東京法律事務所blog

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 弁護士の中川勝之です。

 本日10月13日は、最高裁判所第三小法廷による、賞与請求にかかる大阪医科薬科大学事件(宮崎裕子裁判長)で、退職金請求にかかるメトロコマース事件(林景一裁判長)で、不当判決が相次ぎました。
 しかし、弁論すらない事件もありました。一週間前の6日付けで、最高裁判所第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は、京王新労雇用延長差別事件について、上告棄却と上告不受理の両決定をしていました。ちなみに、最高裁判所第三小法廷(林景一裁判長)は、同日付けで、NTT西日本継続雇用訴訟についても、上告不受理の決定をしました。
 京王新労のたたかいは最高裁の不当決定によっても終わりません。引き続きご支援、ご協力、宜しくお願い申し上げます。
 以下、建交労京王新労働組合支援共闘会議及び京王新労差別事件弁護団による声明です。

京王電鉄らによる違法な雇用延長差別を免罪した不当決定に対する声明

                          2020年10月9日

 2020年10月6日、最高裁判所第三小法廷(裁判長宮崎裕子)は、上告人兼申立人ら3名による上告を棄却し、同人らの上告受理申立を受理しない決定をした。同決定は、定年後の雇用延長差別を容認し、上告人兼申立人らのバス運転士としての労働契約上の地位を認めないばかりか、損害賠償請求も認めないという東京高等裁判所における不当判決を維持する判断にほかならない。会社による違法な雇用延長差別を免罪した本件決定に断固として抗議する。
 本件は、入社以来30年前後にわたってバス運転士として働いてきた上告人兼申立人ら3名について、定年後、希望するバス運転士の仕事を取り上げ、ひたすらバス車両の清掃業務に従事させ、賃金も生活扶助以下の著しい低額で定年前の年収の30%以下とする酷い扱いに対して、上告人兼申立人らがバスの運転手(継匠社員)としての地位の確認と損害賠償の支払いを求めて提訴した事件である。
 高裁判決は、高年齢者等の職業の安定その他福祉の増進を図ることをかかげた高年齢者雇用安定法の趣旨に反する不合理な差別であることを看過し、その違法性を否定したものである。本件において会社は、旧高年法のもとで定年後にバス運転士として雇用を継続するとしていたものを2012年に同法が改正されて希望者全員の雇用が義務づけられるようになると、ひたすらバス車両の清掃業務に従事させる再雇用社員制度を設け、上告人兼申立人らにこれを適用するという著しく不合理な取扱いをしたものであるが、最高裁は、このような著しく不合理な高裁判決を維持したのである。このような最高裁の決定は到底容認できるものではない。
 しかも、本件の雇用延長差別は、京王新労働組合(以下「京王新労」)の現職の執行委員長のほか中心的な活動を担ってきた上告人兼申立人ら3名に対する不当労働行為であり、組合としては、労働委員会に救済を申し立てて係争中であるが、上告人兼申立人らは、本訴においても不当労働行為による違法行為として争ってきた。京王新労は、2001年に京王電鉄と連合労組が合意した大幅な労働条件変更を伴うバス部門分社化に反対して結成された労働組合であり、会社から様々な組織破壊、差別攻撃を受けている。会社の業務引き継ぎ文書においては組合員に対する差別的な査定を継続するよう指示したり、組合員について「許されるなら中央線の線路に突き落としてください」と記載するなど、会社は徹底して新労を敵視している。しかるに、最高裁は、本件の雇用延長差別について、不当労働行為と認めず、地位確認はもとより、慰謝料の支払いも退けた高裁判決を維持したのである。このような最高裁の決定は到底容認できるものではない。
 さらに、最高裁の決定は、上告人兼申立人らの上告を棄却し、上告受理申立を不受理としたことについて一切理由を示していない。上告人兼申立人らの訴えに一切応えず、三行半を下したものであって、この点においても到底容認できるものではない。
 我々は、今後も、上告人兼申立人らをバス運転士として復職させ、京王新労に対する不当労働行為をやめさせるためにたたかうものであり、会社に対して、争議を全面解決するよう強く求めるものである。
                    建交労京王新労働組合支援共闘会議
                                 京王新労差別事件弁護団 

 弁護士の中川勝之です。

 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、ジェイコー、尾身茂理事長)の相模野病院に勤務し、全日本地域医療機能推進機構病院労働組合(全地域医療JCHO労組医労連加盟)の相模野病院支部書記長であった嶋田泰久薬剤師が、相模原労基署への申告を契機とする宿日直勤務の問題に関する一連の組合活動を行ったところ、JCHOがその活動を嫌悪し、2016年10月1日付けで嶋田書記長を相模野病院から東京高輪病院に配転したという不当労働行為事件です。
 2019年11月13日に10月1日付けの都労委の全部救済命令を受けましたが(命令書全文)、11月15日にJCHOが中労委に再審査の申立をしました。
 第3回調査期日が9月25日(金)午後1時30分からあり、組合がJCHOの主張に反論した準備書面を陳述し、次回はJCHOからの反論となりました。
 第4回調査期日は11月27日(金)午後3時からありますので、ご支援、ご協力お願いします。

 審査委員から調査期日の冒頭、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から調査室への入室は労使各側最大5名とし、労働委員会への来館人数についても、同様に最小限の人数でお願いします旨の発言がありました。労働委員会への来館人数というのは控室に入る人数を指していますが、同様にというのは最大5名というわけではなく、同様に最小限の人数という趣旨でした。今回は組合役員4名、組合代理人弁護士3名の合計7名が控室に入りました。

 ところで、自由法曹団も事務局団体となっている2020年司法総行動実行委員会が10月2日に各機関に要請行動を行う予定ですが、2020年司法総行動共同要請書の都労委宛部分にJCHO事件が言及されている記載がありました。そこでは2019年10月4日に行った要請内容(同年6月末分まで)以降で本年6月までの都労委命令で、評価できる判断内容の具体的事例2つと疑問を抱かざるを得ない具体的事例3つが紹介されており、評価できる判断の内容の具体的事例の一つとしてJCHO事件が挙げられていました。
 すなわち、「その他の事件の判断内容については、評価できる内容もあれば、見過ごすことの出来ない重要な判断の誤りも指摘せざるを得ない。まず、評価できる判断内容の具体的な事例として、地域医療機能推進機構事件があげられるが、この事件での判断として、組合の中心的な人物の(ママ)配置転換した場合に「①配転の不利益性について、②組合活動上の不利益について、③配転の業務上の必要性について、④配転当時の労使関係について」、これらについて、疎明の程度よりも状況から推認しながらきちんと判断している点は評価に値する。」と紹介されていました(もう一つはS事件スター・プロダクト事件))。こうした判断方法は本年8月13日のブログ「独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、尾身茂理事長)の不当労働行為事件(不当配転)は期日続行~配転の不当労働行為性について考える~」でも紹介したところです。

 本件の独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO、尾身茂理事長)の不当労働行為事件では依然としてJCHOが不当労働行為性を認めていませんが、労働組合とともに闘い抜きたいと思いますので、今後とも皆様からのご支援、ご協力の程宜しくお願いします。
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<中労委からほど近い小雨の中での東京タワー>

 弁護士の中川勝之です。

 本日2020年9月14日付けで樽見英樹氏が厚生労働事務次官に就任するとの報道に接しました。
 樽見氏は、2008年7月30日から2009年12月31日まで社会保険庁の総務部総務課長の職に就いており、2012年2月27日に実施された人事院審理において証人として証言しました。この機会には全国から弁護団が集まり、夜遅くまで尋問をしたことで思い出深いものがあります。
社会保険業務センター事案 口頭審理(公開)日程(案)_page-0001
 社会保険庁職員不当解雇撤回闘争についてはご存じかと思いますが、若干説明しますと、2010年1月1日、日本年金機構が設立され、社保廃止に伴い、2009年12月31日付けで525名の社保庁職員が分限免職処分を受けました。
 これに対し、全厚生労働組合に結集する元社保庁職員39名が人事院に審査請求し、2013年に全厚生闘争団を含め合計71名の請求者全員について判定が出されました。結果は処分取消が25名(全厚生闘争団10名)、処分承認が46名であり、請求者全員における処分取消の割合は35.2%でした。
 また、訴訟については、全厚生闘争団として、全国に7事案があり、東京地裁において原告1名が分限免職処分取消の勝訴判決を得たものの、東京高裁で取り消され、最高裁でも敗訴が確定しました。
 そして、2019年10月17日付けで秋田事案について、最高裁判所第一小法廷は、上告棄却と上告不受理の両決定をし、その結果、残念ながら、全厚生闘争団としてたたかってきた全国7事案について、訴訟自体は終了したことになりました。

 そういった経過の後の樽見氏の厚生労働事務次官就任とのことでしたので、樽見氏の証言について述べたいことが多々ありますが、ここでは一点紹介します。
 東京地裁での最終準備書面での主張の一部です。 
5 残務処理要員定員不活用
 厚労省には2010(平成22)年3月末までの社会保険庁残務処理要員枠が113名分あったにも拘わらず、これをまったく活用しなかった。これを活用し、同年4月以降厚労省に配転して過員のまま維持し、順次、退職者や出向による空き定員に当てはめていけば、同年中にはこれを吸収することが可能であった。
  この点に関して、人事院審理において、宮野証人は、本件分限免職後の2010年度の採用数について、「4月以外の年度途中の採用が極めて、200人以上で非常に多くなっていると思います」と証言した(甲A76)。この中途採用の代わりに、残務処理要員枠を活用すれば、分限免職回避が可能だったのである。
 ところが、厚労省も社保庁も、せっかくの枠を全く活用しなかった。
 人事院審理において、樽見証人は、2010(平成22)年3月末まで引っ張ると、組織の改廃・定員の変更ではなくなるため、分限免職しにくくなるので、残務処理要員を使わなかった旨証言した(甲A74・104頁504項)。まさに、分限免職者を出すことが至上命題であったために残務処理要員枠を使わなかったのである。これも、前述した政党の意向を反映したものであり、政治の不当な介入による分限免職回避努力義務違反と言うべきである。 
2009年12月末での分限免職処分を回避するため

2010年1月から3月末までの残務処理定員113名分の予算を確保していた

同人数分、3か月間、分限免職処分を回避できた

にもかかわらず、定員を一人も使わず、分限免職処分を強行した

分限免職処分回避努力義務違反、との主張です。

 実際の樽見氏の証言は次のとおりです。

503(渡辺輝人弁護士(京都第一法律事務所))それから、先ほどのキープという話ですけれども、平成22年の3月まで分限免職の対象になりそうな人をキープしておくという話があったですね。で、これはなんで'実際にやらなかったんですか。
(樽見)結果的に、4月まで持っておくという事によってどっかに転任できるというそういう口がなかったという事ですね、残念ながら。

504(渡辺)いや、だけどそれこそ、それまでに亡くなる人もいるかもしれないし急に辞める人もいるわけで、退職者の補充というのはきくんじゃないですか。
(樽見)そういう人が出れば、そこの中から回すというのは一面では出来るという事だと思いますけれども。ただ一方で、逆に抱えておいて、3月末日で例えば分限免職という事ができるかというと、3月末日になると組織の改廃・定員の変更があったというふうに、社会保険庁が無くなったのは12月末なので、それとの関係で3月末まで引っ張って分限免職っていうのが同じように出来るかというような問題もありましたので、ここは結果的には、使えなかったのは残念だと私今でも思っていますけど、使えなかったという事だと考えています。

505(渡辺)あなた、今すごい事言ったの分かります。廃職という枠組みが無くなっちゃうから、分限免職出来なくなるので、その枠組み使わなかったんだ、って証言したんですよ。
(樽見)はあ。

506(渡辺)それ重大な証言だと思いませんか。回避努力出来たのに、その期を逃したら法律上のやるチャンスが無くなっちゃうからやらなかったんです、っていう答弁ですよ、あなたがしたのは。
(樽見)回避努力を、ちょっとよく分からないんですが。

507(渡辺)いや機会が無くなっちゃうと言いましたね、機会が無くなったらいいじゃないですか、そのまま持っとけば。
(樽見)とはいっても、定員は無くなってしまうんですよね、まあそういう意味で言うと定員が無くなってしまうので、いずれにしても3ヶ月後にはここで。

508(渡辺)だから、そこの時に過員による分限免職処分を考えればいいんじゃないんですか。
(樽見)そうですね、ちょっとそこはあまり詰めて申し上げておりませんでした。そういう事で言うと、私の申し上げた事については3月末になると出来ないと言うのは、これは法律的には聞違いだったかもしれません。ここはちょっと訂正させてください。いずれにしても、社会保険庁が無くなってしまうというきっかけでは無い時点で、いづれ3ヶ月後に定員がなくなるという事態が生じてしまうので、そこの定員については結果的に使えなかったという説明。

509(渡辺)いやいや使えなかったって、あなた方が予算要求をして政府が予算措置してくれたわけでしょう。それ使えなかったって、意味分からないんですけど。使えばいいんじゃないですか。お金あるんだから。
(樽見)その3ヶ月間置いておいて、結局それってその3ヶ月間の後に行き先があると言う人のために使うという事で考えておったので、そこを3ヶ月経ったところで退職という形になるわけですから。

510(渡辺)なるかどうかっていうのは、あなた方がその就職先を転任先を見つけてくればいいんでしょ。それまでに努力を続ければいいんじゃないんですか。
(樽見)そういう事でいうと官民人材交流センターに。

511(渡辺)いや官民じゃなくて、さっきも言っているように、他省庁とかね。厚労省内部でも転任先をどんどん頑張って見つけてくればいいでしょ。その義務をやるという前提であれば意味のある3ヶ月なんじゃないんですか。
(樽見)まあ実際問題として、その時までにその3ヶ月の間に転任が出来るという数が出てこなかったわけです、結果的に言うと。

512(渡辺)でもあなたたちは、そこは流動的で実際でないと分からないと言うわけでしょ。その欠員というものは、例えば誰かが辞めるとか、誰かが死ぬとかそういう事情が無いと分からないと言っているわけでしょ。だからそれがいつ出るか分からないんだから、持っとけば出てくるかもしれないじゃないですか。
(樽見)いずれにしても、社会保険庁が無くなって平成21年12月31日までに日本年金機構に移行するという所まで、社会保険庁から他への転任という事について、最大限どれだけありませんかという事を聞いて回って、厚生労働省との関係でもそれまでの転任というのを全部決めて、その間ずっと増やしてきたわけですので、3ヶ月の間だけというと同時に、これまた余計な事言うと言われるかもしれませんけど、例えば旧社会保険庁の職員で国に転任した職員を、日本年金機構の方へ例えば130人程度出向させる。その間、穴になる所については、臨時の職員という事で埋めると言ったような事を含めて、12月31日を終期として行き先のない職員について、どれだけ職を提供できるかという事を一生懸命やってきたわけですので、12月31日の時点で整理をつけたという事です。

513(渡辺)整理つけたかったんじゃないの。あなたは先ほどのを撒回と言われたけど、結局その時点で整理をつけたかったのではないんですか。だってそうでしょ、予算措置まで取って別に誰も居る事について何も問題ないのに、あえてその枠を使わなかったわけです。
(樽見)そこは3ヶ月だけの残務整理という事です。
<以下省略>

 当時、樽見氏から「あまり詰めて申し上げておりませんでした」との証言がありましたが、是非、厚生労働事務次官になった今こそ、詰めて考えて、社会保険庁職員不当解雇撤回闘争の解決に向けて動き出していただきたいと切に思います。

 弁護士の中川勝之です。

 昨日9月11日、東京争議団共闘会議の定例の最高裁に対する要請行動に、明治乳業争議団東電モラハラ裁判の方々とともに京王新労雇用延長差別事件の弁護団等も参加させていただきました。京王新労副委員長が要請書を読み上げた後、吉田健一弁護士(三多摩法律事務所)、松本恵美子弁護士(代々木総合法律事務所)、そして、私が一言コメントして、高裁判決の見直しを求めました。要請後、上告受理申立書の補充書を提出しました。
 ちょうど一昨日9月10日には、当事務所の弁護士も弁護団に入っている郵政20条裁判の東京事件及び大阪事件について最高裁で弁論があり、10月15日に判決とのことです。ちなみに当事務所の弁護士で弁護団を構成しているメトロコマース事件についても9月15日に最高裁で弁論があります。
 京王新労雇用延長差別事件についても、最高裁で弁論が開かれるよう引き続き頑張っていきたいと思います。
上告受理および公正判決を求める要請書
<上告受理および公正判決を求める要請書>
西門方面から見た最高裁
<西門方面から見た最高裁>

 弁護士の中川勝之です。

 「晴海選手村土地投げ売りを正す会」第3回総会が9月8日に開催され、参加しました。

 8月22日にTBSの【報道特集】が「東京五輪1年延期 選手村マンションは今」という番組を放映し、晴海選手村土地が「投げ売り」された経緯、そのためのからくりは何だったのか等が分かりやすく説明されました。淵脇みどり弁護士(渋谷共同法律事務所)もコメントしています。

 従前、「晴海選手村土地投げ売りを正す会」住民訴訟も含め、オリンピックに関連した批判的な言説がマスコミにはほとんど取り上げられないような状況があったのですが、1年延期になってきたこともあるのか、オリンピックの問題点をマスコミが大きく取り上げるようになってきました。
 こうした中での総会で、選手村裁判の現状・到達点と今後の展開について、千葉恵子弁護士(渋谷共同法律事務所・写真左)と大住広太弁護士(東京南部法律事務所・写真右)から詳しく説明がありました。
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 そして、「正す会」の事務局長から運動についての報告と提案があり、特に8月18日の期日に申請した元東京都知事舛添要一氏と現東京都知事小池百合子氏を含む6人の証人尋問を実現するために、裁判所宛に葉書(写真左、写真右は分かりやすいリーフ)を出す要請の取り組みが呼びかけられました。
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 「晴海選手村土地投げ売りを正す会」住民訴訟の次回期日は、12月8日(火)午後3時から、103号法廷で行われます。傍聴(限りがあります)、葉書要請等のご支援、ご協力、宜しくお願い申し上げます。

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