東京法律事務所blog

カテゴリ: ハラスメント

弁護士の今泉義竜です。

本日7月5日に予定されていた三菱UFJモルガン証券・パタハラ事件の証人尋問期日が延期となったことについて、
毎日新聞の今村記者が記事にしてくれました。
パタハラ裁判の証人尋問延期 注目集まり過ぎて

詳細は記事のとおりですが、
本日、延期となった証人尋問の代わりに裁判所にて進行協議があり、
仕切り直しの証人尋問を10月9日(水)10時~東京地裁527法廷にて実施することとなりました。
傍聴券交付の事件となり、抽選とはなってしまいますが、多くの方に来ていただければと思います。

今日の期日ではもう一つ、大きな進展がありました。
こちらがグレンさんに対するハラスメントの目撃者として申請したものの
裁判所が必要性に乏しいとして証人採用をしていなかった(採否留保していた)方について、
10月9日に呼んで証言を聞くという証人採用決定がなされたのです。

この方はニューヨークの関連会社に勤務していて解雇された方ですが、
グレンさんと同じ上司らからハラスメントを受けたとしてアメリカで裁判を起こし、
既に和解で解決した方です。

グレンさん側で証言をしてくれる唯一の重要な証人になります。
引き続きぜひご注目下さい。


※過去記事はこちらをご参照ください。




 

 弁護士の中川勝之です。

 

 6月28日、株式会社アシックスに勤務している首都圏青年ユニオン組合員が同社を被告として、東京地方裁判所に提訴しました。笹山尚人弁護士とともに担当しています。

 

事件の概要は、訴状の「はじめに」で次のようにまとめました。

 

本件は、労働者である男性の原告が、使用者である被告における問題を通報等したことでいじめ・嫌がらせを受け始め、さらに、被告はそのダイバーシティ(多様性)の推進の方針に反し、育児休業を取得したことを理由に、原告に対して出向命令や配転命令をし、人事部付きに追いやっていじめ・嫌がらせ(パワハラ)乃至いわゆるパタハラを続け、さらには二度にわたって懲戒処分をしてきたため、原告は、働きやすい職場を求めて、現在の配属部署に勤務する労働契約上の義務の不存在の確認、二度の懲戒処分の無効の確認、損害賠償等を請求するに至った事案である。

 

 原告の職場は、概要、次のように推移しました。

 

入社してプロモーション業務にかかわる2つの職場

↓配転

A(10か月)

↓配転

B(約2か月半)

↓配転

C(約10か月半)

↓配転

D(約1年7か月、うち合計約1年2か月半育児休業取得)

↓出向(本件出向命令)

E(3か月)

↓配転(本件配転命令)

F(6月末現在で2年9か月、うち合計約1年育児休業取得、取得前に本件譴責処分、本件減給処分を受ける)

 

 原告は記者会見で、子育てしやすい環境を求めたいと語りました。皆様からのご支援を宜しくお願いします。

 なお、当事務所では、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券パタハラ事件」を今泉義竜弁護士及び江夏大樹弁護士が取り組んでいます。あわせてご支援を宜しくお願いします。

 

<報道ありがとうございます>

「育休復帰直後、子会社に」 アシックス男性社員が提訴

https://www.asahi.com/articles/ASM6X4W4RM6XULFA012.html?iref=pc_ss_date

育休後に子会社出向、男性社員がアシックスを提訴

https://mainichi.jp/articles/20190628/k00/00m/040/204000c

「育休取ったら嫌がらせ」 アシックスを男性社員提訴

https://www.sankei.com/affairs/news/190628/afr1906280034-n1.html

アシックス男性社員が育休で提訴 「取ったら嫌がらせ」

https://this.kiji.is/517254901789918305

「パタハラ」でアシックス提訴=「配置転換で嫌がらせ」-東京地裁

https://www.jiji.com/jc/article?k=2019062801108&g=soc

「パタハラ」などでアシックス男性社員が同社を提訴、育休復帰後初日の出向命令などを不当と訴え

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5d15cdf5e4b07f6ca57b52fd

アシックス男性社員「パタハラ」で提訴 育休明け倉庫勤務「圧力であり、見せしめ」

https://www.bengo4.com/c_23/n_9816/

アシックス社員「パタハラ」提訴

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190628/1000032062.html

アシックス社員が会社を提訴、関連会社出向は「パタハラ」

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3712096.html

男性社員 アシックス提訴 育休後 不当配置転換など

https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/news/post_180332/

育休めぐり「パタハラ」被害 アシックス現役社員が会社を提訴

https://www.fujitv.co.jp/goody/

弁護士の江夏です。

私と笹山弁護士が担当しているシステムディ事件について、
12月19日に東京高裁は私たちの請求を全面的に認める判決を出しました。
長い判決ですので、判決の一部をご紹介します。

★暴言は許されない★
会社社長は従業員(依頼者)に対して、「給料泥棒」「会社の寄生虫」「役立たず」「無能」と言った言葉を浴びせました。社長はこの発言について「従業員に反省を促し前向きな気持ちを持つことを期待して問いかけた」と弁解しました。もちろん、このような弁解を裁判所は認めませんでした。
判決で、社長はこの暴言について慰謝料20万円を支払うよう判断されています。
さらに依頼者を休業に追い込んだ一連のパワハラにつき総額343万円の賠償責任があると判断しました。

★基本給の減額は許されない★
この会社は、従業員の基本給を17%カットしました。給料を減額して従業員を辞めさせたかったのでしょう。
会社の賃金規定には「基本給は本人の経験、年齢、技能、職務遂行能力等を考慮して各人別に決定する」と規定されていました。会社は、従業員の基本給をカットしたのは「本人の技能や職務遂行能力があまりに低い」と主張しました。
しかしながら、このような会社の主張も認めれませんでした。
なぜなら、この会社には、合理的な基準がないからです。
東京高裁判決では「職務遂行能力の欠如を理由とする賃金の引下げは、双方の合意に基づくか、就業規則・賃金規定等に定められた合理的な基準に従うことが必要であるが、本件においてそのような合意や基準がない」と判示しています。
基準が無いと、会社が自由に労働者の給料を引き下げることができちゃいますが、それは許されないのです。給料引き下げには、本人の同意、もしくは「合理的な」基準がなければならないのです。

その他にも、休業損害等の会社の責任が認められ、総額1100万円以上が認容されました。
パワハラの代償は極めて大きなものでした。

弁護士の今泉義竜です。
12月14日、グレン・ウッドさんを原告、三菱UFJモルガン・スタンレー証券を被告として、
東京地裁に損害賠償と賃金を求める本裁判を提訴し、本日15日に記者会見をしました。
江夏大樹弁護士と担当しています。
各社に報道していただきました。
Bloomberg /三菱モルガンの外国人幹部がパタハラで本訴訟、損賠など4000万円
Business Insider Japan/ 三菱UFJモルガンをパタハラで提訴 —— 休職命令を受けた幹部、安倍首相に書簡
HuffPost Canada / A Canadian Single Dad Says He Was Harassed For Taking Paternity Leave In Japan
弁護士ドットコム/「パタハラ」で三菱UFJモルスタ証券を提訴、カナダ出身男性「最高裁まで戦う覚悟」
7394_2_1
(写真は弁護士ドットコムより)
(※なお、各社記事中で4000万円などとあるのは、訴額のことであり、これは説明が面倒なので割愛しますが必ずしも請求額とは一致していません。)

 

ー請求内容-
請求している内容は以下のとおりです。

1 損害賠償請求

⑴ 当初の育休申請の拒否:慰謝料100万円。

⑵ 育休取得後の不利益扱い:慰謝料100万円。

⑶ 育休取得後の賞与ゼロ査定:前年同程度の賞与相当損害金。

2 賃金請求

 2017年10月18日付休職命令は違法・無効なので、10月18日以降も賃金を支払え。


―経過―
こちらの主張する事実の経過及びそれらについての法的評価は以下のとおりです。

1 育児休業取得拒否

 グレンさんは2015年11月24日からの育児休業を取得する旨の申請をしたものの、会社は母子手帳が無いことなどを理由に拒否し、育休許可が出たのはグレンさんが息子との父子関係を示すDNA鑑定を出した後の2015年12月25日であった。
→育介法5条、6条違反
※育介法5条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
※育介法6条 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。

2 育児休業から復帰後の仕事外し

 グレンさんは育休を経て2016年3月から仕事に復帰した。
 しかし、上司は従前のマネジメント業務に戻さず会議にも呼ばないなど不利益扱いをした。
 従前の仕事を奪われたグレンさんの健康状態は悪化しうつ状態となり2017年1月17日から休職に至った。
→育介法10条違反
※育介法10条 事業主は、労働者が育児休業申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

3 2016年4月~2017年3月の期間についての賞与ゼロ

 グレンさんには2015年(2014年4月~2015年3月)には7か月分程度、2016年(2015年4月~2016年3月)には育休取得もあったが5か月分程度が出ていた。
 しかし、2017年賞与(2016年4月~2017年3月)はゼロとされた。
 育休復帰直後の2016年4月~9月についての被告によるグレンさんの業績評価は5段階中3で標準的な評価であった。
 査定期間のうち2017年1月~3月については休職しているという事情はあるとはいえ、いくらなんでも賞与ゼロというのは会社に許される裁量の範囲を越えた不利益扱いである。
→育介法10条違反、裁量権の逸脱・濫用

4 休職命令→基本給の半減の提案

2017年1月17日からの療養後、7月11日に復職可能との診断書を得て会社に復職を申し出、産業医も復職可能と判断した。
 しかし、会社人事部は体調が十分ではないとして年俸を半減させる別業務での復職を提案。
 グレンさんが原職への復帰を求め続けたところ、会社は2017年10月18日付でグレンさんに休職命令を発し、現在に至っている。

休職命令は以下の点で違法である。

①主治医・産業医とも復職可能と診断しており、原告は治癒しておりそもそも休職事由が消滅している。

②人事部は主治医・産業医にほとんど聞き取りをしておらず、独断で復職不可と判断しており、休職命令に至る手続きに問題がある。

③会社が代わりに提案した業務が給与半減の事務教務という、全く異なる業務でありその提案自体が極めて不合理。


―仮処分手続きを取り下げるに至った経過―
 なお、本件については弁護団は当初本裁判ではなく、「賃金の仮払いを求める仮処分手続き」という保全の手続きを選択しました。
 というのも、グレンさんは休職したままであると、息子の事実上の母親代わりを担っている看護師の本年末に更新期限を迎えるビザの更新許可がされないこととなります。そこで、迅速なペースで審理がされる仮処分手続きを利用しつつ、実質的には会社との話し合いによる早期復職を目指したのです。
 仮処分手続きでは、10月26日の申立から12月13日までの間に、4回の審尋期日が開かれました。

しかし、審尋のなかで、会社はハラスメントは一切ないと主張し、すべてはグレンの「被害妄想」「誇大妄想」であり、病気が回復していないことの裏付けである旨主張しました。
 さらに、会社は、和解により原職復帰をさせるための絶対条件は、「メディアで述べたことがすべて誤解に基づくものであったことを公表すること」であるなどと述べました。

このような会社の強行な態度から、裁判官からは、話し合いによる解決が困難であること、また、原告の生活が直ちに困窮するという状態にあるとは言い難い状況で、母親代わりの看護師の在留資格更新のためというだけでは、保全の必要性は弱く、仮処分手続きの枠内でこれ以上の審理を続けることは困難との見解が示されました。
 裁判官には、復職に向けた話し合いの場を粘り強くもっていただきましたが、仮処分手続きによる解決は断念し、本訴提起に至ったものです。

本件では、グレンさんは、育休復帰後に仕事を奪われたと主張しているのに対し、
会社は仕事は全く変わっていない、と主張しており、
そこが本件では決定的に言い分が食い違っている点です。
裁判では主にそこが争点になっていくと思われます。

私は弁護士としてだけではなく、子育て世代の仲間の一人として、
グレンさんと未来ある小さなお子さんのために、
江夏弁護士とともに本件の勝訴のために全力を尽くす覚悟です。

ぜひご支援をお願いいたします。





弁護士の今泉義竜です。
10月26日、三菱UFJモルガンスタンレー証券・パタハラ事件で仮処分を申し立てました(江夏大樹弁護士と共同受任)。
※パタハラ(パタニティ・ハラスメント/paternity harassment):男性の育休取得の妨害や育休取得を理由とした不利益扱いのこと。

各社が記事を配信してくれました。

三菱モルガンの外国人幹部、休職扱いめぐり申し立て-東京地裁(ブルームバーグ)
育休で「パタハラ」 三菱UFJモルガン社員が仮処分申請 (日経新聞)
仮処分申請「理由なく休職命令」イクメンが無効申し立て(毎日新聞)
「パタハラ」で仕事干され、うつ病、休職命令…証券会社勤務の男性、仮処分申し立て(弁護士ドットコム)
7144_2_1
(写真は弁護士ドットコムより)

当事者のグレンさんは早期の復職実現を求めています。
ちなみに、会社社長は本年5月24日にイクボス宣言をしているようです。
【イクボス宣言】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の長岡社長がイクボス宣言
本件を速やかに解決する英断を期待しています。

以下に、プレスリリースをした際の事案の説明を転記します。


―事案の概要―

①雇用契約の締結

申立人:グレン・ウッド氏(Glen Wood)

相手方:三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

 グレンは相手方との間で雇用契約を締結し、2012年9月1日から就業を開始。ゴールドマンサックスやメルリンチ証券での就業経験を持つグレンと、海外顧客への営業・販売体制を構築したい会社の思惑が一致し、グレンは『外資系機関投資家向けの日本株関連商品のセールスチームの体制構築、及びその統括』業務を担当することになった。

 グレンを迎え入れて以降、海外セールスチームの売上は軌道に乗り、2016年時には2012年時と比較し、2倍以上の売上が計上されるなど、会社には大きな収益がもたらされると共に、海外セールスチームは安定軌道に乗った。

②育児休業取得の制限

 2015年秋にグレンのパートナーが海外で子どもを出産することとなった。グレンは育児休業を取得する旨の申請をしたものの、DNA鑑定が求められるなどして許可手続が停滞し、なかなか認められなかった。結局、育休取得ができないまま、2015年10月に息子が出生した(早産で未成熟児であった)。グレンは会社から育休許可がでないままやむなく息子のもとへ駆けつけた。結局、育休許可が出たのは2015年12月25日であり、それまでは欠勤扱いとされた。

③育児休業から復帰後の仕事外し→体調の悪化

 グレンは事情によりパートナーと結婚はせず、息子を日本に連れて帰りシングルファーザーとして2016年3月から仕事に復帰した。グレンは、24時間態勢で息子の面倒を見てくれる外国籍の看護師を雇い、母親の代わりをしてもらった。しかし、復帰直後より、上司はグレンに少人数のクライアントのみを担当させ、仕事を干した。従前の仕事を失ったグレンの健康状態は悪化し不眠の状態が続いた。

④復職条件として会社は基本給の半減を提案→原職復帰を求めると休職命令

 仕事外しに悩んだグレンはうつ病を発症させ、2017年1月から休職した。グレンは半年の療養後、7月に復職可能との診断書を得て会社に復職を申し出たところ、会社は体調が十分ではないとして年俸を半減させる別業務での復職を提案した。グレンが原職への復帰を求め続けたところ、会社は2017年10月18日付でグレンに休職命令を発し、現在に至っている。

―申立人の主張―

①休職命令はパタニティ・ハラスメントの一環である

 グレンは海外セールスチームの統括業務を遂行し、成果を出することに生き甲斐を感じていた。しかし、会社は、育休取得を妨害し、育児休業から復帰したグレンの仕事を干し、やりがいを奪いうつ病を発症させた上、療養期間経過後に主治医、産業医が復職可能と判断しているにもかかわらず復職を認めないという対応を取った。
 この一連の会社の対応は、育児休業取得を理由とする不利益取扱いすなわちパタニティ・ハラスメントである(育児介護休業法10条違反)。

②仮処分により速やかに救済されるべき

 グレンはシングルファーザーであり、息子の面倒を見るため、外国籍の看護師を雇っており、息子は実の母親のように慕っている。しかし、グレンが休職したままであると、本年末に更新期限を迎える看護師のビザは更新許可がされないというのが入国管理局の取り扱いであり、その結果息子は事実上の母親を失ってしまう。仮処分手続きにより迅速に解決させる必要がある。

以上


↑このページのトップヘ