弁護士の菅俊治です。久しぶりの投稿です。

★今国会に内閣・経産省から、労働側からみて危険な法律案が提案されています。

生産性向上特別措置法(新設)と産業競争力強化法改正案の2法です。
http://www.meti.go.jp/press/2017/02/20180209001/20180209001.html

「規制のサンドボックス」という聞き慣れない制度が創設されようとしています。

★「規制のサンドボックス」(regulatory sandbox)制度とは
「革新的な技術やビジネスモデル」の「実証」実験を目的として、
行政上の規制を3年を限度に緩和する制度です。

サンドボックス=砂場。
砂場ならば少々危険なこともやってみよう、という発想です。

お、いいじゃない?
思ったら、大間違い。

この法案、どこに、どんな砂場を作るのかは、すべて内閣の考え一つで決められる恐ろしい中身になっています。
 「革新的な技術やビジネスモデル」
 「期間3年」
という以外には限定がないのです。
安倍さんに、自由に砂場を作らせたら危ないでしょ。

しかも、実証実験といっても、実験の後には本格的な規制緩和をしようとするのは明らかです。

★ポイント

○内閣が主導して、規制官庁の意見を抹殺できる仕組みになっています。
 例えばライドシェアに関しては、
 国家戦略特区法改正の過程で問題の多い制度であるとして認識され、

 付帯決議でもライドシェアの導入は認めないこととなりました。
 国土交通省は、ライドシェアには慎重に対応すべきという姿勢を貫いています。

 このように決着がついたはずのライドシェア導入論の復活が狙いです。
 
○規制緩和の対象となる分野には特定がありません。
 諸外国でも規制のサンドボックス制度はありますが、
 「フィンテック」について実証実験を行う等、対象が特定されているそうです。

 ところが、今回の法律案には限定がありません。
 どんなプロジェクトでも、
 どんな地域でも、
 法律上は制限されていないのです。

 民主的な選挙で選出された国会で制定した法律で決められた規制にはそれなりの保護法益があります。
 それが、内閣の一存で緩和できてしまうのです。
 そんなフリーハンドを与えていいのでしょうか?

○労働法制も対象となりうる
 先日の笠井亮衆議院議員(共産党)に対する世耕大臣の答弁です。


 例えば会社分割についても、スピンアウトを簡単にしようと計画されています。
 労働者の理解と協力を求めるための労働組合との事前協議などが不要とされる恐れがあります。

 あるいは、もっと乱暴に
 解雇、時間、非正規雇用等に関する規制が緩和される可能性もあります。
 法律には何の歯止めの文言がないのです。
 国家戦略特区法では、労働規制緩和はそのメニューから外れました。
 特区で実施できる特別ルールは限定列挙なのです。
 それを無限定に委ねていいのでしょうか。

○「実証実験」の後には本格的な規制緩和が狙われる
 実証実験の後は、必ず本格的な規制緩和をすべきという議論が持ち出されるはずです。
 なぜって、それが「サンドボックス」の存在意義だからです。
 労働法の大改悪の突破口とされる恐れもあります。

 このズブズブの法案は、私は欠陥法案だと思います。



<しくみ>
1)既存の規制の緩和を求める事業者が実証計画を内閣府(一元的な窓口)に提出し、
2)内閣府は、所管官庁(事業所管、規制所管)に回付します
3)所管官庁は、
 ・内閣府の定めた基本方針に合致しているかを確認し
 ・法令適合性を確認し
4)内閣府が任命した評価委員会は、所管官庁に対して、
 ・意見聴取への回答をし
 ・報告を行い
 ・内閣府を通じて勧告を述べます
5)これらの作業を経て、内閣府は実証計画を認定します。
6)実証実験が終了したら規制の見直しを検討します。