東京法律事務所blog

カテゴリ: 9条の会

弁護士の青龍です。

本日、東京法律事務所9条の会は、17~18時、新宿駅南口で、辺野古新基地建設反対!沖縄県民投票を応援する街頭宣伝をおこないまいした。
NBFes(辺野古新基地建設に反対する若手有志の会)と共催です。

20190214辺野古宣伝ビラ

2月24日には、辺野古への基地建設の是非を問う沖縄県民投票がおこなわれます。
本日2月14日は、その告示日でした。
昨年9月、沖縄県民のみなさんは辺野古への基地建設に反対する県知事を選びましたが、政府はその意思をふみにじり、首相が「サンゴは移した」と事実と異なることを言ってまで、違法な基地建設を強行しています。
日本政府は、世界一危険な普天間基地の
しかし、民主主義や地方自治に反する国のやり方は絶対に許せません。
また、辺野古につくろうとしている米軍基地は、普天間基地の代替施設などではなく、日本の防衛とは関係なく、アメリカが敵対する他国に即座に出撃できる最新鋭の基地です。

「辺野古に基地はいらない!」という沖縄の声を、日本の声にしよう!!
と、いうことで、急遽、宣伝をおこなった次第です。

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カエルとパンダも参加し、アメリカ政府に対して辺野古の基地建設を中止する署名への協力を呼びかけたブライアン・メイさんが所属するクイーンの曲を流しながら、リレートークをしました。
道行く人たちの反応はあたたかく、足を止めてスクリーンに投写された映像を見てくれたり、スピーチに耳を傾けてくれました。

バレンタインデーの今日は、辺野古への基地建設の是非を問う沖縄県民投票の告示日でした。
東京にいる人たちからの沖縄への愛を感じた一日でした。

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弁護士の青龍美和子です。

2018年12月1日、東京法律事務所9条の会は総会を開きました。
特別企画として、「憲法改正の国民投票!?護憲派に必要な10のこと」をテーマに、本間龍さんとfusaeさんにお話いただきました。

本間龍(ほんまりゅう)さんは、元博報堂の広告マンでした。メディア規制の観点から国民投票法の問題点を明らかにし、積極的に発信しています。
fusae(ふさえ)さんは、大阪市の住民投票で橋下維新と対決し、勝利した経験を持つ市民です。普段はアクセサリー等の雑貨制作やカフェを営業しています。
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「憲法改正」の国民投票が来年実施されるかも…というなかで、お二人から非常に実践的なお話をうかがうことができました。以下、私なりに整理した内容を紹介します。

本間龍さん
「電通に操作される憲法改正国民投票」

いざ憲法改正の国民投票となった場合、国民投票法にのっとって投票が実施されます。
その国民投票法の特徴は次のとおりです。
国民投票法の特徴
この中でもとくに、「広告規制がほぼない」ということが、有権者の投票行動にどのような影響を及ぼすか。
広告規制がないので、いくらでも広告が打てます。
 +
広告を作っているのは広告代理店です。
広告代理店のナンバーワンは電通。シェア率4割。
圧倒的ナンバーワン企業「電通」とは?
電通はテレビのゴールデンタイムや視聴率の高い番組でのCM枠を確保する力を持っています。
また、電通は広告だけではなく、オリンピックなどの巨大イベントの企画立案から運営にいたるまで総合コーディネートしてくれます。
 +
広告を打つには巨額の資金が必要です。
たとえば、朝日新聞で一面全面広告を打つと3500万円はかかるといいます。
 +
改憲派の中心である自民党は政権与党。
経団連傘下の企業からの寄付金など、豊富な資金を持っています。
国民投票のスケジュールも自在に決められます。
改憲派は運動としての形が整っている
 +
広告収入は各メディアの経営基盤です。
広告が掲載された媒体で広告主(スポンサー)に批判的な言論を掲載すると、広告収入が減るおそれがあるので、批判しにくい構造があります。
改憲派が広告を掲載すると改憲派に批判的な言論は掲載されなくなります。
公平な報道が妨げられるのです。
 +
改憲か護憲か、すでに意見を決めている人にとっては、どんな広告やメディアの言論にも左右されません。
憲法改正国民投票における広告のターゲットは「意見を決めていない人」です。
改憲か護憲か意見を決めていない人は約4割。
この4割の意思未決定層に、広告は強い影響力を持っています。
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 ↓
そのため、電通を通じて改憲派に有利な世論が形成される、というわけです。
・改憲=新しい、若々しい、明るい未来、前進、改革…などポジティブなイメージ
・護憲=古い、高齢者ばかり、懐古的、過去、暗い…などネガティブなイメージ
というイメージ戦略もきっとやってくるでしょう。
改憲派が仕掛けるイメージ戦略

護憲派は、このままの状態ではB29に竹やりで対抗しようとするのと同じようなものです。

では、護憲派はどのように対抗すれば良いのでしょうか?
改憲派の強力なプロパガンダに対抗するためには?

諸外国では、国民投票におけるメディア規制があり、日本でも、本間さんを中心に、国民投票法の改正が必要だという動きがあります。
欧州諸国は様々なメディアを規制している
なお、当事務所の坂本雅弥弁護士は、2007年に国民投票におけるメディア規制の実態を調査しに行きました。

イタリアでは、テレビの場合、賛成派と反対派とに平等に時間を配分しなければならないという法律があるそうです。

メディアを規制するということは、表現の自由の侵害にならないか気になるところですが、イタリアの憲法研究者もメディア関係者も「必要悪」だと言っていたそうです。公平な情報提供を重視しているんですね。

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そして最後に本間さんから、護憲派に必要な5のことを挙げてもらいました。

護憲派に必要な5つのこと
ターゲットは4割の「意見を決めていない人」です。
その中には若い人もたくさんいます。
最低限、インターネット、Facebook、TwitterなどのSNSを取り込むことが必要です。
「正しいことを言えば伝わる」というわけではありません。
相手は電通です。「強い心」で勝てる相手ではありません。

fusaeさん
大阪の住民投票の経験を生かして

反原発や民族差別にたいするカウンター行動で、路上で出会った顔見知りが集まり、大阪都構想の是非を問う住民投票で反対する活動を始めました。

大阪で「憲法改正の国民投票の予行演習」として住民投票が位置づけられているという話に衝撃を受けました。

「大阪都構想」といっても実際「都」になるわけではないとか、事実と全然違う理解がされていたり知らないことばかりなのに、みんながなんとなく雰囲気で「いいことがあるんじゃないか」と騙されていきました。

大阪維新CM

https://youtu.be/_62GFiYtSk8

このようなCMが毎日何度も放映されていたんですね(ちなみに、本間さんによれば、この時、維新側の広告を担当していたのは電通ではなく国内第3位のADKという広告代理店だったそうです。)。

維新の会は、CMだけではなく、チラシも工夫していました。毎日ポストにデザインやテーマの違うチラシが投函されました。本間さんの話にあったようなイメージ戦略もありました。

住民投票後に大阪で実施されたアンケートで、住民投票にあたって「判断材料にしたこと」にはテレビ討論、テレビCM、街頭宣伝、ビラ、いろいろな項目がありましたが、テレビCMが上位に入っていませんでした。テレビCMに影響力がないという意味ではありません。無意識にテレビCMに影響されていたんです。みんな自分は自分の判断で投票したと思っているけれど、無意識に流されている。とても怖いと思いました。
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私たちができるのは路上に出ることでした。

投票日前日も都構想反対のサウンドデモをしました。

「明日は投票」「つぶせ都構想」とのコールに、大きな声でレスポンスが返ってくる。みんな「本気」でした。

チラシを配る活動をTwitterで告知したらフォローしてくれる人や、当日も集まってくれる人がたくさんいて、自分たちが主権者だという意識が盛り上がったと思います。

チラシはなるべく片手で受け取れるサイズにしました。ぐしゃぐしゃにされずに持って帰れる大きさに。書いてあるメッセージもわかりやすく、受け取った人が自分で考えられる内容にしました。ここでは事実だけを書くことが重要です。路上での訴えも自分の願望よりも事実だけを示します。受け取る側に自分で考えてもらいます。
 路上に出るのは最初はみんな初心者で、一度嫌な思いをすると行きたくなくなってしまいますが、宣伝行動が終わった後にいいことや嫌だったことをシェアすることが重要でした。「こう言ったら気持ちよくチラシを受け取ってもらった」という人がいれば、どうやって受け取ってもらえたのかを聞き、「すごいね」とほめる。参加者がみんなポジティブになれました。路上から引き上げた意見をTwitterを通してシェアしていきました。えらい学者さんや政治家が言うことよりも、町で引き出した言葉をシェアしたほうが共感してもらえました。
 めっちゃ短い動画をいっぱい作ってアップしました。それを毎日配信しました。みんな時間がないので長い動画を作っても見てもらえない。パッと見られる短い動画を作っていくのも手です。その短い動画をどうやって流行らせるか。リベラルのYoutuberが必要ですね。
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今あらためて考えると、「負けるでしょ」と言われていた住民投票に勝ったことはすごい。でも、勝てたのは自分たちの力だけじゃなくて、その前の堺市長選や沖縄県知事選でのたたかいがあったから。私たちもたたかう勇気が生まれました。
改憲の国民投票にも大阪の住民投票の経験は役立つと思います。
大阪都構想の住民投票は、「維新vs市民+維新以外の政党」という構図でしたが、「憲法改正」の国民投票では与党勢力以外の人たちが同じ気持ちでたたかえるのかが課題になってくると思います。
あのときどういう方法で運動したのか、もっと具体的な話が聞きたければ、ぜひ聞いてください。一緒に考えてできるといいいなと思います。

fusaeさんの「護憲派に必要な5つのこと」は…

護憲派に必要な5つのこと(fusae)

 真実は100万個くらいあります。みなさんの胸の中に。平和への思いや安倍政権への怒りがあるのはわかりますが、正しさを押しつけると、もともと聞く耳をもたない人は反発してしまう。それが分断につながってしまいます。

 事実を伝えて「あなたはどう思う?」と投げかけるだけでいいのです。また、普段の生活のことが政治につながっていきます。生活について質問してみるのも良いです。 相手から言葉を引き出せたらこっちのもん。相手には話を聞いてもらったという満足感が生まれるようで、「じゃああなたは何をやっているの?」と聞き返されます。

 チラシも、デザインはどうか、正しさを押しつける内容になっていないか、情報量が多すぎないか、気にします。受け取ってくれないときも、その理由を考えます。受け取らないという反応をくれた。それだけで次は受け取ってもらえるようにどうすればいいかを考えるきっかけになります。

大阪の住民投票は市民の側から提案したものではありませんでした。改憲の国民投票もそうです。NOというメッセージをどれだけポジティブにできるかが大事でした。

 熱心な人ほど、真剣になるほど、危機感をあおってしまいます。改憲派はポジティブな空気を必ず出してきます。

 国民投票になったとしても、憲法のことを本気でみんなで考えられるチャンス!だと思って、一生懸命取り組むしかないです。
◇◇◇

 本間さんのお話で、「憲法改正」の国民投票の危機感がますます高まりました。絶対に国民投票のための発議を許してはなりません!改憲は国民の要求ではないという世論を盛り上げていきたいです。本間さんも、常識的に考えて来年の参院選までに発議はありえないと言っていました。

 しかし、相手は何でもかんでも数の力で押し切ってきた安倍政権です。万が一国民投票となった場合のために、今すぐにでも対抗措置をとっておく必要があります。まだ、私たちは竹やりを鋭く研ぐくらいしかできないのですが、同時に、fusaeさんの色々な経験から、私たち個人でも今後に生かせることがたくさん紹介されました。とくに、チラシを作ったり配ったり、署名を集めたり、意見を決めていない4割の人たちに向けてメッセージを伝える視点はとても大事です。
 私たちも同じ目線で工夫してメッセージを発信していきます!


おまけ
おばさん芸人「四ッ谷姉妹」!?

サプライズゲストに「四ッ谷姉妹」が登場!衝撃のデビューを飾りました☆

オファーがあれば、駆けつけてきてくれるかもしれません。

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弁護士の今泉義竜です。

私が共同代表をつとめる東京法律事務所9条の会で特別企画を開催します。
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「憲法改正の国民投票!? 護憲派に必要な10のこと」

12月1日(土)13:30~15:30(13:10受付開始)@主婦会館プラザエフ9階「すずらん」

参加費無料です。お申込みはウェブサイトから↓

https://www.tokyolaw.gr.jp/planning/9jyou-201812/

安倍首相は、来年参議院選挙の前に通常国会にて憲法改正の発議をすることを狙っており、
参議院選挙と同時または直後の国民投票の可能性は極めて高いと予想されています。
護憲派は、国民投票が行われた場合にどのようなものになるのか、具体的にイメージした上で戦略を立てる必要があります。
国民投票において大量広告の果たす負の影響について、元博報堂の広告マンであった本間龍さんは警鐘を鳴らしています。
一方、国民投票を考える上で参考になるのが、橋下市長による大量広告宣伝の下で行われた大阪都構想の住民投票です。
結果は否決派が僅差で勝利しましたが、権力者が主導して広告代理店も加わって投票を誘導する大量宣伝のもとで、どのように市民が対抗して勝利したのか、その経験から学ぶことは多いのではないでしょうか。今回お呼びするfusaeさんは、橋下市長側からの大量宣伝とたたかった大阪市民の一人です。

お二人には、それぞれの立場から、今護憲派がすべきことを提起していただきます。
改憲を止めるために必要なことを、みなさんとともに考える企画としたいと思います。

スペシャルゲストに〇〇谷姉妹も登場との情報も!?
 
ぜひご参加ください!
 https://www.tokyolaw.gr.jp/planning/9jyou-201812/

弁護士の今泉義竜です。


ドキュメンタリ―ディレクターの田容承(ジョン・ヨンスン)さんを招いて開催した11月5日のトークライブ「アナザーストーリーズ~光州事件から学ぶ私たちの民主主義の行方~」の報告です。


 私は、「弁護人」「タクシー運転手」「1987」を観て、韓国の市民が軍事政権とたたかって民主化を勝ち取ったというストーリーに感銘を受けていたのですが、事実はもっと複雑で、そんな単純なものではないということを、NHK「アナザーストーリーズ その時、市民は軍と闘った~韓国の夜明け光州事件~」の番組と今回のジョンさんの話を聞いて感じました。


 まず、弾圧の側の前面に立っていた若者は、徴兵された若者たちで、その中には直前まで民主化運動に参加していた方もいたということです。そして、徴兵が終わってから民主化運動に再び参加したという方もいるのです。民主化運動に参加していた若者も、徴兵されれば、軍の命令で市民と対峙し、場合によっては発砲し市民を殺傷することになります。弾圧の側に関わった人も、被害を受けた人も、現在も心にトラウマやPTSDを抱えており、38年前の出来事はいまだ「過去の事実」ではありません。


そして、この「立場の相対性」ということが、韓国の人たちの思いを理解する上で重要だと感じました。今は民主政権になりましたが、いつまた変わるかわからない、という危機感が共通認識として韓国の人々の中に強くあるようです。そのことが、民主主義は発展途上であり、民主主義のために行動し続けなければならないという思いにつながり、市民運動の原動力になっているのです。


日本は南北が分断された朝鮮半島の状況に大きな歴史的責任を負っているにもかかわらず、「朝鮮半島問題」という形で他人事のように語られがちです。ジョンさんはそのことが悲しいとおっしゃっていました。私自身、もっと自分事として隣国の歴史を学ぶ必要を感じました。そして、民主主義をもとめ不断に努力する韓国市民の今の姿からも、もっと学んでいきたいと思います。


 


以下、トークライブの概要を紹介します。


 


◇導入◇


まず、ジョンさんからNHKドキュメンタリー「アナザーストーリーズ」を作るに至った経緯が紹介されました。
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きっかけは映画「タクシー運転手」であったとのこと。記者やカメラマンなど関係者に会って話を聞き調査をしたそうです。光州事件の映像は、ほとんど破棄されてしまっていますが、ARDドイツテレビの日本支局に、「タクシー運転手」でも出てきたピーター・ヒンツペ―ターの撮影した映像のうち20分の動画が残っていました。今回特別に無償での上映を許可してくれました。


 


◇当時の映像の上映◇


会場では、ジョンさんの解説を聞きながら、その20分の動画を上映しました。


映像ではまず光州の全景から始まり、次にトラック荷台に光州の若者がたくさん乗って疾走している場面になります。

 若者たちは韓国の国歌である「愛国歌」などを歌っています。光州の人たちは、情報を発信してほしかったので、メディアの登場を歓迎したそうです。当時、金南大学校の学生で、現在は5.18記念館の室長をしている人も写っています。市民がよく国歌を歌い、国旗をかかげていることが分かります。光州の人たちは、軍事政権に対峙する私たちこそが愛国者であるという思いで結束していたのです。


武器による対峙だけでなく、有識者らによる政府との交渉も行われていました。軍の要求は、市民から武器を回収し、市民が元の場所に帰ることでした。市民の中には、交渉ではなく、最後まで戦うという者がいたため、交渉は決裂しました。


遺体を探すのは大変で、未だに遺体が見つかっていない人もいます。棺桶は国旗で包まれています。亡くなった若者の父親は、祈るように「偉大な死であってほしい」とつぶやいています。


市民は、自分たちのことを暴徒とか不穏分子と言われることに怒っていました。事件の最初の頃は混乱していた時期もありましたが、その後は、市民が自ら武器を回収したり、バリケードを外したりと、非暴力的な方向に落ち着いていました。


迷彩服を着て帽子に白いものをつけている人たちは、当時アジア最強といわれた空挺部隊です。空挺部隊は北朝鮮と戦うことを目的としている部隊です。遺体を引きずって運ぶなど、ひどい扱いをしています。


 


◇Q&A◇


 映像を見た後は、青龍弁護士の質問にジョンさんが答える形でのトークライブ。Q&Aの一部を紹介します。


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Q1 光州事件の様子を当時の韓国の人は映像で見ていたのですか


A 事件の当時は、軍が発砲している様子は放送されませんでした。1980年5月21日以降、市民が反撃のために武器を持って車に乗っているところが放送され、北朝鮮から来たゲリラなどと言われていました。


 


Q2 「アナザー・ストーリーズ」で軍の側の人を登場させたのはなぜですか


 A 事件には被害者がいれば加害者もいます。加害者側の意見を聞くのは、事実を明らかにする以上当たり前のことです。軍は必ずしも加害者ではありません。韓国の民主主義を語るときに、南北の分断を無視することはできません。韓国の民主主義は、アメリカの自由民主主義であり、同時に反共主義でもありました。


番組に出てくる、光州事件に軍の側で参加した人物は、なぜ現場に行くことになったかといえば、学校での軍事訓練を拒否したからです。韓国には強制徴兵という制度があり、無理矢理現場に送られることがあったのです。ちなみに、文在寅大統領は、光州事件以前のことですが、強制徴兵で空挺部隊に配属され、エリート隊員になった過去がありました。


光州事件に関わった軍の人には、心に葛藤を持ったまま現場に行った人がたくさんいたのです。彼らは、なるべく市民にダメージを与えないよう軍で働いたといいます。他方で、軍にはベトナム戦争から帰還した兵士もおり、彼らは残酷な経験を生き抜いてきた人でした。そのような兵士が投入されたということは、光州事件でも残忍なことが行われたことを意味します。


 


Q3 取材相手の反応はどうでしたか。


 A 光州事件を軍の側で関わった人はたくさんいます。しかし、皆、たとえ放送しないとしても当時のことは話したくない、関わったことを思い出したくないといいます。また、政権がいつかわるかわかりませんので、証言をしたことが原因で、今後自分の身に何が起こるかわかりません。光州事件はまだ終わっていません。トラウマ、自殺、就職差別、家族に対する差別、思想差別などがあります。市民の中には、あのとき死ねばよかったと考えている人もいます。そのため光州には韓国で唯一のトラウマセンターがあります。


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Q4 民主化闘争で命を落とした李韓烈(イ・ハニョル)について


 A まず、私がアナザーストーリーズを作ろうと考えたのは、私が当時、イ・ハニョルさんと同じ大学2年生であったことがあります。私は、彼がなぜ殺されたのかを明らかにしたいと思いました。番組を制作するときは、日本の視聴者は、「韓国の民主化?だからなに?」という感想を持つと思いましたので、構成に悩みました。日本には自ら民主化を実現した経験がないからです。結局、イ・ハニョルさんのお母さんの視点を最後に持ってくることにしました。ろうそく革命で政権がかわっても、一人一人の心は癒やされていません。今の韓国のTVや映画界は、世界に評価されるようになっていますが、民主化運動に参加していた人たちがかつて抑圧されていた思いをぶつけ、作っているからです。


 


Q5 番組「アナザーストーリーズ」の韓国と日本での反響について


 


A 韓国では不思議がられました。なぜ、今放映されるのか、なぜ、韓国よりも進んでいる日本で、と。日本では、軍側のインタビューを聞いて驚いたという感想がありました。


 


Q6 日本でタクシー運転手、1987が人気ですが、なぜ関心が高まっていると思いますか


A 日本の政治の停滞感の中で、韓国の市民運動のダイナミズム、国際連帯を感じている人が多いからではないでしょうか。


 


◇会場発言◇


 


(1)民放労連岩崎さん


韓国では、放送局をクビになったディレクターやプロデューサーがインターネットで発信するということをしています。そこに1980年代の経験があると感じました。市民の民主主義があってジャーナリズムを支えていると思います。


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(2)白石孝さん


ソウルの市民民主主義の内容を広めています(著書「ソウルの市民民主主義~日本の政治を変えるために~」)。1980年代の経験が2000年代の反共主義、財閥に対する戦い、最近の100万人規模のキャンドル革命に続いていると思います。朴元淳ソウル市長は、世界で最も革新的な市政を行っていますがほとんど知られていません。


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(3)発言を受けてジョンさんのコメント


まず韓国の言論の事情について知りたい方は、「共犯者たち」というドキュメンタリー映画を見てください。市民たちがマスコミに対しても非常に厳しい目でその活動を見守っていることがよく分かります。


それから「反共」が第一という韓国民主主義の性格を規定してきた南北分断の問題。ではなぜ朝鮮半島が南北に分断されたか。答えはひとつではないと思いますが、日本の植民地支配が深く影響していると考えています。つまり朝鮮半島の民主化と平和の実現は日本とも深く関わっている課題であることを改めて認識する必要があるのです。

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韓国の民主化宣言から30年が経ちましたが、私は「わずか30年」であると思います。


 ろうそく革命で市民が掲げた韓国の憲法1条には、「大韓民国は、民主共和国である。大韓民国の主権は、国民に存し、すべての権力は、国民から由来する。」とあります。この主権者意識が運動の原動力です。アメリカのマイケル・ムーア監督は分かりやすくこう言っています。「国民が政府を支配しなければ、政府が国民を支配する。」
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もっといろいろなお話がありましたが、報告は以上です。
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終了後、残ってくれた参加者の皆さんと記念写真。
寄せていただいた感想文70通は、後日ジョンさんにお渡ししましたよ。

12月はジョンさんから紹介のあった映画「共犯者たち」を観に行きたいと思います。
ポレポレ東中野にて12月1日~公開です。



 弁護士の青龍美和子です。

 

来週に迫ったトークイベントに多数のご参加申込みをいただいています。

ありがとうございます!

この企画に関連して、先週発行した東京法律事務所の9条の会ニュース(会員にのみ郵送しています。)に、インタビュー記事を掲載しました。紙面の都合上、大幅にカットせざるをえず、全文を以下に記します。長文ですが、ご興味・ご関心のある方は、ぜひご覧ください。
※質問や末尾の感想は完全に私の個人的な見解です。ご批判・ご意見大歓迎です。)


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 右上に写っているのが金美珍(キムミジン)さん。平井康太弁護士とインタビューしました。

日本で社会学を研究されている金美珍さんとひょんなことから知り合い、1980年光州事件を描いた映画『タクシー運転手』と、軍事独裁政権から直接民主制を勝ち取った歴史的な年を描いた映画『1987』を一緒に観ました。韓国の市民が軍事独裁政権と果敢にたたかってきた歴史と、そこから現在の民主的な政府を誕生させ、朝鮮半島の非核化・米朝の関係改善が進んでいることに感銘を受けました。そこで、日本での改憲をやめさせるために生かせることはないか、韓国の経験に学びたいと考え、お話をうかがいました。

 

    昨年、朴槿恵(パク・クネ)大統領の不正が暴露され、多くの市民が弾劾を求めた結果、政権が倒れました。韓国の市民が立ち上がり運動を継続した原動力はどこにあるのですか?

主な原動力の一つは主人意識や権利意識にあると思います。2016年のロウソクの際、大統領の退陣を求めながら一緒に叫んだ言葉は、韓国憲法第1条でした。韓国憲法第1条第1項には「大韓民国は民主共和国である」と書かれており、第2項には「大韓民国の主権は国民にあり、すべての権力は国民から出る」という条文からはじまります。ロウソクデモでは、この憲法第1条を書いたフランカードを上げながら、参加した人々も多くて、10月末は大学入試の3週間前の時期にもかかわらず高校生も参加したり、小さい子どもロウソクを持って参加したり、しました。当初よく主張されていた内容は「国民の命令だ。直ちに下野しろ!」ということでした。これは、この国の主人は私(国民)であり、自分が権力の源であるんだ。大統領は単なる私たちの意見を代表することに過ぎなく、正常な国として、民主主義の国として運営できず、不正を犯した代表者は首にするんだ、それを見せるためにデモに出たという、考えを持って参加した人が多かったと私は思います。

 

こうした権利意識の上に、人々が「広場」という空間に直接出てきたことが重要であると思います。その背景には、国民の主張や要求がマスメディアや政治家を通じて正確に伝わらない、現れてないという不信感があったと思います。

例えば、李明博(イ・ミョンバク)政権の頃、BSEが多数発見されたアメリカ産牛肉の輸入自由化再開に対して、主にお母さんたちが立ち上がりました。しかし、この頃から、放送局の社長が政府よりだということもあり、輸入反対側の主張を報道した記者が首になったり、政府批判のニュースを報道する記者たちが地域の倉庫管理へと配置されたりするなど、マスメディアが反対運動に対して批判的でした。今明らかになっていることですが、当初は企業や政府がマスコミにこのように記事を書いてくれという、世論操作に近い行動をしていたんです。私自身、この時に韓国の政治に対して疑問を感じるようになりました。それは、何か民主主義に反するできごと、多くの国民が反対するイシューであるにもかかわらず、なぜ反対の声などが十分に出てこないか、私と同じ意見を持っている人はいないかな、ということでした。

こうした雰囲気の中で、2011年にソウル市長選挙があり、韓国の代表的な市民運動団体「参与連帯」の創設・運営にかかわった朴元淳(パク・ウォンスン)さんが市長になりました。朴市長のもとで自由に意見を言える「広場」が保障され、市民の要求が市政に反映されるようになってきました。

それまで、とくに李明博政権期からですが、マスメディアは政府の見解を垂れ流し、良心的なジャーナリストは次々とクビになったのですが、ソウル市長選の頃くらいから、そうしたジャーナリストが独立系のメディアを立ち上げ、真実を伝えるドキュメンタリーやニュースを次々と配信しました。

つまり、既存のマスメディアから国民の声が十分に反映されにくいと感じた人々が、直接自分たちの意見を見せるために「広場」に出てきた、という意味も大きいと思います。

市民の主権者意識も高まり(もともと高い)、マスメディアからの情報を鵜呑みにするのではなく、様々な情報を吟味するようになりました。

これができたのは、1987年(軍事独裁政権下で民主化運動により大統領の直接選挙を勝ち取った)当時、学生運動をしていた人たちは普通に就職できず、映画業界などの芸術関係の道に進んでいたことがあると思います。こうしたこともあって、弾圧を告発する作品や民主化運動を描いた作品などが公開されました。『弁護人』はそのうちの1つです。『タクシー運転手』も『1987』も朴槿恵政権の下で作られたんですよね。

もう一つ重要な原動力として、2014年のセウォル号沈没事故の影響も大きかったと思います。事故の原因もそうですし、適切な救助がなされなかったことによって300名以上の犠牲者、とくに大勢の高校生が大人の犠牲になったことを受けて、韓国国民の中で国は何のためにあるのかが問われることになりました。

 

    なぜ、ソウルの中心で何十万人(100万人以上ともいわれています。)もの市民が集まり、声を上げることができたのですか?

一番重要なのは、上で話したように、国民一人ひとりが持つ、権利意識、主人意識ですが、これが平和的な集まりとして行動できた背景には、韓国社会運動のレガシィがあると思いますし、これには、一人ひとりの国民が自由に平和的に参加できるように、「広場」を確保し、一人ひとりが自分の声で話せる舞台を準備していた韓国社会運動団体の役割が大きかったと思います。

運動の主体となっている団体が、一般の人たちを参加しやすくするよう工夫していました。上から目線ではなく、何が問題かを、漫画やイラストなども使ってわかりやすく説明するんです。また、参加した人たちが、具体的に何をすればいいのかを示します。舞台に立ち、スピーチする人も市民一人ひとり。年齢や肩書でスピーチ時間を変えないとか。

歌やダンスも入れて、参加して楽しいという雰囲気を作ることも大事です。

朴槿恵大統領は女性でしたから、女性であることを理由にした批判の声もありました。しかし、デモでは、性別や障害などマイノリティであることを理由にした差別的発言、ヘイトスピーチはしないよう、参加者に注意事項を配布していました。そういうこともあって、誰でも気軽に参加できるデモになったと思います。

韓国の人は、一人ひとりの権利意識や「この国の主人は私だ!」という主権者意識が強いと思います。大統領や政治家は、非正規雇用ではないですけれども、期間を決めて私たちの要求に従って仕事をするに過ぎないのです。政治家に対して、「私たちがあなたのクビを握っている」という意識があります。国に対する意識も、「私を幸せにするために国があるのであって、国のために私があるわけではない。」という意識が定着しています。

 

    日本の人たちは、国の政治を動かすのは「エライ人」で、政治はとても遠い存在だという意識が強いような気がします。なぜ、韓国では、主権者としての意識が定着しているのでしょうか?

背景には、1970年代~80年代の民主化運動の影響があると思います。

1970年に労働運動家のチョン・テイルさんが、社会への抗議として22歳の若さで焼身自殺しました。彼は実家は貧しく、学歴が低かったのですが、独学で労働法を学び、活動していました。残された手紙に「大学生の友達が一人でもいたら、自分がどうしたらいいのかわかったかもしれない」と書かれていました。

この事件をきっかけに、多くの大学生が、学生ということを秘して農村や労働現場に入っていき、農民や労働者により良い労働条件を求める権利があることなどを説いたり、一緒にたたかうという運動が起こりました。知識人、エリートが、知識のない労働者に教えてあげる、という上から目線ではなく、わかりやすい漫画、わかりやすい映画、わかりやすい小説等々で伝える活動です。そのような運動の中で、学生たちが経験した農村や労働の現場の実態などを広く知らせるという運動も同時にありました。「民衆運動」といわれています。

 

    そのような学生運動があったことや、1980年の光州事件、1980年代の独裁政権に対する民主化運動の意義について、子どもの頃から教育が徹底されているのですか?

民主主義とはどういうものか、という教育はされていると思います。日本の植民地支配から独立したこと、その後の冷戦体制のなかで、北朝鮮とは異なって民主主義的な国家をつくってきたことはしっかり教えていると思います。北朝鮮とは違う、ということを強調する意味もあります。

韓国は、1987年までは直接選挙ではありませんでした。大統領も間接選挙だったので、国民の意見が反映されない仕組みでした。1980年代に、学生をはじめ様々な社会運動によって直接選挙制を勝ち取り、1990年代に、いろいろな市民運動団体が選挙運動を通じて大きくなりました。国民が政治に無関心だと、その結果として、無能な政治家に支配されてしまうことの恐怖も身についているのではないかと思います。民主主義のシステムがうまくはたらかないときは、自分たちで変えるのだ、ということも教えられています。

また、子どもの頃から、教会の合宿や、学校の行事など、公の場で自分の意見を発表する機会も多いです。そして、議論します。

私が小学生の頃は、ちょうど1980年代、全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領の時代でした。ですから、学校で光州事件について教わったことはありませんが、民主化後の中学、高校の時にはこうした事件に関して話してくれた先生もいました。実は、小学生の頃は全斗煥大統領が好きで(これは当時のマスメディアが独裁政権の指示により大統領を称賛するニュースばかり出していたので)、デモをする人たちは北朝鮮と近い関係を持つスパイで、なぜ大統領を批判するのかわからなかったんです。しかし、その後、真相が明らかになり、自分で調べたりするようになって、1980年代の史実を知り、デモの理由がわかり納得しました。

子どもだけではなく、テレビでも1980年代に何があったかというドキュメンタリーがたくさん放映されるようになり、普通の人たちも知るようになりました。

また、日常の中での民主主義を体験することも一般的にできるようになったと思います。研究のために、市民運動団体に取材しましたが、それぞれの団体に、民主主義の大切さや主権者としての意識を育てエンパワーメントするためのプログラムがあります。みんなで議論しながら権利意識を育てています。市民運動団体は、政治家を監視するという重要な役割も持っています。こうした長年にかけて民主化運動の歴史が蓄積されてきていると思います。

 

    韓国の人たちは日本の憲法9条について、どう思っていますか?

  韓国の中で日本国憲法9条の詳細を知っている人はそれほどいないです。ただ、日本には平和憲法があって、軍隊を持たないことになっているということ、しかし最近、その憲法を変えようとする右翼的な動きが強まっていることは、知っている人は知っています。

  また、日本に対しては、韓国やアメリカと北朝鮮との関係が良くなって、北朝鮮とアメリカが朝鮮戦争の終結宣言まで出そうとしているときに、日本政府が悲観的な見方をしているのはなぜなのか、疑問に思っています。

 

    文在寅(ムン・ジェイン)政権になってから、北朝鮮との関係が劇的に変化しましたが、韓国の人たちはどのように評価していますか?

  昨年の政権発足時は支持率が70%でした。一時期50%代に落ちたことがありますが、北朝鮮との関係改善もあり、現在の約65%支持率が維持されています。支持率が大幅に落ちたことが大きく報道されましたが、それでも高い支持率だといえます。

文在寅大統領就任当初、国民は雇用や生活の改善への高い期待を持っていました。しかし、最低賃金を上げること(1年間で16%アップ)などの経済政策について、経済界が猛反発しています。最低賃金を上げたことで失業率が上がった、などのフェイクニュースに近い情報が流され、その影響で一時期支持率も下がったこともありました。

ところが、北朝鮮との関係が良くなっていくと、年齢の高い層からの平和構築への期待が高まったようで、支持率が上がっていきました。北朝鮮との交流が進めば、経済効果も期待できるので、それまで文大統領に批判的だった人たちが支持するようになってきたといえるでしょう。

そもそも、独裁政権下で民主主義を訴える人たちが弾圧されたり、現在も民主的な政治や北朝鮮との関係改善を訴える勢力への批判があったりするのは、北朝鮮が韓国の安全を脅かす存在だと認識されてきたことが大きいです。左翼的な主張をする人はみんな北朝鮮のスパイだと言われていました。韓国戦争を経験した人の中には、北朝鮮が主導した統一したら、共産主義を標榜している北朝鮮から財産も奪われるかもしれない、軍部の指示に従わないといつ殺されるかもしれない、という不安を持っていたようです。こうした経験を持つ保守派は、共産主義の北朝鮮との戦争から韓国を救ってくれたアメリカのことが大好きでした。民主主義を成し遂げ、良い暮らしをすることの前提に、安全な暮らしができることが重要です。だから、今までの保守派は、独裁政権に抵抗し民主化を求める勢力に対し、北朝鮮の脅威から国の安全を守るため民主化の要求を後回し、独裁政権の維持をある程度容認してきたと思います。韓国におけるすべての葛藤、対立、歴史的な悲劇の底には、北朝鮮を対象とした恐怖感に基づいている冷戦構造があります。

こうしたなかで、いま、文大統領はこうした南北間の緊張を緩和することを超え、葛藤や対立を生み出す冷戦構造自体をなくそうとしていることと考えられます。さらに、文大統領による北朝鮮との外交にトランプ米大統領が信頼を寄せているので、アメリカ好きの保守派も文大統領を支持するようになってきています。いまの北朝鮮との関係をさらに改善して、文大統領とトランプ大統領が任期中に不可避的な平和体制にする必要があります。

 

    文在寅政権の韓国とアメリカとの関係は、とくに在韓米軍の扱いをめぐって、今後どうなっていくと思いますか?

    世代によって考え方が違います。1950年代の朝鮮戦争を経験している世代はアメリカに守ってもらったという意識が強いです。米軍なくして韓国は存在しないという認識が強い人も多くいます。文大統領も、在韓米軍は北朝鮮との戦争が終わっても、存在し続けるべきだと言っています。

もちろん、米軍の存在がアメリカによる支配的なものではダメだという意識はあります。日本と同じように、米軍が犯罪をしたときの裁判権の問題など、韓国もアメリカのいいなりでした。

とくに、アメリカが韓国の承認なく北朝鮮との戦争を始めることができるという仕組みを何とかしたいと思っています。昨年の今頃は、いつでも米朝間で核戦争が起こってもおかしくない状況でした。その時に最も被害を受けるのは韓国です。韓国とアメリカは同盟国であるにもかかわらず、昨年は特に在韓米軍は韓国を守るのではなく、結局戦争を起こし、韓国の国民を危険にさらす存在になるかもしれないと認識もありました。

こうした経験もあるので、今後は、朝鮮半島で起こる問題については、強大国に任せることではなく、韓国人が主体的に決定できるよう、アメリカと対等な関係をつくることが必要になると思います。

 

 金美珍さんのお話を聞いて、私は、韓国と日本とでは、人々の国家に対する見方が大きく違うと思いました。国は、これを構成する人々の幸せのためにあって、国のために国民がいるのではありません。こうした意識が韓国の人々にはある。また、韓国の人たちは、自分たちの力で独裁から民主化へと政治を変えた経験もあります。

さらに、私は韓国ドラマが好きで比較的よく観ていますが、とくに時代劇では、私利私欲を肥やす官僚に左右されている王政を民の生活のために倒し、民の意見を聞いてくれる新しい王様を擁立する、そのために色々な戦略を駆使するとか、実際に変革を起こして実現するとか…つまりストーリーに社会変革、民主主義、人権が扱われていることが多いです。政治は自分たちの力で良くも悪くも変えられる、人権の尊重と民主主義が大事、ということが当たり前の文化になっているように思います。

韓国での出来事はドラマではなく身近にある現実です。韓国の市民運動に学んで、個人が尊重され、人々の意見がきちんと反映される政治を、今後ますます追求していきたいですね!!

 

【金 美珍(キム ミジン)さん経歴】

一橋大学大学院社会学研究科 博士(社会学)

一般社団法人 生活経済研究所研究員

専修大学非常勤講師(韓国や日本の労働・社会問題を研究しています。)

著書『韓国「周辺部」労働者の利害代表―女性の「独自組織」と社会連携を中心に―』

(晃洋書房、2018/2/10

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