Victorian eraヴィクトリア朝のイギリスでは産業革命の成果により工場で大量生産された商品があふれるようになった。反面、かつての職人はプロレタリアートになり、労働の喜びや手仕事の美しさも失われてしまった。パターングラス、装飾されたガラス、豊かな漆喰仕上げ、カラフルな色のタイル、モザイク柄、金属細工の飾り付け、色艶の良いマホガニー、テクニックの多くは何世代にも渡って受け継がれてきたが、技術革新との組み合わせでそれは最高の物になった。
これらは、全てヴィクトリアンパブを代表する物です。だが、大量生産の工場生産方法と低価格の輸送手段が今までに無いほど広がった時代でも合った。
Glass
現在のロンドンパブでもまだ本物を見る機会はあります。パブの窓、ドア、壁パネルに見事な装飾の鏡があります。様々な技術が使用されて、エッチング(表面加工)は、エンボスガラス(浮き彫り加工)を作成するためにフッ化水素酸(Hydrofluoric acid)を使用することによって行われ、1880年から"フレンチ・エンボス"の出現により、様々な酸と化学薬品の使用によって色々な色調を表現できるようになった。
Tiles
ストーク・オン・トレント(Stoke-on-Trent)やアイアンブリッジ峡谷(Ironbridge Gorge)などに1840年代に工業タイルの生産が始まり大きな進歩になる。タイルは、パブの壁にとても適していて丈夫で、簡単に掃除が出来る。19世紀末には、サイズの大きいタイル装飾の委託注文もパブから入って来た。特にWB Simpson & Sons (1833年創業)は、ロンドンの代理店Maw & Company (1850年創業)から無色のタイルで購入し、釜戸に入れる前に塗装を施した。タイルを使ったモザイクフロアー(小片を寄せあわせ埋め込んで模様を表す装飾手法)は特に人気で、今でもパブの外壁、入口、バーフロアーなどパブ内でよく目にする。
Plaster ceilings
多くのヴィクトリア朝のパブは、天井に美しい装飾がされ、浮き彫りのコーニス・モールディング(壁と天井の交差する部分を覆う帯状の仕上げ)が見られる。彫刻は、漆喰で形成を整えられるが、漆喰仕上げて思われる大部分は、紙やキャンバスに必要なデザインを押し当てて仕上げている模倣がほとんど。最も広く知られているのは1877 年に壁をカバーできる浮彫り生地を世に出したLincrusta-Waltonであろう。それは洗浄可能で衛生的かつ耐久性も優れ、王室から一般家庭まで使用された。
Woodwork
ヴィクトリア朝時代の贅沢なパブ装飾には数え切れないほどの職人がいたに違いません。そして彼らは、硬材を確かな技と適切な機材でパブにフィットした形にしなければならなかった。パネル、パーテーション、カウンター、美しい曲線、フロアー、キャビネットなどパブには木材がふんだんに使われています。そして、他にも銀行、店、施設など多数の企業にも提供されました。特に、ケンジントン・ランベスにThe Kennington Steam Joinery WorksにJoineryと呼ばれる(指物師)職人がキャビネットなどをパブに作っていた。
Ironwork鉄製の装飾用で精巧な作りのもの。ヴィクトリア朝後期のパブの特徴。
使用目的は、例えば店の存在を知らせるガス燈を支える役目だったり、ドアそのものの装飾だったり、当時は一軒のパブでも入り口がいくつも合ったので部屋の名前を伝える為に入り口頭上にサインとして使われていた。