東京法律事務所blog

カテゴリ: 中川勝之

 

 弁護士の中川勝之です。

 

「晴海選手村土地投げ売りを正す会」の住民訴訟で、本年10月26日の期日において、原告らは不動産鑑定評価基準に基づく「不動産鑑定評価書」を書証(甲第68号証)として提出しました。

 

 期日に先立つ本年10月2日、都庁において記者会見も行いました。

 動画http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/2312もご覧下さい。

 

 晴海選手村土地は、129億6000万円(1㎡当たり9万6800円)で東京都から特定建築者11社(三井不動産レジデンシャル、エヌ・ティ・ティ都市開発、新日鉄興和不動産、住友商事、住友不動産、大和ハウス工業、東急不動産、東京建物、野村不動産、三井不動産、三菱地所レジデンス)に譲渡されたところ、不動産鑑定評価基準に基づけば、その評価額は1611億1800万円(1㎡当たり120万3200円)とするものです。

その差額、実に1481億5800万円!

 

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 書証として提出した「不動産鑑定評価書」の評価額と実際の譲渡額の差額をまとめると次のとおりです(「単価(円/㎡)」欄及び「総額(円)」欄に上から順に、評価額、譲渡額、差額を記載、なお、「不動産鑑定評価書」には合計の「単価(円/㎡)」欄に評価額の記載はなく、私が総額と面積から計算したものです、差額も同じ)。

 

 

対象不動産

評価額

譲渡額

差 額

符合

所在・地番等

種別

面積

(㎡)

単価

(円/㎡)

総額

(円)

5-3 街区

東京都中央区晴海5丁目501 番

宅地

26,300.14

117万

307億7100万

5万6200

14億7900万

111万3800

 292億9200万

5-4 街区

東京都中央区晴海5丁目502 番

宅地

23,633.20

100万

236億3300万

7万9500

18億7900万

 92万0500

 217億5400万

5-5 街区

東京都中央区晴海5丁目503 番

宅地

37,441.27

126万

471億7600万

13万3000

  49億9400万

112万7000

 421億8200万

5-6 街区

東京都中央区晴海5丁目504 番

宅地

35,175.79

126万

443億2100万

 10万1000

  35億4300万

115万9000

 407億7800万

5-7 街区

東京都中央区晴海5丁目505 番

宅地

11,355.86 

134万

152億1700万

  9万3800

  10億6500万

124万6200

 141億5200万

 

合 計

 

133,906.26

120万3200

1611億1800万

  9万6800

 129億6000万

110万6400

1481億5800万

 

 ところで、本年10月31日、晴海選手村土地(跡地)のタウンネームが

「HARUMI FLAG」https://www.31sumai.com/mfr/X1604/

に決定された等と報じられ、分譲住宅(マンション)が買いなのか等の議論もされているようです。特定建築者11社は相当の収益を挙げるのではないでしょうか。

 

 他方で、東京オリンピック・パラリンピックの予算は当初の金額から何倍にもふくれあがって3兆円規模等と報じられており、東京都の負担も増大しています。

 

 東京都と特定建築者11社との間の敷地譲渡契約書の第2条第3項は、「第1項の規定(注:譲渡金額)にかかわらず、乙(注:特定建築者11社)が特定建築者応募時に提出した資金計画書に記載の無い新たな収入が生じる場合には、これに伴う事業内容の変更を踏まえて資金計画の修正を行い、敷地譲渡金額を変更するものとする。」と定めています。

 

 以上からすると、晴海選手村土地について、東京都が特定建築者11社に対してさらなる負担を求める、あるいは、特定建築者11社が東京都に対してさらなる負担を申し出る、ことが必要と考えます。

 

晴海選手村土地投げ売りを正す会」住民訴訟の次回期日は、2019年2月19日(火)午後3時から、419号法廷で行われます。傍聴等のご支援、ご協力、宜しくお願い申し上げます。

弁護士の中川勝之です。

 

今月15日、本年3月23日に首都圏大学非常勤講師組合の松村比奈子委員長及び大野英士副委員長が平塚労働基準監督署に告発状を提出した事件について、平塚労働基準監督署に伺い、意見書を提出しました。

 

本年7月6日のブログ「上智大学不当労働行為事件、都労委の調査開始~無期転換阻止のための雇止めは許されません!~」で、不当労働行為事件とともに、告発事件についても紹介したところです。

 

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告発事実は、学校法人上智学院の設置した上智大学短期大学部(上智短大)が、2013年4月1日以降に採用された非常勤講師について、「更新により契約期間が5年に達する時」という「退職に関する事項」を定めておきながら、同事項を記載した就業規則を労働基準監督署長に届け出なかったというものです(労基法89条違反)。
 本件告発は、本年7月、正式受理され、平塚労働基準監督署により捜査が進められています。

 

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 2013年4月1日に新たに採用になった上智短大の非常勤講師4名は、2018年3月31日に雇止めとなりました。5年上限が定められていたと考えるほかありません。意見書とともにいくつかの証拠を提出しました。

 

 そして、2014年4月1日に新たに採用になった上智短大の非常勤講師数名も2019年3月31日に雇止めとなると予想されます。

 

 また、上智大学の非常勤講師も同様と考えられ、組合として情報収集をしており、さらに、5年上限撤廃等を求めて団体交渉を申し入れています。

 

皆様からのご支援・ご協力をお願いします(弁護団は、今泉義竜弁護士、川口智也弁護士と私)。

弁護士の中川勝之です。
9月23日、日大ユニオン結成集会が開催され、私も参加しました。
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しんぶん赤旗が報道しています。
非常勤講師「日大ユニオン」を結成 雇い止め撤回を

日大ユニオンの現在の組合員は80名とのことです。
組合員拡大に役立てて欲しいと、第3刷発行となったばかりの 
「職場を変える秘密のレシピ47」
を10冊持参したら完売となりました。さすが勉強熱心です!実践しましょう!
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裁判の方は、9月20日(木)に第1回口頭弁論期日があり、
12月13日(木)午前10時30分に第2回口頭弁論期日が指定されました。
709号法廷です。傍聴・支援を宜しくお願い申し上げます。

弁護士の中川勝之です。

 

 9月20日、京王新労雇用延長差別事件(事案の概要は、2018年6月1日のブログ記事参照)の東京地裁判決の言渡しがありました。原告ら3名の全ての請求が却下・棄却されました。

 

建交労京王新労働組合支援共闘会議と京王新労差別事件弁護団は声明を発表しました。

 

弁護士ドットコムが「定年後再雇用 勤続30年のバス運転手が清掃業務に、会社の裁量認める判決…東京地裁」と報じています。

 

京王新労のブログにも写真が掲載されています。

 

 判断の誤りは多数ありますが、雇用延長差別の本質は京王新労及びその組合員に対する不当労働行為ですので、その点にかかわって指摘します。

 

 特に2018年6月1日のブログ記事でも紹介した、

 

「許されるなら中央線の線路に突き落としてください。」

 

についてです。

 

 判決は、

さらに、「許されるなら中央線の線路に突き落としてください。」との記載は、山田元副所長の京王新労に対する強い敵意をうかがわせるものではあるが、前判示のとおり、原告らの低評価には肉声マイク放送や増務に対して消極的であったという根拠事実が存在するのであるから、この記載によっても、原告らがこれらの根拠事実の存否にかかわらず京王新労の組合員であることを理由として低い評価を受けたことが直ちに裏付けられるということはできない。

と判断しています。

 

 長文で誤魔化そうとする、不当判決にありがちな判断です。原告らが主張を根拠付けるために複数の事実を挙げても、裁判所はその一つの事実だけを取り出して「直ちに」原告らの主張は認められないと判断するものです。「許されるなら中央線の線路に突き落としてください。」との記載だけが不当労働行為意思の根拠であると原告らは主張していません。他にも様々な事実を主張しているのですが、裁判所は無視しました。「京王新労に対する強い敵意」はどこに行ってしまったのでしょうか。

 

 ところで、判決の言渡しをした裁判所は、東京地方裁判所民事第19部(春名茂裁判長裁判官、西村康一郎裁判官及び関泰士裁判官)です。春名茂裁判官については、2018年8月16日の今泉義竜弁護士のブログ記事、西村康一郎裁判官については、今泉義竜の同ブログ記事及び2016年11月1日のブログ記事にそれぞれコメントがなされていますので、それらも是非ご一読下さい。

 

京王新労は、東京地裁の不当判決を乗り越えて闘っていきます!

 

 また、京王新労は、中央労働委員会においては賃金・昇進差別事件を争っています(鎌田耕一公益委員(会長代理、東洋大学法学部教授)の忌避申立については、2017年10月1日同年12月1日のブログ記事参照)。10月1日10時から調査期日が開催されます。

 

 京王新労及び弁護団は、雇用延長差別事件、賃金・昇進差別事件に勝利すべく奮闘していきます。

 

京王電鉄らによる雇用延長差別の違法を免罪した不当判決に対する声明

 

2018年9月20日

 

 本日、東京地方裁判所民事第19部(春名茂裁判長)は、定年後の原告ら3名に対する雇用延長差別を容認し、原告らのバス運転士としての労働契約上の地位を認めないばかりか、損害賠償請求も認めない判決を下した。労働者の働く権利をないがしろにする不当判決であり、断固として抗議する。

 本件は、入社以来30年前後にわたってバス運転士として働いてきた原告ら3名について、定年後、希望するバス運転士の仕事を取り上げ、ひたすらバス車両の清掃業務に従事させ、賃金も生活扶助以下の著しい低額で定年前の年収の30%以下とする酷い扱いに対して、原告らがバスの運転手(継匠社員)としての地位の確認と損害賠償の支払いを求めて提訴した事件である。

 このような原告ら3名に対する扱いについて、本日の判決は、「高年齢者等の職業の安定をその他福祉の増進を図る」ことをかかげた高年齢者雇用安定法の趣旨に反する不合理な差別であることを看過し、その違法性を否定した。

 しかも、本件の雇用延長差別は、京王新労働組合(以下「京王新労」)の現職の執行委員長のほか中心的な活動を担ってきた原告ら3名に対する不当労働行為であり、組合としては、労働委員会に救済を申し立てて係争中であるが、原告らは、本訴においても不当労働行為による違法行為として争ってきた。京王新労は、2001年に京王電鉄と連合労組が合意した大幅な労働条件変更を伴うバス部門分社化に反対して結成された労働組合であり、会社から様々な組織破壊、差別攻撃を受けている。職制により作成された会社文書において組合員に対する差別的な査定が指示されたり、組合員について「許されるなら中央線の線路に突き落としてください」とまで記載されるなど、会社から徹底して敵視されている。しかるに、判決は、本件の雇用延長差別について、不当労働行為と認めず、地位確認はもとより、慰謝料の支払いも退けた。原判決は、この点においても、到底容認できるものでない。

 我々は、本判決の見直しを求めて、控訴するとともに、原告らをバス運転士として復職させ、京王新労に対する不当労働行為をやめさせるためにたたかうものであり、会社に対して、争議を全面解決するよう強く求めるものである。

 

                    建交労京王新労働組合支援共闘会議

                             京王新労差別事件弁護団

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<不当判決に屈しない佐々木仁委員長>


弁護士の中川勝之です。

 

 フェイスブックで既に紹介されていますが、9月19日、社保庁不当解雇撤回裁判の東京高裁判決の言渡しがありました。一審原告ら3名の全ての請求・控訴が棄却されました。特に、昨年6月29日の東京地裁判決は、全国の裁判所で初めて、原告1名の分限免職処分を取り消しましたが(自由法曹団通信第1602号(2017年7月11日)「社保庁職員分限免職処分、東京地裁が全国初の取消判決♪」)、その原告勝訴部分も東京高裁判決は取り消しました。

 

 国公労連と全厚生は忖度判決と批判・抗議しています。

 

 判断の誤りは多数ありますが、若干指摘します。

 勝訴していた一審原告1名は、日本年金機構の准職員としては内定しており、正規職員・准職員共通の採用基準は満たしていたのですから、正規職員に採用されるべき健康状態でないとの判断は誤りです。また、「その後の成績次第では正規職員に登用されることは可能であるとの説得にも応じずに」と判断していますが、正規職員の登用は全く保証されていませんでした。准職員の内定辞退はやむを得ません。他方、正規職員は機構設立時324人欠員であり、社保庁は機構に対し、追加募集を要請すべきところ、「既に採用が内定している者の配置との調整が必要になる」等と判断し、要請しなかったことについて分限免職処分回避努力義務違反を認めていません。しかし、欠員があるから、調整が不要なことは明らかです。

 厚労省への転任を希望していた一審原告2名に対しても、分限免職処分回避努力義務違反が認められるべきでした。例えば、厚労省転任者1284名のうち、機構欠員・記録問題対策のため、130名が厚労省から機構に当初から2年3か月の期間で出向となりました。その定員分、社保庁職員を追加転任させれば良かったのです。出向者が戻ってくるとしても、2年3か月の間に退職者等で調整すれば足りるのです。しかし、判決は「時期は未定であるにせよ、上記出向者は機構から厚労省に戻ってくることが予定されている」等と出向期間を無視しました。

また、厚労省は2010年3月末日までの113名の残務整理定員の定員枠を確保していました。判決は「4月以降も厚労省に当然に転任させ得ると考えられる事情も認められない上、同日付けであれば転任を受け入れる旨の他府省からの回答もなかった」等と判断して、活用しなかった国の言い訳を認めています。しかし、残務整理定員を活用することに一切の予算上・法律上の障害がなかったことの反論になっていません。

 

 「解雇三兄弟」の長男・全厚生闘争団は、東京高裁の不当判決を乗り越えて闘っていきます!

 

行政に忖度する不当判決に抗議する(談話)

社保庁不当解雇撤回裁判・東京高裁判決にあたって

 

2018年9月20日

日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)

書記長  九後 健治

全厚生労働組合(全厚生)        

書記長  川名  健

 

 東京高等裁判所第17民事部(川神裕裁判長)は9月19日、社会保険庁分限免職処分取消等請求控訴事件(社保庁不当解雇撤回裁判・東京事案)について、一審原告3名すべての控訴および請求を棄却する不当判決(以下、「本判決」という)を行った。昨年6月29日に言い渡された東京地裁(原審)判決では、原告のうち1名に対する分限免職処分について、分限免職回避努力が不十分だったとしてこれを取り消す旨の画期的判断が示されたが、本判決はこの判断部分を形式論で覆す極めて不当なものであり、厳重に抗議する。

 

 そもそもこの事件の本質は、政府・与党による社保庁職員への報復として断行された「政治のパワハラ」という点にある。すなわち、2004年に国会議員の年金未納問題が発覚し、この年の参院選挙で大敗した自民党が、個人情報を「閲覧」したとされる職員に対する大量の懲戒処分を強要したうえ、2008年には自民党ワーキンググループの強い要請により、懲戒処分歴のある職員を一律に不採用とする閣議決定を行った。このような強い政治的介入の下で、年金問題の責任を末端職員に転嫁するかたちで断行されたのが本件分限免職処分なのである。

 

 本件分限免職処分は、本判決も述べているように「被処分者に何ら責められるべき事由がない」ものであるにもかかわらず、政治的圧力を背景に、国による十分な分限免職回避努力を尽くさずになされたものであって、その不当性は明白である。

 

 本判決は、上記閣議決定の際に政治的関与があったことについて、「議院内閣制の下においては、内閣の政策決定過程に多数派である与党が関与すること自体は当然想定されているから、与党の関与の結果決定された政策が、関係する法律の趣旨に反し、または委任の範囲を超えない限り、違法性の問題は生じない」としている。しかし、一民間法人である年金機構における職員の採用・雇用の問題について、「報復」を背景とする政治的圧力により与党が関与したことは、正当な政策決定であるとは到底いえず、むしろ行政を私物化するものであり、断じて許されないものと言わざるを得ない。

 

 社保庁職員の不当解雇撤回を求める裁判は、現在、広島と愛知の両事案が最高裁に上告、愛媛・秋田事案が控訴審でのたたかいを展開している。国公労連・全厚生は、すべての事案での勝利をめざすとともに、国と厚生労働省に不当解雇の即時撤回と雇用保障等による全面解決を求めて全力を尽くす決意である。

以上

 

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