<バーバラさんシリーズ#6>
2022年12月に来日したバーバラ・マデローニさん(レイバーノーツのオーガナイザー、元マサチューセッツ教員組合委員長)の記事紹介です。
訳:菅俊治
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2020年1月13日/バーバラ・マデローニ
ストライキに打って出るためには勇気を必要とすることは、どんなに強調してもしすぎることはない。写真:デッダム教員組合
その学校の駐車場入り口のピケットラインには、初めてストライキに参加する7人の教員が立っていました。
マサチューセッツ州では公務員のストライキは違法です。しかし前夜、2年にわたる交渉が実を結ばなかったため、デッダム教員組合の300人のメンバーは、圧倒的多数決でストライキを決行しました。
今、組合員たちは大通り沿いに、高校から中学校まで並び立ち、応援のクラクションを鳴らす車が通るたびに祝福を返しています。
「緊張しています。私はこの地区で2年めの新任教師です」とある教員が言いました。
「私たちは皆、新任なのです。ストライキ投票が可決されたのは嬉しいですが、怖さも感じています」と別の教員が言います。
恐怖と爽快さと
ストライキは大変です。怖いし、疲れます。
それは経験者であっても同じです。シカゴでは昨年(2019年)秋、教員組合が11日間にわたり、7年ぶり2回目の無期限ストライキを実施しました。組合員はピケットラインを築き、集会に参加し、市民的不服従の罪で逮捕される覚悟で臨みました。
勝利から数週間後、シカゴ教職員組合の教職員立ちはまだ疲労困憊していると言っていました。
今年の初め、私はUFCW1459支部のストライカーたちとともに、ストップ&ショップという食料品店の前に立ちました。30年以上のベテラン労働者は、経営側の要求にうんざりしており、組合がついに立ち上がったことを喜んでいると話していました。若い労働者は、買い物客に慎重に声をかけ、ビラを手渡し、ストライキ期間中は店で買い物をしないように頼みました。
ベテランも新人も、ピケラインに立つのは不慣れなことでした。興奮や誇りを感じつつも、同時にどうなるのだろうと不安を感じていました。
ストライキに打って出るには勇気を必要とすることは、どんなに強調してもし過ぎではありません。給料を失ったり、職を失ったり、職場に戻れば報復を受けたりするという危険があるのですから。
昨年1月のロサンゼルスのストライキ中は、雨が止みませんでした。足はずぶ濡れ、冷気に震えながら、ロサンゼルスにも寒さがあるのかと初めて知りました。
それでも、ストライキに参加した教職員は、踊ったり、歌ったり、行進したりして、暖をとっていました。暫定合意が発表された集会に太陽が顔を出したとき、それは最高のご褒美でした。
これらのストライキはすべて勝利したといえます。全米の労働者に、自分たちの力を結集し、もっと要求し、ボスに反撃するよう鼓舞したのです。
新しい運動の波が来ようとしているのです。おそらく、数十年にわたる無気力状態を経て、あらゆる業界の労働者が、ストライキという手段を用いて、私たちのもつ力(パワー)をもういいちど活用し、勝利する準備をしようとしているのかもしれません。
確かに、労働者は互いに学び合っています。ストライキは、私たちの力(パワー)をフルに発揮すれば何が可能かについての新たな理解を可能にしています。
ベテランも新人も、ピケラインに立つのは不慣れなことだった。興奮と誇りを感じるとともに、不安と不確実性を感じていた。
ストライキに突入し、給料を失い、職を失い、職場に戻れば報復を受けるというリスクを冒す勇気を、過大評価することはできない。
昨年1月のロサンゼルスでは、雨が止みませんでした。私は、ずぶ濡れの足から冷気が伝わってくるまで、ロサンゼルスが寒いということを知りませんでした。
でも、ストライキの先生たちは、踊ったり、歌ったり、行進したりして、暖をとっていました。暫定合意が発表された集会に太陽が顔を出したとき、それは最高のご褒美だった。
これらのストライキはすべて勝利だった。全米の労働者に、自分たちの力を結集し、もっと要求し、ボスに反撃するよう鼓舞したのです。
ある種の運動が展開されているのだ。おそらく、数十年にわたる無気力状態を経て、あらゆる業界の労働者が、労働を差し控えることによって破壊する力を再び活用し、勝利する準備ができているのだろう。
確かに、労働者は互いに学び合っているし、ストライキは、私たちの力をフルに発揮すれば何が可能かについての新たな理解を開いている。
真剣に取り組む
最近、シカゴ教職員組合を招いてストライキについて対談をしたところ、一部のリスナーから全米規模のストライキについて検討するのはいつか知りたいという反応がありました。厳しい時代に大きな勝利を勝ち取ると、私たちはもっと大胆なことを考えられるようになります。
しかし、成功したストライキの話を聞いたからといって、そこに至るまでにかかった労力に十分耳を傾けているとは限りません。シカゴ教員組合とSEIUローカル73の組合員たちは、強力な市長に立ち向かうために協約行動チームと地域連携組織を立ち上げました。困難な闘いを戦い抜くために必要な支持、信頼、集団的パワーを構築するのに何年もかかりました。
全米規模のストライキをするには長期にわたる闘争が必要です。それには真剣な準備が必要です。本格的なパワーが必要です。一歩一歩、積み重ねていくものです。
1日ストライキによって力を発揮すれば、新しい人たちが闘いに参加してくれるようになります。それは素晴らしいことです。しかし、私たちは参加してもらうだけで満足しません。私たちが根本的に生まれ変わることを求めているのです。
私たちを変えるのは、興奮やひらめきの高揚感ではありません。それは、闘いが困難な状況に陥ったときであっても持続できるような、勇気、不屈の精神、献身性、揺るぎない連帯の「貯蔵庫」を自分自身の中に発見し続けることなのです。毎日、そして次の日も、またその次の日も、組織化という仕事を分かち合うことなのです。
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