東京法律事務所blog

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弁護士の加部です。

長崎に原子爆弾が投下されてから今日で74年になります。

私には中学2年生の頃、地元自治体の企画した平和学習旅行で長崎の平和祈念式典に参列した経験があります。
東西冷戦すら知らない世代ですが、この時に被爆者の方などからきいた原爆と放射能による被害の凄まじさ・むごさが、私にとっての反戦・反核の原体験のようなものになっています。

そういう意味で、8月9日はとても思い出深い日です。

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弁護士になった私はいま、福島原発被害弁護団に参加しています。

福島第一原発事故から既に8年が経過しました。
しかし事故の後処理もすすんでおらず、地元住民の被害救済も十分になされないままです。
ところが、放射能事故によりあれだけの惨禍を引き起こしたにもかかわらず、安全性の担保もないままに、原発再稼働に舵が切られています。

どうして日本(政府)は、ここまで原発にこだわるのか?
この点に関心を抱かずにはおれません。

もちろん簡単に説明はできないと思います。
理由も1つではないでしょう。
ただ、「日本は核兵器を作る技術を持っておきたいから、原発を手放さないのだ」というのが、有力な考えの1つではないかと思っています。

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原発と核兵器は全くの別物ではなく、密接な関係がある。
そう捉える方が、世界的にはむしろ普通のことのようです。

日本は、アメリカの同意を得て、原発で使い終わった核燃料から、プルトニウムを取り出し続けています。
プルトニウムとは、核兵器の材料となる放射性物質です。

本来は、使い終わった核燃料(ウラン)を、再び原子力発電の燃料として使うためにプルトニウムの取り出しが始まったのですが、現在日本では、プルトニウムを使った発電方法というのが様々な理由から頓挫していて、使い途のないプルトニウムが日々取り出され、貯められる状態が続いているのです。

2017年時点で日本は国内外に約47トンものプルトニウムを抱えていました。
これは、なんと原爆約6000発分に相当します。

そしてついに日本は昨年、アメリカ政府から使い途のないプルトニウムの保有量を削減するよう勧告を受けてしまいました。
つまり日本がプルトニウムを持っていることが、核拡散の観点から良くないことだと、考えられているということなのです。
もっと言うと、日本がいつか核武装するかもしれないと懸念している国も、あるということなのです。

さらに、(非常に簡略に言うと)他のアメリカの同盟国が、「なぜ日本がプルトニウムの取り出しを認められているのに、私の国には認めないのか?認めてほしい」と、日本を名指ししてアメリカに迫るような事態も起きています。

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このように日本が原発を動かし続けることと、日本が潜在的に核兵器を持ちうる能力を備えていることとは、切っても切れない関係にあり、世界の核不拡散・核軍縮(廃絶)に対して悪影響を与えているという大きな問題を抱えています。

私たちの憲法、特に憲法9条は、戦争の放棄を宣言し、唯一の被爆国である日本が、全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って指導的地位を占めることを示しています。
その日本自身が、世界に核武装の懸念を与えたり、核軍縮にとって悪影響を与えているような事態は、憲法が掲げるこのような非軍事の理念にそぐわないものなのではないでしょうか。

長崎にプルトニウム爆弾が投下された8月9日の今日、そのようなことを考えてみました。

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(出張先のアメリカから)

弁護士の加部です。

東京都小平市にある国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院に勤務する看護師6名と保育士1名が、6月17日、昨年廃止されてしまった「特殊業務手当」の支給等を求めて、東京地方裁判所立川支部に訴訟を提起しました。同日、霞が関の厚生労働記者会で記者会見を行いました。

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NCNPは、元々国立病院であったものが独立行政法人化を経て国立研究開発法人となったものであり、わが国において精神・神経疾患の臨床研究を推進する中核的役割を担っているセンター病院です。

NCNP病院では従来、重い精神疾患、神経疾患、筋疾患等の患者が入院する病棟に勤務する職員に対して、病棟と職種によって定まる一定額の「特殊業務手当」が支払われています。国立病院時代から支給されていた同種の手当と合わせると、少なくとも40年かそれ以上の長期間にわたってこの手当は支給されてきました。

 

原告となった職員に対して支給されていた手当額は、月12,500円から30,200円。支給対象となっていたのは臨床職員の8割近くに上ります。

しかも同病院ではランダムに配転がなされるため、実際には臨床部門におけるほぼ全ての職員が特殊業務手当の支給対象になる可能性があります。

 

それだけ多くの職員への影響が見込まれるにもかかわらず、病院当局は、原告らが所属する全日本国立医療労働組合(全医労)武蔵支部との団体交渉においても、手当を削減する必要性について何ら合理的な説明も資料提供をしないばかりか、組合の反論にあわせて理由を二転三転させるなど、廃止ありきの態度をとりつづけました。

結局病院当局は一方的に就業規則を不利益変更し、昨年4月から手当削減を強行しました。手当は今後毎年20%ずつ削減され、2022年3月を最後に全廃される予定です。

 

記者会見では、原告で看護師の田村典子さんから、「私たちの仕事の特殊性は今も変わっておらず、非常に大変で退職者が多い。手当がなくなれば、ますます人が離れていく」といった現場の声が紹介されました。
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(会見後、記者に囲まれ取材を受ける原告)


本件裁判は、このような特殊業務手当廃止を内容とする就業規則の不利益変更は労働契約法10条に照らして不合理で無効であることを理由に、削減された手当差額の支払い等を求めるものです。

 

現在でも他の国立研究開発法人の病院や国立病院機構の病院では、同じ「特殊業務手当」の支給が続いていますが、削減の動きがあるようです。

このNCNPで手当廃止を許せば、全国的な手当廃止への突破口を開いてしまうことになりかねません。

 

医療とその担い手を守るため、手当廃止を許さない闘いが重要です。

弁護団は、当事務所の青龍弁護士、小部弁護士、川口弁護士と私加部です。

応援・ご支援をよろしくお願いいたします。

 

※6月18日東京新聞、産経新聞、しんぶん赤旗など各種メディアに取り上げていただきました。

産経新聞
https://www.sankei.com/affairs/news/190617/afr1906170045-n1.html

産経デジタルiza(イザ!)

https://www.iza.ne.jp/smp/kiji/events/news/190617/evt19061719010046-s1.html

新入弁護士の加部歩人です。

 

宮古新報労働組合を応援するため、1月19日(土)・20日(日)、事務所の先輩である岸朋弘弁護士と共に宮古島へ飛んできました!

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宮古新報()では、以前から座喜味弘二代表取締役社長(87)による従業員を使用人扱いするワンマンな経営姿勢や、従業員をつき飛ばす等のパワーハラスメント、女性従業員に対するセクシュアル・ハラスメントが横行しており、従業員の中には不満とストレスが蓄積。宮古新報労組は人数も数人と少なく、苦しい闘いを強いられてきました。

 

昨年10月、長年勤続していた編集長が社長と対立して辞職したのをきっかけに、社員が続々と労組に加入。11月には初めて社長退任要求を掲げて団体交渉を開始し、1月4日には誠実な団交を求めて沖縄県労働委員会にあっせん申請を行いました。

 

そんな矢先の1月9日、座喜味社長は「翌10日の業務をもって会社清算・全員解雇」と一方的に組合に通告。組合員の間に動揺が走りましたが、以後も宮古島に2紙しかない新聞社としての責任を果たすべく、新聞発行を続けることで一致団結しました。

 

私たちは、職場で新聞発行を続ける組合員の皆さんや支援の皆さんの法的疑問にこたえるため宮古入り。
社屋には、全国から連帯・支援の声、声、声。
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到着後、まずは支援の組合の皆さんから概要説明や疑問点の確認。支援には、ライバル紙である宮古毎日新聞の労組も加わっています。

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この後、労組の全体ミーティングがもたれ、疑問点に対する解決策が共有されました。組合員の皆さんからは、安堵の声も聞かれる中、チラシ受注に関して担当者から葛藤の声も。「その葛藤を、新聞に書いて取引先にも知ってもらおう!」との声が上がり、さっそく翌日の紙面に反映されました。この意思決定・行動の速さには脱帽です。

誰も経験したことのない事態に直面し、大きな不安を抱えながらも、皆で課題を洗い出し、不安をぶつけ合い、一人ひとりの知識を統合して対策を練っていく姿に、心から尊敬の念を覚えました。
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宮古新報労組結成当初からの組合員の方は、「昨年10月以降、怒涛の日々だったが、こんなことが今出来ていることに自分でも驚いている。初めて『組合活動をしている!』という感じ。組合だけの力ではなく、支援の皆さんがあってこそ、できていることだ」と話します。

(↓社屋と連帯の横断幕をバックに。左から、岸弁護士、結成時からの組合員の方、加部)

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昨年10月に組合加入した広告制作担当の方は、「社長の被害にあっている仲間を助けたかったが、一人で社長に対峙すると個人に報復が来るのが怖い。だから労組に入って、団結した。みんなも同じ思いで加入したと思う」と話します。副社長との面談の席上で、従業員がつぎつぎに加入申込書にサインしたのだそうです。

 

今回の宮古入りで、「団結」の凄さ、強さを目の当たりにしました。新人の私にとっては、語弊はありますが本当に貴重な経験でした。

離島での争議は、労働委員会に行くにも上部団体等と打合せをするにも、大きな労力・費用がかかり本当に大変です。小さなコミュニティーだけに、島民の目が気になって心が折れそうになることもあるそうです。現場からは、争議がうまくいった場合でも、その後支援が途切れたらどうすればいいのか不安…といった声もきかれます。

 

引き続き、そして益々の、全国的な支援と連帯が不可欠です。

私たちも応援します!

「あららがま(なにくそ、負けるもんか!)」、宮古新報労組!!

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