弁護士の加部です。

東京都小平市にある国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター(NCNP)病院に勤務する看護師6名と保育士1名が、6月17日、昨年廃止されてしまった「特殊業務手当」の支給等を求めて、東京地方裁判所立川支部に訴訟を提起しました。同日、霞が関の厚生労働記者会で記者会見を行いました。

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NCNPは、元々国立病院であったものが独立行政法人化を経て国立研究開発法人となったものであり、わが国において精神・神経疾患の臨床研究を推進する中核的役割を担っているセンター病院です。

NCNP病院では従来、重い精神疾患、神経疾患、筋疾患等の患者が入院する病棟に勤務する職員に対して、病棟と職種によって定まる一定額の「特殊業務手当」が支払われています。国立病院時代から支給されていた同種の手当と合わせると、少なくとも40年かそれ以上の長期間にわたってこの手当は支給されてきました。

 

原告となった職員に対して支給されていた手当額は、月12,500円から30,200円。支給対象となっていたのは臨床職員の8割近くに上ります。

しかも同病院ではランダムに配転がなされるため、実際には臨床部門におけるほぼ全ての職員が特殊業務手当の支給対象になる可能性があります。

 

それだけ多くの職員への影響が見込まれるにもかかわらず、病院当局は、原告らが所属する全日本国立医療労働組合(全医労)武蔵支部との団体交渉においても、手当を削減する必要性について何ら合理的な説明も資料提供をしないばかりか、組合の反論にあわせて理由を二転三転させるなど、廃止ありきの態度をとりつづけました。

結局病院当局は一方的に就業規則を不利益変更し、昨年4月から手当削減を強行しました。手当は今後毎年20%ずつ削減され、2022年3月を最後に全廃される予定です。

 

記者会見では、原告で看護師の田村典子さんから、「私たちの仕事の特殊性は今も変わっておらず、非常に大変で退職者が多い。手当がなくなれば、ますます人が離れていく」といった現場の声が紹介されました。
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(会見後、記者に囲まれ取材を受ける原告)


本件裁判は、このような特殊業務手当廃止を内容とする就業規則の不利益変更は労働契約法10条に照らして不合理で無効であることを理由に、削減された手当差額の支払い等を求めるものです。

 

現在でも他の国立研究開発法人の病院や国立病院機構の病院では、同じ「特殊業務手当」の支給が続いていますが、削減の動きがあるようです。

このNCNPで手当廃止を許せば、全国的な手当廃止への突破口を開いてしまうことになりかねません。

 

医療とその担い手を守るため、手当廃止を許さない闘いが重要です。

弁護団は、当事務所の青龍弁護士、小部弁護士、川口弁護士と私加部です。

応援・ご支援をよろしくお願いいたします。

 

※6月18日東京新聞、産経新聞、しんぶん赤旗など各種メディアに取り上げていただきました。

産経新聞
https://www.sankei.com/affairs/news/190617/afr1906170045-n1.html

産経デジタルiza(イザ!)

https://www.iza.ne.jp/smp/kiji/events/news/190617/evt19061719010046-s1.html