東京法律事務所blog

タグ:労働時間

弁護士の菅俊治です。

★アニメ業界のブラック化する労働環境

NHKクローズアップ現代+
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3987/

アニメ産業の労働環境について特集していました。

ほんと厳しい状況で働いていらっしゃいますよね。

私のところにも一件解決すると、また次の一件と相談がきます。
近年は、色つけとか仕上げとかは、海外で行うのが一般で、日本で制作会社と海外の請負会社との間をつなぐ、「制作進行」を担う方の相談が多いですね。


★週66時間労働?絵に描いたようなルール無視

ついこの間も、勤務をはじめてわずか6か月で身体を壊してしまった方からの相談がありました。

・使用者が求人広告を出したA社か、実際に勤務したB社かはっきりしない
・契約上の始業時刻も終業時刻もはっきりしない
・一日11時間労働、週6日労働のシフトが組まれている
・会社は実労働時間を一切記録していない
・賃金は月額14万円(残業代込み)

という絵に描いたような「ルール無視」の労働実態でした。


★労働時間を記録しよう!

幸い、この方の場合、先輩からのすすめで労働時間をメモにしていました。
そこで、
・シフト表
・労働時間を記録したメモ
をもとに労働審判を申し立てました。

今回の方は、毎日、iPhoneのメモ帳に出勤時刻と退勤時刻とをメモしていました。
記録って、本当に大事です。
佐々木亮弁護士の「裁判例に見る<労働時間>の記録の取り方」のいうとおり。https://news.yahoo.co.jp/byline/sasakiryo/20170610-00071940/


★ピンチ!債権回収できるか??

労働審判では、社長が労働実態を認めざるをえなくなり、第1回期日で請求額どおり半年分の残業代を支払わせる和解が成立しました。
ただ、資金繰りがつかないとのことで計8回の分割払いに。
悪い予感がしたので、念のためA社とB社に連帯責任を負わせる調停にしたのが幸いしました。

支払が滞ったため、B社に対して督促を繰り返しましたが、支払われず。
やむなく連帯責任を負ったA社に対して強制執行。

幸いなことに本日、満額回収と相成りました。

いまは体調も回復し、別会社で元気に働いておられます。

しかし、また別の方の申立が。。。

弁護士の菅俊治です。
安倍首相が「働き方改革」と称してきた時間外労働の上限が、実は過労死ラインの月100時間であったことがはっきりしてきました。今回は、安倍首相の労働時間の上限規制案が、がっかりな内容である上に、非常にわかりにくいのはなぜなのか、について書いてみたいと思います。
(書いていることは、所属事務所や所属団体の見解とは関係がありません)

1 評判の悪い安倍内閣の「月100時間残業裁定」

安倍内閣が、繁忙期の残業の規制について「月100時間未満」とするよう裁定したとのことです。
経団連が「月100時間以下」と譲らず、安倍内閣は経団連をそれ以上説得しようとしませんでした。

この裁定は、非常に評判が悪いようで、早速、諸方面から批判の声があがっています。
電通事件の高橋まつりさんのお母さんの幸美さんも、過労死遺族の一人として強く反対するコメントを発表しました。
このような長時間労働は健康にきわめて有害なことを、政府や厚生労働省も知っているにもかかわらず、なぜ、法律で認めようとするのでしょうか。全く納得できません。
月100時間働けば経済成長すると思っているとしたら、大きな間違いです。人間は、コンピュータでもロボットでもマシーンでもありません。長時間働くと、疲れて能率も悪くなり、健康をそこない、ついには命まで奪われるのです。
人間のいのちと健康にかかわるルールに、このような特例が認められていいはずがありません。
繁忙期であれば、命を落としてもよいのでしょうか。
命を落としたら、お金を出せばよいとでもいうのでしょうか。
娘のように仕事が原因で亡くなった多くの人たちがいます。死んでからでは取り返しがつかないのです。
どうかよろしくお願いします。
安倍首相は、3月14日の会見で「極めて画期的で、労働基準法70年の中で、歴史的な大改革だ」と誇らしげに語ったようですが、記者も白けムードのようです。

どこが働き方「改革」ですか?看板倒れでしょ。。。
これじゃ今までと働き方は変わらないね。
というのが大方の見方ではないかと思います。

2 「過労死ライン」を無理矢理持ち込んだ経団連・安倍首相
ところで、3月13日(月)に公表された内閣官房働き方改革実現推進室の説明資料(「時間外労働の上限規制の状況 説明資料」3月10日付。以下「説明資料」)を読んでみると、36協定の時間外労働の上限の議論と、休日労働も含めた広い意味での時間外労働の上限の議論とが、区別されず、ごちゃごちゃにされています。
記者や弁護士仲間からも、「これどうなってるの?」と質問を受けます。

なんでそんなことになったかというと、経団連・安倍首相サイドが、「過労死ライン」さえ超えなければいいという姿勢で、36協定の時間外労働の上限規制の議論に、労災認定に関する過労死ラインという本来異質なものを持ち込んだからですね。

そのおかげで、安倍首相の「説明資料」は、「内容がよろしくない」ことに加えて、「非常にわかりにくい」ものになっています。

「わかりにくい」ということは、「使いづらい」ということとほとんど同義ですので、その点でも安倍首相には「一度撤回して、再検討したほうがよい」とお奨めします。

すこし解説してみましょう。

(1)36協定の限度時間=原則月45時間、年360時間
「説明資料」はまず、
週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、月45時間、かつ、年360時間とする。
とします。
労基法は、1日8時間、1週40時間以上働かせてはならない(労基法32条)と禁止していますが、36協定があるとそれを超えて働かせてもよい(労基法36条)ことになりますね。
しかし、36協定で超えていい時間にも限度がある。
その限度は、月45時間、かつ、年360時間が原則だというわけです。

ここでいう「時間外労働」には、休日労働は含んでいません。休日労働は、これとは別に協定しなくてはさせてはならないし、割増率も35%以上と高く設定されています。

(2)36協定の限度時間の例外
ただし、「説明資料」は、この限度時間にも例外があって、「臨時的な特別な事情がある場合」には、時間外労働は1年720時間までは許されるとします。特に根拠は示されていません。
臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない年間の時間外労働時間を1年720時間とし、かつ、1年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設けることとする。
ここでいう「時間外労働」にも休日労働は含まれていません。
休日労働を含まず、「時間外労働」だけで年間720時間って、異常に長いと思います。
年間2700時間というレベルです。
月の所定労働時間を170時間とすると、4か月+1週間分余計に働く計算です。
「臨時的な特別な事情」とはいえないはずです。「臨時」ってせいぜい1年に1か月か2か月でしょ。

重大な争点なんですが、本稿はそこに触れるのが主題でないので、先に進みます。

「かつ」以下の具体的な数字は、まだ触れられていません。

(3)突然、労災認定基準「時間外労働+休日労働」が持ち込まれる
問題は、その次です。
「説明資料」は、以下の上限を設定しています。
この上限について、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の平均で、いずれにおいても、80時間以内を満たさなければならないとする。
今般の労使合意に従い、単月では、実効性と実現可能性の双方に鑑み、100時間を基準としなければならない(この点は、「未満」か「以下」で見解が異なり、労使間でセットされていない)こととするが、他方、労使が上限値までの協定締結を回避する努力が求められる点で合意したことに鑑み、さらに可能な限り労働時間の延長を短くするため、新たに労働基準法に指針を定める規定を設けることとし、行政官庁は、当該指針に関し、使用者及び労働組合等に対し、必要な助言・指導を行えるようにする。
1ヶ月あたり100時間、2~6ヶ月間に1ヶ月あたり80時間というのがいわゆる「過労死ライン」(脳・心臓疾患に関する労災認定基準)で、逆にいえば、これを超えないかぎり、ぎりぎりまで働かせることを認めよ、という考えなわけです。

ところで、「この上限」という文章の流れからすると、ここでいう「月100時間」「1ヶ月あたり80時間」には、休日労働が含まれていないように読めます。
しかし、記者から伝え聞くところによると、官邸は「時間外労働+休日労働」の総量を制限したものだと説明しているということです。「過労死ライン」は「時間外労働+休日労働」の総量で判断するからです。
つまり、この部分だけ、「時間外労働+休日労働」の話をしています。

<追記>
この過労死の認定基準を、日常の労働時間の量的規制に用いるのは、あまりにも面倒で実用に耐えないのではないかと思います。
労災認定の場合は、「発症日」が特定の日に決まり、そこから遡って直近はどうか、1か月はどうか、2か月平均はどうか、3か月は平均は・・・6か月平均はという作業をします。
面倒ですけど、一回やればいい。

しかし、今回、設けようとしているのは日常の労働時間の量的規制です。
2か月平均、3か月平均、・・・6か月平均は、といちいちチェックしますかね?
<追記おわり>

(4)月45時間を上回ってよいのは年6回まで
「説明資料」は、また「時間外労働」(休日労働は含まず)の話にもどります。
月45時間を超えていいのは年6回までであると。
加えて、時間外労働の限度の原則は、月45時間、かつ、年360時間であることに鑑み、これを上回る特例の適用は、年半分を上回らないよう、年6回を上限とする旨、労働基準法上、義務づける。
なぜ「6回」かの根拠はありません。おそらく7回みとめると、さすがに「臨時的な特別の事情」「一時的に事務量が増加する場合」とはいえないからでしょう。

(5)安倍首相の考え方
 要するに、「説明資料」の考え方は、
  •  1年のうち半分は、時間外労働月45時間を守りなさい。
  • 残る期間は「過労死ライン」の極限までは働かせてもいいですよ。 
  • ただし、時間外労働は年間720時間は超えてはいけません。 
 ということになります。
これのどこが、「歴史的大改革」なんでしょうね。。。
しかも、非常にわかりにくい。

3 せめて「月75時間」とすべきであった
わかりにくい原因は、「経団連・安倍首相サイドが労災認定基準を無理矢理持ち込んだからだ」と書きました。

この「過労死ラインさえ違反しなければよい」という腐った根性を取りさっただけでも、かなり見通しのよい制度になります。
  • 1年のうち半分は、時間外労働の上限月45時間を守りなさい。
  • ただし、時間外労働は年間720時間は超えてはいけません。
という命題は維持したうえで、
  • ある月だけ突出して長く働くというのは危ないので避ける。わかりやすくする。
という考え方に立つと、以下の図のように整理できます。
screenshot.png
★所定労働時間(一番下の薄いブルー)
わかりやすくするため、
1ヶ月の所定労働時間は概算170時間(年2040時間)としました。

★月45時間規制(その上のブルー)
その上の45時間が1ヶ月の標準限度時間(年540時間)。

★月75時間規制(一番うえの濃いブルー)
年間720時間を超えてはならないので、年間あと180時間の「余裕」がある。
月45時間を超えていいのは年6ヶ月までなので、180時間÷6か月=30時間
よって、多い月でも月75時間が限度。

いずれも「時間外労働」であり、休日労働は含みません。
これを違反すると罰則を科すという量的上限規制です。

★「過労死ライン」
その上の赤い「80時間ライン」、黒い「100時間ライン」は、労災認定基準です。
こちらは「時間外労働+休日労働」です。
結果としてこれを超えないようにしなければならないのは当然です。
そうしないと安全配慮義務違反(民事上の債務不履行)になりますから。
しかし、さしあたり労基法違反の罰則には持ち込まないこととしておく。

以上のように、
「時間外労働」(休日労働含まず)は原則月45時間
多い月でもせめて最大75時間。最大年6か月まで。

せめてこのように設定しないと、
  • 休日労働を含めて1ヶ月あたり80時間、100時間という過労死ラインも容易にオーバーしかねないし、
  • なによりもわかりにくくて仕方が無い。
実は、この議論、
「働き方実現会議」の議員のおひとりである白河桃子さんが、会議で発言されています。
白河さんは、さらに月間65時間は2ヶ月連続禁止、月間45時間は3か月連続禁止など、傾聴に値する提案をされています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/dai7/siryou3.pdf
月間75時間って、やっぱり長すぎますからね。。。「せめて75時間」と書きましたけど、私もなんらかの付加的な規制が必要で、白河さんの案はひとつの考え方だと思います。

しかし、安倍首相は、白河さんのような建設的な(ある意味妥協的な)意見にすら、耳を傾けようとしません。

4 中身のない「勤務間インターバル」
白河さんは、月間12時間の勤務間インターバルの義務化を提案しています。

他方、安倍首相の「説明資料」は、単なる努力義務でお茶を濁しています。
勤務間隔時間について数字を示しておらず、中身がありません。
労働時間等の設定の改善に関する特別措置法を改正し、事業者は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の努力義務を課し、
制度の普及促進に向けて、労使関係者を含む有識者検討会を立ち上げる。
また、政府は、同制度を導入する中小企業への助成金の活用や好事例の周知を通じて、取り組みを推進する。
白河さん以外にも、働き方改革実現会議では、さまざま建設的な意見があがっていましたが、安倍首相の「説明資料」は、経団連に遠慮をし、働き方改革に対して及び腰といわざるをえません。

5 「5年を経過した後の適当な時期」の見直しか、「5年の経過措置」か
安倍首相の「説明資料」は、
政府は、この法律の施行後5年を経過した後適当な時期において、この法律による改正後の規定の実施状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとする。
としています。
「5年を経過した後適当な時期」ですから、いつになるとも約束していません。
どんな方向の見直しなのかも、はっきりしません。
これでどうして、「今回の合意は大きな一歩だが、最初の一歩にすぎない」(安倍首相の14日会見発言)などといえるのでしょうかね。

働き方「改革」と称するならば、「経過措置」を設定して、大胆な提案をすべきです。
この記事では多く触れませんでしたが、時間外労働を年720時間まで許容するところが異常です。
限度時間の適用除外業種(建設、運転、研究開発など)も手つかず。
実労働時間の把握(労働時間隠し)についても触れず。

ちなみに、私の所属する日本労働弁護団は、2014年11月28日に、「あるべき労働時間法制の骨格〔第1次試案〕」を発表しています。将来、このような議論になることを見越して、労働時間の量的上限規制(1日2時間、協約で4時間まで延長可。1週48時間、協約で55時間まで延長可。1年220時間)、勤務間インターバル(連続11時間)に絞って提案しています。
私たちは、労働時間の量的上限規制については、「激変緩和措置」として「5年の経過措置」を提案しています。5年後には完全実施するという趣旨です。
http://roudou-bengodan.org/proposal/post_76/

(私は「75時間&45時間」と提案しているわけではないので、誤解されないようお願いします。)

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弁護士 菅俊治
東京法律事務所
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弁護士の今泉義竜です。

 

今日210日は衆議院議員会館の院内集会に参加してきました。

「高プロ・裁量労働制の規制緩和に反対し、真に実効性のある長時間労働の規制を求める院内集会」です(労働弁護団、過労死弁護団全国連絡会議、全国過労死を考える家族の会共催)。

私は労働弁護団の事務局次長という役職をやっており、記録係としての参加です。


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告知の時間が短かったのでどれだけ集まっていただけるか不安でしたが、予想を大きく超える350名以上の方々が詰めかけてくれました。実効的な労働時間規制を今こそ実現しよう、高度プロフェッショナル制度・裁量労働制の規制緩和は絶対に許さない、という熱気が会場全体を包み、身震いのする集会でした。

各社も報道してくれています。

NHK
buzzfeed
弁護士ドットコム
TBS
テレビ朝日
毎日新聞
朝日新聞
日本テレビ

川人博弁護士から、電通過労死事件の高橋まつりさんが朝の6時から「38時」を超える勤務をしていた実態などが紹介され、あまりの長時間労働に会場からは驚きの声が上がりました。

川人講演
川人講演②

高橋まつりさんのお母さんからの、ビデオメッセージが紹介されました。

「娘のいのちの叫びを聞いて下さい。娘の死から学んで下さい。死んでからでは取り返しがつかないのです。」

すべての人が受け止めなければいけないメッセージだと思いました(最後に全文を掲載しました)。
高橋幸美さんメッセージ動画

まつり母

また、過労でうつ病を発症した被害者の方や、子ども、夫を過労死で亡くした遺族の方々のお話もあり、いずれも胸を強く打つ内容でした。

民進党から蓮舫議員、山井和則議員、井坂信彦議員、大西健介議員、長妻昭議員、牧山ひろえ議員、阿部知子議員、共産党から田村智子議員、高橋千鶴子議員、吉良よし子議員、自民党の長尾敬議員、社民党の福島みずほ議員も詰めかけてくれ、連帯の挨拶をしてくれました。発言はされずに退席された議員、秘書に来ていただいた議員も多数いらっしゃいました。

 蓮舫 (1)吉良

働きすぎで命を落とすなどということは決してあってはなりません。子どもたちに、親を失うというつらい思いをさせてはいけない。また親として、将来子どもたちを働きすぎで失うなどということは絶対に許されない。改めてそう思いました。

長時間労働の実効的な規制を本当に実現するため、私も自分のできることをがんばっていきたいと思います。
 

院内集会の全発言要旨

【電通過労自殺・高橋まつりさんお母様からのメッセージ(全文)】


はじめまして。髙橋幸美と申します。


亡き娘まつりの過労死について、多くの励ましの言葉をいただき、ありがとうございます。


この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。


娘は、たくさんの夢を抱いて社会に出てから間もなく、望みを叶えることなく、亡くなってしまいました。


母である私は、会社から娘を守ることができませんでした。悔しくてなりません。


娘は、一日2時間しか、一週間に10時間しか眠れないような長時間労働の連続でした。この結果、疲れ切ってしまい、うつ病になり、いのちを絶ちました。


娘のように命を落としたり、不幸になる人をなくすためには、長時間労働を規制するための法律が、絶対必要だと思います。


36協定の上限は、100時間とか80時間とかではなく、過労死することがないように、もっと少ない残業時間にしてください。


また、日本でも、一日も早く、インターバル規制の制度をつくり、労働者が、睡眠時間を確保できるようにして下さい。


残業隠しや36協定違反などの法令違反には厳しい罰則を定めるのが大事だと思います。


逆に、労働時間の規制をなくす法律は、大変危険だと思います。


高度プロフェッショナル制や裁量労働制など、時間規制の例外を拡大しないでください。


24時間365日、休息を取らずに病気にならないでいられる特別な人間など、どこにもいないからです。人間は、コンピューターでもロボットでもマシーンでもありません。


娘のように仕事が原因で亡くなった多くの人たちがいます。それが日本の現実です。


経済成長のためには、国民の犠牲はやむをえないのでしょうか。


今の日本は、経済成長のために国民を死ぬまで働かせる国になっています。


娘は戻りません。娘のいのちの叫びを聞いて下さい。


娘の死から学んで下さい。死んでからでは取り返しがつかないのです。


ぜひ、しっかりと議論をして、働く者のいのちが犠牲になる法律は、絶対につくらないでください。娘は、たくさんの夢を抱いて社会に出てから間もなく、望みを叶えることなく、亡くなってしまいました。
母である私は、会社から娘を守ることができませんでした。悔しくてなりません。
娘は、一日2時間しか、一週間に10時間しか眠れないような長時間労働の連続でした。この結果、疲れ切ってしまい、うつ病になり、いのちを絶ちました。
娘のように命を落としたり、不幸になる人をなくすためには、長時間労働を規制するための法律が、絶対必要だと思います。
36協定の上限は、100時間とか80時間とかではなく、過労死することがないように、もっと少ない残業時間にしてください。
また、日本でも、一日も早く、インターバル規制の制度をつくり、労働者が、睡眠時間を確保できるようにして下さい。
残業隠しや36協定違反などの法令違反には厳しい罰則を定めるのが大事だと思います。



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弁護士の菅俊治です。

昨日は、「民進党国対ヒアリング」にお招きいただきました。
衆議院議員の山井和則さん、柿沢未途さん、大西健介さん、柚木道義さん、初鹿明博さん、井坂信彦さんほかがご出席されていました。厚労関係のエースですね。
労働弁護団からは、私と竹村和也弁護士。ほかに過労死遺族の会の方々も来られ、みなさん貴重なご意見を述べておられました。
私は、今国会が延長されたので、野党4党の長時間労働規制法案は、ぜひ審議入りしてほしいと訴えて参りました。また、事件の再発を防ぐ観点で、電通社長もぜひ参考人として招致してほしいとも述べました。

★民進、共産、自由、社民野党4党の長時間労働規制法案
https://www.minshin.or.jp/article/110356/長時間労働規制法案を罰則強化し再提出

野党4党案は、先月24日に日弁連が発表した「あるべき労働時間規制」に関する意見書とも方向性はピタリと一致しています(日弁連の方がさらに具体的な数字を目標にあげ、段階的なアプローチも提案している)。早期の審議入りと実現が待たれています。

★日弁連「あるべき労働時間規制」に関する意見書

我が国は1987年に週48時間制から週40時間制に移行することにし、10年かけてそれを段階的に実現してきた経験があります。やる気があればできます。
同時に、36協定の基準時間や使用者の時間把握義務が指針や通達レベルにとどまり、裁量労働制の拡大をはじめとした時間規制の弾力化があり、残業を拒否した労働者への懲戒解雇が有効とされるなど、長時間労働の抑制を曖昧にする制度や運用が拡大した結果が、過労死、過労自死の繰り返しを招いています。
これまでの延長ではまた悲劇が繰り返されるでしょう。

政府の労基法改正案は、裁量労働制や適用除外のさらなる拡大など誤った処方箋であり、野党4党案こそ必要な改革である、直ちに審議入りしてほしいと述べました。
企業名公表や罰則強化のほかに、公契約的規制や、労基署による代表訴訟やクラスアクション、付加金制度の改善拡充などのアイデアも伝えました。

弁護士 菅 俊治

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文責:菅俊治
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菅の写真

弁護士の菅俊治です。

2014年6月発行の「法と民主主義」誌(日本民主法律家協会)に掲載された

特集「「ブラック化」する労働法制」
が、第11回法と民主主義賞を受賞しました。

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http://www.jdla.jp/houminsyo/11.html

受賞者と受賞論文は、

 萬井隆令龍谷大名誉教授 「安倍政権の狙う「雇用改革」」
 菅俊治 「「民意なき」雇用改革」
 橋本加代子 「労働者派遣制度に対する規制の緩和」
 梅田和尊 「民間人材ビジネスの拡大とその影響」
 岡田俊宏 「国家戦略特区設置による雇用規制緩和」
 金子直樹 「ジョブ型正社員の普及と解雇規制改革」
 木下徹郎 「「新しい労働時間制度」の諸問題」
 小林大晋 「労働契約18条(無期転換申込権)の特別措置法の内容と問題点」
 高井信也 「技能実習生を含む外国人労働者の「活用」方針の問題点」
の9人、9論文です。

2015年10月31日に「法と民主主義賞」授賞式兼記念パーティーがありました。

授賞式には、菅俊治、岡田俊宏、小林大晋の3人が出席し、それぞれ賞状を受け取り、
代表して菅俊治(日本労働弁護団事務局長)がスピーチしました。


受賞理由は、

「安倍政権が進める労働法制の「ブラック化」の手法、内容
およびその狙いを俯瞰的な見取り図の下、鋭くかつ批判的に分析し、
「ブラック化」を許さない闘いに力強い武器を提供しています。」

とあります。

2014年2月に緊急拡大常任幹事会を開催し、闘争本部を設置しました。本部事務局
の若手が中心となり、安倍政権の諸会議を分担して傍聴し、議事録や資料などをあ
たり、議論し、そこでつかんだ中身を、忙しい活動の合間に、書き上げ、2014年6
月の日本再興戦略(改訂)批判としてぶつけました。

執筆から一年半経ち、情勢も認識もさらにすすんだいま読むと、古い写真を見るよ
うで、懐かしい思いになります。書いてあることもかなり荒削りなところがあり、
そこがまたいい感じです。
でも、先が見えない闘いのさなかで、もがき苦しみながら到達した当時の認識を、
早く世に伝えたいという強い思いが、各論文にみなぎっています。

日本民主法律家協会の事務局長(当時)の南典男先生から執筆依頼があったのです
が、南さんとは、秘密保護法に反対する運動のなかで接点ができ、この特集を通じ
て交流がすすみ、最近の自衛官ホットラインや集会など平和安全法制の取り組みな
どでも共同が広がりました。

労働法制の取り組みと平和安全法制ほかの取り組みとは、表向きはそれぞれにやっ

ていましたが、絶妙にリンクしていた気がします。

日民協の人たちは、人手が少ないのに学者や活動家、報道、国会議員と様々な人間

関係を駆使して運動を繰り広げていました。機関誌を年に10号も発行しており、端
で見ていてすごいなあと感心しきりでした。

今回の論文は、こうした運動のなかから生まれ、運動の力にもなった、という点
で、とても心に残る論文集となりました。

この賞を2年間、本部・闘争本部を支え続けた事務局次長の若手のみなさんと執筆
し、受賞できたのは嬉しい限りです。


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共同執筆者の岡田俊宏弁護士、小林大晋弁護士と。

http://www.tokyolaw.gr.jp/lawyer/suga_s.html
http://www.tokyolaw.gr.jp/

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