中国知的財産支援ブログ

中国でのビジネスを進める方に、知的財産の観点からとっておきの情報を提供します。

特許権(技術移転の注意2)

中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

本から中国へ技術移転を行う時の注意点の続きです。

 

昨日は、技術輸出入管理条例のことを話しましたが、中国には契約法という法律もあります。

契約法の3532項では、当事者が合意した場合を除くとあり、契約時に特約事項を付けておけば、譲渡人の責任が回避されるように読み取れます。

 

中国契約法 第353条 譲受人が約定に従い特許を実施し、ノウハウを使用し他人の合法的権益を侵害した場合は、譲渡人が責任を負う。

ただし、当事者が合意をした場合を除く。

契約法353条

では、契約法と、技術輸出入管理条例とは、どちらが優先されるのでしょうか?

契約法の355条によって、特別法である技術輸出入管理条例の規定されるようです。

つまり、技術移転時には、その技術を使った商品が第三者の権利侵害をしていないかどうかを注意する必要があります。

特に、中国では無審査で登録される実用新案権を無効で消滅させにくい事情があり、日本では権利化されないような知的財産権が存在する可能性があるため注意が必要です。

中国契約法 第355条 法律・行政法規に技術輸出入契約または特許、特許申請契約に関して規定を設けている場合は、その規定に従う。

契約法355条
 

      なお、中国の法律の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

特許権(技術移転の注意1)

中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

本から中国へ技術移転を行う時の注意点を紹介します。

技術輸出入管理条例というのがあって、243項では、譲渡人(日本企業)が提供した技術を使用して、譲受人(中国企業)が他人の合法的権益(例えば特許権)を侵害する場合、その責任は譲渡人(日本企業)が負うことになっています。

 

中国技術輸出入管理条例 第24条 技術輸入契約の譲渡人は、自分が提供した技術の適法な所有者であり、又は譲渡、使用許諾をする権利を有する者であることを保証しなければならない。

技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人の技術を使用した結果、第三者に権利侵害で告訴された場合、直ちに譲渡人に通知しなければならない。譲渡人は通知を受けた後、譲受人と協力し、譲受人が受ける不利益を排除しなければならない。

技術輸入契約の譲受人が契約に従って譲渡人が提供した技術を使用した結果、他人の合法的権益を侵害する場合、その責任は譲渡人が負う。

 輸出入管理条例24条

 


      なお、中国の法律の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

実用新案(実用新型専利)・その10 無審査登録制度

中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

中国では、実用新案制度があって、日本と同じように無審査登録制度があると紹介しました。

ただし、日本と違って、出願件数は非常に多く、特許(専利)や、意匠(外観設計専利)と同程度の出願件数があります。

つまり、無審査登録制度を使って、有効に実用新案制度を使っている人が多いということです。

 

無審査登録制度だし、後で無効になったら使えないじゃないか?という疑問があると思います。

日本も、そういった心配があるから、大抵の方が実用新案登録出願を止めて特許出願しているのですからね。

 

ただ、中国では、審査基準の中で、実用新案を無効にする際の引用例は通常2個までというものがあります(審査基準 Part 4Chapter 6Section 4)。

つまり、構成要素が複数あって、それぞれが3つ以上の文献を集めないと構成要件が成立しないような場合には、無効にすることが出来ないというものです。

このため、無審査登録制度の実用新案権を使っても、有効に権利行使出来ることが多いようです。

 

引用例の数は、“通常”2個と言っておりますが、あまりひどい単なる寄せ集め発明の場合には、引用例が3個以上になることもあるそうです。

 

出願時の費用も特許と比べて5万円くらい安くなるみたいなので、活用の余地が未だ未だありそうです。

商標権(著名商標の要件)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国商標法14条では、著名商標の要件が規定されています。

 とはいえ、これだけで著名商標の範囲が明確だとは言えませんから、状況に応じて判断する必要があるでしょうし、訴訟になれば、争点の一つになる可能性があります。

 

 中国商標法14条 著名商標の認定には、以下の要素を備えなければならない。

(1) 関連公衆の当該商標に対する認知度

(2) 当該商標の持続的な使用期間

(3) 当該商標のあらゆる宣伝の持続期間、程度及び地理的範囲

(4) 当該商標の著名商標としての保護記録

(5) 当該商標の著名であることのその他の要因

 

商標法14条

 














 ※ なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

商標権(著名商標の登録や使用制限)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国商標法13条では、著名商標の登録制限や使用制限が規定されています。

 著名商標が中国で登録されているか否かで条件が少し異なってきます。

 日本の商標法では、これに相当する規定が無さそうです。

 

 中国商標法13条 同一又は類似の商品について出願した商標が、中国で登録されていない他人の著名商標を複製、模倣又は翻訳したものであって、かつ同著名商標と容易に混同を生じさせる場合には、その登録とその使用を禁止する。

 同一又は非類似の商品について出願した商標が、中国で登録されている他人の著名商標を複製、模倣又は翻訳したものであって、かつ公衆を誤認させ、同著名商標権者の利益に損害を与え得る場合には、その登録とその使用を禁止する。

 

商標法13条

 







 ※ なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

商標権(立体商標の登録制限)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国商標法12条では、立体商標の登録制限が規定されています。

 日本の商標法313号の形状に関する規定に相当しそうですが、日本の商標法では、立体形状に限定されている訳ではないので、やはり注意が必要になります。

 

 中国商標法12条 立体標章をもって商標出願する場合、単にその商品自体の性質により生じた形状、技術的効果を得るために必然な形状、又はその商品に本質的な価値を備えさせるための形状である場合には、これを登録してはならない。

 

商標法12条

 

 ※ なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

商標権(登録できない商標)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国商標法11条では、単なる商品の品質を直接表示したにすぎないものなど、登録されない商標が挙げられています。

 日本の商標法31項各号の識別力を有しない商標の規定に似ていますが、同じではないし、識別力が有るか否かの判断基準も同じではないので、注意が必要です。

 

 中国商標法11条 以下に掲げる標章は、商標として登録することができない。

(1) その商品に単に一般的に用いられる名称、図形、記号

(2) 単なる商品の品質、主要原材料、効能、用途、重量、数量及びその他の特徴を直接表示したにすぎないもの

(3) 顕著な特徴に欠けるもの

 前項に掲げる標章が、使用により顕著な特徴を有し、かつ容易に識別可能なものとなった場合には、商標として登録することができる。

 

商標法11条

 








 ※ なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

商標権(使用が禁止される商標)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国商標法10条では、国旗や国名など、商標として使用してはならない標章が挙げられています。

 日本の商標法41項各号に幾つか似たような規定がありますが、同じでは無いので注意が必要です。

 

 中国商標法10条 次に掲げる標章は、商標として使用してはならない。

(1) 中華人民共和国の国名、国旗、国章、軍旗、勲章と同一又は類似したもの及び中国国家機関所在地の特定地名又は標章性を有する建築物の名称若しくは図形と同一のもの。

(2) 外国の国名、国旗、国章、軍旗と同一又は類似したもの。但し、当該国政府の承諾を得ている場合にはこの限りではない。

(3) 各国政府よりなる国際組織の名称、旗、徽章と同一又は類似するもの、但し、同組織の承諾を得ているもの、又は公衆に誤認を生じさせない場合にはこの限りではない。

(4) 管理下での実施が明らかであり、その保証を付与する政府の標章、又は検査印と同一又は類似したもの。但し、その権利の授権を得ている場合にはこの限りではない。

(5) 「赤十字」、「赤新月」の名称、標章と同一又は類似したもの。

(6) 民族差別扱いの性格を帯びたもの。

(7) 誇大に宣伝しかつ欺瞞性を帯びたもの。

(8) 社会主義の道徳、風習を害し、又はその他公序良俗に反するもの。

 県クラス以上の行政区画の地名又は公知の外国地名は、商標とすることができない。但し、その地名が別の意味を持ち又は団体商標、証明商標の一部とする場合にはこの限りではない。既に地理的表示を利用した商標として登録された商標は、引き続き存続することができる。

 

商標法10条

 

























 ※ なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

特許権(専利権)・その56・盗用の処罰

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 中国専利法63条では、特許を盗用した場合は、法に従って民事責任を問う他、特許管理部門が改善を命じるとともに、公告を出し、違法所得を没収するなどが規定されています。

 200910月の改正前の専利法58条でも規定されていましたが、経済罰則が強化されています。

 

 中国専利法63条 特許を詐称した場合、法により民事責任を負うほか、特許業務管理部門が是正を命じかつ公告を行い、違法所得を没収し、違法所得の4倍以下の過料を科すことができる。違法所得がない場合、20万元以下の過料を科すことができる。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。


専利法63条
 



 
※ なお、中国特許法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

商標権(拒絶後の対応)

 中国の知的財産権(特許権など)について、日本や米国の法律などと比較しながら説明します。

 

 商標登録出願について、登録要件の有無などが審査されますが、拒絶理由があった場合にも審査段階では反論する機会は設けられず、商標評審委員会に再審を申し立てる必要があります(中国商標法321項)。

 

 中国商標法 第321

 出願を拒絶し、公告しない商標については、商標局は、商標登録出願者に書面で通知しなければならない。商標登録出願者に不服がある場合は、通知を受領した日から15日以内に、商標評審委員会に再審を申し立てることができる。商標評審委員会は決定を下し、出願者に書面で通知する。

 

商標法32条1項

 

    




 
なお、中国商標法の日本語訳は、個人的な見解に基づくものであり、大凡の意味を理解するのに使ってください(厳密な解釈には十分注意してください)

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