新人弁護士の本間耕三です。

 

入所早々ではありますが,先日,事務所の皆さんとアクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)に行ってきました。

wamは,戦時性暴力とりわけ日本軍の性奴隷制度(日本軍「慰安婦」制度)に焦点を当てた記憶と活動の拠点としての資料館で,日本軍性奴隷制の責任者を裁いた「女性国際戦犯法廷」を発案・実現した故松井やよりさんの遺志を継承する形で設立された資料館です。

館内には,日本軍の性奴隷被害に遭われた方々のうち名前や写真と被害体験の公開に同意された179名の方のポートレートや女性国際戦犯法廷の判決文等の関係資料,日本軍兵士に連れ去られて「慰安婦」として働かされた女性たちの実態を描いたマンガなど,非常に数多くの資料が展示されていました。

資料館はお世辞にも広いとは言えない広さでしたが,そのスペースに比して展示されている資料の数があまりにも豊富で,館内を見て回るにはやや時間が足りないように感じました。また,展示されている資料は「慰安婦」被害の実態に迫るものが多く,その一つひとつに記された生の声は,戦時下における性奴隷制度の悲惨な実態を鮮明に私たちに伝えるものでした。中には,思わず目を覆いたくなるような被害体験もあり,被害当時の被害者やその家族の気持ちを思いやると胸が押しつぶされそうな思いがしました。

また,特別展「朝鮮人「慰安婦」の声をきく」として,朝鮮人「慰安婦」被害者183名の方々の公開証言も展示されていました。公開証言には,183名の方々それぞれの生い立ちや「慰安婦」にされた経緯,被害の実態,伝えたいメッセージなどがひとり一枚のボートにまとめられて展示されていました。公開証言と合わせて,被害女性たちの出生地または連行された地点と被害地が記された地図も展示されていました。この地図は,朝鮮民主主義人民共和国と韓国の両政府に「慰安婦」被害者として登録されているデータをもとに作成されたもので,両政府が個人情報の保護に配慮しつつ,公開可能な範囲でデータ提供に応じてくれたとのことです。

凄惨な被害を経験された方々が自らの被害を証言されるには,ただでさえ辛い記憶を呼び起こすのに大きな苦しみが伴うのに,さらにその証言を公開するとなると大変な覚悟や思いがあったのではないだろうか,またそうした覚悟をしなければならないほど日本政府の態度や対応に怒りを感じていたのだろうと思い,こうした「慰安婦」被害者たちの覚悟や思いをきちんと受け止めて,被害の事実を後世まで伝え残していくことが私たちの責務であると感じました。

館内には売店があったので,書籍を二冊ほど購入して帰りました。もっと「慰安婦」に関する理解を深めようと思います。
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