東京法律事務所blog

カテゴリ: 不当解雇・雇止め


労働判例2018.3.15(No.1171)号に、小部正治弁護士、加藤健次弁護士、中川勝之弁護士が担当した社会保険庁職員不当解雇撤回・東京事案の判決(東京地裁平成29年6月29日判決)が掲載されました。

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この事件は、2009年12月の社会保険庁廃止に伴って分限免職処分を受けた(全国で525名)原告ら3名が処分取消等を求めて東京地裁に提訴していたところ、原告1人について処分取消の判決が出されたものです。現在、東京高裁に係属しています。

 

詳しくは、自由法曹団通信第1602号(2017年7月11日)「社保庁職員分限免職処分、東京地裁が全国初の取消判決♪」をご参照下さい。

 

弁護士の今泉義竜です。

江夏弁護士と取り組んでいる、「三菱UFJモルガン証券・パタハラ事件」で

会社が解雇予告を強行してきました。
ブルームバーグが配信しています。
“三菱モルガン、ハラスメントを訴えていた幹部に解雇予告通知”
以下、状況をご報告します。 

1 解雇予告
2018年3月9日、パタニティ・ハラスメントを受けたとして会社を相手に損害賠償等を請求する訴訟を遂行しているグレン・ウッド氏に対し、会社は2018年4月8日付で解雇する旨予告しました。解雇理由は概ね以下の4点です。


⑴メディアに対し、会社がハラスメントを行ったかのような事実に反する発言を繰り返した。
⑵上記⑴により上司の人格を傷つけ、職場秩序を損なった。
⑶機密情報である海外顧客収益一覧表を裁判所に提出した。
⑷育休復帰後上司らとコミュニケーション不全に陥った。

2 解雇予告に至るまでの経過について
会社はグレン・ウッド氏に対し、病気が治っていないことを理由に2017年10月18日付でグレン・ウッド氏に休職命令を発しており、この休職命令自体の違法性が現在進行中のパタハラ裁判の大きな争点の一つとなっています。
一方、訴訟外で、グレン・ウッド氏は昨年12月に改めて復職を要求しました。
これに対し、会社はグレン・ウッド氏に改めて産業医面談を受けるよう指示しました。
グレン・ウッド氏は12月27日に産業医面談を受け、さらに会社の指示で本年2月2日に人事面談を受けました。
結果、会社は2月9日付で「うつ病の症状が寛解していることを疑わせる事情が認められなかったことから、貴殿において休職事由は消滅していると認めますので、本日付で本件休職命令を解除します」と回答しました。

本来であれば、休職命令が解除されれば原職に復帰させるべきであるところ、会社は有給の休暇を命じた上で退職勧奨をし、グレン・ウッド氏が退職を拒否すると復職を一切させないまま上記の解雇予告を発しました。

3 不当な解雇理由
グレン・ウッド氏は、自ら経験した事実を記憶に基づいてメディアに述べており、それを事実に反すると決めつけた解雇理由に合理性はありません。ハラスメントを訴えた労働者に対し、事実が確認できないから解雇するなどということはおよそ許されません。そのようなことが許されるのであれば、労働者はハラスメントを訴えることはおよそできなくなります。
また、会社が機密資料と呼ぶものについては、グレン・ウッド氏がかかわった案件の売上実績に関するものであり、自らの会社への貢献を立証するために裁判資料として提出したものであって、自己の権利救済のために必要な行為です。
育休復帰後のコミュニケーション不全については、グレン・ウッド氏が育休復帰後にコミュニケーション能力が低下したなどという事実は一切ありません。

弁護団としては、本件解雇には何ら正当性がないと考えています。
引き続き、訴訟において事実を明らかにしていきたいと思います。ご支援よろしくお願いします。

※過去記事





弁護士の今泉義竜です。
JMITU日本アイビーエム支部が約5年にわたり闘ってきた
日本IBMロックアウト解雇1次(東京高裁第8民事部)・2次訴訟事件(東京高裁第9民事部)で、
12月26日、会社が組合員5名全員に対する解雇を撤回し、
金銭的な支払いをする内容での和解が成立しました。
組合側の勝利と評価できる内容です。

1次・2次の原告たちは、2012年7月から2013年6月にかけてロックアウト解雇された方々です。
ロックアウト解雇とは、労働者を突然呼び出して解雇通告し、直後に会社を物理的に追い出すという手法です。
東京地裁は、これらの解雇をいずれも違法・無効としましたが(東京地判平28.3.28労判1142号40頁)、
会社がこれに控訴して、控訴審にて和解協議が進められてきたのが本件です。

思えば、IBMの攻撃的な人事施策の始まりは
2008年のRAプログラム(リソース・アクション・プログラム)と呼ばれる大規模人員削減計画でした。
低評価を付けた従業員に対して執拗な退職勧奨が組織的に行われ、1300人もの労働者が退職しました。
その過程において退職強要があったとして組合員が損害賠償請求訴訟を起こし、
当時は新人であった私も弁護団に加わりました。

退職強要の裁判では、上司が労働者を追い込んでいる面談の録音なども証拠として出しましたが、
残念ながら、労働者側敗訴の司法判断が確定しました。
東京地裁の渡辺和義裁判官(当時。現東京高裁判事)の判決は証拠を曲解するひどいものでした。

司法に断罪されることなくリストラを推し進めたIBMは、2012年に米国本社から派遣された
マーティン・イエッター社長のもと、労働者の業績不良を理由としたロックアウト解雇を乱発するという、
より手荒い手段でのリストラを始めました。しかも、解雇通告はリストラに反対する労働組合の組合員に集中しました。

本件一連のロックアウト解雇は、IBMによる米国流「解雇自由」を実現するための、
日本の解雇規制法理に対する挑戦であり、リストラに抵抗する労働組合の弱体化を狙ったものだったといえるでしょう。
これに対し、今度は裁判所が日本の労働法に基づいて解雇無効という司法判断を下し、
会社がそれを受け入れる形での和解が成立するに至ったということは、重要な成果であり、
労働組合の大勝利です。

なお、3次訴訟(原告4名)では、2017年4月に東京地裁における和解で解雇撤回の上2名が職場復帰、2名が金銭解決しており、
4次訴訟(原告1名)では、2017年3月に東京地裁で解雇無効の判決が確定し5月に職場復帰しています。
最後の5次訴訟(原告1名)は、2017年9月に東京地裁が解雇無効判決を下し、現在東京高裁に係属しています。
また、東京都労働委員会では、不当労働行為事件・組合員資格否認事件が争われています。

後続の3次、4次訴訟が先に解決をしていったという経過ですが、
最初の解雇から無法なものであったことがはっきりしたという点で、
今回の1次・2次訴訟の勝利和解はまた特別な意味を持っていると思います。

引き続き、ご支援・ご注目お願いします。



 

弁護士の今泉義竜です。
医療法人T会の医師Aさんが雇止めされた事件において、
12月1日、労働審判においてT会が約1000万円の解決金をAさんに支払う内容での調停が成立しました。

◆雇止めの経過◆
Aさんは、10年以上にわたり、1年契約を毎年更新してきました。

しかし、法人は2016年に、2017年度の契約について、完全歩合制への契約変更を申し入れ、
Aさんがこれを断ると、2017年4月末日をもって雇止めする旨通知しました。


期間の定めのある雇用契約であっても、本件のように長期にわたり反復更新してきた場合には、
①客観的合理的な理由②社会通念上の相当性がなければ雇止めは違法・無効となります(労働契約法19条)。

本件では、労働条件の不利益変更への同意を拒否したことが
雇止めの理由であることはメールに残っていた経過から明らかでしたので、
合理的理由のない雇止めであることは比較的明らかな事案でした。

もっとも法人は、労働審判では、病院経営を任されていたAさんの
売上が低かったこと、レセプト(医療報酬明細書)の目標枚数を達成しなかったこと、
新規事業を開拓しなかったこと、などを雇い止めの理由として
主張してきました。

使用者が後付で雇い止め理由を追加してくるということはよくあることですが、
医師に売上目標を課すという点や、診療に日々追われる医師に「新規事業の開拓」を
求めること自体、無理筋の主張と思われました。

◆うっかりでた理事長発言◆
労働審判の審理で決定的だったのは、審判の期日に出頭した理事長の発言です。

理事長は、審判官から聞かれたこと、聞かれていないことも含め
色々と話をする中で、話の流れでついこう言いました。

「(Aさんは)医師としては極めて優秀です」

つい本音が出たものと思いますが、この発言で、
Aさんの雇止め理由に合理性がないことが
審判委員会に決定的に印象付けられたものと思います。

本件は不当な雇止めであり、許されないことですが、
平気でウソを並べ立てる経営者が世の中にはたくさんいる中で、
審判期日でAさんの医師としての能力について
ある意味正直な発言をした理事長の姿勢には、
敬意を表したいと思います。

◆口外禁止について◆
ところで、東京地裁においては、労働審判の調停成立時に
全面的な口外禁止条項を入れるという運用が横行しています。
口外禁止を当然のものとして考えている裁判官や労働審判員も多いのが残念ながら実情です。
本件でも、労働審判員が「私が経験したすべての事件で口外禁止条項を入れてきた」と
豪語して、よくわからない圧をかけてきてこちらに対し相手方の要求する全面的口外禁止を飲むように説得してきました。
結果的には、交渉の末に全面的な口外禁止は入れさせずに調停を成立させることができました。

そもそも、「口外禁止」=「口止め」というのは、事件を闇に葬ることにつながります。
私は依頼者があえて秘匿することを望まない限り、
労働紛争が解決したということについては、広く周知すべきことだと考えています。
使用者が同じような事件を二度と起こさないためには、
教訓として内部的に自省するのみならず、
情報を共有し社会的に監視する、ということが大事だと思うからです。
また、同じようなトラブルに苦しむほかの労働者にとっても、具体的解決例を知ることで
泣き寝入りから一歩踏み出すきっかけになるのではとも思っています。

IBMロックアウト解雇第5次訴訟、本日東京地裁で勝訴しました。

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弁護団には当事務所から水口弁護士、今泉弁護士、本田弁護士が加わっています。

組合の声明を貼り付けます。


               声 明

     日本IBMのロックアウト解雇、四度目の断罪!

 

2017年9月14日                 
JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)

JMITU 日本アイビーエム支部

IBMロックアウト解雇事件弁護団

 

1 東京地裁民事第36部(吉田徹裁判長)は、本日、日本IBMのしたロックアウト解雇を無効として、原告(47歳、男性)につき地位確認及び総額約1070万円の賃金支払いを命ずる原告全面勝訴の判決を言い渡した。

2 日本IBMは、2012年7月、ロックアウト解雇を開始した。それまで日本IBMは、2008年末から執拗な退職勧奨によって1300人もの労働者を退職させていたが、業績不良を理由とする解雇は一切なかった。ところが、2012年に米国本社から派遣された外国人社長が就任した直後から本件と同様のロックアウト解雇が連発されたのである。

  2012年7月~10月にかけて11名、2013年5月~6月に15名、2014年3月に4名、2015年3月~4月に5名の組合員が解雇通告された。これ以外に非組合員も15名解雇通告されている。本件の原告は2015年4月に解雇された組合員であり、本訴訟は第5次訴訟に当たる。既に10名の組合員が地位確認訴訟を提起しており、そのうち1次・2次訴訟(原告合計5名)は昨年3月28日に東京地裁が原告全員勝訴の判決を下し、現在東京高裁で和解協議中である。3次訴訟(原告4名)は、組合員2名が原職復帰を勝ち取る等の勝利的和解が実現し、4次訴訟(原告1名)は、本年3月8日に東京地裁が原告勝訴判決を下し(日本IBMが控訴せず確定)、既に原職復帰が果たされている。本日の判決により、日本IBMのロックアウト解雇は、四度目の断罪がなされたことになる。

3 日本IBMのロックアウト解雇の特徴は、第1に、長年にわたり日本IBMに勤続してきた労働者に対し、業績不良や改善見込みがないなどという会社が主張する事実はないにもかかわらず、人員削減と労働者の「新陳代謝」を図るために、業績不良という口実で解雇したことである。被解雇通告者に交付された解雇理由書の記載が一律に「業績が低い状態にあり、改善の見込みがない」なる抽象的な同一文言であったことはこのことを裏付けている。

第2に、長年勤務してきた労働者を突然呼び出して解雇を通告し、その直後に同僚に挨拶をする間も与えずに社外に追い出す(ロックアウト)という乱暴な態様である。

第3に、2012年7月以降の被解雇通告者は50名にのぼるが、そのうち解雇当時、組合員であった者が35名であり、まさに組合員を狙い撃ちしたものであり、これはリストラに反対してきた労働組合の弱体化を狙って実施された解雇であることである。とりわけ本件ロックアウト解雇は、原告の業務変更について労使間での交渉中に行われたものであり、労働者の団結権を侵害する、悪質なものといえる。

4 東京地裁は、解雇の有効性について、原告の業績は芳しくなかったとしつつも、「指摘を受けた問題点については改善に努めようとしており、一応の改善は見られていた」、「評価も改善傾向にあった」、業務変更に関する労使交渉中の解雇であった点に関しては、「被告において何ら回答や交渉を行わないまま、その翌日に本件解雇に係る解雇予告が行われた」として、「本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえず、権利濫用として無効というべきである」と断じた。IBMによる日本の解雇規制法理への攻撃を退けた点において高く評価できるものである。

他方、本件ロックアウト解雇が不当労働行為であるとの原告の主張に対して、東京地裁は、原告が主張する事情はいずれも本件解雇が組合嫌悪の意思に基づくものであったことを推認させるには十分とはいえないとして、不当労働行為性を否定した。この点は不十分な判断である。

5 解雇訴訟については、これまで判決が言い渡された7名全員について、解雇の無効が確認されたこととなる。

  我々は、日本IBMに対し、本件5次訴訟の控訴を断念し、直ちに解雇を撤回して原告を復職させるよう強く要求するとともに、一連のロックアウト解雇訴訟、都労委での不当労働行為救済事件を始め、争議の全面解決を、強く求めるものである。

以上



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