東京法律事務所blog

カテゴリ: 賃金・残業代

 弁護士の笹山尚人です。

 私と、青龍美和子弁護士とで担当してきた、東京地裁立川支部での「メンズカットリーダー事件」が、本日、勝利和解で解決しました。

KIMG9424

 当事者のSさんの奮闘と、Sさんの加入する労働組合、首都圏青年ユニオンと、首都圏青年ユニオンを支える会の支えがあって、解決に至りました。皆さん本当にご苦労様でした、ありがとうございました。

 私からは、本件の勝利解決の概要と意義について報告します。

 

原始的ブラック企業

 

 本件は、原始的ブラック企業が引き起こした、理容師に対する何重もの搾取を許さないたたかいでした。

 

 当事者のSさん(男性)は、東京都稲城市にある理容店、「メンズカットリーダー」などで、理容師として働いてきました。メンズカットリーダーは、Yという個人の個人事業形態での経営で、Yは、東京都多摩地域や熊本県などで複数の理美容店を運営しています。

 

 Yは、長崎県や熊本県の高校などで、「東京の理容室で働ける」ことを謳い文句として求人をかけていました。Sさんは、これに応募し、2000年4月に長崎県から上京して、Yのもとで働き始めました。長期の修業期間、理容師免許の取得を経て、2010年から「メンズカットリーダー」の店長として働いてきました。

 しかし、この職場での就業状況が、法律から検討すると、違法状態が多くみられるものでした。

 雇用契約書や給与明細書、タイムカードが存在しない。

 社会保険・雇用保険の未加入。

 寮生活を送っているのだけれど、寮の規則がない。

 休日がメンズカットリーダーの店長になってからは月に2日しかない。

 就労したてのことはもちろん、後輩の指導を担当するようになって以降も、営業時間終了後は理美容師としてのスキルを高めるための「練習」に毎日従事する。

 就労時間は開店時間が9時から20時半までであり、これだけでもその拘束時間が11時間半に及びます。その後の練習も含めると労働時間はさらに長くなる。

 賃金から、「将来の開業資金」などの理由で、その一部をYに預けることにされる。しかし、その明細も見せられない。

 賃金は手渡しだが、寮費や貯金などを差し引かれ、実際に本人の手元にわたる費用は1万円程度のこともあった。税金の控除がなく、源泉徴収票も発行されない。

 

 就労年数を重ねてスキルをあげても、賃金が思うように上昇しないという点も、Sさんにとっては不満のもとでした。

 

雇い主からの訴訟提起と反訴

 

 Sさんは、2015年冬に見切りをつけて、退職と独立を決意し、2016年5月に退職の意思表示を通知しました。

 その際、せめて最後にと、時間外労働に対する賃金の支払いと、預けてきた貯金の返還を求める、社会保険への加入を求めて、首都圏青年ユニオンに加入し、団体交渉を求めました。

 するとYは、Sさんが以前自家用車を購入したことがありその際にその購入資金を貸し付けたもののその借入金の返済が未了であるとしてその返還を求める訴訟を東京地裁立川支部に提起してきたのです。

 Sさんはやむを得ず応訴し、その際に、賃金請求と預けたお金の返還請求の反訴を提起しました。

 訴訟は、借入金の存在そのものには争いがなかったためその残額、時間外労働の実態の有無(Yは、時間外労働の事実について否認した)、預り金の額(Yは、預り金の存在そのものは認めたものの、その開始時期と集積した金額について争った)を争点にして進行し、2017年12月には証人尋問を行い、その後和解協議に入りました。

 そして、本日、和解がまとまり、その成立をもって訴訟は終結しました。

 

和解内容

 

 和解内容の主要な内容は、次のとおりです。

 

イ)    原告(反訴被告)(以下「原告」という)は、被告(反訴原告)(以下「被告」という)に対し、被告を就業させるにおいて本件請求にかかる事項をはじめとする法規違反があったことを認め、今後、仮に雇用主となることがあれば、雇用主として守るべき諸法規を遵守するよう努力する。

ロ)    原告(反訴被告)(以下「原告」という)は、被告(反訴原告)(以下「被告」という)に対し、本件和解金320万円の支払義務があることを認める。

ハ)    被告は、原告に対し、本件貸金債務として金152万円の支払い義務があることを認める。

ニ)    原告及び被告は、それぞれの自由な意思に基づき、ロの被告の原告に対する債権とハの原告の被告に対する債権とを対当額で相殺することを合意する。

ホ)    原告は、前項の相殺合意に基づき、被告に対し、ニの相殺によってロの義務の残額168万円を2018年2月末日まで支払う

ヘ)    原告及び被告は、今後、互いに相手を誹謗中傷したり、営業活動を妨害したりしない。

 

本和解の意義

 

 本和解には、私は、次の意義があると考えています。

 

(1)   理美容業界のブラックな実態を告発するものになったこと。

    理美容業界は徒弟的制度の慣行が著しく、この観点から労働基準法をはじめとするさまざまな労働法の違反が怒りやすい。「ブラック企業」の温床となっている。

    本件でも寮のあり方、労働者のお金を使用者が貯蓄する場合のその運用の在り方という、資本主義の勃興期において問題になったがゆえに定められた、労働基準法の定めが守られていない実態が明らかになった。

    そのほかにも、長時間労働、低賃金、といった実情が認められた。

    ことは労働法のみにとどまらず、賃金を支払う際の税法違反なども認められた。

    和解では、まずこれらの違法行為の存在を認めさせ、実質的な謝罪条項を獲得した。

(2)   秘密保持条項を入れなかったため、今回の成果を広範に知らせることができること。

     Yは、秘密保持にこだわったが、これを認めず、広く今回の成果を伝えることができるようにした。理美容業界に広く違法な実態が存在するなら、そのことを知ってもらい、変化をもたらすための契機になりうることである。

 

(3)   Sさんの権利を一定実現したこと。

    時間外労働の実態の部分や、預り金の部分についてなど、Sさんの話の全てを裏付ける証拠に乏しかったため、一部獲得できないところもあったが、全体として、時間外労働の実態を裁判所が認め、残業代の発生と支払いをYに認めさせたこと。預り金についても、裁判所が認める部分についてこれを返還させる成果をあげたこと。

 

(4)「首都圏青年ユニオン」と「首都圏青年ユニオンを支える会」の団結でこのたたかいを支えたこと。

   当事者Sさんの訴えを実現するため、首都圏青年ユニオンと、首都圏青年ユニオンを支える会では、毎回の法廷の傍聴運動に取り組み、かつ、多摩地区におけるビラまきなどの活動を行い、Sさんのたたかいを支えた。1人ではなかなか自らの権利主張をすることが厳しい労働者が多い中、連帯の力で成果を得たこと、連帯すれば成果を得られることを世の中に示すことができたのは大きい。

 

首都圏青年ユニオン顧問弁護団について

 

 最後に、この事件を担当した私と青龍弁護士は、首都圏青年ユニオンの顧問弁護団である「首都圏青年ユニオン顧問弁護団」に加盟していることから、本件を担当することになりました。

 同弁護団には、当事務所から、私のほか、今野久子弁護士、小部正治弁護士、岸松江弁護士、中川勝之弁護士、今泉義竜弁護士、青龍美和子弁護士が参加しています。

 同弁護団では、首都圏青年ユニオンのたたかいを法的に支える取り組みを行っており、2017年12月21日に横浜地裁で解決した「SPDセキュリA事件」も首都圏青年ユニオンと顧問弁護団のたたかいでした。

 現在も、顧問弁護団は、4件の事件を同時並行で担当中です。

 これからも、首都圏青年ユニオンとともに、ブラック企業を許さず、労働者の権利を実現し、働きやすい職場つくりのお役に立ちたいと考えています。

 

                                    以 上

 弁護士の笹山尚人です。
 首都圏青年ユニオンとその顧問弁護団が取り組んだ、株式会社SPDセキュリA(以下、「会社」といいます。)との間の警備業労働者の未払い賃金請求事件が勝利和解で解決しました。
SPD 写真1

事案の概要と問題点

 当該労働者は、会社との間で期間の定めなく労働契約を締結している労働者2名。会社が受託しているスーパーマーケットでの警備業務に従事しています。勤務形態には日勤と夜勤があり、夜勤の場合終業時刻は午前1時40分と定められています。賃金は日当扱いで支給されていました。

 問題は、「前超勤」と「深夜手当」でした。
 会社は、シフト時間開始前から職場に入って着替えや引き継ぎノートの確認を行うことを求めており、通常そのために20分程度時間を要します。この部分についての賃金が未払いでした。
 また、夜勤の場合、午後10時を超えて就労することになりますが、この部分の深夜手当が支払われているのかいないのか、契約上曖昧でした。

 当該労働者2名はこれらの問題を整理し明確にし、未払いの賃金の支給を求めて首都圏青年ユニオンに加入し、ユニオンは会社に団体交渉を求めましたが、会社は、団体交渉を一度行った段階で、2016年7月25日、横浜地裁に債務不存在確認請求事件を起こしてきたのです。
 当該労働者2名は、これを受けて立つとともに、未払い賃金請求の反訴請求を提起しました。

 反訴提起にあたって苦労したのは、会社の当該労働者に対しての支払いが日給として支給されているものでしたが、これが深夜手当を含むのか含まないのか、途中の経過もあって曖昧なため、時間単価をいくらと想定すべきかが判然としなかったこと。また、前超勤について、その実態を示す客観的証拠がない中で、前超勤の事実を何分と想定してそれをどのように立証するか、ということでした。

 訴訟は、前超勤の事実の存否と、深夜手当の支払いの有無を争点にこの間推移してきましたが、裁判所の仲介で和解協議が開始され、2017年12月21日、和解が成立しました。

和解の内容

 まず和解には、首都圏青年ユニオンが支部であるため、本部である東京公務公共一般労働組合が「利害関係人組合」として参加しています。

 そのうえで、大要以下が取り決められました。

1、会社は、警備業に就く労働者と労働契約において、通常の労働時間分の賃金と、時間外や深夜などの割増賃金とを明確に区分けし、今後警備業に就く労働者を募集する際にはこの内容を明示する。
2、会社は、当該労働者2名を含む警備業労働者との間で、上記1の内容の労働契約を締結する。会社は、労働契約に関しては雇用契約書を作成して労働者に渡し、変更する場合も雇用契約書を変更したものを作成して労働者に渡す。
3、会社は、当該労働者2名を含めた警備業に就く労働者に、シフトで取り決めた労働時間前に出社する義務のないことを確認する。
4、会社は、厚生労働省のガイドラインが定める労働時間管理を実施し、警備業に就く労働者の労働時間管理を徹底する。
5、会社は、年次有給休暇の取得日数、残日数を、当該労働者2名を含めた警備業に就く労働者に対して個別に説明してその取得を全社的に促進する。
6、会社は、当該労働者2名と利害関係人組合に対して、解決金80万円を支払う。
7、会社は、利害関係人組合から団体交渉申し入れがあった場合、これに誠実に応じる。
 
本件和解の意義

 本件和解の特徴は、第一に、前超勤の問題と深夜手当の問題について、解決金の条項において実質的に当該労働者2名の主張が認められた形になった成果が得られたこと、前超勤を今後解消する内容を勝ち取ったことです。
 当たり前のことですが、シフト以前への準備的な行為についての就労指示をしたなら、その時間は労働時間と把握され、賃金が発生するものになる。労働基準法の定める深夜割増手当は、支給しなければならない。これらの原則が確認される結果となりました。

 第二に、裁判上の和解としては珍しいことに、当該労働者2名にとどまらず、職場全体の賃金、労働時間、年次有給休暇に関わる合意を形成している点にあります。
 裁判で問題になっているのは当該労働者だけであるということで、裁判上の和解において職場全体に関する取り決めが行われることはあまり例のあることではありません。その意味で今回の和解は、職場の労働者全体に対する波及効果が明確に定められたという点に意義があります。

 第三に、会社が、労働法遵守路線を明確に打ち出したことです。
 上記和解の1から5に関しては、労働基準法等の労働法規に明確に定められていることであり、本来は放っておいても社会に当然実現していなければならないことです。国会でも国会議員からそのことが問題にされれば、厚生労働省は、「それはそうだ、もし違法行為をしている企業が横行している実態があるなら指導を強化する」、と答弁するのです。
 しかし、現実には多くの会社で、労働法規は遵守されていません。それどころか、違法な就労環境をあえて創設して利益を上げようとする企業、違法を指摘されても誤魔化そうとしたり問題視した労働者を追い出して隠ぺいしようとしたりする企業が後を絶ちません。「ブラック企業」というネーミングは、そうした企業体であることを象徴する言葉です。
 今回、会社が当該労働者2名に対して行ってきた実態は、労働法を守ろうとしないものでした。しかし、今回の和解を通じ、会社は、上記和解の取り決めをすることで、労働法規遵守の姿勢を明確に打ち出したことになります。この点も、大いに評価できることです。

 第四に、労働組合との誠実協議条項を入れることで、労働組合軽視があってはならないことを明確にしたことです。この事件は、団体交渉が行われているさなかに、当初会社から債務不存在確認請求という形で裁判が始まりました。こうした団体交渉中に裁判提起するような労働組合軽視を許すことはできません。そのことについても本件和解は明確にすることができました。

 第五に、本件和解が、秘密保持ではない形で締結されたことです。第一から第四までの成果は、大いに誇るべきことですが、それを世の中全体に伝え広げること出来る形になりました。何かと不祥事を公にしたくないと秘密条項を入れたがる企業が極めて多い中、こうした和解を勝ち取れたことは大きな成果です。

世の中で大いに活用を

 この勝利和解とその意義を大いに世の中全体が共有し、活用してくれることを期待します。
 最後に、奮闘した、当該労働者2名と、これを支えた首都圏青年ユニオン、毎回の裁判の傍聴支援に駆け付けてくれたと首都圏青年ユニオンの組合員と、首都圏青年ユニオンを支える会の会員の皆様に、大きな拍手を。

 本件を担当した弁護士は、首都圏青年ユニオン顧問弁護団から、笹山尚人、中川勝之(東京法律事務所)と、竹村和也(東京南部法律事務所)です。


 

弁護士の今泉義竜です。
12月15日、私が担当してきた電波新聞残業代請求事件で、
東京地裁にて組合側の勝利和解が成立しました。
共同通信が配信しています。
記者の残業代支払いで和解 電波新聞、三六協定締結も

shinbun

組合(新聞通信合同ユニオン電波新聞支部)は、
残業代の不払いとともに
ワンマン社長による従業員に対するパワハラも問題にしてきたところ、
和解の直前に社長が退陣することとなり、
新社長のもとで、
①解決金を原告らに支払う
②今後36協定を締結し原告らだけでなく全従業員に残業代を支払う
③パワハラをしないことを約束する
という内容での裁判上の和解が成立しました。

労働組合が力を発揮した素晴らしい解決だと思います。

以下に声明をご紹介します。

電波新聞残業代請求事件勝利和解にあたっての声明

 

1 事件の概要

2017年12月15日、電波新聞残業代請求事件において、労働者側の勝利和解が東京地方裁判所(民事36部・石田明彦裁判官)にて成立した。

㈱電波新聞社は、日刊電波新聞や電子工作マガジンといった、電子部品・家電などに関する新聞・メディアを発行する従業員80名程度の株式会社である。

同社においては長年ワンマン社長による従業員に対する暴言や理不尽な業務命令といったハラスメントが横行し、労働時間管理がなされない中で長時間労働が強いられる一方、36協定はなく残業代も払われない状況であったところ、記者として勤務する2名の労働者が、新聞労連・新聞通信合同ユニオン電波新聞支部を結成し団体交渉で労働条件の改善を求めてきた。その中で、会社が任意に支払いをしない未払い残業代について、当該2名の組合員が原告となって2年分の残業代合計約1200万円を求めて2016年11月22日に提訴したのが本件である。

2 和解内容

原告らが、PCのログ履歴、日記、会議メモ、休日出勤届けなどの証拠により残業の実態を明らかにした結果、裁判所は会社に対し一定の残業代の支払いによる解決を強く促し、会社が解決金を支払う形での和解が成立する運びとなった。

さらに、原告ら及び組合は、訴訟の中で、社長によるハラスメントが横行していることを問題視し、将来のハラスメントを行わないことや、全従業員に対する労務管理を適切に行うことを求め、和解の条件として提示した。

その結果、以下の項目での和解が成立した。

 ⑴被告は、原告らに対し解決金を支払う(金額は非公表)。

 ⑵被告は、平成29年12月26日までに適正な手続きに則り従業員代表を選出し、36協定を締結することを確約する。

 ⑶被告は、原告ら及びその他従業員が法定労働時間を越えた時間外労働をした場合には、同時間外労働に対して労働基準法に基づく割増賃金を支払う。

 ⑷被告は、原告ら及びその他従業員が休日出勤をした場合には、同休日出勤に対して労働基準法に基づく割増賃金を支払う。

 ⑸被告は今後暴言等のパワーハラスメントととらえられる言動をしないことを確約する。

3 本件の意義

本件は、単に原告2名の残業代を支払わせたというだけにとどまらず、会社に対し全従業員に対する労務管理のあり方を根本的に是正させる和解を勝ち取ったという点で、重要な意義がある。

また、和解交渉が大詰めを迎え、成立直前であった本年12月1日、数々のパワハラを行ってきた社長が代表取締役社長を退任し、社長の長男が代表取締役社長に就任したことが発表された。原告ら及び組合が社長によるパワハラや違法行為の数々を追及してきたことが、社長の早期退陣につながったものと推察される。

私たちは、新社長のもとで、電波新聞で働く従業員が生き生きと働ける職場環境を確立し、質の高い紙面を読者に提供し、より一層会社を発展させていくために、引き続き力を尽くす決意である。

 

2017年12月15日

 

                日本新聞労働組合連合

                新聞通信合同ユニオン電波新聞支部

                原告ら代理人弁護士 今泉義竜






弁護士の今泉義竜です。

水口洋介弁護士が団長をつとめるJMITU日本IBM支部弁護団に本田伊孝弁護士とともに加わっていますが、
昨日6月28日、日本IBM第2次賃金減額裁判について、会社が賃金減額措置を撤回して減額前の賃金に戻し、差額賃金と遅延損害金を支払うことを骨子とする内容で和解が成立しました。

この訴訟は、会社が、個別の勤務査定を理由として年収の15%~10%を一方的に賃下げしてきたのに対し、JMITU日本アイビーエム支部の組合員17人が賃金減額の違法性を主張して提起したものです。

本件和解については、朝日新聞が報道しています。
日本IBMの賃金大幅減額訴訟、従業員の請求認め和解

今回の和解は、会社が賃金減額を撤回し是正するものであり、完全勝利和解と評価できます。

なお、これに先立つ第1次賃金減額裁判(原告9人)では、2015年11月25日に、
会社が原告の請求内容を全て認めるという異例の「認諾」を行い、
原告側の全面勝利となっていたものですが、会社が過去分の差額賃金を支払うだけで
減額措置を撤回しなかったため、第2次訴訟が提起されていました。



以下に弁護団と組合の声明を引用します。

IBM第2次賃金減額訴訟和解成立にあたっての声明 

 

2017年6月28日

 

1 2016年2月18日、JMITU日本アイビーエム支部組合員17人が日本アイ・ビー・エム(株)(日本IBM)を相手取って提訴していた第2次賃金減額訴訟(東京地裁平成28年(ワ)第5084号、第35075号)において、本日(2017年6月28日)、東京地方裁判所民事第11部(佐々木宗啓裁判長)において、会社が賃金減額措置を撤回し、減額前の賃金に戻すと同時に、減額前後の差額賃金及び遅延損害金を支払うことを骨子とする内容で和解が成立した。この和解は,会社が地裁判決前に原告ら全員の賃金減額を撤回した上で差額賃金の支払を認めるという画期的かつ全面勝利を獲得したものである。

 

2 別訴の第1次賃金減額訴訟(東京地裁平成25年(ワ)第25401号 原告9人)では、2015年11月25日、会社が判決1ヶ月前になって突如原告の請求内容を全て認める「認諾」を行い、原告側の全面勝利となっていた。もっともこの訴訟では、「認諾」に伴い、差額賃金はバックペイされても、減額措置自体は撤回されていなかった。

 

3 この裁判は各個人の勤務査定を理由として年収の15%~10%を恒久的に賃下げした会社に対し、その撤回及び差額賃金の支払いを求めたものである。個人の勤務査定を理由として大幅な賃下げをする例は大企業を中心に日本で広がりを見せている。そのなかで、本件は、個人の勤務査定自体は争わず、減額措置を可能とした就業規則の変更自体の効力を争ったもので、今回の和解成立は、このような一方的な賃下げは許されないことを裁判上明らかにしたことにより、この動きに一石を投じたものと言える。

 

私たちは会社に対し、すべての賃金減額について、本日の第2次訴訟の和解に準じて速やかにこれを撤回し、差額賃金を支払うとともにロックアウト解雇訴訟も含めた本件争議の全面解決に踏み切り、今後の労使関係正常化の実現を強く求める。

以上

 

 

JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)

JMITU 日本アイビーエム支部 

日本IBM賃金減額事件弁護団


↑このページのトップヘ