東京法律事務所blog

カテゴリ: 相続

岸朋弘です。

 

10月7日(土)、当事務所の市民講座が行われました。

市民講座は数十年前に始まった企画で、当事務所の弁護士が、市民のみなさんに是非とも知っておいてもらいたい法的知識などを伝えるものです。

 

今回は「相続をめぐる法律問題=相続が争族にならないために」というテーマで、当事務所の今野久子弁護士が講演を行いました。

今野弁護士は、長年にわたり相続事件を扱ってきたベテラン弁護士です。

私も若手弁護士として、今野弁護士の講座を受講しました。

講座の内容は、基本的な法律知識にはじまり、自分自身の相続に向けた準備のやり方、相続税の対策など、知ってすぐに役立つ内容でした。

 

会場からは、

・死んだ後に、身の回りの整理をしてもらうことは可能なのか?

・しばらく連絡をとっていない兄弟姉妹がいるが、連絡せずに遺産分割をしてしまって大丈夫か?

など様々な質問が寄せられました。

 

市民講座の後は、当事務所の約10名の弁護士による法律相談会を行いました。

私も法律相談を担当しました。

 

高齢社会ニッポン。近年相続事件は増加の一途をたどり、今後も増えていくことは間違いありません。

必ずしも相続財産が大きな額の場合だけが争いになるわけではありません。相続財産が少ない場合にも、今から対策をしておくことが大切です。

 

下記のページでは、「役立つ法律相談Q&A」を紹介しています。

https://www.tokyolaw.gr.jp/guidance/faq.html

司法書士の半田久之です。

 

2017年5月29日(月)から、全国の法務局にて、「法定相続情報証明制度」がスタートします。「相続手続が簡単に」との報道もありますが、どのような制度なのでしょうか?

 

■ かなりの分量となる戸籍謄本等

 

ご家族の方が亡くなると、不動産の名義を変える登記、銀行預金の解約払い戻しなどの各種相続手続で使用するために、亡くなった方の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本等や、相続人の方の戸籍謄本等を集めることになります。

 

しかし、戸籍は、婚姻などの身分関係の変動や本籍の移転、コンピュータ化などによって作り直されていたり、また、相続関係が複雑であったりして、かなりの分量になるということが珍しくありません。

 

■ 戸籍謄本類の提出・返却を繰り返す

 

そして、各種相続手続では、これらの戸籍謄本等の束を提出し、戸籍謄本等の原本を確認してもらった後(この時間が結構長くかかります)、これを返却して貰い、次の提出先に提出し、原本を返却してもらうという作業を繰り返していきます。

 

そうすると、たくさん不動産を持っている方や、預貯金口座が多数ある方は、全ての相続手続を完了させるまでに相当の時間を要していました。

 

なお、提出先が多数の場合、必要通数分戸籍を集めるということも考えられますが、その分、費用がかさむため、1セット分集めるという方が多いものと思います。

 

■ 法定相続情報証明制度とは?

 

2017年5月29日(月)から始まる「法定相続情報証明制度」では、これら戸籍謄本等の束と法定相続情報一覧図を法務局に提出すると、登記官が戸籍の内容を確認し、法定相続情報一覧図の写しに認証文を付してくれます(下記イメージ)。

この手続は無料で、法定相続情報一覧図の写しは必要な通数を発行してもらえます。

また、この手続は、亡くなった方に不動産がなく、銀行預金しかない場合でも利用することが可能とされています。


法定相続情報一覧図の写しイメージ



(法務省HP「~法定相続情報証明制度について~」より) 


■ 期待される効果

 

これにより、これまでの戸籍謄本等の束の提出・返却を繰り返すという作業ではなく、法務局で必要通数分の法定相続情報一覧図を取得し、提出先に一斉にこれを提出して相続手続を進めることができるようになることが期待されています。

 

したがって、「相続手続が簡単になる」というのは、今まで集めていた書類が不要になるというわけではなく、手続が同時に進められて時間短縮が見込めるとの意味です。

 

■ 金融機関や法務局以外の役所で使える?

 

もっとも、法定相続情報一覧図をもって戸籍謄本の提出に代えることができるとの法令の改正がされるのは、今のところ不動産登記の場合のみです(不動産登記規則第37条の3)。

 

そうすると、銀行等の手続において、法定相続情報一覧図をもって戸籍謄本等の束の提出に代えることができるか否かは、手続がスタートした後、銀行等がどう対応するかによります。

 

また、相続税の申告手続に際しても戸籍謄本等の提出が必要ですが、これら行政の手続においても利用できるとの法令の改正も今のところされていません。

 

これら金融機関や法務局以外の役所においても利用できるようになると、手続をする相続人はもちろん、社会全体の相続手続きのコスト低減につながる有用な制度と思います。

 

■ 法律によるべきだったのでは?

 

最後に、私がこの制度について疑問に思っていることを一点述べたいと思います。

 

それは、この制度が、法律ではなく不動産登記規則の改正によって行われますが、それで良いのかという疑問です。

 

例えば、この制度では、手続をする法務局が、亡くなった方の本籍地・最後の住所地、申出人となる相続人の住所地または亡くなった方が所有する不動産所在地を管轄する法務局のいずれかとされています(不動産登記規則第247条第1項)。

 

このように、いくつかの法務局から選択して手続が行えるようにされたのは、相続人の利便性を考えてのことと説明されています。

 

しかし、不動産登記手続においては、不動産登記法で管轄が規定されており、その不動産所在地を管轄する法務局とされています(不動産登記法第6条第1項)。

不動産登記規則である以上、不動産登記法の委任に基づく範囲でしか制定できません。それにも関わらず、なぜ法の規定から管轄を大幅に拡張することができるのか。このような規定が果たして、不動産登記法の委任に基づくと言えるのか疑問があります。

 

不動産登記手続を定めた法令に、不動産登記以外をも対象とする制度を持ち込んだが故の矛盾なのだと思います。

私は、相続人の利便性を考え、いくつかの法務局で手続が出来ることには賛成です。

したがって、私は、しかるべき法律によって、この制度が創設させるべきではなかったのかと考えています。

 

 

いずれにしても、まもなく制度がスタートします。

相続登記や法定相続情報証明制度に関する御相談は当事務所までお寄せください。

 

司法書士  半田久之
https://www.tokyolaw.gr.jp/lawyer/handa_h.html

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