで欲しい。報道に携わる者同士の横の連帯が必要。
・批判的な内容であっても、番組を丁寧に見てくれて手紙を書いてくれると嬉しい。涙が出ることもある。1万のツイッターよりも2通の直筆の手紙に励まされる。

【猿田佐世さん】
・北朝鮮をアメリカが攻撃すれば、韓国や日本で甚大な被害がある。210万人が死亡する。
・アメリカは戦争慣れしているので、何人の犠牲が出るかは、常にシュミレーションして計算して合理性を検討している。軍事対応の選択肢があるのであれば、その被害も含めてすべて説明すべきなのに日本政府はしない。
・米海兵隊基地は、虚像の「抑止力」。辺野古に配備される2000人は世界を巡回して沖縄にほとんどいない部隊にすぎない。
・軍事力では解決しない。それは平和憲法が示してきた道。
・人を動かすには、その人にとって何が利益になるのかという観点からの戦略が必要。

【太田啓子さん】
・ルールだから守ろうとの教育が子どもたちになされる。なぜそのルールがあるのか考えること、理不尽なルールがあること、ルールは変えることが出来るという実体験を積んでほしい。
・一人ひとりが自分のできることを考えて、実行することで社会を変えていける。

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憲法の理念や精神をそれぞれの持ち場でそれぞれの言葉で伝えていく、広げていくことが必要だと改めて感じました。
そして、激情や劇場に流されるメディアの中でジャーナリストとして冷静な視点で問題提起をし続け、
はびこる「忖度」に抗い続ける金平さんのようなジャーナリストを応援していくことが重要だと思います。

明日の自由を守る若手弁護士の会も詳しいレポート記事を書いてくれていますのでぜひ読んでみてください。
(上記発言まとめは下記レポートから引用している部分もあります)
シンポジウム「単なる理想か?~憲法の可能性と実現力~」リポート①
シンポジウム「単なる理想か?~憲法の可能性と実現力~」リポート②

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(木村さんはお忙しく終了後すぐ帰られたので残念ですが記念写真は撮れませんでした)

★参考文献★

「憲法の創造力」(NHK出版新書)/木村草太
「憲法という希望」(講談社現代新書)/木村草太
「抗うニュースキャスター TV報道現場からの思考」(かもがわ出版)/金平茂紀
「自発的対米従属 知られざる『ワシントン拡声器』」(角川新書)/猿田佐世
「憲法カフェへようこそ 意外と楽しく学べるイマドキの改憲」(かもがわ出版)/明日の自由を守る若手弁護士の会
「海を渡る『慰安婦』問題、右派の『歴史戦』を問う」(岩波書店)/山口 智美ほか(太田啓子さん推薦図書)

★参考サイト★
新外交イニシアティブ(ND) (猿田佐世さんが事務局長を務める)



東京法律事務所9条の会総会・特別企画を開催します。


 ー「沖縄と核」から考える日米関係と憲法9条ー

2017年12月2日(土)14時~16時30分

 @中央大学駿河台記念館370教室(お茶の水駅徒歩3分)

 

 与党が3分の2の議席を維持。改憲勢力が8割を占め、

憲法9条改正の動きが本格的に始まろうとしています。


 本年9月10日、米軍統治下で核が配備されていた沖縄の危機を

NHKスペシャルがスクープしました。
 今回の企画では、番組を制作したNHKディレクターの今さんと、

「サンデーモーニング」などでおなじみ共同通信の太田さんをお呼びして、

沖縄の現状、日本の安全保障の在り方や北朝鮮問題、憲法9条の意義をご一緒に考えます。

 ふるってご参加ください!
 お申込みは当事務所ウェブサイトから。
 

20171202「沖縄と核から考える日米関係と憲法9条」
20171202「沖縄と核から考える日米関係と憲法9条」裏


 

弁護士の今泉です。
マイルエキスプレス株式会社不当労働行為事件で、10月30日、東京都労働委員会にて和解が成立しました。

トラックドライバーでリーダーの地位にあった神田さんは、労働条件の改善のため2015年5月に地域ユニオンであるCUあだちに加入しました。しかしその直後、会社は神田さんのリーダー職を解き、月1万円のリーダー手当の削減をしてきました。
会社はリーダー解職の理由として組織再編などを挙げ、団体交渉でもらちが明かなかったことから、CUあだちが東京都労働委員会に申立てをしたものです。

審理の結果、労働委員会が強く和解を促し、
1万円の手当を元に戻すこと、組合員であることを理由とした不利益取り扱いをしないこと、
団体交渉に誠実に応じることなどを内容とする全面的勝利和解が成立しました。

今後、ユニオンではさらなる労働条件の改善のため交渉をしていく予定とのことです。
これをきっかけに、多くの従業員がユニオンに加入することを願っています。


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